2009年08月12日

民主党、「国連警察隊」創設を提唱―日米同盟軽視と国連至上主義の表れだ

 民主党が国連による国際紛争への対処策として、軍民の専門家を個人単位で募る「国際緊急警察隊」(仮称)の創設を検討していると、産経新聞・電子版(8月11日7時57分配信)が報じている。具体的には、国際緊急警察隊は、個人の意思で集まった各国の文民・警察・軍人・司法・緊急支援などの専門家で構成し、国連の下で国際紛争の初期段階に投入する。これは、民主党がマニフェストとは別に7月下旬にまとめられた政策原案に盛り込まれているもので、民主党が政権を獲得する際には、その設置を国連に働きかけていくとのことである。また、国連平和維持活動(PKO)に参加するための国内組織「国連待機即応部隊」を新設し、それまでの間は暫定的に自衛隊派遣も認めるとしている。国連待機部隊が無駄な組織であることに関しては、ここでは深入りしないことにする。
 同政策原案の基本理念としては、「平和をつくる戦略的発想」と「過度の対米依存からの脱却」が掲げられ、民主党が強調する「対等な日米同盟」と「国連重視」の象徴として、沖縄の在日米軍基地の縮小と並行して、国際緊急警察隊の本部と訓練施設を沖縄に誘致することも検討する。
 国際緊急警察隊は、国連決議によって派遣されるため、「日本の主権の行使にあたらない」として、他国部隊と同様の武器使用権限を認める。この構想で最も特徴的なのは、「個人単位で募る」としている点で、これは自衛隊員や国連待機部隊員あるいは文民・警察官等が直接国連に応募するということを意味する。つまり、各国政府を通り越して個人単位で、国連に直接募集される各国各分野のプロフェッショナルが国連安全保障理事会の直下に組織され、国連独自の常設平和部隊が創設されることになるという構想である。
 もっとも、国際緊急警察隊構想は民主党の「発明」でも何でもなく、国連緊急平和部隊(UNEPS)案として、緒方貞子・国際協力機構(JICA)理事長らが既に同様の構想を提唱しているもので、既存の国際平和活動(国連平和維持活動を含む)を代替するのではなく補完する役割を担うことを目指すものである。
 このような構想は、ますます複雑多様化する国際紛争のあり方にきめ細かく対応するオプションを増やすという意味では必ずしも悪いものではない。ただし、そもそもの提唱者(緒方貞子氏や英国のブライアン・アークハート氏)が認める通り、これは国連による既存の国際平和活動のあくまでも補完であり、国連による平和維持活動の中でも到底根幹となる存在とはなりえない。現実問題としては、国連決議を受けた多国籍軍、有志連合、PKOなど、あくまでも国家が主体となっていくことには変わりないであろう。
 民主党が国際緊急警察隊の創設を模索するのは、同党が持つ非現実的な国連幻想に由来するが、それよりも大問題なのは、沖縄の米軍基地縮小と併せてその跡地に本部と訓練施設を誘致することを検討している点である。それは、日本防衛に欠かせない米軍を最重要地域から「追い出して」、実現可能性があやしげで日本防衛に何の役にも立たない、しかもまだ出来てもいない組織を誘致しようとする極めて危険な案である。日米同盟と国際緊急警察隊構想は全く排他的である必要はない。両者は、次元が全く異なる存在である。あえて沖縄の米軍基地縮小を求めて、代わりに国際緊急警察隊(仮)の本部を誘致するのは、反米的姿勢と言わざるを得ない。東へ東へと膨張圧力を強めている中国を前にして、いったい何を考えているのか。
 マニフェストには全く書かれていないが、報道で知りうる限り、このような恐ろしい計画を進めているのが民主党の「安全保障政策」である。我が国の安全が保障されないのだから、安全保障政策とすら呼ぶに値しない。(了)


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takami_neko_shu0515 at 08:40│Comments(2)TrackBack(0) 安全保障・自衛隊 | 国連

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この記事へのコメント

1. Posted by ぬくぬく   2009年08月12日 10:39
沖縄への国連機関誘致は、米軍縮小と共にこの十数年来語られて来た話しで「米軍撤退に伴う沖縄の安全の担保」として言われています。
なので、沖縄誘致自体を今更どうこう言ってもしかたのない話しです。
何せ「米軍基地に代わる地代と雇用」という沖縄の現実からみれば、マヤカシであっても、代替え施設が必要なんですから。

問題は、「警察」という名の下に「国連常設軍」を組織し沖縄にその駐屯地を設ける事にどれだけの「県民」が賛同するのかって事です。

まあ、無理でしょう。
一部の発案者を除いてUNEPS構想を理解せず、「常設国連軍」の認識でしょうからね。

「国連待機即応部隊」が同列で記載され、新聞もその程度の理解で記事にしている事で、日本国内に於ける理解の方向が見えます。

そう考えると、この構想の理解としては、PKO施設を沖縄誘致するって事なんでしょうね〜

まだまだ構想段階のUNEPS誘致と、すでに陸上内に組織されたPKO部隊の分離、別組織化。
相当な「無駄」が発生しそうですね。

無駄を無くすといってる党が無駄を量産するんだから、笑うしか無い。
2. Posted by 高峰康修   2009年08月12日 18:31
ぬくぬく様

そうですね。名前は「警察」ですが単なる警察ではないですからね。

話は脱線しますが、国連大学のように、「いらない」と言われながら「日本が金を出すなら」と作ってみたはいいが、役に立たない存在になりそうな気がします。

元の報道もめちゃくちゃでしたね。国連待機部隊とごちゃ混ぜに書いてあって、しばらく解読に時間をとられてしまいました。

国連待機部隊の構想は、小沢一派と社会党系がいる限り消えないんでしょうね。

無駄の量産…。言い得て妙です。

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