経団連、JICPA、ASBJなどのメンバーが9月にIFRSを先行採用しているオーストラリアへ調査へ行ったのですが、その調査報告が公表されました。

国際会計基準(IFRS)に関する豪州調査報告(PDF)

豪州では、2002年にIFRS導入が決定され、2005年から強制適用されていますが、豪州の会計基準はもともと原則主義であり、、英国と法制度が類似しており、言語も同じ(英語)であることから、、IFRSへの移行は基本的にスムーズに行われたようです。また、豪州では確定決算主義・損金経理要件がなく、従来から税務基準と豪州会計基準とがパラレルで存在しており、税法がIFRS採用の障害になることはなかったようです。

このように、前提が我が国とは異なるようですが、いくつか参考になる点もありましたので、列挙しておきます。

●導入コストが発生
・金融機関では2000万〜1兆豪ドル。金融機関以外では、外部費用が平年の20〜25%増。
・豪州では、非営利団体や公的機関もIFRSを使用しなければならないが、この分野で最もコストがかかったのでシステム。

●注記の増大
・財務諸表の注記は豪州基準の倍以上(注記のみで百数十ページ)

●監査事務所対応
・監査事務所内で、豪州ローカル事務所がグローバル本部に問い合わせることがあり、企業への質問の回答に時間がかかることが多かった。

●人材教育
・会計士協会や規制当局が産業界に対し前向きなメッセージを一貫して伝えてきたことが功を奏した。
経営層への認識向上は、十分に対応できなかった
・大学教育におけるカリキュラムの変更は制度変更に追いついていなかった。


「導入コストの発生」や「注記の増大」は豪州調査報告以前から言われていたことであるため、やはりそうか・・・という感じです。

「監査事務所対応」については、ビッグ4などの海外の提携事務所をもっている事務所であれば海外の本部へ照会を掛けるということができますが、以前も書いたように、我が国において、クライアント数が上場会社10社以上ある監査法人29法人のうち、海外会計事務所等との提携・協力関係にある法人が18法人しかありません。上場企業を監査している会計事務所は200以上あるわけですが、その多くは国際提携をしていないということになります。そういう事務所はおそらく社内研修制度も充実していないでしょうから、今後IFRSの監査実施についていけない事務所も出てくるのではないかと懸念されます。ここはJICPAの中小監査事務所に対する情報提供や研修制度の充実にかかっていると思われます(豪州もICAA(豪州勅許会計士協会)が中小監査事務所向けにいろんな活動をしたようです)。

「人材教育」については、「経営層への認識向上は、十分に対応できなかった」という豪州の報告は、我が国において教訓としなければならないしょう。現時点で、わたくしのもとにIFRSの相談を持ちかけてくれる方はほとんどが経理部の部課長層の方で、その多くが「経営層は意識が低い」という悩みを抱えています。IFRSは単なる経理部の問題ではない、というところを経営層に対して教育する必要があると痛感しております(経営者向け社内研修は弊社でも実施しておりますので、必要あればお問い合わせ下さい)。

最後に、追加で一点、我が国も参考にすべきかと思ったのが、豪州では「IFRSへの移行時にシステム変更が必要になることから、ソフトウェアの購入について税務上の恩典が与えられた」という点。財源がどうのこうの言ってますが、我が国でも検討してほしいと思います。


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