巷ではJリーグのプロサッカークラブである東京ヴェルディが、家庭用ゲーム機のサッカーゲーム「FIFA」専属のプロチームを立ち上げるなど、eスポーツ界隈が大きな転換期を迎えております。


【参考】Jリーグクラブ・東京ヴェルディがe-Sports部門を立ち上げ。
「FIFA」専属プレイヤーの公募をスタート
http://www.4gamer.net/games/345/G034510/20160909061/


一方、「射幸性産業」の専門家として気になるのが、これらeスポーツ業界における「賞金制大会」の法的な問題です。ゲーム大会における「賞金」の設定というのは現在のeスポーツ業界の盛隆においては一つの「鍵」となっているワケですが、一方で実は、これらは刑法賭博罪のみならず風営法、景表法など幾つかの法令に抵触する可能性があります。

この辺の話というのはキッチリと法令適用の有無の確認がなされない「なんとなく」のままで、これまでeスポーツの推進が行われてきたワケですが、一方でこの種の分野は産業が大きくなり、世の中で話題とされるようになった時点で、後付けで「実は法令上NGでしたー」なんてことになるというのは良くある話。やはり産業が健全に成長する為の大前提としてこれらの法令適用の事前確認というのは必須であるワケです。

ということで、実はここ数か月、まずは景表法を所管している消費者庁と幾度にも亘ってやり取りをし、法令適用の有無の確認をしてきた状況。そして本日、その答えが出て来ました。まずは、第一報として私が消費者庁の担当課とやり取りした内容を私見を挟まず、そのまま以下に公開させて頂きます。

まず第一にアーケードゲーム、家庭用ゲームタイトルを利用した賞金制大会に関する答申に関して、私側が消費者庁に問い合わせた内容から:


消費者庁における法令適用事前確認手続に関する細則の規定に基づき、下記のとおり照会します。

実現しようとする自己の事業活動に係る具体的な行為
・ 当社(株式会社国際カジノ研究所)は、カジノ、および宿泊、飲食、ショッピングセンター、その他各種アミューズメント施設に関する調査、およびコンサルティング事業等を業務としている。
 
・ 当社は、ネットワークを介して異なる筐体間で対戦することができる機能を有するアクションゲームを一般消費者に供給する事業を営む具体的な予定があるところ、当該アクションゲームの認知普及のためのプロモーションの一環として、当該パズルゲームの販売又は提供期間中に、当該アクションゲームを利用した大会を開催し、その大会における成績優秀者に対して賞金を提供するという企画を考えている。当社は、この大会の主催者あるいは協賛者という立場で参加することを予定しているが、いずれの立場であっても、大会における成績優秀者に対する賞金については当社が準備する。
 
・ この大会に参加を希望する者から参加料や入場料を徴収することはなく、家庭用ゲーム機向けに販売する当該アクションゲームのソフトを購入した者及びゲームセンターに設置されている有料のアーケードゲームで遊戯したことがある者(これらの者をまとめて「有料ユーザー」という。)のほか、そもそも遊戯したことがない者であっても、オンライン上の特設サイト(誰でもアクセスすることが可能なサイト)にあるフォームから出場登録を行った後、メールにて受け取った出場証を大会当日の会場にて提示すれば参加することができる(なお、それ以外の方法で参加することはできず、仮に応募多数となった場合は抽選とする予定である。)。
 
・ 大会については、上記特設サイトのほか、主にネットメディアもしくは関連する紙メディアを用いて、広く告知することを予定している。
 
・ この大会で使用するアクションゲームは、家庭用ゲーム機向けソフトの購入、またはゲームセンターに設置されているアーケードゲームに金銭を支払うことにより遊戯することができる。それ以外にユーザーから金銭を徴収するサービスやコンテンツの提供はない(なお、家庭用ゲーム機向けソフトの場合、ユーザーは、ゲームのネットワーク対戦機能を利用するに際して、月額のネットワーク使用料を支払う必要があるが、当該使用料は、家庭用ゲーム機メーカーによって徴収されるものであり、この売上げは当社には一切入らない。)。
 
・ 大会は、参加者1対1の個人戦又は団体戦において対戦型のアクションゲームを行い、先にゲームオーバーとなった者が敗者となり、対戦した者よりも長くゲームを続けられた者が勝者となる。また、対戦形式は、トーナメント制であり、トーナメント表に基づいてゲームを勝ち抜いた参加者のうち、上位入賞者(成績優秀者)が賞金を獲得する。大会では、参加者のゲームに対する熟達度によりゲームの勝敗が決し、それにより成績優秀者が決まることとなる。大会当日の会場にて成績優秀者の発表を行うが、表彰は安全上の配慮により賞金額を記入したパネルを手渡すのみであり、賞金は、後日、成績優秀者の銀行口座に振り込むことを予定している。
 
・ 大会で参加者が使用する機器は、主催者側で準備する予定である。
 
・ 本アクションゲームにおける技術向上のためには、原則的に繰り返しのゲームプレイが必要であるため、有料ユーザー以外の者が「成績優秀者」として賞金を獲得する可能性は低いと考えられる。また、有料ユーザーは、大会前に自ら有していたキャラクターを用いて参加することはできない。
 
・ 大会の会場は、決定したものはないが、自社とは関係ない第三者が運営する施設(エキシビジョンホールのような会場)を利用する予定である。会場において、主催者、協賛者等が具体的な商品又は役務の販売、勧誘行為を行うことはないが、当該施設においては、飲食物が販売されている場合があるところ、その売上はあくまでも第三者に帰属し、主催者、協賛者等(当社含む。)には一切入らない。

また、当日の会場が、仮に第三者の開催している展示会等のブースを借り受けてその会場の一部となるような場合には、あくまでも大会主催者は出展者の1つとして大会を開催することとなる。このような場合、当該展示会への入場者は、通常、展示会の主催者に対して、展示会規定の入場料を支払う必要があるため、(参加者の当該入場料は大会主催者が負担するものの、)観戦者については当該入場料の支払いをお願いすることになる。

 

以下、消費者庁表示対策課による回答:


1. 照会のあった具体的事実については、紹介者から提示された事実関係を前提とすれば、景品表示法第4条の規定の適用対象となると考えられる。

2. 当該事実が照会対象法令の適用対象となることに関する見解及び根拠
(1)景品類とは、「不当景品類及び不当表示防止法第二条に規定により景品類及び表示を指定する件(昭和37年6月30日公正取引委員会告示大3号。以下「指定告示」という。)第一項に規定されているとおり「顧客を誘引する為の手段として方法のいかんを問わず、事業者が自己の供給する賞品または役務の取引に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益」をいう。

(2)紹介者が実施を予定している、ネットワークを介して異なる筐体間で対戦する事ができる機能を有するアクションゲームを利用した賞金制大会(以下「本件企画」という。)は、紹介者が「顧客を誘引する為の手段として」、一般消費者に対して供給うることを具体的に予定している当該アクションゲームに関する大会を開催し、当該大会における成績優秀者に対して「経済上の利益」である賞金を提供するものである。

(3)「景品類等の指定の告示の運用基準について」(昭和52年4月1日事務局超通達第7号)によれば、「商品又は役務を購入することにyり、経済上の利益の提供を受ける事が可能又は容易になる場合」(4(2)イ)には、経済上の利益の提供は、「取引に付随」する提供に当たることとなるが、照会者によれば、
○本アクションゲームにおける技術向上のためには、原則的に繰り返しのゲームプレイが必要であるため、有料ユーザー以外の者が成績優秀者として賞金を獲得する可能性は低いと考えられる。
とのことである。これを踏まええれば、本件企画は、有料ユーザーが賞金という経済上の利益の提供を受ける事が可能又は容易になる企画であり、本件企画において成績優秀者に提供される賞金は、「取引に付随」する提供に当たるものと考えられる。

(4)以上から、本件企画において成績優秀者に対して提供される賞金は、景品表示法第2条第3項に規定する「景品類」に該当すると考えられることから、本件企画における賞金の最高金額は、「検証による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和52年3月1日公正取引委員会告示第3号)第2項で規定される金額(検証に係る取引の価額の20倍の金額[当該金額が10万円を超える場合にあっては、10万円])を超えてはならない。
 

次エントリでは、これと並行して法令適用の確認を行ったネットゲーム(PCゲームorスマホゲーム)を前提とした賞金制大会に係る景表法の適用に関する答申をご紹介します。


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