EP3 Banquet of the golden witch
 
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※イラスト 城雅さん

事件の流れ

5日の朝、1階の客間で紗音の死体と紗音のマスターキー、2F客室の鍵が発見された。この部屋は密室。2F客室にいくと熊沢の死体。密室で内部より熊沢のマスターキーと3F控室の鍵が発見。3F控室で郷田の死体を発見。内部は密室で郷田のマスターキーと2F貴賓室の鍵を発見。2F貴賓室で源次の死体を発見。内部は密室で源次のマスターキーと地下ボイラー室の鍵を発見。地下ボイラー室で金蔵の焼死体を発見。密室で内部より礼拝堂の鍵を発見。礼拝堂にて嘉音の死体を発見。密室で内部より嘉音のマスターキーと1F客間の鍵を発見。6つの部屋の鍵が全て密室内部にあり、巨大な連鎖密室を作っていた

一同はゲストハウスに行く。碑文の謎の話題になり、一同の目を盗んで絵羽が碑文を解き黄金を発見。続いて楼座も遅れて黄金を発見した。以降絵羽はゲストハウスで寝込む事に。秀吉も付き添い。

薔薇庭園にて楼座と真里亞の死体が発見。楼座は柵に突き刺さっており、真里亞は絞殺された模様

食料を取りにいくために秀吉、霧江、留弗夫が屋敷に行く。絵羽と蔵臼と夏妃はゲストハウスで待機。屋敷で留弗夫と霧江と秀吉の死体が発見。杭のようなもので刺された?らしい

ゲストハウス2Fに子供達と南條、1Fに絵羽と蔵臼と夏妃がいる。絵羽は部屋で寝込んでた模様。蔵臼と夏妃の死体が東屋で発見。細い何かで絞殺。同時刻譲治がゲストハウスより失踪。屋敷に紗音を見に行った模様

屋敷に行った絵羽、朱志香、戦人、南條により、紗音の死体に寄り添うように死んでいる譲治を発見。言い争いになり絵羽の銃が暴発、朱志香が目に負傷。南條と朱志香が使用人室へ。

使用人室にて何者かに南條が殺される。朱志香は目が見えない状況で、何者かに客間に誘導されカーテンに隠れる

戦人が絵羽に射殺されEP3終わり

EP3のポイント

・ロノウェ初登場時の気になるセリフ
ロノウェが登場し、自己紹介をするときのセリフに実に気になる部分がある。「今は卑しい人間の分際で、悪魔も裸足で逃げだすような大魔女であられるベアトリーチェ様の家具頭として仕える身ですよ」というセリフだ。ベアトの事を「人間」だと言ってるのだ。しかし、その後に大魔女とも言っており、人間の身分で魔女であると解釈できる。つまりベアトとは完全にファンタジーな存在ではないと推測できる部分だ。彼女はあくまでも人間なのだ。

・冒頭の絵羽と秀吉の描写
EP3大筋が絵羽の犯行として描かれるが、絵羽とは本来どういう人物なのかという部分で気になる点が、この冒頭の絵羽の描写だ。六軒島に向かう船の中で絵羽と秀吉が会話しているが、本来絵羽は凄く優しい性格で本編中描かれてる高圧的な絵羽という人物像は秀吉に言わせれば、六軒島に戻ると出てくる別人格のようなイメージで、本来は凄く優しい女なんだと秀吉が語っている。この人物像の「本来は絵羽は優しい性格」という部分は、98年の縁寿の世界での「縁寿に敵意を持っている絵羽」という人物像をひも解く、鍵のひとつなのではないか?という解釈のためにあるのではないかと思う。つまり、描かれる絵羽のイメージがそのまま正解という訳ではないとすると、「六軒島の真相を決して縁寿に教えようとしない」というお茶会の描写には裏の意味があるのではないかとも読み取れるのだ。

・砂浜での子供達の会話
砂浜で久々に再会したイトコ組と紗音の様子が描かれるが、紗音が覚えている戦人の思い出で「白馬にまたがって迎えに来るぜ、シーユーアゲイン」と言ってる部分があり、戦人がそれを全く覚えていないという態度を取っている。紗音が覚えていて戦人が覚えていない思い出、この部分は実は六軒島の惨劇の元凶であり、犯人の動機部分に深く関わる部分だ。

・ベアトの回想
ベアトの回想部分でかつて六軒島の九羽鳥庵にいたベアトについてのエピソードがある。この部分でメタ世界のベアトは、この九羽鳥庵にいたベアトの事を「自分」と言っている。ベアトが語るには、金蔵の思いを拒み逃げようとしたが、ホムンクルスの赤子の中に魂を封じ込められ、そのまま育てられたと言うのだ。この部分はベアトの語るミスリードではあるが、メタ世界のベアトは、ヤスの別人格であるベアト人格そのもの、という訳ではなく、最初のイタリアから来たベアト、その娘のベアト、ヤスの人格であるベアト、六軒島の悪霊、これらをミックスして出来た存在とも考えられる。

・事件前夜金蔵の部屋での魔法バトル
この事件前夜の金蔵の部屋での魔法描写で、また紗音の語る愛に対してベアトが激怒する場面が出てくる。紗音が「その未練があなたの正体なの」というと、ベアトは「未練じゃねええええええええ!!!」と激怒するのだ。なぜベアトはここまで紗音の語る愛に激怒するのか。EP2でも同様な場面があり、その部分でも語ったが、今回は紗音の語る「その未練があなたの正体なの?」から分かるように、恋愛に対して何らかの思いがあるように見える。それは紗音人格とベアト人格の恋の差なのだ。紗音は譲治からプロポーズを受けている。しかし、ベアトは恋が成立していない。この差が爆発的な怒りを誘発したものと思われる。EP2で語った部分と同じだ。

・ワルギリアとの魔法バトル時のベアトの気になるセリフ
薔薇庭園でのワルギリアとの魔法バトル時にベアトが魔法について「こんなの気付くだけの力じゃねえか!」と言ってる部分がある。上記で語ったロノウェのセリフ「人間の分際で大魔女」という部分とも関わるが、ベアトの魔法というのは、純粋な意味でのファンタジー的な魔法ではなく、猫箱の中身が確認され確定する前までしか存在できない「主張」でしかないのではないだろうか?それがこの部分の「気づくだけの力」という意味ではないかと推測できる。例えば誰もいない所で空を飛んだと主張するとする。それは観測者がいないのでどのような主張も可能だ。自分が空を飛んだのだと気づく、悪く言えば思い込む事で成立する心の魔法だといえる。しかし、これは観測者に虚偽であると確認されると成立しない。あくまでも人間界のルールを順守した上でしか成立しない魔法なのだ。

では事件部分に行こう

【第一の晩 6連鎖密室】

「ベアトに復唱要求。今回のマスターキーの本数は?」
「各使用人が一本ずつで5本だ」
「ちなみに、6つの部屋の扉や窓はいずれも普通。オートロックのような、鍵を使用せず施錠できるような仕掛けは存在しない。」
「金蔵、源次、紗音、嘉音、郷田、熊沢の6人は死亡している!」
「6つの部屋には誰も隠れていない!」
「6人は即死であった!」
※ベアト「まぁ、完全な意味での死亡には数秒、もしくは数分をかけたかもしれん。だがいずれにせよ、自らの意思で何かの行動を取る事は完全に不可能であった。その意味において、即死と断言できる!」
「室内には犠牲者しかおらず、それ以外の人物は室内には存在しておりません。」
「6人はトラップで殺されてはいない」
「6人は誰も自殺していない!」
「マスターキー5本は全て、5人の使用人の懐よりそれぞれ発見された!個別の鍵は死体の傍らの封筒の中に!」
「つまり、連鎖密室にかかわる全ての鍵が、連鎖密室内に閉じ込められていたわけだ!!」
「ドアの隙間だの窓の隙間だの通気口だのッ、そんなところを使って密室外から鍵を戻すことなど出来ぬぞ!!」
「彼ら全員には致命傷となった銃創と思わしき傷痕があったぞ!」
「室外からの殺害は不可能だぞ!!」
「更に赤を重ねようぞ!金蔵を除く5人の殺人の際、殺人者は必ず同室していた!」
「自殺者がいないことは当時に赤で宣言済みだ!!」

「第3のゲーム、第一の晩。連鎖密室が繋ぎし、6人の骸。」
「幻は幻に。……輪になる密室、終わりと始まりが、重なる。」

まずこの連鎖密室での大事な部分として、「6人は誰も自殺していない!」この赤字が出てきた経緯を思い出してほしい。最初戦人は「6人は全員他殺である!」を復唱要求した。しかしベアトはこれを復唱拒否し、戦人が復唱拒否を理由にリザインを迫ったところ「6人は自殺していない!」という改ざんされた赤字が出てきたのだ。という事は、6人の死体の中で他殺でもなく、自殺でもない人物がいるという奇妙な推測が成り立つ。上記のように6名の名前を挙げて死亡宣言が赤字でされており名前を挙げられた人物が死んでるのは間違いない。という事は他殺か自殺以外(事故死や病死)で死んだか、もしくは密室内でこの6名以外に生き残った人物がいるという事になる。これはつまり、紗音と嘉音、この2人の真相に至らないと解けない密室なのだ。ヤスという真犯人には紗音と嘉音という人格がある。しかしもう一人いたとしたら?それがベアト人格である。つまり紗音と嘉音をベアト人格で抹消する事によって赤字を抜けられるのだ。そして、「彼ら全員には致命傷となった銃創と思わしき傷痕があったぞ!」この赤字はEP4で後から出てきた赤字で、EP3の時点では出ていない。つまり、最終的にヤスが銃で殺されれば体に銃創は残り、赤字に違反しない事になる。

流れとして2F客室、貴賓室、3F控室、地下ボイラー室それぞれ4か所で熊沢、源次、郷田、金蔵(死体を燃やす)を殺し(燃やし)、室内にそれぞれのマスターキーと個別の鍵を残し、紗音のマスターキーで施錠、礼拝堂の扉はあらかじめ開けた状態にしておき、紗音は嘉音のマスターキーを自分のいる1F客間に隠し、紗音用のマスターキーと2F客室の鍵を部屋内に残し死んだふりをする。翌朝、共犯の南條の嘘の検視によって死んだふりをした紗音は、一同が2F客室に向かった後、嘉音のマスターキーを回収して礼拝堂に向かう。礼拝堂を内側からロックし、嘉音に変装して嘉音のマスターキーと1F客室の鍵を残す。嘉音も南條の嘘の検視によって逃れ、一同が礼拝堂からゲストハウスに向かうと、ヤスは紗音と嘉音の人格をベアト人格で殺し、その後をベアト人格で生き残る事になる。

このEP3は最終的に絵羽が島から生還する。という事は六軒島の爆発から逃れたという事で、九羽鳥庵に逃れる方法や後半8ケタの文字を書いた人物の正体など、ヤスが生存してないと成立しない話なのだ。この最初の連鎖密室でヤスは死んでしまった、と誤解しないようにしよう。

【第二の晩 薔薇庭園での楼座・真里亞殺害】

「楼座と真里亞は死亡した」
「死因は南條の見立て通りだ」
※楼座は柵の槍状部分に延髄を貫かれて死亡。真里亞は素手による絞殺。
「楼座と真里亞の二人は他殺です」
「わしはずっと部屋におったで」
「事件の前後の時間帯は全てや」

「第3のゲーム、第二の晩。薔薇庭園にて親子は骸を重ねる。」
「土は土に。……語られし最期に、何の偽りもなし。」

絵羽が碑文を解いた後、楼座と黄金の発見について意見の食い違いが発生する場面が描かれる。お互い疑心暗鬼になってる様子が本編中からもよくわかり、絵羽は楼座の事を素直に信じてはいなかっただろう。秀吉を部屋に残し、絵羽は薔薇庭園に向かう。その後の描写からも分かるように、楼座は銃を全く発砲していない。仮に生き残ったヤスが近づいてきたとしたら、その不信感から発砲したに違いない。本編中でも語られた通り、顔見知りの犯行の可能性が高いのだ。殺害方法が銃ではない事から、恐らく最初は絵羽と楼座は言い争ってただけに違いない。しかし、何かの拍子に楼座が柵に突き刺さって死んでしまい、事態の発覚を恐れた絵羽は真里亞を絞殺し、部屋に戻って秀吉に訳を話したものと思われる。碑文が解かれ、すでに黄金が見つかってるのでヤスは殺人を中止し、犯行には一切関わっていないものと思われる。

【第四・五・六の晩 屋敷での留弗夫・霧江・秀吉殺害】

「霧江は食料はいらないと考えてた」
「ゲストハウスを出ないべきだと主張していた」
にもかかわらず彼女は自ら、食料を取りにゲストハウスを出ようと提案する」
「その心変わりの理由は、誰にも語られておらず、また記されてもいない」
「霧江は何も書き残してはいない」 
「霧江はね、死ぬ最後の瞬間まで “食料を取りに行かない=屋敷に行かない” という行動式を維持していたわ」

「第3のゲーム、第四、第五、第六の晩。屋敷にて倒れし3人の骸。」
「土は土に。……語られし最期に、何の偽りもなし。」

この屋敷に行く事になった理由は本編で語られた「霧江は秀吉がたばこを吸ってた事を知り、絵羽が部屋を抜け出してたのではないかと、秀吉に確認しようとした」という理由で間違いないだろう。玄関先で蔵臼と夏妃が帰りを待っているので、絵羽はおそらく、窓から抜け出し屋敷へ3人を追いかけたに違いない。絵羽は銃で留弗夫を殺害、続いて霧江を殺害するが、この部分TIPSで霧江の項目に「腹と言うのは、何とも致死性に欠ける。」秀吉の項目に「油断した。まだ生きていたなんて……。」とあるので、腹に銃弾を受けたが致命傷ではなかった霧江に撃ち返され秀吉が殺されてしまったと考えられる。

【第七・八の晩 蔵臼・夏妃殺害+譲治のゲストハウス失踪】

「譲治はゲストハウスの階段を降りてはおらぬ。」
「外部へ通ずる窓も扉も全て内側より施錠されていたぞ。しかもそれらの施錠は全て、外側からは不可能!」

「第3のゲーム、第七、第八の晩。夫婦二人は東屋にて骸を晒す。」
「土は土に。……明白なる犯人は、無常の刃を振るいたり。」

夏妃と蔵臼の殺人については南條の部分で赤字の死亡宣告が出された以外に特になく、戦人達が屋敷に向かう途中で死体を発見している。この2人の殺害は子供と南條が2F、絵羽と夏妃と蔵臼が1Fにいた時に絵羽がコーヒーを勧めてる描写があり、恐らくこの時に睡眠薬で2人は眠らされたのだろう。死因に細い何かで絞殺とあるので、銃を使えるような場所じゃなかったと思われる。ゲストハウス1Fで2人を絞殺したあと東屋に死体を放棄、再びゲストハウスを施錠したという流れだ。

譲治がこの時間帯前後ゲストハウスから失踪する。紗音の死体をもう一度見たかった譲治は、恐らく2Fから飛び降り屋敷に行ったに違いない。この時南條も一緒にいて、窓を内側から施錠したものと思われる。

【譲治の殺害と扉の8ケタの文字】

譲治の殺害について、いくつかの説明をしたい。EP2でも出たように第8の晩までに碑文が解かれると魔女は殺人をやめると言っており約束を守るとベアトも赤字で宣言している。しかし、この時の状況はすでに絵羽が主犯になり第8の晩まで終えてしまった状況なのだ。TIPSの魔女の棋譜を確認すると、

魔女 ベアトリーチェ
第九の晩に、復活。
今こそ、彼女は真の黄金の魔女として覚醒します。

右代宮 譲治
第九の晩に、死亡。
新しき魔女は、誰も生き残らせはしません。

このように書いてある。つまり、譲治が殺害されたのは第九の晩なのだ。「第九の晩に魔女は蘇り、誰も生き残れはしない」にあるように魔女が皆殺しをする段階に入っており、碑文が解かれれば事件は終わるという部分と皆殺しが両立してしまってる時期なのだ。事件における「碑文が解かれると事件が終わる」というのは、これはヤスの本当の目的と直結しているのだが、これは碑文が解かれた時に「譲治と紗音が両名とも生存」していないと意味が無い。EP3で絵羽が碑文を解いているが、それ以前の第一の晩に紗音は人格が殺されてしまっているため、その後に碑文が解かれてもヤスのルーレットの目としては全く意味がないのだ。ベアトが譲治を殺しているのはこのためであり、碑文が解かれはしたが、紗音が既に死んでいるためルーレットの目が成立しなかったのだ。そのため自身のルールで殺人が可能な「第九の晩」から殺人を再開したのだと推測される。連鎖密室の時の事を考えると、1F客間にいた紗音は礼拝堂に移動し、嘉音として死体を演じており、1Fの客間には紗音の死体が存在しない状況なのが推測される。この状況で譲治が屋敷に紗音の死体を見に抜け出した結果、紗音の死体が無く譲治が屋敷を探し回ったか、あるいはベアトリーチェと鉢合わせしたとも考えられる。第九の晩に達してしまったため、ベアトは屋敷に来た譲治を銃で殺害。碑文を解いた絵羽のためにせめてもの慰めとして八ケタのキャッシュ番号を扉に残したものと思われる。そして、同じように一同が屋敷に来る事を予測して、紗音として客間で死体を再度演じたものと思われる。EP4で明かされるが、キャッシュカードの現金は本来遺族に向けたせめてもの謝罪の気持ちとしてのお金なのだ。ちなみに扉に書いてあった八ケタの番号は戦人の誕生日とヤスが黄金を発見した日の組み合わせであり、ヤスにしか知り得ない情報である。

【第九の晩 南條殺害】

「朱志香負傷後。絵羽は常に戦人の監視下にあった。戦人は犯人でもなく共犯者でもない。よって、絵羽の完全なアリバイを証明できる」
「この島には19人以上の人間はいない」
「人間以外の生命は一切、このゲームに関係がない」
「金蔵は死亡している」
「蔵臼は死亡している」
「夏妃は死亡している」
「秀吉は死亡している」
「譲治は死亡している」
「留弗夫は死亡している」
「霧江は死亡している」
「楼座は死亡している」
「真里亞は死亡している」
「源次は死亡している」
「紗音は死亡している」
「嘉音は死亡している」
「郷田は死亡している」
「熊沢は死亡している」
「南條は死亡している」
「以上、15人は死亡」
「戦人は生存している」
「絵羽は生存している」
「朱志香は生存している」
「絵羽はあなたとずっと一緒にいたわ。だから犯行は不可能。もちろん戦人くんは犯人じゃないわ。アリバイ偽装なんてしないし、彼女が犯人の可能性も考慮していたから、その行動は用心深く見張ってた。彼女には、不審なことをできるあらゆる可能性が存在しなかった!つまり、犯行時の使用人室には、南條と朱志香しかいなかったのよ」
「右代宮朱志香は殺人を犯していない」
「南條殺しにかかわっていない」
「彼女の目は完全に塞がれている。その彼女に殺人を行うことは不可能よ」
「朱志香の目は完全に塞がれていて、彼女に殺人は不可能」
「絵羽と戦人も南條を殺していないし、かかわってもいない」
「朱志香の身体が起こした如何なる動作も、南條の殺人には関係・影響しない」
「この適用を戦人と絵羽にも広げるわ」
「南條を殺した犯人は、戦人でも絵羽でも朱志香でもない」
「朱志香と戦人と絵羽は、南條を殺した犯人ではない」
「南條は他殺よ」
「もちろん、トラップではなく、直接的な殺害方法よ」
「凶器を構え、それにて真正面の至近距離から殺した!犯人は、南條の目の前に堂々と現れ、そして互いに顔を見合せながら、殺害したのだ」
「人間以外の一切の要素は、このゲーム盤に関与しない」
「南條を殺したのは、確かに人間である」
「地に足のついた人間が、凶器をかざし、それにて殺した!眼前にて!」

「第3のゲーム、第九の晩。希う老医師を襲った黄金の魔女。」(小説版の追加)
「土は土に。……再び動き出した真犯人。手負いの少女がその姿を見る事は能わず。」(小説版の追加)

既にこの部分を解くためのパーツを詳細に説明してしまったので、この部分の殺人者は生き残ってるベアト人格のヤスだと分かるだろう。なぜ南條はベアト人格に殺されたのかは、譲治と同様第九の晩での皆殺し要因でしかない。元々碑文が解かれる前までのヤスの共犯者でありその真相を隠すためとも言える。ここでベアト人格について考えたい。

・南條殺しの部分での実行犯ベアトという人物の考え方
南條殺しはベアト人格のヤスな訳だが、ベアトは盤上に登場し、なおかつ探偵に主観で目撃可能な人間である。EP4で戦人が主観でベアトを目撃しており、ベアトが盤上に登場するのは幻想描写の部分とそうではない部分が混在している。この南條殺しの部分では殺人の実行者であり、赤字の「人間以外の一切の要素は、このゲーム盤に関与しない」の赤字からも分かるように、人間なのだ。ではなぜ赤字の在島人数にカウントされないのだろうか?次の赤字を見てほしい。

「妾はこれまで、この島には19人以上の人間は存在しないと宣言してきた。それを、金蔵の分、一人減らす!!」
「この島には18人以上の人間は存在しない!!」
「以上とはつまり18人目を含めるぞ。つまり、18人目のXは存在しないッ!!これは全ゲームに共通することである!!!」

この赤字から分かるように全ゲーム(EP1~4)は17人しか人間がいない事になる。金蔵がマイナスされて17人になっている。という事は紗音と嘉音はそれぞれ1人としてカウントされてるという事だ。人格がカウントされ紗音と嘉音は肉体的には1人にも関わらず2人としてカウントされてるのに、人間として盤上で犯行を行ったベアト人格はなぜカウントされないのか?という疑問が残る。その解答が「人間は」という制限の部分なのである。ベアトは肉体的には人間だが、人格としてカウントする場合ベアトは「魔女人格」であって「人間人格」ではないのだ。つまり、人格を無視して肉体的にカウントする場合は在島人数は16人。人格をそれぞれ1人としてカウントする場合、魔女人格のベアトは「人間」ではないので紗音と嘉音の2カウントだけされ、赤字のカウントに含まれずに17人となるのである。

・論点のすり替えトリック
この魔女人格のベアトが登場するロジックは、PCとOSに例えると分かりやすいかもしれない。人間をPC、人格をOS、ベアト以外の人物をWindowsOS、ベアトをMacOSと仮定する。「人間以外の一切の要素は、このゲーム盤に関与しない」は言い換えるなら「PC以外の一切の要素は、このゲーム盤には関与しない」になる。そして在島人数の赤字は言い換えるなら、「この島には18人以上のWindowsOSは存在しない!!」となる。分かるだろうか。この両者の赤字は論点がすり替わっているのだ。ベアトはMacOSであるため、当然18人目として加わる事はできない。しかし、ゲーム盤に関与する際はもちろん本体となるPCをMacOSで動かす事によって関与するわけで、MacOSのみでゲーム盤に関与する訳ではない。EP6のヱリカの自己紹介の赤字でヱリカは自身を18人目の人間と言ってしまってるので、17人目の人間が存在する事は確定している。17人目としてカウント可能なのは人格を1人としてカウントした場合のみであり、EP4で出たこの「この島には18人以上の人間は存在しない!!」も当然人格によるカウントだ。この「論点のすり替え」に気付けないとベアト人格のロジックを解くのは難しいだろう。論点をすり替えずに、肉体でカウントした赤字を出してしまうと同一人物トリックが晒されてしまうため、このような人格によるカウントという「論点のすり替えトリック」によりベアトのカウントを上手く隠しているのだ。

・譲治犯人説について
南條殺しについては、主流の考察の流れとして上記で語った以外に「譲治犯人説」というものが存在する。この考察を見かける人は非常に多いと思うが、ここではこの譲治犯人説が不正解である理由の説明をしたい。この譲治犯人説とは、ゲストハウスを抜け出した後に、何か薬(睡眠薬や仮死薬)のようなものを使って、屋敷に来た戦人達の目を一時的に誤魔化し、南條殺害後に自殺するという考え方だ。仮死薬の部分や探偵が直接死体を見てる部分など、細かい部分の疑問点は確かにあるが、ここでの不正解の理由には一切関係が無い。ここで大事なのは、魔女のゲーム盤のルールの「魔女側は1つでも謎を守れば勝ちである」これが非常に重要なのだ。後半の展開から南條殺しを暴かれるとベアトは魔女ではいられなくなってしまうのが分かる。仮に譲治が犯人の場合、南條殺しの犯人の説明がついたとしても、連鎖密室の謎が残ったままになるのだ。つまり、魔女側に解かれていない謎が残ったままになるのだ。譲治犯人説は、魔女が謎を守り通しているにも関わらず、魔女の姿を失うという矛盾した展開になる。これが譲治犯人説が不正解の理由である。

【戦人殺害とその後】

南條殺害後、ヤスは残された朱志香を声で誘導し、客間のカーテンに隠れさせる。おそらくこのヤスと朱志香の行動は絵羽と戦人には気づかれていないだろう。南條の死体を発見した絵羽は、朱志香と南條がいなくなった事で、戦人を容易に殺せる立場になり、戦人を射殺。南條が殺されたのを知り、ベアトに気付いた絵羽はその後ベアトを射殺したものと思われる。朱志香は発見されず島の爆発で死亡。絵羽は恐らく紗音とベアトが同一人物だとは知らない。なので、屋敷に来た時に紗音と譲治の死体を見て、紗音が死んだふりをしたヤスだとは思わなかったはずだ。ベアトを犯人と思ったに違いない。この後、南條の死体を発見して屋敷内にベアトがいる事を知った絵羽は戦人殺害後、ベアトを殺害。なぜベアトが殺害されるのかというと、連鎖密室時の赤字に「彼ら全員には致命傷となった銃創と思わしき傷痕があったぞ!」というものがあり、これはEP4の時に出た赤字で、最終的にヤスの体に銃創がないとおかしいのだ。絵羽がベアトを殺害したというのはこのためである。絵羽は恐らく楼座の幼少期の話を元にして、島に18人以外の人物、ベアトという人物がいたと思っていたに違いない。このため紗音と嘉音とベアトが同一人物とは知らず、譲治の死体発見時に紗音の死体をスルーしたものと思われる。

・ベアトリーチェの北風と太陽作戦
EP3の後半一連の流れはベアトが戦人を騙すためのお芝居だと明かされるが、南條殺しの赤字の攻防で、ベアトは戦人のために魔女を否定する赤字を語っている。文はないが、恐らく上記までに語った「ヤスのベアト人格が犯人」という部分を語ったものと思われる。しかし、この部分こそうみねこの最大の謎であり、ヤスのベアト人格がベアトリーチェという魔女の正体という部分を戦人に明かしてしまうと戦人は自分で何の努力もせずにベアトのゲーム盤の真相に至ってしまう事になる。この部分で、戦人が自分で至るべき謎なのだ、という地の文が出るように、ベアトの目的はまさにこの部分である。ベアトの目的が戦人が自分の力で真相に至る事であると明かされる部分だ。

 ・EP3後半のベアトの本心
エヴァによって南條殺しに関する赤字が連発され、戦人は南條殺しのトリックを解く事が出来なかった。それを見てベアトは自ら魔女を否定する赤字を語っている。その部分に関して非常に重要な地の文が出ているので本編より抜粋する。

「もし戦人が約束を破り、それをこっそり盗み聞いたなら。……たちまちの内に戦人は、ベアトとのゲームの勝者となり得るだろう。……この島の全ての謎を理解し、全ての魔法とトリックと、密室と呪いと祟りと伝説と、…怒りと悲しみの物語全てを理解するだろう。しかし、……それを知るのは、戦人が自らの手で真相に至った時だけなのだ。そう。…ベアトリーチェは、……その真相に、戦人が自ら至ってくれることを、最初から願っている。それは、教えられて至るのではない。戦人が自らの力で、たどり着かなくてはならない真実。」

この地の文が語るようにEP3の南條殺しは出題編のEP1~4の核となる部分で、既に語った通り南條を殺したのはヤスのベアト人格である。出題編で真犯人を明確に特定できるのは、この南條の殺害部分なので、ここの謎を解くという事は、自動的に連鎖密室の謎も解かれる事になる。連鎖密室の謎を解く事はヤスという人物に複数人格があるという事を知ってしまう事になる。あらゆる謎やトリックの真相に至った時、ベアトの事件が「嘘」「密室」「共犯」で構成される事に気付き、犯人の正体がベアトである事を知り、その正体がヤスの中の一人の人格である事を知る。そして戦人が犯人の動機を推察した先に、戦人はEP4で語られる約束の事を思い出すだろう。ベアトはこのEP3で「ベアトのゲーム盤はミステリーとして解ける問題」だというヒントを出した。そして一番の核である南條の殺害の謎を解く事が、ベアトのゲーム盤全ての真相に直結してる事を教えた。ベアトは戦人が自ら真相に至ってくれる奇跡を願って、南條殺害に関する真相を赤で語ったのだ。

しかし。

ベアトのゲーム盤で自ら南條殺害の答えを語るというのは、ベアトが魔女の姿を保てなくなる事と同じだ。本来戦人が自ら真相に至った結果として、ベアトの正体が判明するべきであって、真相に至ってない戦人にベアトの正体を晒すというのは、ベアトにとって一番あってはならない事だったはずだ。しかし、ベアトは上記で語ったような理由で危険を承知で赤で真相を語った。しかし、ここで奇跡が起こる。本編より抜粋する次の部分を見てほしい。

「……これでもう妾は魔女ではない。…だが必ず妾は魔女になるぞ。そして、再び黄金の魔女と呼ばれるに至って、再び、そなたの対戦相手だと認められに帰って来るから」
「いや、お前は魔女だったぜ」
「……え…」
(中略)
「いいや、魔法だったぜ。……お前は確かに、黄金の魔女だった。…お前自らが否定しようとも。…俺が認めてやるよ。…“お前は確かに黄金の魔女だ”」
戦人がその言葉を口にした時、真黒だった世界にぽっと一粒。小麦の種のように小さな黄金の一粒が眩しく光った。それは……小さいけれど力強く黄金色に輝く。

南條殺害に関する真相を赤で語った事によって、ベアトは魔女の姿を失った。しかし、戦人がベアトの事を魔女だと認めた事によって、本来であるならば魔女の姿ではいられなかったはずなのに、ベアトは魔女の姿を取り戻す事ができたのだ。これは戦人がベアトの事を魔女だと認めたという「黄金の真実」なのだ。ベアトは戦人にEP3で多くのヒントを与えた。ベアトのゲーム盤はミステリーとして解釈できる事。真犯人をEP3の南條殺しで特定できる事。そして、事件の真相に至った結果、ベアトの気持ちに戦人が至ってくれる事を願った。結果的にベアトは黄金郷で戦人がサインをする前にネタばらしをして、作戦だったかのような振る舞いをしてみせる。しかし、ゲーム本編でベアトが非常に複雑な表情を浮かべていた部分からも、ベアトのこの本当の気持ちが推察できる。このEP3を経験したからこそ、ベアトはEP4で「戦人に約束を確認する」という大勝負をやろうという決心がついたのだろう。

・黄金郷の描写
前述の部分とも関連するが、ベアトは戦人に魔女を認めてもらえる所で、あきらかにわざとネタばらしをして、戦人が黄金郷を認めないようにしている。という事は前々から語られている「戦人に魔女の存在を認めさせる事」という目的を自分から放棄してるシーンと言える。やはりベアトの目的は魔女を認めさせる事ではないのである。

・EP3の犯人
主犯:ベアト人格のヤスと絵羽
共犯:ベアト人格のヤスの共犯は南條、絵羽の共犯は秀吉

・事件の構成要素
EP1と2でも度々語ったこの問題。EP3の事件も「密室」「共犯」「嘘」で構成されている。連鎖密室の構成要素は南條の検視の嘘が極めて重要な役割を果たしており、これで3連続でこういう事件が語られた事の意味は既に何度も説明したとおりだ。ベアトの対戦相手である戦人に対するメッセージであり、今回事件前日に描写された戦人が忘れていた紗音との思い出「白馬にまたがって迎えに来るぜ、シーユーアゲイン」の部分と密接な関係がある。

・共犯
事件の構成要素の「共犯」以外の2つはもう意味がある程度読めてきたと思うが、共犯はどうだろうか。そもそもなぜ毎回毎回事件の犯人は簡単に共犯者を作ってしまうのか。しかもエピソードごとに共犯者は違う。この部分を考える時に「もしかして、犯人はすでに碑文を解いて黄金を手にしており、黄金によって買収した共犯を作ってるのではないか?」という推測が持てると思う。これによって犯人が資金に困っている人物の中にはいないという推理が出来るはずだ。

・EP3の事件内容
EP3はEP1と2とは大きく性質が違い、碑文が事件中に解かれてしまう。絵羽が碑文を解き黄金を手にする。今までの一族の金策の話し合いのイメージからすると、黄金が発見されると全て解決するような印象を受けるが、実際のところ絵羽は換金の手間や蔵臼の金に対する態度など、色々と問題点を感じているようで、黄金の発見そのものがハッピーエンドには繋がらないという内容が語られる。事実その後絵羽は黄金によって冷静な判断ができなくなり、殺人に手を染めてしまう。碑文が解かれれば事件は終わるという手紙の内容に反し碑文が解かれても、解いた本人によって殺人が起きるというシナリオで、その内容のまま絵羽が島から生還してしまう。なぜこのような特殊なシナリオが語られたのか?事実この話は今までの事件の実行犯であるヤスではなく、実行犯が中盤から絵羽に切り替わっており、魔女の思い通りには事が進んでいない。本来連鎖密室の事件の後、絵羽が碑文を解いたのならば、絵羽に黄金を継承し、事件は止まり生き残った人物は全員生還、というのが本来の流れなのだ。碑文を解いたのにも関わらず殺人が続くというこのシナリオは、実際の六軒島で起こった事件の真相の比喩的な意味合いがあるのではないかと思う。

・ラムダデルタの激怒
お茶会のメタ世界でラムダはベアトに「あんた勝つ気あるの?」と凄んでいる場面がある。ベルンを撹乱するためのフェイントなどは認めるけども、負けを自ら求めるような行為は絶対に許さないというラムダのセリフ。あれは恐らくEP3のゲーム盤で最後黄金郷で戦人にサインを貰えたにも関わらず、あえてぶち壊しにしたベアトの行為がラムダに不信感を与えたという事だろう。あの場面を見てラムダは「ベアトの本当の目的は、戦人に魔女を認めさせる事ではないのではないか?」と感じたはずだ。あえて勝ちを得ないベアトの態度は、もしかすると負けを選ぶかもしれない可能性を感じさせる。ベアトの負けとは人間犯人説で全て説明されてしまう事で、それがベアトの目的だった場合、ラムダの思惑と正反対の結果になってしまう事になる。ラムダが激怒した理由は恐らくそれだろう。

・EP3で戦人が射殺された事
実は全てのエピソードで戦人がここまで明確に殺される場面は非常に珍しい。EP1では爆弾によって死亡ではあるのだが、本編中では行方不明扱いでその部分は描かれていない。EP2は金蔵の部屋に招かれ黄金郷に行っている。EP4ではEP1同様爆弾により死亡だ。EP3のこの戦人の死亡の描写は、うみねこの世界構造を考える時の1つのポイントになってるのではないかと思われる。既に判明してるがEP1はヤスが書いたメッセージボトルだ。ではEP2~8はどうなのかと言うと、EP8の最後に八城十八が出てきて戦人の記憶を持ったまま実際は生きていた事が明かされるが、この八城十八が記憶を取り戻しながら幾子と一緒に書いてきた物語なのではないか?という説がある。この八城十八の話で、彼は一度戦人の記憶に耐えられなくなり自殺しかけたと語っている。もしかするとこのEP3はこの時に書いた作品なのではないか?と思われるのだ。絵羽によって戦人が殺される描写が描かれたのは、十八が断片的に実際の六軒島で起こった事件の真相を思い出し、それにショックを受けて自殺を図ったのではないか?と思えるのだ。つまり実際の六軒島の出来事は戦人が自殺を図るような内容だった可能性があるのだ。

・絵羽とヤスの共犯関係
絵羽が最終的に爆弾の爆発から逃れてるため、事件中どこかの時点でヤスと共犯関係になったのは間違いない。共犯関係でありつつも、ヤスには自身の目的もあり、絵羽と完全に思惑が一致してる訳ではない。譲治の殺害などまさにそうだろう。ただ、EP3のどの時点で共犯関係になったのかや、碑文が解かれた事で事件中止というヤスのルールを「碑文を解いた絵羽が殺人を続行したため、事件中止という選択が消えた」とも判断できる。この辺の解釈の違いはどっちが正解なのか判断が難しい。ただ事件の流れそのものは語った通りだ。