誘致活動

揺れ動く大阪自民の「乙女心」 ―夢洲カジノ構想に見る夢

府の調査予算がゼロとなり、市の調査予算が半減となった事で、当初予定から予算が4分の1にまで削減されてしまった大阪カジノ構想の検討に関して、自民党の大阪市議である柳本氏が非常に微妙な心情をブログに書き綴っています。


夢洲にみる夢~IRの動向~
http://blog.livedoor.jp/yanagimotoakira/archives/53197177.html

IR…統合型リゾートと言われても大阪人はいまいちピンとこないかもしれない。カジノと言われれば少しはイメージがわくのかもしれない。先日の大阪市会本会議では、「統合型リゾート(IR)を契機とした夢洲まちづくり構想」に関しての調査予算が7600万円補正予算として計上され、上程されていた。結論から言えば、維新から3000万円に減額する旨の修正案が提示され、賛成多数で可決された。[…]

自民党市議団においても、この予算に対する対応についての意見はナカナカまとまることは無かった。そもそも当該調査予算はIRを誘致する為の予算なのか?誘致の為の予算であればIR誘致を賛成しているという事になるので認めることはできない。国の方でIR関連法案が上程され、自民党としては基本的に賛成の方向とはいえ、それは国全体の総論の話。各論として、大阪に、大阪市に、夢洲に誘致することの是非については、改めて慎重に判断する必要がある。…これが、自民党大阪市会議員団の基本的スタンスだ。しかしながら、IR誘致を全否定することはできない。


上記の論旨を纏めてみると、

1) 自民党としては国会側で現在提出されているIR推進法に関しては基本的に賛成
2) 一方で、IRを「大阪に、大阪市に、夢洲に」誘致することに関しては慎重
3) しかしながら、IR誘致そのものに関して全否定をする事は出来ない
4)故に、維新から提案のあった減額した調査予算に関して賛成をした

という事のようです。

柳本市議といえば、住民投票直前に都構想反対派の代表として橋下氏とガチンコでやりあっていた大阪市自民党会派の筆頭格。反橋下でガチンコ勝負してきた同氏としては、同様に橋下氏が目玉政策として掲げる大阪カジノ構想に易々と乗る事はできない。でも…

…と、そこには微妙に揺れ動く大阪自民党の「乙女心」が垣間見えます。

特に注目すべきは、「大阪に、大阪市に、夢洲に」と絞った上で「(IR誘致の)是非については、改めて慎重に判断」という表現であり、これを素直に読めば大阪自民としては「大阪市夢洲以外の候補地も含めてIR誘致を再検討をします」という風に読めてしまいますね。

果たしてこんな曖昧な表現で、年末に予定されている府市の首長ダブル選挙を乗り切るつもりなのか。はたまた、IRに賛成するも、反対するも、どこかで明確にスタンスを示すのか。大阪自民の今後の動きに注目が集まります。

大阪統合型リゾート、イメージ映像とその弊害

先日、大阪IR構想の提言文書を発表した関西経済同友会から、今度は開発プロジェクトのイメージ映像が発表された模様です。以下、youtubeより。





これは以前のエントリからの繰り返しになりますが、地域にふさわしいIRの形を決めるのは地域の人間であり、域外の人間がドウノコウノ言う立場にはないというのは、私の原則的なスタンスです。なので、このイメージ映像の内容に関してのコメントはないのですが、一方でその外側にある「考え方」について一点だけ指摘しておこうと思います。

地域の統合型リゾート論議において、上記のように「イメージ画像、もしくは映像を作りたい」という要望が必ず上がってきます。これは多くの場合、「イメージを共有した方が地域内での論議が進めやすい」という政治的な要請に基づくものなのですが、私はこのような要望に対して、必ずその「弊害」に関してもお伝えすることとしています。

弊害1: 開発自体の実現性

当たり前なのですが、このような開発イメージは、その開発実施に責任を持たない第三者が勝手に作るものであって、その裏支えになる資金計画は元より、事業の収益性や経営効率などを全く度外視して作られるものです。

一方で、実際にフタを開けてみると「このような開発は、実務上難しい」ことが判明するというのは良くある話です。そのような事態が発生した場合に起こり得る顛末は、同じく開発コンセプトが先行する形で決定した事で、その実施に対して様々な難局にぶつかっているいる国立競技場の建て替え問題を見ればお判りになるでしょう。統合型リゾートのイメージを、実施責任を負わない者が勝手に作ることの「最初のリスク」は計画の実現性そのものにあります。

弊害2: 実際の開発イメージは入札で争われるもの

一方で、実際に地域に統合型リゾートを導入する時、実はこの種のデザインコンセプトも含めて開発計画全体を各事業者が提案する形式の総合評価型入札によって争われるのが通常です。当然ながら各事業者は己の知見、アイデアおよび、資金調達力などを勘案しながら、それぞれ独自の開発案を提示するのであって、あくまで地域はその中から「ベスト」と思われる計画を「選ぶ」だけの立場。逆にいえば、最終的に選ばれる開発は、何の実施責任も負わない主体が勝手に「お絵描き」したイメージ図とは、当然ながら違うものとなります。

弊害3: 実際の開発計画とイメージ図のズレがトラブルを起こす

そして、この初期のイメージ図と実際の開発計画のズレが、次なる問題を引き起こします。上述した通り、この種のイメージ図の作成は、多くの場合、「イメージを共有した方が地域内での論議が進めやすいという政治的な要請」に基づいて行われるものであるという事を述べました。すなわち、地域がIR導入計画を考え、そして域内合意を形成するにあたって、このように事前に作られたイメージが、域内の住民はおろか、地域行政や議会などでも必然的に共有されてゆくものとなります。

しかし、前出の通り、実際に導入段階で出てくる建設計画というのは、このイメージと全く別物となります。その際に起こり得るのが「話が違う」、「もっと●●なものが出来るつもりであった」という世論の「押し戻し」であり、同時に事前イメージを元に政治的決断をしてきた行政や議会としても、選ばれた実際の計画と、初期イメージのズレを許容できないものと成りがちです。

弊害4: 結果、「初期のイメージ案と同じものを作れ」という謎の要請が行政から行われる

このような事態が起こった時、もしくはそれが予見される時、行政側が起こすアクションというのは非常に容易に想像できるもので、開発実施に責任を持つ事業者に対して、無理やりにでも「初期のイメージ案と同じものを作れ」という要請が行われます。

それが現実のモノとして表れている実例が、繰り返し例として使って申し訳ないのですが、現在の国立競技場の建て替え計画です。当初のザハ案が技術的な建設実施はもとより、コスト面からも実現が不可能であるにもかかわらず、「政治プロセス上、似たようなものを作らざるを得ない」という事で、(主に建て替え反対派の)建築家の皆さんにしてみると「完全に似て非なるもの」である「疑似ザハ案」が作られ、その実施が粛々と進められているワケです。

国立競技場の建て替え工事に関しては、もはやここまで政治的プロセスを積み上げてきた以上、「疑似だろうがなんだろうが粛々と進めるしかない」というのが私のスタンスではありますが、同様の問題が統合型リゾート導入においても容易に起こり得るというリスクを十分に理解すべきなのです。



実は、上記で示した弊害は、私が勝手に想像しているだけのものではなく、諸外国における統合型リゾートの導入実施において実際に起こった事例、そして私自身が体験した事例を元にご紹介しているものです。

ロシアでは2006年に成立した連邦ギャンブリング法に基づき、2007年から国内4つのカジノ開発地域が指定されました。そのうちの一つが、極東アジア圏に位置するウラジオストック市近郊にあるわけですが、この地域では地域指定が行われた後、2013年までのあいだ延々と開発を担当する投資家が現れないという事態が起こります。そして、その背景にあった問題が、まさにここでご紹介した通りの状況です。

実はロシアでカジノ開発地域が指定された当初、私は民間の投資家側について、立地自治体である沿海州政府との交渉を支援する顧問契約を頂いていた時期があります。当時、私が付いていた企業のみならず、複数の投資家が、様々な開発案を州政府に提示していました。しかし、当時の州政府は地域の合意形成の過程で作成したイメージ図に文字通り「手足を縛られている」状態。結局、初期のイメージ図に沿った開発を事業者側に求めることしかできない状況にあり、結果的に彼らが行っていたのは「事業者による開発案」の募集ではなく、「事前に作られていたイメージに沿って開発してくれる業者」の募集にしかなっていませんでした。

一方、当然ながら実施責任を負わないデザイン事務所が勝手に作ったイメージ図は、事業者側から見ると投資採算が全く合わないものとなっており、私が顧問契約を受けていた事業者はおろか、競合となる事業者もすべてが当時「投資見送り」を判断しました。その結果、ウラジオストックのカジノ開発地域では、2012年に州知事が交代し、それ以前に行われた様々な政治プロセスをすべて覆すことが出来る環境が整うまで、投資家が現れない状況が続くこととなります。(現在では複数の業者が開発計画を示しています)

繰り返しになりますが、実施責任を負わない主体が、地域の開発事業に対してイメージ図を作ることは、その後に様々な難局を産むリスクともなります。私としては、導入検討を行う各地域が「開発イメージを作りたい」とする政治的背景も一方で理解しているので、これに対して100%間違っている施策であるとは言いにくいのですが、少なくとも上記のような問題が将来的に起こり得、また実際に諸外国の事例の中でも起こっているということは理解した上でその実施の可否を考えるべきでしょう。少なくとも、事前に作るイメージ図は域内で共有する為に必要となる「最低限」のものとし、あまり詳細すぎる「絵」を作るのは控えるべきであると考えます。

実は、大阪以外でも現在進行形で「イメージ図を作りたい」として動いている誘致地域があるのを私自身が認知しているワケですが、上記でご紹介した事例を参考にしながら、上手に「取り廻して」頂きたいと切に願う次第です。

千葉県のカジノ誘致検討、休止へ

以下、大きなニュースが飛び込んできました。以下、読売新聞からの転載。



私としては、千葉のIR構想にとっては必要な「三歩進んで二歩下がる」のプロセスかな…という感想ですが。

そもそも千葉県は、2011年に成田空港の活性化事業の一環として統合型リゾートの導入検討を開始しました。当然ながら、県としては成田周辺に特化した形での誘致検討を行ってきたワケで、当時、以下のような報告書も発表されています。


【参考】カジノ・MICE機能を含む複合施設の導入検討調査に関すること
http://www.pref.chiba.lg.jp/kuushin/ir/kekka0518.html


ところが千葉県ではその後、幕張を抱える千葉市が本格的に統合型リゾートの導入検討を開始、千葉市は千葉市で別の方向性で動き始めてしまいました。以下は、今年発表されたばかりの千葉市による報告書です。


【参考】幕張新都心におけるIR(統合型リゾート)導入可能性調査の結果に関する市民報告会の開催及び調査報告書の公表について
http://www.city.chiba.jp/sogoseisaku/sogoseisaku/kikaku/makuhari-ir-houkoku.html


こうなってくると、県の計画当初に立地検討地域として指定された成田空港周辺の基礎自治体と、その後、本格的に誘致検討を開始した千葉市の間に、完全なる利害の対立が発生します。県としては立場上、その利害調整を行い、同時に最終候補地を絞り込む為の「レフリー」的な立場に成らざるを得ないのですが、当初の段階で「成田空港周辺」として大きく舵を切ってしまっている身としては、非常に難しい取り回しとなってしまいます。

すなわち、県としては一度、「成田空港周辺」とした前言を撤回した上で中立な立場へとポジションチェンジをすることが必要であり、今回の県としての検討事業の中止は、その為に必要な「三歩進んで二歩下がる」のプロセスであると言えるでしょう。逆にいえば「積年のねじれ」が解消され、千葉のIR誘致としては、これでやっと仕切り直しが出来る状態となったともいえます。



実は、これと似たような構図にあるのが、大阪におけるIR誘致構想です。これは以前のエントリでも書いたことですが、大阪は大阪で府内に複数のIR誘致を希望する自治体があるにも関わらず、最初から「大阪市」だけを立地対象地域として検討プロセスを進めてしまうという、重大なプロセスエラーを犯しています。


【参考】大阪、カジノ候補地は「夢洲(ゆめしま)」
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8331094.html


現時点では維新の党が掲げる都構想を前提に、府市が一体となってこの事業を推進することの正統性を作り出しているワケですが、もしこの先、都構想が否定され、また維新の党が大阪府市の与党から陥落した場合には、千葉県と同様の仕切り直しが必要となるでしょう。この辺は、今春の統一地方選挙、および都構想に関する住民投票、そして今年の年末に控える府知事選挙の結果次第というところでしょうか。そういう意味で、今年は大阪のIR構想にとっては、非常に重要な「命運を分ける年」となると言えます。

いずれにせよ、我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入論議もいよいよ序盤のスタートダッシュの展開から、中盤へと差し掛かり、全国自治体による誘致レースにも徐々に動きが出てきたと言えるでしょう。勿論、まだまだレースは続くワケで、今の順位がそのまま維持されるワケではありません。今後も適時、各所の動きをお伝えしてゆきたいと思います。

カジノをめぐる橋下大阪市長vs井戸兵庫県知事の戦いがアツい!

産経新聞がカジノをめぐる首長のバトルを報じています。以下、産経新聞から転載。


カジノに異論「裏社会影響の試算ない」「大阪以外の人の依存症は」兵庫県知事
http://www.sankei.com/west/news/141014/wst1410140046-n1.html

兵庫県の井戸敏三知事は14日の記者会見で、国会で議論が進むカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案について「地域振興のために手段を選ばないという姿勢そのものが、基本的に間違っている」と厳しく批判した。


論戦の口火を切ったのは、井戸兵庫県知事。大阪の進めるカジノ導入構想に対して、隣県の立場から「大阪以外の人の依存症や、裏社会の活動など負の影響が試算されていない」と苦言を呈します。依存症に関する懸念は非常に一般的なカジノ反対論ではありますが、一方で「裏社会の活動」を前面に押し出すあたりは、兵庫県の「お国柄」とでもいいましょうか。

それに対して、当然、橋下大阪市長は反論を繰り広げます。以下。同様に産経新聞から。


「パチンコどうする」橋下市長、カジノ批判の兵庫・井戸知事に反撃
http://www.sankei.com/west/news/141015/wst1410150029-n1.html

ギャンブル依存症の懸念などから兵庫県の井戸敏三知事がカジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)の整備推進の動きを批判したことについて、大阪市内への誘致を目指す橋下徹市長(大阪維新の会代表)は15日、「カジノだけを排除したって、兵庫県のパチンコはどうするのかという話になってくる」と反論し、「大阪はしっかりと(誘致を)進める」と強調した。


この橋下vs井戸のカジノをめぐる舌戦は、実は橋下氏が府知事時代にも行われたもの。当時、大阪のカジノ構想を関西広域連合全体で推進する共通施策へと昇格させようと目論む橋下氏に対して、広域連合の連合長たる井戸兵庫県知事が「カジノなど絶対にまかりならん」と大反対を繰り広げ、すったもんだの末に広域連合の施策としてはご破算となりました。

その結果、大阪は府市統合本部の中で大阪府・大阪市の共通施策として大阪カジノ構想を進めることになるわけですが、今回の舌戦は当時の再現とでもいいましょうか。。

しかし、井戸知事の主張する「隣県の依存症が考慮されていない」というカジノ反対論は一見筋が通っているように見えますが、一方で実は競馬においては大阪と兵庫の関係が逆転するワケでして。。1974年の春木競馬場の廃業以降、域内に競馬場を持たない大阪府内の競馬ファンは、兵庫県内の阪神競馬場、園田競馬場を主戦場としていることが多いのです。そのうち、特に園田競馬場に至っては、兵庫県自身が主催者(施行者)でありながら、同時に明らかに大阪からの需要を狙って大阪との県境に設置されており、大阪からしてみると「まずは己が競馬場を廃止してから文句を言え」といった向きもあります。

いずれにせよ橋下市長vs井戸知事は、特にカジノに関しては絶対に相容れませんから、このバトルが今後の大阪カジノ構想にどのように影響するのか/しないのか?是非、注目してゆきたいと思います。

沖縄:観光で有効性判断を カジノ、県経済を論議

琉球新聞より、2月6日に開催された沖縄のカジノ関連シンポジウムが報じられています。


観光で有効性判断を カジノ、県経済を論議
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-202325-storytopic-4.html

県は6日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで、カジノを含む統合リゾート(IR)導入について考えるシンポジウムを開いた。沖縄でのIRの可能性や課題について討議し、カジノ導入について討論者らは沖縄が掲げる観光による経済発展を実現させるために、その有効性を判断する必要性を指摘した。「目的化してはならない」との意見もあった。約140人が参加した。[...]


この種のイベントは殊に「カジノ導入のための企画」になりがちですが、本来は「地域をどのように変えて行きたいのか」、「その為にカジノは有用であるか否か」を考える事が中心であるべき。そういう意味では、カヌチャベイリゾートの白石武博社長による「(カジノ導入を)目的化してはならない」というコメントは非常に正しいもので、壇上からこのような正しい見識を発することの出来る人材がいる沖縄は非常に有望であるといえます。

カジノ研究を専門としている私が言うのもなんですが、カジノ導入「なんて」ものは地域振興のために取りうる沢山の方策の中の一つでしかなく、それが地域の目指す方向性にそぐわないのであれば必要ないものです。一方、地域に投資を呼び、また雇用を作るという意味では強力な武器にはなり得ますから、それを地域の発展の為に上手く利用できる(orしたい)と考える地域は一定の住民合意を前提にやれば良いし、それが出来ない地域にカジノは存在すべきではない。その位、「冷めた」スタンスで論議をするのが良いのでは?と個人的には考えておるところです。

一方で、米国などからは以下のようなニュースも飛び込んできております。


メッツ球場に巨大カジノ!? ライバル会社が暴露、実現には難関も
http://www.zakzak.co.jp/sports/baseball/news/20130208/bbl1302080710001-n1.htm

米大リーグ・メッツのオーナーが、本拠地シティ・フィールドの隣に巨大カジノを建設する構想を抱いている-。ニューヨーク・ポスト紙のスクープ記事が、波紋を広げている。

名前の挙がったメッツのオーナーは、不動産開発業のフレッド・ウィルポン氏。2008年、同氏は友人でもあった実業家バーナード・マドフの投資話に乗って1億6200万ドル(約145億円)の損害を出した。実業家や映画スターなどを対象にした“ネズミ講”で、被害総額は650億ドル(当時6兆円)にのぼり、マドフは禁錮150年で服役中だ。

メッツはその後、何度か身売り説が流れたが、今回のカジノ構想は負債を一気に解消し、高額のスター選手との契約を維持するウルトラCになる。報道によると、「シネコック・インディアン・ネーション」という開発会社が、球場の隣接地にカードテーブルやスロットマシンを備えた500室のホテル建設を計画。メッツとその親会社が投資するのだという。[...]


今年の年頭所信演説にてリゾート型のカジノ導入を州知事が示唆した事で業界が騒然としているNY州ですが、結局論議はどこでも一緒で、カジノの持つ経済性と社会コストの比較の中から「地域にとっての最適解」を探って行くしかないんですね。特にニューヨーク市民にとって、メッツ球団の存続はもはや私企業の存続を超えた公共の福祉にも通ずるものですから、「それをカジノ導入によって支えよう」という形で一定の民意は集約できるかもしれません。ちなみに、アメリカでは今だスタジアムとカジノの複合開発はあまり見ませんが、ヨーロッパ辺りでは地域のフットボールチームの財源としてスタジアムにカジノを併設するような例は結構あります。

日本では過去の国内における構想の中で、国際的に評価が高いわりには財政的に恵まれず練習場の少ないスケート競技者のために、スケートリンクと併設したカジノ開発の構想を提唱している人も居ました。確か、昼間は練習場として選手に開放し、夜はアイスショーの会場としてエンタメを提供するなぞという案だったと記憶しておりますが…。現役選手達のトレーニング環境の改善は元より、競技生活を終えた引退者のための生活の糧にもなり、それはそれで面白い案だなぁと眺めていた記憶があります。

ま、賭博というとどうしても一方的な批判の対象となりがちですが、「賭博とハサミは使いよう」ということ。日本のカジノ導入論においても、様々な確度からの論議が深まることを期待したいです。

これだけは明確に申し上げておこう、カジノは大阪の専売特許ではない

橋下市長は良くも悪くも風を起こすのが上手な政治家であって、ここ数週間の彼の動きによって国内のカジノ関連の話題が急に沸き起こった事は、この業界に長らくコミットしている研究者として心より感謝を申し上げたいところ。株式市場では、セガサミー、ユニバーサル、日本金銭機械など、定番のカジノ関連株が爆上げとなっておりまして、私なんぞよりもそちら方面で賢くお金を儲けた方々は橋下市長に揃って御礼を申し上げた方が良いと思います。

一方で、現在別方面で起こっている「高校教諭による体罰問題」などに象徴されるように、橋下市長の発言はいつも極端に報じられるところもあり、また政治手法として橋下氏自身がそういった風潮を利用しながら立ち回っている部分もあって、若干実態と違う情報が様々な思惑と共に世間を駆け巡っている部分には、一応この方面を専門としている人間として注釈をつけて置く必要があるかなと思っておるところです。

何しろ声の大きな橋下氏が「(カジノを)大阪で取りに行く」などと発言をすると、何となく世間では「えっ!?カジノは大阪で確定なの??」といった雰囲気が出てき始め、一方で「先日の安倍=橋下会談で、何らかの『握り』がなされたハズ」などと何の確証もない憶測を意図的に流布する人が出てくれば、特にこの辺をカバーしている金融系のアナリストさんなどから慌てて弊社に問い合わせが入ったりします。ただ私として申し上げておきたいのは、大阪は確かに有力な候補地ではありますが、カジノは大阪の専売特許ではなく、全国の様々な自治体がその誘致に向けてすでに動き初めており、現時点で「カジノは○○で確定らしい」的な怪情報に振り回されるのは非常にバカらしい。この点だけは明確にしておきたいと思います。

例えばすでに都道府県として何らかの形で予算を組み、カジノ誘致に向けた何らかの動きを見せている自治体は、以下のように沢山存在しています。


北海道
今年度予算にて「カジノを含む統合型観光リゾート(IR)による経済・社会影響調査」を実施
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/proposal.htm

千葉県
今年度予算にて「カジノ・MICE機能を含む複合施設の導入検討調査」を実施
http://www.pref.chiba.lg.jp/kuushin/ir/kekka0518.html

東京都
今年度、国の総合特区制度の中で認定された「アジアヘッドクオーター特区域内ビジョン」にてカジノ誘致を明記
http://www.chijihon.metro.tokyo.jp/ahq_project/japanese/second/siryo/index2.html

神奈川県・和歌山県・沖縄県
神奈川・和歌山・沖縄の3県で作る「カジノ・エンターテイメント研究会」の今年度予算にて、市民への理解促進用の広報パンフレットを作成
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p30730.html (パンフレットそのものは未発表)

大阪府
今年度予算の中で「統合型リゾートの大阪立地プロモーション推進事業」を実施
http://www.pref.osaka.jp/yosan/bizlist/index.php?acc=1&bizcd=20110749

沖縄県
今年度予算にて「沖縄統合リゾートの可能性と課題」と題した市民への理解促進シンポジウムを開催予定(実施は来月の6日)
http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/event/h24-casinosymposium.html


と、各都道府県ごとに「調査段階、検討段階、推進段階」とそれぞれニュアンスが微妙に異なれど、本案件にコミットしている自治体は大阪以外にも沢山あります。また、都道府県以下の市区町村もしくは地域の民間組織などが中心となって検討が進められている地域としては以下のようなものがあります。(大小含めれば無数に存在するため代表的なもの&間近に活動実績があるもののみ)


釧路市
本年度、地域商工会議所青年部が中心となってシンポジウムを開催
http://yeg.kuhcci.or.jp/blog/-/commission/eid29.html

小樽市
本年度、地域商業者が中心となって 「小樽国際観光リゾート推進協議会」を発足
http://www.otarucci.jp/otaru_casino/index.html

秋田市
本年度、地域商工会議所とNPO法人が中心となりシンポジウムを開催
http://www.akitacci.or.jp/ir/index.html

千葉市
本年度、地域商工会や幕張メッセなどが中心となってIR誘致に向けた協議を開始
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/feature/chiba1333120630979_02/news/20120331-OYT8T00038.htm

佐世保市
本年度、官民で組成される「西九州統合型リゾート研究会」が九州一体となったIR誘致のための行動計画を採択
http://www.ryoko-net.co.jp/modules/headline/index.php?page=article&storyid=909


ということで、カジノ誘致は大阪の専売特許ではなく、実は全国各地の様々なレベルでの誘致検討が進んでいるもの。現時点で申し上げるのならば、まずは都道府県として予算を計上しながらすでに何かしらの動きを見せている地域は明確にフロントランナーといえますが、一方で市区町村や民間が主体となって動いている地域の中にも、非常に強固に組織が作られており、無視できないものも存在します。いずれにせよ本案件はまだまだ足の長い案件であり、いずれの地域にも可能性は残っているということで、弊社、国際カジノ研究所としては引き続き全国のカジノ構想を支援してゆく所存です。

これからの展開:仙台エアポートリゾート構想

昨日の投稿からのつづきです。

さて、本日の投稿からは今後の「仙台エアポートリゾート構想」が向かわなければならない方向性に関して専門家の立場から言及をさせて頂きます。それにあたって一点申し上げておくと、私は専門家のスタンスとして、「耳障りの良い言葉」ばかりを吐くことはしません。リップサービス的に「耳障りの良い言葉」を並べるのは短期的には相手を良い気持ちにしますが、中長期的には相手に対しても決して利を生みません。昨日の投稿の冒頭にも書いたとおり、「名取市東部震災復興の会」の方々に最大限の感謝と敬意を表しながら、今後の発展的論議のためにもあえて厳しいご意見をも申し上げる事もあるものと捉えて頂ければ幸いです。
(このように前置きしておかないと、政治的な立ち回りの中でネガティブキャンペーン的に「木曽が構想を批判している」と触れて廻る困ったチャン達がこの業界には多いので「あえて」断らせて頂いております。何とも情けない事ですが、そういうレベルの低い競争ばかりをしている人が多いのが業界の実情です。)



「仙台エアポートリゾート構想」のこれからの課題を端的に言い表すと、「今後は、もう少しキッチリと論議の整理をして行きましょうね」という一言に尽きます。実は、構想の発表のあった先のイベントには私の非常に親しい友人も参加していました。彼曰く、「地元商工会議所メンバーと思われる若者達が裏方として奮闘していたことが印象的であった一方で、登壇者が発するメッセージにあまり纏まりがなく、とにかく『カジノ』ばかりが前面に押し出されていたの事に違和感が残った」との事でした。

この報告を聞いて、私が真っ先に感じたのが「カジノばかりが前面に押し出されていた」ように見えてしまっていたとしたら非常に残念だなぁという事です。先の投稿でも申し上げたとおり、仙台エアポートリゾート構想は、カジノの存在を「構想のエンジン」と位置づけてはいるものの、必ずしもカジノに特化した構想ではありません。メディアによる報道でも、どうも「カジノ」が前面に出てしまっていますが、その点は今後、特にしっかりと伝えてゆかなければならない事です。

これは仙台構想に限りませんが、私は地域のカジノ構想というのは必ず地域全体の開発計画や観光政策の中で語られなければならないとカジノ誘致団体の方々には申し上げ続けています。その観点からの検討が不十分な場合は、どうしても「カジノありき」の計画に見えてしまいますし、そのように見えてしまえば最終的な地域の合意を得ることは難しくなるでしょう。


【参照】「点」の論議から「面」の論議へ
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/3054847.html


では、今後の構想を考えるにあたって、どのように論議を整理してゆく必要があるのか? この点に関し、私は「『大・中・小』の三つの視点で構想が論じられなければならない」と説明しています。この視点というのは仙台構想に限ったお話ではありません。このブログの読者の方々の中には全国のカジノ誘致を目指す方々も多いですが、ぜひご自分達の構想を、これから解説する観点からもう一度見直してみてください。もし、「大・中・小」の三つの視点が揃っていないのならば、彼方達が描いている構想は未だ不完全であるといえます。

1. 「小」の視点
地域のカジノ構想を描くにあたっての最も小さな視点は、「どのようなコンセプトでIR(複合リゾート)を構成させるのか?」という視点です。我が国のカジノ合法化は決して「賭博の推奨」をするためではなく、観光施設としてのIRの効用に注目した上で検討がなされているものです。そういう意味では、地域にカジノを誘致するにあたってその施設にどのような複合的機能を求め、構成させてゆくかという事を地域政策の中から考えてゆく必要があります。

実は、この視点に関しては多くのカジノ誘致団体の方々はすでに持っており、単純にギャンブル場だけを誘致したいと考えている人は殆ど居ません。むしろ、「前のめり」になりすぎて地域がやらなければならないコンセプトワークの部分を越えた、具体的な開発計画や施設デザインに言及し始める傾向が強いので、あえてここを強調する必要はないでしょう。個人的には、むしろこの視点からの論議は少し抑え気味に行って頂く位で、丁度良いと思っています。

施設開発に関する地域と事業者の役割の違いは以前纏めているのでそちらをご参照下さい。


【参照】議連における今後の論議②
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/3046367.html


つづく

最新のまとめ3: 復興・仙台エアポートリゾート構想

昨日の投稿からのつづきです。

本日は復興・仙台エアポートリゾート構想の中で「構想のエンジン」として定められているカジノ開発に関連するお話です。本題に入る前にまずはこの構想を発表した名取市東部震災復興の会の方々に御礼を申し上げたく思います。

「復興の会」による今回のカジノ導入提案書には、私が震災直後に発表させて頂いた提言書内でご紹介した米国ハリケーンカトリーナ被災時に行われたカジノを利用した災害復興のケーススタディ、および同じくカトリーナ被災時に米国で採用された「GO Zone」をモデルとした復興特区の提案を盛り込んで頂いております。一介のカジノ研究者である私が、自分の専門性の中で今回の震災に際して何が出来るか?を考え、部下と一緒に1週間足らずで作成した提言書ではありますが、このような形で復興の一助としてご利用頂ける事は研究者冥利に尽きるといえます。改めて御礼を申し上げます。

さて、その上で「復興の会」が発表した復興カジノ案の具体像に関して検証してゆきたいと思います。まず前提として言えるのは「復興の会」が提示している今回のカジノ構想は、カジノを中心として様々な観光機能を施設内に組み込んだ複合型カジノリゾート(IR: Integrated Resort)構想であるということです。IRについて前提知識のない方は、以前このブログ内でも解説したことがありますのでそちらをご参照ください。


【参照】 IR≠MICEカジノ
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/3839658.html


彼らがカジノと併せて複合させようとしている観光機能は昨日もご紹介したとおり以下の7点です。

 a) カジノホテルや劇場を含んだ複合エンタメ施設
 b) ショッピングセンター
 c) 東北観光地全体のアンテナショップ& 観光案内所
 d) 保養施設を含んだメディカルツーリズム施設
 e) 芸術文化施設
 f) 子供向けの娯楽施設
 g) バックヤード、およびそれを展覧させる産業観光施設


これらの機能が一体となって、ひとつのリゾート機能を提供するということですね。ホテル・レストラン・カジノ・劇場・ショッピングセンターと、大体ここまでは一定規模のカジノが一般的に内包するカジノ開発の中核部分です。これに加えて、復興・仙台エアポートリゾート構想として「東北観光地の情報発信機能」、「メディカルツーリズム機能」、「芸術文化機能」、「ファミリーリゾート機能」、「産業観光機能」の4つを特有の機能として期待したいということとなります。

専門家の目から見ると、正直「かなり欲張って、詰め込んだな~」という感もありますが、まずはあまり制限を設けず自由な発想で構想を描いてみたという事でしょう。「復興の会」自身も、その提案書の中で、今後、専門家等の意見を加味しながら計画を修正してゆくとしていますから、叩き台としてひとまずはこんな感じで良いものと思います。

一方で、「復興の会」の発表した案の中には上記各項目に関して、より詳細なイメージやアイデアが示されていますが、ここであえて私は深く突っ込みません。いつも私がこのブログ上でも申し上げている通り、地域が開発構想の中で考えるべきものは、「どのような機能をIRに求めるか?」というコンセプト部分を策定するところまでです。それをどのように実現し、どのような具体的な開発計画に落とし込むのか?という部分は、実際に開発投資を行う民間事業者によるコンペによってアイデアを募るべきものです。
誘致側と民間事業者側の役割の違いに関しては、以前別にまとめた事があるのでそちらをご参照頂ければと思います。


【参照】カジノ導入は「手段」であって「目的」ではない
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/644712.html


「ここに○○を建てて、それに△△を併設し…」と想像を巡らすのは何時の時代も楽しいものです。そして、この構想が世に知られるようになるにつれて、色んな施設提案を持ち込む怪しげな人達も益々増えてくることでしょう。しかし、ここにあまり突っ込みすぎるとコンペ時における民間企業の創意工夫を阻害してしまいます。また、経営効率を考えない勝手な開発イメージが定着してしまった挙句、それが開発要件になってしまえば将来的な民間事業者の投資意欲そのものを削ぎかねません。

そうやって失敗していったカジノ誘致事例を、私はこれまで直接関った海外のプロジェクトの中でも身をもって体感しています(当時、私は民間側の立場でしたが)。 「復興の会」の皆様には、あまり周囲の雑音に流されず粛々と為すべき論議を続けて頂きたいと思います。

それでは次の展開として「復興の会」は何をしなければならないのか? 次回は私なりの「復興の会」に対する提言をご紹介したいと思います。

つづく

産経のコラムに対して2

以下、連載が続いている産経によるコラムをご紹介。

安易か俊敏か…橋下知事「とりあえず、わーっと発言」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110126/fnc11012614510103-n1.htm

質問に対し知事は「1500億~2千億円くらい売り上げ、半分くらいは自治体が取れる前提で、大阪の稼ぐ力としてカジノと言っている」と誘致を進める理由を説明。その上で「僕が言っているのは、言わないと何も動かないので、とりあえず、わーっと言っている」と述べた。

以前から大阪の方々が出している市場推計値は大きすぎるというお話はこのブログ上でもご紹介して来た通りですが、橋下府知事も「1500億円稼げる」という以前の表現から、「1500億~2千億円くらい売り上げ、」という表現へと修正をしてきているようです。(「稼げる」のと「売上げる」のは、全く意味が違う)

カジノ市場規模推計の問題点
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/3185331.html

それでも、私側で出している推計額と比べるとまだまだ大きいですが、以前のようにゼロひとつ違うというほどではなく、だんだんと誤差の範囲に収まってきています。良い方向への軌道修正だと思います。



ただ、私としてまだ問題があると感じるのが、府知事が「半分くらいは自治体が取れる前提で」とカジノ税率50%くらいを想定した市場規模として、この1500億円という数字を挙げているという点。これも以前、このブログ上でご紹介したことがありますが、カジノ税率と市場規模の関係は常に逆相関にあるので、税率が高くなればなるほどそこから想定される市場規模は小さくなります。


tax_rate4

ポイント1:
カジノ税収額は税率を上げれば右肩上がりに果てしなく増えるわけではなく、上に凸の放物線を描く。税収額を最大化したいならば、税収曲線の頂点となる税率を採用するべき。(その税率は市場の条件によって異なるため一定ではない)

ポイント2:
カジノ導入によって得られる経済波及効果は、税率が高くなればなるほど小さくなる。(税率が高いと事業収益性が下がるため、事業者は大きな設備投資が出来ない。)カジノを複合化させ、その波及効果を大きくするためには税率は低い方が好ましい。逆に、税率が高くなればなるほどカジノは単純賭博施設に近づいてゆかざるを得ない。

ポイント3:
先進国は途上国に比べて経済波及効果の税率変化に対する弾力性が高く、税率1単位の増減が経済波及効果の増減により大きく影響する。

橋下府知事が示しているような税率50%というカジノ市場は世の中に存在し得ますが、それほど高い税率のなかでは大阪が構想しているような大型の複合型カジノリゾート(IR)の成立は難しいです。また、テーブルゲーム市場も超高級層を狙ったもの以外は採算が合わなくなるので、基本的にはただスロットマシンが並ぶだけのパチンコ店のような単純賭博施が出来上がる事となります。

そのあたりはちょっとシミュレートをしてみればすぐに判る事なのですが、関西方面では数字を専門としない研究者の方々が中心となってカジノ構想を形作っているので仕方がないのかもしれません。個人的には、「大阪でカジノをやったら750億~1000億の税収が入るんだ」などと市民に過大な期待を持たせてしまうことになりかねませんので、あまり良い傾向ではないかと。。これから現実的な検討が進んで行けば行くほど、その数値は小さくなってゆかざるを得ないのは確実です。

ただし、橋下知事の仰っている「言わないと何も動かないので、とりあえず、わーっと言っている」という基本スタンスには大賛成。私としては、現行で挙がっている数字は眉唾の部分も多いので、なるべく数字を使わない形で「わーっと言って」頂くことをお勧めします。数字面での様々な間違いはさておき、私としても橋下府知事のご活躍を心より応援しています。

立て!!北海道

全国にカジノ誘致を検討している地域は沢山有りますが、私の目から見て北海道ほど特異な地域はありません。北海道には、現在11のカジノ導入検討地域が存在しており、それぞれが個別の委員会を作りながら誘致活動および研究を行なっています。如何に北海道が他の都道府県と比べて広いといえども、ひとつの圏域の中にこれ程沢山の誘致団体が存在する地域は他にはありません。

逆に言えば北海道の現状は、道内のカジノ誘致の声が一つの大きな運動へと集約されていないという事。このような現状は、道庁が長らくカジノに関心は示していながらも、なかなか本格的に動き出せない一つの理由となってきました。



ということで、実は先週の金曜日、北海道庁に招かれ道庁主催の「第四回カジノに関する情報交換会」で講演を行なって参りました。参加者は、道庁の担当者、および道内カジノ誘致の検討を行なっている11地域の代表。また、9市町村役場の担当部署、ならびに道内9経済団体からの代表者など、総勢約70名の参加となりました。

実は、私がこの会議に招かれてお話をするのは昨年に引き続き2回目。開催規模自体はほぼ昨年と同じ位だと思いますが、個別の誘致地域のお話を聞くと、昨年からパワーアップして誘致活動を行なっている地域、昨年から殆ど進展が見られない地域など様々なようです。

今回、私が主にお話し差し上げた内容は、広域観光の観点からカジノの導入をどのように地域全体観光振興につなげ、その利益を全体で享受してゆくか?というお話。このブログ上でも何度も訴えている事ですが、この視点はカジノ導入の検討にあたって必須と成る最も基本的な考え方。現在、国のカジノ導入は、我が国経済の浮遊策として検討が行なわれているものであって、その誘致にあたっては単一地域の小さな視点ではなく、より大所高所からの視点が不可欠なのです。

その為には、道内で小さな複数の団体に分かれてカジノの研究を行なうのではなく、少なくとも近隣地域が一緒になって各種検討を行なう必要があるでしょう。北海道は他の都道府県と比べると遙かに大きいので、地政学的にも必ずしも一つに纏まる必要は無いかもしれません。しかし、少なくとも隣接する市町村同士で別々にカジノ構想を描いている現状では、全国のカジノ誘致競争のスタートラインにすら立てない。自分の地域のみが豊かになるのではなく、近隣地域全体で冨を分け合う視点で協力関係を築いてゆく必要があるのです。

セミナー後の意見交換の場では、参加団体による「どこにカジノが来るのかは別として、まずは北海道に1つカジノを誘致する事を全体で考える事が必要なのではないか」、「これからは地域の観光関係者など幅広く巻き込みたい」などの積極的意見や、北海道庁からは「地域全体の課題として検討したい」という非常に慎重ながらも前向きな意思が示されるなど、ただの情報交換に留まらない非常に良い会議となったと思います。会議終了後には「また連絡を取り合おう」という近隣団体同士の交流も見られ、北海道のカジノ誘致論議が新たな段階へと進展することを予感させました。

外部から招かれた私に出来ることは、こうやって地域の議論にキッカケを与える事のみ。これから北海道のカジノ誘致論議が新たな段階へと発展するかどうかは、地域の皆様自身がどのように考え、どのように行動してゆくかにかかっています。この会議で芽生えた小さな胎動が、今後どのように育ってゆくのかに引き続き注目し、応援してゆきたいです。

著者プロフィール


木曽 崇(キソタカシ)

国際カジノ研究所 所長
エンタテインメントビジネス総合研究所 客員研究員
諏訪東京理科大学 地域連携研究開発機構 客員研究員

経歴:
日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者での会計監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長に就任。

2014年よりアジア圏最大のカジノ国際会議&展示会であるGlobal Gaming Expo Asiaのアドバイザリーボード委員。2018年より公立諏訪東京理科大学 地域連携研究開発機構 客員研究員。

より詳細なプロフィール

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