東京図書館制覇!Blog版

東京23区の公立図書館を全て訪れたサイト「東京図書館制覇!」の管理人TakeniのBlogです。
こちらでは、読んだ本や東京散歩など、図書館以外のことも書いてます。

カテゴリ: 作家別:北森鴻

親不孝通りディテクティブ』読了。博多でラーメン屋台をしているテッキと、結婚相談所の調査員キュータの周りに起こるいろいろな事件…というより、半分くらいは彼ら自ら首を突っ込んでいるという感じかな。更に正確に言うと、120%ポジティブシンキングのキュータが女性への下心を秘めて、首を突っ込んでいくという(笑)。

ミステリという点では、細かい部分で都合よすぎ、謎解きがそれでいいのかと思うところが多々ありますが、それを補うのがキュータの愛すべき性格なのです。私としては、ミステリとしてのディテールの粗さより、可愛い女性を見てはすぐに追いかけるキュータが最後に身を落ち着かせてしまったことの方が断然不満(笑)。こういうキャラには、一生女の子のお尻を追いかけていて欲しい!

で、彼ら二人が高校生だった頃の『親不孝通りラプソディー』という作品もあるんですね。相変わらず北森さんの作品のつながりはややこしい(笑)。でも人は誰しも自分の人生においては主人公なんだし、こういうややこしさの方が現実に近いのかもしれません。

▼『親不孝通りディテクティブ』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー

孔雀狂想曲』読了。北森鴻の冬狐堂シリーズに出てきた下北沢の骨董屋・雅蘭堂の越名集治を主人公にした短編集。これを読んでいる間に、mixiに入った小学校の同級生とマイミクになったのですが、その際に「北森鴻は細かい設定がなぜか大雑把で違和感があるときがある」と言われて、そうかもなぁなんて思いながら読みました(笑)。

越名さんと、万引き未遂をきっかけにバイトとして居ついてしまった安積ちゃんのやりとりなんかは、ベタとは言えども微笑ましくていいんですが、ミステリの方が…。「変な客が来て、少し気になっていたら、後にその周辺で殺人が起きる」というパターンが続くと、「またか…」と思っちゃったり、『キリコ・キリコ』という作品なんかは殺人は起きないけど謎解きの結果が後味悪くって。

そんな中で面白いのは、悪徳骨董屋・犬塚とのからみですね。騙そうとする犬塚と、それを見越して何かいいものがあればしっかりいただこうとする越名。偽物を本物と見誤って高く評価することだけでなく、本当にいいものを低く評価してしまっても目利きが落ちたと烙印を押されてしまう骨董の世界での面白い勝負を見せてくれます。こういう化かし合い対決って好きなんだよなぁ。

でも、北森鴻はやっぱり香菜里屋シリーズが今のところ一番です。解けた謎をどうするかという事後処理(?)がね、香菜里屋の工藤さんにかなう人はなかなかいません。

▼『孔雀狂想曲』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー

瑠璃の契り―旗師・冬狐堂』読了。店舗を持たない古物商の宇佐見陶子シリーズの1冊です。この短編集は骨董の世界を描くというより、登場人物の過去がわかる話が中心という感じですね。

この本には、陶子さんが美大時代に一人の才能ある同級生に出会ったために、画家の道をあきらめる話があるのですが、才能を持つ人への嫉妬心というのは自らの向上への原動力としては必要なんだよなあと思う。自分と相手との格差を前にして、相手を引きずりおろすのではなく、自分が這い上がっていくようにできればね。

適度に嫉妬しないと、と思ってそうできるものでもないでしょうが(笑)、下を見て満足せず、いつまでも上を見る心を持ちたいものです。

▼『瑠璃の契り』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー

狐闇』読了。冬狐堂の陶子さんが、策士のターゲットとされて、古物商免許を剥奪されたり、悪質な飲酒運転の疑いをかけられたりする話。う〜ん、そうだなあ、隠されていた謎はいい意味でも悪い意味でもロマン溢れるものだったというところでしょうか。

でも、ちょっとネタバレになっちゃうけど、無垢な人を無垢のままでいさせるために周囲の人が悪に手を染める、みたいな話ってあまり好みではないんですよね。人間、垢にまみれてナンボだって(笑)。だから、謎が解かれるまでは面白かったのですが、最後は「え〜、そこなの?」と思うところがないでもない。まあ、それだけが事件の原因ではないのでよしとしますか。

あと、どうして陶子さんの友達の硝子さんが非現実的ながらっぱち口調なのかが、この作品でわかった気がします。自分でも小説を書く人ならすぐに気がついたのかもしれませんが、この口調のおかげで陶子さんと硝子さんの会話の際にどれが誰の発した言葉かの説明をしなくて済むんですね。日本語は性別の違う人同士の会話や上下関係にある人達の会話だと、語尾や尊敬語の使い方で説明せずともどちらの発言か伝えられますが、同性の友達の会話はそれがちょっと難しい。で、硝子さんの奇妙な口調でカバーしているというのはあるのでしょう。そうわかっても、違和感ありありですが(笑)。

上記の点も含めて、私にとって冬狐堂シリーズは、北森鴻の中でずば抜けて突っ込みどころありなんですよね。女一人で暮らして、仕事も自分でしる人が、夜遅くに自宅に来た知らない人を家にあげるなんてありえません(笑)。自分を守るためだけでなく、お客様や取引先の情報を守るためにもね。そういう点が「やり手の旗師」という人物像と相容れなくて、ちょっと読んでて冷めちゃうんですよね。

とはいえ、陶子さんにそういった抜けた点があってこそ事件が起こるので、見逃さないといけないかな(笑)。

▼『狐闇』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー

凶笑面』読了。北森鴻の蓮丈那智シリーズは、明晰な頭脳とタフな行動力を持つ民俗学者の彼女が、歴史の謎から刑事事件の謎まで解決してしまうシリーズ。といっても、歴史の謎の方は、それが本当かどうかは神のみぞ知るといったところでしょうか。

この本は5編の短編からなる本なのですが、そのうち1編に冬狐堂シリーズの陶子さんが出てきて、その姿があまりにも落ちぶれているのでびっくり。いや、別にボロボロの服を着ているわけではないのですが、言動に華やかさが全くないんですよね。いつのまに"元"旗師になってしまったのか…なんて思っていたのですが、『凶笑面』を図書館に返した後に読み始めた『狐闇』がちょうどそれを書いた本なんですね。なんてグッドタイミング!私、結構読書運いいんです(笑)。

それにしても、小説を通じてほんのわずかに民俗学に接したくらいでも、現在と過去のつながりなどに思いを馳せてしまいますね。それは骨董や遺跡といった"モノ"に限らず、例えば今私が何かを美しいと思ったとしても、それは全くの私のオリジナルな感覚ではなくて、昔からの文化・価値観等々が私の無意識の中に植えつけられた上での思いなのかもしれないなあってね。

▼『凶笑面』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー

狐罠』読了。店舗を持たない古美術商・旗師の宇佐見陶子のシリーズ第1作目。陶子さん、第1作目でこんな大胆なことやっていたんですね(笑)。

私はまだこのシリーズと香菜里屋シリーズの北森鴻しか読んでおらず、香菜里屋シリーズの工藤に比べてかなり策士な宇佐見陶子に、最初は戸惑いつつも2冊目(『緋友禅』を先に読んでしまったので)ともなると段々慣れて楽しめるようになってきました。

骨董の贋作を扱った話で、騙したつもりが騙されて、、、というようなストーリー。最終的に皆を手の上で転がしていた人は、途中からそうかなと思った通りではあったけど、その人があの人でもあるとは。わりと最後の最後まで謎が残っているので、たるむことなく最後まで読めました。

ただ、硝子さんのあばずれ口調というか、「大丈夫かい」「おあいこさ」みたいな語尾を使う人って、少なくとも私が実世界で知っている人の中にはいないよなあ、などと余計なツッコミを入れたくなるところもありますが(笑)。

それにしても、この小説のような「科学的検査もパスしてしまう贋作」というのは、本当に作れるものなのでしょうか。そういう実際の贋作の世界にも興味が湧いてきますね。そう思って読み終わると、どうぞとばかりに参考資料一覧が巻末にあるので、そちらから面白そうなものを選んで読んでみようかと思います。

▼『陽気なギャングが地球を回す』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー

緋友禅―旗師・冬狐堂』読了。北森鴻の冬狐堂シリーズを順に読むつもりだったのですが、またやっちゃったかな。どうやらこれはこのシリーズの1冊目ではなかったようです(笑)。『狐罠』『狐闇』緋友禅』『瑠璃の契り』が正しい順番かな。

北森鴻はその本がどのシリーズのものなのか、シリーズ何作目なのかということをタイトル等に書いてくれないので、シリーズごとに読もうとすると難しいですね(笑)。それとも図書館本を読んでいるからわからないだけで、帯にはどのシリーズの何作目って書いてあるのかな。でも北森鴻はいくつかシリーズを持っていて、あるシリーズの登場人物を違うシリーズに登場させたりするので、たぶん意図的にどの本がどのシリーズだとわかりにくいようにしている気もします。

『緋友禅』には、古物商の中でも店舗を持たない旗師の冬狐堂こと宇佐見陶子を主人公とした4つの短編が収録されています。『陶鬼』は結ばれなかった恋人同士の思いよりも、結ばれたけれど愛憎どちらの感情も併せ持った夫婦の関係の方が断然面白い。表題の『緋友禅』は、たとえ冬狐堂が芸術家を育てる画廊などではないとしても、埋もれていた貧乏芸術家にぽーんと大金をしかも現金で払って作品買占めとかしちゃったら、そりゃその芸術家を狂わせるだろうと突っ込みたくなります(笑)。香菜里屋シリーズの工藤に比べたら、その辺ちょっと配慮が足りない人というか、そういう人であるがゆえに小説の題材となりうる事件が起こるということなんですけどね。

香菜里屋シリーズよりも欲や悪意がうごめいている世界で、これはこれで面白そう。次はちゃんとシリーズ第1作目を読んでみます(笑)。

▼『緋友禅』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー

香菜里屋を知っていますか』読了。この本はこのシリーズを読んできた身には淋しい1冊ですね。読む前からこの本がシリーズ最終巻とは知っていたのですが、5話収録されている短編集の1話目から終結ムードに溢れてるんだもん。このシリーズ、香菜里屋というビア・バーに集まる客が謎を持ち込んで、マスターや常連客によって謎が解かれていくというものなのですが、この最終巻では常連客が1人東京を離れ、2人東京を離れ、そしてついに…って書いててまた淋しくなってきちゃいます。

でも、物事終わりががないものはないんだし、終わりは始まりですよね。終わりを怖れて始められないような心持ちではいたくないものです。

そして、あらためて、この本を紹介してくれた荒川区立図書館ホームページの「大人の時間」に感謝。この、本を紹介するコーナー、一時休止になっていたのですが、今は一休止ということで、休止じゃないところはたまに更新されています。図書館の公式ホームページで、大人向けの本を紹介しているのは東京23区内では港区立図書館ホームページの「おすすめの図書」もそうなんですけど、「大人の時間」の方は単なる本の紹介の域を超えた書評に近い文章で、それ自体も読んで面白い文章なのです。ぜひとも、一部休止を終えて、全面復帰となるのを期待しています!

▼『香菜里屋を知っていますか』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー
楽天 みんなのレビュー

花の下にて春死なむ』読了。やっと香菜里屋シリーズ1作目を読みました。あ〜、すっきりした(笑)。これで心置きなくシリーズ4作目(完結巻)を読むことができます。

前も書いたかもしれないけど、ミステリという形を通して、人の大切な思いを描いているこのシリーズは読んでいていい気分になります。

ミステリって、他人の秘密に無遠慮に分け入っていくものって多いですよね。謎を解かないとミステリにならないのでしょうがないのですが、あまりにも無遠慮すぎると、私は読んでいても白けてきちゃたりするんです。

その点、このシリーズは登場人物がデリカシーを持っているというか、人の秘密に土足で踏み込む権利なんてないことをわかっていて、それでも好奇心の方が勝って秘密に分け入ってしまったとしても、知ってしまった自分の振る舞いをちゃんと考えているんですよね。知ってしまった第三者だからこそできることがあるんじゃないかとか。

そういう、謎の解けた後の部分が気持ちいいんですよね。まあ、どの話もうまく行きすぎなきらいもありますが、それはフィクションなのでOKということで(笑)。

あと、読んでいないのは4作目のみ。ちょっと残念な気もします。

▼『花の下にて春死なむ』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー

螢坂』読了。北森鴻の香菜里屋シリーズ第3弾です。

私、わかりました。このシリーズ、各編の謎解きを通じて、人々が大切にしている人や信念を描いているのがいいんです。読んでいる最中、小説を読んでいると同時に、自分の大切にしているものを思い出しているんですよね。

といっても、大切なものを大切に扱い続けるのも難しいんですよね…。人間には慢心やら驕りやらの雑念がいろいろありますし。そういうところがちゃんと小説にも織り込まれているから、これまたいいんだろうなあ。

さて、私、すっかり勘違いしていて、『桜宵』螢坂』と読んだ後に、シリーズ1作目がまだ読んでいない『花の下にて春死なむ』であることに気づきました(笑)。この後、『花の下にて春死なむ』を読んでから、『香菜里屋を知っていますか』(これでシリーズ最後らしい 涙)を読もうと思います。

▼『蛍坂』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー
楽天 みんなのレビュー
ブログネタ
最近読んだ本 に参加中!

↑このページのトップヘ