さて、ラスベガスから大きなニュースが入って来ました。ラスベガスカジノ企業の雄であるMGM Resorts社が同社の旗艦カジノであるベラージオを投資ファンドBlackstone社に売却するというニュース。以下、Bloombergからの転載。

MGM社、ベラージオの売却を42.5億ドルでブラックストーン社と合意
MGM Agrees to Sell Bellagio to Blackstone for $4.25 Billion
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-10-15/mgm-sells-bellagio-to-blackstone-for-4-25-billion-in-lease-back

売却合意額はおよそ4,600億円、MGM社はベラージオの不動産そのものをブラックストーン社に売却はするものの、リースバック形式で引き続き同施設の経営は維持するそうです。このリースバック方式の不動産売却は、実は先日同様にラスベガスのオフストリップに立地する著名カジノRio All Suiteの売却でも利用されたばかり。以下、News3 Las Vegasからの転載。

シーザース社、リオカジノの不動産を5.16億ドルで売却
Caesars sells Rio casino-hotel to real estate company for $516 million
https://news3lv.com/news/local/caesars-sells-rio-hotel-to-real-estate-company-for-516-million

カジノ業界ではカジノ事業会社自身が不動産保有企業と施設運営企業をグループ内で分離し、不動産保有企業側をREIT上場させるなどという形式の「所有と経営の分離」は行われて来ましたが、完全なる第三者企業に対して不動産保有権を譲渡してしまう(もしくは最初から第三者に保有権がある)という、今日(こんにち)ホテル業界で主流になっている様な開発方式がなかなか進んでこなかった業界でありました。しかし、今回MGM社は、このリースバック方式での不動産売却検討をグループ内で進めるとコメントをしており、いよいよカジノ業界でも「所有と経営の分離」の波が広がるのかな、と感じておるところです。

ちなみに、リースバック方式を取ることによってカジノ企業は不動産保有者に賃料を支払わなければならなくなる為、EBITDA上は施設売却がマイナスに影響します。一方で、不動産開発に対する投資の「回転率」をあげることが出来る為、カジノ企業は短期で複数の施設開発が可能となる。今回、MGM社がベラージオを売却した4,600億円が向かう次なる開発の最大の候補先は…当然ながら同社が大阪夢洲で開発権の取得を目指している日本の統合型リゾートということになります。

日本における統合型リゾート開発を外資系企業が受託することを「日本の国富が外資に持ってゆかれる」などと表現する人がカジノ反対派の方々の中には多いですが、こういう人達は施設営業が始まった「後」の営業利益の部分にしか目が行っておらず、営業が始まる前の開発段階で海外から持ち込まれる多額の開発資金の存在を忘れてしまっている。近年問題視され始めているGAFA問題を始めとするインターネットサービスなどと異なり、外資カジノ企業が日本で施設営業を行うにあたっては、その大前提として多額の開発投資を「外から持ち込む」ことが必要であり、その資本流入分を無視して「国富が外資に持ってゆかれる」などと表現することは圧倒的な間違いであるということを、こういうレトリックを使いがちな反対派勢力の方々は自覚して欲しいな、と思うところです。


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