平成24年6月12日
武富士の責任を追及する全国会議 代表 弁護士新里宏二

              事務局長 弁護士及川智志

                 司法書士 乾 亮太朗

 6月11日は3つ事件の期日が一日に集中しました。

 第5陣の一回目が10時から103大法廷、第2陣の4回目と第6陣の1回目が11時から606号法廷で開廷されました。今日は3つの事件の報告を行います。

 今回は、50人くらいの方に傍聴に来ていただきました。大法廷も50人集まると迫力があります。

第5陣1回目10時~103号大法廷

1、出廷した当事者、裁判官、書記官

  原告側は76歳の御本人1名、原告訴訟代理人は、新里団長、及川弁護士他が出廷。すみません、出席した代理人の人数を数え忘れましたが、もちろん被告代理人の弁護士さんも出廷しておられました。

  第5陣の係属部は東京地裁43部合議B1係、荻原秀紀裁判長、鎌野真敬裁判官、手塚隆成裁判官、水出芳春書記官です

2、主なやりとり(※法廷でのメモのおこしです。)

●荻原裁判長:それでは開廷します。第一回期日ですので、原告の訴状を陳述、被告の答弁書を陳述とします。

●荻原裁判長:(原告代理人に対し)進行についてですが、意見陳述をされるとお聞きしています。

●原告代理人:はい、原告本人と、原告代理人からそれぞれ意見陳述を行いたいと思います。

●荻原裁判長:被告代理人はよろしいですか。

●被告代理人:はい。

●荻原裁判長:それでは、お願いします。

●原告御本人:(ご高齢をおして今日の期日に来ていただきました。)

 「人前で話すことが苦手で、うまく話すことが出来ないかもしれませんが、それでも武富士によって苦しめられた私の人生について、裁判官の皆様に直接自分の言葉で伝えたいと思い勇気を出してこの場に立っています。一生懸命話しますので、お聞き苦しいかもしれませんが、お許し願います」(と、陳述が始まりました。途中、荻原裁判長が、「原稿を手に持って読まれてもいいですよ」「もしよければ座ってもいいですよ」と御本人に言われました。

 御本人は、電気設備の会社を経営し、3人の従業員を雇用していたそうです。景気の悪化により収益が減少し、平成11年に給料支払いのために40万円を借入します。一日でも遅れると電話があり、督促状が送られるため、仕事で地方に行っているときはATMを探し回って返済をしていたそうです。それでも、家に督促の電話が架かってくるため、家族からの信頼を失い、もう何年も自分の子供と会話していない・・・この方は、国民保険も国民年金も支払うことができず、老後の生活を悲観して自殺を考えていたそうです。しかし、引き直し計算をしてみると、100万円以上の過払が発生していました。御本人はところどころつかえながらお話されていたのですが、荻原裁判長はとても真剣に聞いておられました。続いて原告代理人新里団長からの意見陳述です。以下、意見陳述書要旨から一部を抜粋します。)

●新里団長:「私は、仙台で長年、借金で自殺する社会をなくそうと活動してきた弁護士です。武富士は、わが国消費者金融の草分けであり、経営実態は、高金利、過剰融資、過酷な取立というサラ金三悪を具現化したものでした。また、武富士は上場企業となるや、派手なコマーシャルでマスコミを牛耳り、他方武富士に批判的な報道がなされるや、高額の名誉毀損訴訟を提起して、批判を封じ込めようとしてきました。私自身、2003年3月に『武富士の闇を暴く』という本の出版したことで武富士から5500万円の訴訟を提起されました。この訴訟に対して、不当訴訟であることを理由に反訴を提起し、480万円の請求が認められています。」(この部分を、荻原裁判長は興味深そうに聞いておられました。)

「武富士から返済能力を超えるほどの過剰な貸付を受け、違法不当な取立を受けることをおそれて、利息制限法で計算上の債務を完済した後も義務なき支払いを逃れることができず、その結果、武富士には膨大な不当利得が蓄積され、借り主には、今原告本人が述べたような事態が発生しています」

「借り主が、食べるものも食べず、教育費も削り、税金も払えず、健康保険料も払えず、病院に行くのも我慢して病気になって、場合によっては、自ら命を絶つというような悲劇が繰り返されてきました。この結果、武富士の創業家・武井家には莫大な資産が蓄積されています。」

「こうした武富士の違法経営を陣頭指揮してきたのは、武富士の創業者でワンマン経営と言われた亡保雄氏であり、亡保雄氏の後継者です、被告俊樹、被告健晃も経営に深く関与していました。とすれば被告たちの法的責任が厳しく追及されなければなりません」(略)

●荻原裁判長:被告はなにかご意見はありますか。

●被告代理人:今後主張をして行く予定です。

    ●荻原裁判長:原告の証拠説明書を提出、被告の証拠説明書と乙28号証までを提出とします。

●原告代理人:次回以降、新たな証拠の提出も考えています。

●荻原裁判長:裁判所の夏期休暇をはさむので、次回は8月20日の午前10時。522号の通常法廷とします。
 

    

第2陣4回目11時~606号法廷

   建物の一階にある大法廷から、六階の606号法廷に移動しました。移動する際、裁判に参加した原告の方から、「訴訟に参加したら、近所の方に借金をしているのがばれるのではないかと迷った」というお話をききました。

   六階について開廷まで、少し時間があったので、待合室でまっていました。このとき、僕は及川弁護士が配ってくれた11時15分からの原告御本人の意見陳述書要旨を読んでいました。先の大法廷で陳述された方とは別の方ですが、偶然どちらも事業を経営していて、事業資金として借入を開始したことがわかりました。

1、出廷した当事者、裁判官、書記官

 原告代理人として新里団長、及川弁護士他、被告代理人。堀田明裁判長、中村心裁判官、森山由孝裁判官で裁判官は前回と変更なし。傍聴人もほとんど全員が大法廷からそのまま移動したので変更なし・・その結果、傍聴席に入りきれない方がいました。地方裁判所の裁判は立ち見が許されないので、5名ほどが外で待ち、11時15分からの事件で入れ替えをすることになりました。

2、主なやりとり(※法廷でのメモのおこしです。)

 ●堀内裁判長:それでは、既に係属している事件から始めます。(原告代理人が準備書面を裁判官に渡す)

 ●堀内裁判長:ファックスで先に送っていただいているのと一緒ですね。原告の第3、第4、第5準備書面を陳述します。甲34~57までの写しを提出。被被告は乙29号証の写しを提出、乙30、31は判例なので書証にしないでください。

 ●堀内裁判長:原告に釈明したいことがあります。第4準備書面の、役員の任務懈怠責任は、それぞれの行為をいつ、どの役員がやったのか明らかにしてください。また、その行為が倒産とどのような因果関係があるのか明らかにして下さい。

 ●原告代理人:亡保雄氏と健晃氏が行った行為について時系列を提出します。なお、倒産との因果関係については、武富士の内部情報へのアクセスが難しいので少し時間を下さい。

 ●堀内裁判長:次回は被告の反論とします。

 ●被告代理人:裁判長が原告に釈明を求められた部分以外への反論をしたいと思います。

 ●堀内裁判長:それでは次の事件にいきましょうか。

 ●書記官:傍聴席で入れ替えがあるようです。

 ●堀内裁判長:では一旦退廷して待ちます。
 

第6陣1回目11時15~606号法廷

   傍聴席で入れ替えがあったようです。裁判官が再度入廷し、一同が起立と礼をして期日が始まります。なお、この事件は11時からの事件に併合されました。

1、出廷した当事者、裁判官、書記官

 代理人と裁判官に変更はなし、そこに原告御本人が法廷内に入られました。

2、主なやりとり(※法廷でのメモのおこしです。)

 ●掘内裁判長:第一回目の期日の手続を行います。

 ●原告代理人:訴状を陳述します。

 ●被告代理人:答弁書を陳述します。

 ●掘内裁判長:被告から、先程の事件との弁論併合の上申がでていますが、原告のご意見はいかがですか。

 ●原告代理人:基本的に裁判所にお任せしたいと思いますが、先程傍聴席に入りきれない人がいらっしゃいましたので、この法廷だとまた入りきれないかもしれません。

 ●書記官:2、3人入れなかったようです。

 ●原告代理人:入りきれなかったのは5人くらいです。

 ●掘内裁判長:同じ民事7部に係属した事件なので併合をします。次回この法廷に入りきらないようであれば、大法廷を考えます。

 ●被告代理人:事件が併合されたので、これまでの主張を援用します。

 ●掘内裁判長:意見陳述をご希望ですが、原告御本人、原告代理人のどちらを先にされますか。

 ●原告代理人:本人からの意見陳述を先に行います。

 ●原告御本人:私にこのような意見陳述の機会を与えていただき感謝します。(この後、御本人が30歳で独立開業し、取引先が順調に増えていったこと。しかし、手形決済日と支払日がかみ合わず、短期決済資金として昭和58年4月から、武富士の借入を開始したこと。早く返そうと思ったが利息の負担が大きく、さらに貸付の勧誘もあっていつの間にか借入が増え、他社への借入も行い、結局28年間取引を続け、他5社も含めて520万円の債務を抱えていたこと。司法書士に相談に行くとほとんどが過払いとなっていて、武富士には555万円の過払いになっていたこと。武富士に過払金の返還を求める電話をしたが、担当者の横柄な態度に驚き、訴訟をするに至ったこと。昨年9月27日に、元利合計633万円の過払金の支払いを認める判決が出たが、その翌日に武富士が会社更生を申し立てたこと。妻とは借金問題が原因で離婚したこと。昨年他界した父の鞄から自分の武富士への支払い明細書がでてきたこと。過払いになっているにもかかわらず、父に返済をせまっていたのではないかと思ったこと。などを陳述されました。なお、この方が借入を始めた、昭和58年4月というと、貸金業規制法施行前ですから、武富士が利息制限法を超える利息を請求する根拠は一切ありません。)

会社更生法に基づく手続は、東京地方裁判所で行われていることなので、これ以上はどうすることもできませんが、武富士は私に対し、法律で認められない取立を20年も続け、その間、経営者は報酬を、株主は配当金を受け取っていたのは事実だと思います。でも、違法金利を取り続けてきた武富士の経営は間違っていたのですから、その間に受け取った経営者や株主の利益は取り戻して被害回復にあてるべきだと思うし、良いとこどりで終わらせるなんて許せません。きっと、私と同じような思いをされている方が全国にたくさんいると思います。公平な社会とはなんなのか。どうか、法律をうまく潜り抜けるすべを知ったものが得をする社会でないことを望み、私の意見陳述を終わらせていただきます。

 ●新里団長:(意見陳述)

 ●掘内裁判長:次回は9月3日、午前10時とします。

報告集会@弁護士会館5階DEF

 裁判が終わり、弁護士会館の5階の部屋で報告集会を開きました。

裁判が終わったのが11時半を過ぎていて、部屋の予約が12時まででしたので、大急ぎで報告集会を行いました。

報告集会では、及川弁護士から準備書面の内容の解説、新里団長から今後傍聴してほしい事件(特に一陣、三陣、五陣の傍聴を希望しています)についてのお話がありました。

感想

 家族のために会社を経営し、真面目に支払いを続けた人が、子供からの信頼を失ったり、奥さんと離婚したという話を聞いてやりきれない気持ちになりました。   以上