診察雑感

市井の開業医が患者さんに接して感じた雑多な感想。

診断書

何か文句でも?

お相撲さん同士の酒席の争いが物議を醸している。
親方が被害届を出すに至った。
警察に提出した診断書は「頭蓋底骨折、髄液漏の疑い」の記載はない。
相撲協会に提出した休場届診断書は、入院精査後に判明した「頭蓋底骨折 髄液漏の疑い」が付け加わった。

ワイドショーは2通の診断書病名の齟齬を問題視する。
その1) 警察用と相撲協会用が異なるのは不自然である。
その2) 当初は軽症なのに2通目の診断書で重篤な病名はおかしい。
テレビ朝日は「なんと、診断書が2通ある。どういうことなのか」と疑惑を煽る。

頓珍漢な指摘に呆れる。
夜間の救急外来に最終確定診断を期待するのが間違いだ。
1通目の診断書に何の不合理もない。
相撲協会に提出した2通目の診断書は入院精査した結果である。
「頭蓋底骨折、髄液漏の疑い」が追記されたことのいったい何が問題なのか。
頭蓋底骨折は眼窩周囲や耳介後部の鬱血、耳道や鼻腔の髄液漏で疑診するのみだ。
3D CTでも確定診断は容易でない。
しかも「疑い」である。
診断が当初と違うのはあたり前で、後発文書が有効なのは理の当然だ。

ワイドショーの解説者は、「全治2週間はあり得ない」と言う。
具に読め、「全治2週間」のうしろには「思われる」と書いてある。
1週間で治癒するかも知れないし3カ月を要するかも知れない。
千里眼でもあるまいし、先のことなど知る由がない。

コメンテーターは「診断を書くのが診断書です」と、診断医を非難する。
筋違いも甚だしい。
「疑い」も「思われる」も、それが“診断”なのだ。
医師の診断を非難するマスコミの不見識こそ非難されて然るべきだ。
診断書の見方も知らずに疑義を挟むなんぞ以ての外。
医療現場の常識を弁えた上で物を言え。

「静養を要する」の但し書きもなく退院したのは、要するに軽症なのだ。
恣意的に重篤に書く理由はなく、検査結果に準じた事実を記したに過ぎない。
本場所を休場するしないは本人の選択で、診断書には左右されない。
診断書に疑義はなく、たかがテレビ如きに診断医が糾弾される謂れはない。

末筆ながら一言・・・・
例によって森田某なる医療解説者の、見当外れの解説を聞かされた。
素人に毛が生えた程度の知見で蘊蓄垂れるのは恥を晒すだけだ。
この御仁、テレビ局のお気に入りらしいが専門分野はいったい何なのだ?
的外れの解説は聞きたくもなく、顔を見るだけで虫酸が走る。

無粋な法律

落葉焚き禁止

先考はこよなく焚き火を好んだ。
ヤブ医者も焚き火マニアだが昨今はダイオキシンだの煙害だのと騒がれて、落ち葉焚きもままならない。

廃棄物の焼却は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で原則禁止である。
庭木の剪定枝や落葉焚きは勿論、広くもない庭の芝焼きも御法度だ。
廃掃法の注釈に「たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なものは認められる」とある。
「たき火、どん焼き、バーベキュー、芝焼き」は「軽微なもの」とされるが、「周辺環境支障のない範囲で」と念を押す。
環境支障の有無は近隣住民の感受性に因るところ大で、確たる基準はない。

昨今は幼児の歓声や除夜の鐘さえ騒音と騒ぐ狭量な人種ばかり蔓延って、風情ある焚き火まで厭われる。
見つけ次第「許すまじ」と警察に通報する模範市民は疎ましいかぎり。

中禅寺湖畔の二荒山中宮祠や輪王寺別院立木観音では立冬の落葉焚きが風物詩だ。
けっこう大掛かりで、「軽微なもの」の概念が覆る。
あれが“軽微”なら我家の落葉焚きなんぞ高が知れている。

焚き火はあんがい奥が深い。
枯葉は夜露や霜で湿って単独ではなかなか燃えない。
初めに薪を燃やし、その上に落ち葉を積み上げるのが基本だ。
乾燥していると一気に燃え、火のついた葉が舞い上がって危険この上ない。
霧吹きで適度に湿らせると、燃え方も煙の立ち具合も焚き火らしくなる。
ゆっくり燃え、立ち昇る白い煙を楽しむのが落ち葉焚きの神髄だ。

♪垣根の垣根の曲がり角 焚き火だ焚き火だ 落ち葉焚き
今や往昔の光景は何処にもない。
北風ぴーぷー吹く折り、せめて落ち葉焚きくらいは大目に見ては貰えまいか。

参照;過去ブログ
2010年12月2日「落ち葉」
2013年1月4日「除夜の鐘が聞こえない」

議事堂で野球?

決意の比喩が野球か?

希望の党は選挙で共同代表を選出した。
新代表は開口一番「全員野球」を謳う。
鳩山由紀夫元首相や野党自民党の元総裁谷垣禎一も「全員野球」と言った。
政党トップは与野党を問わず「全員野球」がお好きらしい。

なぜ野球に喩えるのか不思議でならない。
ベンチの控え選手やスコアラーは戦わない。
「全員で戦う」はお題目で、実際は少数のスター選手が勝敗を左右する。
名投手の完封試合では守備機会ゼロの野手さえいる。
好投手と捕手で事足りる試合は全員野球とは言い難い。
それとも、投手は「党首」の、捕手は「保守」の掛詞か?

アイスホッケーなら、選手交替はいつでも何回でもできる。
ベンチ入り22人が次々に入れ替わる正真正銘の「全員」だ。
「全員野球」ではなく「全員アイスホッケー」の方が相応しい。

いつ誰が言い出したか知らないが、「全員野球」は違和感がある。
一致団結を強調するなら「全員」だけで充分で、「野球」は余計だ。
言論の府は体育会系同好会のフィールドではない。

清音と濁音

間違えると恥をかく

秩父宮賜杯 全日本大学駅伝を観戦した。
熱田神宮から伊勢神宮まで、5時間に及ぶテレビ観戦とは我ながら辛抱強い。

アナウンサーは最終8区中継所を「まつさか中継所」と言う。
はじめて知ったが、松阪市は「まつさか市」で、「まつざか市」ではなかった。
松阪牛は「まつさか牛」で清音である。
松坂屋百貨店は「まつざかや」だからややこしい。

総務省の「市区町村コード」を検索すると地名の誤読は少なくない。

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神奈川県真鶴町は一般に「まなづる」だが、正式名は「まなつる」だ。
JRの駅名は「まなづる」とあるから、「まなつる町」の「まなづる駅」である。



滋賀県米原市は「まいばら」でなく「まいはら」が正しい。
北陸自動車道は「まいはら」インターだが、JRの駅名は「まいばら」だ。
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船村徹「矢切の渡し」は千葉県松戸市「やきり」由来の「やきりの渡し」だが、ちあきなおみも細川たかしも「やぎりの渡し」と濁音で唄う。
葛飾柴又側の看板は「矢切りの渡し」で読みが清音か濁音かは定かでない。
松戸市側の京成バス停はローマ字でYAKIRINOWATASHI BUS STOPとある。
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濁音と清音では大いに違う。
「刷毛(ハケ)に毛あり禿(ハゲ)に毛なし」は地名にも言える。

参照;過去ブログ
2016年9月8日「清濁併せ呑むな」

椛と楓

黄ばみ始めた

11月2日から7日は二十四節気霜降の末候、七十二候の「楓蔦黄」である。
椛や楓が紅くなるのは紅葉で、銀杏が黄色くなるのが黄葉だが纏めて紅葉という。
そろそろ楓や蔦が黄ばむ候で、当地の広葉樹もようやく黄ばんだ。

浴室の庭先にある山もみじは未だ青々としている。
程なく色づくだろう。
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昨年11月23日は鮮やかに色づいた。
ライトアップすると温泉旅館と見紛いそうだが、湯船の縁の萎びた柚子に生活臭が漂う。
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冬に備えて薪の用意も抜かりないが燃やすには幾分大きい。
あと一太刀入れねばならない。
面倒だが越冬に必要なのは一に体力、二に根性だ。
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参照;過去ブログ
2014年9月25日「冬支度」

選挙の前に言えよ!

絶対多数は何でもありだ

選挙で圧勝した途端に本性が出た。
高齢者医療費の自己負担増、介護保険自己負担増、診療報酬1兆円削減、児童手当の所得制限拡大・・・不埒な目論見が漏れ伝わる。
作為的にリークして布石を打つのは常套手段だ。

選挙前にそんな話はひと言もなかった。
勝てば官軍、何でもありだ。
蒼氓に衣の下の鎧は見えない。

「消費増税2%は子育てと教育無償化に充当」は選挙用のスローガンだった。
舌の根の乾かぬうちに手のひらを反すのは詐欺師の手法だ。
『絶対安定多数』なら思うがままだ。
政治家は根っからの嘘つきだ。

特別国会は所信表明演説もなく、代表質問も国会審議もないらしい。
臨時国会は逃げ回って冒頭解散した。
特別国会も総理と組閣が決まれば即刻解散して、選挙をやり直そうじゃないか。

参照;過去ブログ
2014年4月17日「政治家の嘘」
2013年9月14日「賦斂不時」
2011年10月20日「どさくさ紛れに」
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