スマホゲームの一部アイテム「前払式証票」認定の影響を考える

以前より懸案となっていた事案ですが、当局による裁定が出てきた模様です。以下、毎日新聞より転載。


<LINEゲーム>一部アイテム通貨認定 関東財務局
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160518-00000004-mai-soci

財務局が通貨に当たると認定したのは、パズルゲーム「LINE POP(ラインポップ)」で使われるアイテム「宝箱の鍵」と、別のゲーム「LINE PLAY(ラインプレイ)」内のミニゲームで使われるアイテム「クローバー」。

このうち宝箱の鍵は1本当たり約110円相当で、宝箱を開ける用途以外に、使用数に応じてゲームを進めたり、使えるキャラクターを増やしたりできる仕様だった。資金決済法では、利用者が代金を前払いし商品やサービスの決済に使うものを「前払式支払手段」と規定。プリペイドカードなどのほか、通貨として使われるアイテムも該当する。発行会社は倒産などに備えて保証金を供託し利用者保護を図る義務がある。 
 

当該記事の表題では「通貨認定」とされていますが、正確には「前払式証票」としての認定ですね。前払式証票とは、①記録性(金額等の財産的価値が記録される)、②対価性(金額・数量に応ずる対価を得て発行される)、③代価弁済性(代価の弁済等に使用される)の3要素を併せ持つ通貨代替物であり、図書券やデパートの商品券などがこれにあたります。

今回懸案となったのは、LINE社が提供するゲーム「LINE POP」内で使われる「宝箱の鍵」と呼ばれるもの。LINE社側の主張としては、①「宝箱の鍵」は直接現金で購買されるものではなく、直接現金で購買されるゲーム内通貨「ルビー」を介して購買が行われる、②またルビーを介して購買する以外にもゲーム内で取得する方法が設定されており、それが直接現金価値にヒモ付いてない、という二点からあくまで「前払式証票ではなくゲーム内アイテム」であるとの主張であったものと想像します。しかし、当局側の判断としては、当該「宝箱の鍵」に先述の①記録性、②対価性、③代価弁済性の三点が認められる事から、「アイテムではなく前払式証票である」との判断したのでしょう。

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ちなみに、LINE社はゲーム内通貨であるルビーに関しては、従前より前払式証票と自社判断を行い、法に基づいた供託金を積んでおります。なので、本件に関しては「悪意があって供託金逃れをした」というよりは、本当に当局と事業者の間で法律上の解釈が異なった故の論争であったのであろうと個人的には解釈をしているところです。

一方、今回の裁定によって発生する影響でありますが、私としては当然ながら賭博系サービスへの影響を考えてしまうワケです。

世の中の多くのゲームにおいてはゲーム内にカジノ等の賭場が存在しており、そこで仮想の賭けを行うことができます。その際に利用されるのが、ゲーム内通貨で購買されるカジノコイン(ゲームによって呼び名は異なる)であるワケですが、今回の裁定に基づくとこれを利用して遊ぶカジノが「前払式証票」を賭ける行為と判断されてしまうようなシチュエーションが出てくる可能性があります。

例えば以下のような構図にあった場合:

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即ち、ゲーム内の「カジノコイン」を賭ける行為というのが、その他の「前払式証票」、例えば図書券等を賭ける行為と同様の行為と判断されてしまう可能性があります。我が国で今まで図書券等を賭ける行為が問題化した事例は、私が知る限り新潟少女監禁事件の加害者逮捕(2000年)に関連して発覚した警察の不祥事で、新潟県警幹部らが関東管区警察局長と麻雀賭博を行ったことが判明し、問題化した事例くらいでしょうか。


Wikipedia: 新潟少女監禁事件―事件発覚時の県警本部長らの対応
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%BD%9F%E5%B0%91%E5%A5%B3%E7%9B%A3%E7%A6%81%E4%BA%8B%E4%BB%B6#.E4.BA.8B.E4.BB.B6.E7.99.BA.E8.A6.9A.E6.99.82.E3.81.AE.E7.9C.8C.E8.AD.A6.E6.9C.AC.E9.83.A8.E9.95.B7.E3.82.89.E3.81.AE.E5.AF.BE.E5.BF.9C

少女の発見当日、新潟県警には当時各地の警察を視察に回っていた警察庁特別監察チームのトップである関東管区警察局長(以下、局長)が訪れており、視察後、局長と県警本部長(以下、本部長)を含む県警幹部たちは新潟県三川村のホテルに1泊する予定であった。

ホテルに向かう車中で刑事部長より本部長に対して「三条市で9年2カ月前に行方不明になった少女が発見された」という一報が入り、以後はホテルの宴席上にFAXで続々と報告が寄せられた。この様子を見た局長は本部長に「(県警本部に)帰ったらどうだ」と促したが、本部長は「大丈夫です」と取り合わなかった。食後は局長、本部長、生活安全部長、総務課長、生活安全企画課長が参加し、図書券を景品とした麻雀が行われた。


当該、新潟県警で判明した図書券を賭けた麻雀賭博は諸々の経緯があり最終的に不起訴となっていますが、厳密に言えば「前払払式証票」を賭ける行為も、現金を賭ける行為と同様に刑法賭博罪が適用されるものと思われますので、今後は各種ゲーム内での「賭け」機能にも注意が必要となります。



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スポーツ選手の賭博問題の陰で「スポーツ賭博」利権が拡大

さて、バドミントン日本代表選手の違法カジノ店通いに関して、以下のような方針が決定した模様です。以下、NHKより。


賭博処分の桃田選手らに助成金の返還命じる方針固める
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160513/k10010519251000.html

JSCは、運営するスポーツ振興くじを財源とする助成金を、桃田選手には昨年度までの3年間で合わせて180万円、田児選手には平成26年度までの5年間で720万円を交付していました。しかし、この助成金は、「選手が競技活動に専念して競技水準の向上を図る」などの目的で交付されていて、JSCは、2人が助成金を受けながら賭博をしていたため、助成金の返還請求を検討してきました。
 

勿論、違法カジノ店の利用は犯罪であり、その点そのものはカジノ専門家としてけっして容認はしませんが、一方で桃田選手らに対する様々な事後処分に関しては、私は同情的です。昨年のプロ野球選手による野球賭博事件と違って、バドミントン選手が違法カジノ賭博に興ずることは刑法上の犯罪行為ではあれど、職業倫理上の問題があるワケではない。

皆さんには、よく思い出して頂きたい。昨年のプロ野球選手の賭博問題において、野球賭博に直接かかわった4名の選手はそれぞれ処分を受けていますが、一方で付随する調査の中で違法な麻雀賭博、ゴルフ賭博、闇スロ店の利用が判明した選手たちには一切の処分が行われてない。それどころか、高校野球の試合結果に賭けを行っていた人間ですら、処分されていないのですよ。それらと比べると今回のバドミントン選手に対する一連の処分は、傍から見ていてどうも不均衡感が否めないのです。

閑話休題

このようにバドミントン選手達へにtotoくじ助成の返還を求める方針を固めたJSCでありますが、実はその影で彼らがもう一方で抱えるスポーツ賭博利権の拡大が決定しました。以下、日経新聞からの転載。


新国立整備の財源法成立 サッカーくじ売り上げ、最大10%充当 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H0E_S6A500C1CR0000/

2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の整備財源を確保するための関連改正法が2日、参院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立した。スポーツ振興くじ(サッカーくじ)の売り上げを充当する割合の上限を、5%から10%に引き上げるのが柱。5月中旬に施行する予定だ。

改正法は16年度から8年間、くじの売り上げの最大10%を新国立競技場の整備費に充てると規定。東京都が国立施設に整備費を支出できる根拠も盛り込んだ。
 

最初にここで謝罪をしておきますと、私自身も実はここ一か月ほどの間、バドミントン日本代表選手の賭博問題を受けてバタバタと様々なメディアに借り出されていた状況でありまして、本法案の提出が行われた事は確認していたものの、その審議が進行しているのを認知したのは法案成立直前のこと。それ故、皆様へのご紹介が遅れてしまいました事を、お詫び申し上げます。

しかし、それにつけても性質が悪いのは文部科学省とJSCであります。今回、衆参の同意を得て成立した独立行政法人日本スポーツ振興センター法(通称:JSC法)の改正でありますが、本法律は一連の国立競技場建て替えを巡るゴダゴダの「原因」ともなった、文教族の賭博利権の中核を構成する法律であります。

我が国唯一の合法的なスポーツ賭博であるtotoくじでありますが、その収益金の用途は法律によって明確に決められています。以下、totoくじの論拠法であるスポーツ振興投票法からの転載。


(収益の使途)
第二十一条  センターは、スポーツ振興投票に係る収益をもって、文部科学省令で定めるところにより、地方公共団体又はスポーツ団体(スポーツの振興のための事業を行うことを主たる目的とする団体をいう。以下この条及び第三十条第三項において同じ。)が行う次の各号に掲げる事業に要する資金の支給に充てることができる。
 
一  地域におけるスポーツの振興を目的とする事業を行うための拠点として設置する施設(設備を含む。以下この項において同じ。)の整備
二  スポーツに関する競技水準の向上その他のスポーツの振興を目的とする国際的又は全国的な規模の事業を行うための拠点として設置する施設の整備
三  前二号の施設におけるスポーツ教室、競技会等のスポーツ行事その他のこれらの施設において行うスポーツの振興を目的とする事業(その一環として行われる活動が独立行政法人日本スポーツ振興センター法 (平成十四年法律第百六十二号。以下「センター法」という。)第十五条第一項第二号 及び第四号 に該当する事業を除く。次号において同じ。)
 

JSCはtotoくじの発売主体でありながら、同時にその収益金の差配までもを決定することも出来る絶大なる権限を保有した組織でありますから、当然ながらその事業を第三者的に監視する組織があります。それが、スポーツ振興投票の実施等に関する法律施行規則第十一条の二が定める審査委員会です。これら審査委員会は、JSCがtotoくじ収益を支給する際にはそれらを「あらかじめ」チェックすることで、その資金の適切かつ公正な利用を担保しているワケです。


(審査委員会)
第十一条の二  法第二十一条第一項 及び第二項 に規定する資金の支給が適切かつ公正に行われるようにするため、センターに、当該支給の審査を行うための委員会(次項において「審査委員会」という。)を置く。
2  センターは、法第二十一条第一項 及び第二項 の規定により資金の支給を行おうとするときは、あらかじめ、当該支給について審査委員会の議を経なければならない。
 

このように、totoくじ収益を巡ってはその利用にあたってモラルハザードが発生しないようにするための「仕組み」が存在するワケですが、それが機能しなくなる事態が起こります。それが、2013年の独立行政法人スポーツ振興センター法の改正でありました。

本改正は文部科学大臣が指定する国際的なスポーツ大会の開催を特定業務として定め、totoくじの売上の最大5%を「天引き」する形でその業務予算にあてることを認めるものでした。この天引きされる5%は、totoくじ収益として収益認知が行われる「前」にその売上の中から拠出されるものであり、上記、スポーツ振興投票の実施等に関する法律施行規則第十一条の二の定める審査委員会は、その内容に対して審査を行う権限がありません。

即ち、文科大臣が国際的なスポーツ大会として指定さえすれば、totoくじ売上のうちの5%、金額にして年間55億円が毎年フリーハンドで流れてくるわけで、そこに最初に群がったのがラグビー議連を中心に活動していた「森喜朗と愉快な仲間達」、…もとい文教族議員の面々であります。

というよりは、実はこのtotoくじ売上から5%を天引きする特定事業勘定は、もともと森喜朗氏が会長(当時)を務める日本ラグビー協会が誘致した2019年のラグビーW杯の為に作られたもの。2009年に日本、南アフリカ、イタリアの3加国で争われたラグビーW杯の誘致レースは、ラグビー先進国である南アフリカ、イタリアを振り切って日本が勝利したわけですが、その時に唯一ワールドラグビー側が懸念したのが会場の問題でありました。

南アやイタリアと比べてラグビーがそれほど人気なわけではない日本においては、ラグビーW杯を開催するのに適した規模を持つラグビー施設がほとんどありません。特に大会の目玉となる決勝戦は何としても首都、東京で開催すべきだとの主張が為された結果、当時、耐震補強か建替えかで論議が紛糾していた旧・国立競技場が一気に「規模を拡大して建て替え」の方向に向かって動き出すこととなります。実は、2013年4月に成立した独立行政法人日本スポーツ振興センター法は、ラグビーW杯の決勝戦会場として目されていた国立競技場の建て替え予算を捻出する為に整備されたものであったわけです。(その後、2013年9月に東京オリンピックの誘致が決定した)

また先述の通り、この法改正によって認められた特定業務勘定は、本来、審査委員会による事前チェックが法令によって定められているtoto売上の利用を完全にフリーハンドにしてしまうものでもあります。そこで発生したのが「国際的スポーツ競技大会の誘致」を名目にしたダボハゼ的なtoto収益金の流用であり、文教利権者達が大集合してありとあらゆる機能を詰め込んだ果てに、当初予算を大幅に上回ることになって破綻した旧・国立競技場の建て替え計画でありました。その辺りに関しては、以前、関連する記事を書いています。


【参照】毎年55億円の流用で「焼け太る」国立競技場計画
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8908869.html


そして今回決定した法改正は2013年の法改正で認められた5%のtoto収益金流用枠を最大10%にまで引き上げるもの。繰り返しになりますが、この特定業務勘定は文部科学大臣の指定と「国際的スポーツ大会の誘致」という名目さえ立てば凡そ自由に利用が可能なものでありますから、時々の文部科学大臣に対して影響力を行使できる立場にいる方々にとっては、非常に使い勝手のよい「打ち出の小槌」となります。

すなわち第二、第三の国立競技場問題は必ず起こる。しかも、次にやる人達はより周到に水面下でコッソリ準備を行い、それを実行に移すことでしょう。私は立場上、日本の合法ギャンブル業界を応援する立場でありますが、今後、二度とtotoくじは応援しないことをここに誓いたいと思います。


安倍総理、ワイドナショーにおけるカジノ発言

なんだかやるべきことが次から次へと振ってきておりゲンナリせざるを得ないのですが、一つ一つ処理をして行くしかないですね。。ということで以下、5月1日放送のワイドナショーにおける安倍総理のカジノ関連発言のご紹介。

(カジノに関連する話題は9分12秒あたりから)


テーマ自体は例のバドミントン日本代表選手による裏カジノ通いに関するものですが、それに関連する形で日本のカジノ合法化に言及が行われます。以下、安倍総理による発言部分の起こし。


安倍総理:
基本的には、例えばシンガポールとかマカオもそうなんですが、IRといった総合レジャーセンターとして作って大きな成功を収めているんですね。観光地として沢山の人達に来て頂くためには、そうものがあった方が、一つの目玉にはなる。
ただ、依存症の方々が居ますから、そういう方たちに対してどう対応をして行くか。あるいは犯罪との関係、これもしっかりやってゆく必要があるだろうということで、まだ議論は続いているんです。

安倍総理:
(バドミントン日本代表の)彼らは素晴らしい選手だったんですが、やはりこれはまさに非合法ですし、反社会組織の資金源にもなるという事ですから、オリンピックは今回は辞めて頂くしかないと思いますが、ただバドミントン界には男女ともにまだ有望な選手が居ますから、これを乗り越えて頑張ってもらいたいと思います。
 

ということで我が国のカジノ合法論議に関しては、基本的にこれまで行われてきた政府答弁を超える言及は行われませんでした。まぁ、数か月後に参議院選を控えた現時点で、これ以上に踏み込んだ発言をするわけないですし、その必要性もありませんわな。

カジノに関連する次の政府系動向は、おそらくこの6月に発表されるであろう新成長戦略の2016年度版におけるIRに関する記述が昨年度からどのように発展するのか、しないのか。そしてその後、発表される自民党の参院選公約における同様の記述が、2014年衆院選のものからどのように発展するのか、しないのか、あたりになるものと思われます。

まぁ、おそらくそちらも現状維持だと思いますが。。

アフターオリンピックの観光振興を真面目に考える

「日本の統合型リゾートの開業はオリンピックには間に合わない」

私自身は、このことを何年も前から指摘しており、「アフターオリンピックに照準を合わせて論議を巻き直すべきだ」という主張を長らく行ってきました(参照)。

一方、この不都合な真実は一部の「どうしても五輪までに開業して貰わなければ困る」人達の手によって、つい最近までヒタ隠しにされてきたのが実態ですが、それも先日の読売新聞、東スポなどによる報道で世間に露呈してしまうこととなったワケで、これまで「五輪まで開業」とされてきた我が国のIR導入の論議を「アフターオリンピックの経済&観光振興」という軸で改めて急速に切り直さなければなりません。
 

【参照】凍結された「カジノ法案」の作戦ミス もう東京五輪に間に合わない

ということで…というワケでもないのですが、来月より弊社主催で「アフターオリンピック戦略会議」という名称で東京五輪後の経済振興と観光振興を軸に、改めて我が国の統合型リゾート導入を論議する会議体を立ち上げることとなりました。

実は、弊社では昨年の11月から5回に亘って「カジノ経営レクチャー」と題するセミナーシリーズ(参照)を積み重ねてきました。これは、完全に停滞期に入ってしまった我が国のカジノ導入論を維持するために企画した単発のセミナーシリーズだったワケですが、カジノ事業にご興味を持つ32社のご担当の方々にご参加を頂き、非常にリピート率も高く(90%以上)好評価を頂きました。

また、一部参加者の中からは、カジノ合法化に向けた新たな気運を創出するためにも、是非継続してイベントを開催して欲しいとの声もあり、そのご要望にもお答えする後続の企画としてこのような会議体の発足が決定した次第です。本会では、日本型IRの創生を明確に2020年の東京五輪後に定め、その為に必要となる議論の醸成と情報の共有を目的とするものとなります。

先の「カジノ経営レクチャー」シリーズにご参加を頂いた企業の皆様、および弊社のクライアント様には既に個別のご案内を送付しておりますが、改めて本ブログ上においても情報の共有を差し上げたいと思います。以下の要綱をご覧になった上で、もし参加にご興味のある企業の方は下記担当までお問合せ頂けましたら幸いです。
 
以下、告知

「アフターオリンピック戦略会議」開催のお知らせ
 
時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、昨年 11 月より毎月 1 回開催しておりました「カジノ経営レクチャー」は、継続的な活動として、2016 年 5 月より「アフターオリンピック戦略会議」として新たに再開いたします。「アフターオリンピック戦略会議」は、2020 年東京オリンピック後の IR ビジネスを本気で検討する事業者の方を対象に、毎月 1 回の頻度で開催する予定です。2016 年 5 月~8 月までの期間は準備期間と位置づけており、下記の日程で会議を行う予定です。

1.開催日:
 5 月12 日(木)15 時~16 時 30 分
 6 月9 日(木)15 時~16 時 30 分
 7 月6 日(水)15 時~16 時 30 分
 8 月3 日(水)15 時~16 時 30 分

2.会費:
1 名様 1 回 1,000 円(会場費および資料代のみ)
*当日、会場でお支払いください

3.受付 14 時 30 分~

4.会場(5月開催)
TKP 東京駅日本橋カンファレンスセンター
東京都中央区八重洲 1-2-16 カンファレンスルーム 207
東京メトロ東西線 日本橋(東京都)駅 A1 徒歩 1 分
(6 月~8 月は未定)

■ 問合せ
㈱国際カジノ研究所 担当:東谷(ヒガシタニ)
電話:03-4577-8691
メール:higashitani@internationalcasino.jp

*会議内容は都合により変更になる場合もございますので、予めご了承願います。
*定員になり次第、申込みを締め切らせて頂きますので早めにお申込み下さい。
*会議参加者数により会場が変更にある場合もございますので、予めご了承願います。
*参加状況により1企業様あたりの参加人数を制限する場合もございますので、予めご了承願います。
*本会議は弊社クライアント様、およびその候補企業様を対象としたものです。同業者および上記要件に当てはまらないと判断される方の参加はお断りすることが御座いますので、予めご了承願います。
 

「稼がない」観光に逆戻り:客数に応じた補助金制度案

一見して、「ナンジャソリャ」の制度案が報じられました。以下、日経新聞からの転載。


観光客数に応じ補助金増 政府、文化財施設の競争促す 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H0T_T20C16A4PE8000/

政府は文化財施設の運営や文化財を生かした地域活性化事業について、観光客数の増加分に応じて補助金を増やす。運営主体の自治体などに、案内板の多言語化やウェブサイトでの情報発信など訪日外国人客らの誘致に向けた競争を促す。2020年に訪日客を4000万人に増やす目標の達成に向け、新たな成長戦略に盛り込む見通しだ。

政府は城や寺といった有形文化財がある施設の運営費や、無形文化財である地域の伝統行事などの活動費をほぼ一律で5割程度補助している。この補助率を外国人を含む観光客数の増加分に応じて上乗せし、集客増に向けた新たな試みを促す。 […]
 

安倍政権は、昨年6月に発表した改訂版経済成長戦略の中で「観光の『稼ぐ力』を育てる」という政策目標を明確に示し、観光客の頭数(あたまかず)のみでカウントしていた観光振興政策の効果を「消費誘発量」で評価するという新たな指針を示しました。しかし、上記の施策案はその新たな方針を改めて過去の「頭数(あたまかず)」でカウントする方式に引き戻すものであり、現在の安倍政権が示す観光振興方針に逆行する施策であると言えます。

この辺に関しては、過去に膨大な量のエントリを書いています。以下はその一部。


祇園はテーマパークじゃない:「儲ける観光、儲かる観光」の必要性
観光資源を「マネタイズする」という発想
儲からない観光振興なんて辞めちまえ
成長戦略2015とカジノ合法化
「DMO: 観光地域作り推進法人」とは何か?


この客数ベースの補助金政策に関して、「街づくり業界の狂犬」の異名でご活躍の友人、木下斉氏が非常に本質を突いた発言をしています。

まさに木下氏の仰る通りで、この客数に連動した補助金システムだと観光客の送客側に居るツアー会社などは、各文化財施設と共謀して政府補助を「山分け」する目的で、自ツアーの中に大量に文化施設の訪問を盛り込んで観光客が望んでもない施設への送客を始めます。

これは端的に言うと、我々が日本から格安ツアーなどで海外旅行に行くと、滞在期間中にワケの判らん民芸品店なんかに無理やり立ち寄らされて時間を浪費させられるのと同じシステム。その分犠牲になるのは市中でのショッピングや、様々な遊興などを行う滞在時間であり、結果として観光客が消費機会を喪失し、滞在中の観光消費額が逆に低下しかねない施策であるといえます。

上記記事の文面中には「文化財」というワードが繰り返し使用されており、何となく観光庁ではなく文化庁側が発信した施策であるような印象も受けていますが、いずれにせよせっかく「稼ぐ観光」路線が政府に明確に出てきた事で、良い流れになってきたなと思っていたところでの、本施策の発表はガッカリ感が否めません。


著者プロフィール


木曽 崇(キソタカシ)

国際カジノ研究所 所長
エンタテインメントビジネス総合研究所 客員研究員

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部首席卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者での会計監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長に就任。

2014年よりアジア圏最大のカジノ国際会議&展示会であるGlobal Gaming Expo Asiaのアドバイザリーボード委員を務める。

より詳細なプロフィール

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