日経新聞(2018/9/15朝刊)に、あずさ監査法人酒井弘行理事長へのインタビューが掲載されておりました。

働き方改革を目的に、新規受注を1年停止していましたが、このほど受注を再開したようです。

以下、一部抜粋しておきます。

――受注停止で働き方改革は進みましたか。

「6月までの残業時間は昨年度比25%減り、労働環境の一定の改善がみられた。導入当初は現場からの不満も出たが、夜9時以降はパソコンから社内のネットワークに接続できないようにした

監査現場では多くの手続きを積み重ね、チェック項目を網羅的につぶすことが優先されて労働時間の増加につながっていた。(略)」

――肝心の監査の「質」は、働き方改革で犠牲になりませんか。

「監査報酬は昔は何人で何日働いたかで決まっていたが変わってきた。どういう指摘ができて、どういう不正を発見できたか、中身が問われるようになった。監査にかける時間が減っても監査報酬を上げることも可能になってきた

「社会が監査に求めているのは、『市場に重要な影響のある財務諸表の訂正を起こさせない』ということだ。その理解を法人内で徹底させた。限られた時間内でどうすればリスクを軽減できるかと、『考える監査』ができるようになった。監査の品質を確保できる体制にメドが付いたため、7月から受注を再開した」

――働き方改革はこれで終わりですか。

「組織文化として根付かせるため継続的な推進が必要だ。AI(人工知能)などを利用した次世代監査ツールの開発を積極的に行い業務を改革する。会計士を志望する若者が減っているが、考える監査を徹底し、AIでは代替できない監査の存在意義を高め業界の魅力を向上させていきたい

「働き方改革の目的は単に長時間労働を是正することでなく、競争力の強化にある。会計士一人ひとりが考える監査を身に付けることで、競争力が強化され、質の高い監査を提供できる。働き方改革と監査の品質確保は共存できる」


個人的に、上の赤字の2ヶ所の発言が非常に関心があります。これが本当だとしたら、一法人内での「働き方改革」どころではありませんね。業界内に移植して欲しいものです。

インタビューでは、先日公表された2018年6月期決算についても触れられていました。2018年6月期決算が大幅な減益となったのは、受注停止の影響で非監査証明業務が減ったことと、「働き方改革」で残業代が減った分は全て賞与に充当したことによる、とのことです。来期の具体的な数値目標を掲げた事業計画は立ておらず、「営業部隊を使い、こちらから企業に選んでくれとは言わない」とのこと。すばらしい。


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