東京図書館制覇!は、「訪問記全体(自治体一覧)>自治体内の図書館一覧>図書館の訪問記」という構造をとっているので、その図書館ならではの取り組みなどを訪問記に書いても、そのページに辿り着いてくださった人にしか読まれにくい。今日は、そんな取り組みの一つをブログで紹介しようと思います。それが、足立区立江北図書館の「MOB(M:みんなの O:おすすめ B:本[BOOK])」です。

江北図書館は7月2日から改修工事のための長期休館に入る予定で、休館に入る前の状態を見ておこうと先日訪問したのですが、そのとき、以前訪問したときにはなかった取り組み「MOB」を発見。これは何かというと、利用者が書架にあるお薦め本にMOB専用のしおりを挟むという企画です。つまり、図書館の書棚にある本からMOBが頭を出していたら、誰かのお薦め本というわけ。MOBには「ペンネーム」「書名」「著者」「出版社」を記入するスペースがあり、下の方が空いているので、人によっては空きスペースに紹介文を書いていることもあります。

しおりを通じて本を紹介する企画は、いろいろな図書館をまたいで実施されている「kumori 本と人をつなげるしおり」や、小金井市立図書館貫井北分室で実施されている 「巡る栞」などもありますが、この両者は紹介本とは別にしおりを配布して、読むツールとして使われるしおりを使って本の紹介を広げていくというもの。

対して、MOBの場合は、紹介されている本そのものに挟んで、「その本が誰かのお薦めである」というマーキングに使われているというかたちです。こちらのスタイルは、東久留米市立中央図書館で実施していた(未確認ですが、実施している・現在進行形かも)「みんなの本棚」に近いですが、こちらが「読んだ人が感想を書き足す」ということに重きを置いているのに対し、MOBの場合は、本を特定できる情報を書くだけで参加でき、気軽なお薦め表明に重きを置いているかたちです。

実際にどれくらいのMOBが挟まっているかと書架の各段の上をざっと眺めてみると、小説の棚で1列に1,2枚挟まっています。そうだよね、という人気本に挟まっているのもあれば、私の趣味には合わない本にも挟まっていたり(笑)、いつか読みたい本として記憶しているけどまだ読んでいない本に挟まっているのを見たら、やっぱり面白いかと思ったり、同じペンネームで複数のMOBを書いている人がいると「この方は○○っぽい本が好きなんだな」と想像したり、「本棚の本に栞が挟まっている」ということが情報になっているのが面白いです。

せっかくなので、私も1枚、ネタバレしない程度のちょっとした紹介文付きで書いてみました。カウンターも通さずに勝手に書いて勝手に挟んでいいのですが、本当にそれでいいのかと思って職員さんに確認してしまったくらい。よかったら、探してみてください…と言いたいところですが、長期休館まであと数日しか開いていないので、よほどタイミングよく江北図書館の常連さんがこの記事を読んでくれない限りは、改修工事が終わる来年の3月を待たないとMOBがある本棚の様子は見られません。

江北図書館は最寄り駅である日暮里舎人ライナー江北駅からでも道のりにして1kmあり、通勤通学帰りに寄りやすいとは言いにくい立地ですが、だからこそMOBによるマーキングが、他にはない「地元・江北の人によるお薦め」になりえるユニークな企画です。いや、むしろ、来館者数が多い図書館で広まりすぎたら、栞の乱立になってしまうかもしれないので、こうした立地の図書館でこそ実施しやすい企画かもしれません。

MOBは江北図書館だけの企画なので、自分の好きな本にMOBが挟まれていたら、「具体的に誰とわからないけど、同じこの図書館を使っている人の中にこの本が好きな人がいる」という「見えない読書友達」みたいな感覚も面白い。長期休館直前のご紹介なのが心苦しいですが、面白そうと思った方はぜひ長期休館明けに覗いてみてください。