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小さな編集局にも力を: 米地方メディアにおける #データジャーナリズム の台頭



エディター&パブリッシャーの記事を拙訳していきます(2024年6月4日付け)。

Empowering small newsrooms: The rise of data journalism in local media(小さな編集局にも力を: 地方メディアにおけるデータジャーナリズムの台頭)

Posted Tuesday, June 4, 2024 12:00 am

Diane Sylvester | for E&P Magazine

各種報道の賞シーズンの定番になりつつある。小規模な地方報道機関は、データジャーナリズムを通じて賞を獲得し、読者とつながっている。

シカゴ市警とシカゴのインビジブル・インスティチュート (Invisible Institute) は、データに基づくプロジェクト「シカゴの不明者」でピューリッツァー賞を受賞した。シカゴ市警が黒人女性の行方不明事件を追跡していないことを明らかにしたプロジェクトだ。ニューヨーク市の小さなデジタル配信元であるStreetsblogは、ジェシー・コバーン氏の記事「Ghost Tags」でポーク賞とシグマ賞を受賞し、ゴールドスミス賞にもノミネートされている。この報告書は、犯罪者が人目につくところで潜むのを可能にする仮ナンバープレートの広範な闇市場を明らかにした。

これらのプロジェクトはいずれも公的記録を掘り下げて分析し、その結果を用いて、システムがいかにして国民を深く保護できなかったかという、これまで認知されていなかった、あるいは目に見えなかった物語を明らかにした。

基本的に、データジャーナリズムは権力者の責任を問うための重要な手段だと考えられている。これにより、ジャーナリストは領収書を一般の人々と共有することができる。その証拠は、関連するデータを見つけて分析し、なぜそれが重要なのかを説明できるように提示する事によって得られる。

社内に専門知識やリソースがない小規模なニュース編集室にとって、データプロジェクトを引き受けるのは困難だ。一方、小規模なニュース編集局がデータプロジェクトに取り組むのを支援するために設立された組織である、スタンフォード大学のBig Local Newsの創設者であるシェリル・フィリップス氏は、すべてのデータプロジェクトが何年もかけて準備される必要はないと述べている。データ・ジャーナリストとして特別な訓練を受けていないスタッフがいる小規模な報道機関でも、重要なデータ処理を行うことができます。

「ジャーナリストは質問をするのが得意だ。それこそがデータジャーナリズムなのだ。パターンや外れ値を探すためにデータをインタビューしているだけだ。インタビューのスタイルも違うだけなのだ。専門知識をあまり持っていない人でも、それは本当に可能だと思う。彼らはデータについての質問を喜んでしなければならない」。

フィリップス氏とBig Local Newsのチームは、小規模なニュースルームやジャーナリストが、無料のツール、チュートリアル、オープンソースのデータセット、記事テンプレート、コーチングを提供することで、データプロジェクトに取り組み、報道を強化できるよう支援している。フィリップス氏によると、ビッグ・ローカル・ニュースは、小規模で多様性に富んだニュースルームとの新たな提携にも門戸を開いており、アプローチの定義やデータ分析に役立つという。フィリップス氏は、プロジェクトのアイデアについて話し合い、ケースバイケースで指導する用意があると述べた。

フィリップス氏によると、データプロジェクトには慎重なアプローチが必要で、うまくいけば読者との信頼関係を築くことができるという。「データプロジェクトでは、作業を共有できます。作品の説明を出して「このようにしてデータを分析しています。ここ」と言うことができます。これが私たちの方法論です。信頼性を高めることができる」。

■データゲームを強化するためのリソース

より多くの大学ジャーナリズムプログラムがデータジャーナリズムのトレーニングと学位を提供していますが、採用されるジャーナリストやデータアナリストはごくわずかだ。現在では、個々のジャーナリスト、記者、編集者が、ピアサポートに特化した組織からトレーニングや指導を受け、データや調査スキルを多様なグループに拡大するための豊富なリソースが存在する。

E&Pのサマンサ・スンネ氏とマイク・ライリー氏が報じたように、データジャーナリズムを詳しく説明するのに役立つ書籍もある。クレイトン・オルダーンによるシンプルなオンラインガイドでは、報道機関のリーダーの視点から、データジャーナリズムの主な考慮事項について慎重に説明している。

データワーカーのためのリソースとして誰もが挙げているリストのトップとして、調査報道記者・編集者(Investigative Reporters&Editors=IRE) とその年次NICARカンファレンスが挙げられよう。この組織は、個人のオンライントレーニング、有料のニュースルームトレーニング、およびすべてのデータツールに関するNICAR会議での広範なクラスを提供している。また、法律問題に関するクラスや、データプロジェクトを監督する編集者のためのトレーニングも存在する。メンターシップはカンファレンスやNICARのSlackチャンネルで利用できる。IREは、データの分析と整理を支援するために雇用することもできる。(情報開示:この記事の著者はIREの現役メンバーだ)、

「データプロジェクトに挑戦したいが、現在ニュースルームにスキルセットを持っていないニュースルームのリーダーへの私の最大のアドバイスは、データに興味を持っている人やワクワクしている人をチーム内で見つけて、トレーニングを受けるのを手伝いたい」と、調査デジタルサイトThe Markupの編集長であるシシ・ウェイ氏は語る。

ウェイ氏はプロパブリカの元シニアエディター。同氏と同僚のレナ・グローガー氏は2015年にThe Data Instituteを立ち上げ、調査報道とデータ報道における不平等と多様性の欠如に取り組んだ。現在はハワード大学のアイダ・B・ウェルズ協会とオープン・ニュースが共同運営するデータ・インスティテュートは、多様なジャーナリストに詳細なトレーニングを提供するために、毎年ジャーナリストのグループを2週間の無料集中トレーニングセッションに招待している。

アイダ・B・ウェルズ協会は、無料のメンバーシップを通じて個人向けのトレーニング、サポート、メンターシップも提供しており、Open Newsは個人プロジェクト向けにコーチングとデータレビュー、クリーニング、分析を提供している。

ウェイ氏によると、The Markupは野心的なプロジェクトで小規模な報道機関と頻繁に連携しており、地元のニュースリーダーが関心や専門性のある分野と一致する特定のプロジェクトを持っている場合は、彼らと話をすることを歓迎しているという。

財団や他の大学のデータプロジェクトを支援するための資金も利用できる。ピューリッツァー・センターは、調査報道ジャーナリズム基金と同様に、個々のデータプロジェクトに資金を提供している。

毎年いくつかの個別のデータプロジェクトを支援する単一の賞としては、ノースウェスタン大学メディル・ジャーナリズム学部のデータ駆動報道プロジェクト (DDRP) が大きい。彼らは毎年公募を行っており、プロジェクトごとに2万ドルから5万ドルを提供している。この賞は、他の助成金よりも制限が少なく、多様で支援が不十分なジャーナリストを支援している。受賞者は、メンター、ツール、継続的なサポートにもアクセス可能だ。

DDRPの共同創設者であるジョー・ジャームスカ氏は、「我々は、受賞者が可能な限り簡単にできるように心がけている。この賞は、研究費、コンサルタント、またはスタッフの時間をカバーできる。保育所に入れてもらった事もあったが、その人に必要な仕事をさせてくれたので大丈夫だった」と述べ、「最大の基準は、応募者がプロジェクトを把握しており、プロジェクトへのアプローチが実現可能であると思われる事にある。我々は、彼らが何を目指しているのかを知り、予算と助成金が現実的に仕事を成し遂げられる事を確認したいと思っている」と続けた。

ほかの人たちの提案に同調して、ジャームスカ氏は自分に質問をしてくる人たちに対してもオープンであると語った。彼は新人のデータジャーナリストたちに、「手を差し伸べて。誰かを助けるのはいつも素晴らしいことだ」とよくアドバイスしている。
※Diane Sylvester氏は受賞歴30年のベテランマルチメディアニュース記者。記者、編集者、編集室の戦略家として働いている。連絡先はdiane.povcreative@gmail.comまで。

シカゴの非営利報道機関インビジブル・インスティテュートがオーディオ報道と地域報道で2024年ピューリッツァー賞2部門受賞



シカゴ・ディフェンダーの記事を拙訳していきます(2024年5月7日付け)

South Side Newsroom Wins Two Pulitzers For ‘You Didn’t See Nothin’ Podcast And ‘Missing In Chicago’ Investigation(サウスサイドの報道機関がポッドキャスト報道「何も見ていなかった」と「シカゴで失踪」調査報道で2つのピュリッツァーを受賞)

    Site Editor
    May 7, 2024

サウスサイドの非営利報道機関、インビジブル・インスティテュートは、オーディオ報道と地域報道で2024年ピューリッツァー賞を受賞した。今日の発表は、12人からなるインスティチュートが2021年にピューリッツァー賞全国報道部門を受賞した事に続くものだ。チームは同年、サムバディポッドキャストのオーディオ報道のファイナリストになった。インビジブル・インスティテュートの中心的な記者であるヨハンス・ラクールとトリナ・レイノルズ=タイラー氏は、6年以上前にインビジブル・インスティテュートでこれらの調査に向けた仕事を始めている。どちらも彼らにとって最初の主要なジャーナリズム・プロジェクトである。
「何も見ていなかった」は、USGオーディオとインビジブル・インスティテュートによる限定シリーズのポッドキャストで、ホストのヨハンス・ラクール氏が調査ジャーナリズムの世界に触れるきっかけとなった1997年のシカゴ・サウスサイドでのヘイトクライムを振り返り、その波紋が過去四半世紀にわたってラクール氏自身の人生をどのように形作ってきたかを検証するものだ。「何も見ていなかった」は、アーカイブ音声と新しいインタビューを使用して、回顧録と調査を組み合わせた革新的なシリーズで、新しい形の音声ジャーナリズムを生み出した。
「2022年に亡くなった、私の素晴らしい親友であり、弟でもあるセクウ・ダンシー氏に捧げたい。ミシェル・アレクサンダーが『新たなるジム・クロウ』の中で、大量投獄は現代の公民権問題だと言っていたのを思い出す。アフリカ系男性にセカンドチャンスを与えれば何が起こるのか、投獄の代わりに支援と機会を提供すれば何が起こるのかを、世界が知って欲しいと願っている。その壁の向こうには才能ある人たちが沢山いるのだから」と、司会者のヨハンス・ラクール氏は言う。彼は2017年に刑務所から出所し、インビジブル・インスティチュートに加わった。「願わくば、これは皆さんが誰かを監禁するときに社会から何を取り除いているのかを垣間見ただけである事を願っている。シカゴの街が無ければあり得なかった事なのだ」。
「何も見ていなかった」は、サードコースト国際オーディオフェスティバルの最優秀連載ストーリー賞、2023年国際ドキュメンタリー協会(IDA)賞の最優秀マルチパートオーディオまたはドキュメンタリーシリーズ賞、米国雑誌編集者協会全米雑誌賞2024年ポッドキャスティング賞も受賞している。ピーボディ賞の最終候補でもある。
以前、我々のオーディオチームは、サムバディポッドキャストのオーディオレポートで2021年ピューリッツァー賞の最終候補に選ばれた事がある。
記者のサラ・コンウェイ (シティ局) とトリナ・レイノルズ=タイラー (インビジブル・インスティテュート) は2年間にわたり、シカゴ市警 (CPD) の行方不明事件の扱い方を調査し、警察の対応における怠慢と矛盾のパターンを発見した。2000年から2021年まで、シカゴ警察は行方不明事件の99.8%を「本質的に犯罪ではない」と分類した。我々の7部構成による調査は、この数字に疑問を投げかける内容となった。記者たちは、殺人の可能性があるにもかかわらず、行方不明者のデータで「非犯罪的な非公開事件」として誤って分類された11件を特定した。これは、警察の行方不明者データにある公式の殺人事件の数の倍以上である。これらの11例は、はるかに大きな怠慢のパターンの一部であった。
このレポートは、シカゴ警察の苦情に隠されたパターンを特定するためのデータサイエンスの新しい使用から生まれた。インビジブル・インスティテュートのとトリーナ・レイノルズ・タイラー氏が率いる「表面の下に」プロジェクトは、機械学習とコミュニティの参加を組み合わせて、持続可能な研究モデルを構築する。「私の両親はピューリッツァー賞が何であるかさえ知らない。私は、ジャーナリストがデータに対してもっと批判的になり、人生の最悪の瞬間だけでなく、その前後の瞬間も含めて、人々の完全な記事を伝える事にコミットしていきたい」と、2016年にアメリコップスのフェローとしてインスティテュートに加わったタイラー氏は「この物語に登場する行方不明者の愛する人たちを元気づけたい。これらの賞は大変名誉な事だが、それでも、警察が行方不明者事件をどのように捜査し、地域社会がどのように対応するかの将来に影響を与えなければ、この仕事に対する賞はほとんど意味がないと認識している」と言う。
「シカゴで失踪」はまた、ドリハウス賞の調査報道部門の最終選考に残り、シグマ賞の最終選考に残り、2024年のイジー賞を受賞した。先月、ブランドン・ジョンソン市長は、行方不明者事件に関する公聴会と専門のタスクフォースの創設を求める決議案を提出した。タイラー氏とコンウェイ氏は、近く開催される市議会公安委員会の公聴会で、今回の調査結果について証言する予定だ。この展開は、我々の報道と継続的な公開対話へのコミットメントの両方の直接的な結果である。

アメリカでの地方紙による収益化成功例について



エディター&パブリッシャーの記事を拙訳していきます(2024年4月24日午前12時投稿)。

Revenue roundup(売り上げ追跡)
Turning pages into profits: Success stories in news special editions(ニュースページから収益を上げる。ニュース特別版での成功例)
Posted Wednesday, April 24, 2024 12:00 am
Bob Sillick | for Editor & Publisher Magazine

エディター&パブリッシャーに寄稿した20本以上の「売り上げ追跡」記事で、何十人もの発行人、編集者、その他のニュース業界の専門家にインタビューしてきたが、収益を上げることは依然として絶え間ない課題である事が判明している。より多くの読者や新しい広告主を惹きつけようと、大半の新聞が伝統的なセグメントである特別セクションやエディションを改革している。以下は、出版社や報道機関が採用できる4つの例である。
■カンザス中心部からの記念ウェディング版
デビッド&コニー・パウルズ夫妻は、カンザス州北東部にある人口1万3300人の農業中心のコミュニティで『ホルトン・レコーダー』紙と『ジャクソン郡ショッパー』紙を経営している。娘の結婚式のために、2人は結婚を記念してゲストに配る記念版を印刷した。
「私は印刷業者に頼んで、12ページの新聞版の1ページの4つのプレートを変更し、200部だけ発行してもらいました。新しい1面には、娘のジャスティンさんと婚約者のキャメロン君の写真が掲載され、2人の結婚を知らせる見出しと簡単な詳細が下に書かれていた。残りの11ページはその週の通常の内容だった。2人は50年後にそれを見て、自分達が結婚した日に自分たちのコミュニティで何が起こったかを知る事が出来る」とパウルズ氏は言った。
全ての印刷作業に45ドルかかったという。パウルズ氏は、このアイデアを真似る新聞社があれば、新郎新婦への斬新なプレゼントとして家族に売り込み、5倍の料金を請求できるだろうと考えている。パウルズ氏は、この特別版のコンセプトをカンザス記者協会会員や州内の他の出版社と共有し、それぞれの地域で販売する計画に興味を示している。
また、通常の広告主ではない花屋やケータリング業者など、結婚式に関連する企業に対して、このような結婚記念版の広告を販売する機会も模索している。デジタル版を作れば、結婚式のカップルの多くがデジタルネイティブであり、結婚式に出席できなかった家族や友人と共有する事が可能だからだ。
『ホルトン・レコーダー』誌は、特に小規模で結びつきの強いコミュニティでは、長年にわたって特別コーナーを設けて成功を収めてきた。同紙では、毎年、郡の土壌保護受賞者を表彰する保護版や、4-Hのリボン受賞者の写真が100枚以上掲載される郡フェアの結果を報じた版、学期中のスポーツチームの写真を掲載した版などを発行している。
数年に一度、進歩版として 「Meet The People 」特集を発行している。このコーナーでは、各人が働いている場所の集合写真と、その企業の略歴を掲載しています。とても人気のあるコーナーだ。我々のような規模のコミュニティでは、人々は皆がどこで働いているかを知りたがるので」とパウルズ氏は語る。
■デセレット・ニュース、新しい印刷物に新たな収益
紙媒体からの収入減に関する多くの報道やトレンドがあるにもかかわらず、デセレット・ニュースはデセレット・ニュース・ダイジェストで「紙媒体による収入」がまだあるとすぐに証明した。2023年9月に創刊された24ページ以上のタブロイド版で、以前は、デセレット・ニュースの印刷版とオンラインプラットフォームに掲載されていた。それは、ソルトレイクシティ地域の三つの郡の11万世帯の郵便番号の輪番に郵便で配布される。
「人々がデセレット・ニュースを受け取っているのではなく、何か違うものを受け取っていると思うように、製品をデザインした。ユタ州は最も急速に成長している州の一つで、デザレット・ニュース・ダイジェストは新しい住民にわが社の製品を紹介する機会となった」と発行人のバーク・オルセン氏は語る。
オルセン氏によると、ダイジェストはより多くの住民と関わりを持つ機会になるし、印刷物やメールマガジンの購読、アプリのダウンロード、デセレット・ニュースのウェブサイトへの訪問など、住民の欲求を刺激するという。ダイジェストは、新しい広告主を呼び込むためにも開始されました。多くは初版から宣伝している。
「ユタ州には、全国的な読者を獲得したい企業が本社を置いている。12〜15年前から、印刷収入の減少に伴い、全国的な広告主との関係を維持・構築することが難しくなっていた。だが、ダイジェスト版では、全国的な広告主とコンタクトが取れるようになっただけでなく、広告価格を要求してくるようになりました」とオルセン氏。
オルセン氏によれば、コンテンツは再利用された記事であり、社内のデザイナーがページを作成できるため、新たなスタッフは必要なかったという。毎月56万世帯に送付される州最大の印刷物であるデセレット・ニュースの『ホームタウン・バリューズ』にダイジェストを挿入したことで、さらにコストが削減された。ダイジェストのモデルは非常に柔軟だ。購入する広告が少なければ、印刷されるページも少なくなる。
「同業者へのアドバイスとしては、我々が『ニュース・ダイジェスト』で成し遂げたことを見てほしい。もしそのモデルがうまくいくのであれば、やってみればいい。我々は皆、読者と社会に対する使命を果たすために、できる限りの収入を得たいと考えている」とオルセン氏は語った。
■包括的な特別版戦略は、AFROの使命と収益を押し上げる
AFROは130年以上にわたり、ボルチモア、ワシントンD.C.、そして全米のアフリカ系コミュニティーの代弁者として信頼されてきた。多くのイベントや特別版を制作・企画し、AFROが計画するすべてのイニシアチブを掲載した年間カレンダーで、住民、組織、広告主に宣伝している。
エグゼクティブ・ディレクターのレノーラ・ハウゼ氏によると、AFROニュースは数年前に包括的な特別版戦略を策定し、「我々はなおここにいる」という包括的なテーマを掲げた。
「テーマには2つの目的がある。私たちが直面してきたあらゆる困難や問題にもかかわらず、我々は報道機関として、より具体的にはアフリカ系報道機関として、一度も休刊せずに困難を乗り越えてきた。もう1つの目的は、AFROがまだ発行していることを知らない、あるいは忘れている人たちに伝える事にある。2024年8月で132年目を迎えます」とハウゼ氏は言う。
AFROの次年度の特別イベントカレンダーは、9月か10月に行われる広告代理店、広告バイヤー、メディアバイヤーとの非公式な朝食会で発表される。
ハウゼ氏は、毎月の特別号はその月の第3週に発行されると付け加えた。新聞の紙媒体版とデジタル版は全てこのテーマに当てられている。今年のテーマは、アフリカ系の歴史と伝統を尊重し、個人や家庭に実用的なアドバイスを提供する。
「その月のテーマに全号を割り当てる事により、広告主やスポンサーは特別版のテーマをサポートする広告を作成出来る。また、1つまたは複数の特別版を含む様々なパッケージを広告主に提供し、当社のすべてのプラットフォームでの露出を可能にしています。通常、私たちの広告数と収益は、特別版ごとに2倍になります。」と述べた。
AFROの特別版戦略の第3の要素は、広告と編集だけでなく、チーム全体が企画セッションに参加することだ。ハウズ氏によると、請求や発行といった他の部門のスタッフが、自分たちのサークルで話題になっている事を共有し、それによって素晴らしいアイデアが生まれているという。
■TribLiveの超ローカル特別版は、中小企業にとってプロモーションの勝者
多くの大都市と同じく、ピッツバーグは、ユニークなライフスタイル、伝統、イベント、そして個々のストーリーを持つローカル・ビジネスを持つコミュニティがパッチワークのように集まっている。こうしたストーリーやその日のニュースを伝えるため、トリビューン・トータル・メディア社は、日刊紙「トリビューン・レビュー」と週刊・月刊のコミュニティ紙を発行する、超集中型のアプローチをとっている。
「発行している新聞は、それぞれの地域社会の力だ。中には80年以上発行されているものもあります。こうした新聞を使って、地域社会を素晴らしいものにしている企業、個人、団体にスポットを当てているのを、読者の皆さんは高く評価して下さっている」と、広告担当ディレクターのアル・ディクロース氏は語る。
この超ローカルなアプローチは、特別セクションやその他のエディションにも適用される。トライブ・トータル・メディアは、その紙媒体をしばしば地域に分け、小規模な地元企業でも特定の市場に露出できるようにしている。          
多くの発行元と同様、トライブライブも毎年ベスト・オブ・ザ・ベスト・コンペティションを開催している。一方、1つの大きなプロモーションではなく、TribLIVEはその紙媒体全体で4つの小さなコンテストを開催しています。
「セクションを地域化することで、企業は最大の投資収益率を生み出す市場をハイパーターゲット出来る。クーポンブックはその好例で、5年間一貫した商品です。強い収益と読者の反応が続いている」とディクロース氏は語った。
た、ノーウィン・コミュニティ・ピクニック・ガイドのような地域特有のセクションやイベント・ガイドも制作しており、これらは一部の週刊誌や月刊誌にタブとして掲載されている。
ディクロース氏は、自社のコミュニティ特別版は、デザイン、印刷、郵送を含む費用対効果の高いプラットフォームを地元広告主に提供すると付け加えた。コミュニティ・ガイドなどの特別版に掲載される半ページ広告のコストは、地元企業で300ドル、平均1万世帯に配信され、1世帯あたり約3セントになると見積もっている。
「私が他の発行元にアドバイスしたいのは、読者や地域の人々、地元企業にどのように利益をもたらすかに常に焦点を当てた、有意義な特集を組んで配布する事だ。それが焦点であれば、勝利につながるだろう」と付け加えた。
※Bob Sillickはマーケティングと広告の世界で47年間、多くの上級職を歴任し、無数のクライアントにサービスを提供してきた。2010年よりフリーランス/契約コンテンツ・リサーチャー、ライター、エディター、マネージャー。 連絡先はbobsillick@gmail.com。

AIはスポーツ・ジャーナリズムの解決策か、それとも脅威か?



インサイダーゲームズ・ビズの記事を拙訳していきます(2024年4月25日付け)

AI: Sports journalism solution or threat?(AIはスポーツ・ジャーナリズムの解決策か、それとも脅威か?)

     By Jesus Lopez Sánchez Thursday, 25 April 2024

4月29日にスペインのサンタ・スザンナで開催されるAIPS 100周年記念大会には、一流スポーツメディアの編集長とユネスコの専門家が集まり、スポーツジャーナリズムにおけるAIについて議論する。
人工知能はスポーツジャーナリズムの解決策なのか、それとも脅威なのか。これがAIPS 100周年記念大会での主要な議論になるだろう。AIは編集に革命をもたらしており、試合レポートの作成や動画ハイライトの編集などのタスクを処理している。議論のもう1つの部分は、AIがソーシャルメディア上でアスリートをサポートできるかどうかだ。
昨年の4番目のAIPS出版物であるAIPSマガジンのIV/23号で、カバーストーリーの著者であるマーティン・マズール氏は次のように警告している。「誤情報の時代に本当に心配なのは、ブロガーでもユーザーでもコンテンツクリエイターでもなく、本物のジャーナリストがすでに書いたものをAIが間接的に破壊するツールになり得るかもしれない所だ」
「AIを使ってほとんど何でも書いて公開できるようになれば、公開されるAI生成コンテンツの量は、人間が書いたものよりはるかに多くなる可能性がある」。
「他のAIが答えを探しているときに、他のロボットが間違いを犯して書いたこうしたの文章を見つけ、真実であると判断し、その情報を使って出来事の経過を書いたり書き換えたりするのであれば、それは我々が本当にフェイクニュースの恐れられている時代にいる事を意味する」と述べた。

今、サンタ・スザンナで開かれる100周年記念大会までの日数を数えています。AIPSマガジンの最新号をご覧ください。「私たちのルーツを思い出し、私たちの未来を強化する」
2023年11月、Futurismはスポーツ・イラストレイテッドに掲載された偽のAI執筆者によるAI記事を発見した。2023年12月には、ニューヨーク・タイムズがOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で訴えた訴訟では、「マンハッタンの連邦地方裁判所に提出され、我々の新聞が公開した何百万もの記事が、信頼できる情報源としてニュースメディアと競合するようになった自動チャットボットをトレーニングするために使用されたと主張している」との事である。
マーティン・マズール氏は、AIPSマガジンIV/23のカバーストーリーで次のように書いている。「OpenAIを搭載した画像クリエイターであるDall-E3に、AIが完全に支配し、人間のジャーナリズムが時代遅れになった場合、ニュースルームはどのようになるかを尋ねたとき、それがもたらしたイメージは恐ろしいものだった」
「ほとんど使われていない埃っぽいオフィス、古いパソコンが山積みになり、床に新聞が散乱し、スーパーコンピューターからの電線の列が風景を支配している。それは、地球滅亡後のチェルノブイリの写真に似ていた」と結論付けている。

メキシコ・シティの新しいラジオ局がローカルニュースのギャップを埋めようとソーシャルメディア向けラジオを設立 #メディア



ハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」の記事を拙訳していきます(2023年9月13日午前9時32分投稿)。

A new station in Mexico City is making radio for social media — and filling local news gaps(メキシコ・シティの新しいラジオ局がローカルニュースのギャップを埋めようとソーシャルメディア向けラジオを設立)

“We aren’t, and do not want to be, like the traditional radio stations in Mexico.”(『我々はメキシコの既存ラジオ局とは違うし、そうなりたくもない』)

By Hanaa' Tameez @hanaatameez Sept. 13, 2023, 9:32 a.m.

人口2200万人、16の行政区からなる首都が、その巨大さをカバーするだけのローカルニュース・ソースを持たないと、どうなってしまうだろう?

メキシコ・シティへようこそ。新しいラジオ局がこの現実に取り組もうとしている。

8月28日に開局したラジオ・チランゴは、メキシコ・シティをカバーするニュース&カルチャー誌『チランゴ』の最新部門である。同局は4つの番組からスタートする: 朝の番組 "¿Qué chilangos pasa? "では、その日に必要なニュースと、超巨大都市特有の課題(交通、大気汚染、高級化など)を乗り切るためのヒントについて議論している。

("Chilango "はメキシコシティ出身者の呼称。"¿Qué pasa? "は「何が起こっているのか」を意味し、"¿Qué chingados pasa? "は『一体何が起こっているのか』を意味する。"chilangos "を挿入すると、巧妙な言葉遊びになる)。

"Sopitas "は芸術、文化、テクノロジーを特集した番組。"Vamos tranqui "は、リスナーに今後のイベントを伝え、現在の地元のトレンドや問題を説明する番組だ。この他、"Esto no es un noticiero "という番組では、ユーモアを交えて国内外の話題を平易な言葉で説明する。どの番組も1時間から2時間で、地元の専門家、政府関係者、ジャーナリストなどのインタビューやトークをフィーチャーしている。

ラジオ・チランゴの編集ディレクターであり、チランゴの親会社でブランデッド・コンテンツ・エージェンシーであるキャピタル・デジタルのコンテンツ担当副社長でもあるマエル・ヴァレホ氏は、メキシコ・シティはニュースの砂漠ではないと語る。印刷物、デジタル、テレビ、ラジオを問わず、この国を代表する全国的なニュースのほとんどすべてが首都に本社を置いている。レフォルマ紙、ミレニオ紙、エクセルシオ紙といった伝統的な日刊紙は、かつては首都圏に強力なデスクを持っていたが、近年はその数を減らしている。バジェホによれば、各メディアの都市報道は、犯罪、治安、政治が中心で、その他のローカルな問題は全国的なレンズを通して報道されることが多いという。

「この最初の(立ち上げの際の)全体的なアイデアは、我々がメキシコの既存ラジオ局ではない事を示すこと、そしてそのようになりたくないということです」とヴァレホ氏は語る。

メキシコ連邦電気通信研究所が2022年に行った全国調査によると、調査回答者の38%がラジオを聴いていると答えた。そのうち41%がニュースを聴くためにラジオを聴いており、音楽に次いで人気のあるカテゴリーとなっている。また、ラジオ聴取者の70%が、朝6時から正午までの間に定期的に聴取していると答えた。

「メキシコ・シティのラジオは今でも重要なコミュニケーション手段だ。もはやラジオを聴かず、ポッドキャストを聴いたり、スポティファイを使ったりする社会層もある。だが、通勤者、タクシー運転手、Uberの乗客や運転手など、車で移動する人々は常にラジオを聴いている。2200万人の人口を抱える都市で起きていることに特化した放送局がなかったという事を我々は知った」。

これは 「基本に戻る」という話ではない。ひとつは、現在ラジオを聴いているリスナーがすでに使っているメディアを通じて、地元の情報のギャップを埋める事。もうひとつは、ラジオ番組のコンテンツで、媒体やプラットフォームを越えて新しい視聴者にリーチする事にある。ラジオでの放送に加え、ラジオ・チランゴはウェブサイトでストリーミング配信が可能で、YouTube、TikTok、インスタグラム(YouTubeとTikTokはメキシコで最も急成長しているニュースのプラットフォームだ)、WhatsAppチャンネルでのストリーミング配信にも取り組んでいる。番組はすべてポッドキャストとして録画され、撮影もされている。ニュースの概要やディスカッションは編集され、TikTokやインスタグラム向けの短い動画にまとめ直される。

「新しい習慣として)ラジオを聴いて欲しい訳では無い。各プラットフォームで『ああ、これは興味がある 』と思ってもらえるような良いコンテンツを作りたいのだ」とヴァレホ氏は言う。「ラジオは聴かないけれど、WhatsAppのチャンネルは購読したい、そこでニュースを見つけたいから、とか、TikTokでフォローしたい、全番組を聴くより30秒のクリップで情報を得たいから、とか。ただ、いずれかのプラットフォーム向けに昔ながらの放送をするのではなく、視聴者がそこにいることを理解し、それぞれのプラットフォームで出会う必要がある」。

チランゴはパブリッシャーとして、新しいメディアに進出するユニークな立場にある。同誌は11月に創刊20周年を迎える。創刊は2003年で、街を最大限に楽しむためのタイムアウト的な観光ガイドとしてスタートした。その後、人種差別、所得格差、大気汚染、人工知能などの問題についても掘り下げたジャーナリズムを展開するようになった。バジェホ氏は、今のチランゴをニューヨーク・マガジンになぞらえ、ハードなニュースやサービス・ジャーナリズムとライフスタイルやカルチャー・ストーリーのバランスをとっていると語った。

そんなラジオ・チランゴやチランゴの他にキャピタル・デジタルでは、Pictoline(ラテンアメリカの問題をグラフィックで解説)、UnoCero(ユーザー向けのテクノロジーをカバー)、Sopitas(エンターテイメントとポップカルチャー)、Más por más(メキシコシティの無料日刊紙で、間もなくChilango Diarioにリブランドされる予定)といったニュースやライフスタイルのメディアを傘下に収めている。それぞれ、ディスプレイ広告、ネイティブコンテンツ、有料イベント、プロジェクトによるスポンサーシップで収益化している。ヴァレホ氏によると、これらの戦略をラジオ・チランゴのオーディオにも応用し、YouTubeのようなプラットフォームで動画を収益化していくとの事である。

キャピタル・デジタルは、主に企業を相手にしており、政党からの広告は受け付けていない。将来の目標は、地元のオーディオタレントのためのインキュベーターを作ること、そして最終的には、メディアを横断してメキシコシティのニュースを提供する有力な情報源になることだ。

「レストラン、バー、タケリア、美術館のガイドだけでなく、メキシコシティでジャーナリズムを行う偉大なブランド」とヴァレホ氏は語った。

拙訳終わり。サイトではTikTokのラジオ・チランゴのリンク先を紹介しています。放送の様子が分かりますね(TikTokだから、当たり前か)。興味深い試みです。

アメリカのシカゴ・サン・タイムズ紙が「忘れ去られる権利」を編集方針に導入 #報道の在り方 #忘れ去られる権利



シカゴ・サン・タイムズのHPの記事を拙訳します(2023年6月3日午前9時15分投稿)。
The Sun-Times introduces a ‘right to be forgotten’ policy(シカゴ・サン・タイムズ、『忘れ去られる権利』のポリシーを導入)

Jennifer Kho, the Sun-Times’ executive editor, explains how people we’ve written about can seek a review and possibly have stories removed from internet searches.(本紙編集主幹であるジェニファー・コーが、我々の記事対象者がレビューを求めたり、インターネット検索から記事を削除されたりする方法を説明)

By  Jennifer Kho
 Updated Jun 3, 2023, 9:15am GMT+9

数年前に刑事裁判が棄却されたものの、それでも職場や地域社会で定期的にその件について尋問される女性。無罪となったが、逮捕の記事が就職の妨げになっているのではないかと疑う男性。子供の頃に失敗した人は、大人になってもその評判が付きまとう。

これらのコミュニティメンバーの中には、過去のシカゴ・サンタイムズのニュース記事をグーグル等の検索エンジンからインデックスから外す、つまり削除して、記事が本人の名前のインターネット検索に表示されないようにするよう我々に求めてきた者もいる。

ソーシャルメディアとインターネットがあれば、何年も前、あるいは何十年も前の記事を素早く見つけるのが非常に簡単になる。つまり、我々が取材した人々の中には、たとえそれをしなくても、逮捕されたり犯罪で告発されたりする事による悪影響を受け続けている人々がいるとなるのだ。

シカゴには不当な逮捕事例があることも分かっている。そのような逮捕はしばしば法廷報道となるが、関連する記事は一般公開されたままである。中には、その後の人生に永続的な悪影響を及ぼすものもあるし、不安定な雇用や住宅の不足など、個人の成長を妨げる可能性のある問題につながる場合もある。また、有色人種のコミュニティに不釣り合いに影響を与える。全国的な犯罪報道に関する調査から、逮捕者の割合と比較して、これらの記事にアフリカ系が多く登場することがわかっている。

本紙では、逮捕された人が有罪判決を受けなかったり、起訴が取り下げられたり抹消されながらも、逮捕の話がいつまでも人々の後について回るは公平ではないと考えている。我々の仕事の一部が引き起こした意図しない害を認識し、これらの記事をレビューし、検索可能なインターネット記録の一部として残すべきかどうかを検討する事を望む次第である。

そこで本日、我々は新たな 「忘れられる権利」 ポリシーを策定し、記事に書かれた人たちがレビューを要求しやすいようにする。過去には、シカゴ・サンタイムズの編集長がケースバイケースでこれらの要求を処理していた。今後の目標は、コミュニティと提携して、我々が属しているエクイティの問題を報告するだけでなく、解決に役立てる事にある。これをうまく行うためには、誰もが要求を提出し、タイムリーに回答を受け取ることができる、単純で明確で公正なプロセスが必要である。

新しい方針を打ち出すにあたり、ボストン・グローブ紙、クリーブランドのプレイン・ディーラー紙、アトランタ・ジャーナル・コンスティチューション紙など、オンラインで公開された過去の記事のインデックスを外すことを人々に訴える機会を提供している新聞社の仲間入りをできたことを誇りに思う。

逮捕や告発に関する過去の記事で、後に反証されたり、却下されたり、抹消されたりした場合は、このフォームに記入する事が可能だ。連絡先情報、記事を特定するリンクまたはその他の情報、要求の理由、および告発や申し立てで何が起こったかについての文書を含める必要がある。リクエストは、当社の取材対象者が直接行う必要がある。

これらの要求を毎月レビューし、四半期ごとにパネルを招集して、定義されたポリシーから外れる可能性のあるより複雑な要求をレビューする。検索エンジンのカバレッジを維持する事による公共の利益よりも、依頼者への損害が上回るかどうかを検討していく次第である。

■誰に応募資格があるのか?
  • 未成年時犯罪者
  • 非暴力犯罪者
  • 告訴が取り下げられたり、棄却されたり、破棄されたり、抹消されたりした犯罪についての物語に名前が挙げられている人々
  • 有罪判決に至らなかった逮捕の話に名を連ねた人物
  • DV被害者
■誰が応募出来ないのか?
  • 現職・過去の当選・公職者
  • 公職を求める人々
  • ほとんどの重罪・凶悪犯罪で有罪判決を受けた人々
新しいポリシーについてご質問がある場合は、Sun-Timesの副編集長Norm Parish (nparish@suntimes.com) までメールでお問い合わせ頂きたい。

(文中敬称略)

良く言われるジャーナリズムの「バイアス」は、党派性以外の原因があるぞ、とのハーバード大学のメディア研究所の論考が #メディア #バイアス

とかくクソミソに言われがちな報道。特に関係者を苛立たせるのが「バイアスがある」。感情的な応酬をして泥仕合になっている事例もあるほどですね。
そんな中、ハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」が興味深い論考を。そうしたバイアスは、実は政治イデオロギー的党派性が原因では無いかもしれないぞと言うのです。以下、拙訳(2023年1月30日午後2時1分投稿)。

This report sees journalistic “bias” less as partisanship and more as relying on too-comfortable habits(このレポートでは、ジャーナリズムの 「バイアス」 は党派性よりも、あまりに快適な習慣に依存していると見ている)
“The first step is to accept that broad impartiality brings a stronger obligation to look.”(「広範な公平性がより強い調査義務をもたらすことを受け入れる事こそ第一歩だ」)

By Joshua Benton @jbenton Jan. 30, 2023, 2:01 p.m.

ニュースが偏っているというのはどういう意味なのだろうか? そのバージョンは、漫画的に単純なものから、麻痺してしまいそうなほど複雑なのまで様々だ。

一方の端には、ジャーナリストの汚職という率直な主張がある(『ジョージ・ソロスは記者に金を払ってフェイクニュースを書いている!』 『企業の主人にクビにならずに真実を語る記者はいない!』)。一方で、仄めかし系もある。(その話が売り出されたとき、誰が部屋にいたのか。それを形作った根本的な前提は何だったのか、そしてその前提を動かしたのは何だったのか。どのような視点が、探し求めたり、理解したり、発表したりするほど重要ではないと考えられていたのか)

言われる側のジャーナリストが、漫画的な偏見の主張に腹を立て、他の主張をすべて無視するのは簡単だ。自分の仕事にケチを付けられるのは誰も好きではない。だからこそ、より深く掘り下げたバイアスのメカニズムを事細かく主張した批評には、特別に注目する価値がある。

そうした観点から、今日は英国からの新しい報告書に注目したい。タイトルは「BBCの課税、公共支出、政府借入および債務の報道の公平性のレビュー」という徹底的に官僚的な代物。噛み砕いて言うなら、BBCの課税、公共支出、政府借入および債務の報道の公平性のレビューだ。国を揺るがす重要なテーマだが、ニュース視聴者が理解しにくい(ましてや楽しめない)テーマであるのは周知の事実だ。

このレビューでは、BBCの経済報道に体系的な政治的偏向は見られなかった。言い換えるなら、一貫して一方の政党の見解を支持するという意味である。しかし、実際に分かった事は興味深い(全ての強調は私が行った)。
BBCが取り上げた税金、公共支出、政府の借り入れや負債などの報道は広く評価されており、称賛に値するものも多い。一方、公平性を危険にさらすギャップや仮定があり、広範な公平性のテストに懸念する向きもあった。

これらの弱点は、特定の政治的立場を支持するように見える結果に繋がる可能性があるが、不思議な事に左右を問わない。そのため、この分野における組織的な政治的バイアスがあるとの非難をし続けるのは困難である。公平性に対するリスクは政治的なものに見えるかもしれないが、より良い説明が必要だと考えられる。それは、本来ジャーナリスティックというのは、そういうものなのだとなる。BBCとそのジャーナリストが、どのようなジャーナリズムをしたいのか、どのようにすればいいのか、という問題提起に変わりは無い。となると、我々は何が変えられるかに焦点を当てる事となる。少なくとも他の英国メディアにも同じように適用可能な点が多いはずだ。

セロータ・レビュー(訳注:BBCの編集プロセス、ガバナンス、文化のレビュー)に対するBBCの回答で、幅広い公平性が強調されたのは、時宜を得た必要な事だと思う。我々は、税金、公共支出、政府借入、負債に関する重要な利益と視点はBBCの報道によってより良く提供され、より単純な政治的公平性のモデルでは保護されない事が分かったからだ。これをバイアスとは呼ばない。だが、BBCの報道がこのような広い意味でアンバランスであるなら、異なる利害関係者に対して常に公正であると言えるとは思えなくなる。これは、後に続く多くを推進する、厳しくエキサイティングな理想である。
50ページものレビューを執筆したマイケル・ブラストランドとサー・アンドリュー・ディノットは、それぞれジャーナリストであり経済学者でもあり、BBCのシリーズやニュースに於ける統計をテーマにした本の執筆で協力もしている。2人は、2021年10月から2022年3月までのプラットフォーム間のカバレッジを調査し、BBCの1万1000件のコンテンツ (その内約1000件に焦点を当てている) をレビューした他、BBC内外の100人以上にインタビューした(これまで私が目にしてきたほとんどの50ページのレポートよりも、遙かに明快で楽しく読める)。

BBCはこの件に関して全体的に良い仕事をしているという。(インタビューした人の大半が『報道は良好だと考えた (我々も同意する) 。その品質、真剣さ、そして特に専門家の強みが非常に高く評価されていた』)では、彼らが見出した不均衡と報道上の弱点の原因は何だったのだろうか。

■記者たちは経済について十分に知らない
余りにも多くのジャーナリストが基本的な経済学を理解していないか、それを報道する自信がないと我々は考えている。これは公平性に高いリスクをもたらす。このレビューの期間中、それは特に政府債務の報道に影響した。一部のジャーナリストは、借金は単純に悪いものだと本能的に感じているようで、これが論争になりうるものであることに気づいていない模様だ。
政府債務に関する報道が報告書の主要な焦点となっているのは、当然のことながら、それに関する記述が公共支出や課税に関する記述に力を与えているからだ(先日、デヴィッド・ウォレス・ウェルズが10年以上に及ぶ緊縮政策の効果について書いた『フィナンシャル・タイムズのジョン・バーン=マードックの最近の分析によると、来年末までに英国の平均的な家庭はスロベニアの平均的な家庭より裕福でなくなるという。また、10年後には、平均的な英国の家庭は平均的なポーランドの家庭よりも生活水準が低くなるだろう』という記事をご覧になったかもしれない)

ブラストランドとディノットは、BBCが誤解を招くようなグラフを使って、債務レベルを実際よりも破滅的なものに見せた事に注目している。その規模は「目を覆いたくなるような」あるいは「記録的なレベル」(しばしばインフレ、GDP、あるいはある種の「記録」が余り昔にさかのぼらないという事実を調整せずに)「記録的なレベル」 といった表現をされる。BBCのジャーナリストなら、政府は「英国の債務を抑制するためには、何十億ポンドもの貯蓄を見つける必要がある」と気楽に言うかもしれない。確かに一つの見解ではあるが、唯一の見解ではない。
根本にあるのは、偏見では無く、ここでの選択と議論に於ける認識不足にあると考える。率直に言って、借金は論議を呼ぶ。我々が調査した期間では、BBCのジャーナリストの多くが、その事を知らなかったようだ。
ジャーナリストは、議論の余地のある立場を取り、自分が事実だと思い込んだり、正しい考えを持つ人々が皆同意していると思い込まないように、何が議論の余地があるのか、なぜそうなのか (専門家は一般的にそうしている) を知る必要がある。
要点をはっきりさせておこう。これは、政府債務は問題ではないと主張したり、政府が白紙委任状を持っているという反論ではない。その選択は通常、あらゆる面でリスクを伴う。我々は、真剣な議論がある。それだけだと言っているのだ。公平であるためには、ジャーナリストはこのことを理解する必要がある。たとえ詳細が分からなくても、ドラゴンがどこにいるのかを知っておくのは助けになる。BBCはこの分野の専門知識を持っており、もっと活用可能な筈だ。

少し前なら、最近の保守党政権に対する偏見と結びつける誘惑があったかもしれない。だが、通常、より多くの国債発行や借入を主張するのは左派である。故に、これを左右のどちらかに偏っていると考えるのは、我々にとって最も生産的な出発点では無い。情報に基づいていないグループ思考によって引き起こされる公平性の欠如と、議論に異議を唱える自信の欠如であり、しばしば誇大な主張によって余分なひねりが加えられる。そこが問題だと考えている。
■記者には、どのような財政選択が 「良い」 か 「悪い」 かについて、暗黙の前提を持ち込む癖が
幾つかの一般的な仮定が、気づかれていないか、修正されていないかのいずれかの理由で(「政府債務は悪い」)のように潜在している模様だ。BBCの報道で部外者が見たその他のものは以下の通りだ。「公共支出が増えればいい」 「減税すればいい」。こうした見解は直感的には理にかなっているように見えるかもしれないが、いずれも他人よりもある利益を優先する。

何より、トレードオフを隠しているのだ。ここで 「こっちのリソースを増やせば、あっちのリソースは減るのか」と考えなければ、競合する資源を公平に扱えない。こうしたトレードオフが完全に判明したり特定されたりする事はまず無いが、より明確に認識される可能性がある。
ブラストランドとディノットは、国家予算を家計に例えるという一見不毛な比喩を、他の人たちと同様に批判している。
そうは言っても「収入の100%に相当する」というのは悪い事だから、借金に対する警鐘は正当化されるのかもしれない。では、260%ならどうだろう。今の日本がそのくらいだ。450%ならどうだろう。多くの人が家を建てるために銀行や施工会社から借りられる額だ。だが、450%が自分にとって価値があると思うなら、何故国家にとって100%が悪いのだろうか。それに対するもっともな答えがあるのだが、その議論は聞かれるのだろうか...。国というのは引退したり死んだり、借金を完済したりする傾向は無いし、国の借金が家計や個人の借金のようなものでも無い。例えばクレジットカードのようなものでも無い。つまり、何故家計の借金との類似性や、政府が借金を 「完済」 または 「完済」 しなければならないという提案が激しい議論を引き起こすのかという事に行き着く。ジャーナリストや大衆にとって、簡潔でわかりやすい比喩は価値があるのは明らかだ。また、 「完済する」 という言葉は、たとえ国家であっても、政府債務に対してある程度の規律がなければならないという考えを表しているように見えるため、議論を知っている人にとっても魅力的な言葉である。家計の例えを使って、所得の100%に相当する住宅ローンの負債は、通常は恐怖を誘発しないと言っただけだ。だが、繰り返しになるが、家庭内の類推は危険な領域であり、激しく争われ、簡単に誤解を招く可能性がある事を知っておくのは役立つ。
あるBBCのシニアジャーナリストは、専門知識が無いと、記者は「安静状態」、つまり、意図的な偏見ではなく、一連の推定をしたがる可能性が高い、と語った。BBCの 「安静状態」を甘く見てはいけない、と警鐘を鳴らす。

■そのような思い込みが、選択を強制しているように思わせてしまう
あるBBCのジャーナリストが放送中の声明で、英政府は「..しなければならないだろう」と述べた。これがライブで作られたもので、意図していなかったかもしれないことに感謝したい。それでもBBCのジャーナリストは、政府があらゆる分野で 「増税、減税、支出削減、支出拡大、債務削減、債務拡大などを...しなければならない」 と示唆する前に、細心の注意を払う必要がある。それらは選択肢なのだから。自分に有利な合理的な議論を伴う選択かもしれないし、選択肢かもしれない。BBCがどちらかを選ぶのは 「必須」 だと言ってどちらかを支持しているように見えても、人々の反応が悪いのは驚くべき事ではない。繰り返しになるが、これは論争の対象となるものとその理由に対する感度の欠如なのだ。

この例は一般的な問題を浮き彫りにしている。財政政策の決定が政治的な選択でもある事を報道で明らかにしていない例が余りにも多すぎる。それは避けられない事では無く、政府がそのように提示したがるだけなのだ。必要とされる言語は微妙な形を取る。仮にBBCが当該となる言葉を採用すれば、危険なほど政策支持に近いものに聞こえるかもしれない。
このような理由から、政治的な顕著性を欠いた広範な利益は軽視される可能性があると考える。低所得者層や所得が低い傾向にある英国全域の納税者の利益は、この無視の顕著な例である。広い公平性のテストに失敗したと考えられる。
■経済問題は、政治的レンズを通してフィルターにかけられる

いずれかの政党を支援するのを目的としたレンズではなく、政治家から経済を語る方法についての指導を受けるレンズである。このレポートのためにインタビューを受けたある人物は次のように述べている。
「多くの人が政治を理解していると思っている一方、多くの人が経済学を理解していない事は知られている。そしてそれは、「ジョージ・オズボーンはx, y, zのせいだと言っているし、リシ・スナクはこれとこれのせいだと言っているし、彼はそうしている」という安心感を与えてくれる。同時に、お金が何故重要なのか、それがどのように機能するのかを魅力的な方法で実際に説明するという課題を、BBCニュース独自特集で行わねばならない場合、安きに流れている」。
言い換えれば、記者は経済問題の経済性よりも、健全な立場で、報道的に、政治を評価することに自信を持っている場合が多い。政府高官が経済問題について発表すると、「予測可能な一連の反応を提供する義務がある」との理由で政治ネタにしてしまった。

■記者は十分な説明をせず、自分のような人間に焦点を当てすぎている
多くの人が報道内容を理解していないと言った事に困惑した。視聴者調査では、大半が記事の意味するところを知らなかったため、財政政策の公平性についてコメントしなかった...。社会経済的に下位のグループが最悪の影響を受ける傾向があるが、それだけではない。幅広い公平性は、異なるグループがどの程度の範囲で報道を利用できると考えるか。そこに関心を持つべきだと思う。そのため、BBCは創造的な課題を残している。経済学と経済をめぐる政治的議論の報道に、より魅力的な説明をどう組み合わせるかだ。
言うまでも無いが、理解しにくい報道は影響を及ぼす。社会経済的な低所得者層は、ジャーナリズム以外の財政政策に関する情報源を持っていない可能性も高い。自分たちのために活動する業界団体やロビー団体を持つ事も少なく、自分たちの関心事が何であるかを理解出来てはいても、それを伝えるための適切な方法を持つ事も少ないのだ。
仮にBBCがこの分野での公共の利益と議論の豊かさを欠いていると考えるならば―我々はそうしているのだが―より多くを行う上での大きな障害として、視聴者の大部分が理解しておらず、関わっていない事にあろう。BBCは、以前はつまらなかったり、ニッチだったり、利用出来ないと思われていた古い題材を、新しく魅力的な方法で取り上げる事に長けているのが、今回の件では限界を超えてはならない。一方、記者や番組制作者がその方法を常に自問している訳も無いので、簡単な答えは見つけづらい。だが、必要があったとしたら...。
報告書が挙げているもう一つの例がある。所得税と付加価値税の2つの主要な課税形態の報道だ(アメリカ人は消費税のようなものだと思って欲しい。もっとも、そんな事を言おうものなら経済学者から撃たれるだろうが)。英国の最貧層1/3は無保険で、ミット・ロムニーの有名な 「47%」 も同様である。消費税としての付加価値税は全員が支払う。

つまり、英国の一部の地域では、一方の税金が他方の税金よりも住民に大きな影響を与えているのだ。例えばウェールズでは、住民は所得税よりも付加価値税で11%多く支払っている。しかし豊かなロンドンでは、VATの2倍以上の所得税を払っている。したがって、もしBBCがVATよりもずっと多くの時間と焦点を所得税の報道に当てているなら (そして実際にそうしているなら) 、当然ながら他の利益よりも一部の利益の方が有利になってしまう。
このようにVATが相対的に無視されているのは、通常は余りVATが発生しないからだと言えるかもしれないが、それは政治的な現状を受け入れる事そのものではないだろうか?また、BBCが視聴者に関連する背景をどのように伝えるかという問題提起でもある。ニュースと言うより、教育と呼ぶ方が良いかもしれないが、BBCがどこでそれを行っているかという意味合いもあるかもしれない。教育であろうと無かろうと、インタビュアーの質問には容易に入り込めるのだから...。

そのため、報道の枠組みを問う価値はあり、やはり政治がその一端を担っている。例えば、英国政府が減税について語るとき、通常はVATを意味していない。また、メディアは十分な疑問を持たずにその枠組みを吸収する...。政治的枠組みが報道を必要としている事は間違い無いが、支配的になりやすく、広範な公平性を損なう危険性がある。一般に、今週の青、赤、黄、オレンジ、緑の発言を収録したからといって、様々な利害がある中で報道が公平になるとは限らない。

ジャーナリズムの世界で誰が働けるかを左右するという、より広範な階級の問題を抜きにして、こうしたの問題を論じるのは不可能だ(アメリカでは、特権的な背景を持つ人々は遙かに楽だが、英国はその点で更に悪いようだ)。

この報告書では、もう1つの例が挙げられている。英国では毎日、電車や飛行機よりもバスに乗る人の方が多い。だが、鉄道や航空輸送に関する記事は、新規バス路線に関する記事よりも多く報道されている。
「所得税の話をしても間違っている訳では無いし、公平性の話をしても間違っている訳では無い。もちろん間違ってはいない。だがそれは、このジャーナリズムを作っている不釣り合いな数の人々にとって外面的に重要な何かを強調し、過度に強調する事であり、これに対して我々のかなりの数の視聴者にとってさほど重要ではないのだ...。つまり、これらの両方の例を直接取り上げると、彼らはおそらく不釣り合いに電車で仕事に向かう所得納税者と言える」

本報告書は本当に一読の価値がある。ジャーナリストにとっては、自分では気づかない思い込みや、自分では気づかない動きをチェックするのに有効だ。

ブラストランドとディノットは、一般的な勧告のリストを作成する事を拒否した(『我々の見解は明確だと思うが、他の目的を考慮してどのように対応するかはBBCが決める事だ』)。一方、2人は、自分達が述べていることの多くに対する答えは、単にジャーナリズムをより多く、より良くする事にあるとしている

「一部の懸念に反するのだが、本報告書では何も言うなとは主張しない」と2人は書いている。「より多く、より創造的に発言する事が圧倒的に重要なのだ」と言う。
...何が出てくるかは見てみないとわからない。そこに尽きる。報道には、直接的な利害関係、人々が知りたいと思うかもしれない事、簡単に見逃される事、そして政治が常に到達するとは限らない事などの観点がある。誰が何を言おうと、そうした観点を見つけに行くという視聴者への約束にほかならない。それが広範な公平性というものなのだ。厳しい話ではある。我々は、ほんの端っこしか見なかったのだから。公共支出、地方政府、年金や給付金などの他の分野には恐らくもっとあるだろうが、そこでは決断が必要とされるだろう。広範な公平性がより強い目で見る義務をもたらすことを受け入れる。それが第一歩なのだ。

(文中敬称略)

拙訳終わり。要は、安直さがバイアスの原因となっているかもしれないとなりましょうか。政治イデオロギー的党派性というのも、あるのでしょうけど。たとえての説明が本当に妥当なのかという問題提起には重いものをワタクシメは感じてしまいました。皆様は如何でしょうか。

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ハーバード大学メディア研究所の新年向け提言「ニュースを回避する人達に訴求させる新たな策を」 #メディア



俗に言う「ニュース疲れ」「ニュース忌避」の問題は洋の東西を問いませんが、ハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」では、そうしたニュースを避けたがる人への新たな訴求策を提言しています。以下、拙訳。

Finding new ways to reach news avoiders(ニュース回避者にリーチする新しい方法を見つける)
“Let’s make it harder to avoid the news and a whole lot easier to get caught up.”(『ニュース回避を難しくし、読んで貰いやすくしよう』)

既存のメディア・エコシステムはニュース中毒者には比較的適しているものの、膨大な数の一般読者には受け入れられていない。この失敗は巨大な市場機会であり、新しい年に向けて突き進むにつれ、容易に見て取れるようになってきている。

CNNの 「リライアブル・リソーシズ」 に関する私の最後のコーナーの一つは、現代のニュースサイクルが疲弊と、結果として 「選択的なニュース回避」 (ロイター・ジャーナリズム研究所が強調する用語) が台頭するというものだった。

この問題は目新しいものではない。ニーマン・ラボのようなメディアは、何年も前からニュース回避者について記事を書いてきたからだ。アメリカでは、自分の正気を守るためか、余りニュースに近づかないのを好む人もいる。また、右派を中心とする別の人々は、アメリカの主要なニュースソースを避け、報道は殆どしないが怒りの餌を大量に提供する代替メディアシステムを選択している。だが、それ以外の多くのアメリカ人は、ストーリーテリングと配信に対する思慮深い新しいアプローチで到達が可能だ。

典型的な一日のニュース記事の構成について考えてみよう。仮に皆さんが最新の動向に通じていなければ、ニュースは最初からではなく、むしろ途中から始まるように見えるだろう。ヘッドライン、プッシュアラート、ソーシャルポストも、ニュースをよく読む人よりも、ニュース中毒の人に好まれる傾向がある。これにはビジネス上の理由があるのだが、新しいビジネスが生まれる余地が非常に大きい。そして、2023年には、新しいビジネスが生まれるだろう。ニュース回避を難しくし、読んで貰いやすくしよう。
※ブライアン・ステルターは、CNNの 「リライアブル・リソーシズ」 のアンカーを務め、ハーバード大学ケネディスクールのメディア・政治・公共政策ショーレンスタイン・センターのウォルター・ショーレンスタイン・メディア・アンド・デモクラシー研究員である。
拙訳終わり。具体的な新しいアプローチ像を示して欲しいものですが、問題提起としては面白いものがありますね。

「言論の自由ガー」という輩拒否しましょうや←ハーバード大学メディア研究所での新年向け問題提起 #メディア



先日来続けておりますハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」に寄せられた来年の予言。今回は、予言と言うより問題提起ですね。以下、拙訳。

Rejecting the “free speech” frame(『言論の自由』というフレームの拒絶を)

“We should press for an honest debate, and journalists in particular shouldn’t fall victim to the right’s often dishonest use of the ‘free speech’ frame.”(我々は有り体な議論を進めていくべきであり、分けてもジャーナリストは『言論の自由』をしばしば持ち出す右翼の犠牲になってはいけない)

言論の自由が攻撃されている。またしても。少なくともアメリカの右派は、そう主張している。

「覚醒」 や 「キャンセル・カルチャー」  「コンテンツ・モデレーション」 に至るまで、言論の自由に対する新たな 「攻撃」 は常に存在しているようだ。この見解に従う限り、検閲は毎日行われており、右翼の関係者だけが 「言論の自由」 と 「検閲」 に反対して立ち上がっているかに見える。

ドナルド・トランプやロン・デサンティス、イーロン・マスクのような人々は、しばしば 「言論の自由」 について語りながら、同時に自分たちが好まない言論に対しては行動を起こす。トランプは、1月6日のような特定のトピックについて議論することを禁止しているとされる独自のプラットフォームを作成したし、デサンティスのいわゆる 「Stop WOKE Act」 は、言論を検閲しようとする試みのため、裁判官によって 「肯定的にディストピア的」 とさえ呼ばれたほどだ。マスクは個人的に好まないコンテンツを削除する事により、Twitterにおける 「言論の自由」 を擁護している。アメリカの右派が主張する 「言論の自由」 とは、合衆国憲法修正第1条を指してはいない。何を言ってもいいのか、何を言ってはいけないのか、誰が話すのを許され、誰が話すのを許されないのか、といった公けの議論で力を得る上での偽善的な論点として認識されなければならない。

これには特段の目新しさは無い。「言論の自由」 に対する右派の選択と選択の解釈については、無数の学術論文、報告書、報道記事、そしてオンライン上の暴言が書かれている。エレナ・ケイガン判事は、合衆国憲法修正第1条が 「武器化」 されつつあると強調した。

重要なのは、「言論の自由」の権利に関する解釈が間違っているという話では無い。そこは論を待たない。間違っているだけでなく偽善的でもあことが重要なのである。更に重要なのは、戦略的でもある点だ。

我々は、アメリカの人権団体の 「言論の自由」 の用法は、法的な議論やコンテンツモデレーションに関する会話への招待としてでは無い事を理解せねばならない。「言論の自由」 は枠である。同時に、フレームとは、その言葉が意味するところと同じくらい重要な事なのだ。

ロバート・M・エントマンに依拠するなら、フレームは、問題の定義、原因の特定、道徳的判断、そして解決策から構成される。怒りを引き起こした言論行為ではなく、 「言論の自由」 についての 「キャンセル・カルチャー」 を作る事により、問題の定義は変化する。問題はもはや言論行為ではなく、人々がそれに憤慨し、人々が「検閲」されている事にある。これまた原因に影響します。人種差別、性差別、白人至上主義の代わりに、我々は次のような質問を考えるようになりました。ソーシャルメディアは、人々がお互いを激怒させる事を許すべきなのか? その結果として、犯人が変わる。もはや「キャンセル」されるかもしれない人ではなく、影響を受けたグループが責められるべきなのだ。このフレームが効果的なのは、使い方がとてもシニカルだからです。言論の自由に、道徳的に反対する人などいるのだろうか?

ジャーナリストにとって重要なのは、「言論の自由」をめぐる右派の絶え間ない会話の実態と、それを自分たちの目的のためにどう利用しているかを理解する必要があるという事となる。それは、アメリカの右派の着実な急進化と、含意の窓 (例えば、タッカー・カールソンによる大置換陰謀論の推進や保守派からの反発の欠如)の不穏な変化を反映しているだけではない。また、「言論の自由」という枠を公論に大きく位置づけようとする協調的な努力も浮き彫りになっている。メディアデータベースのMediaCloudによると、 「言論の自由」 というラベルは2016年以来、右派メディアによって19万回以上使用されている。一方、中道左派系のメディアは10万9000回、14万回程度使用している。このグラフは、2020年以降、右翼系メディアがこのグラフを大きく取り上げ始めた事を示している。2020年1月以来、右派メディア (~114,000) は左派 (~65,000) と中道 (~55,000) を合わせたよりも 「言論の自由」 について語ってきたのだ。


mc_freespeech_new
(サイトより引用させて頂きました)

これは意図的に会話を変えようとする試みである。保守派は戦略的に、問題のある発言を呼びかける会話を 「検閲」 に関する会話に組み替えようとしているのだ。ジャーナリストは、この戦略的な再構成を認識し、この議論をカバーする際にそれに応じて行動する必要がある。これは、記事を報じるかどうか、 「言論の自由」 フレームを使って人々を引用する方法、その発言を文脈化する方法、フレームの使用によって排除されている人に光を当てるために誰に発言権を与えるか、といった決定の形を執る事が可能だ。ジャーナリストは、 「言論の自由」 が長年右派の話題となっており、検閲の主張がオンラインとオフラインで一貫して行われてきた事を理解せねばならない。ジャーナリストは、このような 「言論の自由」 のフレームを拒否し、実際に何が語られているのか、何故それが合衆国憲法修正第1条違反ではないのか、権利がどのような種類の言論を擁護しているのかを文脈化する必要がある。

これは、 「文化のキャンセル」 やソーシャルメディアプラットフォームのポリシーなどの問題を気にしたり議論したりすべきではないという話では無い。そうすべきであるという話なのだ。また、表現の自由に対する政府の行き過ぎた政策を後退させ、潜在的な萎縮効果を警戒すべきである。一方、我々は正直な議論を要求すべきであり、特にジャーナリストは、右派がしばしば不誠実に 「言論の自由」 のフレームを使用しているが故の犠牲になるべきではない。そうなると、議論は始まる前に負けてしまうからだ。

ジョナス・カイザーは、サフォーク大学でジャーナリズムの准教授。ハーバード大学のバークマン・クレイン・インターネット社会センターでファカルティアソシエイトを務めている。

(文中敬称略

拙訳終わり。「抗し難い提示」を戦略的に行い、自分達に有利な着地点へと導く・・・これ、昔も今も日本で見受けられますよね。アメリカだと、それが「言論の自由」になるのでしょう。

正直、一歩間違うと危険な話ではありますが、熟考すべき提起ではあります。特にメディアの世界の方々にはそうでしょう。印籠や錦の御旗にひれ伏してはならないのですから。

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米ハーバード大学のメディア研究所に寄せられた2023年の予言。「ツイッター抜きによる透明性への新たな道を」 #メディア


ハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」に寄稿された2023年の予言です。以下、拙訳。

New paths to transparency without Twitter(ツイッター抜きによる透明性への新たな道)

A movement to expand industry transparency cannot be led by the news organizations that perpetuate the lack of transparency.”(『業界の透明性向上運動を、透明性の欠如を永続させたままの報道機関が主導するのは無理筋だ』)

仮に報道機関が今回のTwitter騒動から一つの教訓を得るとすれなら、それは、何千人もの疎外されたジャーナリストが、重要な関係を培い、忠実な支持者を築き、他のプラットフォームでは得られない方法でメディア業界について学ぶためにTwitterを頼りにしていたという事になろうか。

今、Twitterというプラットフォーム自体に注目し、その崩壊によって我々が失うかもしれないものに目を向けがちである。一方、パニックに陥ったり、早々に悲しんだりするのではなく、Twitterへの依存が露呈した業界の穴、すなわちアクセスの悪さや透明性の欠如を補修する事に取り組む必要がある。

私の予想では、メディアはジャーナリストをより身近な存在にして、経験の浅い同業者の教師となろう。新年には、メディア企業が社内の人材パイプラインに広い網を張り、外部のプラットフォームに頼らなくても、強固で多様なネットワークを構築出来るようにと願っている。また、社会から疎外されたジャーナリストたちが専門機関に集まり、専門機関が奨学金やリソース、トレーニング、ガイドを提供することで参入障壁を低くしてくれると信じている。

こうした予測の全てが、Twitterがメディアワーカーの層を越えてコミュニティを発展させる事により軽減に貢献した最初の問題に向かっている。1つのプラットフォームが、内外を問わず、この業界に大きな影響を与えたことは注目に値する。一方、ここ数週間 (しかも現在は日々急展開だ) の状況を考えると、未来がこれほど不透明なプラットフォームにこれほど依存するのは危険である事が明らかになった。

ジャーナリズムのリソースとしてのTwitterを完全に置き換えることは難しいだろう。現代のデジタル環境では、ニュースメディアとソーシャルメディアが深く絡み合っている。ジャーナリストがTwitterをキャリアに活用する以外でも、デジタルファーストのオーディエンスがニュースを共有し、影響を与え、交流する上で欠かせない存在になっているからだ。

二重の透明性とは、Twitterが社会から疎外されたジャーナリストたちにカーテンの裏側を覗かせる一方で、(良くも悪くも)一般のニュース消費者にも同じ生々しさを見せるという事だ。つまり、メディア関係者間の緊張や意見の相違、一般論がすべてオープンになることを意味する。

コメント中心の生の議論に参加できることはTwitterの特徴であり、それはすでに数多く存在するオンライン・フォーラム(Redditはそのひとつ)でも同様に再現は可能である。だが、従来のコメント欄は、社内であれ、別のソーシャルメディアサイトであれ、Twitterで起こるライブな対話には敵わない。

業界の透明性向上運動を、透明性の欠如を永続させる報道機関が主導するのは不可能だ。むしろ、外部の主体(メディア記者、メディア批評家、ジ・オブジェクティブやニーマン・ラボのような場所)が、報道機関の透明性の欠如に対する責任を追及出来るのだ。Twitterの完全な代替にはならないかもしれないが、ジャーナリズムがいかに独自の解決の一端を担えるかを証明するものとなろう。

新しい年、メディア業界は、Twitterを活用してキャリアを築いてきた大学世代のジャーナリスト、ローカルニュースのジャーナリスト、フリーランサー、後発組らがTwitter抜きで取り残されないよう、透明性とアクセス性を念頭にこれらのリソースを真剣に検討する事に期待したい。

※寄稿者のアレックス・ペリーはThe Daily Northwesternの編集長。ProPublica Emerging Reporterでもある。

(文中敬称略)

拙訳終わり。確かに、マスクはんの発言のせいで毎日のように揺れ動くTwitterを、今後も頼みとして良いのかというのはありますね。

それはそれとして、業界の透明性向上運動を、透明性の欠如を永続させる報道機関が主導するのは不可能だとの言葉、グサリと来ました。アメリカでもそうなのかと。「外部の主体に報道機関の透明性の欠如に対する責任を追及させよ」との言葉は特に、です。

追及は日本でもやっていなくも無い。だけど、やっている人には「ネトウヨ」「パヨク」のレッテルが貼られがちな訳で・・・。さてどうしたもんだかという年の瀬ですなぁ。

米ハーバード大学のメディア研究所への2023年予測寄稿。「これまでの記事構成が解体される」 #メディア


先ほどに続き、ハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」に寄稿された2023年の予測です。以下、拙訳。
The traditional story structure gets deconstructed(伝統的な記事構成を解体する)

“Despite huge changes in the technology of news, the structure of a story today doesn’t look hugely different from one in, say, 1932.”(『ニュースの技術は大きく変化したにもかかわらず、今の記事の構造は、例えば1932年の記事と大きく変わらないように見える』)

我が儘と取られるかもしれないが (その理由は後述) 、どうすればニュースの基本単位であるストーリーを改善できるかを本当に考えるべき時ではないだろうか。

ニュース記事の中核となる物語構造、すなわちリード (逸話的なものであれニューズィ的なものであれ) 、要点をまとめたパラグラフ、コンテクスト、分析、推定といったスタイル全てが、読者を引きつけ、編集者に一言も触れさせない事を目的とした緊密なパッケージに慎重に織り込まれてきた。報道、分析、出版、配信といった新しい形態には殆ど影響を与えなかった。

ニュースのテクノロジーが大きく変化したにもかかわらず、今日のストーリーの構造は、例えば1932年のものと大きくは変わらないように見える。確かに、スライドショーの埋め込み、動画の追加、インタラクティブグラフィックスなどが変化かもしれないが、基本的にコアアーキテクチャは変わっていない。

それで良いのだろうか? 重要な情報を最も効率的に読者の心に届ける最良の方法であるのに変わりはないのかもしれない。あるいは、我々ジャーナリストが自分たちの好きな事を一番うまくやっているだけかもしれない。

Semaforでは、ストーリーの形式を分解し、ニュース、分析、反論など、様々な観点から区切られたセクションに作り直した。上手くいっているように見るが、当然ながらまだ未完成な代物だ。一方Axiosは、そのトレードマークである「スマート・ブレビティ」形式で、過負荷で時間に追われる読者のニーズを解決している。グーグルの今は亡きリビング・ストーリーズは、読者が既知の繰り返す必要のない情報を理解するための刺激的な試みであった。ホミサイド・ウォッチDCも、ニュースの判断(『ニュース価値のある』殺人事件だけでなく、首都で起きた全ての殺人事件を報道)、報道の構造(事実を集め、テクノロジーでそれを組み立てる)、新しい視聴者(報道する価値がないとされた殺人事件の家族や恋人)の構築について再考する興味深い試みであった。

しかし、これらはすべてまだ業界の隅っこでの試みでしかない(ただし、SemaforとAxiosは明らかにそこに留まりたいとは思っていない...)

これ以上何ができるだろうか、特に今、はるかに強力な技術を自由に使えるようになったのだから。

ChatGPTの強力な言語パースと生成機能を使って、ニュースをバーで飲みながら誰かに話すような語り口に変えてみてはどうだろう?「それからどうなった?」 「FBIがマール・ア・ラーゴで あるはずのない書類を発見しました」「よくわからないんだけど、機密扱いを解いたって言ってなかった?」 「実は...」

読者が持っている疑問を探り、持っているかもしれない情報を読み飛ばすことができる。言い換えれば、テクノロジーを利用して、全ての読者を個人として扱い、知識のレベルや関心のレベルを少しずつ変えていくのである。

読者が持っている疑問を探り、持っているかもしれない情報を読み飛ばすことができる。言い換えれば、テクノロジーを利用して、すべての読者を個人として扱い、知識のレベルや関心のレベルを少しずつ変えていく。

あるいは、スタンフォード大学のビッグ・ローカル・ニュースプロジェクトや、USCのクロスタウンデータ分析プラットフォームのような、大量のローカルデータを抽出して自動的に分析し、興味深いパターンを見つけて記者に送る試みはどうだろう。フォローアップのために、あるいはより広範な記事の一部として利用するエンジンを利用することも出来るかもしれない。ロイターやブルームバーグは、既にこのような財務データのシステムを持っているがもっと多くの報道機関に作ってみてはどうだろう?

最終的には、既存のツールを最大限に活用し、機械ができることの最良の部分と人間ができることの最良の部分を融合させるべきである。相互に置き換えるのではなく、読者やコミュニティにより良いサービスを提供可能な、よりスマートで高速な 「サイバネティックな報道機関」 を構築するためである。

結局のところ、我々は何十年にも渡ってニュースを消費する大衆として劇的に変化を遂げてきた。Twitterのスレッド、TikTokの動画、インタラクティブなグラフィックのいずれもが、我々のニュース習慣に入り込んでしまったかを考えて欲しい。何故最も基本的な記事構成が変わらないのだろう。

※Gina ChuaはSemaforの上席編集長である。
拙訳終わり。個人的に非常に興味を持ったのが「ChatGPTの強力な言語パースと生成機能を使って、ニュース体験を、バーで飲みながら誰かに話すような語り口に変えてみてはどうだろう?」の下り。

これ、日本では既にやっていますよね。既存メディアでは無いですが。え、どこって?

YouTubeの「ゆっくり霊夢」です。

となると、日本の既存メディアは、あのフォーマットで解説報道していく手があるのでは。関係者の皆様如何でしょうか。


2023年はモバイルファーストを掲げる報道機関が更に増えるとの予測が、米ハーバード大学のメディア研究所に寄せられる #メディア



ハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」による来年の予言です。以下、拙訳。

More newsrooms go mobile-first(モバイルファーストを目指すニュースルームが増加)

“The majority of those making news content decisions should be digital natives.”(『ニュースコンテンツの意思決定をする人の大半はデジタルネイティブであるべき』)

世界中の報道機関で、変革のプロセスが続いている。一方、私は、コロンビア大学のジャーナリズム学科の学生に、2023年に初めて就職する際、マルチプラットフォームメディアの世界にまだ完全に慣れていない上司の下で働くことになるだろうと念を押している。視聴者の圧倒的多数がモバイル端末でニュースや情報を消費し続けているが、多くのコンテンツは、より大きく水平なプラットフォーム、つまりデスクトップやラップトップコンピュータの大きな画面や、場合によっては(最近は少なくなったので有りがたい限りだが!)紙媒体での消費を想定して構想され準備されているのである。だが、殆どの視聴者は、携帯電話で縦方向にスクロールし、静止した写真やグラフィックだけでなく、オーディオやビデオなど、よりダイナミックな関わりを期待しているのだ。

この1年間で、モバイル端末に対応したコンテンツは飛躍的な進歩を遂げたが、まだ課題がある。世界中のメディア企業がいかにモバイルファーストの報道機関になれるか、モバイル消費向けに作られた記事をより多く作成していく。それが定着率の向上、そしてもちろん購読者の増加につながるかが、この課題にかかっているのは言うまでも無い。

2023年には、モバイルファースト戦略への移行を遅らせている報道機関も、恐らく移行していくものと私は予想している。それに向けて、2つの重要なアクションが必要かもしれない。

■編集局を再構築し、記事を追いかけ、必要に応じて更新し、コンテンツを充実させるためのアクセサリーとしてビデオやオーディオをより多く使用する事を主な仕事とするコンテンツマネージャーをより多く取り込む。

■新しい人材を加える。ニュースの内容を決定する人たちの大半は、デジタルネイティブであるべきだ。モバイルの世界では、エディションを追うのではなく、ストーリーに集中し、常に携帯電話に身を乗り出しているモバイル読者のために、いかにしてストーリーを常に更新し続けるかを理解する必要がある。

2023年は、より多くのタイトルがモバイルファーストのコンテンツプロバイダーとなり、その目標を達成するために必要な課題に真正面から取り組む年になると考えている。

マリオ・ガルシアはガルシア・メディアの創設者兼CEOである。

拙訳終わり。この人の御指摘を実践しているのが、先の記事で紹介したニューヨーク・タイムズという訳ですね。

同時に、「ニュースコンテンツの意思決定をする人の大半はデジタルネイティブであるべき」との言葉が重たい。この世代交代が出来て無いからこそ、日本の現在の新聞業界がああも酷い状況な訳なのですから。

現場の人のお考えを是非ともお聴きしたいところです。

※御賛同頂けるようであれば、拡散お願いします。あと、読者登録も宜しければ。


英経済メディアのフィナンシャル・タイムズがファッション業界ニュースレター創刊 #メディア #ニュースレター



talkingbiznews.comというメディア業界情報サイトの報道(2022年11月17日付け)によりますと、フィナンシャル・タイムズが、「Fashion Matters」という週刊ニュースレターを創刊しました。ビジネス、文化、政治、スタイルが交錯する模様を紹介していきたいとの事です。

具体的には、2兆ドル規模のファッション業界に焦点を当て、音楽業界やエンターテインメント業界、政治、気候政策、世間の注目を集める人々に文化的な影響を与えたかを探る予定だそうです。

同社のファッション担当編集者のローレン・インドヴィック氏は「Fashion Mattersは、読者にファッション業界に関する独占的でありのままの意見を、率直に、時には面白おかしく伝えていく」(“Fashion Matters will give readers an exclusive, unvarnished opinion on the fashion industry, delivered in a frank and occasionally funny way,”)との声明を出しています。「ファッションのビジネス、メンズウェア、そしてESGがファッションやビジネスとどのように交錯しているかについてより多くの報道が求められていることを我々は知っており、より親密な方法で読者と直接これらの話題に取り組みたかった」(“We know there is demand for more coverage on the business of fashion, on menswear, and how ESG intersects with fashion and business and we wanted to address these topics directly with our readers in a more intimate way.”)との思いがあったそうです。

Fashion Mattersは、インドヴィック氏が編集し、フランス、イタリア、中国の特派員が寄稿しています。

なお、ご本人は2020年にFTに入社する以前は、『Vogue Business』の創刊編集長を務め、ニューヨークでビジネスやテクノロジーに関する報道を行ったこともあります。2020年プレス・アワードでファッション・ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。

親会社の日経も追随したらどうですかw 日本語版出したら結構読まれると思うで。

うーむ残念。グーグルが日本なども対象にした「ニュース・エクイティ・ファンド」というのをやっていたとは #メディア


グーグルはんが、こんな取り組みをしていた事を今頃知りました。以下、拙訳。

News Equity Fund(ニュース・エクイティ・ファンド)

Googleは、主に社会的地位の低いコミュニティにサービスを提供する報道機関に財政的支援と機会を提供するグローバルな取り組みとして、「News Equity Fund」を立ち上げました。

多様性の受容を強化し、ニュース エコシステムを更に強化する事を目的としております。特に、世界中の不特定多数の視聴者のためにオリジナルのジャーナリズムを作成する中小規模の配信元を支援していきたく思っております。

■応募方法

応募は2022年6月22日(水)に開始され、2022年7月21日(木)午後11時59分(太平洋時間)に締め切られました。

申請者には、オンライン申請書を通じて、出版物、組織、資金使途の詳細について、関連情報を提供するよう求めました。提出する事により、ニュース・エクイティ・ファンドの利用規約に同意したものとみなされます。提出された申請書を審査し、申請窓口の閉鎖日から可能な限り早く資金を提供いたします。全ての応募者には、電子メールにて応募状況をお知らせします。

英語でのオンライン応募のみ受け付けますが、オンライン応募フォームの翻訳版もご用意しています。以下の該当する言語をクリックして下さい。
  • アラビア語
  • バハサ・インドネシア語
  • フランス語
  • ドイツ語
  • ヒンズー語
  • イタリア語
  • 日本語
  • 한국어
  • スペイン語
■ダウンロード

フォームの記入に際してサポートを必要としたり、具体的な質問がある場合は、newsequityfund@google.comまでメールでお問い合わせください。

■応募資格
  • 取り上げられる事の少ない視聴者に向けてオリジナルのニュースを制作している中小規模の報道機関を対象としています。
  • ニュース・エクイティ基金は、フルタイムのジャーナリスト(FTE)を1~50人雇用している独立報道機関に適用されます。
  • 営利・非営利を問わず、従来の報道機関、デジタルネイティブ、ニュースレター、ポッドキャスト、ラジオ・テレビ放送局、社会的弱者を対象とする業界報道機関など、対象は様々です。
  • ジャーナリスティックなコンテンツを定期的に配信している事が応募資格となります。
  • ライフスタイルやスポーツなど、中核となるニュースに重点を置いている必要があります。
  • 検証可能なデジタルプレゼンス(主にジャーナリスティックなコンテンツを提供するウェブサイトなど)を有し、少なくとも12ヶ月間フル稼働しているという条件が付きます。
  • 法人化された、または登録された協会や組織、登録された学術団体、または代表的なジャーナリストや組織を代表する非営利団体は、対象地域のいずれかに拠点を置いている限り、全て応募する資格があります。
  • 政府所有の団体、政党の関連団体や所有する団体には応募資格がありません。
  • 英語でのオンライン応募に限ります。
■対象地域

対象地域(下記参照)のいずれかに法人格を有する、または登録されている組織。法人格のない団体は、対象地域のいずれかに拠点を置いている必要があります。なお、対象地域によっては、ニュース・エクイティ・ファンドからの資金提供を受ける際に特定の法律が適用される場合があります。

※アジア太平洋地域
オーストラリア、バングラデシュ、ブータン、ブルネイ、カンボジア、クック諸島、東ティモール、イースター島、フィジー、香港SAR、インド、インドネシア、日本、ラオス、マカオSAR、マレーシア、モルジブ、モンゴル、ミャンマー、ネパール、ニューカレドニア、ニュージーランド、パキスタン、パプア・ニューギニア、フィリピン、サモア、シンガポール、ソロモン諸島、韓国、スリランカ、台湾、タイ、トケラウ、トンガ、ツバル、バヌアツ、ベトナム
※欧州
オーストリア、アルバニア、アンドラ、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、グルジア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、モナコ。モンテネグロ、オランダ、北マケドニア、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サンマリノ、セルビア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、ウクライナ(いわゆるドネツク人民共和国(DNR)とルハンスク人民共和国(LNR)を除く)。
※中東・アフリカ
アルジェリア、アンゴラ、バーレーン、ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、カーボベルデ、中央アフリカ共和国、チャド、コモロ、コンゴ(ブラザビル)、コンゴ民主共和国(DRC)、ジブチ、エジプト、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、イラク、イスラエル、象牙海岸、ヨルダン、KSA、ケニア、クウェイト。レソト、リビア、レバノン、リベリア、マダガスカル、マラウイ、マリ、モーリタニア、モーリシャス、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、パレスチナ、オマーン、カタール、ルワンダ、サントメ・プリンシペ。セネガル、セイシェル、シエラレオネ、ソマリア、南アフリカ、スーダン、南スーダン、スワジランド、タンザニア、トーゴ、チュニジア、トルコ、ウガンダ、UAE、西サハラ、ザンビア、ジンバブエ
※北米
カナダ、米国、米国海外領土
カリブ海
アンギラ、アンティグア・バーブーダ、アルバ、バハマ
アンギラ、アンティグア・バーブーダ、アルバ、バハマ、バルバドス、英領バージン諸島、ケイマン諸島、ドミニカ、ドミニカ共和国、グレナダ、グアドループ、ハイチ、ジャマイカ、マルチニーク、モントセラト、ナバサ島、オランダ領アンティル、プエルトリコ、セントバーテルミー、セントキッツ・ネイビス、セントルシア、セントマーチン、セントビンセント・グラナダ、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、米領バージン諸島
※ラテンアメリカ
アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ホンデュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ

■資金調達方法

1回にまとめて支給します。額は、編集局の規模や応募数によって異なります。

■選考方法

提案の一次選考は、上記の地域におけるデジタルパブリッシングとジャーナリズムに関する知識と経験を持つ弊社スタッフによって行われます。また、定評ある第三者機関と連携して、選考をさらに確認します。その後、応募者には電子メールで連絡があり、資金提供のオファーを受けた後、資金提供契約書に署名していただきます。資金を受け取るには、弊社が指定する支払いプロバイダーに登録する必要があります。

拙訳終わり。またやらないかなー。その時は速攻で訳しますね。


ロイター・ジャーナリズム研究所「一般的なニュースとソーシャルメディア上のニュースの間に広範な信頼のギャップが」 #報道

 

そりゃこんだけフェイク・ニュースが出回ったらって話でしょう。ロイター・ジャーナリズム研究所による新たな調査によりますと、ソーシャルメディアや検索エンジン、メッセージアプリで見るニュースは、一般的なニュースよりも信用されていない可能性が高いのだそうです。一方、グーグルで目にするニュースの方が信頼度の差は小さいのだとか。

英国のプレス・ガゼッテというメディア業界情報サイトが報じています(2022年9月22日付け)。以下、拙訳。

Data shows broad trust gap between news in general and news on social media(一般的なニュースとソーシャルメディア上のニュースの間には広範な信頼のギャップがある事を示すデータが)

September 22, 2022

新たな調査によると、ソーシャルメディアや検索エンジン、メッセージアプリで見るニュースは、一般的なニュースよりも信用されていない可能性が高い。一方、グーグルで目にするニュースの方が信頼度の差は小さい。

ジャーナリストに対する否定的な認識も広がっている。

22日に「信頼のギャップ:デジタルプラットフォーム上のニュースが一般的なニュースと比べて、どのように、そして何が原因でより懐疑的に見られるのか」というレポートで発表された調査結果は、ニュースの信頼性に注目したロイター・ジャーナリズム研究所の長期プロジェクトの最新のものである。

英国、アメリカ、ブラジル、インドの2000人を対象に実施されたこの調査では、ニュースに対する信頼と、デジタルプラットフォーム上のニュースに対する人々の考えの関係について調べることを目的としたものである。

オックスフォード大学のロイター・ジャーナリズム研究所によると、ここ数年でニュースへの信頼が低下しており、英国人の半分近く (46%) が、信頼の低下もあってニュースを読まないことが多いという。

自分が見た情報について人々がどう考えるかは、プラットフォーム、国、視聴者層によって異なるものの、この調査で調査した4カ国には一貫した 「信頼のギャップ」 があった。

英国では、ニュース全体とグーグルのニュースに対する信頼のレベルに差はほとんどなく、グーグルで見るニュースを信頼すると答えた人の割合は52%だったのに対し、ニュース全体を信頼すると答えた人の割合は53%だった。グーグルに続いて急落した―次に信頼されたニュースプラットフォームはYoutubeの33%だった。

一方、フェースブックは英国で最も信頼されていないプラットフォームの1つだ。目にするニュースを信頼すると答えた回答者は僅か27%。Twitterも同じ割合だった。これより低かったのはTikTok (20%) とInstagram (24%) だった。

■一般的なニュースよりもプラットフォーム上のニュースを信用する人は少ない

以下のプラットフォームのニュースを信頼すると答えた回答者の割合 (%)

923図1

アメリカでは、Googleは一般的にニュースよりも信頼されている―53%対49%。それ以外の点では、トレンドはイギリスと似ていたが、Whatsappはアメリカ人の中でTikTokと最も信頼されていない。

また、ニュースを得るためにプラットフォームを利用しない傾向のある人たち、例えば年配で教育水準が低く、政治的関心の低い人たちは、プラットフォームを最も信用していない事も調査でわかった。

この調査では、プラットフォーム上のニュースに対する信頼に年齢差があることも明らかになった。英国では、35歳未満のユーザーの少なくとも40%がニュースに関してインスタグラムとTikTokを信頼していると答えたのに対し、55歳以上でインスタグラムを信頼していると答えたのは6%、TikTokを信頼していると答えたのは3%だった。

■高齢者は、プラットフォームで見たニュースを信用していない可能性が高い

英国の35歳未満および55歳以上の回答者のうち、以下のプラットフォームのニュースを信頼していると答えた人の割合 (%)
923図2

この調査では、ニュース全般に対する信頼と、プラットフォーム上のニュースに対する信頼の間にも関連があることも分かった。

「ニュース一般とプラットフォームでは、繋がりを絶つ事に関して重複がある。ニュース全般をすでに信頼しているグループは、プラットフォーム上のニュースをさらに信頼する傾向がある。レポートの主執筆者であるカミラ・モントアルバーン博士は 「この事は報道機関が信頼性の低い人々と関わり合う上での課題となっている。そうしたつながりの断絶は、様々なメディア環境で続いているからだ」 と述べた。

昨年、ロイター・ジャーナリズム研究所がジャーナリストや配信元を対象に実施した一連のフォーカスグループで明らかになったのは、デジタルプラットフォームが世界中のニュースに対する信頼の低下につながっているのではないかと、業界関係者の多くが懸念しているという事だった。この発見は、オーディエンスを対象とした今回の最新の研究によって強化されている。

また、視聴者は特に政治に関するニュースに不信感を抱いている。

英国では、半数以上の人が一般のニュースを信頼しているのに対し、政治に関するニュースを信頼している人はわずか45%だった。政治的志向による違いもある。ボリス・ジョンソン前首相に好意的な人々の多くは、あらゆるプラットフォームでニュースを信頼している。このことは、英国の政治指導者を支持する人々が全般的に信頼を高めていることを反映している可能性があると、研究者らは述べた。

調査の回答者はまた、ジャーナリズムに対する否定的な批判が広がっているとしている。

■殆どの人がジャーナリストを否定的にとらえている

ジャーナリストを否定的に見る人の割合(%):

923図4

※左上から「政治目的に向けて大衆を操作しようとしている」「事実よりも目立つ事を優先させている」「報道が不注意もしくは杜撰」「金目的だ」

また、英国の回答者の半数以上 (51%) が、ジャーナリストは事実を報道する事よりも、注目を集める事を重視していると答えた。一方で、50%は、ジャーナリストは政治的な目的のために、人々を操作していると考えている。

ジャーナリストが自ら報告した情報を独自に検証したり、自分の意見がニュースを歪めないようにしたりする事に同意したのは40%以下だった。

この他、デジタルプラットフォームからニュースを得る際の主な問題として、多くの人が誤った情報やハラスメントを挙げている事も調査から判明した。英国とアメリカの回答者は、この点で特に問題があるとしてフェースブックを挙げ、英国の回答者の63%が偽情報や誤解を招く情報が大きな問題になっていると述べた。

プラットフォーム上のニュースに対する大半の人々の不信感にもかかわらず、全体的な回答者はソーシャルメディア、検索エンジン、メッセージングアプリの大半に肯定的な感情を持っていた。

グーグルを除けば、殆どの人がニュースや情報よりもエンターテイメントや人とのつながりを目的としてプラットフォームを利用しているという事実が、このことを説明しているとレポートは指摘している。フェースブックは2018年に入って、 「Facebook News」 イニシアチブから離れ、ユーザーのニュースフィードで友人や家族による投稿と 「クリエイター」 のコンテンツを優先すると述べた。

■グーグルは多くの人が情報を得るために利用するプラットフォーム

最新情報を入手するために各プラットフォームを使用していると答えた人の割合 (%)

923図5

プラットフォーム上で信頼出来るニュースと、そうでないニュースをよりよく区別するために何をすべきかについては、国や年齢によって回答が異なった。英国では、回答者の年齢が高いほど、IT企業、報道機関、政府に責任があると考える傾向が強かった。一方、若い回答者の方が、個人の自由だと答える傾向が強かった。

拙訳終わり。世代差があるのは、ワタクシメも何となく感じていましたが、やっぱりって感じですね。日本を対象としていないのが残念。やっていれば、ここにLINEとヤフーニュースが確実に入っていたろうな。

アメリカのポッドキャストで殺人事件の冤罪キャンペーン→被告の釈放に #ポッドキャスト


20年以上前に発生した失踪殺人事件の被告を巡り、アメリカでポッドキャストによる冤罪キャンペーンが展開され、このほど釈放と成りました。メディア業界情報サイトのポインターが、特集を組んでいるので拙訳してみましょう(2022年9月20日)。

Opinion | Did a podcast help vacate a murder conviction?(オピニオン|ポッドキャストは殺人の有罪判決を取り消すのに役立ったか?)

Adnan Syed’s case was chronicled in the first season of the popular podcast ‘Serial.’ Did the podcast help him get released from prison Monday?(アドナン・シードの事件は、人気ポッドキャスト「シリアル」の第1シーズンで紹介された。ポッドキャストは彼の月曜日の釈放に役立ったのだろうか?)

September 20, 2022
   
人気ポッドキャスト「シリアル」の第1シーズンで事件が取り上げられたアドナン・シード被告の殺人事件の有罪判決が覆り、20日に大きなニュースとなった。

現在、出獄中だ。

ポッドキャストは彼の釈放に役立ったのだろうか?

シードは、1999年にヘ・ミン・リーの殺人で有罪判決を受けた後、獄中で20年以上を過ごした。サイードは当初から無実を主張している。シードとリーはボルチモア近郊の高校の同級生で、失踪時には行ったり来たりする関係でした。彼女の絞殺体は数週間後、森林地帯で発見された。当時の検察は、シードがリーを殺したのは、他の誰かと付き合い始めたからだと推理していた。

ボルチモア市巡回区のメリッサ・M・フィン判事は、検察側の要請により、「公正と正義のために」(“in the interests of fairness and justice.”)有罪判決を取り消した。判事は、検察がシードに役立つ証拠を提出しなかっただけでなく、有罪判決に影響を与える可能性のある新しい証拠を採用した。その中には、代替となりうる2人の容疑者も含まれている。

ボルチモア市の州検察庁の判決審査部主任のベッキー・フェルドマンは裁判官に、「これがどれほど難しい事化は理解しているが、我々は正しい人物に責任を取らせるようにしなければならない」(“I understand how difficult this is, but we need to make sure we hold the correct person accountable.”)と述べた。

検察は今後、再審を求めるか、全ての起訴を取り下げるかを決断せねばならない。AP通信のブライアン・ウィッテは、「検察は、シードが無罪であると主張しているわけではないが、 『有罪判決の完全性』 への信頼を欠いており、シードを釈放もしくは保釈するよう勧告した。州の弁護士事務所は、もし動議が承認されれば、シードは事実上新たな裁判状態に置かれ、有罪判決を免れるだろうと述べていた」(Prosecutors said they weren’t asserting that Syed is innocent, but they lacked confidence ‘in the integrity of the conviction’ and recommended he be released on his own recognizance or bail. The state’s attorney’s office had said if the motion were granted it would effectively put Syed in a new trial status, vacating his convictions, while the case remained active.”)と記している。

では、ポッドキャストはどうだったのか?

ニューヨーク・タイムズのマイケル・レベンソンは、「 (シード) が公正な裁判を受けたかどうかについての...の質問は、広く注目を集めた。このポッドキャストは、2001年に不正行為の申し立てがある中で弁護士資格を剥奪され、2004年に死亡したシド氏の弁護士の特異性など、シード氏に対する訴訟の12話以上のエピソードを詳細に吟味する事によりポップカルチャー上の一大ブームとなった」(“… questions about whether (Syed) had received a fair trial drew widespread attention when ‘Serial’ debuted in 2014. The podcast became a pop-culture sensation with its detailed examination over 12 episodes of the case against Mr. Syed, including the peculiarities of his lawyer, who agreed to be disbarred amid complaints of wrongdoing in 2001 and died in 2004.”)と書いている。

一方、CNNのエリック・レヴェンソン、ローレン・コーニング、デイキン・アンドンは、19日の判決は、「...『シリアル』ポッドキャストが彼の事件を掘り下げ、有罪判決と彼の法的弁護について疑問を提起してから約8年後だ」(“… comes nearly eight years after the ‘Serial’ podcast dug into his case, raising questions about the conviction and his legal representation. In doing so, the podcast reached a huge audience and set off a true-crime podcasting boom as well as further examinations of the case, including the HBO docuseries ‘The Case Against Adnan Syed.’”)と指摘した。結果として、このポッドキャストは多くの視聴者に受け入れられ、実録ポッドキャスティングブームを巻き起こし、HBOのドキュメンタリー番組『アドナン・シード事件』など、この事件に関するさらなる検証が行われた」(“… comes nearly eight years after the ‘Serial’ podcast dug into his case, raising questions about the conviction and his legal representation. In doing so, the podcast reached a huge audience and set off a true-crime podcasting boom as well as further examinations of the case, including the HBO docuseries ‘The Case Against Adnan Syed.’”)としている。

ウィッテは、「この実録シリーズは、長年のラジオプロデューサーで元ボルチモアサン記者のサラ・ケーニグの発案で、1年以上かけてサイードの事件を掘り下げ、その結果を1時間のセグメントでほぼリアルタイムでレポートした。12話のポッドキャストはピーボディ賞を受賞し、ポッドキャストを幅広い層に普及させる上で大きな変化をもたらした」(“The true-crime series was the brainchild of longtime radio producer and former Baltimore Sun reporter Sarah Koenig, who spent more than a year digging into Syed’s case and reporting her findings in almost real-time in hour-long segments. The 12-episode podcast won a Peabody Award and was transformative in popularizing podcasts for a wide audience.”)と指摘する。

リーの弟、ヨン・リーは、取り消しの申し立てに「裏切られた」「目がくらんだ」と感じているという。彼はZoomで裁判所に、「これは自分にとって良いポッドキャストでは無い。20年以上に渡る終わりのない悪夢だ」(“This is not a podcast for me. This is real life — a never-ending nightmare for 20-plus years.”)と語った。

ヨンは、「捜査やその類に反対しているわけではない...姉を殺して自由の身になっている人がいるかもしれないのだろう。大変な事だ」(“not against investigation or anything of that sort … knowing that there could be someone out there free for killing my sister. It’s tough.”)。

ボルチモア市のマリリン・モスビー州検察官は月曜日、法廷の外で記者団に、ヨン・リーが裏切られたと感じる理由は理解できると語った。

「だが、私はまた、刑事司法制度の管理者として、平等と正義と公平を確保する事についての重要性を理解している」(“But I also understand the importance as the administer of the criminal justice system to ensure equality and justice and fairness,”)とモスビーは語った。「そこには被告の権利もある」(“That is entitled to the defendant, as well.”)。

一方、「シリアル」のTwitterアカウントは19日、同シリーズの新しいエピソードが今朝配信されるとTweetしている。

■CNNのシフトを支持する

シカゴ・トリビューン紙の論説委員会はCNNの方針変更を支持し、「CNNは核心に向かっているのか?それは私たちの民主主義にとって良い事である」(“CNN is hewing toward the center? That’s good for our democracy.”)と報じた。

委員会は、両論併記の危険性を認めながらも、「確かに、すべての問題に2つの側面がある訳では無く、特にドナルド・トランプ前大統領のおふざけとなると、殆どがそうだ」(“Granted, not every issue has two sides, especially when it comes to the antics of former President Donald Trump, but most of them do.”)と付け加えた。

委員会は更に、アメリカは全ての自国民が信頼できるニュースソースを必要としていると述べた。

ここで問題なのは、すべてのアメリカ人が十分合理的ではなく、真実のことを受け入れようとしない事だ。そして、2020年の大統領選挙や選挙の信憑性など、民主主義の根幹に関わることを受け入れようとしないのは、ごく一部の人たちだけではないのである。論説委員会が「ドナルド・トランプ前大統領のおふざけ」に簡単に触れてこの問題を締めくくるのは、過度に見下し、ここで本当に問題になっている事をほぼ全く包括していないように思われる。

NPRのテレビ評論家エリック・デガンズが、最近打ち切られた「信頼出来るソース」(Reliable Sources)の最終回で語ったように、「CNNは、ある政党の過激主義が別の政党の通常の機能不全と釣り合うような、ある種の偽りの同等性を設ける事をしないで欲しい。そう私は願っている。誰かが法を犯した時、誰かが規範を破った時、誰かが偏見やステレオタイプを公の議論に持ち込んだ時、我々は自由に声を上げる必要があるのだ」(“I hope that what we’re not going to see CNN do is institute some sort of false equivalence where the extremism of one party is balanced with the regular dysfunction of another party. We need to be free to call out when someone breaks the law, when someone breaks norms, when someone introduces prejudices and stereotypes to the public debate.”)。

トリビューン紙の社説は次のように締めくくられている。「CNNが、お互いが危険な代替現実の中で生きていると信じる国に、自らを適応させることができると期待するというのは、恐らくひどく楽観的である。しかし、 (ドン) レモンをフィーチャーした新しい全国朝の番組や、ポピー・ハーロウ、ホワイトハウス特派員長のケイトラン・コリンズなど、 (CNNの新CEOクリス) リヒトの革新的な取り組みの多くは、新しい変化をもたらしている。こうした変化は、事実を理解する前に紡ぎだすという、この国の拡大し続ける習慣に役立つかもしれない」(“Perhaps it’s Pollyannaish to hope that CNN can retrofit itself in a country where each political side believes the other is living in a kind of dangerous alternate reality. But many of (new CNN CEO Chris) Licht’s innovations, including the new national morning show featuring (Don) Lemon, Poppy Harlow, and chief White House correspondent Kaitlan Collins, are refreshing changes that might just help with this country’s ever-expanding habit of spinning the facts before digesting them.”)。

また、CNNには 「ネットワークがその本来の使命を放棄しているのではないかと心配している」(“worried that the network was abandoning its original mission statement.”)ジャーナリストもいる、と書いている。

社説はこれを正しく伝えている。そんな風に考えるのは余りにおめでたい。少なくとももう1つ、危険という言葉を付け加えておこう。ジャーナリズムにおいて公平性と完全性を追求し、 「ホットな発言」 を減らすことは、決して悪い考えではない。だが、それは双方を提示する事とは違う。時には、相手側の主張が嘘に基づいていたり、有害な意図を押し付けている場合は特に、相手側に発言権を与えるべきでは無い。

(文中敬称略)

拙訳終わり。ニュースレターで、後段はアメリカのメディアがハリケーン「フィオナ」のプエルトリコ襲来よりもエリザベス女王の葬儀に重きを置いた事を詰問する内容(業界内だけでなく、政治家からも苦言を呈されていました)でしたが、割愛。

実録ポッドキャストというのは可能性として有りだと言う事と、同時に両論併記式の報道が時として有害なのではないかとする問題提起、皆様は如何思われましたでしょうか? 日本でも冤罪と思われる事件が少なくありません。獄中の人を救い出すのに、何もオーソドックスな手段ばかりを使う必要は無いと、ワタクシメは感じ入りました。

※御賛同頂けるようであれば拡散お願いします。後、読者登録も宜しければ。




アメリカCBS、データ解析と調査報道を組み合わせたシリーズ配信 #調査報道 #データ・ジャーナリズム



棚卸しシリーズ。ネクストテレビというサイトの報道です(2021年6月30日付け)。

アメリカCBSニュースが、系列のCBSステーションズ、CBSニュース・ストリーミングなどと共同で、全米で殺人事件の解決率が確実に低下している理由を探るデータ主導の調査シリーズを開始しました。この主の試みは、CBSとして初めてだそうです。

「Crime Without Punishment(罰なき犯罪)」というタイトルで、CBSニュース調査部門と、1月に発足したCBSローカル・ニュース・イノベーションのコラボレーションもやるそうです。協力してデータを分析し、全てのプラットフォームで報道を促進するための情報を提供したのですって。

CBSニュースの社長兼共同責任者であるニーラジ・ケムラニ氏は、「CBSニュースとステーションズの合体によるフルパワーが発揮されている」(“The full power of a combined CBS News and Stations is on full display,”)と述べています。「この共同調査は、データ解析と調査報道を組み合わせた意欲的なものだ。我々の地元と全国のチームは、FBIのデータと、非営利団体殺人説明責任プロジェクトが収集した歴史的な検挙数を分析するために集った。その結果、全米の殺人事件における検挙数が50年来の低水準にあることが判明した。殺人の被害者が黒人の場合、その事件はさらに未解決になる可能性が高い」(“This collaborative investigation is an ambitious combination of data analysis and investigative reporting. Our local and national teams came together to analyze FBI data and historic arrest figures gathered by the nonprofit Murder Accountability Project. The results showed that arrests in murder cases across the U.S. are at a 50-year low. When a murder victim is Black, their case is even more likely to remain unsolved.”)。

この調査シリーズでは、CBSニュースの番組、14の市場におけるCBSステーションズのニュース番組、CBSニュース・ストリーミング、CBSニュースパス、CBSニュースラジオなどのプラットフォームで放送・配信されます。CBSニュースのチーフ調査員で全米上級担当記者であるジム・アクセルロッド氏がシリーズを主導しています。

なお、CBSは2021年4月にニュース部門と放送局部門を統合していました。

CBSニュースの社長兼共同責任者のウェンディ・マクマホン氏は、「今回の取り組みは、CBSニュースとCBSステーションズを一緒にして、ローカルから全米、海外を問わず、アメリカで最も優れたニュース組織を作るために、我々がどれだけ前進したかを強く示すものだ」(“This initiative is a strong indicator of how far we have come in bringing CBS News and CBS Stations together to create the finest local to national to global news organization in the country,”)と述べていました。「このプロジェクトで両チームが協力しているのを見るのは素晴らしいことで、今後もこのようなインパクトのあるコラボレーションを数多く生み出せると分かり、更に興奮している」(“It has been great to see our teams collaborating on this project and even more exciting to know that we can and will produce many more of these impactful collaborations going forward.”)。

さて、この「罪無き犯罪」は、CBSニュースとステーションズの犯罪に関する継続的な報道に基づいており、解決されない殺人事件の増加や、そうした増加がどのように地域社会に響いているかに焦点をあてています。

CBSニュースのシニア調査編集ディレクターであるマシュー・モスク氏は、「我々は、暴力犯罪の増加、大量殺戮、警察とコミュニティとの間の信頼の崩壊など、私たちの周りで起きていることの影響を理解しようと、このプロジェクトを開始した」(“We started this project to try and understand the ramifications of what we were seeing around us with the rise in violent crime, the mass shootings, the breakdown in trust between the police and the communities they serve,”)と述べています。「本プロジェクトは、今や我々の報道ルームのほぼ隅々にまで行き渡るものに成長しました。我々は、被害者の親族が実際にどのような影響を受けているかを理解したいと思った。殺人課の刑事と一緒になって、この傾向の理由を探った。そして、既に解決策を見出そうとしている専門家を見つけ出した」(“The project has now grown into something that touches nearly every corner of our newsroom. We wanted to understand the real-life consequences for the relatives of victims. We embedded with homicide detectives as they helped puzzle through the reasons for this trend. And we went in search of the experts who were already trying to find solutions.”)。

モスク氏によると、プロジェクトは3ヶ月ほど前から着手していたそうです。「犯罪に関する悪いニュースが絶えない」(“There’s been a steady clip of bad news about crime,”)ので、アメリカの都市における暴力の増加の背後にある要因の幾つかを詳しく考察してみたい」(“and we really want to try and take a closer look at some of the factors behind the increase in violence in American cities.”)との思いがあったのだそうです。

なお、CBSニュース・ストリーミングでは、30分間のCBSレポーツのドキュメンタリー「罪無き犯罪」「正義のための戦い」を6月30日に配信します。

CBSレポーツのシニア・エグゼクティブ・プロデューサー兼CBSニュース・ストリーミングのプログラミング開発担当上席副社長であるナンシー・レーン氏は、「CBSレポーツのフランチャイズは歴史的にアメリカ人の目に見えない問題の内側を撮影してきた。この新しい30分番組で、重要なストーリーを伝えるという伝統を受け継ぐ。このドキュメンタリーは、視聴者に、殺人事件の解決率の深刻な低下と、決して訪れない正義の痛みに個人的に影響を受けた人々の生の声を伝えるものだ」(“The CBS Reports franchise has historically taken Americans inside the unseen issues of the country, and we continue that tradition of telling important stories with this new half-hour documentary,”)と語っています。

なお、CBSの系列放送局には、WCBSニューヨーク、KCBSロサンゼルス、WBBMシカゴなどがあります。WCBSは、ニューヨークの事件解決率における人種間格差の問題を取り上げています。KCBSは、ある家庭で起きた2つの殺人事件が、どのような2つの異なる結果をもたらしたかを、データを用いて説明します。息子2人を殺人で失った母親にインタビューしています。1つのケースでは、正義は果たされた。WBBMは、誰も逮捕されなかったにもかかわらず犯罪が解決される「例外的な解決」と、それが引き起こす解決率と大幅に低い逮捕率との間の格差について調べています。

「CBSニュースとステーションズのリソースを組み合わせる事により、他の報道機関にはできない方法で、このような重要でこれまで語られなかったストーリーを報道出来る」(“The combined resources of CBS News and Stations allow us to report important and previously untold stories like this in a way no other news organization can,”)と、CBSステーションズのコンテンツ開発担当副社長のチャド・クロス氏は述べています。「重要な問題に全国的なスポットライトを当て、我々の放送局のチームとローカル・ニュース・イノベーション・ラボのデータジャーナリストが、我々が奉仕する地域社会全体で報道を推進するための多くの共同作業の最初の試みだ」(“This is the first of many joint efforts to put a national spotlight on a significant issue of concern and then have the teams at our Stations and data journalists at our Local News Innovation Lab advance our reporting across the local communities we serve.”)

ステーションズと全国ニュース部門は、過去にもマイアミ郊外のサーフサイドコンドミニアムの崩壊を報じるなどの協力体制を組んだ事があります。今回の新事業は、そうしたタッグを更に一歩も二歩も進めた格好。クロス氏は「深く掘り下げたデータ分析は、全ての報道が出来る幅のある事では無い。我々は、国や地域のレポーターがストーリーを伝えるのに役立つカスタムデータリサーチを提供していく」(“deep-dive data analysis is not something every newsroom has the bandwidth to do. We provide custom data research that helps [national and local reporters] tell their stories.”)。

ケムラニ氏は、それぞれのグループが、互いの長所を引き出すと述べています。「彼らの仕事は、ローカル、全国、ストリーミングなど、我々の全てのプラットフォームで紹介されるようになった」(“Their work is now being showcased on all our platforms–local, national and streaming,”)「これは、CBSニュースとステーションズは、そのために作られた」(“This is what CBS News and Stations is built for.”)。

より多くのデータ主導型のローカル/ナショナルな調査プロジェクトが続くとし、「我々はここに何かを掴んでいる」(“We’ve got a hold of something here,”)とモスク氏は語っています。「これは、ローカルと全国的な報道の下に本当に浸透していく手立てなのだ」(“It’s a way to really get underneath a story locally and nationally.” )

面白い試み。垣根やセクショナリズムを超えていますね。素晴らしい。日本のテレビ局も続いて欲しい。



「健康情報をもっと身近に気軽に」。米新興メディア・プリズムの挑戦 #メディア



アメリカ・ハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」の記事です(2022年7月6日午前10時10分投稿)。以下、拙訳。

Prism aims to make wellness stories more accessible, less cringe(Prismは、健康記事をもっと身近に、もっと気軽に楽しめるものにする事を目標に)。

“It’s not pictures of beautiful women doing handstands on surfboards.”(「サーフボードで逆立ちをする美女の写真では無い」)

By HANAA' TAMEEZ @hanaatameez July 6, 2022, 10:10 a.m.

インスタグラムのアルゴリズムは、私が何をクリックするか、何を買うか、何にサインアップするかを知り尽くしている。その事には、未だにゾッとさせられる。私のExploreページは、スキンケアに関する動画、可愛いネイルデザイン、面白いサラダやフレッシュフルーツジュースのレシピ、化粧品のレビュー、そしておそらく、健康とウェルネスに関するたくさんの無神経で間違った情報に溢れ、私の財布にとって危険な場所となっている。

私はワークライフバランスと、レポーターであることだけが人格的特徴ではないことを確認するためにかなり懸命に働いている。そのためか、私はプリズムのインスタグラム広告を受け取った。このメールニュースは、ウェルネス情報をより身近にすることと、「健康」(つまり、皆さんがそれをどう定義しようと)は不完全で非線形なプロセスであるという考えに焦点を合わせている。

そのマスコットは、パットという名の高いポニーテールをしたトロールのような円形だ。今まさに信じられないほど痛烈に感じられたので、私は当然、すぐに登録し、話をするために連絡を取った。

プリズムは、スタートアップへの投資、ブランドとのパートナーシップ、コンテンツを通じて、ウェルネスをより身近なものにするために活動するクリエイティブスタジオ、パラレルL.A.の製品です。(以前にも紹介したニュースサイト「プリズム」と混同しないように)。プリズムは編集面で他の会社から独立していると、リードパートナーの一人であるジョセリン・フローレンスは語った。パラレルからスタートアップ資金を受け取っている。

「我々は皆、健康情報をもっと身近なものにしたいという共通の関心を持っている」(“We all have this shared interest in making wellness more accessible,”)とフローレンスは言う。「健康情報のコンテンツが常に薬のように感じられるなら、食べるものにものすごく気を遣っているとか、毎日トレーニングしているとか、そういう自称をする人たちが中心になってしまうだろう。一方で、健康についていつも考えているわけではない人たちに健康情報を届けようとするならば、もう少しエンターテイメント性があり、少し批判的でなく、もう少しオープンマインドなコンテンツを作ることが重要となってくる」(“If wellness content always feels like medicine, you’ll get a core group of people who self-identify that they pay a ton of attention to what they eat, or they work out every day, etc. But if you’re trying to bring wellness to people who don’t necessarily always think about it, making content that’s a little bit more entertaining and a little bit less judgmental, a little bit more open-minded, is an important part of that.”)。

プリズムの美学は、デザイン的に非常に反美学的であるとフローレンスは言う。メールもイラストもカラフルで、でも圧倒されることはない。「サーフボードの上で逆立ちをしている美しい女性の写真では無い」(“It’s not pictures of beautiful women doing handstands on surfboards,”)とフローレンスは言う。個人的なエッセイは個人の健康体験に焦点を当て、報告書は気候変動のような集団的な健康に影響を与える問題を中心に書かれている。

プリズムは主にEメールで配信されるが、ZINEのように構成されている。フローレンスとゼネラル・マネージャーのエヴリン・クロウリーは、パッケージについて何度か試行錯誤を繰り返したが、最終的には「小包」としてデザインされたメール・ニュースレターに落ち着いたという。それぞれの小包は、特定のテーマに焦点を当て、多様な作家の記事や個人的なエッセイを集めている。

最初の小包は「The Reset」と題され、感情的、精神的、身体的に良くなることを中心に展開され、2021年5月に創刊された。青汁や高価なスキンケア、即効性のある体調改善商品を押し売りするような人はおらず、代わりにマリカ・ラオ、ジョン・ポール・ブラマー、アリシア・ケネディ、モーガン・ジャーキンスなどのライターによる思慮深く、親密な記事が掲載されています。また、全ての記事にオーディオバージョンが用意されている。

「我々は、寄稿者を慎重に選び、必ずしも健康問題の専門家であるとは言えない人たちを起用した」(“We have been really deliberate in choosing who our contributors are, tapping people who don’t necessarily brand themselves as wellness experts,”)「マリカ・ラオのTwitterのフォロワーは、必ずしも健康問題のコンテンツを求めているわけではないと思う。一方、仮にラオが健康問題に焦点を当てたプリズムにエッセイを書いたと投稿すれば、フォロワーはそこにアクセスするかもしれない。我々は、寄稿者が誰であるか、どのように関わってもらうかを戦略的に考えている」(“I don’t think Mallika Rao’s followers on Twitter are necessarily there for wellness content. But if she posted that she wrote an essay in this publication that’s focused on wellness, they might go to it. We think strategically about who our contributors are, how we’re engaging with them, and how we’re asking them to engage with their audiences.”)。

2つ目の特徴がある。「肉問題」だ。今日の複雑な肉消費、持続可能性、植物ベースの食事について書かれています。フードライター(ベジタリアン)のアリシア・ケネディがゲスト編集長を務め、肉料理における演技的な男らしさを掘り下げたエッセイや、肉のパッケージに貼られたラベルの本当の意味についてのガイドなど、多くの記事が常連となっている。この号は1ヶ月のシリーズで、週に2回ニュースレターが発行されます。読者がニュースレターを購読してから数日後に1ヶ月がスタートし、ニュースの更新というよりは、ニュースレター講座のようなものだ。

第1回の「編集者からの手紙」で、ケネディはこう書いている。
まず、私自身の食生活(私はベジタリアンだ)、そしてなぜ肉を食べる人たちを含むプロジェクトにサインしたのかについて、透明性を保つことから始めたい。それは、我々が健康やバランスをどのように求めるかは、個人的なものだと思うからだ。誰もが素晴らしい気分になれる万能の食事プランはありませんし、すべての人の文化的伝統、栄養ニーズ、地理的条件、収入に合う食事方法はひとつもないだろう。また、食肉産業が環境に与える影響や、気候変動に一役買っていることは否定出来ないが、私は、食肉産業が環境保護に貢献している事を知った。我々が健康やバランスをどのように求めるかは、個人的なものだと思うからだ。誰もが素晴らしい気分になれる万能の食事プランは無いし、全ての人の文化的伝統、栄養ニーズ、地理的条件、収入に合う食事方法はひとつも無いだろう。また、食肉産業が環境に与える影響や、気候変動の一因となっていることは否定出来ないが、誰もが明日からベジタリアンになると考えるのは非現実的であるとの考えに私は辿り着いた。

この4週間のシリーズで私がしたいことは、肉、植物性食品、気候変動、健康にまつわる問題を明らかにし、読者がより深く理解して自分自身の道を見つける手助けをする事にある。メディアには、正しい食べ方について多くのメッセージがあります。本書は、あらゆるレベルで持続可能な食生活を送るために、読者が自分の正しい道を見つける手助けをするをしたい。
だが、フローレンスとクロウリーは、作家が他のプラットフォームで作品を共有できるように、特別なリンクを用意していると語る。第3号が発行されたら、第2号の記事もウェブサイトに掲載する予定だと言う。

「我々はニュースレターを中核的な商品と考えているので、少し特別な感じがするだろう」(“We think of our newsletter as the central product, so we think it should feel a little special,”)とクロウリーは言います。「ニュースレターという形で新しいものを提供する前に、サイト上に複製されるのは、少し特別感に欠ける気がする」(“To have it replicated on the site before we have something new to give you in newsletter form feels a little less special.”)。

以前クォーツで働いていたフローレンスは、ソーシャルメディアや他のプラットフォームに頼るのではなく、オーガニックにオーディエンスを構築し維持することがいかに重要であるかを感じたという。クォーツはニュースレターでブランドを確立し、一般的に読者とより深く、より密接な関係を築くことができるようになりました。一方、プリズムの場合、ニュースレターという形式をとる事により、ウェブサイトへの誘導に力を入れるのではなく、読者に伝えたいことを伝える事に集中出来る。

プリズムの読者は既に、「睡眠に関する記事をもっと読みたい」という要望を寄せている。現在、3つ目の小包を作成中で、四半期ごとに発行するスケジュールになっている。また、ポッドキャストのリクエストも検討している。クロウリーは、ポッドキャストという形式は、健康についての対話を広げ、新しい声や視点を取り入れるというプリズムの全体的な使命に適していると述べている。

フローレンスは、パラレル社からのスタートアップ資金がある一方で、収益のためのさまざまな選択肢を模索していると言います。プリズムのウェブサイトには小さなグッズショップがあり、将来的には、Parallelの他のブランドのコンテンツ制作に協力できるかもしれません。また、明確にラベル付けされた倫理的な広告(例えば、プリズムの読者に割引コードを提供しているメンタルヘルスアプリ)、自社のライターによるイベントの開催、有料コミュニティ、スポンサー付きの小包なども考えている。目標は、主要なストーリーと小包を誰もが無料で楽しめるようにする事だという。

「元気になるのにお金がかかるようではいけないから」(“It shouldn’t cost you a lot of money to feel well,”)と、フローレンスは言う。

(文中敬称略)

「主要な報道機関は、保守派を亡き者にしようとするリベラルな団体の一部」とみなされているという米大学の研究。「保守派」を「ネトウヨ」に置き換えたら日本でも成り立つ図式では?



ウクライナ戦争や虐め問題などの紹介に目が行き、ちょっと気になる情報が溜まりすぎていたので、棚卸し的に紹介していきます。ハーバード大学のメディア研究所による表題のような記事がそれです。

以下、拙訳。

Conservatives’ mistrust of media is rooted in the feeling journalists want to ostracize them(保守派のメディアに対する不信感の根底には、ジャーナリストが自分たちを排斥しようとしているとの思いがある)

“Our interviewees view mainstream news outlets as part of a group of liberal institutions dedicated to making conservatives into pariahs. The misinformation often at the heart of conservative responses to Covid-19 is a symptom, rather than a cause, of this distrust.”(インタビューに答えてくれた人たちは、主要な報道機関を、保守派を亡き者にしようとするリベラルな機関の一部であると見なしている。新型コロナに対する保守派の反応の中心にはしばしば誤報があるが、これはこの不信感の原因というよりむしろ症状である)

By ANTHONY NADLER and DORON TAUSSIG April 19, 2022, 12:35 p.m.

保守系のポッドキャストにチャンネルを合わせたり、フェースブックの保守系のフィードをスクロールすると、「主流メディア」、「リベラルメディア」、あるいは単に「メディア」という用語に出会う可能性がある。

世論調査によると、保守派のメディアに対する信頼度は低い。しかも、低下し続けている。実際、アメリカの右派の多くは報道機関に敵対的だが、その理由や意味を理解しようとする研究は余り存在しない。

ジャーナリストや学者は、保守的なコミュニティに関する調査を、無礼で見下した態度で見る事がある。また、アメリカ政治への影響力が人口比よりも大きいグループに焦点を当てた研究は、余りにも褒めすぎと見なされる場合もある。

こうした反論は理解できる。しかし、政治メディアを研究する中で、保守派がジャーナリズムから疎外されている状況は、人々が情報を共有して自らを律するはずの社会で問題になっていると考えるに至った。同時に、どうしてそうなったかを探求する価値があると捉えている。

そこで、Towセンター・フォー・デジタル・ジャーナリズムから発表された研究論文向けに、我々と共同研究者のアンドレア・ウェンツェルとナタチャ・ヤズベックは、フィラデルフィア広域圏で保守派を自認する25人にフォーカスグループを設定し、個人インタビューを行なった(2020年9月から2021年5月の間)。質問は、コロナウイルスの大流行に関する報道に対する彼らの認識と感情に焦点を当てたものだった。

インタビューに答えてくれた人たちは、報道機関に対する反感を表明していた。一方、彼らが怒っているのは、メディアが事実を見誤る事でも、ジャーナリストがリベラルな政策課題を押しつける事でも無かった。アメリカの報道機関が保守派を非難し、辱め、排斥しているという、より深い信念に起因するものであった。

我々の調査は、こうした認識が現実に根ざしているかどうかを調べたわけではありません。ただ言えることは、このような意識は深く感じられ、例えば新型コロナのような重要な問題についてのメディア報道を、インタビュー対象者がどのように受け止めるかに影響を及ぼしているということである。

■社会から抹殺されるのではないか

インタビュー対象者は、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNN、ネットワークニュースなどの主流メディアを "リベラル "と表現した。彼らにとっての「リベラル」とは、一般に伝統的なアメリカ文化、とりわけ保守派に対する侮蔑であった。

ある大学生は、MAGAハット(訳注:トランプ前大統領のスローガンの略称を書いた防止)を被ってZoomに参加し、主流メディアで保守派は「基本的に追放者、野蛮人とみなされている」(“basically seen now as the outcasts, the savages.”)と言った。また、小売店の店長として働く別のインタビュー対象者は、保守派に対するメディアの態度の例として、2021年1月6日以降の政治評論家キース・オルバーマンによる「暴言」と称する発言を挙げた。取材対象者はこれを、「全てのトランプ支持者とその周囲の人たちを社会から追放する必要がある」(“all Trump supporters and those around him need to be expunged from our society.”)というメッセージだと特徴づけた。

我々が取材した人たちは、この排斥が今まさに起こっていると発言していた。大学生は、報復や恥をかくのを恐れて、職場や授業で自分の意見を述べる事が出来なかったという。

自らを「ミレニアル世代の保守派」と称する不動産業者は、政治的な意見の相違が原因で、旧友からフェースブックでのフォローを外されたことがあると語った。

「フェースブック上で政治発言した際、『さぁ行こう。一日の終わりまでに失ったフレンドを数えたら10人だった』という気持ちにさせられた」(“When I get going, politically, on my Facebook, I’m like, ‘Here I go, I’m calculating 10 [lost friends] by the end of the day.'”)と言う。

彼女は、彼女の人生の中でリベラル派から感じていた「寛容さ」のレベルは「間違いなく減少している...言うなれば『あんたとはやってられない』と思ったのだろう」(“has definitely dwindled…I’m just seeing, ‘Okay, I’m just done with dealing with people like you.'”)と続けた。

■完全に誇張表現されている

インタビュー対象者が語るように、新型コロナのパンデミックに関するメディア報道は、主に保守派とドナルド・トランプ大統領をウイルスの犠牲者のせいにされてきた。インタビュー対象者は、メディアが問題を誇張し、トランプの政策と保守派の不屈の精神が、新型コロナがアメリカ人に与えた死と苦しみの多くに責任があることを示唆していると非難しました。

大半のインタビュー対象者は、新型コロナの脅威を完全に否定していた訳ではない。その一方で、ジャーナリストはその危険性が弱いグループに限定されている事を隠蔽していると考えている。そして、そうしたジャーナリストたちは、否定的な統計に終始し、ロックダウン対策が経済に与える影響を軽視していると見なしている。

ガソリンスタンドを経営していた退職者は、「彼らがやっているのは、実は特定の人たちに罪を着せている事に他ならない」(“What they’re doing is actually laying guilt on certain people,”)と言った。ある大学生は、「私が彼らから聞いている唯一の本当の事実は、死者の数だけだ」(“The only real fact I’m hearing from them is the death toll…then they go off on how bad Trump is.”)

何人かのインタビューで判明したのは、2020年夏のジョージ・フロイド殺害事件後の抗議デモに際して、ウイルスを懸念するメディア報道が無かったのは、ジャーナリストの新型コロナへの懸念は誠実さが無い証拠を示したものだと考えている事だった。

「暴動発生時に、マスクをしていない集団がいたが、これもまたマイナスイメージとして強調されることはありませんでした。その一方で、プールパーティやビーチでマスクをしていない人たちがいると、完全に大げさに取り上げられていた」(“When we have the riots that were occurring, we had those groups that were not wearing masks, and again that wasn’t exactly emphasized as a negative, but when you have pool parties or people at beaches who weren’t wearing masks, it was completely overdramatized,” )と、ある大学講師は答えていた。

新型コロナはトランプにダメージを与えるために誇張されたものだという彼らの認識は、我々には反証と思えるものにも耐えうるほど強力だった。我々はインタビューに答えてくれた人々に、ジョー・バイデンが大統領に就任した後も、なぜマスコミが同様の熱狂をもって新型コロナについて警鐘を鳴らし続けたのか、と質問した。あるインタビューに答えてくれた人は、自分が困惑していることを認めた。

「知りたいものだ」(“I wish I knew,”)と彼は言った。「究極の疑問だが、答えがない。統計的に、合法的に、あのシナリオを維持する理由が実質的に見当たらない」(“That’s the ultimate question I don’t have an answer for. There’s no reason that I can see, statistically, legitimately, factually, for keeping up that narrative now.”)。

この25人の意見がどの程度代表的なものであるか、あるいはそうでないかを述べるのは不可能だ。しかし、反保守的な敵意という一般的な概念や、新型コロナはトランプを傷つけるために誇張されたという特定のストーリーラインなど、保守系メディアの主要なテーマと一致している。

■新しいストーリーを語る

2016年の選挙以来、一部の大手メディアにとって、保守派との繋がりを深める事が目標になっている。

ジャーナリストは、厳密な正確さや目立つ公平性で信頼を勝ち取れると想像したくなるものである。しかし、我々との会話から、これらの手段だけでは態度を変えるには十分でない事が窺えた。保守派の政治家や評論家が長年に渡って働きかけてきた事もあって、保守派の多くはジャーナリストの動機に深く懐疑的である。

インタビューに答えてくれた人たちは、主要な報道機関を、保守派を亡き者にしようとするリベラルな団体の一部とみなしているのだ。新型コロナに対する保守派の反応の中核をなす誤報は、こうした不信感の原因ではなく、むしろ症状なのである。

この状況を改善する可能性があるとすれば、ジャーナリストは、プロのニュースメディアが保守派やそのコミュニティを蔑視しているとする、こうした感情的に強い思いに挑戦する戦略を開発する必要があるだろう。ジャーナリストは保守派の疎外感を自分たちのせいだと思うかもしれないし、思わないかもしれない。だが、仮に彼らの目標が広く一般大衆に情報を提供するというものであれば、それをより多くの大衆に納得させる必要があるだろう。

(文中敬称略)

拙訳終わり。「リベラル」を「パヨク」に置き換えると、この図式はいよいよ当てはまりそうですね。ともあれ、考えさせられました。特に新型コロナとか、戦争の可能性といった地域全体の問題では、自分達に反対する考えの人達にも訴求させていかないと非常に危険です。一方で、所謂クラスターへの懸念をあらゆる場所で表明していなかったのなら、それって御都合主義と言われても仕方無いでしょう。

色んな意味で、メディアに自省が求められている。そんな思いにかられましたが、皆様は如何でしょうか。

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「打ちのめされた人の再起の物語は自殺率の低下に繋がっているかもしれない。そういう話をメディアでもっと紹介していくべきでは」とハーバード大学が指摘



考えさせられた話。メディア関係者に問題提起する意味で紹介します。アメリカのハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」が「打ちのめされた人が再び起ち上がるという話は自殺率の低下に寄与する可能性がある」とのオーストリアの専門家の見解を紹介し「だったらメディアはもっと載せようよ」と主張しています(2022年4月4日午後2時7分投稿)。

以下、拙訳。

Stories of resilience may be linked to lower suicide rates. Will media organizations listen?(人が再起するという話の紹介は、自殺率の低下に繋がるかもしれない。報道機関は耳を傾けるか?)

“We’re asking [media organizations] to not talk about the emotional appeal of the story, which is what good journalism often does.”(『我々は報道機関に、優れたジャーナリズムがしばしば行うような、感情的な魅力について語らないよう求めている』)

By CHRISTINA COUCH April 4, 2022, 2:07 p.m.


2020年、トーマス・ニーダークローテンターラーが初めてラッパーのロジックを耳にしたとき、耳が釘付けになった。自殺寸前までいった人が最終的に助けを得て一命を取り留める様子を描くという内容の「1-800-273-8255」(全米自殺防止ライフラインの電話番号)というタイトルの曲が発表されてから3年が経っていた。この曲は、ビルボードやストリーミング・チャートで人気が上昇し、やがて消えていったものの、ニーダークロテンターラーにとっては、有名人の自殺死の話と同じくらい世間の注目を集めた自殺についてのサバイバル・ストーリーともいうべきレアな物語だった。
ニーダークロテンターラーは、オーストリアのウィーン医科大学のメンタルヘルスと自殺予防の研究者で、メディアが自殺率に及ぼす影響について数十年にも渡り研究してきた。昨年末にBritish Medical Journalに発表された研究で、ニーダークローテンターラーのチームは、ロジックの曲を取り巻く3つの大きな宣伝イベント(2017年のMTVビデオミュージック賞と2018年のグラミー賞でのリリースとライブパフォーマンス)を選び、こうしたイベントが世間の注目を強く集めた34日間に於けるアメリカでの自殺率、全米自殺防止ライフラインへの毎日の電話、ソーシャルメディアの投稿を追跡調査した。

その結果、この曲は、曲と対応するビデオのリリース後に他の危機管理ホットラインセンターから報告された逸話的な現象である通報数の急増に繋がったばかりか、全米の自殺率を5.5%減らすという結果に関連している事が判明した。これは観察研究であり、因果関係を証明する事は出来ない、だが、自殺による死や自殺願望の克服に関する物語が現実に影響を及ぼす事を示す、更なる証拠になるとニーダークロテンザーは述べている。

「どんな地域でも、どんな家族でも、どんな環境でも、希望や回復の物語がある。だが、メディアには余り出て来ない」(“In any community, in any family, in any setting, you have stories of hope and recovery, but you don’t have them so much in the media,”)とニーダークロテンザー。「これは本当に問題で、何をニュースとして扱うかという問題に帰着すると思う」(“That’s a real problem, and I think it gets down to the question of what is considered newsworthy.”)。

自殺や自殺念慮に関する記事を扱うメディア制作者にとって、こうした物語の言語やフレーミングが深刻な影響を及ぼす事を、多数の科学的文献が示している。研究者達は「ウェルテル効果」(Werther effect)と呼んでいるこの現象を裏付けている100以上の研究が存在するほどだ。有名人の自殺による死が広く報道された後に、現実の自殺率が上昇する現象である。例えば、コロンビア大学の研究者によると、ロビン・ウィリアムズの死後数ヶ月の間に、全米の自殺率が10%近く上昇し、30歳から44歳の男性で最も高くなったと指摘している。一方、ケイト・スペードやアンソニー・ボーデイン、世界中の政治家や芸能人の死後も同様の傾向があり、有名人と同じ年齢層や性別、同じ自殺方法のケースでより大きな上昇が見られた。

しかし、その逆もまた真なりであることを示唆する研究が増えている。生存の物語にはポジティブな伝染効果があり、現実の自殺リスクを低減する可能性があるのだ。パパゲーノ効果」(Papageno effect)と呼ばれるこの効果は、モーツァルトの「魔笛」の主人公が自殺を考えながらも最終的には別の道を歩む事に因む。サバイバルストーリーの保護的側面は、メディア制作者が自殺に関わるストーリーを慎重に扱うことがいかに重要であるかを更に際立たせると、2010年に「パパゲーノ効果」という言葉を生み出したニーダークロテンサーラーは述べている。

「自殺したいという思いや感情は、アメリカだけでなくヨーロッパの人々にも非常に良く見られるという強力な証拠がある」(“There is actually very strong evidence that suicidal thoughts and feelings are very prevalent in the U.S. population, but also in European populations,”)と彼は言い、こうした思いは自殺未遂よりも遙かに一般的であると付け加えている。「これは回復と希望と回復力であり、どこにでもある。メディアがそういった話を取り上げ、特集を組む事が本当に重要だ」(“That is recovery and hope and resilience, and it’s everywhere. It’s really important for media to pick up those stories and to feature them.”)


世界保健機関(WHO)を始めとする、幾つもの自殺防止団体や公衆衛生団体が、自殺を取り上げる際のガイドラインを提示している。非営利団体SAVE(Suicide Awareness Voices of Education)が運営するウェブサイトReportingonsuicide.orgは、「自殺に関するメディア報道のためのアメリカに於ける最良の実践」を公開している。この中には、自殺を公衆衛生問題として捉え、悲しむ家族の画像や自殺とヒロイズムを結びつける言葉を掲載しないこ事や、読者が自ら助けを得る方法に関する情報を含める事などが盛り込まれている(全リストはこちらで閲覧可能だ)。

SAVEのエグゼクティブディレクターで、ジャーナリスト向けワークショップを運営するメディアトレーナーのダン・ライデンバーグは、個々の記者がこうした実践を行う事はあるが、組織全体で広く実施されているわけではないと述べています。2011年にこの勧告が発表されて以来、「例えば、記事の中で『自殺した』という言葉を使わないなど、言葉遣いに多少の変化は見られるものの、大きな変化は無い」(“there’s been some change in language, for example, not using the word ‘committed’ suicide in stories, but not significantly,”)と、言う。(ただし、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストをざっと検索したところ、どちらも2018年以降、このフレーズを使った見出しを含む記事を複数掲載している事が分かった)。「まだ、多くの(ジャーナリストが)死亡方法や場所を含めた記事が見受けられる。ストーリーやナラティブにセンセーショナリズムが多くある」(“We still see a lot of [journalists] including the method or the location of death. We see a lot of sensationalism in the stories and the narratives.”)

世界中の研究によって、自殺を報道するためのメディアのガイドラインがしばしば守られていない事が確認されています。スタンフォード大学精神・行動科学科のプログラムで、メディアがメンタルヘルス全体に与える影響を改善することを目的とした「メディアとメンタルヘルス・イニシアティブ」のリーダー、ヴィッキー・ハリソンとソン・キムは、ガイドラインがある意味でジャーナリストの訓練と矛盾しているからだと言う。

「我々は、優れたジャーナリズムがしばしば行うような、ストーリーの感情的な魅力について話さないよう求めている」(“We’re asking them to not talk about the emotional appeal of the story, which is what good journalism often does,”)とハリソンは説明する。自殺を報道する場合、現場の描写や自殺の原因に関する憶測などの詳細は危険である。「ガイドラインに従うには、ジャーナリストの本能に逆らう必要があるのです」(“It really takes a journalist going against those instincts in order to follow the guidelines,”)と言う。ハリソンとソングは、元ミスUSAでテレビ司会者のチェスリー・クリストの死に関するワシントン・ポスト紙とニューヨーク・デイリー・ニュース紙の記事を、自殺による死を複雑に描き、精神衛生と自殺に関する認識と偏見を減らすための会話を増やした例として挙げている。




一方、報道機関は方法についてのトレーニングを提供しない事が多く、適切な記事のスコープを設定し、情報源に再びトラウマを与えずにインタビューや事実確認の電話を乗り切るためのシステムを作ることは、個々のジャーナリストに委ねられている。

ミルウォーキー・ジャーナル・センチネル紙の教育問題担当記者であるロリー・リネーンは、2016年から若者の精神衛生問題を取材し、10代の自殺事例を幅広く報道していきた。長年の経験から、情報源との信頼関係を築くのに時間をかけ、記録に残す事で起こりうる影響を理解させることを学びました。現在、(保護者の同意を得て)未成年にインタビューする際には、自分の話をする準備が出来ているかどうか、メディアに話すことが良いアイデアかどうか、カウンセラーやセラピストに相談したかどうかを尋ねるように注意しています。また、自分の体験談がネット上に掲載されることによる長期的な影響について考えた事があるかどうかも聞いている。

「これは永遠にインターネット上に存在する可能性があります。求人に応募すると、それを検索される可能性がある」(“This could be on the internet forever. When you apply for a job, people can search for it,”)とリネーンは言う。「特に若い人たちには、そういうことも含めて話し合うことが大切なのだ」(“Especially with young people, it’s important to talk through all of that.”)。

リネーンはは、自殺の話には文脈の整理が必要だとも言います。サバイバル・ストーリーや、自殺指向は自殺による死よりも遙かに一般的であるという情報に加えて、自殺率の高い社会的に疎外された層のメンタルヘルスに影響を与える社会的要因を強調する事が、読者がこの問題の全体像を把握するために極めて重要だとしている。




「LGBT[Q]の生徒や有色人種の生徒は、自殺の割合が高い。その事を話す際には、彼らが学校で差別を受けている事や、本人らに合わせたサービスがないことが原因だと言うようにしよう」(“LGBT[Q] students and students of color have higher rates of suicide. When you talk about that, make sure to say that it’s because they’re facing discrimination at school and they don’t have services that are tailored to them,”)と指摘する。「LGBTQの若者は、学校でサポートを受けていると、精神的な問題が少ない事が研究で明らかになっている。それを支援するプログラムについて話して欲しい」(“LGBTQ youth are shown in studies to have fewer mental health challenges when they’re supported at school. Talk about the programs that help with that.”)

NPRの健康特派員でメンタルヘルスを担当しているリトゥ・チャタジーは、これまでメディアで話した事の無い情報源に、可能な限り主体性を持たせる事を重視している。出来るだけ、事前にトラウマを経験した情報源と複数回のインタビューを行う計画を立て、最初のインタビューを録音する代わりに、メモを取り、その時間を使って信頼関係を築き、情報源がメディアに話す事に同意した理由を理解し、情報源が何を話すことに抵抗がないかを感じ取り、仮に本人が不快になったり個人情報を記録したくはないと判断したら、その思いを尊重する事を伝えるようにしている。

「また、トラウマに対処するためにしていることについても尋ねる事にしている。何時も、どうしているのか質問する」(“I also ask them about things they’re doing to cope with the trauma. I always ask them how they’re doing,”)とチャタジー。「相手はジャーナリストの人間性を評価するのだ」(“People really appreciate just some level of humanity from a journalist.”)。


科学記者としてキャリアをスタートさせたばかりのアンドリュー・マイセンは、自身の精神的な苦痛を告白し、人間性示すことは、単に黙っている場合を意味する事があるとしている。 また、インタビューがストーリーでどのように使用されるか、または使用されないかについての明確な情報を事前に提供し、情報源の告白が貴重だと知らせる事も意味するという。マイセンは、自殺願望を抱く人には、孤独感や重荷と思われる事への恐怖がつきものであると指摘する。そのような場合、ジャーナリストは情報源に耳を傾け、時間を大切にしているという安心感を与えて、不安を和らげる事が出来るとしている。

「人々が安心出来るようにする事が
一番大切なのだ」(“The main thing is you want people to feel safe,”)と、マイセンは言う。

3人は、このような良心的な報道には時間がかかり、編集者はしばしば、最初の記事よりも正しい記事である事を重視する必要があると指摘する。ジャーナリストがベストプラクティスを実践するためのツールもある。スタンフォード大学のチームがサンタクララの自殺防止プログラムと共同で開発した無料ツール「TEMPOS」は、編集者やジャーナリストが記事のニュアンスや感受性を適切に評価するチェックリストと自己評価尺度を提供している。また、SAVEの無料オンラインニュースアプリは、記事の原稿に自殺にスティグマを与えたり非難したり、読者に微妙な内容を伝えるような言葉がないかスキャンし、記事を裁量の実践に沿って保つ上での提案を行っている。

自殺の危険因子と予防について研究しているロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのアレクサンドラ・ピットマン准教授は、ツールやガイドラインは、メディア機関が使用して初めて効果を発揮すると指摘する。ガイドラインを遵守し、模範となるような仕事をした人には、そうでない人を罰するのではなく、報酬を与えるというポジティブなアプローチで、個々のメディア制作者を取り込むことは容易であるという研究結果もあります。しかし、広範な変化をもたらすには、メディアのリーダーが、自分たちが委託するコンテンツがベストプラクティスに従っていることを確認する必要がある、としている。

「メディアがガイドラインに従うことを明確にすることで、そこで働くジャーナリストはガイドラインを守り、最終的に命を救う事が出来るのだ」(“It really does require media organizations leading from the top,” she says, “[making it clear] that they will follow media guidelines so that the journalists working for them are more likely to adhere and, ultimately, end up saving lives.”)

もし皆さん自身や皆さんの知り合いが精神衛生上の問題や自殺願望に苦しんでいるのなら、24時間体制でNational Suicide Prevention Lifeline(全米自殺防止ライフライン)1-800-273-8255、Veterans Crisis Line and Military Crisis Line(1-800-273-8255) 、Crisis Text Line(危機テキストライン)741741に「こんにちは」とテキストして利用する事が可能だ。

Christina Couchはフリーランスの科学ジャーナリストで、MITのGraduate Program in Science Writingの専門家育成イニシアティブの責任者である。ニューヨークタイムズ、NOVA、Wired、Vogue.comで記事を執筆している。
拙訳終わり。YouTubeのUJ世界はラブソングでできている というチャンネルで和訳付きで紹介されています。






アメリカでは自殺報道で色んな研究や対策を講じているのですね。初めて知りました。確かに、自殺者が自殺者を生んでしまうというのは良くないし、周りから自殺者が出てしまった事で精神的なショックを受けた人の気持ちを察しないといけないという指摘はごもっともです。酷い取材をする事で報道機関としての評判を傷つけてしまうリスクもある。一考に値する問題的でした。


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ゼレンスキー大統領の「ディープ・フェイク」〔要するに巧妙な偽者のCG)がフェースブック上に出回っててんて #ウクライナ #ディープ・フェイク



「やっぱりなぁ」って感じのニュースが。アメリカの「ザ・バージ」というIT情報サイトによりますと、フェースブック上でウクライナのゼレンスキー大統領の偽者をCG合成して嘘八百言わせているディープ・フェイク映像が出回り、削除されたそうです。
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ハーバード大学のメディア研究所が、今回のウクライナ侵攻で抑えておきたいソースを紹介しています #ウクライナ侵攻 #メディア

玉石混淆で、偽情報も多い今回のウクライナ新興報道ですが、アメリカのハーバード大学のジャーナリズム研究所のニーマン・ラボはんが、抑えておきたいソースをリスト化してはります。
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アメリカのCBSNがCBSニュース・ストリーミング・ネットワークに社名を変え、新しいオリジナル番組を配信して行くそうです

FireShot Capture 302

アメリカのCBSNがCBSニュース・ストリーミング・ネットワークに社名を変え、新しいオリジナル番組を配信して行くそうです。

アドウィークはんの「まとめ」を見ていきましょう(2022年1月25日午前8時投稿)。

※社名を変えて、新しいオリジナル番組の数々、組織全体から選ばれたアンカーや記者による編成を売り物とし、ニューヨークのCBS放送センターにある新しい最新鋭のスタジオから発信していく計画だそうです(TVNewser)

※CBSイブニングニュースのアンカーであるノラ・オドネル氏とCBSモーニングの共同司会者であるゲイル・キング氏が出演するオリジナル番組が配信されます。オドネル氏は伝説のCBSジャーナリストとして名高いエドワード・R・マローによるインタビュー番組「人から人へ」(Person to Person)を復活させ、司会を務めます。一方、キング氏は、CBSが1960年代と70年代の全盛期に放送していたドキュメンタリーにちなんだ長編ニュース番組「CBSレポーツ」の前振り役をするそうです(LA Times / Company Town)

※なお、お二方は今春に契約が切れるとの噂があり、処遇について幾つもの憶測が飛び交っていた中での発表となりました。ちなみに、CNNは先週、キング氏が契約を更新する事を決めたと報じていました(Deadline)

※気になる中身ですが、毎日ライブのニュースキャストを放送する予定を建てています。CBSモーニングスの共同司会者であるトニー・ドコウピル(Tony Dokoupil)氏が、ウラジミール・デゥシーアズ(Vladimir Duthiers)、アン・マリー・グリーン(Anne-Marie Green)、タニヤ・リベロ(Tanya Rivero)、ラナ・ザク(Lana Zak)、エレーヌ・クイジャノ(Elaine Quijano)の各氏と一緒に毎日のニュースキャストを担当する他、マイケル・ミラー(Michelle Miller) 、ジェフ・グロー(Jeff Glor)、ダナ・ジャコブソン(Dana Jacobson)、ジェリカ・ダンカン(Jericka Duncan)の各氏も出演する予定です。また、ネットワークの担当記者も番組に出演していくとの事です(TheWrap)

※この他「60ミニュッツ」、「48アワーズ」、「CBSサンデー・モーニング」、「マーガレット・ブレナンと共に国を直撃」「ノラ・オドネルのCBSイブニング・ニュース」、「CBSモーニングス」。「CBSサタデー・モーニング」 といったネットワークニュース番組のコンテンツやCBS Miamiを現在の13ローカルストリームラインナップに追加していくそうです(TVSpy)

有料ケーブルからストリーミングに確実に舵を切りつつありますね。興味深い。・・・もう、放送の時代やないんですよね(ポツリ)。

「ニュースに対する信頼を高めるための努力は数え切れないほどある。しかし、既存の読者や購読者だけでなく、真に懐疑的な人々にまでアプローチしている事例は殆ど無い」 


年始に読んだのですが、ちょっとハードかなと思えたので紹介を躊躇してしまいました。でも良うないなと思い直しました。

「既存の報道機関は、真に懐疑的な人々にまで『いや実際、こうなんですわ』と自分達の調べた内容を上手に知らせてへんがな」との指摘を、アメリカのメディア分析サイトのポインターがしています。問題提起と言い直すべきかな。
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ワシントン・ポスト「さぁ今から報じまくりまっせ」とニュースレターで宣言。いろいろ考えさせられました #ニュースレター #予告

有料購読しているワシントン・ポストはんが、こんなニュースレターを。
今度こそ
ざっと、こんな事が書かれております。
Global investigation: Spyware used to hack cellphones of journalists
and activists worldwide(世界規模の調査。スパイウェアが世界中のジャーナリストや活動家の携帯電話のハッキングに使用されていた)


購読者の皆様

本日、我々は世界中の報道機関と協力して、
50カ国以上の人権活動家、企業経営者、国家元首、王室、政府関係者、政治家、ジャーナリストらに対してスパイウェアが使われていた事についての重要な記事を配信いたします。

デジタルによる監視が我々の社会に浸透しております。その
新しい技術は、これまでに無い程の規模で我々の日常生活のあらゆる状況を追跡出来るようになりました。悪用の危険性はかつてないほど高まっています。殆どの国では、政府などに監視テクノロジーを販売する民間企業を規制する有効なルールや基準がありません。

だからこそ、我々は「ペガサス・プロジェクト」に参加し、
懸命の努力をしています。今回の共同調査では、スパイウェア「ペガサス」に焦点を当てます。このスパイウェアは、一般市民ではなく、麻薬の売人、テロリスト、小児性愛者などの犯罪者を対象としたソフトウェアです。

本調査に当たっては、共有すべき情報が非常に多いため、
簡潔に分けながら配信していきます。最初の記事では、我々が突き止めた追跡の規模を紹介します。世界的な範囲でした。また、本日公開された他の記事に於いては、テクノロジーの複雑さについての疑問に答えながら、誰がターゲットになっているのかをより詳しく知る事が出来ます。

調査には、ワシントン・ポストなど世界17の報道機関から80名以上のジャーナリストが参加しています。
数ヶ月かけて4大陸で取材とインタビューを行いました。なお、本プロジェクトは、パリを拠点とするジャーナリズムNPO「禁断の記事」(Forbidden Stories)が発案したもので、人権団体のアムネスティ・インターナショナルとともに、取材の基礎となる記録を閲覧した賜物です。

拙訳終わり。その取材結果は軍事用スパイウェア、ジャーナリストや人権活動家のスマートフォンをハッキング。しかも世界規模で被害者数百人 #ハッキングをお読み頂ければ概要が分かりますが、このニュースレターの口上に違わぬ衝撃度です。

ワタクシメは全国紙その他の国内報道機関のニュースレターを受け取っておりますが「あ、こういうデッカイ話の予告ホームランが無いな」と気づかされました。記者が足を使い、汗をかきながら掴んだ大ネタなら、ボッカーンと大きく予告したらエエのでは。こういうワシントン・ポストはんの姿勢には学べるモンがあると思いますが、如何でせう。

アメリカのフォックス・ビジネス、5月は記録的アクセスに #メディア

フォックスといえば、トランプ大統領ベッタリな報道姿勢で各方面の顰蹙を買っていた事が記憶に新しいですが、系列のフォックス・ビジネスという経済サイトは目下絶好調の模様。5月のアクセスは記録的な数字だったそうです。

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アメリカの著名経済メディアの編集主幹はんが、「記事は600語までで頼むで」 #メディア

アメリカの著名経済メディアの編集主幹はんが、「記事は600語までで頼むで」と言うてはります。


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技ありなNYTはんのウェブ企画 #新型コロナウィルス

技ありやな〜と、思わず唸ってしまうニューヨーク・タイムズはんのウェブ特集ですわ。皆さん御存知でっか? スクリーン・ショットにして引用させてもらいま。

何人待ちやねん

アメリカでファイザー社が開発し、一刻も早く多くの人達への接種が望まれている新型ウィルスのワクチンですが、では実際に打つとなると、何時頃になるのか?

どのぐらい待たされるのか?

これって、アメリカの人にしたら切迫した話ですよね。

そこでNYTはんがリリースしたのが、この企画。街の名前などを入力したら「貴方は大体で××人目で接種できまっせ」という待ち時間表示をしてくれるんですわ。

有り難い企画ですよね。同紙にしたら、下手したら死んでしまう新型ウィルスは、潜在的な有料会員や既に有料会員となっている人達を減らしてしまうリスクの高い代物。「死んだら講読してくれへんし」と判断してのリリースなんやろな。

日本でも、どこかの社がやらへんもんかな。あれば皆が喜ぶと思うけど。

ロイターは如何にして人工知能を活用しようとしているか #人工知能 #AI #ジャーナリズム

ロイター人工知能
ロイター通信が、如何に人工知能を活用しているかについて、同社の役員が語っています。続きを読む

英国の保守系新聞「テレグラフ」紙が、「You Are Not Alone」(貴方は独りじゃないんですよ)というニュースレターの配信開始 #新型ウィルス #コロナウィルス #課金

202048428TG
英国のテレグラフという新聞が、このほど新型ウィルスの流行に対応し、You Are Not Aloneというニュースレターを発行し始めました。

ウェブ上でも読めます。

http://m.email3.telegraph.co.uk/nl/jsp/m.jsp?c=%40s1%2FRLPUjw3gHSwmcWjYK6BiW920ybab7HcM9u3KSnRE%3D&WT&WT.mc_id=e_DM1224573&WT.tsrc=email&etype=Loy_Dig_Acq_200324_YouAreNotAlone&utmsource=email&utm_medium=Loy_Dig_Acq_200324_YouAreNotAlone20200407&utm_campaign=DM1224573
Moving forward, together(ともに前へ)

我々の新しい「貴方は独りじゃない」ニュースレターにようこそ。ここは弊社による、読者の皆様と提携した、記事のシェアやアドバイスなどを行う「貴方は独りじゃない」欄をガイドするものです。コミュニティの精神というアイディアに我々は惚れ込みました。同時に、この途轍もなく困難な時期に、本欄が助けとなればと願っております。

このニュースレターでは、皆様と私とを、今の状況で助ける事を目的としております。幸いな事に、皆様のメールアドレスに直接送信する事が出来ますので、よろしければ対話を重ねましょう。皆様の知恵や、ロックダウン下の生活に関する記事をシェアリングしましょう。子供のあやし方とか、台所のありあわせから美味しい料理を作る秘訣とか(弊社の素晴らしい料理欄が助けになる事が出来ましょう)についても同様です。弊社の文化部が今週、コメディからアート観賞まで、インドアで楽しく過ごす10種類の方法を見つけました。

下記に、皆さんに楽しんで頂きたい直近の記事をピックアップしております。sarah.ebner@telegraph.co.uk宛てに皆様がいち早く知りたい事をお知らせ頂ければ幸いです。

拙訳終わり。ページを見ると「隔離生活でメンタルを保つには」とか、「犬の散歩は出来るの?」といった記事が並んでいます(2020年4月8日午前4時52分時点)。確かに、こういう知恵や疑問に対する答えは、凄く必要とされていますよね。

何よりも、今は非常に皆が不安感を抱きながら、日常生活を過ごしています。我が国でも、緊急事態宣言が布告されたばかりで、対象となる都府県の皆様は、「今後どうしたら良いのか」との思いでいらっしゃる事でしょう。

不安に寄り添う。或いは、指針を示す。それらもまた、ジャーナリズムの世界に携わる人達に求められている事では無いでしょうか。このテレグラフ紙の姿勢とサービスを、どうか見習って欲しいものです。

今回のウクライナ機墜落事故を「撃墜の可能性」から「撃墜で間違い無い」と断定したのはベリングキャットというオンライン調査団体だった! #イラン #旅客機墜落


今回のイランの首都テヘラン郊外で発生したウクライナ旅客機の墜落事故ですが、撃墜で間違い無いと断定したのは、ベリングキャット(Bellingcat)というオンライン調査団体でした。

その手法には、ただただ脱帽するばかりです。
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今回の英国の総選挙にアップル・ニュースが静かに、かつ大きな影響を与えていたとガーディアンが報道 #英国 #総選挙 #アップル・ニュース

さて、態勢が決しつつある英国の総選挙ですが、実はアップル・ニュースが静かに、かつ、大きな影響を与えていたのだそうです。

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「デジタル・コンテンツのバブルは崩壊したのか?」英ガーディアン、相次ぐ新興メディアのレイオフで直球勝負に #メディア

デジタルコンテンツバブル
ハフポストやバズフィードなどの新興メディア(日本法人除く)でレイオフが相次ぐ中、英国のガーディアン紙が「デジタル・コンテンツ・バブルは弾けたのか?」との直球勝負な記事を配信しています。

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「不安は誤解の原因。解決の手立てをジャーナリズムは示すべき」英国で、業界注目の作家の主張の中身とは? #メディア


英国でYou are what you readという書籍が、メディア業界関係者の間で注目されているのだそうです。作者のジョディー・ジャクソン氏は、メディアの現場の意図以上に世間が現実世界を怖がっているとし、むしろ「じゃあどんな解決策があるのか」という明示をしていくべきだと主張しています。それによって、視聴者(読者)のメンタルを安定化させ、欝病などの防止にもなるとしています。続きを読む

「何でニュースを読んでいるのか」。ブルームバーグの社内プロジェクト、BHIVEの試みとは? #メディア

ブルームバーグの模索
「お客様は、何でウチの商品を利用してくださってるのか」というのはマーケティングの初歩の初歩ですが、こういう事をメディアの編集局員は案外やってません。そう、「何でニュースが読まれているのか」という問いかけを自らにしておらず、「書いたら誰かが読んでくれる」ぐらいにしか思ってない輩が多すぎる(そして、そういう手合いが一生懸命になって軽減税率適用を自己弁護する)。

そんな中、アメリカの通信社大手であるブルームバーグの取り組みが注目されましょう。BHIVEという社内プロジェクトを起ち上げ、ニュースを読みにアクセスする人の動機を模索しているのです。

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「報道業界の未来は、現業者が思い描いている像とは違う」と、2017年データ・ジャーナリズム大賞の審査員は語る(3) #報道 #デジタル・ジャーナリズム

報道業界の将来

間が開いてしまいました。

報道業界の将来を語る上で鍵となるデータ・ジャーナリズムを巡って、中の人達の間で誤解があるし、相応の準備が出来ていないと指摘する、2017年のデータ・ジャーナリズム大賞の審査に当たったエスラ・ドグラマティ(Esra Dogramaci)氏の考察の続きです。御本人は、BBCやアルジャジーラなどで働いた後、現在はドイツの国際メディアであるドイチェ・ヴェレ(DW)で上席編集者を務めています。

引用元はmedium.com(2017年3月30日付け)。1年近く前ですが、問題提起そのものは今なお業界関係者の戒めとせねばならないでしょう(写真はサイトの冒頭部分をスクリーンショット画像にして引用させて頂きました)。続きを読む

「報道業界の未来は、現業者が思い描いている像とは違う」と、2017年データ・ジャーナリズム大賞の審査員は語る(2) #報道 #デジタル・ジャーナリズム

報道業界の将来

報道業界の将来を語る上で鍵となるデータ・ジャーナリズムを巡って、中の人達の間で誤解があるし、相応の準備が出来ていないと指摘する、2017年のデータ・ジャーナリズム大賞の審査に当たったエスラ・ドグラマティ(Esra Dogramaci)氏の考察の続きです。御本人は、BBCやアルジャジーラなどで働いた後、現在はドイツの国際メディアであるドイチェ・ヴェレ(DW)で上席編集者を務めています。

引用元はmedium.com(2017年3月30日付け)。1年近く前ですが、問題提起そのものは今なお業界関係者の戒めとせねばならないでしょう(写真はサイトの冒頭部分をスクリーンショット画像にして引用させて頂きました)。続きを読む

「報道業界の未来は、現業者が思い描いている像とは違う」と、2017年データ・ジャーナリズム大賞の審査員は語る(1) #報道 #デジタル・ジャーナリズム

報道業界の将来

報道業界の将来を語る上で鍵となるのが、データ・ジャーナリズム。「これを巡って、中の人達の間で誤解があるし、相応の準備が出来ていない」と指摘する声があるそうです。

指摘するのは、2017年のデータ・ジャーナリズム大賞の審査に当たったエスラ・ドグラマティ(Esra Dogramaci)氏。BBCやアルジャジーラなどで働いた後、現在はドイツの国際メディアであるドイチェ・ヴェレ(DW)で上席編集者を務めています。

medium.com
が報じています。配信は2017年3月30日と、1年近く前ですが、問題提起そのものは今なお業界関係者の戒めとせねばならないでしょう。長いので分割紹介していきますね(写真はサイトの冒頭部分をスクリーンショット画像にして引用させて頂きました)。
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検閲の酷い独裁国家で、ジャーナリストが驚愕の抵抗! 「だったら歌って報じます」 #検閲 #ストリーミング #音楽 #Spotify


中国やベトナムなど、一党独裁制度を敷く国や、大統領という名前だけど実質的に独裁をやっている国は世界に多くあります。そんな国でも、ジャーナリストが逮捕や拷問を逃れつつ、必死の報道を行っています。

抵抗を続けるジャーナリストにとって大きな難題なのが、検閲。中国のグレート・ウォールのように、大がかりなオンライン検閲制度を運用して、政権に都合の悪いニュースを片っ端から封じている国もあります。

そうしたオンライン検閲を逃れる「何! そんな手があったか」という驚愕の方法を採用するプロジェクトが起ち上がりました。

無料の音楽ストリーミング・サービスを使って、ニュースを歌詞に盛り込んで配信しているのですって。

余りの技ありな手口に、pitchfork.comというサイトが驚倒しながら報じています(2018年3月13日付け)。続きを読む

ブロック・チェーンによるジャーナリズム配信プラットフォームのシビルに、元ガウカーの編集者らが参画 #ブロック・チェーン #ジャーナリズム

Hmm Daily - Civil 2018-03-06

最近イチオシ中なのが、ブロック・チェーンによるジャーナリズム配信プラットフォームのシビル(Civil)。そのシビルに、元ガウカー(Gawker)の編集者らによる新たな報道配信スタートアップが参加する事になりました。続きを読む

「街の汚職を取材・暴露していきます。つきましてはブロック・チェーンで献金受付中」 #仮想通貨 #メディア #ブロック・チェーン

政治に付きものの汚職。この犯罪は、渡す悪徳業者と受け取るクソ政治家の双方が、長年に渡ってノウハウを蓄積している事もあって、警察だけでなくメディアの側にとっても探知が難しい代物です。

勢い、長丁場の取材になりがちなのですが、昨今はメディア自体がインターネットの到来でビジネスモデルが崩壊してしまい、そんな取材をやり続けるだけの資金が続かなかったりします。

そんな中で注目されているのが、アメリカはニューヨークで産声を上げたスラッジ(SLUDGE)。英語でヘドロを意味する、このサイトでは街で産声を上げた独立系のジャーナリズムとして、地元の汚職を突き止めて暴露していきたい(Brooklyn’s newest newsroom wants to uncover government fraud )と宣言。そして、ブロック・チェーンのテクノロジーを利用した資金調達を行っていくとも謳っています。これもこれで、アメリカのIT関係者から興味を持たれているそうです。

スラッジ



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先ほどに続くネクストウェブのマット・ナヴァラはんの特ダネ。フェースブックがパブリッシャー向けに「速報」タグ機能を付与するとの事でっせ #フェイスブック #速報

速報タグFB
先ほどの記事に続き、またまたネクストウェブのマット・ナヴァラはんの特ダネでおま!
今度のTweetは、パブリッシャー向けにフェースブックはんが「速報」タグ機能を追加するとの事です。

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米新興ニュースサイトのプロパブリカ、全米の調査報道ジャーナリストを資金支援へ #メディア

久しぶりに、メディアのネタをやってみます。

アメリカの新興ニュースサイトとして成功を収めているプロパブリカが、新たなネットワークを通じて全米の調査報道ジャーナリストの資金支援をしていくとの事です。

niemanlab.orgが報じています(2017年10月12日午前10時51分投稿)。続きを読む

フリーランスや、小規模の報道サイト運営者が使えそうなモバイル・アプリの紹介です(1) #モバイル

アメリカにnptechforgood.comという非営利団体の情報サイトがあります。

当然ですが、非営利団体の関係者が多いのですが、そうした人たち向けに使えそうなモバイル・アプリやオンラインツールが紹介されていました(5月2日付け配信)。

読んでいて、フリーランスのジャーナリストや、所帯の小さい新興ニュースサイトの関係者にも使えそうなので、紹介していきます。

なお、全部で59もあるので、分割しながら紹介していきます。まずは、ソーシャル・メディア編。続きを読む

グーグル・ニュース・ラボが欧州ジャーナリズムセンターと共同で新しいメディアのイノベーション・イベントを開催するのだそうですって #メディア

という表題のような話でございまする。・・・ま、行く人はおらんでしょうけど、御参考までに。
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米新興ニュースサイトのクォーツ、創業4年目で黒字に #メディア

アメリカの新興ニュースサイトのクォーツが、創業4年目で初の黒字になるのだそうです。続きを読む

「これからの報道サイト」というカテゴリーを新設しました

お知らせです。拙ブログに「これからの報道サイト」というカテゴリーを新設しました。日本の報道業界の現業職の皆様に読んで頂きたいなぁとの思いから作りました。

インターネットの発達とモバイル機器の普及は、我々の生活を変えてしまいました。自宅で新聞を読む、或いはテレビを観るという習慣が滅びつつあるのは、認めざるを得ないでしょう。

一方で、戦後からの終身雇用形態から抜け出せず、インターネット時代に何をして良いか経営陣が分かっていないのが、報道の業界です。そんな中にあって、自らの身の振り方を思案し、苦悩なさっている現業職の方は多かろうと推察します。かつては高給取りとして羨ましがられながら、その土台が徐々に蝕まれつつある地方紙の方は、特にそうでしょう(あ、悩んでいない方は拙ブログなぞ読まなくて結構ですからね)。

それやこれやで考えました。「じゃあ、辞めてもやっていける事例があれば?」と。

海外に参考例は無いのか?と。

そのままの導入は無理にしても、アレンジを自分なりに加え、血路を開けないのかなと。

という訳で、先ほど配信した「もう諦めたわ、新聞社勤務なんて」英国の編集者、退社後に超地元密着型の報道サイト起ち上げ #新聞の記事を「これからの報道サイト」というカテゴリーに入れ直しました。

この方(女性の年齢を例示するのはアレなんですけど、フェースブックのアカウントを見た限りでは五十路なようです)の試みとて失敗に終わるかもしれません。その時は検証し、何が駄目だったかを教訓としましょう。成功すれば、アレンジして自らの新たな船出となさっていけばよろしかろう。

一番いけないのは、「悩もうともせず逃げる」行為です。特に新聞業界の現業職の皆さんに言いたい。残留を選択した職場は、業界を挙げて軽減税率の適用に狂奔しました。税金とは公金であり、その扱いには時間を掛けた議論と、納得がゆく結論が必要でした。しかるに、それらを全てすっぽかした。

これは即ち「悩もうとせず逃げる」行為そのものです。皆様方は、その行為の一部となっている事にお気づきですか。気づいているのなら、更に言いたい。

それで良いのですか?

先の記事では、次のような下りがありました。
「ケントの地元紙で13年間働き、その後ケント・ライブという新しいウェブサイトで8ヶ月間、多くを学んだ。そこでは楽しい経験をした。特にタネット・ガゼットではそうだった。だけど、自分がタネットにしてあげたい事なのかとの疑問が湧いたのだ。自分が住み、地域の一部になっているというのに」(“I learnt a lot during my 13 years with Kent regional papers and then the last eight months in the new website-first Kent Live structure. It’s an experience I have enjoyed greatly, especially my time with the Isle of Thanet Gazette, but I felt that what I really wanted to do was focus on Thanet – the community I live in and am a part of.)

「自分が住み、自らが一部となっている地域に、してあげたい事をやっているどうか」という問いかけは重いものがありますが、業界の皆さん、なさってますか?

その事で悩んでらっしゃいますよね?

そうだろうと推察いたしましたので、このカテゴリーを作ったのですよ。ま、つらつらと読まれた上でご判断なさって下さいな。

「もう諦めたわ、新聞社勤務なんて」英国の編集者、退社後に超地元密着型の報道サイト起ち上げ #新聞

先の見えない新聞業界に閉塞感を覚える現業者の皆様に指針となるような話をば1つ。

英国の地方紙編集者が、業界に見切りを付けて超地元密着型の報道サイトを起ち上げましたよ。続きを読む
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