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公認会計士武田雄治のブログです。

経団連の「のれんの会計処理に関するアンケート結果」に異議あり

経団連は20日、『のれんの会計処理に関するアンケート結果の整理』というものを公表しました。

[経団連] のれんの会計処理に関するアンケート結果の整理


経団連がアンケート調査を行ったところ、93.5%の企業がのれん償却処理を望んでいるという結果だったというもの。


170222_のれん


「ホンマかいな?」と思い、資料をじっくりと見てみると、色々とツッコミどころ満載です。

まず、質問内容。
上のパワポにもあるように、「IFRS適用(予定)企業・米国基準適用企業を含め、ほとんどの企業がのれんの償却を支持している。今後も、IASBに対し、償却の再導入を求めるべき。」という経団連の考えに賛否を問うような、かなり誘導的な内容です。しかも、冒頭の「IFRS適用(予定)企業・米国基準適用企業を含め、ほとんどの企業がのれんの償却を支持している。」というのは真実なのでしょうか? 単に「のれんは償却すべきと思うか?償却すべきではないと思うか?」と問えば、結果は変わっていたのではないでしょうか。

次に、回答企業。
「58社に送付して、31社より回答を得る」と書かれています。送付先は「企業会計部会委員に対
し」とあります。企業会計部会委員の名簿はこちらのとおりで、58社もありません。なんで経団連加盟企業全体(もしくは上場企業全体)に送付しないのでしょう。恣意的にサンプリングしているのではないかという疑いを持ってしまいます。

さらに、回答の内容。
アンケート調査の回答にしては、文章がきれいにまとまり過ぎではないでしょうか。(減損額の)「too little, too late」みたいなコトバが複数回登場しますが、そんなコトバが何社からも登場するなんて考えられません。経団連で恣意的に編集したものではないでしょうか。

他にも挙げたらキリがないのですが、「のれん償却必要説」(償却処理+減損アプローチ)の支持をアピールしたいという思惑が見えてくる内容です。

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経団連は、以前から「のれん償却必要説」を訴えていました。

経団連は、2015年12月25日に、「IASB『アジェンダ協議2015』に対するコメント」を公表し、そこで以下のようなコメントを公表しているのです。

のれんは、減損のみのアプローチから、償却処理+減損アプローチへの見直しにより、投資の成果とコストの対応が可能となり、企業業績のより適切な把握を可能にし、投資家・企業にとっての財務情報の有用性が高まると考えている。この点、IFRS3号の適用後レビューにおいて、のれんの会計処理の改善要望があり、EFRAG・OIC・ASBJによるリサーチを通じて、償却処理に見直すべきとの方向性が出され、市場関係者から基準見直しの十分なフィードバックが得られた。また、FASBは一歩進んだ検討を行っており、IASBの検討の進捗を待っている状況である。よって、「のれん及び減損」は、重要性かつ緊急性があるプロジェクトであることから、FASBとの共同で、「基準レベルのプロジェクト」として取組むべきである。


ここで、「EFRAG・OIC・ASBJによるリサーチを通じて、償却処理に見直すべきとの方向性が出され」との記載がありますが、これは、これは、企業会計基準委員会(ASBJ)、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)及びイタリアの会計基準設定主体(OIC)が2014年7月に公表したリサーチで、のれんの償却を再び導入することが適切であろうという結論を導いたのです(詳細はこちら)。

しかし、その後の2015年6月、ABSJが単独でリサーチ・ペーパー第1号「のれんの償却に関するリサーチ」というものを公表したのですが、のれん償却不要説(減損のみのアプローチ)より、のれん償却必要性(償却及び減損アプローチ)の方が優れているという理由を導き出すことができませんでした(詳細はこちら)。

経団連の2015年12月公表のコメントは、2015年6月のリサーチ結果には(故意に)触れず、2014年7月のリサーチ結果だけを取り上げて「のれんは償却処理すべき」と主張したものと思われます。

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「のれんの償却の再導入の是非につきましては、IASBのボードメンバーの中で大きく意見が分かれており」(小野行雄ASBJ委員長、企業会計審議会 第4回会計部会議事録より)、「会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)におきましても(略)大きく意見が分かれている状況」(同)とのこと。つまり、のれん償却は必要なのかどうかは簡単に結論が出ない問題だということ。日本から世界に意見を発信する際も、それなりに慎重に検討しなければならないはず。小野行雄ASBJ委員長も「ASBJでは、経団連、日本公認会計士協会、アナリスト協会と連携して、さらなる意見発信の方策を検討している」(同)と述べています。

にもかかわらず、なぜ経団連が単独でこんなアンケートを実施し、ツッコミどころ満載のアンケート結果を公表するのか・・・、私は理解に苦しみます。


【関連記事】
2016/10/4 米国ののれん費用化期間は130年/ASBJ調査レポート公表

新日本監査法人 法人内に保育施設開設 繁忙期限定で

新日本監査法人は、本部内に保育施設を開設するようです。

新日本監査法人(東京都千代田区、辻幸一理事長)は、4月から5月まで期間限定で本部内に保育施設を開設する。女性を中心とした小さな子供を持つ公認会計士の活躍を支援するためで、同様の取り組みは4大監査法人として初めて。監査法人は、繁忙期である4、5月は土日祝日も勤務がある。安心して子供を預けられる環境を用意することで会計士の負担軽減、業務集中につなげる。

土曜日、日曜日、祝日の保育受け入れは、保育園によってまちまち。子供が通う園で休日保育がないと、繁忙期でも勤務できないケースがある。この問題を解決するため、新日本は4、5月の土曜日や日曜日、ゴールデンウイークの期間限定で、本部内に保育施設を設置する。

新日本は、パートナー(幹部社員)の女性比率を2016年の7・4%から20年までに10%へと引き上げる方針。定期採用でも女性比率を増やし、在宅勤務制度を導入。フレックス出勤制度についても研究している。女性が働きやすい職場づくりを進めることで、目標達成を目指す。(以下、省略)
([出処]日刊工業新聞(2017/2/17)より一部抜粋)

素晴らしい取り組みだと思います。パートナーの女性公認会計士の比率を高めるためには、「期間限定」では効果が薄いかもしれませんが、今回の取り組みをきっかけに「常設」することができれば、結婚・出産後も辞めずに復帰する人が増えるのではないでしょうか。

女性公認会計士の割合は、米国は5割、シンガポールは6割に対して、日本は14%のみ。先進国で一番低いようです。

【関連記事】
2017/1/17 日本公認会計士協会「女性会計士活躍促進協議会」立ち上げ
2016/11/6 すべての大手監査法人が在宅勤務制度を導入

企業会計審議会会長に 平松一夫 関西学院大学名誉教授

企業会計審議会会長に、我が恩師、平松一夫 関西学院大学名誉教授が就任されました。

[金融庁] 企業会計審議会会長及び委員の任命について


【関連記事】
2016/7/26 第8回「公認会計士の日」大賞受賞者に平松一夫教授

金融庁 監査法人よつば綜合事務所に対して業務改善命令

金融庁は21日、監査法人よつば綜合事務所に対して業務改善命令を下しました。

[金融庁] 監査法人の処分について

いずれの代表社員も当監査法人の品質管理業務にほとんど関与していないだけでなく、監査実施者の専門的能力が不足しているなど監査実施態勢が脆弱であることを認識していない。
代表社員CEOを含めた業務執行社員は、現行の監査の基準で求められる水準に関する理解・知識が不足していたことから、会計基準に反する売上計上が判明し過年度の決算書を訂正するに至った監査業務において、不正による重要な虚偽表示を示唆する状況に該当するかを当年度の売上計上に関連して検討すべきであったにもかかわらず、監査補助者に対し適切な指示を実施していない。
代表社員CEOは全ての上場被監査会社の審査を特定の1名の社員に担当させているが、当該社員は、不正に関連した監査の基準の理解・知識が不足していたことから、不正による重要な虚偽表示を示唆する状況に該当するかを検討すべき事象を、業務執行社員からの報告により識別した際に、業務執行社員に対し重要な監査手続上の不備を指摘できていない。
代表社員CEOを含めた業務執行社員は、不正に関連した監査の基準や収益認識に関連した項目を含め、現行の監査の基準で求められる水準に関する理解・知識が不足している。

これ、改善できるのですか??

三菱電機(6503) IFRS任意適用/2019年3月期 1Qより

三菱電機(6503)は17日、2019年3月期第1四半期(2018年6月期)よりIFRSを任意適用することを発表しました。

[三菱電機] 国際会計基準(IFRS)の任意適用に関するお知らせ

三菱電機といえば、我が国へのIFRS導入を徹底して反対していた佐藤行弘常任顧問(現 社友?)がいる会社ですね。色々と面倒なことがあったのではないでしょうか。ジミーショックからもう6年ですか。。

経理が「情報の倉庫業」から脱皮すれば経営が変わる

ダイヤモンドオンラインに掲載されました。

[ダイヤモンドオンライン] 経理が「情報の倉庫業」から脱皮すれば経営が変わる


先日ご紹介しました『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』(ダイヤモンド社)の著者の一人である公認会計士河江健史先生からご指名を受け、インタビューをして頂きました。

経理部は「情報の倉庫業」(=仕訳屋)から、「情報の製造業」(=付加価値ある情報を提供する部署)に進化させ、さらに「情報のサービス業」(=経営の司令基地)へと進化させるべきという話は拙著でも触れているのですが、本稿ではさらに突っ込んだ話をしております。

2時間近いインタビューを受けましたので、長文になっておりますが、是非ご一読頂ければと思います。



付加価値を生む真の経理部

横浜ゴム(5101)IFRS任意適用/2017年12月期本決算より

横浜ゴム(5101)は20日、2017年12月期本決算よりIFRSを任意適用することを発表しました。

[横浜ゴム] 国際財務報告基準(IFRS)の任意適用に関するお知らせ

おおきな企業が続々とIFRS任意適用のリリースを出してますね。

生産性が低い業務はアウトソースすべき

決算早期化を実現されたクライアント様と、コンサル契約満了後も定期的に連絡を取ってフォローをしているのですが、決算早期化(早期開示)で満足されている会社はなく、「さらなる進化」を目指されています。

「さらなる進化」には、大きく4つの方法が見受けれらます。


(1)経理機能一元化・シェアード化
複数拠点に散在する経理機能を1ヶ所(本社)に集中・統合させる、もしくは、経理機能を別会社(100%子会社)に分社化させることをいいます。上場企業全体においても、経理機能を一元化した会社や、シェアード化した会社が急増しているように感じます。地域統括会社を設立し、そこに経理機能を集約・統合させるケースもいくつかあります。
経理機能一元化・シェアード化というと、コスト削減・人員削減といった点がメリットとして挙げられることがありますが、私は、経理部の高度化・専門化を図れるというメリットの方が大きいと思っております。

(2)経理のマクドナルド化
「マクドナルド化」は私の造語ですが、要は、経理業務を脱属人化・脱聖域化させ、徹底した標準化・ベルトコンベア化・誰でも化を実現し、マクドナルドのようにアルバイトでも業務が遂行できるオペレーションを作ることをいいます。新人やアルバイトでも決算業務に従事できるようにすることにより、経理部員の「人材育成」にも繋がります。私の知る限り、経理部長・課長レベルが決算業務を握り占めている状態で、決算早期化を実現している企業はありません。経理部を進化させるためにはマクドナルド化は必須であり、経理部をさらに進化させるためにはマクドナルド化をさらに推し進める必要があります。

(3)経理の自動化・自計化
決算業務を標準化・ベルトコンベア化・誰でも化できたら、それを自動化・自計化できるオペレーションへと進化させることをいいます。イメージとしては、無人の製造工場です。工場内には誰もいないのに大量生産が行われ、最終工程に品質管理責任者だけがいるという工場。人の手を介さなくてもよい業務は徹底して自動化していきます。といっても、膨大なシステム投資をしなければならないということではなく、エクセルシートを徹底して簡略化し編集作業を(ある程度)自動化することは可能です。中小企業であれば、「クラウド会計」を駆使することより、記帳から決算書作成までを自動化させることはできますが、近い将来、上場企業でもそれに近いことはできるのではないかと思います。

(4)アウトソーシング
進化の最終系として、生産的な活動のみを社内に残し、生産性が低い業務はアウトソースすることをいいます。最近、採用コストが上がってきていますので、上場企業でもアウトソーシングを活用する会社が増えてきました。私がやっているバックオフィスサービスというアウトソーシングの会社も上場企業からの問い合わせが増えております。アウトソースといっても、単に記帳だけをアウトソースするのではなく、記帳以外の生産性が低い業務(例えば、伝票チェック、経費精算、請求書発行・回収、債権消込、書類整理、給与計算、決算資料作成、連結パッケージチェック等)をアウトソースされるケースが増えてきました。また、連結子会社の経理業務を丸ごとアウトソースされたり(その場合は、こちらが連結パッケージを作成し、親会社へ提出する)、親会社の連結・開示業務をアウトソースされたり、というケースもあります。


これら4つの方法は、それぞれ組み合わせて使っているケースもあります。

以下の図は、富士フイルムのシェアードサービス会社である「富士フイルムビジネスエキスパート」のHPより抜粋しました。同社グループは、(1)各会社・各事業所の間接業務を切り出して、統合・集約し、(2)間接業務の効率化・スリム化し、(3)生産性が低い業務をアウトソースする、という方法により、グループの経理業務を進化させてきたようです。

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(富士フイルムビジネスエキスパートHPより抜粋)


結果として、富士フイルムのグループ全体で、経理業務の高度化・専門化を実現しながら、かなりのコスト削減、効率化を達成できたのではないかと思います。

人口減少時代に突入し、上場企業といえども、採用活動には苦労されている会社が多いようです。人不足はますます加速する中、「働き方」も見直さなければなりませんので、生産性や付加価値が低い業務をいつまでも抱え込んでいる場合ではないと思います。決算早期化を目指すかどうかに関係なく、経理部を進化させなければならない時代なのではないかと思っております。


【関連記事】
2016/9/15 決算業務の大半をアウトソーシングさせている上場企業の話
『真の経理部』を作るためのノウハウ公開!
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プロフィール
武田雄治



公認会計士 武田雄治

●武田公認会計士事務所 代表
●中小企業支援の「黒字社長塾」代表
●中小企業のコスト削減・業務効率化支援の「バックオフィスサービス株式会社」取締役
●海外展開・クロスボーダーM&Aの「OneAsia」アライアンスメンバー
●起業支援の「一般社団法人スタートアップエンジン」理事



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