とても面白そうなタイトルなので読んでみましたが、内容も面白かったし、タメになりました。
著者の大原達朗会計士は、日本M&Aアドバイザー協会会長でもあり、『M&A実務のプロセスとポイント』という本も上梓されています(この本は先月時点で24刷を発行するロングセラー&ベストセラーとなっています)。
M&Aを熟知している大原会計士が今回出版した本のテーマは、個人M&A(マイクロM&A)。サラリーマンが個人で企業を買収するというストーリーを追体験しながら、個人M&Aの実態、知識、留意点等を学ぶことができる内容となっています。
大型のM&Aと異なり、小規模M&Aは、売り主・買い主双方でM&Aの理解が不足していたり、経営そのものの理解が不足しているために、失敗するケースが増えているようです。決算書がテキトーに作成されていたり、粉飾決算をしていたり、月次決算をしていなかったり、というケースも少なくないようです。また、完全成功報酬型のM&Aアドバイザーと契約している人の中には途中で投げ出す人もいるようです。そういう状況の中で、交渉、DD(デューデリ)、クロージングを早期に実施していくことが重要となります。特に、個人M&Aの場合は、相手が個人事業であることから、大型M&Aでは考えられえないような様々な問題点・留意点があることが分かります。小規模M&Aだから簡易的な手続きで済むとは決して言えず、ビジネスをきちんと見ること(さらにビジネスDDをきちんと行うこと)が極めて重要だということも分かります。
本書は、数あるM&A本の中でも珍しく、個人M&Aや小規模M&Aに絞って解説した類書なき一冊です。小規模M&Aをご検討の方や、M&Aの基礎知識を身に付けたい方は、是非ご一読下さい。
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[BBT大学]大原 達朗 准教授 出版記念講演 〜サラリーマンが小さな会社の買収に挑んだ8カ月間:個人M&A成功のポイント〜