前回投稿では、宝くじのインターネット販売開始をご紹介しましたが、近年インターネット販売において売上を伸ばしているのは宝くじだけではありません。それが公営競技業界です。

現在においても先入観のみで「公営競技はバブル期以降、右肩下がりで…」などという論説がアチラコチラに散見されるわけでありますが、実際の各公営競技の売り上げは既に底打ちの兆しが出てきており、昨年度における売上実績においては競輪およびボートレースが前年度比でプラスの売上に移行し始めています。以下、それを報じたスポーツニッポンの記事からの転載。


26年度公営競技売上 競輪&ボートはアップ、オートはダウン
http://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2015/04/02/kiji/K20150402010094440.html

1日、公営競技を所管する各団体が26年度の売上を発表した。競輪は6158億8102万9300円で前年比101.6%、ボートレースも9952億8819万2100円で同105%とアップ。また、オートレースは668億1833万5100円で同97.2%とダウンした。 


これら公営競技の好調を支えているのがネット投票の隆盛。特に象徴的なのが競輪業界で始まっている「ミッドナイト競輪」と呼ばれるネット専用レースの存在であります。

ミッドナイト競輪とは、夜の9時から深夜0時までの間に出走が行われる競輪レースの事であり、ネット等を通じた動画配信のみで観客なし、かつ投票もインターネット販売のみというネットに特化したレースのこと。実は、公営協議場の運営は、発券業務や観客の送迎、交通整理に要するコストが営業を圧迫している部分が多く、それらコスト要因を全て廃して開催を行うミッドナイト競輪の開催では黒字が出ます。

現在、競輪業界においては全国5場において昼間の観客有りのレースと、夜間の無観客レースを組み合わせて実施を行うことで各場の業績がプラスに転じており、この「深夜の無観客レース+ネット販売」という様式が業界における救世主になっているところ。今月11日からは岡山県の玉野競輪場が6つ目のミッドナイト競輪場としての稼働を予定しており、玉野市競輪事業課・山下浩二所長による以下のような力強い(?)メッセージが東京スポーツに寄せられております。


玉野競輪場が描くミッドナイト戦略…安心してください「撤退しません」
http://www.tokyo-sports.co.jp/race/cycle/488635/

いまミッドナイト競輪が熱い。小倉競輪場を皮切りに前橋、青森、高知、佐世保で開催されており、いずれもにぎわいを見せている。1月からは岡山県玉野市の玉野競輪場が6場目として新たに加わる。1月の11~13日にオープニング戦、24~26日に「大阪スポーツ杯」を実施し、2、3月にも2開催ずつ計6節が発表されている。玉野競輪場の描くミッドナイト戦略に迫った。


このように全国の潰れかけた公営競技場が現在、「深夜の無観客レース+ネット販売」の組み合わせで俄かに息を吹きかえしており、上記の東スポの記事内でコメントしている玉野市競輪事業課・山下浩二所長も含めて、数十年ぶりに訪れた明るいニュースに業界関係者の鼻息が荒くなっているのが実情であります。

ただ、大変申し訳ないのですが業界の外からこれら一連の動きを見ている私などからすれば、そもそも各競技場が昼間の観客有りのレースで大赤字を出しながら、夜間の無観客レースでそれを取り戻しているような状態ならば、こんなに全国津々浦々に公営競技場が存在している必要はなく、レースを各地方毎で1つの場に集約した上で、あとはネット配信を主とした営業に切り替えれば良いんじゃね?的な、ミッドナイトレースの採用で何とか廃業を免れようと必死な全国の競技場関係者の努力を台無しにする、身もフタもない発想がでてきてしまうワケです。

とはいえ、観客なしのレースのみが稼ぎを出しているような状況下では「無観客のネットが稼ぐ→協議場は沢山要らない→廃業すれば?」という主張は当たり前の論理思考の結果として出て来るものであり、今のミッドナイトレースの興隆が「真の意味で」潰れかけた全国の競技場の救世主となっているのだろうかなぁ…などとも思っているところであります。一方で、なんら良いニュースがなかったここ数十年の公営競技業界における暗黒期の状況と比べれば、ミッドナイトレースに一縷の望みが見えた現在の状況は公営競技業界にとっては良い状況なのでしょうねと考えているところ。昨日の宝くじのインターネット販売と同様でありますが、各賭博関連業種のオンライン展開というのはこれから暫く目を離せない状況にあると言えます。


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