強いのは、ドル。そして、もうひとつ見えない通貨である人民元。この2つの通貨の値上がりが意識されているので、表面的にはユーロが強く売られ、円安が減速する形になっているのだと思います。ドルに対して他の通貨が弱いので、結果的にクロス円の下げがドル円を抑えているようにも見える。2010年代は、アメリカと中国の関係によって様々なことが動いてゆく10年になりそうです。

ハイチは、中国語で「海地」。鳳凰衛視は、現地のPKO活動で犠牲となった中国人8名の葬儀に胡錦濤が出席しているようすを放送しています。日本では総理大臣が毎日「ぶらさがり」取材に応じる映像が流れますが、ふつう外国では、そういうことはない。とくに中国の国家主席や総理が出て来たときには、そこに政府の強い意志が示されていると考えなくてはいけない。中国は、これからも世界に積極的に関与していゆくということでしょう。「覇権を求めない」が周恩来の時代からの原則ですが、これを裏返していえば「覇権を求める行為でなければ、積極的に外に出てゆく」ということ。

2010年代は、安全保障をめぐる風景も変化しそう。アメリカが戦争に踏み切れば、ドルの値打ちが下がってしまう。欧州も、遠いアフガニスタンで国民を犠牲にすることには反感があります。日本でも、「そんな外国のことより、俺たちの生活を何とかしてくれ」という感情が強まっている。となると、世界の国や地域が不安定になったとき、欧米などの先進国が中心となって秩序を守るという話は、なかなかまとまりにくくなります。

いわば世界の安全保障に空白が生じやすくなるわけで、その空白を埋めるようにして、中国、インド、ロシアなどが存在感を強める可能性が高い。国連の安全保障理事会の動きが重要になる場面も出てきそうです。

ヒラリー・クリントンがハワイで太平洋の重要性を強調したのは、こうした時代の流れを意識しているから。日本、フィリピン、豪州などとのアライアンス(連携)について、「現代史における最も成功した例だ」と語り、米国の安全保障政策の大義を強調。中国の影響力の広がりを牽制したのだと思います。

米中の時代は、米ソの冷戦時代とは異なる対立の時代になりそう。つねに市場が意識され、さまざまな新興国の思惑が入り乱れることになる。全体に白っぽくみえた世界は、褐色、あるいは肌色が強い色調へと変化しています。