日本版カジノ:広がる開発コストへの懸念

昨日のエントリでもご紹介しましたが、現在グローバルのカジノ業界の中で日本の統合型リゾートに対する開発コストへの懸念が広がっています。以下、参照。

【参考1】ラスベガス・サンズが100億米ドルは単なる「開始点」、日本の開発コストへの懸念に言及
【参考2】ウィン・リゾーツ、日本のIR開発コストの上昇に対するLVSの懸念を反映
https://www.asgam.jp/index.php/2019/11/08/wynn-resorts-echoes-lvs-concerns-over-rising-japan-ir-development-costs-jp/

上記記事はよく読むと実は「開発単価」に対する懸念が表明されているもの。ただ、この開発単価と開発総額というのは地続きのものであり、単価が上がっているからこそ開発総額が上がる。単価が安ければ総額も下がるものであります。

一方で、実はこの国際的な懸念の背景にあるのが、行政側による統合型リゾート対する過剰な投資期待であります。上記参考1で示した記事内でラスベガスサンズ社のゴールドスタイン社長が「我々は100億米ドルを求めるトップの都市でビジネスをするつもりだ」(※下線は筆者)とコメントをしている通り、1兆円(100億米ドル)を求めている主体は事業者ではなく「都市」側、すなわち地方行政。事業者はその行政の求めを前提として入札競争のラインを見極めを行っているということであります。そして今日本ではその要求ラインが高く維持されたままで、開発単価がどんどん上がっているからこそ、そこに投資を行う各企業が認知する投資リスクが膨れ上がっているワケであります。

同時に、上記参考2で示した記事内では、ウィンリゾーツ社のマドックスCEOは「当社は日本での誘致達成を精力的に追求するが、財政的に意味がなければやめる」とまで言い出しているワケで、そこに何かオカシナ事が起こり始めているのは皆さんもご理解頂けることと思います。



私の所には公民合わせて色んな人達がご相談にいらっしゃるワケですが、そういう人達の中には「〇〇は市場が小さすぎてダメだ」とか「△△は後背人口も多く、国際空港へのアクセスが良いため有望だ」などと様々な自己分析をご披露される方がいらっしゃいます。ただ、実は私の立場でそういう方々にいつも申し上げるのは「市場の大小と事業の成否は必ずしも一致しませんよ」ということ。

事業目線で考えた場合、当たり前の事なのですが

・どんなに大きな需要の存在する市場であっても、そこに過剰な投資を行えば事業は失敗する
・どんなに小さな市場であっても、そこに適正な投資を行うのであれば事業は成功する

ということです。そして、今日本に起こっていることは国が作った制度、そしてそれに基づいて各都道府県等が描いている誘致計画が、当該地域の市場に不釣り合いなほど膨れ上がりつつあるということ。すなわち「どんなに大きな需要の存在する市場であっても、そこに過剰な投資を行えば事業は失敗する」状態に向かいつつあるからこそ、そこに懸念を示すカジノ事業者が出てきているのです。

その代表となるのが大阪湾にある広大な遊休地を開発地として指定してしまった大阪の夢洲構想であり、だからこそ私は常々、大阪府市の描くIR構想に対して非常にシニカルであり続けて来ました。そして、これは事実として当初7社集まっていた進出希望企業が1社抜け、2社抜けと徐々に撤退宣言を行い、現在3社にまで減退してしまっているのは、まさにそういう背景があるからに他なりません。

日本の行政の描く統合型リゾートがなぜこれ程までに過剰評価となってしまったのか。それを突き詰めて行くと、結局、一部の「有識者」と呼ばれる人間達が出してきた日本カジノ市場推計値が伝統的に「大きすぎた」からに他なりません。この様な日本市場への過剰評価が広まる発端となったのは、2009年に大阪商業大学商経学会論集(第5巻、第1号)に掲載された「カジノ開設の経済効果」(佐和良作・田口順等)という論文です。この論文は日本のカジノ市場が全体で3.4兆円にも及ぶとする試算額を示したものでありますが、実は私は当初からこの論文に対して余りに荒っぽい手法によって桁違いの大きさの推計値を出しているものとして、幾度となく問題点を指摘してきました(参照)。

この大きすぎる推計値を出したのが大阪を活動の拠点とする研究グループであったのもあり、当該論文は「大阪エンターテイメント都市構想研究会」(座長:橋爪紳也)と呼ばれた任意団体に持ち込まれることで、それをベースにして夢洲構想の原型が作られ、更にそれが関西経済同友会、大阪府市へと引き継がれてゆくことで、現在の形にまで発展してきたのが実態。一方でフタをあけてみると、当初謳われていたような市場予測の数字は現実的には出てこないわけで、行政が皮算用で構想した計画は足元から崩れて行ってしまったわけです。

一方で行政側は当初描いた構想になんとか開発案を近づけようと、投資額を高いレベルで維持させる為に民間に対して冒頭で述べたような「1兆円投資を要望」の様な行動を取り始めるワケですが、そうやって市場規模に見合わない投資額を「無理やり」民間に求めることは将来の市場形成にとってはけして良い影響は与えません。IR投資は公共投資と異なりあくまで回収を前提とした民間投資です。行政からの求めで半ば強制的に過剰な投資を行った事業者は、開業後の運営の中でそれを猛烈に「取り戻そう」とし、それらが実際の運営の在り方に反映されてゆくことになります。

我が国のカジノ合法化は、国民に単純な賭博の場を提供することを目的としているのではなく、あくまで観光振興、なかでも特に国際観光の振興を目的として導入されたものです。その顧客に関しても「地元民よりも観光客、その中でも特に国際観光客」を自ずと収益の中心とさせるように制度や入札設計の面で様々な誘導が行われています。一方で、行政から強要されて行った過剰な初期投資を無理に取り戻そうとすれば、事業者は「国際観光客だけでなく日本人観光客も、それでも足りなければ地元民も」と本来政策的には望ましくない方向へと運営スタイルを振って行かざるを得なくなるわけです。

要は、適正な事業者間の競争の中で投資額が大きくなってゆくのは良いとしても、それら競争が適正な範疇を大きく超えて過剰な投資を生んでしまうような環境を行政自身が意図的に作ってり出して行くような入札のあり方というのはけして健全ではないわけで、そういう行動はまずもって控えましょうということ。巨大な遊休地を抱える夢洲をIR開発地として指定してしまった大阪はもはや後戻りが出来ないのかもしれませんが、それ以外のIR誘致都市の皆様はかつて「ウン兆円」なんて言われていた間違った市場推計値を一旦頭から取り払って、改めて白紙から開発構想を描いて欲しいなあと思うところです。

私としては、過去に積み上げられた間違った与件によって、日本に過剰投資を前提とした歪んだ市場が成立してしまい、それ故に日本のカジノ市場が不健全な方向に走ってしまうことだけは避けたいな、と思うところであります。


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厳しい撤退戦の続く大阪カジノ構想

私にとっては「だから以前から申し上げてましたよね」案件でしかないのですが、日テレNEWS24が大阪IRに関して以下のような報道を行っています。以下、転載。


IR 万博前全面開業は困難 事業者側の声
http://www.news24.jp/nnn/news16225170.html
府の幹部は、読売テレビの取材に対して現在の状況をこう話した。「IR事業者が工事を巡って、いろいろ条件を出してきている。その中で(万博前の)全面開業は無理だと伝えてきている。府市としては事業者がそう言ってきている以上は、断念せざるをえない状況だ。」


大阪府市は2024年の万博前開業に拘って来ましたが、私自身は現実的に考えてそれは無理でしょうという話は前々からしてきたワケで、ここに来てやっと正式に断念したとの報であります。という事で、今後は万博前に開業可能部分と、万博後開発を分ける一部早期開業を前提としてプロジェクトの検討が進むものと思われます。

一方、これも以前から申し上げている事ですが、万博の様な大型国際イベントというのはテロ対策の為に会場近隣で工事途中の現場が残っていることが憚られるのが一般的で、2020年に東京で行われるオリンピックなどを例にとれば、通常はこの種のイベントの半年前までには近隣の大型開発を完了させる様にと警察側から要請が来るもの。果たして、大阪は万博開催期間中のセキュリティ上のリスクを毀損しながらも、その隣でIRの開発工事を継続させるのか。はたまた万博前に一旦施設開発を完了させた上で、終了後に残存部分の工事を再開させるのか。どっちを選んでも、何かしらの問題や懸念が発生するだけに、大阪府市には非常に難しい舵取りが求められます。

今回の件に留まらず、大阪IR構想を巡ってはここの所、かなり厳しい報道が続いています。例えば、先月報じられた以下報道。

IR用地、賃貸で対応 松井市長「主導的立場を維持」
https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/191018/20191018032.html

行政が「主導的立場を維持する為」などという説明がなされていますが、そもそも我が国のIR法制は国からIR設置の承認を受ける主体は都道府県等とされており、最初から行政側に主導的立場があるものとして形作られています。要は、本件にあたって府市が説明する「主導的立場を維持する為」というのは一種の方便であって、実態としてはこれもIR事業者と大阪府市の間の「要件闘争」の中で、行政が一歩引かざるを得なくなった結果なのでしょう。

同じく先月末には以下のような「大阪府/市がIRへの1兆円投資を要望として提示する」などという報道もありましたが、これもまた直後に松井市長から否定コメントが出てきております。

カジノIR、投資1兆円規模要望 大阪府・市が事業者に提示へ


大阪府市、もしくは府政/市政をあずかる大阪維新の会は、これまで様々な場面で「大阪IRで見込まれる投資金額が1兆円前後である」と表現してきたワケですが、投資見込み金額に関してはここに来て各種表現が徐々に控えめになってきているのが実態。

松井市長が回答をした元twを投稿した辻よしたか議員(大阪市議)が懸念するように、大阪市がこれまで主張し続けてきた1兆円という数字は日本の市場に対してはオーバースペックであるという認識が業界の中に広がりつつあり、それを「要件」としてしまった場合、最悪IR事業者のさらなる大阪離脱が進む可能性もある。そういうリスクを見ての松井市長の「具体的な金額を提示要請するつもりはありません」という回答なのでしょう。

【参考1】ラスベガス・サンズが100億米ドルは単なる「開始点」、日本の開発コストへの懸念に言及
https://www.asgam.jp/index.php/2019/10/25/las-vegas-sands-cites-concerns-over-japan-development-costs-with-us10-billion-only-the-starting-point-jp/
【参考2】ウィン・リゾーツ、日本のIR開発コストの上昇に対するLVSの懸念を反映
https://www.asgam.jp/index.php/2019/11/08/wynn-resorts-echoes-lvs-concerns-over-rising-japan-ir-development-costs-jp/

かつて7社が進出意向を示していた大阪IRでありましたが、既に過半が大阪からの撤退を表明し、残す所、候補が3社にまで絞られております。この種の競争というのは、希望者が多いうちは「選ぶ側(=行政側)」に主導権がありますが、一旦、候補者の数が減り始めるとその主導権が徐々に「選ばれる側(=事業者)」に映ってくるのが常。

上記で挙げられた要件以外にも例えば事業者側からは;

①大阪府市が事業者に対して当初から求めて来た、向こう30年の営業補償
 (※国の認定期間は10年)
②夢洲と本土を繋ぐ地下鉄敷設の負担金200億円

この辺りは当初から「重すぎる」という批判が内々で存在してきたのが実態。大阪府市としては、徐々に強まる事業者側の発言権に対して、どこまで当初想定してきた「要件」を守り切れるのか。厳しい撤退戦を強いられているというのが現状であります。

渋谷区はもう「ナイトタイムエコノミー振興」の看板を降ろした方が良い

以下のような報道が舞い込んできて、一応、ナイトタイムエコノミー業界の識者の一人として認知されてる身としてホンマに悲しくなりますわ。以下、シブヤ経済新聞からの転載。


夜の渋谷でバスケットボール ナイトタイムエコノミー振興に
https://www.shibukei.com/headline/14586/

一般社団法人渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会が主催する、夜の経済振興・文化振興に向けカンファレンスやイベントなどを展開する「WHITE NIGHT WEEK SHIBUYA」の一環。バスケットボールメディア「FLY Basketball Culture Magazine」監修の下行う今回は、バスケットボールを「観戦型スポーツのナイトタイムエコノミー」として捉え新たな集客を狙う。


「ほほう、興味深い」なんて言いながら当該記事を読み始め、「コートを囲うように鑑賞者用の客席を用意」なんて情報を読んで「おお!!」と思ったわけですが、最後の最後で「開催時間は19時~21時。観覧無料。今月10日まで」とかって情報が出てきて、

「観戦無料じゃ意味ねええええええええええええええええええええええええ」

ってなったワケです。いや、マジで。この観覧無料の観客席を設けたストリートバスケ場に観客がやってきて、そこで1時間そこらの時間を潰したとして、そこにどれ程のナイトタイム「エコノミー」が廻るのでしょうか?「エコノミー」の意味知ってます?経済っすよ、経済。

いや寧ろ、そこに集まった人たちが近所のコンビニで酒とツマミくらいは買うかもしれませんね。で、彼らが酔って騒いで騒音問題を起こし、ゴミを散らかして、近隣苦情を巻き起こす。その「対策」と謳ってしぶしぶスタッフ配備やゴミの整理人を手配し、それを見た周辺住民が「あんな無法者たちの為になぜ我々の税金が」とか言い出し…ってその構図、私どっかで見たこと有りますよ。貴方達、一体アレだけ社会から糾弾された渋谷ハロウィンから何を学んだんですか?

今年10月31日のハロウィンに際して、私は以下のような記事を書きました。以下、私のYahoo!ニュース側のコラムからの引用。


渋谷ハロウィン問題を解消する為の唯一の方法
https://news.yahoo.co.jp/byline/takashikiso/20191031-00149062/

観光客が来るという事は、根源的に地域にとってはコストである。観光客を多数誘致したにも拘わらず、そこで発生する様々なコストを上回る経済効果が地域にもし生まれなければ、観光施策はただ地域のリソースだけを浪費して、リターンを生まないマイナスの政策になってしまう。国や地域がもし自然や歴史など収益を生みにくい観光資源を「売り」とするのなあば、逆に「そこからどうやってお金を生み出すのか」という仕組みづくりにもっと真剣に取り組む必要がある。そして、この「消費」の観点から観光政策を捉えた時、ナイトタイムエコノミー振興の重要性が見えてくる。


大変申し訳ないですけど、渋谷区の皆さんはナイトタイムエコノミーの基本の「き」すら判ってないっていうか、あの渋谷ハロウィンの大騒動を経験した後も未だこんなことやってる様では本当に意味がない。最早、明後日の方向にしか行ってないので、たった今から「ナイトタイムエコノミー振興」の看板は降ろして頂いた方が良いと思います。この分野を頑張って推進してきて、延々と世間に向けてあれやこれやと情報発信をしてきた身として、ホンマ悲しくなりますわ。

中国、未成年の深夜ゲーム禁止へ

中国の現地メディアから以下のような報がなされ、業界が騒然としております。以下、4Gamerからの転載。


中国政府が「未成年オンラインゲーム中毒防止に関する通知」を発表。未成年者は深夜のログイン不可,プレイ時間は平日1.5時間までなど
https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20191106115/

中国新出版●(●はまだれ)にて報じられた詳細によると,同国内でサービスされているオンラインゲームを対象に,未成年(中国では18歳未満)のプレイヤーに対し,22:00~翌8:00はログイン不可,土日・祝日は3時間まで,平日は1.5時間までのプレイ時間制限が課せられるとのこと。

また,課金サービスについても未成年への制限が行われる。8歳未満は課金サービス自体の提供が不可,8~15歳は「1回のチャージ上限は50元(約780円)/月ごとの合計課金上限は200元(約3120円)」,16~17歳は「1回のチャージ上限は100元(約1560円)/月ごとの合計課金上限は400元(約6240円)」になるという。

本中国政府による未成年ゲーム規制に関する施策は、今年の4月の時点で既に行政当局から発表されていたものではあるのですが、まさかこんな厳しい基準になるとは…と言ったところであります。以下、今年4月の時点で発表されていたリリース。

CHINA GAMING REGULATOR TO INTRODUCE NEW APPROVAL PROCESS THIS MONTH

ちなみに、この第一報に対してtwitterなどでは「中国ならではの規制」的な論評が散見されますが、未成年の家庭でのゲームを規制する手法は中国が発祥ではありませんでして、実は既に韓国が2011年から導入している「青少年夜間ゲームシャットダウン制」が発祥であります。要は、この種の施策は共産圏だからこその強権発動というよりは、自由主義圏であったって世論の高まり次第ではこういう方向に社会が動き得るという事であります。以下、GameWatchによる解説を参照。


「青少年夜間ゲームシャットダウン制」に揺れる韓国オンラインゲーム業界
少年少女の深夜プレイを強制的に禁止! その実態に迫る!!
https://game.watch.impress.co.jp/docs/series/korea/446640.html

「シャットダウン制」とは、16歳未満のユーザーは午前0時から午前6時の間、オンラインゲームのプレイを禁じるという法案。韓国では通称“シンデレラ法”とも呼ばれる。この後、韓国大統領がこの法案を承認すれば、今年の10月以降に実施されることになる。仮に施行された場合、すべてのオンラインゲーム提供会社は、韓国内で展開しているすべてのオンラインゲームに、プレイさせないために必要な措置を講じなければならない。

一方、目を欧州圏に転じますと、実は欧州圏では欧州を中心に16か国のゲーミング規制当局(ギャンブル規制当局)が集まるGaming Regulators European Forum(GREF)において、ゲーム内における課金システムのうち特にルートボックス(日本で言う「ガチャ」)や、ゲーム内アイテムを利用した賭け(スキン賭博/アイテム賭博)に関する各国規制に対する意見書が、この9月に策定されたばかりであります。以下、GREFによる意見書「Micro-transactions in social gaming and video games」へのリンク。

Micro-transactions in social gaming and video games

上記意見書では、ゲーム時間というよりは寧ろゲーム内に実装されるルートボックスや、ゲーム内アイテムを利用したスキン賭博が消費者保護、青少年保護の観点からリスクを高めており、それに対して欧州各国政府の行政当局は積極介入をして行く必要があるとしたもの。実は、アメリカでも類似する論議が既に発生しており、連邦取引委員会(日本の公正取引委員会に該当する組織)において研究会などが始まっている状態です。

What the FTC Loot Box Summit Could Mean For the Video Game Industry
https://www.cbr.com/loot-box-summit-effects-video-game-industry/

そして、実は日本においても既に厚生労働省が今年度前半に青少年におけるゲーム依存を調べた大規模な実態調査を実施済みであり、あとはその発表を待つばかりというのが現状。遠く聞こえてきておる話によると、かなりショッキングな結果が出ているなどという事で、日本は日本でまさに当該論議が瀬戸際まで来ている状況と言って良いでしょう。ゲーム業界では、ゲーム対戦を興行として捉えた「eスポーツ」に注目が集まり、どちらかというと業界にとってはフォローの風が吹いているのは事実だと思いますが、こういう時こそ各種問題に対して注意深く手当てをすることが必要。これは、9月に朝日新聞が報じた関連記事に私自身が寄せたコメントの通りであります。


eスポーツ、甲子園と同じ?ゲーム依存の心配、将来性は
https://www.asahi.com/articles/ASM9F5T7SM9FUTQP02D.html

eスポーツの普及の中で留意すべきことは何でしょうか。健全なカジノ産業のあり方を調査研究する国際カジノ研究所の木曽崇所長に語ってもらいました。

ゲームをeスポーツという競技ととらえるなら、それに集中して長い時間プレーすることは、甲子園を目指す少年が一日中野球をやっているのと同じ。ゲームだけを責める理由にはなりません。依存とは、それにはまりすぎて、その人の経済事情、社会的生活に支障を来してしまう状態です。学生なら、勉学をおろそかにしてはならないのは当然のことです。やりすぎが問題であることを、野球やサッカーとゲームを同じ文脈で語る必要があります。

産業側は、eスポーツの社会的認知を深めるため、競技が持つプラスの効用をしっかりアピールするのとともに、はまりすぎてネガティブな状況が起こり得ることを前提に、これから対策を研究していかないといけないと思います。


大前研一が無能であるこれだけの理由

ホント勘弁して欲しいのですが、大前研一さんがまた「カジノは斜陽」論を振り回し始めています。以下、プレジデントオンラインからの転載。


大前研一「カジノは不要であるこれだけの理由」
https://president.jp/articles/-/30401

今どき、カジノを新設しているのは東欧やバルト三国、アメリカの先住民族対策地など観光素材の乏しいところばかりで、世界的に見るとギャンブルとしてのカジノ産業は斜陽化している。

カジノ・リゾートとして知られる米ニュージャージー州のアトランティックシティでは14年以降、トランプ大統領が経営していた「トランプ・プラザ・ホテル・アンド・カジノ」をはじめ、カジノがドミノ倒しのように倒産した。


いや、アメリカでは今年6月にマサチューセッツ州ミシシッピ州【訂正:2019/11/06】ではボストンで大型のカジノがオープンしたばかりですし、米国ペンシルバニア州では2004年にカジノを合法化し、州都フィラデルフィアに2010年に開業したリバースカジノを含め近年10の州内でカジノ施設が誕生しています。

【参照】全米初の地域融合型リゾート「アンコール・ボストンハーバー」全米屈指の学園都市に誕生
https://kyodonewsprwire.jp/release/201907168718

一方で、大前研一氏が「カジノがドミノ倒しのように倒産した」として紹介しているニュージャージー州のアトランティックシティのカジノは、むしろこういう新興のカジノ群との競争に負けた結果なのであって、アメリカのカジノ産業全体が斜陽期に入ったからではない。

その証拠に2019年の最新統計では、米国商業カジノの産業規模は前年比3.4%増の417億ドル、史上最高額にまで達しています。「アメリカの先住民族対策地など観光素材の乏しいところばかりで、世界的に見るとギャンブルとしてのカジノ産業は斜陽化している」ってのは、どこの並行世界の話をしているんでしょうか?

ダウンロード (5)
(出所:American Gaming Association, "State of the States 2019")

大体あなた、今年の9月には「横浜カジノ構想はワシが育てた」と言わんばかりに、以下のような記事をzakzakに掲載したばかりじゃないですか。


横浜カジノ誘致、米軍が“占拠”する「ノースピア」にIRを 「ハマのドン」の懸念も解消 
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190902/pol1909020001-n1.html

私は約20年前に横浜市の将来図を横浜商工会に提案している。その中で、IRを誘致するのなら、横浜港の瑞穂埠頭の港湾施設「ノースピア」を使うことを進言した。ここは横浜のど真ん中にあるのに、米国陸軍の撤退後もいまだに返還されず、米国が“占領”する形になっている。これを返還しろ、と鉢巻き締めてやるのも大人げないし、トランプ大統領が相手ではいくらのカネを請求されるか分からない。

ここに建前上は米軍の“占拠”のままにしてカジノをつくれば、入るのはパスポートが必要になる。それにより、人の管理ができ、ギャンブル依存症の問題も減らせる。外国から来た人はそのまま入ることもできる。ノースピアを使うというアイデアは、奇抜でも何でもない。一番オーソドックスだと思う。これで港運協会の懸念も丸く収まるのではないか。


アッチのメディアで適当なことを吹き、コッチのメディアでは全く論旨の合致しない別の適当な話を吹く。正直、貴方のカジノに関する言説は既に支離滅裂ですから、少なくともこれ以上、日本のカジノ業界に言及するのは辞めて貰えますかね?

著者プロフィール


木曽 崇(キソタカシ)

国際カジノ研究所 所長
エンタテインメントビジネス総合研究所 客員研究員
諏訪東京理科大学 地域連携研究開発機構 客員研究員

経歴:
日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者での会計監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長に就任。

2014年よりアジア圏最大のカジノ国際会議&展示会であるGlobal Gaming Expo Asiaのアドバイザリーボード委員。2018年より公立諏訪東京理科大学 地域連携研究開発機構 客員研究員。

より詳細なプロフィール

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