2010年06月22日

【消費税10%】民主党の最低保障年金・年金一元化案はどこへ行ったのか?

 6月17日に菅首相が、消費税に関して「2010年度内にあるべき税率や改革案の取りまとめを目指したい。当面の税率は、自民党が提案している10%を一つの参考にしたい」と唐突に述べたが、自民党が公約として掲げている10%と、菅氏が言いだした10%では、同じ数字でも全然意味が違う。
 自民党が10%という数字を出したのは、1999年度の予算総則以来消費税の使途として限定されている基礎年金・高齢者医療・介護の3分野に充てられる分の消費税収入不足、新規の社会保障給付、少子化対策などの財源を積算していった結果約12兆円が必要であり、それを賄うために消費税率を当面10%に引き上げるというものである。この中には、基礎年金の国庫負担分を3分の1から2分の1に引き上げるための財源も含まれている。
 一方、菅首相は、18日の記者会見で、現行税率の5%では上記3分野の必要額に約10兆円不足しており、年々の自然増や社会保障の強化を考えると、消費税率を10%にしてその使途を引き続き3分野に限定すればほぼ賄うことができると言っている。そして、自民党の資料を見たが、同じような考え方だ、とも述べている。「抱きつきオバケ」(石破茂・自民党政調会長)、「自民党案のカンニング」(谷垣禎一・自民党総裁)、「自民党案をパクり争点を消そうとしたのが本質」(山口那津男・公明党代表)などと厳しく批判される所以である。
 ここで、忘れてはならないのは、民主党はこれまで一貫して、消費税を財源とする最低保障年金と所得比例年金からなる年金一元化案を提唱しており、昨年の衆院選でもマニフェストに明記されていた。最低保障年金は月額7万円で、所得比例年金を一定額以上受給できる人は減額するという、所得の再分配機能を重視した左派色の強い年金制度改革案である。民主党があるべき消費税率の算出をするには、この年金制度改革を踏まえなければならない。自民党の年金制度改革案とは根本的に異なっているのだから、自民党の10%を参考にした、などという話は全く通用しないのである。逆に、自民党の提案を参考にするということは、これまで言ってきた民主党の年金制度改革案を放棄することとほぼ同義である。それならば、従来の年金制度改革案を撤回すると明言すべきだが、参院選のマニフェストでは財源も制度設計も示さず「年金制度の一元化、月額7万円の最低保障年金を実現する」と曖昧な表現でごまかしている。いつものことながら、民主党のやることは姑息極まりない。
 こういう根本的なところをまともに取り上げないで、世論調査で菅首相の発言も自民党の公約も共に多数派となっているのだから消費税増税は国民的合意を得ている(例えば読売新聞)などと言いだすマスコミは、悪質な情報操作をしているとしかいいようがない。読売新聞が18〜20日に実施した全国世論調査では、菅氏の消費税増税発言を評価するとしたのが48%、評価しないとしたのが44%、自民党の参院選公約を評価するのが55%、評価しないとしたのが37%であった。この数字は、消費税10%を是とする国民が多数派を占めるようになったというよりは、菅氏の発言への賛否が拮抗していることに注目すべきである。これは、菅氏の発言が選挙目当てであることが見抜かれ、少なくとも消費税発言に関してはあまり信頼されていないことの表れであると見るべきである。
 民主党の年金制度一元化案は一体どこへ雲散霧消したのか。これは厳しく追及されなければならない大問題である。(了)


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takami_neko_shu0515 at 02:22│Comments(0)TrackBack(1) 財政・税制 | 社会保障

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1. 役立つブログまとめ(ブログ意見集): 最低保障年金&所得比例年金 by Good↑or Bad↓  [ 役立つブログまとめ(ブログ意見集)(投稿募集中)by Good↑or Bad↓ ]   2010年07月03日 07:38
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