【告知】CEDECに登壇します:カジノIR、及びeSportsを含む賞金制コンピューターエンターテインメントの現状と未来

本日は軽い告知です。来月8月30日から9月1日までパシフィコ横浜で開催される日本国内最大のゲーム開発者向け技術交流会「CEDEC」に登壇することとなりました。登壇情報は以下のとおり。


カジノIR、及びeSportsを含む賞金制コンピューターエンターテインメントの現状と未来について
http://cedec.cesa.or.jp/2017/session/BP/s59147bc6e7456/

セッションの内容
昨年9月に消費者庁から開示された景品表示法の賞金制大会に対する法令適用解釈。「eSportsショック」とも呼ばれた「あの事件」の当事者が、景表法、風営法、刑法賭博罪など、賞金制大会にまつわる様々な制度について解説いたします。理解しているつもりで、実は理解していないことの多いこれら法と制度の中で「何をどこまでやって良いのか/いけないのか」を読み解きながら、一方で現在、我が国に置いて導入論議が進んでいる「カジノ」とeSportsの未来について言及を致します。

CEDECは、ゲーム業界の主要業界団体の一つである一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 (CESA) が主催する技術者、開発者向けイベントです。本イベントに登壇する方法は自己推薦と主催者招待があるわけですが、いずれの手法においてもかなり狭き門であると聞き及んでおります。今回は、主催者様に招待講演としてお声がけを頂いたという大変ありがたい状況であり、身が引き締まる思いであります。

皆様のお役に立てる情報発信ができるよう頑張りますので、ご興味のある方は是非ご参加頂けましたら幸いです。とりいそぎ告知まで。


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国立競技場労働者の自殺:日本社会全体の敗北

非常に痛ましい事件が起こってしまいました。以下、ハフポストからの転載。


「新国立競技場」建設で新入社員が過労自殺か 残業200時間超、遺族が労災申請
http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/20/overwork-suicide-issue_n_17536030.html

東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場建設の工事を請け負う建設会社の新入社員の男性=当時(23)=が3月に自殺したのは、残業が月200時間を超えるなど過重労働が原因だったとして、遺族が労災を申請した。代理人の川人博弁護士が7月20日に記者会見して明らかにしたもので、NHKニュースなどが報じた。


当ブログ上でも散々取り扱った建築デザイン問題で二転三転し社会を騒がせた新国立競技場。新たなデザイン案の元で進みはじめた現場労働者が、過重労働を原因として自殺した問題です。本件は一般メディアにも大きく報じられ、既に厚生労働省も背景の調査に動き始めている状態であります。

本件に関しては勿論、直接的には月200時間を越えるような過重労働を労働者に強いた雇用主側に一義的な責任があるのは事実でありますが、一方でこの事件の背景には当然ながら世間を騒がした一連の国立競技場問題が存在しているわけで、これをただ雇用主と被雇用者の二者関係だけの問題で終らせてしまってはいけないと思うんですね。

この問題の背景にあるのは、当然ながら二転三転した国立競技場建替え問題でありまして、

・コンペを経て決まっていたザハ案の事後撤回により、そもそもの開発スケジュールが大崩壊した
・「今デザイン案を撤回すると必要十分な工期が確保できない」という事は多くの建設関係者が口々に主張していたにもかかわらず、一部専門家が「十分間に合う」という論陣を展開し、それが「最コンペ必至」という世論形成をしてしまった
・一方、コンペ撤回の主たる理由が「当初計画を上回る多大なコスト」にあったため、撤回後の開発計画には強度の予算抑制圧力が自ずと生まれた
・施設開発というのは限られた期間内で突貫工事になればなるほど、同じ規模の開発計画であってもコストが格段に上昇するものであるにもかかわらず、予算抑制と工期必達の両方の圧力がふりかかり、結果的に現場にしわ寄せが落ちていった

と様々な事象がこの事件の背後に横たわっているわけです。そういう意味で、私は今回の痛ましい事件を発生させたのは「日本社会全体」であると思いますし、23歳の若き現場労働者の死は他人事でも何でもなく「日本社会全体の敗北」として受け止められなければならないと思います。

このような痛ましい事件は元より、その背後に我々が起こしてきた社会のゴタゴタは二度と起こしてはならないと思うわけですが、その他の様々な五輪関連の開発工事の現場で似たような状況が既に発生してしまっているワケで、同じような痛ましい事件が二度と起こらないことを心より祈るほかありません。

【参考】輸送の動脈に暗雲 環状2号線 五輪前の開通見えず 
http://www.nikkei.com/article/DGXKASDG19H60_24072017CR0000/

パチンコ業界どうすんのよ?「出玉上限5万円に」報道

警察庁から発表されたパチンコ機の射幸性に関する新基準に関して、一般メディアにまで「出玉上限が5万円に!」などと報じられ、パチンコ業界が右往左往しております。また、それに加えて「出玉制限なんて意味ない」といった論調までが、一般メディアによって形成され始めており、血の涙を流しながら本規制強化を受け入れる(受け入れざるを得ない)業界としてはガッカリ事案となり始めております。以下、J-castニュースからの転載。


パチンコ「出玉規制」意味あるのか? 「依存症の人しかいなくなる」
https://www.j-cast.com/2017/07/11302989.html?p=all
 
「この対策では、パチンコ店には依存症の人しかいなくなってしまいます」――「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子さんは、そう憤る。

 2017年7月11日、警察庁は、パチンコの出玉などの規制を強化する風俗営業法施行規則の改正案を発表した。客の得られる「儲け」を少なくすることで、ギャンブル依存症の対策を進める、というのがうたい文句だ。しかし田中さんをはじめ、この改正案には批判の声が少なくない。


まぁ、私自身も田中紀子さんのことは良く存じ上げており、正直、今回の新基準の意味を彼女が本当に理解してコメントしているとは思えず、いつものポジショントークにしか思えないわけです。彼女は元々は競艇とカジノを対象とした依存者であったわけで、パチンコのことを判って発言をしているわけではないのですが、メディアが「元依存者が無意味な規制といってる」と報じれば、徐々にそういう一般論調が形成されていってしまうのですね。

ただ、今回の規則改正に関する警察庁の意図は、単純に単発の大当たりの出玉数を制限するだけではなく、今までよりもより細かく遊技機の性能試験を行いながら、当該遊技機を継続的に遊んだ場合の玉の「入」と「出」のバランスを抑制して行きましょうというものになっています。この基準にもとづけば、原則的にはこれまで(相対的に)急激に玉を減らしながら遊び、大当たりで一気にそれを取り返すようなゲーム仕様であった遊技機が、もうちょっと小さな出玉を重ねながら緩やかに遊んでゆくものへと変化してゆくはず。(詳細はコチラを参照

その辺が良く判ってないマスコミ側は、より判り易い「出玉上限5万円」だけにフォーカスして報じるわけですが、その逆側で運悪く一気に負け込んでオケラになってしまう人も(相対的に)少なくなるわけで、パチンコ店において風営法が本来的に定める「遊技」の定義により近いゲームの提供が行われてゆくことになるわけです。

というのが、ザックリとした今回の機器基準に関する解説であるわけですが、その辺をキッチリと説明をしてゆくべき立場にある業界人が、マスコミによる「出玉上限5万円」という報道に引っ張られて、その誤解を助長してゆくだけのコメントを発しているのを見ると、個人的にはガッカリしてしまうわけですね。以下、マネーポストからの転載。


パチンコ出玉規制 現行と比べてどれくらい減るか検証

現行では、パチンコの大当たり出玉の上限は1回あたり2400玉だが、改正案では1500玉が上限となっている。パチンコ玉は1玉4円で貸し出すのが一般的であり、等価交換として計算すると、1回の大当たり出玉は9600円相当から6000円相当となる。これはパチスロについても同等の出玉減少となっている。パチンコライター・A氏はこう話す。

「今回の改定案で重要なのは、1回の大当たり出玉が減ることよりも、射幸性の抑制という部分です。この改定案が施行されれば、パチンコで大きく勝つことがかなり難しくなります」(以下、「」内同)


私は正確にはパチンコ業界の人間ではなく、そのお隣にいるカジノ業界の人間であるわけですが、老婆心ながら申し上げます。今回の規則改訂をキッチリと説明すべき立場にあるパチンコ業界関係者が結局こうやって「出玉上限5万円」みたいな情報だけに引っ張られて発言すれば、当然ながら「こんな規制が出来ても意味がない」という社会評価が付いてしまいますし、肝心のファン側も「じゃぁ止める」みたいな流れにしかなってないワケで、業界の皆さんはもうちょっと先を見た論調を作るつもりでメッセージを発信すべきなのでは?と思ってしまうわけです。

冒頭にも申し上げたように、今回の規則改定は業界として文字通り「血の涙を流しながら」受け入れる(受け入れざるを得ない)ものであるにも拘わらず、このままの社会評価が定まった挙句、この先に「これじゃ足りない。更に規制強化せよ」みたいな論調になってしまったらどうするんでしょうか?というか、既にそういう論調になり始めています。

私は究極的にはカジノ側の人間なので、どうでも良い話であるといえばそれまでの話なのですが、もはや傍から見ていても笑うに笑えない状況になっているので、老婆心ながら。。

日本の賭博行政のターニングポイント:民営賭博の合法化

さて、現在、政府内で行われているIR推進会議にて以下のような見解が示されたとの内容が報じられました。毎日新聞より転載。


政府「カジノ合法化は可能」

政府は18日、有識者による統合型リゾート(IR)推進会議で、カジノを刑法の賭博罪に抵触させず、合法化は可能とする見解を示した。観光振興や社会還元など目的に公益性があり、事業者に厳しい規制を課することで他の競馬など公営ギャンブルと同様に違法性が否定されるとした。


昨年年末に成立した我が国の統合型リゾートとカジノ合法化を推進するIR推進法の審議時に、反対派との推進派との間で、依存問題と並んで最も激論を呼んだ内容がこの「日本のカジノを民設民営とする」という規定でありました。我が国の刑法は原則的に賭博を禁じており、その違法性を特別に阻却(無効化)する法律を作ったとしても、あくまでその賭博実施の主体は公的性質をもった主体でなければならないとされてきたのが、これまで通説であります。

しかし、今回政府会合において示された内容は、実はこれまで通説とされてきた刑法解釈は間違いであって、我が国においても要件次第では「民営賭博」の合法化が可能であるという判断が示されたこととなります。これは我が国の賭博行政においては、非常に大きなターニングポイントであると言えるでしょう。

では、これが今後どのように世の中に影響を与えてゆくのか?という事でありますが、実はパチンコ業界誌「PiDEA」の今年の4月号において既に関連する特集が組まれておりました。以下、PiDEA2017年4月号「風営法とパチンコ業法」の特集より抜粋。


インタビュー① 衆議院議員 緒方林太郎
私自身、特定の解決法を推奨するわけではないですのですが、一つの手法として、パチンコは賭博と定義して、カジノと同様、刑法の違法性阻却のための特別法を作ることもありだと思います。賭博の違法性阻却ですから、厳しい規制は受け入れざるを得ないが、その代わりに今のような先が見えない形で射幸心を下げられることを阻止するという方法です。

インタビュー② 弁護士 三堀清
そう考えていくと風営法の枠内では物足りなくなります。今後、メーカーへの規制や射幸性の問題、賞品買取問題、のめり込み対策などを総合的に規制していくには風営法から脱却し、新しい法律を組み立てなおした方がいいのではないでしょうか。[…]新しい法律をつくるのは決して難しい話ではありません。パチンコに関しては 「徹底的に規制を強化する」「グレーゾーンを許さない」という強い意志を示せば世論は歓迎するでしょうし、警察も反対できません。仮に新しい法体系になれば、ある程度コンプライアンス意識の高い企業にしか残れなくなるでしょう。

インタビュー③ 弁護士 渡邊洋一郎
パチンコ業界が本気で今後の発展を目指すのであれば、実態に即した「パチンコ業法」を制定することが不可欠です。そうすれば、パチンコ遊技機の射幸性、遊技性については様々な顧客の要望に応えることが出来る多様な機種を作り出せる基準にすることが出来ます。ただし、射幸性に関してはのめり込みや経済的負担などに配慮し、基準を制定することが必要です。


「我が国の現行刑法は条件次第では民営賭博の合法化も否定していないのだ」という判断の先には、当然ながら上記のような「パチンコの賭博としての合法化論」が控えているわけでありまして、実はパチンコ業界の中の一角では着々とその為の議論醸成が行われているわけであります。

ちなみに、インタビュー①の緒方議員は、昨年末のIR推進法の国会審議の中で最も強く刑法賭博罪の阻却(無効化)事由に関して鋭く迫った民進党議員。インタビュー②の三堀弁護士は大手パチンコ業者によって組織される業界団体、パチンコチェーンストア協会の法律分野アドバイザー。そして、インタビュー③の渡邊弁護士は、これまた上記とは違うパチンコ系の業界団体である余暇環境整備推進協議会の理事であります。

実はこの種のパチンコ業法論というのは、昨年末に可決されたIR推進法の制定論の裏側で脈々と動いてきたものであり、何を隠そう今回「我が国で民営賭博の合法化は可能」と判断を示したIR推進会議にゲーミング法制の専門家として起用されている美原融氏(大阪商業大学教授)自身が、はるか昔から主張してきた内容であります。以下、2013年7月26日にフジサンケイビジネスアイに掲載された美原氏に対するインタビューより転載。


大阪商業大学アミューズメント産業研究所 所長・美原融氏
日本は「遊び」を産業・文化として育てることができるのか

カジノ実現の動きに伴う遊技産業への影響だが、パチンコホールとカジノでは、訪れる客の志向が異なることから、客や市場の奪い合いなど直接的なマイナス効果はほぼ考えられない。しかしながら、制度的に比較されるという間接的問題が生じてくる。

つまり、3店方式などに関しては、司法上の判断ではなく、行政解釈に依拠する曖昧な部分に対し、これをクリアに説明できる理論や新たな制度の構築がこれまで以上に求められる状況も予測される。現在、パチンコホールの営業は風営法にもとづいて実現しているが、この点を考えれば、将来的にゲーミングの1つとして別の法律の枠組みに組み入れることも検討すべきだと思われる。それにより、国民の認識もシンプルになるし、ビジネスとして閉塞感が漂う現状の打破に向けても、別の展開が見えてくる可能性はある。


私自身は日本の賭博はあくまで公的主体のみが担うべきであり、民業はそれと峻別された扱いをなされるべきであるという上記の論とは全く別物のスタンスを取ってきた専門家であり度毎にこのような論議に牽制をかけ続けてきた立場の人間でありますが、実はこのような論議の流れというのははるか昔からカジノ合法化論議の背後に組み入れられてきたのが実態であります。

「我が国においても要件次第では民営賭博が合法化できる」

2017年7月は、我が国の賭博史において大きな転換が行われた瞬間であると言えるでしょう。

eスポーツカフェと風営法の適用について

さて、下記お店、本業は普通のインターネット喫茶のようなのですが、友人よりイベント開催情報を提供して貰ってリンク先に飛んでみて驚いた次第です。


PUBGバトルロワイヤル大会!!

第10回のFANBATはいま話題のPUBG、「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」で実施します!ラフにみんなでパーティを組んでスクワッドで遊ぼうと思います。PUBG仲間を作りたい人、オフラインでスクワッドを遊びたい人、初心者の方ももちろん大歓迎です!

・場所…   ALIENWARE ARENA in アイ・カフェAKIBA PLACE店
・日付…   2017年6月10日(土)
・受付時間… 12:30~12:50
・開催時間… 13:00~17:00
・定員…   選手40名(先着順)
・料金…   選手1,300円

【賞金・賞品】
当日獲得ポイント成績上位者に賞金を進呈。
1位 5,000円
2位 3,000円 
3位 2,000円


ちょっ、これ選手の参加料金が直接賞金に回っていたら賭博罪じゃないですか(笑 当該イベントは、アイカフェグループというインターネット喫茶チェーンが主催しているもののようですが、その他の日の開催イベントを拝見しても大変香ばしい状況となっております。ということで、本日は以前より纏めなければいけないなと思いながら、なかなか実現してこなかったeスポーツカフェと風営法の関係について言及してみたいと思います。

風営法では第二条第一項第三号において、以下のような業態を定義しています。


この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。[…]

スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)


上記は風俗営業法上で一般的にゲームセンターに該当する「5号営業種」と呼ばれる、営業に当たって公安員会の許可が必要となる業態の定義です。そしてここでいうところの「テレビゲーム機」に関しては、更に以下のような詳細定義がなされています。


ブラウン管、液晶等の表示装置に遊技内容が表示される遊技設備で、人間と人間若しくは機械との間で勝敗を争うもの又は数字、文字その他の記号が表示されることにより、遊技の結果が表され、優劣を争うことができるものをいう。
(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準)


この定義を見れば明らかのように、実は風営法が定める5号営業種はそこで提供されるゲームを必ずしも我々が良くゲームセンターで見るようなアーケードゲームに限定していません。上記「テレビゲーム機」の定義は家庭用のコンソールゲーム機、携帯用ゲーム機など多くのゲーム機に当てはまるものであり、店舗を構え、これらゲーム機を設備として提供し客に遊ばせる営業は実は原則的に風営法の規制対象業種となるわけです。

さらに論議となるのが、PCゲームの取り扱いです。我が国におけるeスポーツの盛り上がりと共に、eスポーツカフェなる業態が全国の主要都市において増えているわけですが、その多くがPCゲームを「主」として提供するものであり、外形的にはいわゆるインターネット喫茶と同様の設備を設けて客にゲームをさせる営業を行っています。

現在までの風営法の運用では、インターネット喫茶において設置されている汎用PCは、例えゲーム提供可能な設備であっても、それを風営法の定めるところの「テレビゲーム機」として扱うということはなされてきませんでした。ところが、近年登場しているeスポーツ店は冒頭でご紹介した店舗に見られるように、インターネット喫茶の体を取りながらも、明らかにゲームの提供を前面に押し出す形で集客を始めています。

このような営業の形式をとり始めた場合、店舗内で提供されるPCは例えそれが汎用のものであっても、風営法解釈運用基準の定めるテレビゲーム機と同様の扱いを受けることになってくることは想像に難くないわけですが、現在までのところ警察庁および各都道府県警、もしくは各所轄において近年、営業が増加しているこのようなeスポーツカフェとインターネット喫茶を分ける基準を示した例を私自身は知りません。

また、ちなみにこれと同様にeスポーツカフェで提供されることの多い「他者が行っている競技を観客に見せる」という機能は、これまた風営法で規定されている「遊興」の提供にあたる営業行為と認知されますし、一方で同様に提供されることの多い「ゲームを教える」という行為は、これまた風営法上で規制されている「接待」の提供と見なされる可能性があります。

遊興や接待の提供は、それそのものが単独で提供される場合には忽ち風営法の規制対象となることはありませんが、それらが酒類の提供や夜0時以降の深夜営業とセットとなった場合には、それらを提供する店舗が風営法上の許可取得の義務を負う可能性があります。

この辺りは、世に登場しつつある「eスポーツカフェ」という新業態に対して、未だ法の運用解釈が追い付いていない状況が露呈しているとも言えるわけですが、今後、益々我が国においてeスポーツ人気が興隆し、それらを商材として提供する店舗が増加すれば、その過程のどこかの時点において警察庁あたりから法適用の「ライン」が示されることとなるでしょう。逆に業界側としては、そのあたりを前提としながら未来の業界発展の「画」を今から適切に描いてゆく必要があるでしょう。

ちなみに、冒頭でご紹介したアイカフェグループが行ってい「る参加費を徴収しながら、上位入賞者に賞金を提供するeスポーツイベント」は、もしその賞金がカフェの営業と関係のない第三者から拠出されているのでない場合には刑法賭博罪にあたる可能性が高く、風営法の適用云々以前の問題となってくるものです。当該グループの皆様に起きましては、今後はもう少し慎重にイベントの実施を行った方が宜しいのではないかなと思います。

著者プロフィール


木曽 崇(キソタカシ)

国際カジノ研究所 所長
エンタテインメントビジネス総合研究所 客員研究員

経歴:
日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部首席卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者での会計監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長に就任。

2014年よりアジア圏最大のカジノ国際会議&展示会であるGlobal Gaming Expo Asiaのアドバイザリーボード委員を務める。

より詳細なプロフィール

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