h隣の塩尻市では、飲食店が出した4〜5名のアルバイト募集に、100名を超える応募があったとか。最初はアメリカ経済の落ち込みに巻き込まれたような不景気でしたが、だんだん時間が経つにつれて、もともと日本に深く広がっていたリスクが表面化しているように思えてきました。1〜2月までは「日本の金融への影響は、他国に比べて小さい」という声が聞かれましたが、最近では「日本の落ち込みは大きく、その立ち直りも遅い」という見方が強まっています。東京の株式市場は、台湾や香港に比べて出遅れているように見えます。チャートは、赤が日経225で、青が香港のH株指数。09年の日本の経済をめぐる予想は、IMFが−5.8%、世界銀行が−5.3%、OECDが−6.6%となっています。

ごく大雑把にいえば、いま地方でお金が回っていそうな場所は、官公庁の周辺ばかり。いくら金利が低くても、お金を借りて不動産や設備への投資を広げようとする人は少ない。人口の減少、厳しい雇用、そして税金を考えたら、大きな損をしてしまうから。地元の新聞には、詐欺や車上荒らしの記事が増えました。ある酒類メーカーによると、いま松本市で出荷量が伸びているのは、この5年間にできたお店だけ。飲食店は参入障壁が低いですから、5年もすれば、また別の新しいお店ができて、そちらに客が流れ出てゆく。松本城を訪れる観光客を見ると、明らかに中高年が中心で、50代以下の人は外に出かける回数からして減っているようです。

財務省トンネルの出口には、どんな光景が広がっているのか?私は、日本が貿易で稼ぐ国から、投資によって稼ぐ国への変化が明瞭になると考えています。貿易の稼ぎは「貿易収支」の黒字、債券や株式に投資をした稼ぎは「所得収支」の黒字。2005年には、はじめて所得収支の黒字の方が大きくなりました。06年、07年、08年の3年間の変化は、このグラフには載っていません。そこで日銀のサイトで調べてみると、ごくごく大まかにいって貿易黒字のほうが、9兆円→12兆円→4兆円と減少していることがわかる。所得収支の黒字は、13兆円→16兆円→15兆円と高いままになっています。報道から受けるイメージでは、金融の不安が大きいのですが、実際に日本が得ている投資による収益は、それでも横ばいのまま。一方の貿易黒字は半分以下になっているのですから、現実としては、やはり製造業の落ち込みの方がショックが大きいといえます。

話を個人に限るなら、投資による収益を手にするためには、なんといっても投資するための元手が必要です。日本の個人が持っている1,400兆円の金融資産は、そのほとんどを高齢者が握っています。貿易黒字を稼ぎ出す製造業で働く人たちには、20代〜50代の現役世代が多い。日本全体のカネの流れを考えると、消費の中心が中高年になるのも当然という気がします。

投資をするのは個人ばかりではありません。企業もまた投資の主体。いまは国内、とくに地方からは、投資が引き上げられています。それは分かりやすい風景としては、バスや鉄道の廃止だとか、スーパーや百貨店の閉店として私たちの目に映るわけですが、いったん投じられた資本が引き上げられていることに変りはありません。そして企業は、中国などに支店をつくり、社員、資金、技術を送り込んでいて、なおかつアジアの通貨は安くなっていますから、停滞しているようでいて変化のスピードは実は速くなっているような気もします。もう地方の不動産などは、よほど恵まれた条件で収益の見込めるところでないと、なかなか買い手がつかない。

昨日は、自民党の務台俊介さんのミニ集会に行ってきたという人と会いました。民主党の現職とは16,000票ぐらいの差がありそうなので、あと8,000の票を得て逆転したいと話していたとか。総選挙の投開票は、外交日程などから6月の初旬を今のところ想定している人が多いんだとか。選挙の結果は分かりませんが、ちょっと自分で調べてみれば明らかに分かる変化も進んでいるので、ときにはテレビから目を離し、地元の風景と統計とを付き合わせて考えてみることも大事だと思います。