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これまで海外の新聞業界の動向などを紹介してきましたが、今後は海外のコンテンツ配信ビジネスや「ほぅ」と思わせる新規ビジネスについて紹介していきます。

アルデン・グローバル・キャピタル

米デンバー・ポスト紙、コロラド・ロッキーズの株式の半分を売却する計画だと報じられる #大リーグ #メディア



アメリカのメディア業界情報サイト「メディア・ポスト」の報道によりますと、かの地では名門紙として知られるデンバー・ポストが、保有するコロラド・ロッキーズの株式の半分を売却しようとしているそうです(2022年7月6日付け)。

Sporticoというサイトの報道を引用しています。それによりますと、同紙はロッキーズの株式を7.3%保有していますが、買い手候補を見つけるためにパーク・レーン投資銀行を起用したとの事です。

なお、評価額は14億3000万ドルだそうです。

デンバー・ポストは2011年にヘッジファンドのアルデン・グローバル・キャピタルが買収していますが、今回の売却計画が、アルデンの決断によるものか、それともポスト紙自身の決断によるものなのかは不明だとしています。なお、アルデンは取材に回答していません。

アルデンは新聞社の買収→編集局員クビ斬りを含むコスト削減で悪名を馳せていますが、最近では少なくとも1つの市場で新しい形の競争に直面しているとされています。非営利団体でオンライン・オンリーのボルチモア・バナーというメディアが、参加の老舗新聞であるボルチモア・サンと競合しているからです。

ボルチモア・バナーには、非営利団体ベネトウリス地域ジャーナリズム研究所(Venetoulis Institute for Local Journalism)と、昨年トリビューン社とボルチモア・サンを買収しようとして失敗したホテル王で慈善家のスチュワート・ベイナムJr.が出資しています。ベイナム氏は、自身の財産から5000万ドルをバナーに提供する事を約束しているそうです。

ニューヨーク・タイムズ紙によれば、バナーの編集局には現在40人以上が在籍しており、その多くはサン紙から採用した人たちだとの事です。

こうした動きは、全米の新聞社が生き残りをかけて奮闘している中で起きています。

メディル社のローカルニュース・イニシアチブの報告書によると、2019年から2022年5月までに360以上の新聞が閉鎖されました。アメリカでは2005年以降、新聞社の4分の1以上が失われ、2025年には3分の1が失われると予測されています。

後の下りを蛇足と取るか、デンバー・ポストもその例に漏れないと示唆しているのか。なお、ロッキーズの本日時点の成績は35勝46敗だそうです。

 


アメリカで買収された地方紙がどんな目に遭っているかというマクギール大の研究が衝撃的 #メディア


金が無くなるというのが、こんなにキツイとはという話。アメリカのニーマン・ラボというハーバード大のメディア研究所が、大手ヘッジファンドやメディア・チェーンに買収された地方紙がどうなったかを追跡調査したところ、記事の本数と人員が一挙に減ったそうです。

以下、拙訳。

“An immediate drop in content”: A new study shows what happens when big companies take over local news(『コンテンツが即座に減った』:大企業がローカルニュースを買収するとどうなるかを示す新しい調査結果)

「私にとってとても衝撃的だったのは、全ての買収がほぼ即座にスタッフの変更とコンテンツが減った事だ。しかも、ほぼ即座にだ」(“What was so shocking to me is that all the acquisitions led to staffing changes almost immediately and an almost immediate drop in content.”)

By SHRADDHA CHAKRADHAR @scchak April 20, 2022, 9:57 a.m.

アルデン・グローバル・キャピタルからシンクレア・メディアまで、企業による地元報道機関の買収とその冷ややかな結果という話は、様々な所で聞かれる。先月末にNew Media & Society誌に発表された新しい研究は、企業の所有権がもたらす破壊的な結果について、更なる証拠を示した格好だ。

この研究の著者は、企業が所有する31の新聞社と、それらの新聞社が買収の前後に出版した13万件の記事を調査した。

調査した出版物は、デンバー・ポスト(親会社は2010年にアルデンに買収された)、ニューヨーク・デイリー・ニュース(2017年に当初トリビューン・パブリッシングが買収し、4年後にアルデンが買収)、LAウィークリー(2017年にセメナル・メディアLLCが買収)、デジタル・ファースト・メディア(同じくアルデンが所有)が発行するカリフォルニア州の28紙と多岐に渡る。

この調査で判明したことの概要は以下の通りである。

1. 買収により、地方紙が制作するローカルコンテンツの量は、比例しないものの、大幅に減少する。
2. 買収後の地方紙は、買収前の地方紙に比べ、地域以外の報道が増える。
3.  新聞社の地域拠点間で共有されるように制作された記事は、特定の新聞社にしかない記事よりも、地域性が著しく低くなり、言説的には全国的となる。

これらの変化は論文の著者たちにとって予想外ではなかったが、いくつかの驚きもあった。マクギル大学言語学部の大学院生で、この論文の筆頭著者であるベンジャミン・ルブランは、「私にとって衝撃的だったのは、全ての買収によって、スタッフの配置が変わり、コンテンツが減ってしまった事だ。両方とも即座にだ」(“What was so shocking to me is that all the acquisitions led to staffing changes almost immediately and an almost immediate drop in content,”)と語っている。

ローカルコンテンツの減少の変化は、論文によって様々であった。

例えばデンバーでは、2010年の買収後の2年間はローカルコンテンツを扱う記事が一時的に増え、2012年にはピークに達した。ただし、2018年にかけて、同紙が掲載するローカル記事の数は68%減少している。また、ニューヨーク・デイリー・ニュースやロサンゼルスのオルタナティブ新聞であるLAウィークリーでも、買収後のローカルコンテンツが相対的に減少したわけではなく、買収後のローカル記事の制作数の絶対数が減少していた。
これは、この論文の主執筆者であるアンドリュー・パイパーにとって驚きだった。マクギル大学の言語・文学・文化学部の教授であるパイパーは、「比率があまり変わらないことに少し驚いた」(“I was a little surprised that the proportionality didn’t really shift,”)と述べています。「つまり、残っているニュースルームは、まだ地元、全国、地域のニュースに注意を分けていて、残っている人が誰であれ、船を浮かせているようなものなのだ」(“In other words, the newsrooms that are left are still kind of dividing their attention between local, national, regional [news], so that whoever’s left kind of keeping the ship afloat.”)。

地方報道の集中度がどのように変化したか、言い換えれば、地方ニュースはその新聞社のカバーエリア内の多くの市や町をカバーし続けたのか、それともより大きな地域に焦点を当てた報道となったのか。それらを測定するために、論文の執筆者らは新聞社のカバーエリア内の地理的位置に数値を割り当て、新聞社のある都市から始めて徐々に外へと広げていった。そして、これらの異なる場所への言及を毎週測定し、その週の計算を経時的に比較してみた。

LAウィークリーでは、買収後、ロサンゼルス市以外のロサンゼルス郡についての言及が最も多くなった(海外、カリフォルニア州、その他の地域についての言及も減少した)。ニューヨーク・デイリー・ニュースでは、買収後に最も減少したのはニューヨーク州のその他の地域であった。デンバー・ポストでは、コロラド州の他の地域と海外に関する報道が最も減少している。

最後に研究者たちは、企業買収後、フォックス・ニュースやCNNなどの全国的な報道機関の報道と、地方レベルの全国的なニュースの報道がどのように一致しているかを調べてみた。機械学習を用いて、全国的な報道機関の報道と類似した単語が地元でどのように使われているかを測定した。ニューヨーク・デイリー・ニュースとLAウィークリーの場合、買収後の類似性は見られなかった。ただし、少なくともLAウィークリーの場合は、買収後に全米規模のメディアとの類似性がより高くなった。

しかし,デンバー・ポストについては,企業買収後に言説的な類似性が増加した。また、カリフォルニア州のデジタル・ファースト・メディアのネットワークでは、記事がネットワーク全体で共有される事が多かったため、傘下の新聞に特化した記事よりも、共通の記事の方が全国的な性質を持っている場合が多かったという。

これらの発見は特に新しいものでは無いが、既に知られていた事を確認するの上で役立つと執筆者らは述べている。なお、研究を実施した理由の一つは、「何が起こっているのかについて、私たちの多くが持っていた直感の多くを翻訳し、より大規模にそれを見ることができる方法を紹介し、何が起こっているのかについてより複雑な疑問に答え始める事にあった」(“was really to translate a lot of all the intuitions that many of us had, about what was happening, and to kind of introduce ways that we can look at it on a larger scale [and] begin to answer potentially more complex questions about what’s happening.”)。

次のステップや、どんな複雑な質問があるかについてだが「コンテンツや分野、何が変化しているのかを理解する事だろう」(“The obvious next step would be to understand, content-wise, beat-wise, what’s changing?”)とパイパーは言う。「我々はまだ、これらの結果を知らない」(“We don’t yet know these consequences.”)

こうした結果は、ローカルニュースの将来、特に企業所有の傾向が続く事に何を意味するのだろう?「代替モデルが絶対に必要だ」(“An alternative model is absolutely necessary,”)とパイパーは言う。「これらの買収は編集業務の空洞化を決定的にするものであり、地域報道機関の所有と管理の財務モデルとしては当てにならないことを意味する」(“These acquisition events are decisive in hollowing out newsrooms, which means they can’t be relied on as a financial model of ownership and stewardship for local news.”)

そして、パイパーは、その代替モデルがどのようなものであるかについて良い答えを持っていないと認めながらも、「データで見ていることを考えると、ローカルニュースの制作、配信、サポートの方法を概念化する別の方法が絶対に必要である」(“Given what we’re seeing with the data, we absolutely need another way to conceptualize how local news is going to be produced, distributed, and supported.”)と述べている。

(文中敬称略)
拙訳終わり。やっぱりなぁって感じですね。代替的モデルについては、「どこの地域にも応用可能なのは無いけど、場所によっては」というのがあるのではと、ワタクシメは思っております。で、それを折を見て今の勤め先で提案してみようかと思っている今日この頃でおます。

アメリカの地方紙発行チェーンのリー・エンタープライゼズ、デジタル版の会員数は伸びているものの、実入りは遅れているとの事 #メディア #新聞


ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどと違って知名度に欠ける地方紙のデジタル化となると、一筋縄ではいかないところがあるようです。

アメリカの地方紙の発行チェーンであるリー・エンタープライゼズの場合、傘下の新聞のデジタル版への有料会員申し込みは順調に増えているものの、見入りとなると遅れがちなのだそうです。
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アメリカのニューヨーク・デイリー・ニュース、印刷部門を外部委託。200人を削減 #新聞 #削減


アメリカ東海岸で発行するニューヨーク・デイリー・ニュースが、新聞の印刷を外部に委託し、これに伴って人員を200人削減する事が明らかになりました。
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米著名メディア評論家、自分で報道機関立ち上げ #メディア

kendoctor

アメリカのメディア評論家として有名なケン・ドクター氏が、自分で報道機関を起ち上げました。 続きを読む

ヘッジファンド、米メディアチェーンのガネットに照準 #メディア

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デトロイトの2紙で希望退職募集。今後レイオフも(後編) #新聞 #リストラ

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