当blogで度々言及してきた、新三河島時代の「ちゃぶ屋」。


現在は護国寺にあるお店で本日、ご店主の森住さんが新三河島で一人で営業していた頃のラーメンを、限定500杯提供するとのこと。

…いつも昼に出してる「新三河島時代のラーメン」と何が違うんだろ?
なんて疑問を持ちつつ、お店に向かいました。


11時20分に到着。並びの3番目です。ちょっと早かったかな…
と思ったらみるみる行列が長くなり、開店時には30人くらい並んでました。

そうそう、並んでるとき店員さんから小さなペットボトルの水をいただきました。しかも少し凍ってます。いやあ、ニクい気配りですね。


さて、お店に入って席に座ると、目の前には今日のメニューと説明書きが。

なんでも、1996年6月オープン初日のラーメンを再現するとのこと。僕がちゃぶ屋に通い始めたのは1998年ですから、僕の知らない時代のラーメンですね。

ラーメン一杯500円ワンコインってのも当時を再現してて、ちょっと嬉しい。



で、森住さんが目の前で作ってくれたラーメンが出来上がりました。



新三河島式らぁ麺 正油らぁ麺。

新三河島時代のラーメンと言えども、器が違うだけで受ける印象もかなり違いますね。

透明感のあるスープには焦がしネギと万能ネギ、そして微量の背脂が浮かんでます。中太平打ち麺に、具はロースチャーシューと湯がいたモヤシ。


スープを啜ると、少ししょっぱめだけど旨み豊かで焦がしが効いてて美味い!そして、なんとなく、どこか、コンソメスープっぽさもあるような。


麺は今日は自家製麺ではなく、新三河島時代に使用していた遠藤製麺の麺らしい。言われてみればたしかにいつもより若干細いし、食感や香りが違うような気がしますね…でも旨い麺ですよこれ。


僕、アッサリ正油にモヤシってあんまり好かんのですが、ちゃぶ屋は別。モヤシの味が濃いですね、うまいですよ。チャーシューもうまうまっす。


後半、麺の味がスープに溶け込んだり、喉の奥に微かにベタつくような甘味があったりして、現在のちゃぶ屋の洗練されたラーメンとの違いを感じました。



でも非常にまとまりのある美味い一杯でした。現在のラーメンとは違った、単純明快な美味さ。完食完飲。




…さて、


ここからは僕の勝手な比較と想像と感想です。


まあさっきも書きましたが、器も違うし、オープン初日のラーメンは食べてないし、俺も森住さんも歳くったし。なので正確ではないかもしれませんが…


とにかく僕が新三河島で食べたラーメンの印象は、「正油で麺を食わす」なのです。

きっつい正油にオイリーなスープ、強烈な焦がしネギの香りと味。焦がしネギなんて真っ黒でしたからね。

とにかくバランスなんてなことよりも、一口目のインパクトが物凄いラーメンでした。食べるたびに「うおっ!これこれ、これだよ!!」みたいな。


そういう、舌から記憶を呼び覚ますようなインパクトは、今日のラーメンにはなかったなあ。やっぱオープン初日のラーメンだったからかな?


…でもね、


今日のラーメンにはやっぱり、現在の森住さんの技術やバランスの良さってのが出ているような気がするんです。良い悪いってことではなく、あくまで違いとして、ね。




思い出は美化されてしまうものだから、僕が間違っているのかもしれません。

もしくは、

食べ歩き当初に食べたラーメンだし、それからいろんなラーメンを経験したから、僕自身の味覚に対する受け止め方が変わってしまっているのかもしれません。



でも、でもやっぱり、



あの頃のらぁめんをもう一度食べたいって気持ちが、僕の中からずっと消えないでいるんです。