ここ数日、「言論の自由は大事やがな!」と吠え立ててはるイーロン・マスクはんですが、大ブーメランが。ファストカンパニーというサイトが、過去の中国との関係を蒸し返してはります(2022年12月1日付け)。以下、拙訳。

Here’s a look at free speech absolutist Elon Musk’s ties to Chinese censorship(言論の自由を絶対視するイーロン・マスク氏と中国の検閲との関係を見てみよう)

Musk has spent the last few days accusing Apple of failing to support free speech when it comes to Twitter. But the billionaire’s other ventures have tried to leverage Chinese censorship in the past.(マスク氏はここ数日、アップルがTwitterに対して言論の自由を支持していないと非難している。しかし、億万長者の他のベンチャーは中国の検閲を利用しようとした過去があるのだ)

感謝祭の祝日以降、イーロン・マスクの時間の大部分は、言論の自由を十分に支持していないとして、まずアップルを、続いて全米メディアを攻撃するのに費やしてきた(彼は28日、わずか30分間で5本の反アップルTweetをしていた)。この原則に対する本人の取り組みは、自らが手に入れたTwitterに於いて、様々なネオナチから、ヘイトスピーチ、いじめ、差別に対するプラットフォームの規則に違反しているとして禁止されていたドナルド・トランプに至るまで、アカウントを復活させるべきであるという彼の信念によって示されていると言えよう。

問題は、実際には、言論の自由の大切さを、本人自身にはそれほど科していないように思われることだ。Twitterの最大の資金パートナーであるサウジアラビアに対して黙っているではないかと指摘する声もある。しかし、もっと目に余る逆説がある。中国におけるマスク氏の姿勢だ。マスク氏は世界一の電気自動車市場でテスラのプレゼンス拡大に熱心で、テスラの将来にとって極めて重要であると述べている(実際、2022年の決算報告ではテスラの売上高の25%を占めている)。これが、ワシントンの政治家たちを怒らせている事は知られている(アメリカが1月にウイグル人強制労働防止法を制定した数日後、テスラは強制労働収容所のある新疆ウイグル自治区に真新しいショールームをオープンさせ、マルコ・ルビオ上院議員は同社を『中国共産党が大量虐殺と奴隷労働を隠蔽する手助けをしている』と非難するまでに至った)。

ここ1年、アップルのようなハイテク企業からスターバックスのような大手小売企業まで、中国市場に大きく依存する欧米企業が北京に屈服している例が、様々な報道で暴露されている。その内容は、秘密取引の交渉から共産党のプロパガンダの積極推進まで、多岐にわたる。だが皮肉にも、マスク氏が批判された活動は、グローバルなビジネスリーダーが中国の検閲を支持する最も明白な例となっている。

7月、マスク氏は初のTwitter全社会議で宣言した数週間後、中国のインターネットを検閲する國家互聯網信息辦公室の機関誌に「言論の自由と人々が自由にコミュニケーションできることが不可欠だ」と、あまり知られていないコラムに書いている。これまで政府関係者や国有企業のリーダーしか掲載しなかった『中国王信』に、外国人として初めて登場したマスクは、数ページにわたる見開きページで、持続可能なエネルギー、脳インプラント「ニューリンク」、火星の植民地化について宣伝した。中国の記者の翻訳によると、彼は 「中国王信誌からの招待に感謝する」 と書いた。「テクノロジーと人間性のビジョンに関する私の考えを中国の友人たちと共有出来る事を嬉しく思う」 。

國家互聯網信息辦公室は、広範なオンライン検閲制度を運営している。ジャーナリストから強制的な告白を引き出したとして非難されており、アップル、ヤフー、マイクロソフト、グーグルに対していわゆる中間者攻撃を行ったとされている。また、國家互聯網信息辦公室は 「中国のインターネットを浄化する」 動きの一環として、2020年に中国のアプリストアから100以上のアプリを禁止した(その中でトリップアドバイザー)。こうした取り組みには 「市民社会に対する猛烈な攻撃」 との批判がある。習近平国家主席の下では、中国のテクノロジー企業による社会的影響力の増大を抑制する取り組みも行っている。これには、テンセント、アリババ、アントの時価総額から1兆5000億ドルを消し去った国内のハイテク企業に対する取り締まりも含まれている。

中国王信が昨年1月に創刊号を発行する準備が整うと、國家互聯網信息辦公室は、新しい出版物は 「新時代の中国の特色ある社会主義に関する習近平思想の研究と応用」 に焦点を当て、 「サイバーパワーの構築」 の支援にも取り組むと発表した。

昨年、テスラ車の不具合は、同社を中国における大規模なPRの悪夢の中心に押し上げた。中国のテスラオーナーは、ブレーキ故障、予期せぬ加速、バッテリー発火など、危険な車の不具合を報告し始めていた。テスラは、中国で販売したほぼ全ての車のリコールを命じられた。

消費者は次第に目に見える形で反テスラの抗議行動を起こすようになり、テスラはブランドに対する一般の認識をより良くコントロールするための取り組みを開始した。伝えられるところによれば、同社が考案した計画には、 「ソーシャルメディアへの不当な攻撃と見られるものについて政府に苦情を申し立てる」 事が含まれているという。その後 「中国政府に検閲権限を行使させ一部の投稿をブロックするよう要請する」 と当時ビジネスウィークの取材に対して内部関係者が答えている。

一方、マスク氏はアメリカのTwitterで、アップルが言論の自由を支持していないと攻撃を続けている。28日の正午頃、彼は「アップルもTwitterをアップストアから締め出すと脅しているが、その理由は明らかにしていない」とTweetした。これにはコメントで多くの憶測投稿を生む結果となったが、ジャーナリストのマシュー・イグレシアス氏は、「中国の抗議運動についてどう思うのか」と答えた。中国はテスラの資産のうち数十億ドル (マスク氏の資産の相当額) を占めており、中国市場に依存する外国企業に対する影響力を利用して国境を越えた言論統制が常態化している。イグレシアス氏は言論の自由を支持する 「手立てが無い」 と主張し、 「中国に依存する大規模な製造・販売事業も維持している」 と述べた。マスク氏は他のコメントには答えたが、イグレシアス氏のコメントには答えなかった。それにもかかわらず、イグレシアス氏や他の観察者は、あるパターンが展開している事に気づいたという。「返信の大部分は非表示だが、親中国のプロパガンダは例外だ」 と彼はその後Tweetしている。


(昨日、私は @elonmusk に次のように尋ねた。言論の自由の擁護者として、また新型コロナ非医薬品介入の批判者として、中国での抗議行動について何か考えがあるかどうかと)

(今、@neilsinhabababu が指摘しているように返信の大部分は非表示だが、親中国のプロパガンダは例外だ)

拙訳終わり。正にブーメランですね。こういうのをexpediency(ご都合主義)というのではないか。失望しました。