東京図書館制覇!Blog版

東京23区の公立図書館を全て訪れたサイト「東京図書館制覇!」の管理人TakeniのBlogです。
こちらでは、読んだ本や東京散歩など、図書館以外のことも書いてます。

カテゴリ: 作家別:戸川昌子

大いなる幻影』読了。大塚女子アパートがモデルになった小説ということで、いつか読んでみたいと思っていた本。あまりあらすじを説明したくないですね。私自身が事前の知識がなく読んで、それがすごくよかったので。

と言いつつも少し説明してしまうと、「社会の中で自立する女性が住む場」として作られた単身女性向けアパート、外でバリバリ働いている住民もいるけど、昼間に残っているのは引退して孤独に暮らしている老齢の女性が多い。互いに顔は知っているけど、その奥に秘密にしていることがそれぞれあって、アパート内の全ての部屋を開けることのできるマスターキーが彼女達を翻弄する…。

この身寄りのない女性達の、自分のプライバシーは犯されたくない、秘密は守りたいという気持ちと、その一方で近隣の女性のプライバシーは軽視するというか、全く正等ではない正義感やらどんぐりの背比べ的な優越心をもって、他人の秘密に踏み入っていく、そうしたやってはいけないんだけど、誰しも(とは限らないかもしれないけど)持っている欲をありありと描いているんですよ。

この本の冒頭の「作者の言葉」には、
ここに出てくる登場人物も建物の細部にわたる条件も現実の女子アパートとはまるで違っています。アパートには中庭の焼却炉も窓の手摺もありませんし、孤独で陰気な老嬢たちもすべて作者の分身なのです。
とあるので、本物の大塚女子アパートでこうした世界があったとは思っちゃいけないですね(笑)。ちなみに大塚女子アパートは既に取り壊され、跡地には茗荷谷複合施設を建設する予定で、その中に小石川図書館が移転してくる予定です。

▼『大いなる幻影』のレビュー
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ブログネタ
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猟人日記』読了。

戸川昌子の文章は初めて読んだのですが、男性のような文章を書くんですね。この小説、夜な夜なその場限りの女性を求める男性にかけられた罠を書いた小説なのですが、この男性の欲望や彼の誘いに乗ってしまう女性の寂しさを、淡々と、だけど核心をついて描いている文章が格好いい。理解しているけど突き放してもいて。

戸川昌子はもっと読んでみようと思います。

▼『猟人日記』のレビュー
Amazon カスタマーレビュー

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