読売新聞(2020/11/26夕刊)より抜粋
政府・与党は、企業が紙の領収書や請求書を電子データとしてパソコンで保存する際の要件を大幅に緩和する方針を固めた。新型コロナウイルスの感染拡大で課題となったデジタル化を推進し、事務負担の軽減につなげるのが狙いだ。12月に決定する2021年度与党税制改正大綱に盛り込む。

政府は21年の通常国会に領収書電子化などのルールを定めた電子帳簿保存法の改正案を提出し、22年1月の施行を目指す。

企業は領収書や請求書などの税務書類を原則として7年間、紙で保存する義務があり、同法で定める要件を満たせば、スキャナーで保存して紙の原本を廃棄できる。しかし、各企業が年1回以上の「定期検査」で、電子データが改ざんされていないかを原本と照合しないと廃棄できないなど要件が厳しく、利用が広がっていなかった。

このため、政府・与党は法改正で、定期検査を不要とし、原本をスキャナーで読み取った段階で捨てられるようにする。企業は紙の原本を一定期間保存する費用を削減できる。定期検査は多くの人手が必要になっており、廃止で事務負担が軽くなる。

また、電子データの保存作業では、原本の改ざんを防ぐために2人以上で行うと定められているが、人手が限られる小規模事業者に配慮して1人で行えるように改める方針だ。

電子データ化する際に改ざんされていないことを示すため、データ上で日付などの記入を義務付ける「タイムスタンプ」も、要件を緩和する。現在は企業が領収書などを受け取ってから3日以内としているが、2か月以内に延長する方向だ。3日以内だと「出張中などですぐに対応できない」という指摘が出ていた。

このほか、企業は税務書類を電子データで保存する3か月前までに税務署へ事前承認書類を提出する必要があるが、不要にすることも検討している。一方、国税通則法も合わせて改正し、データ改ざんが見つかった場合は追徴課税することを同法に明記する方向で調整している。

経団連の試算によると、税務書類を紙で保存する経済界全体の費用は、倉庫代や運搬費、人件費、廃棄コストなどで年3000億円に上る。政府・与党は領収書などの管理のために出勤する必要がなくなり、感染対策にもつながると期待している。


どんどんやってください。

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