May 09, 2018

『外資系なのに年功序列?』


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昨年、東京で開催されたアドテックというマーケティングカンファレンスでの出来事。

Keynoteに登壇されるP&Gの伝説的大先輩である和田浩子さん(現 Office WaDa代表)を聴講しにくるP&Gの諸先輩のために、僕は席を前方に確保していました。

いつもながら律儀に定刻前に現れた音部大輔さん(現 クー・マーケティング・カンパニー代表)が

「この席には他に誰が来るの?」

と尋ねられたので、

「えっと、西口さん(現 スマートニュース SVP/マーケティング担当執行役員)と、和佐さん(現 日本コカ・コーラ 副社長)と、足立さん(現 日本マクドナルド CMO)と…」

と答えると、

「えっ!」

と固まりました。

「じゃ俺、席に着けないわ」

「いやいや、そんなこと言わないで座ってくださいよ」

「いやいや、少なくとも先輩が来るまでは座れない」

結局、音部さんは諸先輩がいらっしゃるまでずっと立って待ってらっしゃいました。

ちなみに、西口さん、和佐さん、足立さんはP&Gでいえばご同期で、音部さんより入社年次が2年上、その音部さんは僕より入社年次が1年上になります。


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1990年代に僕が初めて就職をした日本の銀行は絵に書いたような「年功序列」でした。

同期入社は役職も給与もほぼ横並びで社内キャリアを積んでいくのが当然と受け止められ、「日本特有」と言われたその制度がギリギリ機能していた時代でした。

それゆえに、入行年次は決定的に重要でした。年次が1つでも上ならば「ずっと越えられない」先輩となるからです。

いまでも銀行時代のOB会などに寄せて戴くと最初の挨拶は「何年入行ですか?」と決まっています笑

ちなみに、自分は平成3年のバブル最盛期組。近いところですと楽天を起業された三木谷先輩が昭和63年入行。近いといっても銀行年次的には大先輩となります。

翻って、2社目に入ったP&G。

言うまでもなくバリバリの米国外資系です。

昇進は性別、年齢、国籍を問わない文字通りの実力主義。

実際自分も在籍した1992年〜1998年の間に女性の上司が3人、そのうちの1人は自分より年齢が1つ下のオーストラリア人でした

これは同じ頃の日本企業では確かに考えられないことだったかと思います。

が、しかし。。。

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冒頭のエピソードにもあるように、P&G、少なくとも日本のP&Gにおいて入社年次は「絶対」です。

僕自身を交えた実例でいえば、

1) 
和佐さん(既出)、福江晋二さん(現 日本コカ・コーラVP、年次は和佐さんの1つ下で高岳の2つ上)、僕の3人はP&G時代に同じカテゴリーで机を並べて働いた仲であり、今でも時々食事に行ったりしますが、お店の手配をしたり、当日注文をとったり、はたまた2次会の調整をするのは必ず僕です。

2) 
足立さん(既出)にカラオケの場でいきなりトシちゃんを歌って踊れと強要され、もちろん「嫌です」と断りますが、問答無用で曲を入れられると必死で踊ります。たとえ若い女子たちに「それ誰の曲ですか?」と問いかけられながらでも。

3) 
現 Facebook Japan 代表の長谷川さんはP&Gの年次では後輩にあたりますが、一緒に働いたことがなく、足立さんに紹介してもらうことになりました。当日、長谷川さんは当然のごとく一番に来て末席で待っており、初対面の僕が到着すると深々とお辞儀をして挨拶。その後は、まだいらっしゃってなかった足立さんを奥の席に通すために2人してテーブル席の手前側に並んで座って待っていました。

4) 
仮に、上記の足立さん、長谷川さんとの席に、偶然にも鈴木さん(現 日本郵便 担当部長)が同席することになれば、足立さんごと席を譲って上席にお通しします(鈴木さんは足立さんより更に年次が2年上)。

ちょっと大袈裟というか「盛ってる」ように聞こえるでしょうか?

しかし、これ、まぎれもない現実なんです。

では、「実力主義」であるはずのP&Gでなぜこんな現象が起こるのでしょう?

これはまさにその「実力主義」と裏表の関係にあります。

P&Gには ”Promotion from within” (昇進は会社内部より)という原則があり、他の企業から来た方がいきなりマネージャーや部長になるということはまずありません。

従って、新卒で入社した同期同士が研鑽に励んで昇進していくということが通常であり、仮に中途で入ってきた人がいても、原則に従えばその年の新卒と同じスタートからということになります(実際、銀行からの中途採用だった僕は、2年遅れの第二新卒扱いで入社しています)

あれ、それじゃ上に書いた日本の銀行みたいな感じ?

いえ、ここからが全く違います。

P&Gの同期同士は「実力主義」に則って強烈な競争にさらされます。

特にマーケティング部は、比較的早い年数でブランドアシスタント → アシスタントマネージャー → ブランドマネージャーというように昇進の階段を登ることが可能であり、逆にいえば、早い段階で「昇進に能わず」とジャッジされ会社を去ることになるという苛烈な境遇でした。

同期同士は、昇進そのものはもとより、誰がいち早く昇進するかまでを競わされ、異なるブランドで働いていようと日々お互いの存在を強烈に意識することになります。

そして下の年次から見ると、例えば3年上では誰と誰がトップランナーで、2年上では誰と誰で…ということが透けて見え(もっとはっきりいえば誰が会社からキックアウトされそうかまで)、そんな中、自身の同期とも競争を続けていくという。。。

誰と誰が同期、誰は自分の何年上の先輩(あるいは何年下の後輩)、という縦横の年次意識はこんな日々から醸成されるのです。

不思議なのは、この年次意識、部署やポジションはおろか、会社が変わろうとも意識から全く外れません。

もっというと、上記の長谷川さんと僕のように一緒に働いたことがなくても、脈々と受け継がれています。

一体なんなの?笑

でも、そんな年次意識も、僕たちP&G OBを結びつける強い糸だと考えると、なんだか愛おしくもある今日この頃です。

可愛いお姉ちゃんの前で無理くり踊って足をツルのだけは本当に勘弁してほしいけど苦笑

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April 19, 2018

マフィア?帝国?P&Gのリアルな日常編:第1回『研修かトレーニングか』


巷でこんな連載が話題になっているようです。

P&Gマフィア」 〜マーケティング業界を席巻するエリート集団はなぜ生まれたか 

「マフィア」って笑
絶対音部さんの外見に引っ張られてるでしょ笑(音部さん、すみません!)

個人的には「帝国」の方がぴったり来るんだよなぁ。

圧倒的な迫力のダースベイダーはもちろん和田浩子さん(和田さん、すみません!) 
で、僕らはみんなストームトルーパー。


実際、先日のアドテックの和田さんの基調講演を聴きに参集した和佐さん、西口さん、足立さん、音部さん、高岳は皆でストームトルーパーのかぶりものをしようかと真剣に企画して、和田さんに真剣に叱られました(和田さん、本当にすみません。。。)

こんな笑い話のような本当のエピソードはPGの鉄壁の「先輩・後輩」序列から来てたりします。だから「マフィア」よりは「帝国」っぽい。

そんな話もまた追って。 

ちなみに冒頭の連載は、P&Gでバリバリの一線級で働いていた方々が今の会社での活躍を語っているとても貴重なインタビュー…だと思うのですが、個人的にはそれぞれの方のキャラや意図が微妙にずれて伝わってしまってるように感じます。

例えば西口さんは「P&Gでの失敗」のエピソードを率直に語られています。本当はここを掘り下げるとPGの奥深さがもっと伝わるんじゃないかなと。

 

さておき。

PGPG OBがすごいんだって話にはNews Picksとか見てても皆さんやや食傷気味になってるようなので(笑)、ちょっと違ったアングルで僕から見たリアルなPGの日々を今回から何回か記してみようかと。

ちなみに僕の在籍は、1992年〜1998年ですからもう20年以上も前のわずか6年間であったことはお断りしておきます。一方で、日本のP&Gが最も成長していた時期と言っても過言ではなく、今「マフィア」として取り上げられている諸先輩も同じ時代を過ごしています。

今回コラムでも取り上げたように今は新入社員の季節。 
P&G
に新入社員で入ったらどんなトレーニングが待っているのか?

僕は新卒で日本の銀行、第二新卒でPGに入ったという後にも先にも無いであろう特殊というか奇異な経歴ですので、銀行での「研修」とP&Gでの「トレーニング」を比較しながら語ってみたいと思います。

 

僕の入った日本興業銀行では、新入社員は入社後半年間はひたすら研修でした。

と言っても、研修センターに缶詰になるとかではなく(定期的に座学で缶詰にもされましたが)、同期は皆全国の支店に散って「預金/債権」「外為」「営業」の各部署に1~2ヶ月ずつローテーションで配属され、指導担当と言われる先輩にびっちり基礎を仕込まれます。 

そして研修が終わると、ほぼ皆が全く違った支店や部署に本配属の辞令を受けるのです。

この最初の「研修」を通して、何も知らなかった「学生」から銀行の基礎を学んだ「新人」となり、晴れて現場の一員となっていくのです。

日本の会社は小異はあれど今でも「研修」→ 「現場配属でOJT」というパターンが多いのではないでしょうか。


一方でP&G


マーケティング本部の新人は基本的にはいきなりいずれかのブランドに配属されます。 
上記の銀行の「研修」に当たるものとして”New Hire College”なる一連の座学のコースも用意されているのですが、これもブランドでの業務の途中途中に集合して行われます。

じゃPGにはOJTしかないのか?

答はNOです。それどころか毎日が「トレーニング」となります。


P
Gのブランドマネージャーの業績評価は

1)ビジネスへの貢献 
2)人材育成

の2点で成されます。

そしてこの割合は50:50です。

そんなことは言っても、ビジネス優先だろうと思われるかもしれません。 
しかし、本当に全く50:50です(少なくとも僕の在籍時は)

即ち、ビジネスへの貢献が満点でも、人材育成に対する評価が低ければ「決して」出世しません。

その人材育成についても、「この人ならこの半年あるいは1年でここまで伸びる可能性がある。それを達成するためにはこの点とこの点を伸ばすべきである」といったように非常に具体的な点まで更なる上長と事前合意します。

つまり、本来あるべき部下の可能性を引き出せなければマネージャーの責任となるのです。

特に新人のトレーニングは重要視されます。 
沢山の応募者の中から何度も選考を重ねて選んだまさに「宝の原石」だからです。

新人は、原則ブランドマネージャーのすぐ隣りの席に座ります。 
もっともフィードバックを受ける回数が多いのでそれが合理的というわけです。

例えば、新人が真っ先に課されるレポートに「ストアチェック」というものがあります。 
読んで字のごとく、小売店を何軒か回って自分のブランドの価格や店頭での露出状況、競合の取り扱いなどをレポートするわけですが、これがまず初めて味わう試練。

何度書いてもマネージャーに直され、最終的には日付とタイトル以外は全て改訂されて自分のサインを入れるのが憚られるような気持ちになることも珍しくありません。

全部改訂するくらいならなぜ1回で全部直さないか? 
「トレーニング」だからです。

たった1枚の小売店レポートを、そこに込めるべきメッセージを、何度も何度も考えさせる。 
何度も何度も直すということは、それだけブランドマネージャーも時間を割くということです。

短期的にはさっぱり割に合わない。

でも中長期的には、この繰り返しこそが、その新人を、マネージャーを、そしてマーケティング本部を、ひいてはPGの組織全体を成長させると確信しているのです。

 

僕が入社して初めてついたブランドマネージャーは鷲津雅広さんというP&Gジャパンの伝説のヒーローといっても過言でない方でした(現 ジョンソン代表取締役)

マックスファクター買収後のインテグレーションという休日も寝る間もないような忙しさの中、鷲津さんが自分に使ってくれた「トレーニング」の時間、語ってくれた「トレーニング」の意味はこれからも一生忘れません。(鷲津さんのことはいつかちゃんと書きたいなぁ)

 

そしてこの「トレーニング」は入社してからP&Gを去るまでずっと続くのです!


ブランドマネージャーはマーケティングディレクターから、マーケティングディレクターはジェネラルマネージャーから、そしてジェネラルマネージャーはヴァイスプレジデントから、ずっと「トレーニング」の輪廻は続きます。

PGOBならば誰しも自分を「トレーニング」してくれた師匠のような人がいて、また自分が「トレーニング」した弟子のよう人がいます。この師弟制度、なんだか外資系っぽくないですよね笑

でもこの外資系っぽくなさこそが、P&Gの強さの一つだと思うのです。

「マフィア」に会ったらぜひ聞いてみてください。あなたの師匠は誰ですか?と。 
きっともっと大物マフィアの名前が挙がるはずですから。

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May 29, 2015

"ウルトラチョップ恵比寿オープン、そして中目黒は移転"


久しぶりのブログはウルトラチョップ・プロジェクトの進展についてです。

まずはおかげさまで念願の恵比寿にウルトラチョップをオープンする事ができました! 
http://www.ultrachop.jp/ebisu/index.html

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実は恵比寿はプロジェクト開始当初から4回目のチャレンジでした。 過去3回は、経験や実績、そして経営者としての自身の拙さから毎回コンペに負けるという状況でした。

そして今回もなんと8社競合(!)の中からなんとか選んで戴き、ついに出店とあいなりました。
場所は恵比寿西口から徒歩2分、大手フードチェーンやコンビニが立ち並ぶメイン通りという素晴らしい立地であり、おかげさまで既に多くのお客様で賑わっております。

今後オリジナルのメニューや企画など、どんどん投入していきたいと思います!!



さて、この恵比寿店のオープンを受けて、中目黒店を5月31日にてクローズ、移転することといたしました。
これまで中目黒店をご愛顧戴いたお客様には心より感謝するともに、ぜひ引き続き恵比寿店にお越し戴ければ幸甚です。

・・・というのは簡単ですが、お客様の中にはもちろん中目黒店がよいという方もいらっしゃると思いますし、何より私自身が後ろ髪引かれる想いを断ち難く、逡巡したことを吐露いたします。
なにせ、中目黒はウルトラチョップの第一号店であり、文字どおり飛び降りるがごとき覚悟で契約、オープンしたのがつい2年前です。

それでも経営者としては、より合理的でかつプロジェクトの成功の可能性が高まる手を打たなければならない。。。
恵比寿、中目黒を同じマーケティング地区と捉えたとき、恵比寿に施策を集中させ、一方で中目黒はクローズして資金を回収、別の地区へ移転することでより多くのお客様にリーチしようと、今回の決断をいたしました。

すでに移転候補先は幾つか絞られてきております。
即ち、近々にまたウルトラチョップの新店がオープンいたしますのでご期待ください!

そして中目黒店のラストの週末、ぜひ遊びにいらしてください!!
http://www.ultrachop.jp/nakameguro/index.html

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プロジェクトはまだまだ道半ば、周りも、そして自分もドキドキするくらい加速してまいります。
しかし、自分の時間がどんどんなくなっているというか追い回されているというか・・・まぁ、これもまた楽しということで(笑)

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