朝日新聞のギャンブル報道が支離滅裂である件

さて、朝日新聞が以下のような報道をしております。


観客入れないミッドナイト競輪、各地で 経費抑えて黒字
https://www.asahi.com/articles/ASL7N5G48L7NUUHB00X.html

夜中に観客なしで行われる競輪「ミッドナイト競輪」が、今年から栃木県宇都宮市の宇都宮競輪場で始まっている。インターネットなどで配信される映像を見て車券を買う新しいスタイルの楽しみ方だ。開催経費が抑えられる分、収支改善が期待できる。他場でも同様の取り組みが増える中、今後の売り上げが注目される。


数十年来の赤字が続いていた公営競技の黒字化の「最終兵器」ともいわれるミッドナイトレースが、宇都宮競輪場で始まったようです。ミッドナイトレースとは、一般的にレース開催が行われてこなかった9時以降に観客を入れずに競技を開催し、主にインターネットを介して投票権を販売するレースのこと。報道に有るとおり、観客を入れないことで運営コストが抑えられる一方で、ネットを介して全国に投票券を売り捌くことから非常に収益性が高く、とにかく収益を上げることを目的に導入がなされる「ギャンブルの為のギャンブル競技」といって良いでしょう。

で、朝日新聞はこのミッドナイトレースの開催によって、宇都宮競輪の収支改善が行われることが非常に注目であるかのように報じているワケですが、アナタ達、今年の通常国会にて成立したIR整備法の成立に際して、どのような論調を取っていましたっけ?以下、今年6月の朝日新聞の社説より転載。


(社説)カジノ法案 疑問の解消にほど遠い
https://www.asahi.com/articles/DA3S13534330.html&ct=ga&cd=CAIyHDdjMDNlMjNkNzJjNmNlMDU6Y28uanA6amE6SlA&usg=AFQjCNGsLLwQeln1Kb6NTohm1OxTeeJ-EA
刑法が禁じる賭博行為の場となるカジノを、なぜ、いま、特別な法律をつくってまで設けなければならないのか。疑問は一向に解消されない。にもかかわらず政府与党は、カジノをふくむ統合型リゾート(IR)実施法案を、近く衆院で可決しようとしている。性急な運びで異論を封じこめるやり方は、断じて認められない。[…]

カジノは負けて不幸になる人がいて初めてなり立ち、新しい価値を生み出すわけでもない。果たして健全な成長戦略といえるのか。こうした野党の疑問にも政府は答えきれていない。


カジノに対しては「負けて不幸になる人がいて初めてなり立ち、新しい価値を生み出すわけでもない」などと散々な論評をしてくれちゃっているワケですが、ミッドナイト競輪で黒字化する競技場の収益というのは一体どこから出て来ているんでしたっけ?是非そこに「負けて不幸になる人」が居ないことを願いたいものです。

そういえば、毎年11月に朝日新聞の提供で行われる「朝日新聞杯」の開催が迫ってきていますね。朝日新聞杯は「競輪祭」などとも呼称される、「競輪の発祥の地」である小倉競技場で1951年から毎年開催されてきた伝統のレースです。競輪競技の誕生そのものを祈念して行われる、まさに我が国の競輪競技を象徴する格式の高いレースであります。

その伝統の一戦が、日本を代表するクオリテティペーパーたる「朝日新聞」の名の元で毎年行われるというのは、さぞかし御紙としても鼻が高いことでしょう。今年の朝日新聞杯も盛況に開催されることをいちギャンブル研究者としてお祈り申し上げるとともに、まさか朝日新聞の名の下で「負けて不幸になる」人が決して生まれぬよう心より祈念申し上げるところであります。


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なぜ私はチアードを作ったのか?

さて、昨日は経済産業省から法令適用判断が公示された「ポイントベット」の仕組みと、それに伴って我々が立ち上げた国内初のスポーツベット提供の専業会社、株式会社チアードに関するご紹介をしました(未だ読んでない方はそちらを先にどうぞ)。今回は、その背景となった私の考え方をご紹介したいと思います。

株式会社チアードは、代表を務める若山と副島・木曽という2人の取締役、および社員で構成されるベンチャー企業です。若山は長らくTCG(トレーディングカードゲーム)業界とeスポーツ業界に従事、副島はスポーツ(格闘技)とeスポーツ、そして私はギャンブルと、それぞれ異なる専門性と関心分野を持つ人材であり、チアードの設立にあたってはそれぞれ違った「想い」があるもの。以下で描くのはあくまで木曽視点のものであるという前提で読んで頂きたいと思います。

1. 日本のスポーツ産業市場

2020年東京オリンピックの開催を予定している我が国では、現在、スポーツの「産業化」が大きな課題として語られています。その任を請ける組織として文科省の外局として2015年に設立されたスポーツ庁は「スポーツの成長産業化」を大きな目標として掲げており、これまで「運動を通じて心身の成長を即す」という「体育」の文脈で語られることの多かったスポーツを、「産業」として育成することを目指しています。

世界のスポーツ産業はイベント興行はもとより、施設運営、スポーツ放送、スポーツ用具販売などを合わせて約500兆円前後の産業規模を持つといわれています(出所)。ところが、日本のスポーツ産業の市場規模は5.5兆円(2015年)程度といわれており(出所)、世界最大のスポーツ市場を持つアメリカの50兆円(出所)という産業規模と比べると、日米間にGDPにして3倍程度の差があることを考慮に入れても異常に少ない。政府はこれを2025年までに15.2兆円にまで拡大させることを具体的な数値目標として掲げているわけです(出所)。

2. 日本スポーツ産業の「足枷」

一方で、ギャンブル専門家たる私の目から見ると、日本のスポーツ産業の成長には一つの大きな「足枷」があります。それが、スポーツベッティングの不在です。ギャンブルそのものの倫理的な是非はこの場の論議としては置いておくとして(それはそれで重要なテーマなのですが)、現実として実は世界で約500兆円市場と言われているスポーツ産業の隣には、それを「賭け」の対象として扱う約300兆円と言われるスポーツベットの市場が存在しており、それが相互作用しながら産業価値の増大を起こしているのが実態です。

我が国でその相互作用をまじまじと体験する事になったのが、2017年に起こったJリーグの放映権騒動。それまで我が国ではJリーグの放映といえば2007年にJリーグの全試合放送を開始したスカパー社であったわけですが、2017年に英国パフォームグループ傘下のDAZN社が全試合の放映権をかっさらって行きました。DAZN社がJリーグに示した放映権料は契約期間10年の合計で2,100億円。スカパー社がこれまでJリーグに支払ってきた年間放映権料の実に4倍の値付けであったとも言われており、この放映権の高額購買によってJリーグから各クラブチームに分配される分配金等が高騰し、各クラブチームの財政が一気に改善したといわれています(出所)。

そして、この放映権を破格の値段で取得したDAZNこそが、実はスポーツベット関連企業であるわけです。DAZNが所属するパフォームグループは、主にスポーツベットサービスを提供するブックメーカーに対してスポーツ映像の配信を行なうことで成長してきた企業。パフォームが本拠を置く英国では日本のJリーグのみならず、世界中のあらゆるスポーツ競技がスポーツベットの対象として設定されており、そこに映像配信を行う為、パフォームグループはDAZN社を通じて世界の様々な主要スポーツの放映権を獲得している。その戦略の上にJリーグ放映権獲得が「乗った」ということであります。

逆にいうのならば、スポーツ放送の土台となる部分に「スポーツベット」という要素が加わるだけで、その放映権がそれまでスカパーが支払ってきた価額の4倍の価値に一気に跳ね上がるということ。2017年のDAZN日本進出とJリーグの放映権買収劇こそが、我々日本人が「スポーツベットがスポーツ産業に与える影響」をマジマジと体感し、またその恩恵を間接的に受けることとなった事件であったわけです。

3. スポーツベットの代替サービス

とはいえ日本ではスポーツベットは刑法で禁じられる賭博行為であり、海外で提供されるスポーツベットにネット等を通じて日本から賭けを行なうことも含めて明確に「違法行為」であります。ギャンブルを専門とする私は、皆さん以上にそのハードルの高さとその制度の厳格さを認知しているわけで、だとすればその「代替」となりうるサービスをどの様に「捻り出すか」が私にとっての最大の課題でありました。

ここで少し話は変わりますが、米国のスポーツベット業界の事情をご紹介しようと思います。米国では1992年に成立した連邦法Professional and Amateur Sports Protection Act (PASPA:プロ・アマスポーツ保護法)によって、本法の成立以前にスポーツベットを合法としてきた一部地域を除き、スポーツベットが原則禁止となりました。それが、今年2018年に連邦最高裁によって「州政府の自治権を侵害」と判断で無効判決がなされることとなったというのが最新の米国のスポーツベット動向であります(参照)。

その結果、米国では既に各州でスポーツベットの合法化の構想が現在進行形で進んでいるわけですが、一方で米国でスポーツベットが禁止されていた1992年から2018年までのおよそ25年の期間にスポーツベットの「代替」となるサービスが急速に発展していました。それが「ファンタジースポーツ」と呼ばれる賞金制ゲームであります。

ファンタジースポーツは、プレイヤー自身が仮想のプロスポーツ球団のGMになり、実在する好きな選手を集めてた一種の「ドリームチーム」を作り、他のプレイヤーの作ったチームと対戦するというゲームです。プレイヤーが独自に作る球団自体はあくまで架空のチームであるワケですが、そこで集める選手の成績が実際に日々行なわれるスポーツ競技で各選手が獲得した成績に連動しており、仮想と現実のちょうど中間、いわゆる「2.5次元」の世界で競技を戦わせるゲームとなっています。

このゲーム、プレイヤーは5ドルから25ドル程度の参加料を支払い、優勝者には最大で100万ドル(約1.1億円)が提供されるなど高額の賞金制ゲームとなっており、アメリカでもそれが賭博であるか否かの論争が長らく続けられてきたのですが、少なくとも米国ではニューヨーク州を含む20弱の州がこれを適法なものと判断し、サービスの提供が行われてきたわけです。

そして、このファンタジースポーツこそが、米国においては長らく違法とされたスポーツベットの「代替」となるサービスとして利用されてきたもの。2015年の発表値ではファンタジースポーツの利用者数は約5,600万人、市場規模は関連産業まで含めて2兆8000億円にも及ぶとされています。ファンタジースポーツの提供企業としてはFanDuel社とDraftKing社が二大巨頭ですが、そのうちの一つであるDraftKings社は2016年に160億円を資金調達し、当時のバリュエーション(企業総価値)はポストマネーで約2,000億円以上。出資者の中には、FOX Sportsのようなスポーツ放送大手局は元より、MLB(メジャーリーグベースボール)やNHL(ナショナルホッケーリーグ)などのスポーツ競技団体自身が含まれるなど、現在、米国の投資界隈では超弩級のユニコーン企業として知られる存在にまで成長しています(参照)。

4. 日本での「代替」サービスとなるのは?

「では、日本でもファンタジースポーツを…」という主張になるわけですが、実はそんなに簡単にはいきません。日本とアメリカでは法律上禁じられる「賭博」の成立の基準が異なり、アメリカでは少なくとも20弱の州で適法と判断されているファンタジースポーツは、日本では明確に刑法で禁じられる賭博として判断されてしまいます。日本では米国と同じような形式でスポーツベットの「代替」サービスの提供はできないのです。

そこで、日本は日本なりの「別の手法」を用いた代替サービスを文字通り「捻り出す」というのが、私に与えられた課題であったわけで、話は長くなりましたがそこで出てきたのが我々チアード社が提供する「ポイントベット」という仕組みであったわけです。

5. ポイントベットの仕組み

以下は昨日の投稿と重なる部分も出てきますが、改めてポイントベットの仕組みを解説します。ポイントベットが参照しているのは、日本全国の商店街で伝統的に提供されている「福引」の仕組みです。最も一般的な福引の仕様となるのは、商店街の各お店での500円の購買につき一枚ずつ提供される福引券を10枚集めれば一回「ガラガラ」をまわすことが出来、「当たりの玉」が出たら賞品・もしくは賞金が提供されるというもの。このような福引サービスは、景品表示法の定める「懸賞」の中で適法に提供がなされる射幸性サービスの一種であり、上限価額の定めはあるものの(一般懸賞:10万円を上限として元取引の20倍まで)「現金」で景品を提供することも可能とされているものであります。

私が着目したのが、この景表法に基づいて日本全国津々浦々で伝統的に行なわれている「福引」の仕組みを、どこまでシステム化し、またゲームそのものをリッチ・コンテンツ化することが出来るか?ということでした。

大前提として景品表示法は懸賞を「商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供すること」と定めているのみであり、その提供手段に関しては具体的な規制を持っていません。現在の福引では「くじ引き」もしくは「ガラガラ」などを使用することが一般的ですが、景表法の運用の中ではこの他に

・抽選券、じゃんけん等により提供
・一部の商品にのみ景品類を添付していて、外観上それが判断できない場合
・パズル、クイズ等の回答の正誤により提供
・競技、遊戯等の優劣により提供 など

などという例が示されています。このうち「競技、遊戯等の優劣により提供」という定めこそが、我々がスポーツベットの代替となるサービス提供の根拠としたもの。特定のスポーツやゲームの競技結果を予想するゲームを提供し、そこに懸賞を付与することは景表法上の規制に則った形で実現可能であるハズです。

一方で検討を行ったのが「福引券」に相当する過去の購買を示す証書の扱いです。景品表示法上で提供が可能となる懸賞は、あくまで商品やサービス等の取引に付随して提供が行なわれるものであり、既に現金と商品等との対等な価値交換が行なわれた後に発生するものである為、そこに一定の射幸性は含まれていたとしても厳密にいうと「賭け」ではありません。そして、そのような商品やサービスの本体取引が確実に行なわれた事を示す証書として、商店街の各店舗は「福引券」を発行しているわけですが、ここをシステムを通じて発行される「ポイント」に置き換えられるかどうかが、法令解釈上のもう一つの論点でありました。

航空会社の発行するマイレージポイントから始まり、クレジットカード業者の発行するクレジットポイント、家電量販店の発行する家電ポイントに加えて、CCCや楽天などポイントシステムを提供するポイント業者が発行する各種ポイントまで、実は我々は日々の消費生活の中で様々なポイントを獲得しており、その国内累計額は2017年推計で2兆2千億円、前年度比で26.1%増という急速な勢いで成長をしているのが実態です(出所)。これらポイントは過去に行なわれた商取引に付随して発行される電子上の一種の「証書」であるわけで、これを「商店街の福引」で伝統的に使用される福引券とみなし、景品表示法上で認められる懸賞サービスとして提供することが可能ではなかろうか?これが、もう一つの論点です。

6. グレーゾーン解消制度

このような法令解釈上の「疑問」を明確化するために、我々が利用したのがグレーゾーン解消制度です。グレーゾーン解消制度は、企業の個々の事業内容に即して規制改革を進めていくことを目的として2014年成立の産業競争力強化法に基づいて創設された制度です。具体的には、事業所管となる省庁を窓口として、事業の内容を規制する法律を所管する法令所管省庁に法令適法の「有無」を確認できる制度であり、我々の場合はIT業を所管する経産省を窓口として、景品表示法を所管する消費者庁に法令適用照会をするという形で進められました。

しかしまぁ、これが非常に難儀なものでして、結局我々は上記のような事業に対する法令適用の確認をするのに足掛け一年近くゴリゴリの省庁協議が必要だった、というのが実態であります。その結果、内閣総理大臣安倍晋三および、経済産業大臣世耕弘成の名義で発行された公式回答の結果が、昨日のエントリでもご紹介した経済産業省による法令適用確認のニュースリリースであったわけです。


グレーゾーン解消制度に係る事業者からの照会に対し回答がありました
ポイント活用による賞品提供に係る景品表示法の取扱いが明確になりました

7. チアードが目指す世界

実は、実際の法令適用回答書には上記プレスリリースで発表されている点以外にも幾つかの法令上の要件が示されており、我々は現在それら要件を全てクリアした上で景表法上の「懸賞」の枠内で提供できるスポーツベットの代替サービスの仕組みを勢威、整備している真っ最中です。

繰り返しになりますが、我々が提供するサービスはあくまで商品やサービスの取引に付随して発行される証書を用いて提供される「商店街の福引」を原型とするもの。プレイヤーは現金をもってそのゲームに参加することは出来ませんし、どんなに負け込んだとしてもそこに直接的に追加投資をすることはできません。即ち、そこに一定の射幸性のあるゲームを提供できたとしても、厳密には賭博ではありません。

一方で我々が目指すのは、スポーツファン、ゲームファン、ギャンブルファンの方々を中心とする独自の経済圏を構築することであります。人間が独り生きてゆくのには少なくとも月額十万円を超える消費が必ず発生します。スポーツ/ゲーム/ギャンブルファンの皆さんには、是非そのように日々の生活の中から発生する様々な消費を我々サービスと提携する決済手法(例:クレジットカード、電子マネー、スマホ決済)やポイント制度に集約してください。そうすれば、日々の生活の中から自ずと「福引券(=ポイント)」を獲得でき、それを利用することで現金最大10万円(一般懸賞の場合)が獲得可能なスポーツベットの代替サービスをご利用頂けます。即ち、当該サービスで利用される賭けの原資は、皆様の日々の「消費生活そのもの」なのであります。

我々はこれを「ポイントベット」と呼称し日本独自のスポーツベットの代替サービスとして展開し、スポーツ/ゲーム/ギャンブルファンの皆さんの日々のスポーツ競技やeスポーツ競技の観戦を「もう少しだけ」エキサイティングなものにし、ひいては日本のスポーツ産業の付加価値の向上貢献してゆきたい。これが、ギャンブル専門家たる私がチアードという企業とサービスの立ち上げに参画した理由であります。

…と私自身の掲げる目標は大きいワケですが、実際のところはやっと法令に「風穴」が開いただけという段階。これからが寧ろ勝負の本番であるわけで、上記でご紹介した世界が実現できるよう引き続き皆様方の応援を賜りたく、よろしくお願いを申し上げる所存です。

株式会社チアード http://www.cheered.jp/

ポイントベット:日本版スポーツベットの夜明け

さて、グレーゾーン解消制度に基づき、以下のような法令適用確認が経産省より公示されましたのでご報告申し上げます。以下、経産省のニュースリリースより転載。


グレーゾーン解消制度に係る事業者からの照会に対し回答がありました
ポイント活用による賞品提供に係る景品表示法の取扱いが明確になりました

今般、消費者との取引に付随して付与された専用ポイントを使用し、ゲームに参加した消費者に対し、そのゲーム結果に応じ賞品を提供する事業を運営する者(図中A)より下記の照会がありました。

1. 当該事業で得られる賞品が、懸賞により提供する景品類に該当するか。
2. その賞品の最高額や総額の設定の仕方が景品表示法の告示(懸賞による景品類の提供に関する事項の制限、以下「本告示」という)の規定に違反しないか。

景品表示法を所管する消費者庁に確認したところ、以下の点が明らかとなりました。

1. 本サービスにおいて、サービスを提供する事業者(図中B)は本サービスの運営等の経費の実質的な負担者と認められ、景品表示法上の景品提供主体に該当するため、ゲームの結果得られる賞品は懸賞により提供する景品類に該当する。
2. 本サービスにおける賞品の最高額や総額の設定の仕方は、本告示の規定に違反しない。


【サービス概念図】
20180731010a


上記を見ると非常にややこしく見えますが、要は「商店街の福引」をどこまでシステム化、およびリッチ・コンテンツ化できるか?に関して、省庁見解を確認したということです。

我が国では「商店街で500円の購買ごとに発行される福引券を10枚集めてガラガラを廻して、当たりが出ると金一封」という福引サービスが、景表法上に定められる景品サービスとして適法とされています。一方で、景表法は景品を提供するために使用するゲームの内容に関しては、一切の規制を持っていません。だとするのならば、

・福引券→システムを通じて商品購買ごとに提供される各種ポイント
・ガラガラ→スポーツ等の結果を予想するゲーム

にサービス提供方式を置き換えた場合、これもまた商店街の福引と同様に景表法に則って提供されえる「景品」として認められるのではないか?この問いかけに対して答えを得る為に、およそ1年にわたるゴリゴリの省庁協議を経て、今回、法令適用の確認がなされることなりました。

日本では未だ商品購買に「現金」を使う文化が根強く残っていますが、一方で伝統的なクレジットカード決済はもとより、電子マネー決済、スマホ決済、仮想通貨決済など、決済行為の電子化は今後、急速に進んでゆきます。そして、このように決済の電子化が行なわれることに伴って、商品購買等に応じてシステムを通じて提供される各種ポイントの発行も増えてくる。2017年推計では、このような各種ポイントの発行残高は国内総計で2兆2千億円、前年度比で26・1%増という急速な勢いで成長をしているのが実態です(出所)。

上記で法令確認された内容は、このようにして発行される各種ポイントを原資としながら、擬似的なベッティング・サービスの提供を可能とするもの。我々はこれを「ポイントベット」という新しいサービスとして呼称しています。

という事で、本法令確認が為された一方で、上記仕組みを利用してベッティングサービスを提供する会社を立ち上げると共に、当該サービスの提供の基幹となる景品払出し管理のシステムに関する特許を取得致したことをここにご報告申し上げます。


株式会社チアード

特許庁にビジネスモデル特許として発明が認められました。

現在、複数のポイント提供事業者および、スポーツ/eスポーツイベントの興行主の方々と提携協議が進んでおり、今秋にはOBTも兼ねた第一弾サービスの提供を予定しておるところ。当該サービスとの連携にご興味のある方は、上記、株式会社チアードのwebサイトからご連絡を頂けましたら幸いです。

日本のスポーツベットは「ポイントベット」が標準となる、というか標準に「させます」。以上、ご報告でした。

五輪も万博も、ゴリ押しに次ぐゴリ押し

以下、東京新聞からの転載。


 五輪の20年 サマータイムを 暑さ対策で組織委、首相に要望
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201807/CK2018072802000255.html

組織委は選手や観客らを暑さから守るため、路上競技の時間を可能な限り早朝に設定。マラソンは午前七時、男子50キロ競歩は午前六時にスタートする日程で国際オリンピック委員会(IOC)の承認を受けた。会談に同席した組織委の武藤敏郎事務総長は「(気温が)四〇度を超える前提にはなっていなかった。深刻度を非常に強く認識した」と、連日の猛暑で抜本的な対策が必要と判断したことを明らかにした。


サマータイム移行に伴う社会的コストや、それまでに現実的に残された時間を一切考慮にいれず、五輪だけのことしか考えてない東京オリ・パラ組織委員会と、それを率いる森喜朗・元総理には本当にウンザリなわけですが、一方で振り返ると我が業界でもこんなことを言い出している人間がおりまして…。以下、産経新聞からの転載。


IR仮の区域認定年内に 松井知事が国に要求
https://www.sankei.com/west/news/180808/wst1808080079-n1.html

7月に成立したIR整備法では国内の3カ所で開業すると規定。松井氏は「早く区域認定をもらわないと事業者と具体的な話ができない」とし、カジノの開業許可を含む区域認定の前段としての仮認定を求めていた。

松井氏はギャンブル依存症対策の議論が進んでいると強調し、「国が定めるIR実施計画と、大阪府がやろうとしている実施計画に齟齬がなければ将来了承するという判断を年内にしてもらいたい」とした。


そもそもこの7月に成立したIR整備法の中に「仮」認定などという認定条項はないですし、その認定は全国自治体による公正な競争の結果行なわれるものであって、松井知事が要求するような「国が定めるIR実施計画と、大阪府がやろうとしている実施計画に齟齬がなければ将来了承する」などというカラ手形を大阪のみに与える道理などは一切ないワケです。

松井知事が政府に要求していることは、自身のお膝元で懸案事項として挙がっている大阪万博の事しか考えていないゴリ押し以外のナニモノでもないワケで、やってることは森元総理が政府に押し込んだサマータイム案となんら変わらないわけです。


サマータイム導入「五輪のためだけなら反対」 松井知事
https://www.asahi.com/articles/ASL8853N1L88PTIL030.html


…というご自身の行動を棚に挙げまくった一方で松井知事はサマータイム導入案に対して上記のようなコメントを行っていたりするわけで、大阪以外の業界関係者全員が「どのツラ下げて…」と思ったであろうことをここに記しておきたいと思います。

【速報】Appストアからギャンブル系アプリが大量削除

8月9日朝方、Appストアからギャンブル系アプリが大量削除され、プチ騒動が起こっております。以下、iPhone Game Castからの転載。

Apple、政府の要請により個人によるギャンブルアプリをApp Storeより追放。無関係のアプリは異議申し立てで復活可能の模様

この大量削除にあわせて、Appストアに登録をしている開発者には一斉に以下のようなメールが届いているとのこと。


【引用】AppStoreでの不正行為を減らし、違法なオンラインギャンブル活動に対処する政府要請に従うため、個々の開発者から提出されたギャンブルアプリは許可されなくなりました。これには、リアルマネーギャンブルアプリとギャンブル体験をシミュレートするアプリの両方が含まれます。

「政府要請に従うため」とありますが、文面を読む限り日本政府ではなさそうだということで調べてみたのですが、どうも発端となったのはノルウェー政府がApple社に対して行なったギャンブルアプリの削除要請の模様。以下、World Casino Newsからの転載。

ノルウェー政府、Appストアからオンラインギャンブル事業者を削除させる
Norway Gets Online Gambling Operators Kicked Out Of App Store

ノルウェー政府の要請によって30あまりのアプリがAppストアから削除されたのが、今月の冒頭のこと。それがどういう経緯で日本向けのアプリにまで波及したのかは未だ不明でありますが、日本向けのアプリとしては個人開発のギャンブルシミュレーションアプリが大量削除されたとのこと。具体的にはパチンコ/パチスロ、麻雀、ポーカー、ロト予想アプリなどであり、現金をかける機能がないアミューズメント用途のものであっても削除の対象となっているとのご報告を頂いておるところです。

一方、現時点では法人開発の同様のアプリに関しては削除の対象となっていない様で、例えばAppBank子会社がリリースしたばかりのポーカーアプリ「Poker×poker」などは未だAppストアから削除されていない模様。

Poker×Poker
https://itunes.apple.com/jp/app/poker-poker/id1273645341?mt=8

正直申し上げれば、個人開発と法人開発のこれらアプリに性質的な差があるわけでもなく、なぜ個人開発のみが削除対象となっているのかが意味不明なのは元より、Poker×Pokerに至っては朝日新聞により野田聖子総務大臣との癒着関係が報じられた仮想通貨SPINDLEとの連携で騒動が起こるなど、寧ろこっちの方が色々ヤバイ様にしか見えないわけであります。

●5月22日リリース
【新サービス】仮想通貨配付コンテンツプラットフォーム『@ BLAST』の提供開始!

まずは、6月リリース予定のゲームアプリ『POKER×POKER※1』内でのオンライン大会を皮切りに、7月下旬には賞金総額1,000万円相当※2の仮想通貨を配付するPOKER大会を予定しております。また、今夏以降は、国内メーカーと協力し、月に2~3回の頻度で継続的に大会を開催予定です。

●7月26日リリース
『POKER×POKER GRAND OPEN TOURNAMENT』一部内容変更について

AppBank株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長CEO:宮下泰明、証券コード:6177)は、2018年7月28日(土)、29日(日)開催の『POKER×POKER GRAND OPEN TOURNAMENT決勝トーナメント』において、先にお知らせしました「仮想通貨SPINDLEの取り扱いの一時停止について」(URL後述)を受け、入賞賞品を変更して開催することをお知らせいたします。

いずれにせよ、Appストアからのアプリ大量削除に関しては、現在進行形で様々な情報が飛び交っているのが現状。続報が入り次第、再度記事化しますが、とりいそぎ速報でした。

著者プロフィール


木曽 崇(キソタカシ)

国際カジノ研究所 所長
エンタテインメントビジネス総合研究所 客員研究員

経歴:
日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部首席卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者での会計監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長に就任。

2014年よりアジア圏最大のカジノ国際会議&展示会であるGlobal Gaming Expo Asiaのアドバイザリーボード委員を務める。

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