東京図書館制覇!Blog版

東京23区の公立図書館を全て訪れたサイト「東京図書館制覇!」の管理人TakeniのBlogです。
こちらでは、読んだ本や東京散歩など、図書館以外のことも書いてます。

カテゴリ: 作家別:稲見一良

ガン・ロッカーのある書斎』読了。稲見一良が「ミステリマガジン」と「モデルガンチャレンジャー」で連載したエッセイを単行本化したものです。銃やナイフという小道具を中心に、それらが使われている小説や映画に関する稲見さんの文章がたくさん詰まっています。

銃やナイフなどの武器には私はほとんど関心がないのですが、文章を通じて伝わってくるサバイバル精神や、武器を持つことによって伴う責任などに対する姿勢が伝わってきて、気持ちがシャキッとしてしまいます。強いものを持っている人こそ、その強さを無闇に使ってはいけないんだよね、という当たり前のことを、決して諭すような口調でもなく、本当に「当たり前だよね」という感じで語る人。

書かれている内容も、特に身近なものを武器にする話なんかは、銃やナイフに興味のない私が読んでいてとても面白いのです。持っている武器の能力では相手の方が圧倒的に勝っているのに、創意工夫や作戦を練る知力や度胸でそんな相手を倒してしまうストーリー。私、こういうのが好きだから、今のルノーで頑張っているアロンソが今までにも増して好きなんだよなあ、きっと。

それと、最後の内藤陳による文章もいいんだよなあ。解説というより、稲見さんを偲ぶ文章(この本は稲見が亡くなった年の10月に発行されている。稲見さんが亡くなったのは2月)、いや、何だかもう最後は、稲見さんの小説を映画化しようと勝手にキャスティングをするという妄想に走っています(笑)。

でも、確かに、稲見さんは執筆活動に入る前に、映像の仕事をされていたこともあって、作品を読んでいると情景がありありと浮かんでくるんですよね。稲見さんの小説を思い出すのに、読んでいるときに頭に思い浮かべた場面がパッと出てくるもん。

内藤陳が書いているように、稲見さんは亡くなってしまっても、稲見さんの作品は残っている。いやぁ〜、本っていいですね。私は未読の稲見作品がまだまだあるので、これから楽しみです。

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男は旗』読了。やっぱり稲見一良はいいですね。大人の冒険小説というか夢物語というか、ロマンが詰まっています。

この小説は、ホテルとして使われていた古い客船が、悪徳企業に買収される羽目に陥り、それを逃れるために何と船としての機能を復活させて出帆してしまうというストーリー。悪徳企業の人間の描き方なんて、悪く言えばコントに出てくるヤクザみたいにオーバーで、実際にこんな奴はいないだろうってくらいなのですが(笑)、それが気にならないくらいいいんです。小説の背後にうかがえる人生観のようなものが。自由に生きるけど、不必要に他人を傷つけず、誇りを持って生きていく。

この小説は、ずばり、好きな男の人に読ませたい本ですね。そして、自分も繰り返し読みたいです。

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ダック・コール』読了。鴨笛(ダック・コール)をタイトルにしたこの短編集は、川原で拾った石に鳥の絵を描く男の作品を観た人が見た夢、というスタイルで、鳥にまつわる短い小説を連ねた本。先日砂町図書館の特集コーナーで見つけて借りたものです。

鳥にまつわる話というより、山の中で自然の恵みを享受しつつ、必要以上に自然を乱したりしない男達の話と言ってもいいこれらの小説、読んでいて気持ちがいいんですよね。私もなるべく身に余る贅沢はしたくないと思っていますが、この小説の男達に比べたらまだまだ現代社会に頼っているなあと思ってしまいました。もうちょっと、自力で生活していくことを極めたいところです。涼しくなったことだし、自転車行動範囲でも広げるか(笑)。

そして、これを「山」特集のコーナーに置いてくれた砂町図書館にも感謝。タイトルに「山」が入っている訳ではないので、中身を読んで知っている職員さんがラインナップに加えたんだろうなあ。これからもこういった渋いセレクションに期待です!

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猟犬探偵』読了。以前読んだ『セント・メリーのリボン』と同様、稲見一良の猟犬探偵シリーズです。

山奥に住み、猟の最中に何らかの理由で戻って来なくなった猟犬を探し出すことを生業としている竜門卓という男の物語なのですが、いやもう、こういう自然の中で生きる男の強さを見せられてしまっては、最近かぶれていたハードボイルドも少々色褪せてしまいますね。

このシリーズ、出てくる人がほぼ皆いい人というか、一見強面でも認めた人には協力を惜しまない、本当に困っている人には見知らぬ相手でも手を差し伸べるような人達が多く、今の世を思えば、そんな人達に溢れているとはとても思えないんだけど、自然という脅威を相手に生きている物語の中ではむしろ合理的(いざというときには同種同士で助け合わないと猛獣や自然に負けてしまう)に見えてしまう。

その点今の世は、人間達が自分で作った文明や社会に翻弄されて何やってるんだかなぁって気がしますね。

嘆くよりもまず自分が翻弄されずに生きよう。

▼『猟犬探偵』のレビュー
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セント・メリーのリボン』読了。この本、活字の砂漠さんの記事を読んで、直後に図書館に予約入れちゃいました。この記事を読むまで、私は稲見一良という作家も知らなくて。この本は彼の短編集。

何って言えばいいのかな、地に足をつけて生活を送っている中でも、心の片隅で理想を持ち続けている男の話って感じでいいですね。

雑多なことに溢れた現実を送っていると、私などはついつい理想なんて夢物語として軽んじちゃったりします。昔ならしぶしぶ妥協していたことも、何の抵抗もなく妥協するようになちゃったりして。逆に若かりし頃なんかは、理想を抱えすぎて現実を軽視しちゃってたなぁ。もっと頭のいい上司だったら、とか、もっと自由にやらせてくれる会社だったら、とか。で、そう思って、現実を全否定しちゃってました。

そんなんじゃなくて、現実の中で地に足をつけて生きつつも、理想をちゃんと持ち続けて、何かのときにはそれに従って行動する人って格好いい、と思う。そんな人達が登場する小説。

な〜んて、ちょっと誉めすぎかな?特に、表題作の「セント・メリーのリボン」などは、話ができすぎているというか、登場人物が役柄にはまり過ぎという感じもしなくもない(笑)。まぁ、夢を見させてくれる小説ということでいいでしょう。

たぶん、夢見がちな小説でありながら、登場人物が食べることを大切にしていたりとかしてて、浮ついていない感じが読んでいて心地いいのかな。夢見る硬派、って感じ?でも実際、軟派な人より硬派な人の方が夢を持っているのかも。

▼『セント・メリーのリボン』のレビュー
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