この投稿はネタバレになるところが多々あります。
昨夜「新聞記者」を観てきた。
誰もが言うようにこれは現実の日本で起こっていることを物凄くリアルに描いている作品だと思うし、現政権に対してソンタクしないで強烈な批判と疑問を提示する作品でもある。
でも単なるリベラル側の主張を声高に叫ぶだけの反権力映画ではなく、物凄くクオリティの高い人間ドラマでありエンターテイメント作品でもあると思う。
スカッとするようなエンディングが用意されてるわけではいないし、原作者の望月さんまんまのキャラクターを主人公にして、官房長官会見の醜悪さを再現するような見せ場があるわけでもない😅。
そう、望月衣塑子さんの「新聞記者」と同じタイトルの映画だけど、あくまであの本にインスパイアされた、フィクションなのだこの映画は。
二時間ちょうどの映画なんだけど、観たあとにかなりの苦味を残す、重いメッセージを持った作品だった。そりゃそうだ、今の日本の現状がそうなんだし、それをまんま遠慮なく描けばそうならざるを得ない。
だけど凄くエンターテイメント性が高い作品でもある。
観ている間ずっと心が動かされっぱなしで、一瞬だってだれることはない。涙を流したりもした。
説明的なセリフでテーマを述べるような、映画的に不細工になりがちなアジ演出はないし、メディアや政権のありかた、現在の日本をとりまく状況など、物語上不可欠なそういう前提部分は実際の望月さんや前川さんらが出演したネット番組で喋ってるところを挿入することによって上手く回避して、物語自体の緊張感を弱めることがないよう演出されている。まあ、望月さんや前川さんが出演すること自体がある種の期待に応えるサービスになっていることもある😄
いまだベールに包まれたまんまの内閣情報調査室と、そこのなかで「日本を安定した国家にする」という名目であらゆる手段を使って今の政権を維持するための工作をさせられる出向官僚が一方の主役なんだけど、その謎につつまれた内閣情報調査室がこうやって映画に描かれたことは画期的な出来事であると、元官僚で映画評論もする寺脇さんも語ったいた。実際の内閣情報調査室があんな感じなのかは分からないけど(笑)沢山の官僚がパソコンに向かってカタカタやりながらTwitterにネトウヨ書き込みをしている様は本当に不気味だった。
主役の新聞記者・吉岡を演じるシム・ウンギョンさん。
インスパイア元の望月さんとはまるで別なキャラクター造形で(笑)、帰国子女だけど押し出しがそんなに強くなく、しかし真の強さは伝わってくるような人物像で、本当に素晴らしかった。
ちょっと昔の荻野目洋子を彷彿とさせるような凛々しい美人で、韓国では大スターだけど日本の映画で主演を務めるのは初めてだそうな。
あと驚いたのが官僚役の松坂桃李。名前は知ってるし存在も知ってはいたけどちゃんと演技してるのを観たのは初めてだ。たぶん。
この人がラストあたりで見せるあの顔、表情がある意味この作品の一番重要なところだと思う。ワンカットのうちにみるみると顔つきが変わって人格崩壊みたいになるんだけど、とにかくあのシーンは凄かった。
あと田中哲二!インタビューで「今まで色々悪役はやってきたけどこれが集大成です」と語ってたけど、確かに凄かった…恐い😅
加計学園設立問題に相当する、映画の中で描かれる新大学設立案件。
表向きには医学部創設だが政府の目的は生物兵器の開発にあった、とする物語の重要な部分があって、大抵の人は「まさか(笑)、やっぱフィクションだよこれは」となるかもしれないけど、実際の加計学園もバイオハザードが起きるかもしれないような脆弱で危険な設備と立地上件しかないのに化学兵器を作るとしか思えないような設備を擁している、という報道が出たことがあって、それはあまりにもヤバい事実なのか政府が必死で揉み消したかなんかでその後あまり報道されなくなった。
映画ではそこのところをガッツリと、物語の重要な鍵として取り上げててちょっと驚いた。
この件だけでなく、加計学園問題に関しての前川さんの発言に対する報復措置として内閣情報調査室や読売新聞がやったことや、山口敬之による伊藤詩織さんレイプ事件なども社会的事件として、一応フィクションという体裁はとっているけど描かれていて、ここ数年に起こった異常事態をまた改めて思い出した。
facebookなんかで政治のことを投稿しても大抵スルーされるし、多くの人はそんな政治のことよりも日々の生活で大変だし、政治がらみの記事を読んでる暇があったらやるべきことは色々あるでしょ?と言われたこともある。
確かにその通りだと思うけど、でも生活と政治は直結してるし、無関心ではいられないことばかりが起きているのは紛れもない事実だ。
自分に直接は関係無いような事案に対してあーだこーだ言ったってしょうがないでしょ、という物言いはとても危険だと思う。
日々の生活が脅かされるような事態になりつつあるし、勝手に政治家が決めた身勝手な法律によっていつ戦争になって命が奪われるか分かったもんじゃないのだから。
この映画はその危険に思いっきり警鐘を鳴らす、近年の日本では画期的な映画だ。
アメリカではそういう作品はバンバン作られてるし、つい最近観た映画も「バイス」や「記者たち」といった政治や政治とジャーナリズムに関するものだったりして、それらをみるたびに日本ではなにかと圧力がかかってこの手の映画なんか作れねーんだろーなー、「新聞記者」だってどこまで現実を描いてるか分からないしな〜とか書いてたけど撤回します。これは凄い。
映画とか音楽を紹介して「お薦めです」とか「これは観るべき!聴くべき!」みたいな物言いでしめるのはあんまり好きじゃない。
押し付けたところで人は積極的な関心を示すとは限らないし、そういう書き方をしてるのを読んだらなんかイヤな感じがするし、そういう言い方をされたりすると、とたんにその人のことがキライになったりもする。
けれど、この映画は是非とも今のタイミングで観て欲しいと思う。
企画・製作の河村さんという人のインタビューを読んだんだけど、参議院選挙を目前にしたこのタイミングを見計らって公開したとハッキリ言っている。
現実の政治、というか現実の投票行動になんらかの影響を与えたいという意図を持ってこの映画を作ったわけだ。
確かにこれを観たら「本当にこのままでいいのか?」と突きつけられる。
忙しい中、2時間も暗闇の中にいて苦く重い現実を直視するのは中々のハードルだけど、是非とも観て観て欲しいと強く思う。
福山だとコロナシネマでやってるよ。
お薦めです😅❗
昨夜「新聞記者」を観てきた。
誰もが言うようにこれは現実の日本で起こっていることを物凄くリアルに描いている作品だと思うし、現政権に対してソンタクしないで強烈な批判と疑問を提示する作品でもある。
でも単なるリベラル側の主張を声高に叫ぶだけの反権力映画ではなく、物凄くクオリティの高い人間ドラマでありエンターテイメント作品でもあると思う。
スカッとするようなエンディングが用意されてるわけではいないし、原作者の望月さんまんまのキャラクターを主人公にして、官房長官会見の醜悪さを再現するような見せ場があるわけでもない😅。
そう、望月衣塑子さんの「新聞記者」と同じタイトルの映画だけど、あくまであの本にインスパイアされた、フィクションなのだこの映画は。
二時間ちょうどの映画なんだけど、観たあとにかなりの苦味を残す、重いメッセージを持った作品だった。そりゃそうだ、今の日本の現状がそうなんだし、それをまんま遠慮なく描けばそうならざるを得ない。
だけど凄くエンターテイメント性が高い作品でもある。
観ている間ずっと心が動かされっぱなしで、一瞬だってだれることはない。涙を流したりもした。
説明的なセリフでテーマを述べるような、映画的に不細工になりがちなアジ演出はないし、メディアや政権のありかた、現在の日本をとりまく状況など、物語上不可欠なそういう前提部分は実際の望月さんや前川さんらが出演したネット番組で喋ってるところを挿入することによって上手く回避して、物語自体の緊張感を弱めることがないよう演出されている。まあ、望月さんや前川さんが出演すること自体がある種の期待に応えるサービスになっていることもある😄
いまだベールに包まれたまんまの内閣情報調査室と、そこのなかで「日本を安定した国家にする」という名目であらゆる手段を使って今の政権を維持するための工作をさせられる出向官僚が一方の主役なんだけど、その謎につつまれた内閣情報調査室がこうやって映画に描かれたことは画期的な出来事であると、元官僚で映画評論もする寺脇さんも語ったいた。実際の内閣情報調査室があんな感じなのかは分からないけど(笑)沢山の官僚がパソコンに向かってカタカタやりながらTwitterにネトウヨ書き込みをしている様は本当に不気味だった。
主役の新聞記者・吉岡を演じるシム・ウンギョンさん。
インスパイア元の望月さんとはまるで別なキャラクター造形で(笑)、帰国子女だけど押し出しがそんなに強くなく、しかし真の強さは伝わってくるような人物像で、本当に素晴らしかった。
ちょっと昔の荻野目洋子を彷彿とさせるような凛々しい美人で、韓国では大スターだけど日本の映画で主演を務めるのは初めてだそうな。
あと驚いたのが官僚役の松坂桃李。名前は知ってるし存在も知ってはいたけどちゃんと演技してるのを観たのは初めてだ。たぶん。
この人がラストあたりで見せるあの顔、表情がある意味この作品の一番重要なところだと思う。ワンカットのうちにみるみると顔つきが変わって人格崩壊みたいになるんだけど、とにかくあのシーンは凄かった。
あと田中哲二!インタビューで「今まで色々悪役はやってきたけどこれが集大成です」と語ってたけど、確かに凄かった…恐い😅
加計学園設立問題に相当する、映画の中で描かれる新大学設立案件。
表向きには医学部創設だが政府の目的は生物兵器の開発にあった、とする物語の重要な部分があって、大抵の人は「まさか(笑)、やっぱフィクションだよこれは」となるかもしれないけど、実際の加計学園もバイオハザードが起きるかもしれないような脆弱で危険な設備と立地上件しかないのに化学兵器を作るとしか思えないような設備を擁している、という報道が出たことがあって、それはあまりにもヤバい事実なのか政府が必死で揉み消したかなんかでその後あまり報道されなくなった。
映画ではそこのところをガッツリと、物語の重要な鍵として取り上げててちょっと驚いた。
この件だけでなく、加計学園問題に関しての前川さんの発言に対する報復措置として内閣情報調査室や読売新聞がやったことや、山口敬之による伊藤詩織さんレイプ事件なども社会的事件として、一応フィクションという体裁はとっているけど描かれていて、ここ数年に起こった異常事態をまた改めて思い出した。
facebookなんかで政治のことを投稿しても大抵スルーされるし、多くの人はそんな政治のことよりも日々の生活で大変だし、政治がらみの記事を読んでる暇があったらやるべきことは色々あるでしょ?と言われたこともある。
確かにその通りだと思うけど、でも生活と政治は直結してるし、無関心ではいられないことばかりが起きているのは紛れもない事実だ。
自分に直接は関係無いような事案に対してあーだこーだ言ったってしょうがないでしょ、という物言いはとても危険だと思う。
日々の生活が脅かされるような事態になりつつあるし、勝手に政治家が決めた身勝手な法律によっていつ戦争になって命が奪われるか分かったもんじゃないのだから。
この映画はその危険に思いっきり警鐘を鳴らす、近年の日本では画期的な映画だ。
アメリカではそういう作品はバンバン作られてるし、つい最近観た映画も「バイス」や「記者たち」といった政治や政治とジャーナリズムに関するものだったりして、それらをみるたびに日本ではなにかと圧力がかかってこの手の映画なんか作れねーんだろーなー、「新聞記者」だってどこまで現実を描いてるか分からないしな〜とか書いてたけど撤回します。これは凄い。
映画とか音楽を紹介して「お薦めです」とか「これは観るべき!聴くべき!」みたいな物言いでしめるのはあんまり好きじゃない。
押し付けたところで人は積極的な関心を示すとは限らないし、そういう書き方をしてるのを読んだらなんかイヤな感じがするし、そういう言い方をされたりすると、とたんにその人のことがキライになったりもする。
けれど、この映画は是非とも今のタイミングで観て欲しいと思う。
企画・製作の河村さんという人のインタビューを読んだんだけど、参議院選挙を目前にしたこのタイミングを見計らって公開したとハッキリ言っている。
現実の政治、というか現実の投票行動になんらかの影響を与えたいという意図を持ってこの映画を作ったわけだ。
確かにこれを観たら「本当にこのままでいいのか?」と突きつけられる。
忙しい中、2時間も暗闇の中にいて苦く重い現実を直視するのは中々のハードルだけど、是非とも観て観て欲しいと強く思う。
福山だとコロナシネマでやってるよ。
お薦めです😅❗