鍛造ペグはいくつかのメーカーから販売されていますが、セマフカのお気に入りはスノーピークのソリッドステーク(以下ソリステ)と村の鍛冶屋さんのエリッゼステーク(以下エリステ)。

ソリステは圧倒的な信頼感。エリステは豊富なカラーがお気に入りの理由。

でしたが、この夏、村の鍛冶屋さんがグイグイと攻めていることは、セマフカでも紹介済み。

攻めの内容は2点。
・ペグの素材をS45C→S55Cへと順次切り替え中
・究極のペグ「アルティメット」をリリース

というわけで、今日は以下の4本を叩き比べてみました。

・30cm ソリステ
・28cm エリステ アルティメット
・28cm エリステ(S45C)
・28cm エリステ(S55C)

※以上の並びは写真左から順です
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ちなみにこの実験。性能を比べるという趣旨ではございません。あくまで「叩き心地」。フィーリングの話ですので、120%主観で語っていることをあらかじめご了承ください。

さてこの4本の中で素材の組成が異なるのがエリステS45Cだけで、残りの3本はみなS55Cです。

S45CやS55Cというのは炭素鋼のJIS規格で、45や55という数字が炭素の含有量を示しています。45Cは0.45%前後、55Cは0.55%前後の炭素を含んでいることを意味します。

一般に炭素の含有量が少ないと、その炭素鋼はしなやかになり、そして曲がりやすくなります。炭素の含有量が多いと固くなり、そして脆くなります。どちらが優れた素材か、ということではなく、特性が異なるということです。

で、以前に40cmクラスのソリステとエリステ(S45C)を叩き比べた時には、素材特性通りの手応えの違いをはっきりと感じることができました。

それをセマフカでは「ソリステは松井秀喜。エリステは新庄剛志」と形容しました。(→「王者ソリステを脅かす実力派「エリッゼステーク」を試してみた」

さてさて、新戦力のソリステ(S55C)と鳴物入りのアルティメットはどうか?というところですが、今回の試し打ちは全て30cmクラスなので、いちおう全てを同じ地面に打って比べてみました。

まずは基準となるソリステ(←やっぱ使っている年数が長いので)。うん。打ち下ろしたハンマーを弾き返すこともなく、力を着実に地中に伝えてくれている感じがします。さすがの名品です。

続いてエリステ(S45C)。うんうん。40cmクラスの時と同じような感触。ハンマーを打った瞬間に、わずかに弾力を感じます。ペグがしなやかに震えるような感触が伝わってきます。

さて、ここからが本番。

エリステ(S55C)。ほうほう。従来モデルのようなしなやかなニュアンスがほとんどなく、叩いた感じはソリステとほぼほぼ同じです。

そして、これは軸と先端部分の形状に由来するのだと思いますが、ソリステよりも、もうちょっとシャープな刺さり心地があります。

ソリステの軸はほぼ円形。エリステはエリッゼ(楕円)の名のごとく、コーナーが大きくラウンドした長方形です。30cmソリステの軸の直径が8mm。エリステの軸は9×7mmです。厳密な断面積の測定はしていませんが、断面積はほぼ同等と思われます。

先端部分はエリステのほうが若干シャープですが、これは実験に用いたソリステが新品ではないことが影響しているのかもしれません。。。

いずれにしても新素材S55Cは従来モデルS45Cとは明らかに別物になっています。

この件で村の鍛冶屋さんに問い合わせた時には「新庄剛志からイチローくらいまでなってくれることを期待」とおっしゃっていましたが、、、ハイ、間違いございません。野球選手に例えるなら「エリステS55Cはイチロー」です。

おめでとうございます。パチパチパチ。

って、エリステ アルティメットが残っていました。これが今回の本命です。

アルティメットの素材はS55Cですが、レギュラー品との違いは「焼き入れ」を行っていること。焼き入れとは包丁や日本刀で使われる技法で、簡単に言えば高温に熱した後で水などで急激に冷やすことです(よくドキュメンタリー番組とかで、じゅわわ〜と蒸気が上がっているアレです)。この処理を施すことにより硬度が格段に増すのです。

と、能書きはたいがいにして、、、アルティメット。むぅ!むむむ!

これは!異次元の感触です!

叩いた瞬間に、ハンマーとの一体感が感じられます。打ち下ろしたハンマーがペグヘッドに当たった、という感覚ではなく、ペグヘッドがハンマーに吸い付いたような感覚、まるで磁石に鉄ハンマーを振り下ろしたかのような感じです。

これはスノーピークの銅ヘッドのペグハンマーを使っていることも大きいと思います。銅ヘッドの食い込みのよさと、アルティメットの圧倒的な剛性の相乗効果なのでしょう。

一打ごとにスムーズかつ着実に地面に刺さっていく感じは、まるで鍼灸師がツボに針を打っていくが如しです。

これはゴイスーですよ。

アルティメット=究極と名付けられた意味も分かります。ソリステを超える価格設定ですが、十分にその価値があると思います。

しかし困りました。ソリステは松井秀喜。エリステS45Cは新庄剛志。エリステS55Cはイチロー。

アルティメットを例えるなら誰なのか。。。?

ズンズンと敵地に入っていく圧倒的なタフネス。

強靭な身体。

ひたむきな職人気質。

寡黙にして骨太。

揺るぎない信頼感。

・・・

野茂英雄!

いっやー、いましたヨ。凄い人が残ってました。ペグを野球選手に例えるなら「アルティメットは野茂英雄」として認定させていただきます。

初回生産分は100本限定生産とのことで、すぐに売り切れてしまいましたが、2015/8/20現在、再販が確認されています。早く欲しい方は売り切れないうちに急いで下さーい。

っつか、個人的には38cmアルティメットを試してみたいー!


というわけで今回4種のペグを試し打ちしましたが、もう一度念のため。これはペグとしての性能の優劣を判定する企画ではなく、あくまで「叩いた時のフィーリング」を紹介したに過ぎません。

「炭素含有量が増えた分脆くなってんじゃないのー?」とか「ペグに焼き入れとかマジやりすぎで意味不明」とかいうコメントは何卒ご遠慮いただきたい!

あー、なんか、ペグ打ちたくなってきた(爆