今は改修工事のため休館している足立区立江北図書館について、少し前にの「MOB」(図書館の書架にあるお薦め本に、自由に栞を挟む企画)のことを書きましたが、もう一つ利用者の利便性を上げる取り組みを行っているので、今日はそれを紹介します。

図書館の本は請求記号によって棚に並んでいますが、ジャンルによっては同じ請求記号に該当する本が多数ある場合も多々あります。既に読みたい本が決まっているときには、請求記号を頼りに本のある場所を探すわけですが、同じ請求記号の本がたくさんあったら、結局その中から1冊1冊書名や著者名を見て探さないといけません。「211.7 イ」のように、分類記号だけでなく著者頭文字などを合わせた請求記号を使っている図書館だと、同じ請求記号の本も少なくなりますが、分類記号だけで請求記号としている図書館の棚は、本を探す手間が増えるジャンルが生まれてしまうことがあります。

「同じ請求記号の中では本の大きさで並べている」という図書館も少なくありませんが、新書・ムック本などの明らかに小さい・大きい本を見つけやすくする以外は、本の見つけやすさにあまり貢献していないように思います。絵本や写真集を別にすると本はたいてい決まっている。大きさで並べている棚の場合、請求記号が同じで大きさも同じ本はランダムに並んでいるので、結局1冊ずつ書名や著者名を見て探すことになります。同じ請求記号の冊数が多いジャンルをよく読む人は、探しにくさにうんざりすることもあるでしょう。

さて、江北図書館ですが、本棚に差してある見出し板を見ると、ところどころで人のマークのシールや本のマークのシールが貼られているんです。何だろうと思って、それらのシールが貼られている棚をじっくり見ているうちに、人のシールが貼られているところは、同じ請求記号の本が著者姓名五十音順に並んでいることに気が付きました。では、本は何だろう、出版社名順でもないし、タイトル名順でもないし…と自力で考えてもわからなかったので、降参して(すっかりクイズ気分ですが 笑)職員さんに聞いてみたところ、おおむね本の内容が同じものがまとまるように並べているとのことでした。

具体的に挙げると、「378 障がい児教育」は本マーク、つまり、本の内容が同じものがまとまるように並んでいる一方、次の「379 家庭教育」は人マーク、つまり、著者姓名五十音順に並んでいます。棚を見ると、「障がい児教育」は発達障害・アスペルガー症候群といった障害の種類によって本がまとまっているし、「379 家庭教育」は一概に内容でまとめるのが難しい本があり、「○○先生の教育論」みたいなかたちで著者名で並べることが理に適っているように感じました。

本来は、分類記号を細かくする、著者頭文字などもあわせて請求記号とするなどして、そもそもの「請求記号が同じものが多すぎる」状態をなくせばいいのですが、自治体内で共通の請求記号を使っている場合は1館だけの判断で請求記号が変えられなかったり、新設図書館でなければ貸出されて流動する蔵書のラベルの張替には手間がかかるので、気軽に変えるわけにはいきません。そんななか、ジャンルによって同じ請求記号の本の並べ方を変えて、それをシールでわかるようにしている江北図書館の方式は、コストをかけずに本の探しやすさを上げるやり方です。

そもそも、私が回った図書館の中では、同じ請求記号の中での並べ方を館内に示して利用者にわかるようにしているところがありません(私が見逃している可能性もありますが)。請求記号の細かさで同じ請求記号の本が少ない図書館や、蔵書数が少なくて同じ請求記号の本が少ない図書館なら確かに不要でしょうが、「請求記号が同じものが多すぎる」ジャンルが存在してしまっている図書館には、その同じものの中での並べ方をぜひ明記して欲しいです。その点では江北図書館も、シールが貼られているだけでシールの意味がどこにも書いてなかった(だから、私も職員さんに聞くまでわからなかった)ので、シールの意味も掲示するともっといいように思います。

本の分類はそれだけでも大きなテーマで、日本の図書館で使われている日本十進分類法だと、コンピュータ関連の本がバラバラのジャンルになってしまうなど、現代に合っていない面もありますが、請求記号がわかっているのにそこから本に辿り着くまで手間がかかるのは、それ以前の問題です。探しにくさが生じてしまっている図書館には、ぜひそれを解消する工夫を凝らして欲しいです。