作家別:東野圭吾

2007年05月16日

『容疑者Xの献身』東野圭吾

容疑者Xの献身』読了。小説としては面白かった。けれど、湯川学の取った行動に、「それってどうよ〜」ともやもや。まあ、こうやって登場人物に何か言いたくなること自体が、小説の世界に取り込まれている証拠ですね(笑)。

読んだことない人には訳わかんない文章になっちゃいますが、石神のことを思うと靖子には言って欲しくなかった。でも、靖子に対してそんな愛し方しかできなかった石上も悪いんだよね。一方的な片思いにも関わらず、絶対自分のことを忘れることはできない、むしろ感謝せざるを得ないような、重〜い愛し方。まあ、それを言っちゃあ、そもそもの発端は殺人を犯した靖子が悪いのか。

そういう感情の部分とは別に、推理小説の論理遊びとしてもこの本は面白いですね。数学的に美しい解法とかってとてもよくわかります。私はプログラミングを仕事にしていますが、同じ処理をできるプログラミングでも美しいものと汚いものとあるんです。きれいなプログラムを書く人は格好いいんですよね。

それにしても、私も東野圭吾をまだそんなに読んでいませんが、これが直木賞受賞作である必要があるのかなあと。そんな意見をあちこちで見たような気がするけど、私も同感。『白夜行』の方がよっぽどよかったような…。直木賞、順番待ちの問題になっちゃってますね。

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2007年04月23日

『幻夜』東野圭吾

幻夜』読了。『白夜行』の別パターンみたいな話ですね。雅也の気持ちを中心に描いているので、こんな流れになるとは予想していたのですが、結局こうなるなんて!ってこの書き方じゃ、読んでない人には何が何やらわかりませんね(笑)。

私は、雅也の最終的な行動がうまく行って欲しかったんですよ。でも、タイトルの「幻夜」、幻を見たのは美冬じゃなくて雅也だったんですね。美冬の描いていたものこそが幻であって欲しかったんだけど…。こうなったら、このネタでもう1パターン東野圭吾に書いてもらうしかない(笑)!

それに、こういう魔性の女の話って、あながち絵空事でもないのかなぁなんて思う。実際にはお目にかかったことはないけど、たま〜になんでこんな事件が起こるんだろうっていう「魔性の女」的な事件ってありませんか。そういう人って誰もを惑わすことができるわけではなくて、自分に惑わされる人をちゃんと見つけることができるんじゃないかなあって。

私は残念ながら男を惑わすほどの魅力を持ち合わせていませんが(』のレビュー
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2006年05月03日

『手紙』東野圭吾

手紙』読了。

想像力豊かな推理作家なら、小説の上とはいえ自分の筆により犯罪が起こしてしまったことに何か思うところがあるのではないだろうか。小説に奥行きを持たせるためには加害者の心理にも被害者の心理にも迫らなければいけない。自分の生み出す世界で苦しんでいる人達がいるという葛藤。

小説は最終ページを書き終えれば終わる。しかし現実の世界はそうではない。現実の苦しみの都合のいいところだけとって小説を作っているのではないか。

おそらくそんな作家達には自身の気持ちを整理する必要があり、東野圭吾の「手紙」はそういった作品の一つではないかと思う。

どこで生きようとしても殺人犯の弟であるということから逃れられない主人公。兄のことを隠して生きようとしても、無理に隠さずに堂々と生きようとしても、軽い遠慮からひどい悪意まで様々なものがまとわりついて離れない。

娯楽として犯罪小説を読んでいる読者も、ときにはこういった犯罪「後」小説を読むべきなのかもしれない。

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2006年04月28日

『私が彼を殺した』東野圭吾

私が彼を殺した』読了。『どちらかが彼女を殺した』に続いて、犯人を小説上で明かしてくれないため、読者が謎を解かなければならない本ですね。

今回はノベルス版を読んだため、解答の手引きはなし。いろいろ考えて、いちおう犯人に見当をつけてからネットで種明かしを検索。犯人からして外れていましたよ(笑)。読みかえすのが面倒で、記憶だけで見当をつけたのですが、てんでダメですな。

更に調べていくと、いちおう解答と思われるものにも突っ込みどころがあるようで、ミステリ読者というのは本当に細かいところまでよく見ていますね。これじゃ、作家さんも大変だ(笑)。

解答を見つける過程で一番面白かったのがこの意見。この人が本当は全てを知っていたというのはありそう!!その目で見ると、この人の行動すべてが作り物っぽいし…

というわけで、犯人は大勢の説に従うとして、この人もそれを知りつつ殺されるがままにしていたというのが、私の解答です。

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2006年04月23日

『白夜行』東野圭吾

白夜行』読了。

この本のおかげでF1の予選の録画をしそこねました(苦笑)。私はパソコンで録画しているので、予約した時間(25:45)にパソコンがついていなければいけないのですが、昨晩「後でパソコンの電源入れなきゃ」と思いながら読み始め、やめられず止められず、ガタンという音で既に朝刊がポストに入る時間になっていることに気づいたという次第。眠気なんてものも露ほども感じず、一気に読み終えてしまいました。

この二人を単に悪者と言い切れないのは、そのとてつもない向上心がゆえか。一言で言えば、目的のためなら手段を選ばないということになるが、目的のためなら極悪なこともすると同時に、目的のためなら地道な努力や勉強もするというところが、好感とまではいかないけど、どうも嫌いになれないんだよなあ。

二人の結びつきもすごいですね。「運命が二人を引き裂こうとも尚も惹かれあう」というストーリーは古今東西あれど、これはそれとはちょっと違って「二人が自分達の意志で別々の道を歩もうとも、最終的な頼みの綱はお互いのみ」という自分達の強い意志による結びつき。といっても、当初はともかく中盤以降は、双方頼りにしているというより一方通行的になってしまっていますが。

この辺り、二人が接触しているところを全く描いていないところが空想好きにはたまらないですね。二人の関係、お互いの思いがどうであったかって、読者によって解釈が違うのでは?二人を深く結びつけた事件を考えれば、雪穂を守った形になる桐原が優位に立ってもよさそうなのに、必ずしもそうでないところがとても興味深い。

読み終えて数時間たった今でもまだこの二人に圧倒されています。

− 白夜行 −
どんなに陽の当たるところを歩んでもやはりそこは夜に過ぎない
が、真っ暗なはずの夜に日を照らしたのは二人の意志の強さゆえである

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2006年04月14日

『秘密』東野圭吾

秘密』読了。これって、ミステリなのでしょうか。ミステリだとしたら、久々にミステリで泣かされてしまいました。

事故がきっかけで娘の身体に母の心が宿ってしまうというストーリー。娘の友達を一生懸命覚えたりして、直子(母)が藻奈美(娘)の人生を生きていくわけですが…。

新しい状況で活き活きと毎日を過ごす直子(身体は藻奈美)に対して、いつまでも直子を以前の直子としてしか見られない夫平介。これって、身体こそ入れ替わらないだけで実はよくある話って気がしません?子どもが大きくなって余裕ができて妻が働きに出る。そこでの新しい生活は大変だけど刺激もあって楽しい。しかし夫はそんな妻を知らず、以前と同じ家庭での妻を求めてしまう…。

もっと広げちゃうと、同じ学校で付き合っていたカップルが卒業して別々の職場で働くとか、一緒の職場で働いていたカップルが異動や転職で別々になったとかでもいい。「今」という時間を共有できなくなって別れてしまうってありますよね。「木綿のハンカチーフ」の歌詞(たとえが古い 笑)なんかも、変われない側から見たってだけで同じ状況でしょう。

これって変わっていく側もわかっていてもどうしようもなかったりしません?楽しかったことが過去になっていくのを自覚しつつも、新しいことがもっと楽しくなって。

実は私、よく転職するくせに職場恋愛多いのでこのパターンで別れることが多く、お互いの環境が変わっても長くお付き合いしているカップルには
ぜひこの辺どうしているか聞きたいところであります。

何か、書いているうちに、この小説を読んで泣いたというよりは、自分のもろもろを思い起こして泣いたような気がしてきた(笑)。まぁ、小説を読むってのはそんなところもありますよね。

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2006年04月12日

『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾

どちらかが彼女を殺した』読了。いやぁ、まさか最後まで犯人が明かされないとは思わなかった!読者が小説に書かれたことを手掛かりに、自分で謎を解かなければならないミステリーだったのですね。

白状しますが「推理の手引き」を読んでやっと犯人がわかりました。もっと言うと、最後まで読んで犯人が明かされないことを知り、自分で謎を解くべく再読する気力がありませんでした…。

文庫本の方は、親本より手掛かりを減らしていてさらに難しいのだとか。これから読む方はご注意を!

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2006年04月06日

『同級生』東野圭吾

同級生』読了。私にとって初めての東野圭吾です。

この間、中目黒駅前図書館に行ったときに、レシートが欲しいがために何かを借りたくて(レシートを印刷する音があまりにもうるさかったので、何か普通と違うタイプなのだろうかと欲しくなった 笑)、文庫本の棚をざっと見て目に付いたこの本を借りてきたのですが、気がついたら1日で読み終わってしまいました。

まず単純に読みやすいですね。電車移動の合間合間に読んでいたのですが、前を読み返したりする必要もなく何だかすいすい読めてしまう。トリックや謎解きはどうなんだろう。ちょっと無理矢理っぽいかな。

でも、この事件に至る背景というか、登場人物の抱いている感情が一筋縄ではいかなくていいですね。特に2番目に死に至る登場人物。この人の感情とその結果行った行動はすごい!こんな人に思われてしまったら怖くてたまらん…。

それにそもそもの発端とも言える主人公の自暴自棄的行動。よろしいことではないんだろうけど気持ちはわかるんんだよなぁ。

詳しくはわからないが、東野作品ではそれほど評価が高くはなさそうなこの作品。でも、私は人間の合理的ではない感情も書ける作家だとお見受けしましたぞ。

他の作品を読むのが楽しみです。『白夜行』も気づいてみたら図書館の予約順位9番目。もう少し待てば手元に届きそうです。

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