東京図書館制覇!Blog版

東京23区の公立図書館を全て訪れたサイト「東京図書館制覇!」の管理人TakeniのBlogです。

カテゴリ: 作家別:北森鴻

凶笑面』読了。北森鴻の蓮丈那智シリーズは、明晰な頭脳とタフな行動力を持つ民俗学者の彼女が、歴史の謎から刑事事件の謎まで解決してしまうシリーズ。といっても、歴史の謎の方は、それが本当かどうかは神のみぞ知るといったところでしょうか。

この本は5編の短編からなる本なのですが、そのうち1編に冬狐堂シリーズの陶子さんが出てきて、その姿があまりにも落ちぶれているのでびっくり。いや、別にボロボロの服を着ているわけではないのですが、言動に華やかさが全くないんですよね。いつのまに"元"旗師になってしまったのか…なんて思っていたのですが、『凶笑面』を図書館に返した後に読み始めた『狐闇』がちょうどそれを書いた本なんですね。なんてグッドタイミング!私、結構読書運いいんです(笑)。

それにしても、小説を通じてほんのわずかに民俗学に接したくらいでも、現在と過去のつながりなどに思いを馳せてしまいますね。それは骨董や遺跡といった"モノ"に限らず、例えば今私が何かを美しいと思ったとしても、それは全くの私のオリジナルな感覚ではなくて、昔からの文化・価値観等々が私の無意識の中に植えつけられた上での思いなのかもしれないなあってね。

▼『凶笑面』のレビュー
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狐罠』読了。店舗を持たない古美術商・旗師の宇佐見陶子のシリーズ第1作目。陶子さん、第1作目でこんな大胆なことやっていたんですね(笑)。

私はまだこのシリーズと香菜里屋シリーズの北森鴻しか読んでおらず、香菜里屋シリーズの工藤に比べてかなり策士な宇佐見陶子に、最初は戸惑いつつも2冊目(『緋友禅』を先に読んでしまったので)ともなると段々慣れて楽しめるようになってきました。

骨董の贋作を扱った話で、騙したつもりが騙されて、、、というようなストーリー。最終的に皆を手の上で転がしていた人は、途中からそうかなと思った通りではあったけど、その人があの人でもあるとは。わりと最後の最後まで謎が残っているので、たるむことなく最後まで読めました。

ただ、硝子さんのあばずれ口調というか、「大丈夫かい」「おあいこさ」みたいな語尾を使う人って、少なくとも私が実世界で知っている人の中にはいないよなあ、などと余計なツッコミを入れたくなるところもありますが(笑)。

それにしても、この小説のような「科学的検査もパスしてしまう贋作」というのは、本当に作れるものなのでしょうか。そういう実際の贋作の世界にも興味が湧いてきますね。そう思って読み終わると、どうぞとばかりに参考資料一覧が巻末にあるので、そちらから面白そうなものを選んで読んでみようかと思います。

▼『陽気なギャングが地球を回す』のレビュー
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緋友禅―旗師・冬狐堂』読了。北森鴻の冬狐堂シリーズを順に読むつもりだったのですが、またやっちゃったかな。どうやらこれはこのシリーズの1冊目ではなかったようです(笑)。『狐罠』『狐闇』緋友禅』『瑠璃の契り』が正しい順番かな。

北森鴻はその本がどのシリーズのものなのか、シリーズ何作目なのかということをタイトル等に書いてくれないので、シリーズごとに読もうとすると難しいですね(笑)。それとも図書館本を読んでいるからわからないだけで、帯にはどのシリーズの何作目って書いてあるのかな。でも北森鴻はいくつかシリーズを持っていて、あるシリーズの登場人物を違うシリーズに登場させたりするので、たぶん意図的にどの本がどのシリーズだとわかりにくいようにしている気もします。

『緋友禅』には、古物商の中でも店舗を持たない旗師の冬狐堂こと宇佐見陶子を主人公とした4つの短編が収録されています。『陶鬼』は結ばれなかった恋人同士の思いよりも、結ばれたけれど愛憎どちらの感情も併せ持った夫婦の関係の方が断然面白い。表題の『緋友禅』は、たとえ冬狐堂が芸術家を育てる画廊などではないとしても、埋もれていた貧乏芸術家にぽーんと大金をしかも現金で払って作品買占めとかしちゃったら、そりゃその芸術家を狂わせるだろうと突っ込みたくなります(笑)。香菜里屋シリーズの工藤に比べたら、その辺ちょっと配慮が足りない人というか、そういう人であるがゆえに小説の題材となりうる事件が起こるということなんですけどね。

香菜里屋シリーズよりも欲や悪意がうごめいている世界で、これはこれで面白そう。次はちゃんとシリーズ第1作目を読んでみます(笑)。

▼『緋友禅』のレビュー
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香菜里屋を知っていますか』読了。この本はこのシリーズを読んできた身には淋しい1冊ですね。読む前からこの本がシリーズ最終巻とは知っていたのですが、5話収録されている短編集の1話目から終結ムードに溢れてるんだもん。このシリーズ、香菜里屋というビア・バーに集まる客が謎を持ち込んで、マスターや常連客によって謎が解かれていくというものなのですが、この最終巻では常連客が1人東京を離れ、2人東京を離れ、そしてついに…って書いててまた淋しくなってきちゃいます。

でも、物事終わりががないものはないんだし、終わりは始まりですよね。終わりを怖れて始められないような心持ちではいたくないものです。

そして、あらためて、この本を紹介してくれた荒川区立図書館ホームページの「大人の時間」に感謝。この、本を紹介するコーナー、一時休止になっていたのですが、今は一休止ということで、休止じゃないところはたまに更新されています。図書館の公式ホームページで、大人向けの本を紹介しているのは東京23区内では港区立図書館ホームページの「おすすめの図書」もそうなんですけど、「大人の時間」の方は単なる本の紹介の域を超えた書評に近い文章で、それ自体も読んで面白い文章なのです。ぜひとも、一部休止を終えて、全面復帰となるのを期待しています!

▼『香菜里屋を知っていますか』のレビュー
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花の下にて春死なむ』読了。やっと香菜里屋シリーズ1作目を読みました。あ〜、すっきりした(笑)。これで心置きなくシリーズ4作目(完結巻)を読むことができます。

前も書いたかもしれないけど、ミステリという形を通して、人の大切な思いを描いているこのシリーズは読んでいていい気分になります。

ミステリって、他人の秘密に無遠慮に分け入っていくものって多いですよね。謎を解かないとミステリにならないのでしょうがないのですが、あまりにも無遠慮すぎると、私は読んでいても白けてきちゃたりするんです。

その点、このシリーズは登場人物がデリカシーを持っているというか、人の秘密に土足で踏み込む権利なんてないことをわかっていて、それでも好奇心の方が勝って秘密に分け入ってしまったとしても、知ってしまった自分の振る舞いをちゃんと考えているんですよね。知ってしまった第三者だからこそできることがあるんじゃないかとか。

そういう、謎の解けた後の部分が気持ちいいんですよね。まあ、どの話もうまく行きすぎなきらいもありますが、それはフィクションなのでOKということで(笑)。

あと、読んでいないのは4作目のみ。ちょっと残念な気もします。

▼『花の下にて春死なむ』のレビュー
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