診察雑感

市井の開業医が患者さんに接して感じた雑多な感想。

破竹の勢い

天賦の才

大リーグでは投打の天才大谷クンが大活躍。
将棋界では藤井聡太クンが15歳で七段に昇段した。
「努力は才能に優る」は凡夫凡庸の慰労で、実は「努力は才能に及ばない」のだ。

17日の昇段決定から20日まで、テレビは「藤井なな段」のオンパレードだった。
「なな段」ではなく「しち段」である。
誰かに指摘されたのか、21日からは全局が「しち段」になった。

祇園一力茶屋の場は仮名手本忠臣蔵七段目、賤ヶ岳の七本槍、6年目の法事は七回忌、七難八苦、七転八倒・・・遍く「しち」と読む。
囲碁・将棋の世界に「なな段」はない。

関西学院大を「カンサイ学院大」と言った日大監督をテレビが叩く。
「なな段」の前歴を棚に上げて他人の誤読を責める姿勢は愉快ではない。
「なな段」では天才少年が落胆する。

参照;過去ブログ
2016年10月13日「BS12 歴史再考」
2015年7月6日「七夕はなぜタナバタか」

意味が異なる

確信犯と故意犯

アメフトで悪質なタックル事件があった。
倒された選手は全治3週間の大けがで後遺症の懸念もある。
ルールを無視した行為は暴行傷害の罪に問われて然るべきだ
監督が「選手を壊せ」と指示したとかしないとか・・・
監督は「選手の判断」と言い、他の部員も「指示はない」と口裏を合わせる。
タックルした選手個人の判断なら単独犯だが、指示なら監督も共同正犯だ。

解説者は危険タックルを「確信犯だ」と言うが、用法が相応しくない。
確信犯とはドイツの法学者が提唱した法律用語で、「宗教的、政治的な信念に基づき正当な行為と信じて行う犯罪」と定義される。

辞書を繰っても岩国、辞林になく、昭和58年の「広辞苑」にも載ってない。
手元の辞書で「確信犯」が立項されているのは「新明解」(平成24年)のみだ。
本邦で「確信犯」の文言が広まったのは平成2年頃らしい。

「悪いこととは知りながら」の意で用いられるが、誤用である。
「故意犯」と「確信犯」は大いに異なる。
「みんなが誤用するならそれが正しい用法だ」とする意見も散見するが、違う。
みんなで渡っても赤信号は「止まれ」なのだ。

報道に疑義あり

被疑者と犯人

「犯人が逮捕されました」と、女子アナが昂ぶって報じた。
バカを言うな。
逮捕されたのは容疑者だ。
被疑者かならずしも犯人ではない。

逮捕=犯人という短絡的報道は頗る違和感がある。
逮捕理由は状況証拠ばかりで、犯人と断定する決定的証拠は何もない。
たぶん公表しない「動かぬ証拠」があるのだろう。

新潟死体遺棄事件には怪しげな『黒い服のサングラス男』が登場する。
現場では『白いワゴン車』が目撃されている。
テレビは頻回に報じたが事件とは関係ないそうだ。
さんざん報道しておきながら唐突に「無関係」とはこれ如何に。

黒装束の男と白い車の所有者は特定できたのか?
事情聴取したという話は聞かないが、「無関係」の根拠は何だ?
そもそもサングラス男と白いワゴン車の話は本当なのか?
虚報ではなかろうが、「犯人逮捕」と報じるメディアだから疑いたくもなる。

テレビは「もし事実なら」と前置きするのは止してくれ。
事実を確認して報道するのがマスコミの使命だろうに。

眩暈しそうだ

大丈夫かフジTV

27[1]県北の山間部にある臨済宗雲巌寺が俄に賑わっているという。
野州雲巌寺と越前永平寺、筑前聖福寺、紀州興国寺が禅宗四大道場である。
吉永小百合のJR東日本7c98df1d5c7bd8c614bf75c6d341eda6-e1525349806666[1]『大人の休日倶楽部』で一躍名を馳せた。







レポーターが観光客の老女にマイクを向ける。
「ここで小百合さんがこうして空を見上げるのよね」
年齢は小百合さんと大差ないがイメージ重ならない。
爺様は「吉永小百合がここに立ったんだよ」と悦に入る。
生粋の「サユリスト」とお見受けする。

「駐車場も飲食店もなく、突如押し寄せた観光客に困惑」というのがニュースの主眼だ。
「“空海の永平寺”と並ぶ修行寺で、休憩所も食堂もありません」
空海の永平寺?
何だそれ。
聴き間違いかと我が耳を疑った。
濁音の「道元」と清音の「空海」を聴き違えるはずはない。

曹洞宗永平寺は道元禅師で、空海は関係ない。
ビデオ編集の放送にも拘らずこの為体。
番組の終わりに訂正のコメントがあるかと思いきや何もない。
フジテレビは大丈夫だろうか?

所詮は吉永小百合にあやかる観光客だ。
世界遺産と同じ一時の空騒ぎに過ぎず、アッと言う間に鎮静する。
人は気まぐれだ。

辞書にない

初耳の文言

『日本の聖域 「選択」編集部編』(新潮文庫)に「いやが応でも」の一文がある。
聞き慣れない言葉で、はたと首を傾げた。
前後の文章から推測すると「無理矢理に 何が何でも」の意味らしい。
NHK放送文化研究所によれば「否(no)も応(yes)もなく」の意で、漢字で「否が応でも」と書くそうな。

念のため広辞苑と新明解を繰ったが載ってない。
たぶん最近の造語だろう。
いつ登場したか知らないが、新潮社もNHKも認める巷間周知の文言らしい。
「現代用語の基礎知識」には載っているのだろうか?

「否応なく」は辞書にある。
語釈は「否が応でも」と同じだが、両者の使い分けは知らない。
造語を必要とする何らかの理由がある筈だ。
知らぬはヤブ医者ばかりなり・・・・
そのうちに国語辞典にない文言が溢れて、日本語が通じなくなりそうだ。

辞書には似た語句の「いやが上にも」がある。
「いや」は「弥栄」の「弥」で、「弥が上にも」と書く。
「さらに一層」の意味で、「嫌」や「厭」とは関係ない。

「否応なく」と「いやが上にも」を混淆すると「いやが応でも」となる。
出版社やNHKが容認するのだから誤りではないらしい。
辞書には載ってないが、いずれ収載されるに相違ない。
あまり上等な日本語ではない。

参照;過去ブログ
2017年6月22日「堂々たる誤用」

値引きのからくり

消費税を隠す狡智

国の公定薬価は製造原価、流通販売経費、利益等々の積算額に消費税8%を上乗せして決められる。
医療費に消費税は課されないから消費税8%は薬価に含まる内税方式だ。

4月改訂の引き下げは既に承知だが、薬問屋が提示する新納入価を見て驚いた。
見積書の納入価は消費税を除く本体価格が書いてある。
『10%値引き』などと、さも大サービスの如き書き様だが大嘘だ。
内税の薬価を値引いて更に消費税を加算する仕組みだから紛らわしい。
消費税を合算すれば『10%値引き』でないのは明白で、実に巧妙な見積書だ。
薬価差益は限りなくゼロに近い。

例えば・・・
製薬会社の本体価格が1000円の薬は1080円が公定薬価である。
見積書は『1080円の10%引き972円』で、脇に『消費税78円』とある。
薬価は内税なのに、なぜか本体価格のほかに別途消費税がかかる。
結局〔972円+78円=1050円〕が購入価格で、実質3%引きに過ぎない。

それでも逆鞘にならないだけマシで、中には損税になる品目まである。
「7%引き」はどう見ても損税の設定だ。
営業マンは「損税にはなりません」と言うが、正気か?
1080円の7%引きは1004円、消費税8%で1084円になって元値を上回る。
7%引きで8%の消費税は賄えないのは大火事を見るより明らかだ。

実質3%引きでも価格提示する問屋はまだいい方だ。
もう5月も半ばなのに新価格の提示さえない卸問屋もある。
営業マンは滅多に姿を見せず、今年は3回しか会ってない。
零細クリニックには問屋のセールスも寄りつかない。
見捨てられた証左だろうか?
それも善し、価格不詳の薬は買えない。

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