・動機考察の方向性とは
第7のゲームでは動機考察がメインになるかと思いますが、大前提として次の3つの赤字に抵触しない動機を構築しなければなりません。

「恐怖を味わわせるのが目的ではありません。」
「誰かに復讐するためのものでもありません。」
「…ベアトは、快楽目的で殺人を行なっていることはありません」

ミステリーにおいて殺人の動機で復讐、恐怖、快楽殺人、このような王道をすべて赤字により否定されています。それにしても、残り2つですか。早いですね。ちょこちょこ魔法の推理を挟みますけども、何であれを推理するのかというと最後に縁寿さんの心の解釈をする場合に非常に重要になるからなのです。縁寿さんというのはゲーム盤の縁寿さんもそうですが、作家縁寿さんの心の推理をする場合に重要なのですね。魔法EDの意味にも繋がりますから。何で作家縁寿さんは福音の家を六軒島のホールのように作り替えたのか。その理由に関連します。非常に愛にあふれた彼女の心理の推理。それを解くための鍵として、魔法の推理はやってるのですね。キーとなるのは、魔法には裏と表があり、魔法を使う者は裏の真実を知っていなければならない、という点です。実はですね、私が推理対象として非常に好きなのは第8のゲームの推理なのですよね。一見推理対象がさほどないように見えますが、そんな事はありません。

・明かす物語と明かさない物語
私からすると、このように何も明かさず終わる物語は推理するのが楽しいですが、明かす物語と明かさない物語というのは実はそれぞれ違う楽しみがあるのですよね。どちらの楽しさを味わってもらいたいかというのは選択の問題なので、両方は無理なのですよね。難しい所です。明かす物語の楽しさというのは、今コミックでやっているあの楽しさですね。まぁミステリーの王道の明かされる快楽ですね。明かさない楽しさというのは、今コミックの情報を知った上で原作のEP8をやると伝わりやすいでしょうが、暗喩を察する楽しさ、というのがあるのですよ。真相が明かされない。しかし推理をして仮説を持つ。その状態であの戦人さん達が縁寿さんに伝えようとしてる事を察する楽しさ。この快楽というのは実は物凄く楽しいのですよ。これは明かされないからこそ味わえる楽しさですが、こういう経験はまずできませんね。この作品でそれを味わえた方は本当に貴重です。大切にしてください。その経験を。

・事件の真相の推理について
第5のゲームで語った十八さんの推理がありますね。真相に至るのが遅かった、という。この部分は第5のゲームのあの推理自体でも理解できますけど、大事なのは86年の六軒島で紗代さんに何が起こったのか、という部分です。事件の中彼女はどういう計画を立て、どういう信念のもとで事件を実行し、その結果実際の六軒島では何が起こり、彼女は事件の中で何を感じ、何を失い、ルーレットはどういう結果を提示したのか。この部分を最終的に推理しますけど、非常に心が痛いです。しかし、ここの推理は避けて通れません。本来この部分は推理的に論理で導くために、感情的に心に負担が来る推理対象ではなかったのですが、漫画の方であれだけ描かれてしまうとですね、実感が論理にわいてしまうでしょう。それが心配なのですよね。漫画の方はどうなるのでしょうね。可能性として「十八の現実世界の真相を完全に明かす」というのが理想なんですがコンフェッションの内容で「嘘から連想されれる約束」という部分や「同一人物トリックが偽書を前提にしている」という部分を放置したでしょう。謎を若干残そうとしてらっしゃるんですよね。

・どっちの動機推理をするのか
第7のゲームに行こうと思いますが、既にトリックや世界構造などは完全に推理が完結していますから、メインはヤスの動機、そして猫箱の中身考察になります。まず動機ですが、厳密に定義しましょう。私が推理する動機とは「現実世界の安田紗代さんの動機」であって「ゲーム盤の駒の犯人ベアトリーチェこと安田紗代さんの動機」ではありません。これは現実世界の十八さんの物語に密接に関係するために、現実の方の紗代さんの動機推理をする訳ですが、これはそもそも前者と後者で何が違うのか、という点ですが人を殺す殺さないの違いやルーレットの目の違いが発生するため、これは区別が必要になります。ゲーム盤の駒の犯人はGMであるベアトリーチェさんが戦人さんに出題する目的で、盤上で殺人をやってしまいます。これはメタ世界目線で見た場合にはチェスのようなものになりますから、人を殺す重みなんて全然ありませんが、駒目線で見る場合には人殺しをやってしまいます。駒の立場では殺人をやっていますが、そもそも「そういうゲーム盤を使ってメタ世界の戦人さんにメッセージを伝える」という意味があるために、厳密に言うとあれは殺人ではありません。ゲーム盤を変える度に駒はまた再配置され、生き返る訳ですから、結局は手段でしかない訳です。そのような状態で駒の犯人の動機を推理する意味がありませんので、現実世界の方の安田紗代さんの動機というのを物語に提示された手掛かりから推理していきましょう。

・台風
まず86年に何をしようとしているのか。まずは台風という要素を考えますが、ゲーム盤世界では事件当日に100%台風が直撃し、外界から孤立しますが、現実世界での事を考えると、紗代さんが事件計画を立てている時点で「当日に台風が来るのかどうか」は予測が不可能でしょう。天候の事なのですから。ですから、紗代さんは事件計画を立てた時点でそもそも台風という不確定要素を事件に組み込んではいないと考えるのが自然でしょう。台風が当日直撃する、しない、というのは結局外界と孤立して警察に連絡されるのかどうかという部分と関連する訳です。そういう不確定要素である台風を事件に組み込むのが不可能な訳ですから、紗代さんの事件はそもそも「台風が来ようが来まいが関係なく成立する事件内容」だと推測できます。当日台風が来なくても何の問題もないという事は、警察に連絡されるような事件計画ではない、と推測可能です。これは若干推測も交じるので、あくまでも「おそらくそういう計画だろう」くらいの要素として頭に入れておきます。

・キャッシュカード
次にキャッシュカードの伏線を考えます。第4のゲームでこの伏線が出ますね。南條の息子が銀行でキャッシュカードのお金を確認しますが、20個以上のランプが光っていた、と確認しています。という事は紗代さんは最低でも20枚以上のカードを遺族に送付している訳です。これは「共犯者に送る協力金」と「人殺しの謝罪のための謝罪金」という考えがありますが、前者は存在しない住所に送りつけ、郵便局が返送をした結果配達される、という手段を取っていることや、六軒島の在島人数を越える数を送っていることから違うでしょう。素直に謝罪金と推測できます。

今挙げた2つの要素、台風とキャッシュカードから導き出される推理はお互いが対立関係になり矛盾します。台風は警察に連絡されないであろう計画を示唆しているのに、キャッシュカードは人殺しという要素を示唆している。結局こういった事件の周辺情報から動機特定はできません。そのため、まずは紗代さんがそもそも何を目的に事件を起こすのか。その目的特定。そして、その目的を実行するための具体的事件計画の特定。この2段階方式で完全特定をします。一つ注意をしてほしいのは、最初に語った「現実世界の動機」と「偽書世界の動機」というのは若干差異がありますので注意が必要です。大枠としては同じですが、ゲーム盤の駒犯人は「殺人をGMに強制される」という制限がありますので、殺人を前提にする事自体が駒目線ではもう動機特定不能にしてしまいます。それは推理の過程で分かって来るでしょう。

・事件の目的特定
まず目的は何なのか。これは第5のゲームでこのような赤字が出て手掛かりが提示されました。

「恐怖を味わわせるのが目的ではありません」
「誰かに復讐するためのものでもありません」
「ベアトは、快楽目的で殺人を行なっていることはありません」

つまり、このようなミステリーとして王道な動機ではない訳です。こういった目的で事件を86年に起こす訳ではないのです。ゲーム盤の駒目線で考えると「殺人をGMに強制される」という制限上、殺人を絡めた動機になりますが、メタ世界のGM目線で考える場合にはそうではない訳ですね。では第7のゲームでクレルが語ったこのセリフを参照しましょう。これがまぁ目的でしょう。

「決闘はしたのです。決着もつきかけていた。でも86年という年は余りに無慈悲が過ぎた。なぜ86年だったのか…」

決闘、という言葉に覚えがありますね。そう、第6のゲームで戦人さんが描写した恋の試練の決闘です。真相を理解した事の証明としてあれを戦人さんは描きました。最後紗音さんと嘉音さんが自分の死をかけてまで自分の恋を成立させようとしますね。ウィルが言っていましたが、86年に戦人さんが帰ってこなければ事件は起こらなかったと言っていましたね。それは何故なのか。それは戦人さんが帰ってこないのなら、紗代さんの恋は譲治さんに絞られるからでしょう。紗代さんの事件実行の目的が復讐や快楽、恐怖ではなく、純粋に恋の決着にあったのなら86年に戦人さんが帰って来た事によって恋が並立してしまった訳です。そういった恋の板挟みの部分に追加して紗代さんにはいくつかの恋の障害がありますね。

・恋の障害
妊娠できない体である事。九羽鳥庵ベアトの娘であるために、近親関係になる事。そういった部分を打ち明けずに86年を迎えてしまった事。障害がかなり多いです。紗代さんの事件実行の目的はこういった部分から「事件というルーレットを使って並立してしまった自身の恋に決着をつけ、できれば奇跡が起きた結果現実で幸せになりたい」なのだと思われます。

・爆殺心中という要素の解釈
一つ重要な要素があるのですが、事件の中で爆弾による皆殺しという設定がゲーム盤の世界ではありましたね。あれは第2のゲーム時に推理しましたが、あれは「魔法の奇跡を叶えるためのリスク設定」という魔法大系の思想があります。いくつか伏線を抜粋しましょう。第2のゲームでの金蔵さんのセリフです。

「私は今日、ある儀式を執り行う。儀式というよりは、博打に近い。なぜなら、リスクを負わぬ魔法に奇跡は宿らぬからだ」

続いて真里亞さんのセリフです。

「魔法には、リスクが必要なの。(中略)どんな大きな魔法にも、絶対に弱点やリスクがあるの。うぅん、ないといけないの」
「人間は死を賭すから奇跡が起こせる。不死の人間がいたとして、その人物に何の奇跡も起こせる道理は無い。……私達も、人生も、魔女も儀式も。私達はリスクを負わなければ、何も成し遂げられないの」

最後に第5のゲームで戦人さんが真相に手遅れになって至った時のセリフです。

ふざけるなよ、……そんなに難解な自慢の謎なら、制限時間なんて設けるんじゃねぇよ……。
「……いいや、……わかるぜ……。それほどのわずかな奇跡の中に、……お前は祈ったんだよな……。……お前も、……祖父さまと同じだったんだ」

分かるでしょうか。こういう思想がありますので、紗代さんがさまざまな恋の障害を抱えつつも、それでも現実世界で幸せになりたいと望むのなら、事件の中で自分が死ぬほどのリスクを背負って事件を実行しなければなりません。そこまでしてやっと、恋の障害が取り除かれ奇跡が叶うかもしれない訳です。

・恋の障害と解決策
具体的に恋の障害に解決策があるのかと考えると論理的に考えると可能性としては存在しますが、解決策として非常に可能性が低いです。まず近親問題ですが、これは以前も語った通り、紗代さんはおそらく福音の家に孤児として「安田紗代」として育てられてますので、国から彼女が筆頭者の戸籍を貰っているはずなのです。つまり法的に見る場合には右代宮家の戸籍にいませんので、血の繋がりが一見分かりません。法的に結婚可能です。しかし、これは紗代さんが真実を隠蔽する、もしくは「相手に理解してもらう」というのが必須ですから、特に後者の場合は相手が受け入れてくれる奇跡が必要になるでしょう。妊娠できない問題もそうです。譲治が受け入れてくれる奇跡が必要になりますし、恋の並立も、これは今から推理しますが、事件中に奇跡が起きる必要があります。紗代さんの恋が現実世界で叶うためには奇跡が必要になるのです。奇跡は結局は紗代さん自身の力でどうこうできるものではありません。神に祈るしかない要素でしょう。そんな境遇にあってなお、幸せになりたいと思うのならば。奇跡を願うのならば。彼女は奇跡を叶えるための儀式を実行しようと思うのではないですか?それが今語った爆弾による皆殺し、というリスク設定なのですね。自分と愛する人が死ぬかもしれない。そんな大きなリスクを背負ってなお、事件の中で奇跡が起きたのなら、彼女の恋も叶うかもしれません。本編に提示された伏線から、そのような推理が構築できます。

・恋のルーレットの目
では、紗代さんが自身の恋の決着をつけるための手段であり、奇跡として設定しているルーレットとは何なのか。ここに行きましょう。第5のゲームではここを解くための伏線が明示されましたね。既に推理済みですがもう一度この赤字を見てみましょう。

「碑文を誰かが解くことで、この子が何かを得ることはありません。」
「もともと黄金郷の黄金はこの子のもの。見つけさせる必要も、横取りする必要も、何もありません。」
「碑文の謎が解けても解けなくても、この子にとって得るものは何もありません。」
「碑文が解かれようと解かれなかろうと、ベアトが何かを得ることはない。」

ベアトリーチェさんの恋の相手は第6のゲームの結婚式の時の伏線「あなたと一緒になりたくて生みだした物語。だからこの世界の目的は達成されました」から分かる通り戦人さんです。しかし、碑文が解かれるという行為は、この赤字を見る限りではベアトリーチェさんに何の利益ももたらしません。論理で考えてみましょう。ベアトリーチェさんの恋は戦人さんが事件の真相に至る事を前提にしています。つまりは戦人さんを選ぶ紗代さんのルーレットは「事件の碑文殺人の謎を戦人が解いてくれた結果、約束を思い出し、なおかつ紗代を受け入れてくれる事」となるでしょう。この戦人ルートを自発的に中断するための設定が碑文が解かれる、という行為な訳ですから、これは事件前から恋を育ててきた紗音さんにとって最大の利益があります。つまりは、碑文が解かれる=紗音ルートとなるのでしょう。紗代さんの恋の障害の一つである「恋の並立の決着」を自分の意思以外にやってもらうための事件な訳ですから、事件の中で何かが達成されると「譲治と結ばれる」「戦人と結ばれる」という要素が無ければなりません。作中で明示された事件のルーレットとは第5のゲームで提示された「碑文と碑文殺人」しかありませんので、推理的に導けるのは「碑文が解かれると譲治を選ぶ」「事件の真相を解かれると戦人を選ぶ」という事になります。ただ一つ問題があります。

・嘉音朱志香ルート
現実世界においては「嘉音さんと朱志香さんの恋」という要素が非常に難解です。そもそも嘉音さんが現実にいるのかどうか、という部分が伏線から明確に推理できないために推理不能要素となっているのです。ルーレットという面から見ると嘉音ルートというのが見つからないために、嘉音さんは現実にはいないと推測はできますが、これは推理として乱暴でしょう。事件中に死体が消える、という部分から幻想の示唆があったりしますが、これも確信的な推理要素ではありません。ここは推測になってしまうのが非常に悔しいですが「現実世界に嘉音はいないために、ルーレット自体が存在しない」と仮説を立てます。おそくらくはそういう事なのでしょう。

・計画特定
今まで推理してきた要素から、具体的事件計画を特定します。紗代さんの目的は事件の中で碑文が解かれる、あるいは事件の真相を戦人さんに暴かれる、こういうルーレットの目が出る事で自身の恋に決着をつけ、幸せを掴む事にあると思われます。では、この目的に矛盾せずに、なおかつ最初に推理した「台風」と「キャッシュカード」という要素にも矛盾しない事件計画を考えていきましょう。

・計画殺人説
まず紗代さんが現実の86年に殺人を実行するつもりだったと仮定します。この場合事件前日に碑文が解かれる事で一人の犠牲者も出さずに事件を終え事ができますので、譲治ルートが達成可能です。しかし、この場合問題となるのは第3のゲームのように事件中に人を殺した後に碑文が解かれてしまった場合です。当然殺人をやってますから、殺人者を受け入れて恋が叶うなんてことはないでしょう。これは事件中奇跡が達成されても紗代さんの目的が達成不能になる論理矛盾が発生します。心理的整合性が取れない訳ですね。恋の決着をつけ、幸せになるのが目的なのに、自身でその可能性を進んで潰す訳ですから、人間の行動原理として論理性、一貫性がありません。これは戦人さんが謎を解いた場合でも同様です。戦人ルートは事件発生後にしか存在しませんので殺人を前提にすると、紗代さんの目的自体が達成不可能になります。さらに言うなら、台風という要素が示唆する「警察に連絡されないであろう事件」という部分とも矛盾します。つまりは、論理的に考えて紗代さんは現実世界では殺人を前提にしてはいけない、という事になります。

・狂言殺人説
では狂言だったと仮定しましょう。殺人なんかやるつもりはなく、全部お芝居だったと。これも通りません。矛盾が発生します。キャッシュカードが事件中の大量殺人を示唆していますから、事件中に人が死ぬ可能性はないといけませんし、「奇跡を叶えるための爆弾のリスク設定」とも矛盾します。

もう分かったでしょうが、可能性が完全に一つに特定されます。事件を第8の晩までは狂言殺人として実行し、第8の晩までに奇跡が起きなかった場合は第9の晩以降に爆弾による心中を行う。この解法があらゆる要素に抵触せずに実行可能です。全ての要素に矛盾しない論理です。

・狂言殺人の伏線
ここで、狂言殺人の伏線を見てみましょう。魔女の手紙の特別条項の部分ですね。

<特別条項>
契約終了時に、ベアトリーチェは黄金と利子を回収する権利を持つ。ただし、隠された契約の黄金を暴いた者が現れた時、ベアトリーチェはこの権利を全て永遠に放棄しなければならない。利子の回収はこれより行いますが、もし皆様の内の誰か一人でも特別条項を満たせたなら、すでに回収した分も含めて全てお返しいたします。

事件中に人を殺しても碑文が解かれると、今まで殺した分も含めて全て返却する。これが実行可能なケースは狂言殺人でしょう。余談ですけど、紗代さんの動機はクレルが理御に言ったセリフからも推測できますね。これです。

「ありがとう。……幸せになって。そして素敵な人と出会って。……願わくば、あなたが魔女として目覚めず、ニンゲンとして生き。……一なる魂を以って、愛するたった一人の人を愛しぬける……。……そんな人生を送る事を、願っています」

ここからクレルは恋が複数並立してしまってる事が読みとれます。

・なぜ動機をここまで詳しく推理するのか
猫箱の推理の前に、そもそも何でここを推理しなければならないのか、という部分の話をしたいのですが、紗代さんの動機、そして猫箱の中身という2つの推理対象は「実際の六軒島で紗代さんに何が起こったのか、そしてその結果戦人はどうなったのか」という部分を論理的に推理可能にするためにやるのです。つまりはこの物語の核である「本当の現実世界の真相の特定」を目的にしているのですね。ですから、動機考察は今語ったような非常に細かい論理を積み上げる訳です。これをやる事で推理可能になる要素がある訳です。そう。「入水したベアトリーチェさんの心の推理」です。ミステリーの世界では心の推理も論理によって導かれなければなりません。そしてそれは可能なのですね。心も論理によって推理可能。私はそう信じます。探偵ですから。

・猫箱の中身
これで紗代さんの事件の目的、具体的計画が判明しました。では次に猫箱の中身に行きましょう。これは漫画の方では既に真実だと明かされてしまいましたが、根拠に基づいて推理してみます。さて、猫箱の中身ですがこれが手がかりから推理可能なのならば、結局は第7のゲームの惨劇の物語が真実なのか嘘なのかという論点になるでしょう。あれが嘘だった場合、猫箱の中身を特定不能になりますので、結局あれは真実なのでしょうが、それはあくまでも手掛かりから推理できなくてはなりません。4つございます。整合性を取るために作中に配置された手掛かりは大きく4つです。それを個別に検証していきましょう。明かされない猫箱の中身も手掛かりから推理可能なのです。特定は可能ではありませんけど、おそらくこれだろうという程度には可能です。

さて、まずは絵羽さんが86年の事件の爆発事故を九羽鳥庵で回避してる部分を考えます。あそこに行くために絵羽さんはどういうルートを通ったのか。作中で提示された手掛かりは「地下貴賓室には地下道に通じる道があり、そこから九羽鳥庵まで行ける」と「楼座が幼少期に偶然森からたどり着いた」ですが、後者は楼座さん自身が「もう一度行けと言われても無理」と言ってますから可能性としてないでしょう。おそらくは前者です。地下貴賓室から地下道に行くという事は碑文が事件中解かれてしまった事を示唆します。実際の六軒島では碑文が解かれていた可能性が高い。これがまずは一つ目ですね。

2つ目は絵羽さんだけが生き残っている理由ですが、世間で言われる絵羽の陰謀説のような場合、彼女が主犯な訳ですから当然譲治と秀吉も生き残っていないと変です。しかし、実際は絵羽さんしか生き残っていない。という事は可能性として絵羽さん以外が彼らを殺害した可能性が出てきます。

3つ目は縁寿さんに対する絵羽さんの態度ですね。六軒島の真相を決して語らない理由。これは可能性として「悪意によって語らない」と「縁寿が傷つく真相だから教えない」が考えられますが、第8のゲームを見る限りは後者でしょう。

最後に作家になった縁寿さんが会った十八さんの証言ですね。「私達は潜水艦基地の方に逃げた」と言っています。私達、という複数形ですから、もう一人誰かいた訳ですが、これは惨劇の物語の中から推測できます。霧江さんと留弗夫さんの使う銃は「照準がおかしい」という情報が頻繁に出てきます。そしてベアトリーチェさんは霧江さんに撃たれた時に死亡したとは書かれずに「魔女は口からどろりと血をこぼし」と書かれただけな部分、そして、絵羽さんが霧江さんの銃撃から気が付いた場面に「傍らには愛する夫の屍。蔵臼夫婦の屍に楼座の屍。死屍が累々と横たわる死の部屋だった」と描写されますが、ここに何故かベアトリーチェさんの死体が描写されていない事。ここから、おそらくは紗代さんと戦人さんは逃げていたのだろうと推測できます。これは第8のゲームで最後描かれる島脱出の部分と繋がっている要素なのでしょう。これらの4つの要素がすべて第7のゲームの惨劇の物語を示唆しています。

これらの部分から導ける推理は、あの惨劇の物語が真相だという事でしょう。状況証拠がガッチリはまってますからまず間違いありません。ベアトリーチェさんはあの惨劇の物語で、碑文を解いた一族に色々説明をしていますが、非常に無気力でしたね。何もかもどうでもいいという具合で。あれは理由を動機と照らし合わせて考えると「紗音の勝利条件が達成されたため、自身の死亡が決定してしまった」と推測できます。これは伏線がありますので抜粋しましょう。ベアトリーチェさんのキャラ説明にこうあります。

人の身で妾を殺そうなど無駄な夢。
鉛弾を射掛けようとも鏡の如く己が身に跳ね返されるだけよ。
だが、妾を殺す方法はひとつだけある。
その方法はお前の手に握られている。
お前如き凡夫には無理であろうがな?
きひひひひひひひひひひひ!
くっくっくっくっくっくっ!

この方法、というのが碑文を解くという事なのでしょう。碑文が解かれるとベアトリーチェさんの恋は断たれますので最終的に人格統一の段階で死亡するはずです。戦人さんへの恋心と共に。そういう事でしょうね。

猫箱と動機の考察が終わりましたね。この2つの鍵がそろう事で実際の六軒島で何が紗代さんに起こったのかが特定可能になったはずです。しかし、それは第8のゲームでやりたいと思います。まずはこの2つの鍵を持って、ご自身で考えてみてください。きっと分かるはずです。

・ベアトリーチェの葬儀
ではその他の部分に行きましょうか。第7のゲームではベアトリーチェさんの葬儀が行われていますね。そこでウィルが重要なセリフを言います。

「人は誰かに理解され初めて救われる。死後も何年も経っても……そして一番分かってほしかった男に、理解される事なく生を終えた哀れな魔女を、もう誰かが赦してもいい」
「最後には思い出した。ただし、お前が諦めて消えたよりずっと後の事だがな」

注目は「死後何年も経っても」という部分ですね。これは第5のゲームで推理した十八さんの部分の事でしょう。メッセージボトルを読んで紗代さんを理解した十八さんは、真相には至ったけど手遅れだった、という部分の示唆でしょうね。

・我が主の語った赤字
我が主が語った赤字「このゲームに、ハッピーエンドは与えない。」これは第6のゲームの時に既に推理しましたね。赤字の適用範囲を考えるとこれは創作世界上の範囲での事をさします。現実世界には関係ありません。

第7のゲームを迎えるまでにトリックや世界構造といった部分の推理を完全に終わらせてしまったので、動機と猫箱の中身以外に特に推理対象がないのですよね。これで第7のゲームは終わりです。残す所あと一つですね。ゲーム盤の推理も。今回非常に細かい推理をしたので脳みそがやられました。コンフェッションの方では碑文が解かれたら、解いた人に従おうと言ってたでしょう。これは今回の動機推理で原因が分かったと思います。殺人を前提にするゲーム盤では「事件前日に碑文が解かれるケース」しか恋の可能性がなくなってしまうからなのですね。戦人さんが事件を解いても殺人をやってしまっているので、恋の可能性が完全になくなります。そのため「止めてください」となる訳ですね。この辺のゲーム盤と現実世界の差異はありますが、紗代さんの心の解釈としてはまぁ分かりやすくて私好きですよあれ。