作家別:久生十蘭

2010年06月21日

『魔都』久生十蘭

魔都』読了。あ〜、面白かった!

昭和9年大晦日→昭和10年元旦を舞台に、帝都東京で事件が起こる。安南の皇帝が、日本人の愛人を殺害したと思われた事件は、実は皇帝は被害者で誘拐されていたとわかる。皇帝は高価な宝石を携えていて、その宝石の行方も含めて、政府や山師や新聞記者が大騒ぎ。そこに、皇帝の動向を怪しんだフランス大使が1月2日の午前4時に東京に来るということで、それまでに無事皇帝を取り戻せるかどうか…というお話。

この30時間ちょっとの間の話を、1年間かけて連載したというのもすごい。でも、私もこの時代に生きていたら、『魔都』目当てに『新青年』買っちゃいそうだなあ。

この本の解説が久世光彦さんなのですが、久世さんは実際にこの本を読んでみるまで、上海を舞台にした話だと思っていたのだそうです。久世さんの勘違いというよりは、あの時代で「魔都」といったら、上海を想像させる言葉だったと。

今の東京は魔都であるとは思えないけど、「魔都」を読む前の久世さんのように、東京の「魔都」っぷりに気がついていないだけで、今の東京にも暗い部分があるんだろうなあ。いろんなものが白日の下に晒されればこそ、闇の部分は更に深き闇になっているかもしれない…。

スラップスティック的なストーリーが、最後人情で終わるというのもよかったです。

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