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公認会計士武田雄治のブログです。

コーポレート・ガバナンス

自民党 サステナ保証は公認会計士が主導的役割を担うべき /金融調査会 提言公表

自民党・金融調査会は3日、「金融調査会 提言2025」を公表しました(5月22日付)

[自民党]金融調査会 提言2025

この提言では、企業会計に関する小委員会で議論した内容については、以下の論点も提言しています。

1.サステナビリティ情報の開示・保証
→ 保証の担い手は「財務諸表監査での長年の実績を有し、高い独立性や倫理を備えた公認会計士が、主導的な役割を担うべき」である。

2.コーポレートガバナンス改革の推進
→ 金融庁において、東京証券取引所と連携し、「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム 2024」の後継となる政策パッケージを取りまとめ公表すべき。

3.一体開示・有価証券報告書の株主総会前開示
→ 金融庁は、企業の取組状況の実態を把握するとともに、有価証券報告書レビューによる調査を行うべきである。また、株主総会の3週間以上前の有価証券報告書の開示に向けて、取締役会に前向きな企業のための相談窓口設置や官民の関係者の連携による一体開示の支援等、必要な追加的措置を検討すべきである。さらに、企業が十分に余裕をもって必要な情報を開示することができるよう総会開催日の移動についても検討すべき
→ 日本公認会計士協会は、会員監査人に対して、必要な周知等を行うべきである。
→ 法務省や経済産業省は、株主総会資料の書面交付の不要化・電子化を含めた制度面での整理を検討する等、企業による株主総会前の適切な情報提供の取組みが容易となるよう推進策を検討するべきである。

4.監査を巡る現状と課題
→ 上場企業等を監査する監査事務所は、監査法人のガバナンス・コード改訂も踏まえ、情報開示の対応、 IT ・人材基盤等の整備を進めるべき
→ 大手監査法人は、システムへの投資額を含めた開示の充実を促進すべき

5.のれんの会計基準のあり方
→ 近年、のれんに関して様々な指摘が行われていることを踏まえ、我が国におけるのれんの会計基準のあり方の検討を開始すべきタイミングにあると考えられるため、多様な関係者による深度ある丁寧な議論が行われることが期待される

「5.のれんの会計基準のあり方」だけは、すべき調ではなく、「議論が行われることが期待される」という表現に留めています。今回の自民党 金融調査会や企業会計小委員会では、のれんの会計基準を変えることに賛同した議員はおらず、むしろ、「のれんを非償却にしたいのであれば、IFRSを任意適用すればよい」という意見が出ていましたので(週刊経営財務 2025/6/9号、 2025/5/19号参照)、民間13団体などがとりまとめた提言とはトーンが違います。

TAC(4319)今年もトンデモ株主提案 ―そろそろ「カブハラ」を排除すべく再度会社法を改正すべきでは?

TAC(4319)に今年もトンデモ株主提案がありました。

[TAC]第42回定時株主総会招集ご通知

日枝久氏を取締役に選任せよと。明らかな嫌がらせ。

TAC_株主提案


その他に、元ANA客室乗務員の伊藤(中島)あゆみ氏を取締役に選任せよ、という提案もあります。

過去には、提案株主が経営する北海道登別市の会社に本店所在地を変更しろ(2024年)とか、配当可能利益の5%を寄付しろ(2023年)とか、従業員による風俗店利用を禁止しろ(2021年)といった株主提案もありました。

同じ株主なのでしょうか。「カブハラ」ですね。

こんな馬鹿げた株主提案にいつまでクソマジメに対応せねばならんのでしょうか。
こんなことに経営者や法務が振り回されているのかと思うと気の毒でなりません。

会社法を改正すべきだと思います。


【関連記事】
2025/6/3 3月期株主総会 株主提案が過去最多に /NHK

3月期決算会社の定時株主総会集中日は6月27日(火)集中率は25.3%で過去最低に /東証集計

東証は6日、2025年3月期決算会社の定時株主総会開催日の集計結果を公表しました。

[東証]2025年3月期決算会社の定時株主総会開催日の集計結果について

本年の3月期決算会社の定時株主総会の開催日は、6月27日(金)に最も集中しており、562社(25.3%)が開催を予定しています。最集中日の開催率は1983年の集計開始以来、最も低い水準となりました。

株主総会集中日


【関連記事】
2025/6/3 3月期株主総会 株主提案が過去最多に /NHK
2025/6/4 アドバンテスト(6857)、ソラコム(147A)が総会開催日の後倒しへ

日本監査役協会 就任1〜2年目の監査役等向け入門講座 配信開始

日本監査役協会は2日、就任1〜2年目の監査役等(監査委員・監査等委員・監事含む)を主な対象とした入門講座(動画配信)の配信を開始しました。

[日本監査役協会]入門講座(動画配信)のご案内

日本監査役協会_入門講座

日本監査役協会 改定版「監査役監査実施要領」を公表

日本監査役協会は3日、改定版「監査役監査実施要領」を公表しました。

[日本監査役協会]改定版「監査役監査実施要領」を公表

今回の改定は、2024年4月の金融商品取引法における四半期開示制度の改正や、協会より新たに公表した報告書の内容、その他各種制度改正を反映したものです。

アドバンテスト(6857)、ソラコム(147A)が総会開催日の後倒しへ

週刊経営財務(2025/6/2号)によると、アドバンテスト(6857)、ソラコム(147A)の2社が総会開催日の後倒しを検討しているようです。

[週刊経営財務]2社が総会開催日の後倒しへ

本誌が4月1日から5月28日までに開示された適時開示情報を調査したところ、3月期決算企業で以下の2社が議決権行使基準日を後にずらすことにより総会開催日の後倒しを可能にする定款変更の決議を総会で予定しているようです。

アドバンテスト(基準日を5/15に変更)
ソラコム(基準日を4/30に変更)

アドバンテストは配当基準日は変更しないようですが(3月末日のまま)、ソラコムは配当基準日も4/30に変更するようです。

3月期決算企業ではありませんが、すでに総会開催日を後倒しにした企業も3社(ニイタカ、窪田製薬HD、ジョイフル)あります。


▼アドバンテスト 適時開示(2025/5/22)
アドバンテスト_定款変更

ソラコムの適時開示はこちら

3月期株主総会 株主提案が過去最多に /NHK

NHK(2025/6/2)によると、3月期決算会社の株主総会の株主提案が過去最多となったようです。

[NHK]株主総会 今月下旬にピーク 株主提案 受けた企業が過去最多に

アクティビストからの提案が多いようです。

三菱UFJ信託銀行によりますと5月29日までに株主側から総会に向けて議案の提案を受けた企業はわかっているだけで108社に上り過去最多となっています。

ことしも企業に経営改革を強く求めるアクティビストと呼ばれる株主からの提案が多く、アメリカの投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」は、フジテレビの親会社に対して独自の取締役候補を提案しているほか、飲料メーカーの「ヤクルト本社」にも取締役の過半数は社外取締役にするよう定款の変更を提案しています。



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昨日(2025/6/2)に日経夕刊にも株主提案の記事が載っていました。

[日経]株主提案って何? 還元やガバナンス強化を後押し [会員限定記事]

ここにも書かれていますが、野村HDは過去に個人株主から「会社のトイレを和式にする」という提案を受けたことがあります。こういう嫌がらせのようやトンデモ株主提案が後を絶ちません。TACには過去に、従業員による風俗店利用を禁止しろとか、(提案株主が経営する会社がある)北海道登別市に本店所在地を変更しろとか、アホみたいな提案もありました。いつまでこんな状況を放置するのでしょうか。

清原達郎氏が『わが投資術』(講談社)にも書いていますが、くだらない株主提案、ふざけた株主提案が多すぎるんです。こんなことに経営者や法務が振り回されているのかと思うと気の毒でなりません。


株主提案権
([出所]日経電子版)

「有価証券報告書の株主総会前開示」に関する想定問答例

弁護士ドットコムが運営する「BUSINESS LAWYERS」というサイトで、「有価証券報告書の株主総会前開示」に関する想定問答例が掲載されています。

[BUSINESS LAWYERS]「有価証券報告書の株主総会前開示」に関する想定問答例

有価証券報告書の株主総会前開示を実施する場合、しない場合、基準日・総会開催日の変更についての想定問答例が記載されています。



2025年 株主総会の準備実務・想定問答
中央経済グループパブリッシング
2025-02-03


企業価値向上に向けた 株主総会年間実務・想定問答〈2025年版〉
磯野 真宇
中央経済グループパブリッシング
2025-02-28

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●武田公認会計士事務所 代表
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