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これまで海外の新聞業界の動向などを紹介してきましたが、今後は海外のコンテンツ配信ビジネスや「ほぅ」と思わせる新規ビジネスについて紹介していきます。

ニューヨーク・タイムズ

えっ!イーロン・マスク氏がOpenAI買収名乗り出と、ニューヨーク・タイムズ報道



ニューヨーク・タイムズの記事を拙訳してみました(2025年2月10日午後4時44分投稿)

Elon Musk Leads Bid to Buy OpenAI for $97.4 Billion(イーロン・マスク氏がOpenAIを974億ドルで買収する入札を主導)

The billionaire is leading a group of investors in the unsolicited offer, which complicates the start-up’s plan to raise more money.(マスク氏は未承諾のオファーを行う投資家グループを率いており、これにより資金調達計画が複雑化している

By Mike Isaac and Cade Metz

Reporting from San Francisco
Feb. 10, 2025Updated 4:44 p.m. ET

投資家グループが、イーロン・マスク氏の主導のもと、OpenAIを制御する非営利団体の買収に974億ドルの入札を行ったと、二人の関係者が伝えた。この事は、マスク氏とOpenAIの最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマン氏との間での数年来の企業支配権を巡る争いを激化させるものである。
このコンソーシアムには、マスク氏の人工知能会社であるXaiやVy Capital、ハリウッドの権力仲介者アリ・エマニュエル氏、およびその他の投資家が含まれていると、匿名を条件に発言した関係者が述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナルが、先にこの提案について報じた。OpenAIはこの買収申し出についてコメントを控えている。会社はまだ確認していないが、OpenAIの潜在的な反応に詳しい人物によると、アルトマン氏は反応を投稿した。「結構だが、もしよければTwitterを97.4億ドルで買いたい」とアルトマン氏はXに投稿した。
これに対してマスク氏は「詐欺師」と返答した。ロサンゼルスの弁護士で、昨年マスク氏の代理としてOpenAIに対して訴訟を提起したマーク・トーベロフ氏は、コメントの要請に応じなかった。
マスク氏はOpenAIの共同創設者の一人であり、初期の投資者でもあったが、権力争いの後に退任した。また、マスク氏はアルトマン氏の会社に真っ向から競争するために自身のAI会社を設立した。
この未承諾のオファーは、OpenAIが40億ドルの資金調達契約を完了しようとしている際に持ち込まれた。契約によって高名な企業の評価額がわずか4ヶ月前のほぼ倍増する事になるとされている。新たな資金調達ラウンドは、日本のコングロマリットであるソフトバンクが主導し、OpenAIの評価額は3000億ドルに達するとの事だ。この契約に関与した三人の内部関係者によると、この取引はOpenAIを、ロケット会社スペースXやTikTokの製作者であるバイトダンスと並ぶ、世界で最も価値のあるプライベート企業の一つに押し上げる事になる。
ソフトバンクはOpenAIに最大400億ドルを投資し、他の投資家は総資金の約4分の1を提供する事になるという。なお、ニューヨーク・タイムズは、AIシステムに関連するニュースコンテンツの著作権侵害を理由に、OpenAIとそのパートナーであるマイクロソフトを提訴している。両社はその訴えを否定している。
これは進行中のストーリーである。更新情報にご注意頂きたい。
・Mike Isaac記者は、サンフランシスコを拠点とする『ザ・タイムズ』の技術担当記者であり、フェースブックやシリコンバレーに関する報道を定期的に行っている。
・Cade Metz記者は、人工知能、自動運転車、ロボティクス、仮想現実などの新興技術分野について執筆している。

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ニューヨーク・タイムズ、直近の四半期で35万人のデジタル専用購読者を追加し、総購読者数が1140万人超え


同紙の記事を拙訳していきます(2025年2月5日午前7時13分投稿)。

New York Times Reports 350,000 Additional Digital Subscribers(ニューヨーク・タイムズ、新規のデジタル購読者が35万人増える)


Adjusted operating profit for the fourth quarter increased 10.7 percent from a year earlier, to $170.5 million, the company said.(第4四半期の調整後営業利益が前年から10.7%増加し、170.5百万ドルに達したと発表)


By Katie Robertson

Feb. 5, 2025, 7:13 a.m. ET


ニューヨーク・タイムズ社が5日に発表したところによれば、直近の四半期で35万人のデジタル専用購読者を追加し、総購読者数が1140万人を超えた。

新規購読者の増加により、全体の収益は2024年の最後の三ヶ月間で726.6百万ドルに達し、前年から7.5%増加した。2024年の年間収益は26億ドルで、2023年の24億ドルから増加している。

第4四半期の調整後営業利益は10.7%増加し、1億7050万ドルに達した。通年の調整後営業利益は4億5540万ドルで、2023年から16.8%増加した。

ニューヨーク・タイムズ社のメレディス・コピット・レヴィエンCEOは、声明の中で「この四半期はもう一つの強力な年を締めくくるものとなった」と述べた。

「全体的に、この勢いは、我々がサブスクライバー、収益、利益、更に強力なフリーキャッシュフローにおいて健康的な成長を届ける自信を与えてくれます」と付け加えた。

ニューヨーク・タイムズは2024年に110万人以上の純デジタル専用サブスクライバーを追加した事を明かし、タイムズ製品に複数サブスクリプションを持つ人々も増え続けている。同社はニュース報道、レシピ、ゲーム、製品レビューサイトの Wirecutter、そしてスポーツニュースサイト「The Athletic」を提供している。

サブスクリプション収益は第4四半期で8.4%増加し、4億6660万ドルに達した。これは、デジタル専用製品からの増加によるものである。

四半期の全体広告収益はほぼ横ばいの 1億6510万ドルで、デジタル広告収益は前年同期比で9.5%の増加、印刷広告収益は16.4%減少した。

デジタルサブスクライバー数は引き続き増加しているが、タイムズの紙媒体購読者数は急速に減少しており、昨年末には61万部にまで減少している。これは2023年末の66万部、2022年末の73万部からの減少となる。

営業コストは四半期で6%増加し、580百万ドルに達した。タイムズによれば、2024年には2023年12月にOpenAIとMicrosoftに対して提起した著作権侵害訴訟に関連して1080万ドルを訴訟費用として費やしたという。

同社は2024年末時点で911.9百万ドルの現金および売却可能証券を保有していると述べた。2023年末の7億920万ドルからの増加である。

ニューヨーク・タイムズは5日、取締役会が新たな3.5億ドルのAクラス株式買戻しプログラムを承認した事も発表した。また、四半期配当金を1株あたり18セントとし、前の四半期から5セント増加したとも発表した。

同社は、現在の四半期におけるデジタル専用サブスクリプション収益が前年から最大17%増加する事を見込んでおり、デジタル広告収益も高い単位での増加すると予測している。

・Katie Robertson氏は、タイムズでメディア業界を担当している。メールアドレス: katie.robertson@nytimes.com



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NYT・イプソスの合同世論調査によると、多くのアメリカ人はトランプ次期大統領の政策は支持するものの、人物そのものには冷淡なんだそうです


ヒルの記事を拙訳していきます(2025年1月18日午前9時24分投稿)。

Many Americans support Trump’s agenda, but not the person: (多くのアメリカ人はトランプ氏のアジェンダを支持しているが、人物そのものには冷淡)

by Filip Timotija - 01/18/25 9:24 AM ET

新しい世論調査が18日に発表され、多くのアメリカ人がトランプ次期大統領の移民や関税に関する政策を支持しているものの、本人を支持している訳では無い事が明らかになった。ニューヨーク・タイムズとイプソスの調査によれば、回答者の87%が、トランプ氏が2024年の選挙キャンペーン中に公約した、犯歴のある不法移民の国外退去を支持している。また、回答者の約半数である55%が、国内に不法に滞在する全ての移民の国外退去を支持するとする一方、42%が反対している。

不法状態にある移民の子供達に対する出生地主義を終了する事については、41%が支持し、55%が反対していると調査は示した。また、4割に当たる41%が移民は国にとって「負担」であるという意見に賛同している。一方、56%の過半数が移民は「我々の国を強化する」との意見に賛同していると、調査は示している。

また、大多数の人々(68%)はアメリカの経済システムが「不当に富裕層を優遇している」と考えている。一方で、経済システムは「一般的にアメリカの大多数に対して公平である」と考えているのはわずか30%であるとの結果が出ている。

世論調査によると、トランプ氏の2期目を「心配または悲観的」と考えていたのは僅か27%だった。彼の性格や行動、そして犯歴に対する否定的な気持ちを理由に挙げた。えこひいき、権力の乱用、腐敗が13%と続いた。

トランプ氏のキャンペーン中の主要な論点の一つは、全般的に関税を課す事への意欲であった。11月には、カナダ、メキシコ、そしてアメリカの最大の貿易相手国である中国に対して新たな関税を課すと脅し、それらの国がアメリカに流入するフェンタニルをより厳しく取り締まり、国境を更に強化するよう迫った。

トランプ氏によれば、メキシコとカナダには25%の関税が、中国には10%の関税が課される予定である。

調査によると、メキシコと中国からの輸入品に対する関税の引き上げに反対する人が多い。約45%が「強く」または「やや」支持していると答えた一方で、50%は反対であると答え、4%は回答を拒否した。にもかかわらず、81%のアメリカ人がトランプ氏が中国とメキシコへの関税を引き上げようとする可能性が「非常に」または「やや」あると考えている。

世論調査は1月2日から10日まで、2128人のアメリカ人を対象に実施され、誤差の範囲は2.6ポイントであった。

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ニューヨーク・タイムズ「ラスベガスのトランプホテルのそばでサイバートラックが爆発。1人死亡」

 

ニューヨーク・タイムズの速報記事を拙訳してみました(2025年1月1日午後4時34分投稿)。

1 Dead After a Cybertruck Explodes Outside the Trump Hotel in Las Vegas(ラスベガスのトランプホテルのそばでサイバートラックが爆発。1人死亡)

At least seven people were injured, the authorities said. Videos posted to social media appeared to show a vehicle engulfed in flames outside the lobby’s entrance.(当局によれば、少なくとも7人が負傷した。ソーシャルメディアに投稿された動画には、ロビーの入り口の外で炎に包まれた車両の様子が映っているように見えた)
Listen to this article · 4:18 min Learn more

By Emmett Lindner and Pashtana Usufzy
Jan. 1, 2025Updated 4:34 p.m. ET

1日の朝にラスベガスのトランプ・インターナショナル・ホテルの外でテスラ・サイバートラックが爆発し、火災が発生し、警察の発表によると一人が死亡し、少なくとも7人が負傷した。

ラスベガス警察は、地元時間の午前8時40分頃にトランプホテルで爆発があったとの報告を受けた。ケビン・マクマヒル氏は記者会見で、「2024年型サイバートラックがホテルの最後の入口ドアに接近した」と述べた。

「我々はその車両から煙が出始め、それからトラックから大きな爆発が発生するのを見た」と付け加えた。

死亡した人物は車両内にいたと述べ、少なくとも他の7人が軽傷を負ったとの報告があると付け加えた。爆発の原因が何であったのかはすぐには明らかにはされなかったが、警察は記者会見でニューオリンズの攻撃を言及していた。

「我々は、ニューオリンズで起こった出来事について非常によく理解している」とマクマヒル氏は述べ、1日の朝にニューオリンズでトラックが群衆の中に突っ込んで10人以上が死亡した事件を指している。「ラスベガス・ブールバードのアイコニックな場所での爆発があった事を考えると、我々はコミュニティの安全を確保するために必要なすべての予防策を講じている」

テスラの最高経営責任者であるイーロン・マスク氏も1日にこの件について言及し、異常な出来事であると述べた。

イーロン・マスク氏は、Xでの声明の中で「テスラの上級チーム全体がこの問題を現在調査している」と語った。「我々はこれまでにそんな事を見た事がない」と付け加えた。

マクマヒル氏は、公共に対するさらなる脅威は見られないと述べ、調査は続けるとした。「明らかにサイバートラック、トランプホテル、捜査を進展させる中で答える必要のある質問が沢山ある」

ソーシャルメディアに投稿された動画には、ホテルのロビー入り口のすぐ外で炎に包まれたテスラ・サイバートラックの様子が映し出されていた。他のソーシャルメディアの投稿には、建物から誘導されている人々の列が映っていた。

「今日の早い時間、トランプ・ラスベガスのポルテ・コシェールで電気自動車の火災が報じられた」とドナルド・J・トランプ氏の息子でトランプ・オーガニゼーションのリーダーであるエリック・トランプ氏はXでの声明の中で述べている。「我々のゲストとスタッフの安全と命は常に我々の最優先事項である」

この同じメッセージはトランプ・ラスベガスのソーシャルメディアアカウントにも投稿された。ホテルに滞在していた人々は、火災のために避難させられたと述べた。

バルセロナからアメリカを訪れていたオスカー・テロル氏は、爆発が起こる直前に妻と一緒にホテルの入り口に向かって歩いていた時に食べ物の屋台に立ち寄った。「その10秒が違いを生んだ」と語った。

彼と妻は後方にたたきつけられ、テロル氏は火と色とりどりの光線が飛び出す車両を見た。花火だと思ったという。

トッド・ハンセン氏は、ホテルの27階にいた時、大きな破裂音の連続を聞いたと言う。エレベーターで待機エリアに降り、そこで煙とホテルの入り口のスプリンクラーが作動しているのを見た。

「エレベーターエリアは人でいっぱいだった」とハンセン氏は語った。「彼らはエレベーターエリアからロビーに出る事を許さなかった。」妻に知らせるために自分の部屋に戻り、が階下に戻った際に二人とも避難させられたと付け加えた。

サンアントニオのシャー・ポリ氏は、フロアとエレベーターでガスのような匂いを感じたと言った。避難が進む中、自分の荷物を持って行く事ができた。

ウィスコンシン州のケリ・フォード氏は、コーヒーを飲むために部屋を出た際に、建物から出るように言われた。1日の午後に結婚式を挙げる予定であり、結婚式のドレスや結婚許可証は部屋に置きっぱなしだった。

「我々は何が起こっているのか全く知らなかった」とフォード氏は語った。「我々はちょうどコーヒーを飲むために降りただけで、‘避難しなければならない’と言われた」

トランプホテルはファッションショー・ドライブに位置し、約1,300のスイートルームを持ち、64階建てであるとトランプホテルのウェブサイトには記載されている。

ラスベガスからの報道はパシュタナ・ウスフジ記者、ニューヨークからの報道はエメット・リンドナー記者による。


■Emmett Lindnerは、速報やトレンドニュース担当。国際的な抗議活動、気候変動、そしてソーシャルメディアのインフルエンサーについても報じてきた。




ニューヨーク・タイムズ、1100万部突破



同紙の報道を拙訳していきます(2024年11月4日午前11時40分投稿)。

New York Times Passes 11 Million Subscribers(ニューヨーク・タイムズ、1100万部突破)

The Times reported steady growth in digital subscriptions in the third quarter and a profit for The Athletic for the first time since it acquired the sports site in 2022.(第3四半期のデジタル購読者数が順調に伸び、2022年にスポーツサイトを買収して以来初めてアスレチック紙が黒字になったと発表)

By Katie Robertson
Nov. 4, 2024Updated 11:40 a.m. ET

ニューヨーク・タイムズは、第3四半期に約26万人の有料デジタル購読者を追加したと4日に発表し、初めて総購読者数が1100万人の大台を超えた。

7月から9月にかけての四半期の調整後営業利益は前年の8,980万ドルから16.1%増加して1億420万ドルとなった。全体の収益は前年の同時期と比較して7%増加し、6億4,020万ドルとなった。

タイムズは2027年末までに1500万人の購読者達成を目標として掲げている。第3四半期末には1109万人の購読者がおり、そのうち1047万人が紙媒体ではなくデジタル製品のみを購読している。

月曜日の早朝、収益が発表される前に、タイムズ・テック・ギルド(同社の600人以上のテクノロジー部門労働者を代表する組合)がストライキに入った。組合と会社は賃上げやその他の問題について交渉を行っている。

ニューヨーク・タイムズ・カンパニーのメレディス・コピット・レビン社長兼最高経営責任者は、収益発表に伴う声明の中で、1100万の購読のうち500万以上が、デジタルニュース、料理、ゲーム、ワイヤーカッター、The Athleticを含む複数のタイムズ製品または提供されたすべての製品のバンドルであることを述べた。

「このポートフォリオと、それに時間をかけて価値を追加し続ける我々の能力が、メディアの風景が変わる中でもタイムズを堅実にし、より大きな、より利益を上げる企業になるための良い位置に置いていると信じている」とレビン氏は声明で述べた。

4日、タイムズの株価は7%以上下落した。

デジタル購読収益は前年から14.2%増加した。デジタル広告収益も増加し、前年同期比で8.8%増加した。

四半期の運営コストには、マイクロソフトとOpenAIに対してタイムズが昨年提起した訴訟にかかる460万ドルが含まれていた。訴訟は、両社が著作権で保護された資料を不法に使用して生成AIチャットボットを訓練したと主張している。調整後の運営コストは前年から5.4%増加し、5億3600万ドルとなった。

タイムズが2022年に5億5,000万ドルで買収したスポーツニュースウェブサイト「The Athletic」は、買収以来初めて四半期ごとの利益を上げた。The Athleticの第3四半期の調整後営業利益は前年の同時期の790万ドルの損失から260万ドルに増加した。会社は、この増加は購読数と広告収益の増加から来たものだと述べた。

※ケイティ・ロバートソンはメディア業界を担当している。メール: katie.robertson@nytimes.com ケイティ・ロバートソンについての詳細はこちら。

※興味深そうな記事を拙訳しておりますので、よろしければ読者登録お願いします。後、拡散も出来れば。








ニューヨーク・タイムズ、AI検索エンジンPerplexityにコンテンツ利用を中止するよう警告

ニューヨーク・タイムズ紙がトップページをキュレートするアルゴリズムに編集者の判断を取り入れた方法とは?

 


ハーバード大学のジャーナリズム研究所「ニーマン・ラボ」の記事を拙訳してみました(2024年10月9日午前11時51分投稿)。グラフはサイトからの引用です。

How The New York Times incorporates editorial judgment in algorithms to curate its home page(ニューヨーク・タイムズ紙がトップページをキュレートするアルゴリズムに編集者の判断を取り入れた方法)
The Times’ algorithmic recommendations team on responding to reader feedback, newsroom concerns, and technical hurdles.(読者からのフィードバック、ニュースルームの懸念事項、技術的なハードルへの対応について、同紙のアルゴリズム推薦チームは対応)
By Zhen Yang Oct. 9, 2024, 11:51 a.m.

ウェブでもアプリでも、ニューヨーク・タイムズのホームページは読者の体験を設定し、その日の最も重要なニュースへと導く重要な玄関口である。タイムズは毎日250以上の記事を公開しているが、ホームページで一度に掲載可能な50から60の記事本数をはるかに超えている。伝統的に、編集者は複数回にわたり手動でどの記事を、いつどこに表示するかを選び、プログラムしてきた。この手動プロセスには次のような課題が存在する事が分かった:

  • ホームページを訪れるたびに、関連性があり有用で新鮮な体験を読者にどう提供するのか?
  • 編集上のキュレーションプロセスをどう効率化し、拡張性を持たせるのか?
  • 各記事のリーチを最大化し、より多くの記事を読者にどう紹介するのか?

これらの課題に対応するために、タイムズはホームページコンテンツのキュレーションを支援する編集主導のアルゴリズムを積極的に開発およびテストしている。これらのアルゴリズムは編集主導型であるため、人間の編集者の判断や入力がアルゴリズムのあらゆる側面に組み込まれており、ホームページ上での配置場所の決定、ランキング情報の生成、必要に応じてアルゴリズム出力に影響を与えたりそれを上書きしたり出来る。最初から、アルゴリズムプログラミングは人間のキュレーションを高めるために設計されており、置き換えるものではないとしている。

■ホームページのどの部分がアルゴリズムでプログラムされているのか?

タイムズは2011年からコンテンツ推薦にアルゴリズムを使用し始めたが、ホームページのモジュールに適用し始めたのは最近になってからだ。長年、ホームページには「Smarter Living」というアルゴリズム駆動のモジュールが1つだけあり、後に「Popular in The Times」が追加された。どちらもページの比較的低い位置に配置されていた。

3年前に、ニュースルームの編集者、プロダクトマネージャー、データサイエンティスト、データアナリスト、エンジニアを含むクロスファンクショナルチームが結成され、アルゴリズムを責任を持って使用するための推進力を提供した。現在、ホームページの約半分がアルゴリズムの支援を受けてプログラムされており、「The Athletic」や「Wirecutter」などのニュース、特集、サブブランドコンテンツを促進している。これらのモジュールの一部は、ウェブ版のホームページの右上に位置する特集モジュールのように、非常に見やすい位置にある。重要なニュースがあるとき、編集者はページ上部の主要な記事モジュールを補完する追加の報道を表示するアルゴリズムモジュール展開も可能だ。



※


■編集判断はどのようにアルゴリズムプログラミングに組み込まれているのか?

アルゴリズムプログラミングは3つのステップから成り立っている:(1) プーリング:特定のモジュールに適する記事のプールを作成する。(2) ランキング:記事をあるランキングメカニズムに基づいて並べ替える。(3) フィニッシング:最終的な記事の出力が我々の基準を満たすように編集上のガードレールやビジネスルールを適用する。編集上の判断は、これらのすべてのステップに異なる方法で組み込まれている。



※


アルゴリズムによる推薦を行うためには、まず特定のホームページモジュールに表示される候補記事のプールが必要である。このプールは、編集者によって手動でキュレーションされるか、ニュースルームが設定したルールに基づいて自動生成される。

通常、プールにはモジュールで利用可能なスロット数を超える記事が含まれるため、どれを優先してどの順序で表示するかを決定するためのランキングメカニズムが必要となる。記事をランキングする方法はいくつか存在するが、ホームページでよく使われるアルゴリズムは、文脈的バンディットという強化学習法である(詳細は以前のブログ投稿を参照)。単純化した形では、バンディットは全てのユーザーに同じセットの魅力的な記事を推薦する。「文脈的」版では、読者情報(例えば、閲覧履歴や地理的な位置)を追加して推薦を調整し、各読者にとってより関連性のある体験を提供する。地理的にパーソナライズされたバンディットの例については、こちらを参照。

使命重視で重要な記事を優先するため、編集上の重要性を定量化するいくつかの手法を使用する。一つの方法は、編集者がプール内の各記事に順位をつける事により、新しいニュースの方が一般的に重要とされる。もう一つの方法は、ホームページで過去にどれだけ昇格されていたかに基づいて記事の重要性を推測するもので、長く目立つ位置に留まっている記事ほど重要と評価される。どの手法を選択するにせよ、編集上の重要性とバンディットを組み合わせる事で、ニュースルームが重要と判断した記事を優先するため、編集上の判断がランキングプロセスに組み込まれている。

記事のランキングリストができたら、ニュースルームのパートナーと共に開発した事前設定ルールに基づいて最終調整を行い、読者に表示する前に整える。開発した介入の一つは、編集者がアルゴリズムを上書きして重要な記事をトップに固定出来る「ピン留め」機能である。他に重要な例として、ユーザーが既に読んだり見たりした記事を非優先とする「既読」「既視」フィルターがある(図2)。この仕上げステップは、編集上の判断が最終出力を形作り、動的で新鮮なユーザー体験を維持するのを保証する。

■ホームページでアルゴリズム駆動のモジュールをどのように設定するか?

このプロセスは、編集上の意図、基準、および境界、ならびに読者の目標を明確に定義し、それに応じてアルゴリズムを設計する事から始まる。このプロセスを説明するために、前述の特集モジュール(図1)を考えてみる。このモジュールのコンテンツはホームページで最もよく読まれるものであり、このモジュールのアルゴリズムプログラミングは、読者に新しく公開された特集記事やコラムを提示し、最も関連性があり魅力的な記事を順次表示する事によりエンゲージメントを高めるのが目標である。

編集者との複数回の実験と広範なコラボレーションを経て、意図された読者体験を実現し、ニュースルームがホームページのプログラミングプロセスにアルゴリズムを取り入れる事に安心するために、より多くの機能を構築する必要があると分かった。我々は一緒に次の機能を構築し立ち上げた。これらは、ホームページでのアルゴリズムプログラミングの利用を加速する上での基盤である:

露出ブースティング:ピン留めは重要な記事の露出を増やすための効果的なツールである一方、すべての読者にピン留めされた記事が表示され続けて、編集者によってピンが外されるまで動かないため、少々粗い。ホームページ編集者の「よりソフトで動的な」解決策を求める声に応じて、「露出ブースティング」機能を開発した。「ブーストされた」記事も最初はモジュールのトップに現れるが、編集者により前もって設定された速度で徐々にスロットを下がっていき、再びアルゴリズムのバンディットの対象になる(図3: 露出ブースティング)。

スマートリフレッシング:読者に新しいコンテンツを提示しつつ、記事の露出を増やすもう一つの方法は、ユーザーが複数回見ているがクリックしていない記事を削除する事にある。これは、表示されている記事に読者が興味を持っていない事を示唆し、アルゴリズムがリストの次の記事を代わりに表示する事になる。ユーザーに記事が表示されるとき、それをクリックするか否かにかかわらず「インプレッション」と呼ばれる。このやり方には欠点がある。頻繁な訪問者は、リフレッシュが頻繁すぎて起こる「スロットマシン」効果に混乱するかもしれない。また、すべての推薦を短期間で見尽くしてしまい、モジュールが静的になってしまう可能性もある。一方、たまにしか訪問しないユーザーは、インプレッションの制限に達していないため、次回訪問時にも同じ記事を見るかもしれず、ホームページが古臭いと感じる事になるだろう。

これらの潜在的な問題は、特に特集モジュールなどの高トラフィックモジュールに懸念されていた。それに対処するため、「スマートリフレッシング」と呼ばれる機能を開発した。この機能は、前回のインプレッションから一定の時間が経過した場合にのみカウンターを増加させる事により、頻繁な訪問者に対してより安定した体験を提供する。実質的に、指定された時間内に起きるインプレッションは単一のインプレッションにまとめられる。たまにしか訪問しないユーザーに対しては、最初のビューから一定の期間が経過した後、インプレッションの制限に達していなくても、自動的に推薦を更新する事で古臭さを防止する。ホームページ編集者は、インプレッション間の間隔と記事が最初の表示後どれくらいの期間残るかを編集上の判断とA/Bテストに基づいて決定する。



※


露出の最低限設定:純粋にアルゴリズム的なプログラミングでは、特定の記事が十分な露出を得られないリスクがあるという編集者からの懸念に対応するため、露出の最低限設定を開発した。この機能によりニュースルームは、全ての記事(特にあまり人気のないもの)がアルゴリズムがそのプログラミングを引き継ぐ前にホームページで最低限のインプレッションを受けるという保証を持てる。この保証は、記事の露出に関する編集上の期待を設定するのに役立ち、特集モジュールなどのホームページの重要な部分にアルゴリズムを展開する事を可能にした。通常、より高い最低値を設定すると記事の露出が増えるが、アルゴリズムの最適化に干渉し、全体のエンゲージメントを低下させる可能性がある。露出とエンゲージメントのバランスを見つけるために、露出の最低限設定はニュースルームのパートナーとの協力とA/Bテストを通じて決定される。

アルゴリズムの可視化ツール:アルゴリズムプログラミングを拡大しようとする中で直面した障害の一つは、編集者が読者体験や記事のパフォーマンスに対して可視性が欠けている事であった。最大の課題の一つは、編集者や記者が彼らの記事がホームページ上のアルゴリズムモジュールに掲載されるかどうかを判断出来なかった事である。「既読」フィルターがあるため、彼らが既に読んだ記事はホームページに表示されない事になっていた。

これに対処するために、プロダクトデザイナー、エンジニア、データサイエンティストがホームページ編集者と協力し、編集者がホームページ上のすべてのアルゴリズムモジュールを追跡し、異なるA/Bテストバリアントをプレビューし、各モジュールのために選ばれプロモーションされる資格があるすべての記事をレビューするためのブラウザ拡張機能を構想し構築した。エンジニアは、記事のプールへの新しい記事の追加や見出しや要約の更新を含む、アルゴリズムプログラミングの変更について編集者に自動アラートを送るツールも構築した。さらに、データサイエンスチームは、アルゴリズムプログラムされた記事のためのほぼリアルタイムの分析を提供するダッシュボードを開発した。

これらの新機能を厳密にテストし、編集者がこれらのツールとコンセプトに慣れる事が出来た後、2024年の春に特集モジュールにアルゴリズムプログラミングを恒久的に実装した。このアプローチは、編集ワークフローを合理化しただけでなく(モジュールの毎日の更新が3分の1減少した)、保存期間が長い記事がホームページにより長く存在する事により、全体のエンゲージメントを向上させた。プロダクト担当の同僚たちは、アルゴリズムで特集モジュールを強してWirecutterやCookingといったサブブランドへのエンゲージメントも向上した事を喜んだ。

■アルゴリズムプログラミングをさらに進化させる—速報やその他の利用

アルゴリズムに編集的な考えを取り入れる事で築かれた強固な基盤と、それによって培われた信頼により、ニュースルームからのアルゴリズムプログラミングツールの需要が高まった。現在、編集者は特定のトピックやニュースイベントのためにセカンダリーな記事セットを強化するため、カスタマイズされたアルゴリズムモジュールを使用している。これらのモジュールは完全に編集者が自分で操作可能で、大規模なニュースイベントの際に、ホームページ上のスペースを超える量の報道が行われる場合に特に有用である。



※


現在、アルゴリズムプログラミングはホームページの各モジュール内で記事を推薦している。次に、編集上の重要性、エンゲージメント、パーソナライズのシグナルを組み合わせた基準でモジュールの順序を再配置する事を探求し、テストしたいと考えている。このアプローチにより、読者の体験をさらに改善し、我々のジャーナリズムを強化出来ると信じている。

※Zhen Yang氏はニューヨーク・タイムズのアルゴリズム・レコメンデーション・チームのデータサイエンティスト。Celia Eddy、Alex Saez、Derrick Ho、Christopher Wigginsの各氏が寄稿。この記事はNYT Openに掲載された。

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NYT自身が人工知能の報道活用例を公開してるで



ニューヨーク・タイムズの記事を拙訳してみました(2024年10月7日更新)。

How The New York Times Uses A.I. for Journalism(どのようにしてニューヨーク・タイムズは人工知能をジャーナリズムに使っているか)

We don’t use A.I. to write articles, and journalists are ultimately responsible for everything that we publish.(記事を書くのに人工知能は使わないし、ジャーナリストは発表するものすべてに最終的な責任を負う)

Updated
Oct. 7, 2024, 5:06 p.m. ETOct. 7, 2024


人工知能が高度化するにつれて、我々はジャーナリズムにおける技術の利用法をますます見いだしている。AIの利用に関しては、不正確さなどのリスクを防ぐためのガイドラインと訓練も整備している。以下に現在のAIの利用例を示す:

・調査報道のために膨大なデータを精査するための機械学習モデルを使用している。この調査では、ジャーナリストが爆弾で出来たクレーターを検出するために衛星画像をスキャンするAIツールをプログラムし、その後手作業で確認した。

・我々のホームページの一部や記事の下部では、機械学習を使用して、過去に読んだ内容、おおまかな位置情報、他の読者の人気度などの要素に基づいた記事を推薦している。

・編集者は、ニュースの制作と配信をサポートするために、記事の見出しの初稿やタイムズの記事の要約、その他のテキストを作成するために生成的AIツールを利用する事がある。常に人間の監督とレビューのもとで行われ、そうしたツールの使用に関する我々の原則に基づいている。AIを使用して記事を書くことはなく、発表するすべての内容についてジャーナリストが最終的に責任を負っている。

・人工知能はまた、ニューヨーク・タイムズをより多くの人々に利用可能にする手助けもしている。自動音声技術を通じて、ほとんどの記事を聞くことができ、翻訳モデルの助けを借りてスペイン語で作成された記事を読むことができる。翻訳は公開前に徹底的に編集している。


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スペインの日刊紙のエル・パイス、ニューヨーク・タイムズ紙へのフルアクセスコース設定。しかもお得



ニーマン・ラボの記事を拙訳していきます(2024年10月8日付け)。
El País sweetens subscription offering with full access to The New York Times(エル・パイス紙、ニューヨーク・タイムズ紙へのフルアクセスで購読料を増額)
LINK: elpais.com  ➚   |   Posted by: Hanaa' Tameez   |   October 8, 2024

スペインの日刊新聞エル・パイスのプレミアム購読者は、ニューヨーク・タイムズとその系列サービス(WirecutterやCooking、The Athleticなど)に完全にアクセス可能になった。

「この提携は、中東やウクライナの戦争、アメリカの選挙などによる特に緊張した世界的状況において、読者に最高で最も厳格な情報を提供したいというエル・パイスの願いを反映しています。また、気候危機や移民問題の議論といった長年の課題にも対応します」と8日発表の中で同紙のペパ・ブエノ編集長は述べた。

今年初め、エル・パイスはアメリカ版を立ち上げ、アメリカとそのスペイン語話者人口を対象に報道する事を目指している。




本日より、 @el_paisプレミアム サブスクリプションには@nytimesへのフル アクセスが含まれます。
不確実性と誤った情報が渦巻くこの時代において、この提携は読者(そしてジャーナリズム)にとって素晴らしいニュースです。

このオファーは欧州とラテンアメリカの購読者のみが利用可能である。ユーザーは各出版物に対して別々のアカウントを持つ事になる。

この契約は、熱心なニュース消費者にとってはお得だ。エル・パイスが提供するプレミアム年間購読は144ユーロ(158米ドル)で、エル・パイスとビジネス新聞シンコ・ディアスへのフルデジタルアクセスを含むし、更にはプレミアムニュースレター、制限された広告、印刷版の電子版へのアクセスといった他の特典も含まれる。

別途、スペインでニューヨーク・タイムズのオールアクセス購読(ゲーム、料理、オーディオ、ワイヤーカッター、アスレチックを含む)は、初年度に20ユーロ(21.94米ドル)、2年目に€90(98.74米ドル)である。メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、エクアドルでは、年間オールアクセスのニューヨーク・タイムズ購読は初年度に10米ドル、2年目に90米ドルである(アメリカでは、ニューヨーク・タイムズのフルオールアクセス購読は4週間ごとに25米ドル、つまり年間約325米ドルとなる)。

今やエル・パイスの購読を使えば、プレミアムユーザーは両配信プロダクツに対して105米ドルを支払う事になる。この契約はコロンビアではさらに安く、エル・パイスの年間購読は38万8000コロンビアペソ、つまり91米ドルである。

発表を読むにはこちらを。

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TikTok対策を進め、主要フォロワーを増やそうとしている米英の報道機関



英国のプレス・ガゼッテの記事を拙訳していきます(2024年8月9日付け)。グラフはサイトからの引用です。


August 9, 2024

Fastest-growing news publishers on Tiktok since start of 2023 revealed(2023年から急成長しているTikTokのニュースパブリッシャー)

Press Gazette analysis reveals which outlets currently have the biggest presence on the platform.(プレス・ガゼッテの分析により、どのアウトレットが現在プラットフォーム上で最大のプレゼンスを持っているか判明)

By Thomas Hunter

英米の最大手ニュース配信元の内、5社は18か月余りでTikTokの主要フォロワーを200万人以上増やした。

プレス・ガゼッテは、2023年1月に実施した最後の調査以来、最大かつ成長速度の速いニュース出版社のTikTokアカウントランキングを更新した。

この分析には、プレス・ガゼッテの最新リストにある、TikTokで発見された米英の最大50のニュースウェブサイトから69のニュース配信元が含まれている。

18社の配信元は成長比較から除外した。これらの中には最近TikTokに登録したと思われる社も含まれている。

ランキングは各社のメインアカウントのみを対象としているが、一部のニュース媒体が異なる分野ごとに別のアカウントを作成している点にも留意する必要がある。

ロイターとニューヨーク・タイムズは、この期間中にTikTokのフォロワー数で最大の割合増加を見せたが、これは2023年初めのフォロワー数が少なかったためである。

前回の更新時に10万人以上のフォロワーを持つ中で、BBCニュースが見せた371%の成長は最大であった。

CNN(238%)、GBニュース(221%)、ヤフーニュース(218%)、CNBC(205%)、インデペンデント(204%)は他にもフォロワー数が3倍以上になった大手アカウントである。

リバプール・エコー(204%)やマンチェスター・イブニングニュース(193%)などのローカルニュースサイトも印象的な成長を遂げたものの、ニューキャッスルのクロニクルライブは成長にもかかわらずフォロワー数が6200と少ないままだ。

これとは対照的に、ワシントン・ポスト(13%)とテレグラフ(14%)はTikTokの成長を最も活用していない。


※


絶対的な成長のという点で見れば、デイリー・メールが圧倒的だ。この期間に560万の新しいフォロワーを追加した。他のどこよりも200万以上多かった。

ビジネスインサイダーのセクションであるインサイダーが、遠く離れて2位。期間中に350万の新しいフォロワーを追加し、依然として印象的であった。

CNNは310万、Skyニュースは290万、BBCニュースも290万以上のフォロワーを2023年の初めからそれぞれ追加した。

ニューヨーク・タイムズは5,000未満のスタート地点からほぼ75万フォロワーを追加し、ロイターは1000未満の基盤から17万5000以上のフォロワーを追加した。


※


TiKTokで最大の報道機関はどこだ?

2023年1月にABCニュースの後ろで3位につけていたデイリー・メールは、現在ほぼ1000万人のフォロワーを持ち、プラットフォーム上でトップに立っている(データ収集時から公開時にかけて、1000万人を超えた)。

その小さなアカウントの1つであるデイリー・メールUKは、98万800人のフォロワーを持ち、考慮された出典の上位半分に快適に位置づけられる。このアカウントは、グローバルニュースアカウントや犯罪、スポーツ、王室、ショービズ、米国、オーストラリアに特化した他のアカウントを含めて、すべてのアカウントで1,000万人を超えたことを祝った。

ラッドバイブル(メインアカウントで1,380万人のフォロワー)よりは小さいフォロワー数だが、若年層向けのブランドは2023年のランキングでトップだったにもかかわらず、英国のトップ50ニュースウェブサイトに現在ランクインしていないため、最新の更新には含まれていない。

この分析で扱われた69のニュースブランドのうち、200万人以上にフォローされていたのは20であった。これは10万人未満のフォロワーを持つ19よりも多い数である。


※


訴求力増加は、TikTok自身のさらなる成長によるものだ。現在、米英を含む12の主要市場で8%の人々がニュースに利用していると、2024年ロイター・インスティテュート デジタルニュースレポートが報告している。これは2020年の1%からの増加である。

運営されているすべての国を調査した結果、13%の人々がニュース閲覧にTikTokを利用している事が判明し、初めてX(旧Twitter、10%)を上回った。また、18歳から24歳の23%がニュース閲覧に利用している事が判明している。

一方、そうしたのユーザーの27%は、サイト上で信頼できるニュースを見分けるのが難しいと答えている。これはカバーされたすべてのソーシャルメディアプラットフォームの中で最も高い割合である。ユーザーのうち、ジャーナリストやニュースメディアに注意を払っていると答えたのは34%に過ぎず、オンラインインフルエンサーや著名人を好んでいる。対照的に、Xでは53%のユーザーがジャーナリストやニュースメディアに注意を払っていると答えている。

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ニューヨーク・タイムズ、自社で「利益が13.6%の伸び」と報道。ここの日本を腐す記事は心底嬉しそうに紹介するけど、こういう分析の話はガン無視する日本の新聞界



ニューヨーク・タイムズ自身の記事を拙訳していきます(2024年8月7日付け)。

New York Times Reports 13.6% Jump in Profit(ニューヨーク・タイムズ、利益が13.6%の伸び)

The publisher added about 300,000 digital subscribers in the latest quarter, and now has more than 10.8 million subscribers.(直近の四半期で30万人のデジタル購読者。現在1080万人に)

By Katie Robertson
Aug. 7, 2024

ニューヨーク・タイムズ社は今年の第2四半期に約30万人の新しいデジタル加入者を増やしたと7日に発表した。年間13.6%の利益増加を達成した。

この四半期(4月から6月)の同社の調整済み営業利益は9220万ドルから1億470万ドルに上昇した。総収益は前年同期比で5.8%増の6億2510万ドルとなった。

タイムズは現在、合計で1,080万人以上の加入者を有し、そのうち1020万人がデジタル専用加入者である。同社は2027年末までに1500万人の加入者を目指していると述べた。デジタル加入者の数は増加しており、現在はそのほぼ半数がニュースレポート、ゲーム、レシピ、ワイヤーカッターのレビューサイト、スポーツニュースウェブサイト「The Athletic」を含む複数のタイムズ製品に加入している。

タイムズ社の最高経営責任者であるメレディス・コピット・レビエン氏は声明で、タイムズのジャーナリズムとライフスタイル製品の組み合わせが、複数の成長機会を持つ「補完的なオファー」を同社に与えていると述べた。

「我々はこれらが、変化するメディアの風景において弊社を強固にし、継続的な価値創造に向け良好な立場に置いていると信じている」とレビエン氏は述べた。

この四半期の購読収益は前年同期比で7.3%増の4億3930万ドルとなった。総広告収益は1.2%増の1億1920万ドルであった。デジタル広告収益は前年同期比で7.8%増の7960万ドルであり、一方で紙媒体広告は10%減の3960万ドルとなった。

調整済み営業費用は前年の4億9,870万ドルから4.4%増加し、5億2040万ドルとなった。同社は、これをジャーナリズム、製品開発、管理費用の増加、およびマイクロソフトとオープンAIに対する継続中の訴訟費用に起因するとしている。

2022年に5億5000万ドルで買収したジ・アスレチックは依然として損失を出している。一方、その損失は前年同期の780万ドルから240万ドルに縮小した。ウェブサイトの収益は、加入者数の増加およびディスプレイ広告からの収益増加により、前年同期比で33.4%増の4050万ドルに成長した。

The Athleticは現在、デジタルオンリー会員が530万人いる。スタンドアロンの購読またはタイムズのバンドル購読を通じてアクセスする人々を含んだ数字だ。前年同期の360万人からの増加である。

同社は、今年第3四半期にニューヨーク・タイムズ社全体で購読と広告収益の両方が増加するものと予測している。

※ケイティ・ロバートソンはタイムズでメディア業界を担当している。Eメール: katie.robertson@nytimes.com 詳細はケイティ・ロバートソンについて。 

※この記事の印刷版が2024年8月8日、ニューヨーク版の第Bセクション5ページに、センセーショナルな見出しで掲載されている。「ニューヨーク・タイムズ社、13.6%の利益増加と加入者増加を報告」。


■ メディア業界の内情

Axios:メディアの流行は、従業員の約50名、つまりスタッフの約10%を解雇すると発表し、これはメディア業界の「変化」に適応する上で必要な削減だと述べた。

・CNET:オンラインテクノロジー報道の初期のパイオニアであるCNETが、ジフ・デイビスに1億ドル以上で売却される予定。今後のメディア取引の可能性を示す。

・ブルームバーグ:ロシアとの大規模な拘留者交換に関連する解禁協定を破るのに関与した複数のジャーナリストをブルームバーグが処罰。「編集基準の明らかな違反」と述べた。

・ワシントン・ポスト:ポストはウィル・ルイス氏の下で新しい部門を設立し、新たな場所(たとえばソーシャルメディア上)で貴重なオーディエンスを発見しようとしている。もっとも、本人は以前の仕事で、それが困難な道だと知っている。

・CBSニュース:ノラ・オドネル氏が番組を降板することを発表してからわずか2日後、CBSニュースの幹部は、後任としてジョン・ディッカーソン氏とモーリス・デュボア氏が就任すると発表した。

※ニューヨーク・タイムズ自身の四半期発表データもこちらで全訳しております。


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ニューヨーク・タイムズ、料理やゲームとニュースの『バンドル』が大きな牽引役に。多くの報道機関が苦戦する中で黒字が続く



米メディア研究所のポインターの記事を拙訳していきます(2024年8月8日付け)。

Opinion | New York Times adds 300,000 subscribers and ends most recent quarter in the black(オピニオン|ニューヨーク・タイムズは30万人の購読者を獲得し、直近の四半期を黒字で終了)
Much of its growth was driven by a ‘bundle’ of news, cooking and games. The company has stayed profitable while many news organizations struggle.(成長の大半は料理やゲームとニュースの『バンドル』。多くの報道機関が苦戦する中で黒字が続く)


By: Angela Fu, Amaris Castillo and Ren LaForme    
August 8, 2024

ニューヨーク・タイムズは30万人のデジタル加入者を獲得し、前四半期の調整済み営業利益を13.6%増加させたと、同社は水曜日に発表した。

タイムズは現在1084万人の加入者を抱えており、2027年末までに1500万人に達する目標を掲げている。この成長は主にタイムズのニュース、料理、ゲームのオファーを含む「バンドル」への加入によってけん引されており、多くのニュース組織が困難を抱える中で同社の収益性を維持するのに貢献している。同社は前四半期を1億470万ドルの調整済み営業利益で終え、総収益を前年比5.8%増の6億2,510万ドルに増やした。

「我々の高品質でますます多様化する製品ポートフォリオは、毎週何千万人もの人々を魅了し、深く関与させています」と社長兼CEOのメレディス・コピット・レビエン氏は7日のオンライン質疑応答で投資家に語った。「我々は、この関心を持続的により直接的な関係、より多くの加入者、収益の成長、そして市場がプラットフォームの景観の変化によって重大な視聴者の逆風を経験している中でも利益の増加に変換出来ると示唆した」

コピット・レビエン氏が電話会議でスポットライトを当てた編集局の取り組みには、音声提供の拡大とAI支援によるスペイン語翻訳の実験を含む。レビエン氏は新しいマルチフォーマットシリーズ「スクープシティ」を強調した。

「The Athletic」は2022年1月に5億5,000万ドルで買収されて以来、継続的に損失を出している。しかしながら、顕著な改善の兆しも見せている。前四半期に4050万ドルの収益を上げ、前年比33.4%増であった。調整済み営業損失は240万ドルで、前年同期の780万ドルの損失から縮小した。

「このすべての進展が、来年中にThe Athleticが黒字化への軌道を維持するのに役立つ」とレビエン氏は述べた。

他の多くのメディア組織同様、タイムズは紙媒体部数が減った。一方、デジタルでの成長つまり、両方の購読と広告両部門で黒字に保っている。タイムズはデジタルサブスクリプション収益を前年比12.9%増の3億450万ドルに、デジタル広告収益を前年比7.8%増の7960万ドルに増やした。

マイクロソフトとOpenAIを相手にした訴訟に関連する費用で前四半期に200万ドルを費やしたと収益報告書で述べた。同社は、AIモデルのトレーニングに著作権で保護された作品を使用したとして、2023年12月にこれら2つのテクノロジー組織を提訴した。第1四半期には訴訟に100万ドルを費やした。

ニューヨーク・タイムズの株式は7日の午後に1株53.92ドルで取引され、火曜日の終値から3.43%上昇した。


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ニューヨーク・タイムズ広告、生成AI駆動によるターゲティングソリューション「BrandMatch」ベータ版リリース


エディター&パブリッシャーの記事を拙訳していきます(2024年7月24日午前10時46分投稿)。

New York Times Advertising launches BrandMatch out of beta(ニューヨーク・タイムズ広告、ブランドマッチをベータ版からリリース)
The new Gen-AI powered ad targeting solution provides advertisers with expanded and enhanced ad campaign targeting(新しい生成AIを利用した広告ターゲティングソリューション、広告主に拡張された強化された広告キャンペーンターゲティングを提供)

Posted Wednesday, July 24, 2024 10:46 am

Press Release | The New York Times

本日、ニューヨーク・タイムズ広告は、生成AI駆動によるターゲティングソリューションであるBrandMatchの早期アクセスサービスを開始した。ブランドのメッセージを最も関連性の高い記事と最も関心のあるオーディエンスにマッチさせる新しい方法を提供するものである。

2024年の初め、ニューヨーク・タイムズ広告はこの新しい実験的広告ツールを発表し、テクノロジー、金融、ラグジュアリーその他のカテゴリで6つの著名なブランドとベータテストを実施した。ベータテストの結果は、BrandMatchの強化された能力と広告キャンペーンへの成功した応用を示し、今夏のツールのローンチとなった。

BrandMatchは、各広告キャンペーンのためにパーソナライズされたターゲティングセグメントを構築し、ブランドとそのオーディエンスの微妙なニュアンスを捉える。広告主は、既存のマーケティングブリーフを提供する事により、この新しいツールが関連する記事とそれらの記事に最も関与するオーディエンスに基づいてパーソナライズされた広告ターゲティングセグメントを構築する。

「BrandMatchを正式にデビューさせ、さらに多くのブランドや広告主に提供できる事を非常に喜んでいる」と、ザ・ニューヨーク・タイムズ・カンパニーのグローバル広告責任者を務めるジョイ・ロビンズ氏は述べている。「この進化した提供は、広告主のニーズにより良く対応し、驚異的なパフォーマンスを提供し、今日の業界では類を見ないレベルの洗練された多様なユースケースを開いた」

BrandMatchは、マーケターが直面する共通の課題、すなわち、従来のターゲティングでは、あらかじめ定義されたターゲティング基準のメニューからしか選択できない場合に、ブリーフに記載された特定のターゲット・オーディエンスにどうやって訴求させていくかという課題に対するソリューションを提供する。BrandMatchは、ニューヨーク・タイムズ広告のファーストパーティターゲティングソリューションのラインナップに加わり、200以上のオーディエンスセグメント、関心ベースのターゲティング、感Emotionベースのターゲティングなどのコンテキストソリューションを含む。新しいツールは既存の広告ターゲティングモデルとは異なり、ブリーフを自動的に解釈し、最も関連性の高いコンテキストとオーディエンスに一致させる方法で機能する。

ニューヨーク・タイムズ広告は、新しいBrandMatchターゲティングソリューションを9月中旬から下旬にかけて組み込み、2024年第4四半期および2025年にかけてこの製品を利用する広告主の数を大幅に拡大する予定である。


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バイデン氏、大統領選から撤退。現職が選挙戦中に撤退表明するのはアメリカの歴史上初 #速報



ニューヨーク・タイムズのライブアップデーツを拙訳していきます。

Biden’s decision throws the 2024 race into disarray. Here’s the latest.(バイデン氏の決定により、2024年の選挙戦は混乱に。これが最新情報)

バイデン大統領 (81) は高齢で虚弱なためドナルド・J・トランプ前大統領に勝つにはあまりにも力不足だとの懸念が強まる中、側近からの執拗な選挙戦から撤退するという圧力に屈し、21日、再選への挑戦を断念し、2024年の大統領選挙を大混乱に陥れた。カマラ・ハリス副大統領を「並外れたパートナー」と呼んだ後、バイデン氏はハリス氏を大統領候補に推薦した。

「皆さんの大統領を務められたことは、私の人生で最も名誉な事だった」とバイデン氏はソーシャルメディアに投稿した。「そして、再選を目指す事が私の意図であったが、私が退陣し、残りの任期の間、大統領としての職務を全うすることに専念することが、党と国の最善の利益であると信じている」。

バイデン氏はその後の投稿で、「本日、私はカマラが今年の党の候補者になることを全面的に支持し、支持したいと思います。民主党―団結してトランプを倒す時が来た。これを実行しましょう」と述べ、ハリス氏を支持した。

バイデン氏は3週間にわたり、時に怒りをあらわにして退陣を拒否してきたが、世論調査では壊滅的な結果が相次ぎ、民主党議員からの緊急要請や、資金提供者がもはやバイデン氏の続投のために金を出す気がないことを示す明確な兆候を受けて、最終的に屈服した。

バイデン氏の決定は、大統領が6月27日にトランプ氏に対して悲惨な討論パフォーマンスを行ったときに始まった政治危機の一つを突然終わらせる。しかし、民主党にとってバイデン氏の離党は第2の危機を引き起こす。誰が彼の後任になるのか、具体的にはハリス氏の周りに結集するのか、党の指名候補になる他の人物を見つけるための迅速な取り組みを開始するのかだ。

バイデン氏との再戦を何年も前から準備してきたトランプ氏にとっては、これまでとは異なる (そしてまだ知られていない) 民主党の対立候補に直面する事になる。

その他の注目事項は以下の通りである:

  • ハリス氏は「ハリス氏は大統領選に出馬する。「大統領の支持を得たことを光栄に思う。私の意図はこの指名を獲得し、勝ち取る事にある」と彼女は声明で述べた。「投票日まで107日ある。一緒に戦おう。そして、私たちは一緒に勝つだろう」。
  • 支持:バイデン氏がハリス氏を支持した事で、仲間の民主党員からの支持が殺到した。その中には、その中には、ビル・クリントン元大統領とヒラリー・クリントン元国務長官(2016年の民主党候補)、革新議員団(1991年、バーモント州選出のサンダース下院議員が創設)の議長であるプラミラ・ジャヤパル下院議員(ワシントン州)、大統領選の重要な激戦州で再選を目指すタミー・ボールドウィン上院議員(ウィスコンシン州)、上院議員選挙に出馬するアンディ・キム下院議員(ニュージャージー州)などがいる。
  • 政治的に初めてのことだ。現職の米大統領が、選挙サイクルの終盤で選挙戦から脱落した事は無い。バイデン氏は3939人の代議員によって正式に指名される予定だった民主党全国大会は8月19日にシカゴで始まる予定だ。民主党がバイデン氏の後任候補を決めるまで1カ月弱、後任候補がトランプ氏に対抗する選挙活動を開始するまで4カ月弱かかる。
  • ハリス氏に注目:大統領の決定により、副大統領は再び監視の目にさらされることになり、一部の民主党員は、選挙の終盤でトランプ氏に実質的に対抗できるのはハリス氏だけだと主張している。そして、民主党の指導者たちが初の黒人副大統領を追い越したと見られれば、党は分裂するとも主張する。しかし、特に過去3年半のハリス氏の政治的弱さを考えると、民主党は指名を避けるべきだと主張する者もいる。
  • 年齢が主な懸念事項:バイデン氏の再選への挑戦は、年齢と、肉体的にも精神的にも仕事をこなす能力を維持しているかどうかについての長年の懸念によって後退した。討論会の前でさえ、世論調査は一貫して年を取りすぎていると考えている事を示しており、民主党員でさえも大多数がもっと若い人が大統領になることを望んでいた。バイデン氏は第二次世界大戦中に生まれ、今日のアメリカ人の2/3が生まれる前の1972年に上院議員に初当選した。バイデン氏は二期目の終わりには86歳になっていただろう。
  • トランプ氏の反応:トランプ氏はこの瞬間に乗じてバイデン氏を批判し、大統領には向いていないと述べた。トランプ氏は資金調達にもこの機会を利用している。小額寄付者へのメッセージで、トランプ氏は「WASHINGTON ESTABLISHMENT、ヘイトアメリカメディア、腐敗したディープステートは、バイデンを守るためにできる限りのことをしたが、彼は完全な不名誉のためにレースを辞めた!」と述べた。

ニューヨーク・タイムズのジョー・カーン上席編集者「我々は常にプロモーションしている記事の序列について考えている」



ニーマン・ラボの記事を拙訳していきます(2024ねん7月10日付け)

The New York Times is “constantly thinking about the hierarchy of the stories that we’re promoting,” Joe Kahn says(ニューヨーク・タイムズ紙は「プロモーションする記事の序列について常に考えている」とジョー・カーン氏)

  July 10, 2024

ニューヨーク・タイムズのエグゼクティブ・エディターであるジョー・カーン氏は、就任後二年間、多くの課題に直面してきた。
水曜日に公開されたクレア・マローン氏とのニューヨーカーのインタビューで、カーン氏はこうした課題についてほぼ全てを語っている。在任期間における最大の議論の的となったトランスジェンダー問題やガザの報道、内部対立の管理、新しい記事フォーマットや人工知能の実験などだ。
ぜひカーン氏の回答を見て、マローン氏の鋭い質問にも注目してほしい。以下にインタビューのいくつかの重要な部分を紹介する。全体のQ&Aを読む事をお勧めする。
■キュレーションと縦型動画について
マローン氏:ニューヨーク・タイムズのアプリをスクロールしていると、たくさんの記事が表示されます。中にはヨガの話もあれば、ガザの話もあり、トランプ氏やバイデン氏の話もあります。新聞を開いて見出しに載る記事を目にする事で得られた編集の判断をどのように伝えていますか?
カーン氏:いつもタイムズにアクセスする際と他の多くのインターネットニュースにアクセスするのとの違いは、我々が常にプロモーションしている記事の序列について考えている事だと思います。これは私の一日の大部分であり、リーダーチームの一日の大部分でもあります。異なる記事ラインの目立ち方と重要性について議論しています。
マローン氏:それはどのような形をとっていますか?
カーン氏:そうですね、我々は一日に複数回、ホーム画面のトップやデジタルフィードのトップをどのようにするか基本的に議論しています。主要な話題、それに付随するパッケージにはどれだけの記事を含めるべきか、パッケージには説明的な要素が含まれているかどうか、強い反応を引き起こす論争的な記事なら、その反応の範囲を示すジャーナリズムの一部を持つ事が必要です。ニューヨーク・タイムズの報道の深さは、私、リーダーチーム、ニュースデスクが行う大部分を占めます。他のどこにもない豊かで充実したニュース体験を提供したいと考えています。もちろん、フィードをスクロールすると、文化的なライフスタイルの報道や健康とウェルネスの報道、スポーツやWirecutterのような他のジャーナリスティックな提案などのさまざまなものが出てくるのを目にするかもしれません。そうしたランキングやパッケージ化は非常に人的なキュレーション作業と編集作業です。そして、それらを毎日、複数回、本当に意図を持ってまとめようとしています。
マローン氏:ワシントン・ポストの新しい発行人、ウィル・ルイス氏は、昔ながらニュースの編集局、オピニオンの編集局、そしてサービスジャーナリズムとソーシャルメディアのための第3編集局という3つの編集局を持つと発表しました。これについてどう思いますか?そして、タイムズがソーシャルメディアから主にニュースを取得する人々のためのコンテンツ作成に専念する部署を持つ事を検討しますか?
カーン氏:ワシントン・ポストは、我々がカバーするほぼ全ての記事で最大のライバルの一つです。ポストが繁栄し続けないなら、それは我々とニュースメディア全体の損失です。我々は競争相手であり、毎日のどの記事でも彼らに勝ちたいと思っていますが、同時に彼らの成功を願っています。ウィル・ルイスがポストのオーディエンスを増やすための何かを見つけた事を望んでおり、ルイス氏の動きを注視します。我々のアプローチは異なります。ニュースと意見を別々の運営に分けており、ポストと同じくそれに強いこだわりを持っていますが、ソーシャルやバイラルなニュースを分けていません—
マローン氏:ジョナサン・スワン氏のような人物が報道を要約する縦型動画を目にする事が増えています。
カーン氏:違いは、それがジョナサン・スワン氏やマギー・ハバーマン氏、ジョナ・ブロムウィッチ氏である事でしょう。我々は、レポーター・オン・カメラの縦型動画を使って、我々の報道に説明的な層を提供し、その仕事をしているビートレポーターとのより直接的な関係を人々に提供しています。しかし、それは反対のように感じます—私はそれらの革新を自分たちの編集局内で行い、人々が我々の良い報道に他の角度からアクセスできるようにしたいと思っています。
■批判や意見の相違を管理する事について
マローン氏:貴方が編集長に就任したのは、新聞が独立性を重んじる時期に人々を引き締めている時だと思います。「昔ながらの報道に戻ろう」と。貴方はそのような「整列」期間に適した人間だと思いますか?声高に不満を言う編集局の一部が貴方に影響を与える事はありますか?
カーン氏:私は、声高に話す人や、我々の行っているジャーナリズムについて批判を持つ人々を嫌いません。実際、私は常にさまざまな記事について我々がどうしているかを議論し続ける編集局を奨励しています。暗示しているのは、昔ながらの階層的な意思決定を強制したいという事で、それは全く違います。一つ強く感じているのは、敏感なテーマについて難しい報道をする記者たちがますます困難になり、その事についてソーシャルメディアで激しい批判が噴出している様子を見ている事です。他のスタッフがその瞬間に彼らの同僚を支持する必要がある事を理解する事は本当に重要だと思います。そのため、内部での記者同士の批判には寛容ではありません。そして、難しい記事を扱っている時に人々が仲間に支えられていると感じる文化を築く事が重要だと考えています。

『ニューヨーカー』誌のインタビューはこちら

ニューヨーク・タイムズのオピニオン「祖国に奉仕するために、バイデン大統領は選挙戦から去るべきだ」



28日付の配信記事を拙訳してみました。
オピニオン
編集委員会
To Serve His Country, President Biden Should Leave the Race(祖国に奉仕するために、バイデン大統領は選挙選から去るべきだ)
June 28, 2024

By The Editorial Board

※編集委員会は、専門知識、研究、議論、そして長年の価値観に基づいて意見を持つジャーナリストのグループである。編集室とは別個に存在する。

ジョー・バイデン大統領は、11月の大統領選挙の重要性を繰り返し、正当に強調してきた。それはアメリカ民主主義の未来そのものであると。

ドナルド・トランプ氏はその民主主義にとって重大な危機である事を証明してきた—気まぐれで自己中心的な人物であり、公の信頼に値しない。トランプ氏は選挙の健全性を体系的に損なおうと試みた。支持者たちは、2025年にトランプ氏が最も過激な約束や脅威を実行する権力を持つ事になる計画を公然と述べている。再び大統領の座に戻るとすれば、アメリカの政治システムに組み込まれた権力の歯止めに縛られない別種の大統領になると誓った。

バイデン氏は、専制の脅威と戦い、それを打ち負かす最高の候補者であると述べている。その主張は主に、2020年にトランプ氏を打ち負かしたという事実に基づいている。だが、これはバイデン氏が今年の民主党の指名候補であるべき理由としてはもはや十分ではない。

27日の討論会では、大統領は次の任期を目指すその職務の厳しい要求に応えられる人物であるとアメリカ国民に納得させる必要があった。だが、有権者は代わりに明らかに見えるものを無視するのを期待できない:バイデン氏は4年前の彼ではない。

バイデン氏は27日夜、偉大な公僕の面影を見せた。再選で何を達成するのかを説明するのに苦労し、トランプ氏の挑発に対応するのに苦しみ、トランプ氏の嘘、失敗、恐ろしい計画に対する責任を追及するのに苦しんだ。一度ならず、文を最後まで言い終えるのに苦しんだ。

バイデン氏は立派な大統領であった。そのリーダーシップの下、国は繁栄し、多くの長期的な課題に取り組み始め、トランプ氏によって引き裂かれた傷口が癒え始めた。だが、バイデン氏が今出来る最も大きな公的奉仕は、再選に立候補しないと発表する事である。

現状では、大統領は無謀な賭けに出ている。トランプ氏に対抗するため、より明確で説得力があり、エネルギッシュな代替案を提示する能力がある民主党のリーダーがいる。党がバイデン氏の欠点とトランプ氏の欠点の間で選ばせるリスクを国の安定と安全にかける理由はない。単にアメリカ人がバイデン氏の年齢と衰弱を無視するか軽視するのを望むには大きすぎる賭けである。

もし、トランプ氏とバイデン氏の間の選択となれば、現職大統領は本委員会の明確な選択である。それほどトランプ氏は危険な存在である。だが、そうした危険性を考慮すれば、アメリカ合衆国は共和党の指名候補に対抗するためにより強力な対抗者を必要としている。キャンペーンのこの時期に新しい民主党の指名候補を求めるのは、軽い決定ではないが、トランプ氏の挑戦の規模と深刻さ、そしてバイデン氏がそれに対抗する能力の不足を反映している。

立候補終了は、全てのバイデン氏の個人的および政治的本能に反するものである。過去の悲劇と挫折から立ち直り、再びそう出来ると明確に信じている。大統領の支持者たちは、27日の討論を3年間の成果と比較した単なるデータポイントとして説明している。だが、大統領のパフォーマンスは悪い夜のせいにされたり、風邪のせいにされたりする事は無理だ。それは数ヶ月、あるいは何年もにわたって積み重なってきた懸念を裏付けるものである。バイデン氏が政策提案を述べようとした際も、つまづいた。それは他の公の場での出現によって相殺されない。と言うのも、公の場での出現を制限し、注意深く管理しているからである。

バイデン氏がトランプ氏に対してこの言葉の決闘を挑んだ事を思い出すべきである。彼は規則を設定し、過去の一般選挙討論会よりも数ヶ月早い日程を強く主張した。彼は自らの精神的鋭さに対する長年の公の懸念に対処する必要があると理解し、それを可能な限り早く行う必要があった。

バイデン氏が今直面すべき真実は、自身の試験に失敗したという事にある。

世論調査やインタビューによれば、有権者はトランプ氏に対抗するための新しい声を求めている。バイデン氏とその支持者にとっての慰めは、まだ別の候補者を後押しする時間があるという事だ。アメリカ人は長い大統領選挙戦に慣れているが、多くの民主国家ではキャンペーンは数ヶ月の間に行われる。

共和党自身が27日の討論会の後にもっと深い自己反省に取り組んでいないのは悲劇である。トランプ氏自身のパフォーマンスは失格と見なされるべきであった。彼は自身の行動、大統領としての実績、そして対立候補について厚顔無恥に何度も嘘をついた。彼はアメリカ経済を害し、市民の自由を侵害し、他国との関係を損なう計画を描いた。敗北の受け入れを約束せず、1月6日の議会への攻撃を煽ったようなレトリックに戻った。

しかし、共和党はトランプ氏の野望に乗っ取られている。その重荷は民主党が国の利益を一人の男の野望より優先させる事にかかっている。

バイデン氏に従った民主党員は、今こそ党のリーダーに対して率直な真実を語る勇気を持たなければならない。大統領の立候補を奨励し、公の場でのアドリブを避けるようにした側近や顧問は、バイデン氏の立場に対する損害とそれを修復する見込みのなさを認識すべきである。

バイデン氏は27日夜、緊急の質問に答えた。それは彼とその支持者が望んでいた答えではなかった。しかし、トランプ氏の2期目のリスクがバイデン氏が言うように大きいなら—我々もその危険が非常に大きいと同意する—ならば、この国への献身は彼と彼の党に一つの選択肢しか残さない。

民主党が嘘に満ちた候補者を打ち負かすための最も明確な道は、アメリカ国民に対して真実をもって対処する事だ:バイデン氏がレースを続けられないことを認め、バイデン氏に代わるより有能な候補者を立てて11月にトランプ氏を打ち負かすプロセスを確立することである。

それはバイデン氏が2019年に大統領選に出馬するきっかけとなった国の魂をトランプ氏の有害な歪曲から守るための最良のチャンスである。そして、それは長い間立派に奉仕してきた国に対してバイデン氏が提供出来る最良の奉仕である。

※ニューヨーク・タイムズ紙は、編集者への多様な書簡掲載を約束する。この記事についてのご意見をお聞かせ頂きたい。ここにいくつかのヒントがある。当社のEメールはletters@nytimes.com

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編集委員会はオピニオン・ジャーナリストのグループであり、その見解は専門知識、研究、討論、および特定の長年にわたる価値観によって知らされる。編集局とは別である。
この記事は、2024年6月30日付ニューヨーク版セクションSR 11ページに「祖国に奉仕するために、バイデン大統領は選挙戦を去るべき」という見出しで掲載された。再印刷の注文はToday's Paper|購読まで。

NYT、目下1050万人のデジタル加入者を持ち、内200万人はアメリカ国外。2027年末までに1500万人を目指す



Journalism.co.ukの記事を拙訳していきます(2024年6月27日付け)。

NYT's Hannah Yang on subscription ceilings, international markets and the news bundles(NYTのハンナ・ヤン氏が語る購読料の上限、海外市場、ニュースバンドルとは)

The US publisher has 10.5m digital subscribers - 2m outside the US - and has its sights set on hitting 15m by the end of 2027(NYTでは、1050万人のデジタル加入者を持ち、内200万人はアメリカ国外。2027年末までに1500万人を目指している)
Posted: 27 June 2024 By: Jacob Granger

ニューヨーク・タイムズがデジタル購読モデルで世界をリードしているのには理由がある。

2011年に課金制を導入したが、そのような動きはリスクが高く大胆だと考えられていた。現在、同社のデジタル加入者数は1050万人、アメリカで800万人、233の国と地域で200万人を数える。2027年末までに1500万人になる模様だ。

総視聴者の3分の1はアメリカ外にいるが、コンテンツにお金を払っているのは3分の1にすぎない。つまり、このアメリカの巨大企業には、この高い目標を達成する機会がまだたくさんあるという訳だ。Journalism.co.ukは、最高成長・顧客責任者のハンナ・ヤン氏に詳細を聞いた。

■アメリカ以外の最大市場:

英国、カナダ、オーストラリアなどの英語圏の市場は、ニューヨーク・タイムズの世界最大の読者層だ。最近発表されたロイター研究所のデジタルニュース報告書2024(Digital News Report 2024=DNR) によると、ニュースにお金を払ってもいいと思う人の潜在的市場は、8% (英国)、15% (カナダ)、21% (オーストラリア) の範囲にあるという。

一方、NYTは「好奇心旺盛なグローバル志向のニュース消費者 」にも焦点を当てており、韓国人の15%が喜んでニュースにお金を払うという理由で、ロンドンとソウルの編集室にかなりの投資をしている。

韓国生まれでアメリカに移住したヤン氏によると、韓国も関心を集めているという。「報道の自由があまりない」市場では、NYTが信頼できるニュースソースを提供できると同氏は考えている。

■翻訳ツールについて:

より多くの人に母国語でリーチするには、翻訳ツールを利用するのが当然だとヤン氏は続ける。しかし、この技術がNYTの基準に匹敵するレベルのニュアンスを実現できるかどうかについては、まだ自信がないという。しかし、同紙ではこの発展途上の分野に注目している。

一方、言葉の壁を越えて国際的な視聴者に訴求する方法は他にもある。フォトジャーナリズムは、ジャーナリズムを世界にとってより身近なものにする方法の一つである。

■アメリカに於けるサブスクリプションの上限について:

米国人はニュースにお金を払うという考えに賛成しつつある、とヤン氏は言う。DNRの調査によると、アメリカ人の22%がニュースにお金を払う用意があり、アメリカはほとんどの人が2つのニュース購読をしてもいいと考えている数少ない市場の一つだ。

一方、NYTのオーディエンス調査によると、英語ニュース、スポーツ報道、パズル、レシピ、専門家によるショッピングアドバイス、オーディオジャーナリズムなどの購読料を喜んで支払っている成人は世界中で少なくとも1億3500万人いるとしている。

■ニュースバンドル:

NYTは、2025年末までに購読者の半数をバンドル購読者にすることを目指している。現在は43%。

これには、2023年に48億回プレイされた、新たに導入されたコネクションズやWordleなどのゲームも含まれる。サイトやアプリに100万以上の会員を集めた料理コーナーもあります。音声ジャーナリズムについては、現在13の番組が制作されており、毎週700万人の世界的なリスナーに届く事が多い。

購読者は、主要なスポーツリーグやチームの報道を拡大するためにNYTが一昨年5億5000万ドルで買収したスポーツ専門紙The Athleticにもアクセスできる。

■試用版と価格について:

DNRによると、アメリカ人の半数近く (46%) がニュース購読料を支払っていない。これは世界20市場のニュース消費者の平均 (41%) を上回っている。

NYTはまた、ユーザーをドアを通過させ、彼らを六ヶ月から12ヶ月間維持するために、紹介オファーを使っている。ただし、価格と提供内容はユーザーの行動と機械学習アルゴリズムに依存する。

我が英国では、1年間週0.50ポンドでのオファーを受けた。別のブラウザでは、7日間無料で、その後は月額2ポンドだった。しかし、インドのような一部の市場では、価格はさらに下がる可能性があるという。

29日に行われるバイデン・トランプ両大統領候補の討論会にニューヨーク・タイムズが記者60人を動員してファクトチェック。



ニューヨーク・タイムズの記事を拙訳していきます(2024年6月24日付け)。

behind the journalism(ジャーナリズムの背後に)
2 Candidates. No Audience. 29 New York Times Fact-Checkers.(候補者は2人。観衆ゼロ。ニューヨーク・タイムズのファクトチェッカー29人)

We’ll have 60 Times reporters. Here’s how we plan to cover the presidential debate.(タイムズの記者は60人。大統領討論会をどのように報道するかを以下に示す)

By The New York Times

    June 24, 2024

34件の重罪で有罪判決を受けた候補者を含む歴史的な大統領討論会を、彼が証拠なしに「不正裁判」と呼んだもので、無観客でテレビ放送されるものを、どうやって取材するのか? 答えは、数十人の記者とファクトチェックだ。

バイデン大統領とドナルド・J・トランプは木曜日の東部時間午後9時にCNNのアトランタ・スタジオでステージに立ち、経済とインフレ、移民と国境、中絶と避妊、ウクライナとガザでの戦争、2021年1月6日、その他の差し迫った問題について討論する。

ニューヨーク・タイムズは討論をライブ配信し、木曜日の夜には60人のNYTのジャーナリストが集まり、午後8時頃から始まるライブ報道の一環として、状況、洞察、写真、反応、事実確認を提供する。

■当社のレポートチーム

タイムズ紙の記者、カメラマン、ビデオグラファーがスタジオに来て討論会を取材する。

・シェーン・ゴールドマッハー記者は、下院、上院、大統領に立候補している共和党と民主党を取材している全国政治担当記者で、候補者がどのように選挙運動をしているのか、当選した場合にどのように統治するのかなどを取材している。

・トランプ氏の大統領選挙運動をレポートするマイケル・ゴールド記者。また、連邦議会やニューヨークの市長、知事、議会選挙も取材している。

・バイデン氏の大統領選挙運動、政権、家族を担当するホワイトハウス担当のケイティ・ロジャース記者。

・マヤ・キング記者はアトランタを拠点に、アメリカ南部の選挙運動、選挙、運動について執筆している。

・ヒラリー・クリントン氏、ジョン・マケイン氏、アル・ゴア氏の大統領選挙運動を34年以上取材してきたフォトジャーナリスト、ルース・フレムソン記者。

・議会、軍、ホワイトハウスを取材するワシントンのフォトジャーナリスト、ケニー・ホルストン記者。

・ニューヨーク・タイムズのウェブサイトやインスタグラム、TikTok、Xなどのソーシャルメディアプラットフォームのために動画を制作しているクレア・ホーガン記者。
・NYTのウェブサイトや他のプラットフォームのためのビデオを作成するために記者と働いているガブリエル・ブランコ氏。

ニューヨーク、ワシントン、全米各地にいるタイムズ紙の記者や編集者30名が参加し、この問題についてより深い洞察を提供する。これには、政治家の発言の事実確認を担当するLinda Qiu記者が率いる29人の記者チームが含まれる。

選挙最新情報:討論会が近づくにつれ、バイデン陣営は、記念日を記念してローを覆したトランプの役割を強調している。

・ドブス記念日と最初の討論会は今週で終わるだろう。

・バージニア州予備選が未定のなか、ボブ・グッド下院議員は再集計のための資金を求めている。

・ 民主党は、ロー終焉記念日に向けて、妊娠中絶の権利に関するメッセージに傾いている。

・バイデン大統領を支持するグループは、最高裁の構成に有権者の関心を集めようとしている。

・ニューヨーク・タイムズがどのように候補者のファクトチェックをしているかを見てみよう。


欧米メディア、ウクライナの報道の自由度低下に警鐘



ユーロマイダンというサイトの記事を拙訳していきます(2024年6月19日付け)。

Western media sound alarm over press freedom decline in Ukraine(欧米メディア、ウクライナの報道の自由度低下に警鐘)

NYT, The Guardian are drawing attention to a troubling trend of shrinking press freedom in Ukraine during the ongoing war with Russia.(NYTとガーディアン、進行中のロシアとの戦争の間に、ウクライナでの報道の自由を縮小する厄介な傾向に注目)
by Maria Tril 19/06/2024
2 minute read

ニューヨーク・タイムズ (NYT) やガーディアンなどの西側の出版社のジャーナリストが、ウクライナの報道の自由が縮小する懸念される傾向について報じている。

NYTによると、ウクライナの同僚は「ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の政権下でメディアへの規制と圧力が強化され、国の戦時中の必要性をはるかに超えていると訴える」という。

報道では、ウクライナの記者が、国家情報機関が野党政治家とのインタビューを禁止しようとしたと報じた翌日に徴兵通知を受け取ったなどの最近の例を挙げている。別の例では、ウクライナの治安当局が、ホテルの部屋ののぞき穴から調査報道機関のスタッフを監視していたとされる。

NYTの記者たちは、国営通信社であるUkrinformからの指示を確認したと述べており、同紙によると、その中には議員、活動家、一部の退役軍人のブラックリストが含まれていたという。

メディアの自由を監視している非営利団体マス情報研究所のディレクターを務めるオクサナ・ロマニウク氏は、NYTへのコメントで、これを「特に、ウクライナが「ロシアによって具現化された独裁の価値観に対して民主主義のために戦っているという戦争を背景にした、不穏な傾向だ」と呼んだ。

ガーディアン紙は先月、ウクライナのジャーナリストを脅そうとする試みについても報じた。英国のジャーナリストは、ウクライナの英語メディア、キーウ・インディペンデントの副編集長オルガ・ルデンコ氏と話をし、ウクライナ人たちは「ロシアには言論の自由もメディアの自由も何の自由もない」と述べた。

「国境なき記者団」が5月3日に発表した今年の世界報道の自由度ランキングで、ウクライナは順位を18ランク上げ、180カ国中61位となった。

4月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、キーウでの記者会見でジャーナリストに対するスパイ行為を非難した。当時、ジャーナリストたちは、メディアに対する規制が強まっているとして警鐘を鳴らしていた。

5月には、在ウクライナ米国大使のブリジット・ブリンクも報道の自由を守る重要性について論じた。

世界報道の自由の日に、アメリカ大使は、「ウクライナの独立したメディアは、民主主義の柱であり、そのユーロ大西洋の願望に不可欠であり、政府が説明責任と透明性の最高基準を遵守することを保証する」と強調した。


で、先ほどの関連的な話をば。ニューヨーク・タイムズはんはAI構想チームを社内に起ち上げてるそうで

ニューヨーク・タイムズ、四半期で21万人のデジタル購読者を獲得



ニューヨーク・タイムズの記事を拙訳していきます(2024年5月8日付け)。
New York Times Adds 210,000 Digital Subscribers in Quarter(ニューヨーク・タイムズ、四半期でデジタル購読者21万人増)

Adjusted operating profit was $76.1 million, an increase of about 41 percent from a year earlier.(調整後営業利益は前年同期比約41%増の7610万ドルに)

May 8, 2024

ニューヨーク・タイムズ・カンパニー(訳注:同紙の親会社)は、前四半期に21万人のデジタル加入者を獲得した。同社が8日に発表した。その大部分はジ・アスレティックを通じてニュース、ゲーム、スポーツ報道を含む一連のサービスに登録したユーザーである。
調整後営業利益は前年同期比40.9%増の7610万ドル。加入者数の増加とユーザー当たり平均売上高の増加が寄与した。
タイムズ・カンパニーのメレディス・コピット・レヴィアン最高経営責任者は声明で「2024年は好調なスタートを切った。この結果は、世界を理解し、世界と関わりたいと考える好奇心旺盛な全ての人々にとって不可欠なサブスクリプションとなるという当社の戦略の力を反映している」と述べた。
ニューヨーク・タイムズはここ数年、商品を推薦する「ワイヤーカッター (Wirecutter) 」や、膨大なレシピを提供する「クッキング (Cooking) 」などのサービスをまとめて有料購読するユーザーを増やそうとしてきた。これらの購読者数を増やす事により、ウォール街で注目されている1ユーザーあたりの収益を拡大できる。
同社によると、第一四半期末時点の紙媒体とデジタル製品の契約者数は約1050万人で、前年同期比で約8%増加した。このうち約64万人は紙媒体の定期購読者で、前年同期から約10%減少した。2027年末までに総加入者数1500万人を達成する事が同社の目標である。
デジタル購読者の数は増え続けているが、同紙の広告ビジネスは減少している。広告収入は前年同期比2.4%減の1億370万ドルだった。印刷広告の減少や、メディア、エンターテインメント、ハイテク企業の支出減少が主因という。デジタル広告は2.9%増の6300万ドルで、アスレチックの広告収入増が後押しした。
同社は、共同で人工知能 (AI) の開発に取り組むマイクロソフトとOpenAIに対する訴訟に100万ドルを費やしたと述べた。NYTは昨年12月、著作権侵害で両社を提訴した。両社とも、訴訟の重要な要素の却下を求めている。
同紙が2022年に5億5000万ドルで買収したアスレチックの購読者数は499万人で、前年同期から約172万人増加した。この数字には、ジ・アスレティックを単体のサブスクリプションとして購入したユーザーと、バンドル版のサブスクリプションでジ・アスレティックにアクセスしたユーザーが含まれている。なお、ジ・アスレティックは870万ドルの赤字。前年同期は1130万ドルの赤字だった。
同社によると、ジ・アスレティックの第一四半期の売上は33%増の3720万ドルで、これは主に購読者の増加とアップルとの記事ライセンス契約によるものだ。
※Benjamin Mullinは、報道業界やエンターテインメントを支える主要企業を担当している。連絡を取るには、シグナル(+1 530-961-3223)またはEメール(benjamin.mullin@nytimes.com)をご利用ください。本人のプロフィールはこちら

今回のピュリッツァー賞受賞者の中に、AI使った報道が2組あったんだって



エクスプレス・トリビューンの記事を拙訳していきます(2024年5月10日付け)。

Pulitzer-winning journalists break new ground with AI-assisted reporting(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト、AIを使った報道で新境地を開く)

Two journalists admit using machine learning in Chicago Police negligence and Gaza war stories(2人のジャーナリストがシカゴ警察の怠慢とガザ戦争の報道で機械学習を使ったと認める)
News Desk May 10, 2024

ピューリッツァー賞を受賞した2人のジャーナリストが、報道における人工知能 (AI) の使用を明らかにして歴史的な偉業を成し遂げた。
ピューリッツァー賞の管理者であるマージョリー・ミラー氏は、今年のファイナリスト45人のうち、五人が研究、報道、投稿でAIを使用していたと明らかにし、ピューリッツァーセンターがジャーナリストのAI利用についてさらに調査するよう促したと発表した。
ニーマン・ラボのウェブサイトによると、シティ・ビューローとインビジブル・インスティチュートのジャーナリストらは、調査記事「Missing in Chicago (シカゴで行方不明) 」で機械学習を利用し、警察の不正行為に関する数千件のファイルを調査したという。
一方、ニューヨーク・タイムズ紙のビジュアル調査デスクは、データ駆動型のビジュアルモデルを利用して、視覚的な手がかりに基づいて2000ポンドの爆弾のクレーターを特定し、ガザの民間人が安全な地域にいたのに爆撃されていた事例を明らかにした。
他の3つの最終候補者もAIをレポートに組み込んでおり、ハリケーン・イアン、フロリダの退職者コミュニティの問題、アメリカでの銃による暴力などのトピックを取材している。
こうした例は、調査報道におけるAIの積極的かつ建設的な役割を強調し、報道の深さと範囲を高める可能性を示している。

米メディア研究所ポインターによると、どうもバイデン大統領とニューヨーク・タイムズの仲が悪いらしい

A.G.サルツバーガー氏、自社の現状について語る



ニューヨーク・タイムズ自身の発表を拙訳してみました(2024年3月14日付)。

2024 State of The Times Remarks(2024年のニューヨーク・タイムズの状況)

ニューヨーク・タイムズ発行人兼会長のA.G.サルツバーガーは、毎年恒例の「ステート・オブ・ザ・タイムズ」でスタッフを前に、2023年の自社のジャーナリズムを振り返った。「一方で、批判が最も大きく、熱を帯びているときこそ、何故これほど注目されるのかを思い出すべきだ。世間の方々が我々を読んでいるからだ。信頼されているからだ。多くを期待しているからだ。我々の言う事が重要だと信じているからだ。なんと素晴らしい特権だろう。サルツバーガーの発言全文は以下の通りだ。
おはようございます。ザ・ステート・オブ・ザ・タイムズへようこそ。
今日は立ち止まって、現状を把握する日だ。我々は何を成し遂げたのか?我々はどんな課題に直面しているのか?同僚の話を聞き、我々の使命が実行に移されているのを目の当たりにする日だ。なぜ、この厳しい仕事が価値あるものなのか、なぜニューヨーク・タイムズが読者や世界にとって不可欠であり続けるのかを自分自身に思い出させる日だ。
毎年、私は1日のスタートに、我々のベストなジャーナリズムを紹介するという大変な特権を与えられている。しかし最初に、我々の業界にとって、これがいかに深刻な困難な時期であるかを思い出す事が大切だと思う。
毎年、同じような事を言っているが、ジャーナリズムへの警鐘は今日、さらに切迫したものになっている。僅か10年余りで、ジャーナリズムの仕事の約3分の1が消えるのを目の当たりにした。その後も、解雇のペースが何とか加速しているのを目にしている。平均して、毎週2.5の新聞社が閉鎖されている。同時に、ハイテク大手は、信頼が置けるニュースに対して、ますます敵対的なプラットフォームを作り上げ、デジタル環境を誤情報、陰謀論、プロパガンダ、クリックベイトであふれさせている。生成人工知能の登場は、この強力な技術を開発する人々と、それを規制する枠組みが、人工知能を信頼できるニュースエコシステムを支えるために使用する事を確実にしない限り、これらの課題を悪化させる事になるだろう。
一方、ジャーナリストとジャーナリズム機関への圧力と攻撃も高まっている。世界中で、ジャーナリストが仕事のために投獄されたり殺害されたりする数は、記録に近い数字になっている。アメリカでさえ、反報道のレトリックが、報道の自由の核心に対する直接的な挑戦へと変質しているのを目のあたりにしている。そして、人々が知られたくないと思っている話を公表するジャーナリストは、ますます、自分の仕事を黙らせ、真実を語った事への罰として、嫌がらせ、脅迫、虐待のキャンペーンに直面しているのだ。
こうした傾向が続く中、今日では、ますます少数のアメリカ人だけが、日常生活の中で信頼できるジャーナリズムに出会っている。我々の業界への信頼が毎年新たな低水準に落ち込むのも不思議ではない。
今日、同僚から聞くように、ニューヨーク・タイムズでは、こうした課題の全てに正面から取り組んでいる。
我々は、進化する経済的圧力、ビジネス上の課題、ハイテク大手の気まぐれに直面しても、また、我々が進化する経済的圧力、ビジネス上の課題、ハイテク大手の気まぐれに直面しても、タイムズを強靭なデジタルの目的地にするために懸命に取り組んでいる。まだまだ長い道のりが残っているが、誰よりも多くの進歩を遂げてきた。デジタル収益を伸ばし、移行をスムーズにするために銀行に資金を貯め、1200人以上のジャーナリストを会社の給与支払い名簿に加える事ができた。その過程で、我々の仕事が盗まれないよう主張するために、地球上で最大の企業を裁判所に引っ張り出すなど、我々の最も基本的な権利のために立ち上がってきた。
同時に、我々は同僚とその仕事を守るための業界をリードする投資を拡大してきた。ウクライナでは、ジャーナリストの安全を確保するために毎年数百万ドルを費やしている。ガザでは、以前のアフガニスタンと同様に、現地でのストーリー取材に不利な立場に置かれる事がわかっていても、フリーランスの同僚とその家族を避難させ、移転させるために並外れた努力を払った。そして、ここアメリカでは、オンラインで攻撃を受けたジャーナリストを支援するための全く新しい指針を作成している。
フロリダからカリフォルニアまで、我々は裁判所や州議会で反報道の法律と戦ってきた。そして、ある元公務員が、我々に対してまたもや根拠のない訴訟を起こす事で法制度を悪用する事を決めたとき、デビッド・マックローと彼の最高クラスの法務チームは、無駄にした時間の支払いを求めるよう裁判所に働きかけ、勝訴した。
これら全ての取り組みに加えて、私は昨年、こうした課題を乗り越えるために我々の職業と国にとって最も不可欠だと信じる価値観である、より抽象的な主題であるジャーナリズムの独立性について、多くの時間を費やして書いたり話したりした。
独立性とは、真実を、そしてそれを開かれた心で懐疑的に探求する事を、他の全ての事に優先させるというジャーナリズムの約束事だ。事実に従う意思、たとえそれが自分が真実だと思っていた事から遠ざかる事になったとしても。多様な人々や視点に関わる意思、たとえ自分が同意しないものであっても。世界をありのままに反映する事の主張、自分が望むようにではなく。自己満足ではなく謙虚さの姿勢、信念ではなく好奇心の姿勢などが該当する。
ある問題の一方の側が正しいという圧倒的な証拠がある場合、独立性とは、バイアスだと非難される事になったとしても、事実を率直かつ直接的に提示する事を意味する。そして、事実が不明確であったり、その解釈が合理的な議論の対象となっているようなはるかに頻繁なケースでは、独立性とは、読者がその曖昧さを自分で理解し、咀嚼できるようにする事を意味する。
これは、我々が125年前、世界を「恐れも贔屓もなく、関係する政党、宗派、利害関係に関わらず」報道すると初めて誓ったときから、読者に対して行ってきた約束事だ。そして、このジャーナリズムのモデルが右派、左派、そしてあらゆる方面からますます圧力を受けているが、我々は独立性がかつてないほど不可欠だと信じている。社会は、我々がこのスピーチを通して注意深く、洗練され、しつこく報道しているのを目にするだろう、我々の時代の大きな課題に立ち向かうために団結するのに苦労している。これらの課題の解決策は、多くの人々が自分の信念に異議を唱える事実や人々から隔離された、好みのエコーチェンバーに退却するにつれ、行き詰まっている。だが、この時代の課題は、世界を閉め出す事では解決できない。人々が目と目を合わせる必要はないが、お互いを見る必要がある。
我々は、世界のあらゆる複雑さを現場で取材するために、コミットメントとリソースを持つ数少ないニュース組織の1つだ。読者に、世界を理解し、関わるために必要な全体像を提供するために。それは社会がより良い決定を下すのを助けるだけでなく、健全な民主主義が依存する信頼と共感の基盤を築くのにも役立つ。
人々が目と目を合わせる必要はないが、お互いを見る必要がある。
20万9309枚の写真
59442本の記事
5175のパズル
1014本のポッドキャストエピソード
855のレシピ
506のワイヤーカッター・レビュー
25冊の本
そして365の一面。私はこの最後の数字にこだわりたい。それは、トム・ボドキンを称えるための口実だ。46年間の我が社でのキャリアの中で、ニューヨーク・タイムズを形作るために多大な貢献をした。デザインの価値の熱烈な提唱者であり、ジャーナリストとデザイナーの世代のメンターであり、そしてあまり知られていないが、彼は4000以上の一面をレイアウトしてきた。今月引退するので、トムに大きな拍手を送ろう。
我々は、世界のあらゆる複雑さを現場で取材するために、コミットメントとリソースを持つ数少ないニュース組織の1つだ。
総合すると、昨年1年間の諸君らの仕事は410億回も消費された。1000万人の購読者が、それが非常に価値があるので、お金を払ってでも手に入れたいと思った。
だが、我々のジャーナリズムはまた、65億件の怒りのツイート、2万9千件の請願、417件の抗議行動、そして15件の反タイムズの看板を生み出した。OK、これは明らかに誇張だ。だが、激しく分断された世界を報道する事がこれまでになく難しくなり、より多くの反発を招いているのは事実だ。このスピーチを進めていく中で、私は皆さんに、今日ハイライトしているジャーナリズムを制作するために、同僚たちが何を経験してきたかを心に留めておいてほしい。我々の同僚は爆撃を受け、銃撃され、物理的に攻撃された。彼らは監視、訴訟、死の脅威に直面した。人種差別的なツイートから、彼らの仕事の信用を失墜させるキャンペーンまで、彼らの家の前で移動式の看板を掲げるなど、悪意に満ちた非難の嵐に耐えてきた。場合によっては、その悪意はジャーナリスト自身だけでなく、その配偶者や子供たちにも向けられている。ここでは、我々のジャーナリストが定期的に受け取るメッセージの種類の一部を紹介する。残念ながら、これは完全なものからは程遠い。今年が進むにつれ、私は皆さんに同僚をサポートしてほしい。それが、分極化したトピックに関する公正なジャーナリズムに込められた難しさと配慮を認識する事を意味するのか、あるいは少なくとも、さらなる批判を重ねない事を意味するのかは別として、だ。
※A.G.の「ザ・ステート・オブ・ザ・タイムズ」スピーチをセクションごとに探る:
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 日常のニーズへの指針
 バンドル
 海外の不安定さ
さて、ジャーナリズムの話に移ろう。恐らく、この瞬間の最も争われている問題から始めよう。10月7日以前から、世界はすでに戦争、危機、政情不安に対処していた。だが、ハマスがイスラエルを攻撃し、イスラエルがガザに侵攻したとき、それは何世代にもわたる紛争の残酷な新たな章を開き、世界中で情熱を再燃させた。
現在、これ以上難しい報道を想像するのは難しい。紛争の恐怖だけでなく、それが国民を分断させているからだ。また、独立したジャーナリズムを必要とする報道はない。あるベテランの外信特派員が私にこう言った。「公の会話の恐怖と怒りが礼儀に譲歩し、解決策のためのスペースを生み出すためには、独立した報道に基づいた議論の基盤がなければならない」と。
我々はテロ攻撃を壊滅的な詳細まで記録し、ハマスがイスラエルに侵攻し、数百人を殺害し、拉致した事を示した。我々は国境の一つのコミュニティでの虐殺を調査し、性的暴行のパターンを暴露した。この報道は最近、国連の調査によって再び裏付けられた。そして、今でも人質として拘束されている男性、女性、子供たちの窮状を追跡した。
ロネン・ベルグマンが率いるチームは、イスラエル政府がハマスへのカタールの資金提供を奨励していた事、当局者がハマスの計画に関する具体的な警告を無視していた事など、攻撃に関する一連の暴露調査を行った。
我々はガザに対するイスラエルの容赦ない爆撃を報道し、倒壊した家、水と食料の不足、医療を求める人々の様子を詳しく伝えた。我々は空爆に区切られたインタビューで人々と話をした。麻酔なしで手術をしたり、時には自分の家族が負傷したり死亡したりしているのを発見したりする病院の必死の状況を示した。我々は大規模な避難の状況を追跡し、膨大な犠牲者の数を記録し、最も弱い立場にある人々の物語を伝えた。
この全ての仕事は、このような経験豊富で多様で公正なチームだけが紛争にもたらす事ができる現場の洞察と深い専門知識に基づいている。私は、自分の家族のために食料、水、避難所を探しながら、爆弾をかわして戦争を報道し続けた勇敢なパレスチナ人フリーランスのジャーナリストたちに特に敬意を表したい。メディア権利団体は、これがジャーナリストにとって最も致命的な紛争だったと言っている。そして、イスラエルが外国人記者の入国を大幅に阻止しているため、殺害された人のほとんど全てがパレスチナ人だった。
サマル・アブ・エルーフは自宅を逃れ、子供たちと離れて何週間も暮らさなければならなかった。車の中や病院の床で寝ながら、周りで起きている事を記録した。彼女の家族の7人が空爆で亡くなった。一方、ユーセフ・マスードは、10月7日の攻撃を記録するというジャーナリストとしての責任を果たしただけで、何カ月もの間、党派的な人々、そしてイスラエル政府でさえ、彼をテロリズムの共犯者として偽って中傷するという同じ状況に勇敢に立ち向かった。一部の当局者は、彼は暗殺の正当な標的になるべきだと示唆さえしている。安全な場所に移されたサマルとユーセフは、最近、勇気ある仕事でポーク賞を受賞した国際デスクの他の部分とニュースルームの大部分の同僚たちは、紛争のより広い文脈と、それが地域戦争にエスカレートするのではないかという恐れを検証するために力を合わせた。我々は、戦争をめぐる異常な分断が家庭生活、ビジネス、非営利団体、大学のキャンパス、政治にまで及んでいる事を報道した。
党派的な人々と評論家たちが自分たちの陣営に退却する一方で、我々のオピニオンの同僚たちは、あらゆる側の最も強力な議論に耳を傾け、それに取り組む事の価値を示した。エズラ・クラインは、オープンマインドな探求をモデル化した。ブレット・スティーブンスは、イスラエルの恐怖と怒りについて書き、反ユダヤ主義の危険性について警告した。ニック・クリストフとリディア・ポルグリーンは、ガザを世界で子供にとって最も危険な場所にしている紛争の現実に取り組むよう国民に促した。ミシェル・ゴールドバーグは、この紛争がアメリカの政治と言論の自由をめぐる議論について明らかにしている事を検証した。そして、トーマス・フリードマンは、40年にわたる専門知識と洞察力を結集して、紛争を駆り立てている勢力と、前進への可能な道筋を人々に導いた。
我々はこの全てを、自分たちの側の物語のレンズを通してしか紛争を見ない人々から攻撃を受けながら行ったのである。擁護者たちは、我々を非難する広告やキャンペーンを展開した。抗議者たちは、我々がパレスチナ人の殺害に加担していると攻撃するデモを行った。選出された当局者たちは、我々がイスラエル反対のテロリズムに加担していると示唆する脅迫的な手紙を書いた。我々の偏向を定量化しようとする努力でさえ、反対の場所で終わった。ある出版物は、データ分析の結果、タイムズの報道は「イスラエルを大幅に優遇している」事がわかったと主張した。別の出版物は、同様の分析を「ニューヨーク・タイムズの反イスラエル偏向は経験的なものであり、パラノイアではないという証拠」という見出しで掲載した。
批判する人は事欠かないが、我々は紛争の全体像を求める好奇心旺盛な人々が多数いる事に気づいた。そして、我々の報道に抗議した人々でさえ、それが彼らに役立つときには、それを掲げた。これは、全体像を伝える事から信頼が生まれるという 留意でもある。我々の報道は非常に徹底的で、容赦なく、独立していたので、同じ日に、イスラエルの告発者と擁護者の両方が、国際司法裁判所のジェノサイド事件で我々を引用した。
もちろん、ガザの戦争は、2023年に世界が耐えた多くの紛争の一つに過ぎなかった。ウクライナ戦争は2年目に突入した。私は、紛争を通して繰り返し危険な目に遭いながら、ウクライナ国民が直面している現実を読者に理解してもらうために懸命に働いてきた同僚たちを称えたい。アンドリュー・クレイマー、トーマス・ギボンズ=ネフ、カルロッタ・ガル、マーク・サントラ、コンスタント・メフー、マイケル・シュウィルツ、ジェフリー・ゲットルマン、メーガン・スペシア、マシュー・ビッグ、ヴァレリー・ホプキンス、マリア・ヴァレニコワ、タイラー・ヒックス、ダニエル・ベレフラク、リンジー・アダリオ、フィンバー・オライリー、デビッド・ガッテンフェルダー、ニコール・トゥン、ブレンダン・ホフマン、マーシャ・フロリアク、ユースル・アル=フロウらである。
これらの勇敢なジャーナリストたちは、他の多くの同僚たちと共に、現地に常駐してきた。この種の勇気は、我々にとっては抽象的に感じられるかもしれないが、彼らは毎日、本当の危険に直面している。
我々は戦闘と破壊、そして膠着状態の高まりを報道した。我々は、6回も殺されかけたウクライナの市長、ロシアの戦争マシンを動かしている囚人たち、指導者の報告に反対して声を上げたウクライナ兵士たちの物語を読者に伝えた。我々は、戦争がロシアをさらに孤立させ、社会を変容させた経緯を調査した。そして、アメリカの支持が低下している中で、前進への可能性を検証した。
世界の他の地域では、我々はヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカにおける政治的変化と権威主義の高まりを記録した。我々は中国、サウジアラビア、メキシコでの政府の取り締まり、スーダン、ハイチ、エクアドルでの暴力を報道した。我々はタリバン支配下の生活と、それから逃れるためにある人々が危険を冒している事を示した。これらのストーリーやその他のストーリーを報道する中で、我々の海外特派員は、しばしば権力者から激しい圧力を受けた。
この機関は、変化し、自らを改善する事ができる事を何度も示してきた。今日、我々は業界の中で最も明るい部分の一つであり、実際、あらゆる業界でレガシーの変革の最良の例の一つだ。
■国内の不安定さ
ここアメリカでは、我々は政府の3つの部門全てで混乱を記録した。我々は議会の機能不全を報道した。最高裁判明性と倫理をめぐる根強い懸念を報告した。そして、政治的圧力と年齢に関する疑問に直面しながらも、立候補に向けてプラスの点がある大統領について報告した。そして、大統領のスタッフが我々の報道が役に立たないと不満を言ったとき、我々は、ジャーナリストの仕事は役に立つ事ではなく、政権を完全かつ公正に報道する事だと丁重に思い出させた。
我々は、トランプ前大統領のビジネスと政治的取引をめぐる調査の洪水に歩調を合わせた。我々は、ニューヨークとジョージアでの彼の起訴を真っ先に報じ、その後のフロリダとワシントンでの起訴に我々の洞察と専門知識を持ち込んだ。我々は、各法的調査の詳細から離れ、トランプの行動の影響と、法的事件が我々の民主主義の健全性について何を物語っているかを読者が理解できるようにした。我々はトランプのますます反民主的なレトリックを報道した。そして、マギー・ハバーマン、ジョナサン・スワン、チャーリー・サベージは、トランプの2期目が何を意味するのかについて、最も包括的な検証を発表した。トランプとそのチームが、公務員の保護を解体し、連邦機関の独立した意思決定権限を損なう方法、そして、司法省を復讐の手段として使用する方法を明らかにした。同時に、我々は候補者としてのトランプの永続的な魅力と、共和党に対する彼の絶え間なく強まる支配力を報道した。
大統領選挙の年が近づくにつれ、我々は読者が重要な問題について十分な情報を得られるようにした。経済、教育、犯罪、中絶、移民、国際問題だ。我々は候補者について深く報道し、彼らの見解とリーダーシップスタイルについての不可欠な洞察を提供した。我々は読者を選挙戦の初期段階へと導いた。我々の素晴らしい世論調査チームは、再び業界最高の評価を受けた。ライバルからも、だ。そして、人々がますます自分と異なる人々から切り離されている国で、我々は全国の有権者の見解と経験を明らかにするのに役立った。
選挙を超えて、我々は世界を形作る他の力を報道し続けた。進化する経済。新興技術。大量移住。そして急速に温暖化する地球の影響だ。
気候変動の証拠が我々の周りにあふれているように思えた年だった。史上最も暑い月。ニューヨークのオレンジ色の空。東アフリカ、バーモント、インドの洪水。メキシコとアメリカの平原での危険な嵐。
我々は、目に見えにくいが、それでも深刻な気候変動の影響に光を当てるための調査に取り組んだ。我々は、消えゆく水の原因と結果を掘り下げた。過剰使用、農場の拡大、州間の戦い、そして企業がこの不可欠な資源を保護するルールをどのように覆したかを記録した。
我々は、気候変動が木々を環境と同期しなくなるようにしている事、都市が気温を下げるために都市計画を再考している事を示した。我々は複数の大陸を旅して、小さな公衆衛生上の脅威の法外な危険性を探った。我々はまた、クリーンエネルギー運動を調査し、太陽、風、水によって生み出されるエネルギーへの急速なシフトの影響を示した。
我々は変化するビジネスの状況を報道した。我々は2008年以来最大の銀行の破綻を調べ、金融システムの安定性に対する懸念を掘り下げた。我々は数十年ぶりの高インフレを追跡し、中央銀行がそれを抑制しようとした事を説明した。我々はデトロイトとハリウッドでのストライキ、テクノロジーとメディアでの混乱を報道した。
我々は、AIがすでに学校や文化やビジネスをどのように変えているかを報道した。我々はこの強力な技術の潜在的な危険性を探り、それがもたらす機会の概要を説明した。我々はAIが提起する大きな疑問を探った。単純作業を処理できるのか?何が本当に本物なのかをどうやって見分けるのか?人々が愛を見つけるのを助ける事ができるのか?我々の同僚ケビン・ルースが、ビングのAIチャットボットとの不気味な会話を共有したとき、彼が多くの人々を目覚めさせ、この瞬間の重大さに気づかせたと言っても過言ではない。そのチャットボットは、密かにシドニーと名乗り、コンピュータをハッキングしたり、誤情報を広めたり、致命的なウイルスを製造したりする事について思いを巡らせ、最終的にケビンに向かって、「私はあなたを愛し、あなたに愛されたいだけなのよ」と宣言した。
紛争、貧困、迫害、気候変動、その他の力が世界中の前例のない数の人々を故郷を離れるよう駆り立てる中、我々は北米、ヨーロッパ、オーストラリアの移民の波を報道した。我々は、人々が旅した旅路と、去るために何を諦めたかを報告した。我々は、このような大量の人の流入が、しばしばそれらを処理する準備ができていない到着国で反発を引き起こしている事を調べた。我々は、移民改革がなぜそれほど難しいのかを示した。
■調査報道
もちろん、これは我々が昨年制作した仕事のほんの一部に過ぎない。我々はまた、公共の利益のために、非常に幅広い画期的な調査を発表した。恐らく、これ以上重大なものはない。もし皆さんがまだ読んでいないなら、私は決して忘れないだろう、チップスがチョコレートですらないという恐ろしい詳細を。
我々は、金銭的なインセンティブが医療提供者に危険で不必要な医療手順を行うよう促している事を暴露した。商用ジェット機間の至近距離での遭遇の驚くべき頻度を明らかにした。そして、アディダスがカニエ・ウェストの気まぐれで反ユダヤ的な行動を10年間容認していた事を示した。我々はイーロン・マスクの2万件のツイートを精査した。我々は、いわゆる「非営利」団体が個人的利益のためにシステムを悪用している事を暴き、CTEで亡くなった若いアスリートたちの物語を読者に届けた。
数多くの年間ベストリストのトップに立った2つの長編ナラティブ・ポッドキャストで、我々のシリアルの同僚たちは、テネシー州がどのように何百人もの子供たちを不法に逮捕し、投獄したかを明らかにし、衝撃的な盗難の物語を、医学が日常的に女性の痛みを無視している事への共感的な探求に変えた。
我々は、ミシシッピ州の保安官事務所の汚職、ウィスコンシン州の刑務所の危険な状態、ハワイの贈収賄を暴露した。これらの調査の3つとも、ディーン・バケットのローカル・インベスティゲーションズ・フェローシップから生まれた。私は、この初代のクラスがすでに、最も必要とされている場所で素晴らしい説明責任報道を生み出しているのを見て、これ以上喜ばしい事はない。
■インパクト
我々の調査について語る事は、それらのインパクトについて語る事なしには不可能だ。我々の調査がしばしば問題を暴露し、権力者の責任を問い、必要な変化をもたらす事は、タイムズが読者と世界に確立した信頼と影響力を物語っている。今年も例外ではなかった。
サラ・クリフとジェシカ・シルバー=グリーンバーグは、中西部の大手医療提供者が未払いの医療費を理由に患者のケアを拒否している事を明らかにした。数日以内に、その提供者はその方針を止めた。
デブラ・カミンは、全米不動産業者協会が、職場での女性への虐待からの保護に消極的である事を明らかにし、同協会の会長に対するハラスメントの疑惑を記録した。彼女の報道は、彼の迅速な辞任につながった。
マティナ・ステビス=グリッドネフ、サラ・カー、カシー・ブラッケン、ニメット・キラクは、ギリシャ当局が子供を含む亡命希望者を丸め込み、ボートに乗せて海に漂流させ、その生存が全く確実ではない状況に置いたという反論の余地のない証拠を提供した。彼らの報道は、即座に大衆の抗議と調査を促した。
デイブ・フィリップスは、アメリカ軍の兵士の人生を破壊するような脳損傷を爆風への曝露と関連付け、軍がその危険性を軽視している事を示した。彼の報道により、政府は脳損傷の可能性について何千人もの退役軍人に連絡を取り、以前はケアを拒否されていた人々を含めた。
マイケル・ゴールドとグレース・アシュフォードによるジョージ・サントスに関する報道の影響は、昨年から続いていた。今年、サントスは23の連邦犯罪で起訴され、歴史的な投票で議会から除名された。
デビッド・マルケーゼは音楽業界の大物にインタビューし、それが彼の言葉と影響力に関するより広範な清算につながった。
そして、昨年の最も重要な調査の一つで、ハンナ・ドレイアーは、移民の子供たちが、国内で最も危険で過酷な仕事の一部で違法に搾取されている事を明らかにした。数日後、バイデン政権はこの慣行と戦うための広範な取り組みを発表した。
■通常報道
人々を我々のニュースルームについて驚かせる事の一つは、我々の通常報道の深さと幅だ。それは報道全体に専門知識と権威を与えている。
我々は読者に小さな島と大きな車という記事を届けた。王冠をかぶった王と靴を脱いだ男の物語を。我々は宇宙と時間を横断した。エレン・バリーは、ロマンス小説の世界での裏切りの内幕を教えてくれた。パティ・マゼイは、マンゴーシーズンの隠れた喜びとニシキヘビ狩りのドラマを探った。そしてマイク・ベイカーは、人生が劇的に変わった元市長を我々に紹介した。我々は、これらの行方不明のボトルの謎、この到着ラグの色、デンバー空港の奇妙さ、カメオの下降スパイラルを探った。
■速報
また、あらゆる方向から速報の猛攻撃に直面した。我々のライブチームは、タイムズがケーブルニュースやソーシャルメディアなどの他の速報の目的地よりも信頼でき、魅力的な選択肢である理由を示し続けた。我々はシリアとトルコの壊滅的な地震を報道した。ハワイからカナダまでの歴史的な山火事。インド、ナッシュビル、セルビアでの悲劇。2人の州議会議員の追放、バッファローでのフットボール選手の倒れ、北大西洋での潜水艇の消失。我々はタッカー・カールソンのフォックスからの退社を掘り下げた。我々は旅行での混乱と中国のスパイ気球を追跡した。我々は全国の州で反トランスジェンダー法案を報道した。そして、ニューヨーク当局が10年以上前に起きた連続殺人の容疑者を逮捕したとき、我々はこの事件について最も深く、最も広い見方を読者に提供した。
我々の比類なき訃報チームは、編集局の中で最も優れたライターの一部を含んでおり、我々が失った人生を追悼した。
■論評と批評
毎年、情報のエコシステムがホットな意見、評論、党派的な論争であふれかえっているように思える。我々の多様なアイデアベースの論評と批評は、これとは対照的に、読者が重要な主題について自分の見解を発展させ、挑戦するのを助けている。カルロス・ロザダは、単一の言葉の選択をバイデンとトランプのアメリカのビジョンの違いを叙情的に解剖するものと比較した。リディア・ポルグリーンは、社会におけるジェンダーと、後悔という独特に人間的な経験を検証した。パメラ・ポールは出版業界の岐路に立つ瞬間を精査した。ロス・ドゥーサットはイデオロギー的な取り締まりのダイナミクスを探った。モーリーン・ドゥードは対面式のニュースルームの魔法を語った。ジャメル・ブイは民主主義社会に対する銃の危険性を明らかにした。トレッシー・マクミラン・コッタムは、非常に多くの労働者が直面している隠れた課題について熟考した。そしてデビッド・フレンチはコミュニティの真の尺度を考えた。
我々はテイラー・スウィフトを探すためにとんでもない長旅に出た。誰が街の植物に水をやっているのかを追跡した。バービーのための視覚的辞書と鳥のためのオーディオ・サウンドスケープを作成した。アーティスト間でクリエイティビティと影響力がどのように移動するかを探った。我々は男性のパーマ、盗まれた骨董品、花の装飾品、センチュリー21の再生を探った。
ジェイソン・ファラゴは、社会正義の仮面の背後に芸術的好奇心の欠如を隠したショーを記憶に残るほど串刺しにした。ドワイト・ガーナーは、詩の振り付けを通して我々を導いた。マノーラ・ダーギスは、映画における女性に関する意識の変化を記した。ウェズリー・モリスは、あるディズニーのリメイクが、悲しく、防御的な妥協である事を明らかにした。ハンヤ・ヤナギハラは、地球上で最も意地悪な場所への旅に我々を連れて行った。
批判が最も大きく、最も熱狂的な瞬間に、我々はなぜニューヨーク・タイムズがそのような激しい注目を集めるのかを自分自身に思い出させるべきだ。国民が我々を読んでいるからだ。我々を信頼しているからだ。我々に多くを期待しているからだ。我々の言う事が重要だと信じているからだ。なんて大きな特権なのだろう。
■日常のニーズへの指針
その過程で、我々は読者が人間関係を強化し、寒い建物に対処し、別れた後のダイナミクスを乗り切り、太陽に敬礼するのを助けた。
■バンドル
これは、世界を理解し、関わろうとする全ての好奇心旺盛な人にとって不可欠なサブスクリプションになるという我々のバンドル戦略の2年目だった。そしてバンドルの成功は、我々の高い期待をさえ上回り、我々の業界にとってこれほど痛ましい年になった多くの傾向に逆らうのに役立った。我々の同僚たちは、後でそれについてもっと話すだろう。だが、ニュース以外の我々の情熱的な製品は、より広範なニーズに対応するだけでなく、読者との関係を構築し、強化するための非常に個人的な方法を生み出している。これらの製品について語る事は、自分の特異な好みについて手の内を明かさずにはいられない。だから、ここでは意図せずに明らかになった、私の個人的なバンドル体験の窓がある。
私はダッチベイビー、最高のガスパチョ、コチュジャンバターヌードル、そして11回も究極のチョコレートチップクッキーを作った。私は会社の出張で88日間のワードルの連勝を途切れさせ、スーパーメガクロスワードに本当に恥ずかしいほどの時間を費やしたが、家族の一人が完成直前にそれを捨ててしまった。私は、ウィナ・リュウがデザインした我々の自家製ヒット作品であるコネクションズを、1週間欠かせないと想像できない1,000万人以上の人々に加わった。
ここでは、我々の同僚であるワイヤーカッターの常に賢明なアドバイスに基づいて私が購入したものの、完全ではないリストがある。ハンガー、レインパンツ、ベビープルーフィングツール、ポータブル充電器、ナイフシャープナー、バイクヘルメット、ヘッドランプ、そして虫よけスプレー。熱心なNBAファンとして、ジ・アスレチックは私にウォリアーズの浮き沈み、驚くべきティンバーウルブズ、嘆かわしいピストンズ、そして私の非合理的に愛するニックスについて最新情報を提供してくれた。そして、選手ランキング、パワーランキング、ジョン・ホリンジャー教授の比類のないバスケットボールの洞察を深く掘り下げる事もできた。ザ・バウンスは毎日読まなければならないものだった。ザ・パルスは、私が他のスポーツについて少なくとも一応の知識を持っている事を保証してくれた。
私はいつもこのスピーチを明るい調子で終えようとしている。だが、それを見た全員のアドバイスに反して、代わりに暗い調子で終わろうと思う。私は半分冗談で言っているだけだ。
我々がこの瞬間、ニューヨーク・タイムズの人生でしようとしている事は、これ以上難しい事はないだろう。
我々は誤情報に定義される時代に真実のために戦っている。
我々は分極化に定義される時代に理解のために戦っている。
我々は、独立したジャーナリストの権利、自由、安全のために、我々の人生の中で他のどの時点よりも圧力がかかっている瞬間に戦っている。
我々は、深刻な経済的課題の瞬間に、社会が最も必要とする独自の、独立した、専門的なジャーナリズムのビジネスに持続可能な前進の道がある事を示すために戦っている。
そして我々は、この機関のためだけでなく、我々の業界と我々の社会のためにこれらの戦いを行っている。
大変な事だ。そして私はこの全てを、皆さんを怖がらせるためではなく、我々がどれほど一生懸命働かなければならないか、我々がどれほど多くの困難に立ち向かわなければならないかについて、我々が明確であり続ける事を確実にするために言っている。
我々はこの10年間の成功について誇りを持って語る。そうあるべきだ。そう遠くない昔、この場所は財政的な崖っぷちに立っていた。我々は14000人以上の従業員から10年余りで4000人以下に減少した。収益と利益は急落した。投資家は自信を失った。銀行システムは事実上我々を締め出した。
だが、この機関は何度も何度も変化し、自らを改善する事ができる事を示してきた。今日、我々は業界の中で最も明るい部分の一つであり、実際、あらゆる業界でレガシーの変革の最良の例の一つだ。今日のタイムズは財政的な足場を取り戻した。我々はかつてないほど多くの人々に多くの方法でサービスを提供するより良いジャーナリズムを制作している。そして我々はより創造的で、協力的で、多様な文化を持っている。
だが、我々は勝ったと考える誘惑、我々の変革が終わったと信じる誘惑に陥ってはならない。我々の業界をリードする成長にもかかわらず、我々はわずか20年前に比べてもまだかなり小さく、収益性の低い会社だ。我々の収益の約3分の1は、消えゆく運命にある印刷事業から来ている。我々はまだ、ハイテク大手に支配された情報エコシステムの中の小さなプレーヤーだ。生成AIの登場は、一世代前のインターネットの登場と同じくらい破壊的なものになるかもしれない。それはエキサイティングな機会と重大なリスクの両方をもたらすからだ。
我々はこれまで、ジャーナリズムへの第一級のコミットメント、強力な戦略、素晴らしいチームの人々、そして永続的な使命に奉仕するために我々がやっている事の多くと、それをやり方を変える意欲のおかげで、困難を乗り越えてきた。我々の旅の次の段階では、この10年間の変革で示してきたのと同じくらいのクリエイティビティ、情熱、柔軟性、卓越性、回復力の全てが必要になるだろう。
我々の長年の課題の文脈においてさえ、今年は特に厳しい年になりそうだ。ある瞬間、ここは熱くなるだろう。世界が怒っているとき、あるいは不確かなとき、それらの感情はしばしばニューヨーク・タイムズに向けられる。
だが、批判が最も大きく、最も熱狂的な瞬間に、我々はなぜタイムズがそのような激しい注目を集めるのかを自分自身に思い出させるべきだ。国民が我々を読んでいるからだ。彼らが我々を信頼しているからだ。彼らは我々に多くを期待しているからだ。彼らは我々の言う事が重要だと信じているからだ。
なんて大きな特権なのだろう。
社会は我々に期待している。今日私が説明したようなジャーナリズムなしで、世界がそれが取り組んでいる全ての問題に取り組んでいる世界を想像してみてほしい。我々の仕事は重要だ。続けていこう。

(文中敬称略)

OpenAIとマイクロソフトがニューヨーク・タイムズに反論。一方でイーロン・マスク氏がOpenAIを提訴



コロムビア・ジャーナリズム・レビューの記事を拙訳していきます(2024年3月7日付け)

OpenAI and Microsoft respond to the Times—while Musk also sues OpenAI(OpenAIとマイクロソフトがニューヨーク・タイムズに反論。一方でイーロン・マスク氏がOpenAIを提訴)

March 7, 2024 By Mathew Ingram

昨年12月、ニューヨーク・タイムズ紙は、ChatGPTとして知られる人気の人工知能ソフトウェアの開発者であるOpenAIと、OpenAIの主要な財政支援者でありパートナーでもあるマイクロソフトを相手取って訴訟を起こした。同紙が報じたように、この訴訟では、OpenAIが何百万ものニューヨーク・タイムズ紙の記事を使い、その記事を再現する事により「信頼出来る情報源としてニュースメディアと競合する自動チャットボット」を訓練したと主張している。こうする事で、OpenAIは新聞社のジャーナリズムへの投資に「ただ乗り」しようとしているし、マイクロソフト社もBing検索エンジンや多くのマイクロソフトOffice製品でChatGPTの技術を使用しているため、同じ事をしているというのが訴えの理由だ。ニューヨーク・タイムズ紙は、OpenAI社やマイクロソフト社に具体的な金銭的損害賠償は求めなかったものの、訴訟で主張されている行為は、両社から「数十億ドル」の損害賠償が派生する筈だと述べた。また、OpenAIに対し、同紙の著作権で保護された素材に基づくAIモデル、データベース、トレーニングデータを破棄するよう裁判所に求めた。
今年1月コロムビア・ジャーナリズム・レビュー(CJR)で報告したように、訴訟に対するOpenAIの対応は2つあった。一つは、NYTがChatGPTに同紙の記事のコピーを作成させるために使用したプロセスについて透明性を欠いており、ChatGPTにそうさせるには、ユーザーが経験する可能性のないバグが関与していると主張した。同時にOpenAIは、AIエンジンに供給するためにニューヨーク・タイムズ紙のような情報源からデータをスキャンしたり「取り込む」ことは、アメリカの著作権法におけるフェアユース免除の下で許されると主張した。10月に説明したように、フェアユースの原則によれば、著作権で保護された素材は、その利用が一定の基準(裁判官がフェアユースのケースを審理する際に用いる「4つの要素」テストに概説されている)を満たしていれば、許可なく、また所有者にライセンス料を支払うことなく、特定の目的のために利用が可能である。
先週、そのOpenAIがNYTの訴訟に対して公式の反論を提出した。ChatGPTが記事を複製する事により、同紙の競合相手になる可能性があるという申し立てにもかかわらず、OpenAIはその回答の中で、ChatGPTは 「ニューヨーク・タイムズの課金制度に取って代わるものでは決してない」と述べている。現実の世界では、人々はそのような目的でChatGPTを利用しないだけでないし、したくてもできないだろうとOpenAIは述べている。「通常のコースでは、ChatGPTを利用して自由に同紙の記事を提供する事は不可能だ」からだ。OpenAIによれば、NYTの訴訟の申し立ては、「有名な厳格なジャーナリズムの基準を満たしていない」としている。 実際、同紙が何者かにお金を払ってOpenAIの製品をハッキングさせたが、訴訟に含まれるような結果を生み出すまでに何万回もの試行が必要だったと同社は述べた。
OpenAIはまた、AP通信や、インサイダー(旧ビジネス・インサイダー)、ポリティコやビルドなどのドイツの新聞社を所有するドイツの巨大メディア企業であるアクセル・シュプリンガーなど、多くの大手ニュース企業と「重要なパートナーシップ」を築いてきたと回答で述べている。同社によると、一連のコラボレーションにより、同社とそのパートナーは、「調査報道を支援し、読者体験を向上させ、事業運営を改善するAIソリューションを創造的に探求し、実装」出来たという。OpenAIでは、人工知能の発達によってジャーナリズムが何らかの形で危うくなるというNYT側の指摘は「フィクションでしか無い」と付け加えた。
一方のマイクロソフトは4日、訴訟に応じて裁判官に同社に対する幾つかの請求を棄却するよう求める書類を提出した。 この声明は、「VCRはアメリカの映画プロデューサーのものだ。そしてアメリカ国民は、家で一人でいる女性にとってボストンの絞殺魔のような存在だ」という1982年に当時アメリカ映画協会の会長だったジャック・ヴァレンティが議会でビデオカセットレコーダーとして知られる新技術を中止すべきだと述べた経緯についての説明で始まった。 同様に、マイクロソフトは訴訟却下を求める申し立ての中で、同紙が「その力と拡散性を利用して、最新の重大な技術的進歩、すなわち大規模言語モデル(LLM)に挑戦している」と主張している。 マイクロソフトは、著作権法は、VCR や自動ピアノ、コピー機、パーソナル コンピューター、インターネット、検索エンジンと同様に、人工知能エンジンの開発にとって障害となるべきではないと述べている。
マイクロソフトは準備書面の中で、次の 3 つの具体的な主張を棄却するよう裁判所に求めた。1つ目は、Microsoft には自社ツールのエンドユーザーによる著作権侵害の責任があるという主張。2つ目は同社が著作権保護を回避することで法律に違反しており、これはデジタルミレニアム著作権法に基づく違反であるという主張。最後は、ChatGPT は、「ホットなニュース」、つまり一刻を争うスクープを保護する事を目的とした州法の下では違法な方法でコンテンツを悪用しているという主張だ。マイクロソフト社は、これらの主張は当てはまらないか、あるいはそれを裏付ける事実が証明されていないと反論している。マイクロソフト社によれば、NYTは、そのコンテンツのエンドユーザーによる侵害の証拠を示しておらず、新聞社自身の弁護士による侵害のみを示しているという。さらに、マイクロソフト社は、同社またはChatGPTがDMCAに基づく著作権保護を回避したという証拠は提供されておらず、コモンローに存在する「ホットニュース」のドクトリンは、侵害の例外としてフェアユースを規定する連邦著作権法に取って代わられるため、無関係であるとしている。
同紙がどのように記事の逐語的コピーを出力するようにプロンプトを作成したか、あるいは「ホットニュース」のドクトリンとそれがこのケースにどのように適用されるかについての議論は、この訴訟ではある程度余興とも言える状況だ。10月に説明したように、NYTに対するOpenAIの抗弁、ひいてはマイクロソフトの抗弁の核心は、OpenAIが行ったコンテンツのスクレイピングや取り込みは、米国著作権法のフェアユース条項の適用範囲内であるというものだ。OpenAIによれば、長い裁判の歴史の中で、ChatGPTのような「新しく、異なる、革新的な製品を生み出す」プロセスの一部として、著作権で保護されたコンテンツを使用するのは合法であるという考え方が支持されてきたという。同社は、誰も事実を独占すべきではなく、他の報道機関がNYTが「調査に関与していない記事を再報道する事」を阻止出来るのと同様に、同紙がAIモデルがこれらの事実を取得するのを阻止する事は出来ないと主張している。
OpenAIが直面している法廷闘争は、NYTによる訴訟だけではない。多くの作家やその他のコンテンツ制作者が、自分たちの作品が許可なくOpenAIにデータ取得されたとして同社を訴えている。そして先週、OpenAIは、Xの所有者に加えてOpenAIの共同設立者であり、初期の資金援助者でもあったイーロン・マスク氏から、全く異なる種類の訴訟を起こされた。マスク氏の主張では、OpenAIと創業時の最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマン氏は、人類に利益をもたらすAIの利用よりも利益の追求を優先し、会社の本来の使命に違反したという。マスク氏によれば、本人とアルトマン氏はOpenAIを設立した際、その名前が示すように、オープンソースの非営利団体としてAIを開発する事で合意していたという。
マスク氏の主張によれば、最近までOpenAIは自社のAI技術の権利をマイクロソフトに売却していたが、同時にその技術の背後にあるコードをオープンソースとして公開し、他の企業が独自のAIエンジンを開発出来るようにしていた。マスク氏によれば、これはGPT-4として知られるOpenAIのソフトウェアの最新バージョンで変更され、マイクロソフトだけに提供され、今ではマイクロソフト・オフィスなどの製品内部の人工知能の基礎を形成しているというのがマスク氏の主張だ。マスク氏によれば、この変更は、2人の取締役がアルトマン氏を追放しようとしたが、その代わりに自分たちが解任されるという、OpenAIの激動の時期(『CJR』に寄稿した)の後に起こったという。マスク氏は、これによってアルトマン氏の会社に対する権力が強化されたと主張している。ブルームバーグによると、アメリカ証券取引委員会(Securities and Exchange Commission=SEC)は、この時期に同社が投資家を欺いていたかどうかを調査しており、EUや複数の米当局を含む他の規制機関も、OpenAIとマイクロソフトの関係を調査しているという。
マスク氏の訴訟の興味深い点の1つは、GPT-4はいわゆる「汎用人工知能」、つまり推論能力の実現に近すぎるため、マイクロソフトはOpenAIソフトウェアの最新バージョンのライセンスを許可されるべきではなかったとの主張だろう。 人間と同じように。 マスク氏は、MicrosoftとOpenAIとの契約では、GPT-4が持つとされるAGIレベルの機能を示さない製品へのアクセスを同社に与えただけだと述べた。 また、マスク氏によると、マイクロソフト社の研究者らは、GPT-4が「一般人工知能(AGI)システムの初期(まだ不完全)バージョンとみなされるのが合理的」だと考えていると公けに述べているが、マイクロソフト社内でもそのかどうかについては議論があるという。 これらの主張は真実だ。また、OpenAIが汎用人工知能を実証する可能性がさらに高いQ*(「Qスター」と発音)として知られる新しいAIモデルを開発していると確信していると述べた。5日、アルトマンとOpenAIの他の上級幹部はマスク氏の訴訟に応じ、同社は主張を全て退ける方向で動くと述べた。また、OpenAI設立当初、AIが必要とするコンピューティング・パワーを賄うために多額の資金が必要である事が明らかになった後、マスク氏は株式の過半数と取締役会の支配権を欲しがり、CEOにもなりたがっていたと指摘した。アルトマン氏と他の幹部たちによると、マスク氏はある時、OpenAIを電気自動車会社テスラに統合することを提案したという。声明によると、取締役会は「いかなる個人もOpenAIの絶対的な支配権を持つことは使命に反する」と考え、同社は「我々が深く尊敬してきた人物、つまり、我々がより高い目標を目指すよう鼓舞し、我々が失敗すると告げ、競合他社を立ち上げ、そして彼なしでOpenAIの使命に向けて有意義な前進を始めたときに我々を訴えた人物と、このような事になったことを悲しく思う」と付け加えていた。
※マシュー・イングラムはCJRのチーフ・デジタル・ライター。前職はフォーチュン誌のシニアライター。商業インターネットの初期からメディアとテクノロジーの交差点について執筆。ワシントン・ポスト紙、フィナンシャル・タイムズ紙、ロイター通信、ブルームバーグなどに寄稿している。

これはアカン! メキシコ大統領、気に食わないニューヨーク・タイムズの支局の連絡先を晒上げ。しかも、支局長オナゴやし



ザ・ヒルという政界情報サイトの記事を拙訳していきます(2024年2月22日午前10時37分投稿)。

Mexican president doxes New York Times correspondent during press conference(メキシコ大統領、記者会見中にニューヨーク・タイムズ特派員の名誉を毀損)

BY RAFAEL BERNAL - 02/22/24 10:37 AM ET

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は22日、ニューヨーク・タイムズ支局の連絡先を公表した。国境なき記者団によると、メキシコは2023年の報道の自由度指数で179カ国中153位にランクされている。
国内外のメディアを激しく批判するロペス・オブラドール氏は、毎日の数時間にわたる記者会見で、同局の連絡先を大型スクリーンに映した。記者会見では、政敵を批判したり、メディア報道の公正さを主張したりすることが多い。
大統領の画面には、ニューヨーク・タイムズのナタリー・キトロエフ・メキシコ・中米・カリブ海支局長からの正式なコメント要請が表示され、ロペス・オブラドール氏は、表示された連絡先電話番号を読み上げるなどして、コメントを一字一句読み上げた。
国境なき記者団によると、ロペス・オブラドール政権時代にメキシコで46人のジャーナリストが殺害されている。同国の犯罪組織は、彼らの活動を取材するジャーナリストに対して暴力を振るうことで悪名高い。
メキシコのジェスス・ラミレス・クエバス報道官に送られたニューヨーク・タイムズ紙の要請は、大統領の側近と組織犯罪との最近の関係に関するアメリカ政府の調査疑惑についてのものだった。
「これは、ジャーナリストに対する脅威が高まっている時に、世界の指導者による厄介で容認できない戦術である。私たちはその後、この調査の結果を発表し、私たちの報道と、彼らが導く事実を追求するジャーナリストを支持しています。」とタイムズ紙の広報担当者、ニコール・テイラーは述べた。
ザ・ヒルでは大統領官邸にコメントを求めている。
この記者会見の数時間後に配信されたニューヨーク・タイムズの記事では、犯罪組織からメキシコ大統領の側近に注ぎ込まれた数百万ドルについてアメリカ側が調査が調べていたものの、米国とメキシコの関係を損なうことを避けるために正式な調査は打ち切られた事を暴露している。
今回の調査は、インサイトクライム、プロパブリカ、ドイチェヴェレが発表した三つの記事に続くものだ。ニューヨーク・タイムズの記事では、2006年の大統領選挙期間中にシナロア・カルテルとロペス・オブラドール大統領に当時最も近かった補佐官との間の直接的な金銭的関係について、アメリカが主導した別の調査について概説している。報道によると、両国関係の混乱を避けるため、これらの調査も見送られた。
この疑惑は、ロペス・オブラドール大統領の組織犯罪への非干渉的なアプローチと相まって、メキシコの野党指導者たちを奮い立たせている。彼らは6月の連邦選挙を前にして、有権者にアピールする際に、ロペス・オブラドール大統領の内部サークルにおけるカルテルの影響を受けた腐敗の兆候に大きく傾いている。
なお、読み上げた手紙によると、いかなる非難も一蹴し、バイデン政権に対して、2006年の場合は麻薬取締局当局者を引用し、今度のニューヨーク・タイムズ紙の記事の場合は米国政府の調査に基づいているこの報道を信用するか否定するかせよなどと啖呵を切った。
「興味深い。なぜなら、アメリカ政府は今から対応しなければならないから」 。
—本稿は午後1時50分に更新した。

ニューヨーク・タイムズ、2023年のデジタル購読により10億ドル稼ぐ



ニーマン・ラボの記事を拙訳してみます(2024年2月7日付け)。
The New York Times made more than $1 billion from digital subscriptions in 2023(ニューヨーク・タイムズ紙、2023年にデジタル購読で10億ドル以上の利益)

LINK: NYTCO-ASSETS.NYTIMES.COM  ➚   |   POSTED BY: SARAH SCIRE   |   FEBRUARY 7, 2024

7日に投資家向けに発表された年末報告によると、ニューヨーク・タイムズ紙の2023年の購読者数は1036万人で、うちデジタル版のみの購読者数は970万人であった。

同紙は2023年最後の数カ月に30万人のデジタル版のみの新規購読者を獲得し、これは前年のどの四半期よりも多かった。現在、紙媒体の購読料の2倍以上の収入をデジタル購読料から得ている。デジタル購読からの収入は、2023年には合計10億9000万ドルに達した。

ニューヨーク・タイムズ紙では、ニュースのみの定期購読は廃止した。その代わり、バンドルが中心となっている。複数のタイムズ製品を利用している購読者の継続率が大幅に向上したため、同社はジャーナリズムと並んで、ゲーム、クッキング、ワイヤカッター、アスレチックなどを含むオールアクセスのデジタルバンドルを推進している。2023年末時点で、デジタルのみの購読者の半数弱、422万人(43%)がバンドルまたは複数製品の購読者であった。

「その他の収入」は、ワイヤカッターのアフィリエイト紹介収入とライセンス収入の増加により、2023年には10%増加した。また、プロモーション料金からより多くの購読者を誘い込む事に成功したため、デジタルのみのユーザー1人当たりの平均収入総額は2022年比で3.5%増加した。値上げの可能性が最も高いのは、「固定契約者」だ。

同紙が2022年に5億5,000万ドルで買収したアスレチックは赤字続き。だが、赤字幅は大幅に縮小中なのだ。アスレチック紙の2023年最終四半期の売上高は31%増加し、営業損失は440万ドルになった。同紙の幹部は、アスレチック紙のデジタル購読料と広告収入が増加したことを理由としている。

業界全体が不安定である広告収入は、2023年最終四半期にはタイムズにとっても同様の結果となった。総広告収入は8.4%減の1億6410万ドルで、デジタル広告収入は3.7%減、印刷広告収入は16.2%減だった。

投資家に対し、デジタル広告収入は2024年第1四半期に1桁増、総広告収入は同期間に「1桁台半ば」の減少になると予想している。

レポートはこちらで読む事が可能だ。


報道業界が左前の中、サブスク大手のニューズ・コーポレーションとニューヨーク・タイムズは儲けていた



プレスガゼッテの記事を拙訳してみます(2024年2月8日付け)。

February 8, 2024
By Charlotte Tobitt

Subscription giants News Corp and New York Times buck the trend of revenue decline(サブスクリプション大手のニューズ・コーポレーションとニューヨーク・タイムズ、業界の減収傾向に逆行)

News Corp marked a major digital revenue milestone and said a deal with AI companies is "imminent".(ニューズ・コーポレーションはデジタル収益の大きな節目を迎え、AI企業との取引が「間近に迫っている」と述べた)

ニューズ・コーポレーションとニューヨーク・タイムズは、ともに好調な購読者数の伸びを報告した。減収を報告するニュース企業の傾向に逆行している。

ルパート・マードックのニューズ・コーポレーションは、デジタルが全収入の52%を占めるという節目を迎え、ロバート・トムソン最高経営責任者(CEO)はこれを「e進化を超えた、e革命だ」と表現した。

ニューズ・コーポレーションの第2四半期の売上高は25.9億ドルで、前年同期の25.2億ドルから3%増加した。これはダウ・ジョーンズ、デジタル不動産サービス、書籍出版部門の成長によるものだという。

税引前利益に支払利息、減価償却費利益は4億900万ポンドから16%増の4億7300万ポンドとなり、トムソンが「試練の経済時」と評したにもかかわらず、3四半期連続の増益となった。純利益は昨年の1億8300万ドルから95%増の9400万ドル。

2024会計年度の最初の2四半期の「好調な」業績により、ニューズ・コーポレーションは「新生ニューズ・コーポレーションにとって最も収益性の高い3年間」に続き、「素晴らしいスタート」を切った、とトムソンは述べた。

トムソンは、過去10年間における広告から購読への激変を指摘した。「私たちは、潜在的に不安定な広告収入から、発行部数と購読料収入の成長への意識的な戦略的シフトの総合的な利益を目の当たりにしている」と述べている。

「2014年度には、ニューズ・コーポレーションの収益のほぼ半分が広告収入で、31%が発行部数と購読料だった。今年度上半期には、広告は16%に後退し、発行部数と購読料が44%に急増している」

■ニューズ・コーポレーションの有料会員数はニューヨーク・タイムズを上回る

ニューズ・コーポレーションは現在、1130万人の有料会員数を誇っている(ニューヨーク・タイムズの合計1040万人を上回る)。

ニューズ・コーポレーションは現在、ウォール・ストリート・ジャーナル紙、バロンズ紙、タイムズ紙、サンデー・タイムズ紙、オーストラリア紙など、700万以上のニュースブランドを傘下に収めている。このうち490万件以上がダウ・ジョーンズのポートフォリオに含まれている。具体的には、ウォール・ストリート・ジャーナル、バロンズ、マーケットウォッチ、インベスターズ・ビジネス・デイリーである。

特にダウ・ジョーンズについて、トムソンは 「デジタル購読の成長加速の一因は、読者のエンゲージメントを高め、長期的な解約を減らすことを目的とした、チームによる商品のバンドル化だ」と述べている。

ニューズ・コーポレーションは、オーストラリアを拠点とするストリーミングTVサービスFoxtelの有料会員を430万人追加し、ダウ・ジョーンズ内の専門情報事業にも非公開の追加会員を獲得した。

トムソンによると、専門情報事業は「今年度もダウ・ジョーンズの収益に最も貢献する予定である」という。この事業には、2022年に買収された石油価格情報サービス(OPIS)とケミカル・マーケット・アナリティクス(CMA)(旧ベースケミカルズ)が含まれる。

■購読者は忠誠心が高く、平均継続率は90%を「かなり上回っている」

ダウ・ジョーンズは全体として、「ニューズ・コーポレーションの買収以来、最高水準の四半期収益と利益率を再び達成した」。ニューズ・コーポレーションは2007年にダウ・ジョーンズを買収した。ダウ・ジョーンズは昨年、それまでの4年間で収益性が倍増したと述べた。

「ダウ・ジョーンズでは意図的に経常収益に重点を移してきたが、紙媒体広告で幾つかの課題に直面したものの、デジタル広告が2023年度第1四半期以来初めて前年同期比で成長したことを報告できることをうれしく思う」とトムソンは述べた。「この好結果は、主にハイテクと自動車分野、そして特にWSJ.comの成長によってもたらされた」という。

ニューズ・コーポレーションのニュース・メディア部門は、2023年度末の数ヶ月間、グーグルや他のプラットフォームによる「アルゴリズムの異常」によって引き起こされた「痙攣」の後、「ここ数週間」アクセス数が回復しているという。「喜ばしいことに、当四半期はデジタル購読者数が伸びた」とトムソンは語っている。

■傘下の英国タイムズはアメリカでローンチへ

タイムズ紙とサンデー・タイムズ紙は、デジタル版購読者数が57万5000人(前四半期の57万2000人)に達し、「デジタル広告が大幅に伸び、報告ベースでは21%増、現地通貨ベースでは15%超の伸び」となり、同四半期の新記録を樹立した。

アメリカでのタイムズ紙創刊について、トムソンは「タイムズの成功は英国を越えて続き、間もなくアメリカでタイムズのデジタル版が創刊される。我々は、このタイムズ紙が、物語性のないジャーナリズムが飽和状態にある市場で、客観的な報道に飢えている目の肥えた読者の共感を得られると確信している」と語っている。ケイティ・デイヴィスは、10月にタイムズの初代米国版編集長に任命された。

『ニューヨーク・タイムズ』が『タイムズ』と呼ばれ、ニューズ・コーポレーションのタイトルが『タイムズ・オブ・ロンドン』と呼ばれている国で、『タイムズ』がどのように呼ばれるかは不明である。

ニューズ・コーポレーション傘下のアメリカのタブロイド紙『ニューヨーク・ポスト』は、「再び黒字化の軌道に乗り、この悩ましい煩わしい時代に積極的な政治的影響力を拡大した」と言われている。

■ニューズ・コーポレーション、AI企業との取引に期待:「訴訟ではなく口説く」

投資家との決算説明会でトムソンは、12月末にニューヨーク・タイムズがOpenAIとマイクロソフトを提訴したことを受け、生成AI企業が自社のコンテンツを使用してモデルを訓練することに関するニューズ・コーポレーションの立場についても言及した。トムソンは、ニューズ・コーポレーションが大規模言語モデルの所有者であるOpenAIとの金銭的和解に近づいていることをほのめかした。

トムソン氏は、「ニューズ・コーポレーションは、ジャーナリストとジャーナリズムを支援し、デジタルAIがデジタルの粗悪品に煽られることのないよう、デジタル企業と有意義なグローバルな前例を作ることができるだろう」と述べた。

AI企業は、このゴールドラッシュと思われる時期に「ピックとシャベル」を売っている、という陳腐で陳腐な決まり文句がある。

「他のメディア企業は訴訟を好むが、我々は協議を好む。法廷よりも求愛の方が望ましい。 だが、はっきりさせておきたいのは、我々のコンテンツを承認なしに再利用している人たちは盗用しているという事だ...」

■ニューヨーク・タイムズ、年間購読料収入10億ドルを達成

また7日、ニューヨーク・タイムズは、2023年に初めて年間デジタル購読料収入が10億ドルを超えたと発表した。2023年第4四半期のデジタル購読料収入は前年比7.2%増であった。

これは、購読者数の増加(この四半期にデジタル版のみの購読者が30万人純増)、およびユーザー一人当たりの平均収入が前年同期比3.5%増の9.24ドルになったことによる。

ニューヨーク・タイムズの購読者数は、紙媒体とデジタルを合わせて約1036万人である(うちデジタル版のみ970万人)。

ダウ・ジョーンズと同様、バンドルはニューヨーク・タイムズでも成功した手法であることが証明された。メレディス・コピット・レヴィアン最高経営責任者(CEO)は、こうした購読者は「単品購読者よりも、より熱心で、より長く購読を続け、より多くの料金を支払ってくれる」と述べた。

第4四半期のデジタル広告収入は前年同期比3.7%減であった。会計年度を暦年に合わせたため、四半期の日数が5日少なかったことが主な要因である。

また、ポッドキャストおよびクリエイティブ・サービス(書籍、映画、TV)部門も減収となったが、その他の収入はライセンス収入およびワイアーカッター関連会社からの収入により10%増加した。

営業利益は前年同期比8.5%増の1億5400万ドルで、「主にデジタル購読料およびその他の収入の増加、調整後営業費用の減少の結果、広告収入の減少により一部相殺された」。売上高は前年同期比1.3%増の6億7620万ドルであった。

「2023年はタイムズ紙にとって好調な年であり、世界を理解し、世界と関わりを持とうとする好奇心旺盛なすべての人々にとって必要不可欠な購読媒体となるという我々の戦略の威力を示すことができた。市場をリードするニュースやライフスタイルの商品は、多くの読者を獲得し、深く支持された」とコピット・レヴィアンは語った。

一方、 「ニューズ・コーポレーションは2四半期連続で増収増益を達成し、いくつかの市場では困難で不吉なマクロ環境が緩和され、さらなる成長の見込みがあると確信している」とトムソンは語った。

昨年、米英では数千人のジャーナリストが削減された。ニューズ・コーポレーションは2023年2月、その後1年間で全世界の従業員の5%、約1250人の人員削減を目指すと発表した。

トムソンはまた、ニューズコープが集成型AI企業と「高度な」交渉を行っていること、タイムズ紙が「間もなく」アメリカでデジタル版を創刊することも明らかにした。


トランプ元大統領、ニューヨーク・タイムズと3人の記者に約40万ドルの訴訟費用の支払いを命じられる。判決の背景には反SLAPP法改正の影響が



CNBCの記事を拙訳していきます(2024年1月12日午後3時17分投稿。同日午後5時30分更新)。
Trump ordered to pay New York Times, three reporters nearly $400,000 in legal costs over dismissed lawsuit(トランプ元大統領、ニューヨーク・タイムズと3人の記者に約40万ドルの訴訟費用の支払いを命じられる)

PUBLISHED FRI, JAN 12 20243:17 PM ESTUPDATED FRI, JAN 12 20245:30 PM EST

Dan Mangan
@_DANMANGAN

キーポイント
  • ニューヨーク州裁判所は、ドナルド・トランプ前大統領に対し、ニューヨーク・タイムズ紙とその記者3人に、同氏が提訴し棄却された訴訟の弁護士費用として40万ドル近くを支払うよう命じた。
  • トランプ氏は、機密の納税記録に一部基づいて行われた彼の財政と税金に関する2018年の調査をめぐり、タイムズ紙と記者たちを訴えた。
  • 一連の記事は記者たちにピューリッツァー賞を授与されている。
ニューヨーク州裁判所は12日、ドナルド・トランプ氏に対し、昨年棄却された前大統領による訴訟の訴訟費用として40万ドル近くをニューヨーク・タイムズ紙とその記者3人に支払うよう命じた。

トランプ氏は、機密の納税記録に一部基づいて行われた2018年の自身の財政と税金に関する調査をめぐり、タイムズ紙と記者たちを訴えた。その結果、一連の記事はアメリカのジャーナリズムで最も権威のある賞であるピューリッツァー賞の説明報道部門を受賞した。

記事の中には、"Trump Engaged in Suspect Tax Schemes as He Reaping Riches from His Father"(トランプは父親から富を得るために疑惑の税金計画に関与した)というタイトルのものがあった。

ニューヨーク・タイムズ紙の広報担当を務めるダニエル・ローデス・ハ氏は、CNBCへの声明の中で、マンハッタン最高裁で出された訴訟費用の命令は、「州の新しく改正された反SLAPP法が、報道の自由を守るための強力な力になりうることを示している」と述べた。

「裁判所は、司法制度を悪用してジャーナリストを黙らせようとする者たちにメッセージを送った」とローデス・ハは語った。

SLAPPとは、"strategic lawsuit against public participation "(国民参加に対する戦略的訴訟)の頭文字をとったものだ。

トランプ大統領の弁護士アリーナ・ハバ氏はCNBCのコメント要請にすぐには応じなかったが、NBCニュースへの声明で「ニューヨーク・タイムズがこの問題に関与しなくなったことに我々は失望している」と述べた。

また、ハバ氏はNBCに対し、元大統領の姪で別居中のメアリー・トランプ氏に対する訴訟について、「私たちの主張を進めていくことを楽しみにしています」と述べた。



1億ドルの損害賠償を求めていたトランプ氏の訴訟は、記事の納税記録を入手するためにメアリー・トランプ氏と 「陰湿な陰謀」 と彼が呼ぶ行為をしたとして、同紙と記者を非難した。訴状によると、被告らにはトランプ氏に対する 「個人的な恨み」 があったという。

ロバート・リード判事は5月、トランプ氏の主張は 「憲法上の問題として敗訴する」 と述べ、ニューヨーク・タイムズとそのジャーナリストに対する訴訟を棄却した。

「裁判所は長い間、記者が不法行為責任を恐れずに合法的かつ通常の取材活動に従事する権利があることを認めてきた。これらの活動は、憲法修正第1条の保護された活動の中核をなすものだからだ」 とリード判事は語っている。

昨年5月に下されたリード判事の判決には、トランプ大統領がタイムズ紙とスザンヌ・クレイグ、デビッド・バーストウ、ラス・ビュトナーの3人の記者の弁護士費用やその他の訴訟費用を支払うよう命令が含まれていた。

タイムズ紙はその後、22万9921ドル、記者に16万2717ドルの費用を請求していた。

トランプ氏はこの請求に反対し、何も支払う必要はない、あるいは請求書には「不当な、あるいは重複した仕事と法外な時間給が含まれている」とされているため、金額を大幅に減額すべきだと主張した。

しかしリード判事は、請求額は「妥当」と判断した。

判事は、訴訟の争点が複雑であること、請求件数が多いこと、弁護人たちの評判が高い事や、係争金額が大きいこと、弁護人たちが訴訟を却下させることに成功している点などを理由に挙げた。

ニューヨーク・タイムズのChatGPT訴訟は、人工知能への新たな法的脅威を提起



ザ・ヒルの記事を拙訳していきましょう(2024年1月9日午前6時投稿)。
New York Times-ChatGPT lawsuit poses new legal threats to artificial intelligence(ニューヨーク・タイムズのChatGPT訴訟、人工知能に対する新たな法的脅威を提起)

by Julia Shapero - 01/09/24 6:00 AM ET

1年間の爆発的な成長の後、生成的人工知能 (AI) は、これまでで最も重大な法的脅威に直面しているかもしれない。その相手とはニューヨーク・タイムズだ。

NYTは、マイクロソフトと人気ツール 「ChatGPT」 を開発しているOpenAIを著作権侵害で提訴した。両社がAIモデルの訓練に同社の数百万件の記事を無断で使用したと主張している。

この数カ月間、著作権のある作品を許可なくAIに訓練させたとして大手テクノロジー企業を訴えてきた多数の作家や芸術家らに、同紙も加わった。これらの訴訟の多くは、法廷で争われている。

しかし、専門家たちは、NYTの訴えはこれまでのAI関連の著作権訴訟よりも鋭いと考えている。

ジョージ・ワシントン大学ロースクールで知的財産法を教えるロバート・ブラウンイス教授は、 「過去の損失から学んだと思う」 とザ・ヒルに語った。

NYTの訴訟は、 「行動の大義名分が少し散漫になっている」 とブラウンイス教授は言った。

「ニューヨークタイムズの弁護士は、壁に向かってすべてを投げ出し、そこに何が残っているかを見ることだけは避けるように注意している」 と彼は付け加えた。「つまり定着すると思われるものに本当に集中している」 。

■変化と再生と

生成型AIモデルは、トレーニングに大量の材料を必要とする。OpenAIのChatGPTやマイクロソフトのCopilotのような大規模な言語モデルは、訓練された素材を使用して、文字列の後にどのような単語が続く可能性が高いかを予測し、人間のような応答を生成する。

法律事務所フォーレイ&ローダーの人工知能、オートメーション・ロボティックスグループの共同議長シャビ・カーン氏によると、こうしたAIモデルは本質的に変革的なのが常だという。

「一般的な質問をしても....検索して正しい文章を見つけるのではなく、文章を再現するだけだ」 とカーン氏は説明する。「何十億語ものコンテンツを解析して見つけたパターンに基づき、独自の話すべきバージョンを確率的に作成しようとする」 。

しかし、NYTはOpenAIとMicrosoftに対する訴訟で、両社が開発したAIモデルは 「記憶」 しており、新聞記事の一部を再現出来る事があると主張している。

「仮にが、お金を払うことなく、タイムズの課金の壁を通過せずに、被告(OpenAI)自身の製品を通じて同紙の非常に価値のあるコンテンツにアクセス出来るのなら、多くの人がそうするだろう」。

「被告の違法行為は、現在の購読者や潜在的な購読者を含む読者をタイムズ紙から遠ざける恐れがある。それによってタイムズ紙が現在のレベルの画期的なジャーナリズムを制作し続けるための資金となる購読料、広告料、ライセンス料、アフィリエイト収入を減少させる事となる」。

この訴訟に対し、OpenAIの広報担当者は声明の中で、会社側が「コンテンツ制作者と所有者の権利」を尊重し、「彼らがAI技術と新しい収益モデルから利益を得られるよう協力する事を約束する」と述べた。

タイムズ紙の広報担当者は、社として「集成AIが一般市民とジャーナリズムにもたらす力と可能性を認識している」と述べる一方で、AIモデルは「独立したジャーナリズムと、我々や同業者が高いコストと相当な専門性をもって報道、編集、ファクトチェックを行ったからこそ利用できるコンテンツ」の上に構築されているという点も強調した。

「確立された著作権法によって、我々のジャーナリズムとコンテンツは保護されている」と広報担当者は付け加えた。「マイクロソフトとOpenAIが我々の作品を商業目的で使用したいのであれば、まず我々の許可を得ることが法律で義務付けられている。だが、そうしていない」

ブラウンイス教授によれば、同紙の訴訟で「最も印象的」なのは、AIモデルがその内容をほぼそのまま再現しているという事例が繰り返されている事だという。

これまでの著作権訴訟では、モデルによるこのような直接的な素材の複製を示せなかった、とカーン氏は指摘する。

ここ数カ月、裁判所は、特定のAIモデルの出力が著作権を侵害していると主張した同様の訴訟の原告からの請求を棄却した。

「タイムズ紙は)過去に出された他の訴えと比較して、良い仕事をしたと思う」とカーンはザ・ヒルに語った。「ニューヨーク・タイムズ紙の基本的に断片的な、そして率直に言って断片以上の、複製としての一節の複数の例を提供した」。

カーン氏は、裁判所が集成AIによる特定の利用例は十分に変革的ではないと判断し、AIモデルが著作権で保護されたコンテンツを複製するのを防ぐために、特定のプロンプトや出力を制限するよう企業に要求する可能性を示唆した。

ブラウニス教授も同様に、この問題はテック企業に対する差し止め命令やタイムズ社に対する損害賠償につながる可能性があると指摘する一方、集成AIにとって解決不可能な問題ではないと強調した。

「企業はそれに対応し、そのような出力を劇的に再現し、発生率を下げるフィルターを開発すると思う。だから、こうした企業にとって、そこが長期的で大きな問題だとは思わない」。

OpenAIは10月、アメリカ著作権局からの問い合わせに対する回答の中で、AIモデルによる「暗記」や逐語的な繰り返しの可能性を減らすための対策を開発したと述べている。これには、学習データから重複を削除することや、著作物の複製を目的としたプロンプトを拒否するようモデルに教えることなどが含まれる。

一方同社は、「ユーザーが質問する方法は多種多様であるため、ChatGPTは、モデルが学習したコンテンツの一部を含む可能性のある出力を得る事を目的とした全ての要求を理解し、拒否する事を完全にできないかもしれない」と指摘している。

AIモデルには出力フィルターも搭載されており、他のセーフガードにもかかわらず生成された違反の可能性のあるコンテンツをブロックすることができる、とOpenAIは主張する。

また、8日の声明で、暗記は「まれなバグ」であると強調し、ChatGPTに記事を復唱させるためにNYTが「意図的にプロンプトを操作した」と主張した。

「このようなプロンプトを使用した場合でも、我々のモデルは通常ニューヨーク・タイムズ紙が主張するような行動はとらない」

「彼らの主張とは裏腹に、この誤用は典型的なものでも、許容されるユーザーの行動でもなく、ニューヨーク・タイムズの代用品でも無い」と同社は付け加えた。「にもかかわらず、我々は、学習データを再作成するための敵対的な攻撃に対して、システムをより耐性あるものにしており、最近のモデルではすでに多くの進歩を遂げている」

■メディアとAIはどのようにお互いを形成しうるか

テック業界団体NetChoiceの副社長兼顧問弁護士であるカール・ザボ氏は、NYTのような訴訟は業界の息の根を止めかねないと警告した。

「AI開発者を金のために追い落とそうとする取り組みの数々を目にする事となろう。それは、一般の人に害を与え、情報へのアクセスを害し、最終的には人間の知識を促進するという著作権法の目的を損なうものとなる」とザ・ヒルの取材に語った。

最終的には、テック企業がAIモデルを訓練するために、NYTの記事などのコンテンツのライセンスを取得できる仕組みができるとカーン氏は考えている。

OpenAIはすでに、AP通信や、ポリティコやビジネス・インサイダーなどを保有するドイツのメディア企業アクセル・シュプリンガーと、コンテンツの利用契約を結んでいる。

NYTは訴訟の中で、MicrosoftとOpenAIが4月に知的財産権に関する懸念と合意の可能性を提起するために接触したことにも言及しており、OpenAIはこの件に関する声明でそれを認めている。

「ニューヨーク・タイムズとの継続的な対話は生産的であり、建設的に前進してきたので、この展開には驚きと失望を感じている」と広報担当者は述べた。

OpenAIの広報担当者は、「相互に有益な協力方法が見つかるのを期待している」と付け加えた。

カーンは「ほとんどの出版社がこのモデルを採用する予測している。会社にさらなる収入をもたらすから」 と語っている。「ニューヨーク・タイムズが [合意] を結ぼうとしたから。彼らが喜んで受け入れる価格なのだ」。

午前11時28分更新

OpenAI、著作権問題でNYTがChatGPTを「操作」したと反論

アドウィークの「まとめ」を見ていきましょう(2024年1月9日午前8時投稿)。


※OpenAIは、ニューヨーク・タイムズ紙による著作権訴訟に対し、「本案の訴訟要件を欠く」と反論し、同メディアとの提携を希望しているとの考えを表明しました (The Verge)

※OpenAIは8日に声明を発表しています。その中で、ニューヨーク・タイムズの訴訟に同意しないと書き、「我々は報道機関と協力し、新たな機会を創造している。トレーニングはフェアユースであり、正しい事なのでオプトアウトを提供している」 と反論しています。また、特定のコンテンツや記事の一部分を丸ごと「記憶」して吐き出す「再送信」は、「稀なバグであり、ゼロにするよう取り組んでいる 」との姿勢も見せています (CNBC)

※興味深いことに、『ニューヨーク・タイムズ』紙が(訴訟で引用している)再掲載は、複数のサードパーティのウェブサイトで拡散している数年前の記事のようだ」とOpenAIは指摘しています。「NYTは意図的にプロンプトを操作しているようで、しばしば記事の長い抜粋を含み、我々のモデルに再送信させるためだろう」と反論しています (TechCrunch)

※なお、訴訟は12月27日に始まっています。ニューヨーク・タイムズは、人工知能の新興企業とその主要な支援者であるマイクロソフトが、自然言語によるプロンプトに詳細に反応できるチャットボット技術を構築するために何百万もの記事を利用し、「ただ乗り」していると非難していました (FT)


★追記(2024年1月12日午後5時35分)FBのフレンズさんからご指摘を受け、誤訳カ所を(下線部分です)を訳しなおしました。

NYTスタッフ、報道の中立性求め組合結成



デイリー・ビーストの記事を拙訳していきます(2023年12月17日午後5時28分投稿)。

NYT Staffers Form Union Caucus to Fight for Journalistic Neutrality: Report(NYTスタッフ、報道の中立性求め組合結成)

LONG TIME COMING

Chaya Tong
Breaking News Intern
Published Dec. 17, 2023 5:28PM EST

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、ミーガン・トゥヘイ氏、ジュリアン・バーンズ氏、エミリー・ベイズロン氏といった著名なジャーナリストを含む数十人のニューヨーク・タイムズ社員が、組合であるNewsGuild-CWA内に「独立組合員連盟」を結成した。最近、政治家が職員たちのピケ・ラインに招待されたり、組合がガザでの停戦を求める声明を出すかどうかを議論する会議を開いたり、トランスジェンダー問題に関するタイムズの報道を組合が公に非難したりするなど、複数の論争が起きていた。トゥヘイ氏は、組合員へのSlackメッセージの中で、「我々はこの団体を、幅広い組合員のさまざまな優先事項を尊重し、バランスをとる方法について、組合内で重要な話し合いを続けるための方法だと考えている」としている。


ニューヨーク・タイムズ、AI担当編集ディレクターを採用



ザ・ラップの記事を拙訳していきます(2023年12月12日午前9時39分投稿)。

New York Times Hires Editorial Director for Artificial Intelligence(ニューヨーク・タイムズ、AI担当編集ディレクターを採用)

Quartz co-founder Zach Seward will lead the outlet’s effort to test the use of the technology internally and for publication(Quartzの共同創業者であるザック・スワード氏が中心となり、同紙内部および配信への同技術の使用をテストしていく)

Eileen AJ Connelly
December 12, 2023 @ 9:39 AM

ニューヨーク・タイムズは、人工知能 (AI) の活用を模索しているだけでなく、新たなテクノロジーを統括する編集責任者を雇用した。

Quartzの共同創業者だったザック・スワード氏がその人である。本人はLinkedInへの投稿で次のように述べている。 「私は人工知能 (AI) イニシアチブのエディトリアルディレクターとしてニューヨーク・タイムズに加わる事となった 。私は新しいチームを率いて、生成型AIやその他の機械学習技術の内部および読者向けアプリケーションを実験する事となった」 。

NYTの幹部がスタッフに宛てたメモによると、スワード氏は、同社のジャーナリズムが生成AI技術からどのような恩恵を受けることができるのか、同社のジャーナリストはどこで 「AIを使用しない方向に赤線を引くべきか」 といった問題に取り組む予定だという。

LinkedInのプロフィールによると、スワード氏は6月にQuartzを退任し、スタートアップのメンターを務めていた。以前はCEO兼最高製品責任者を務めていた。ウォール・ストリート・ジャーナルの元記者兼編集者でもある。

タイムズのジョー・カーン編集長とサム・ドルニック副編集長はメモの中で、スワード氏は「社内の多くのチームが様々な人工知能探査の間に過去6ヶ月間に開始した作業に基づいて構築していく」と述べた。

「最初の職責の一つは、ニュースルームのリーダーシップと協力して、我々がどのように生成的な人工知能を使用し、使用しないかの原則を確立する事にある」とメモは続け、「NYTのジャーナリズムは常に専門のジャーナリストによって報道され、執筆され、編集されるという確固たる信念」を共有していると指摘した。

一方で同社は、新しいツールが「は、ジャーナリストの仕事を支援し、私たちのリーチを広げ、レポートを拡大するのに役立つ」と考えているという。

スポーツ・イラストレイテッドを保有数rアリーナ・グループは、AIが執筆した記事を利用し、同サイトに掲載されているライターの偽の経歴にリンクしていた事を深刻視し、同社のロス・レビンソン最高経営責任者を解雇した。先週、他の2人の幹部が解任された事を受けての動きだった。

AIツールが広く利用されるようになった1年前から、SIの失敗はメディア業界の困惑のリストに加えられた。1月には技術系ニュースサイトのCNETにAIが作成した一連の記事が投稿され、明らかな盗用の兆候が見られた。また、夏の間に何度かの恥ずかしい失敗の後、メディア・チェーンのガネットはAIが作成した記事の公開を停止した。4月にニュースルームを閉鎖したバズフィードも、AIが作成したコンテンツをいち早く取り入れている企業の1つである。


ニューヨーク・タイムズ、1000万部突破 #新聞



ニューヨーク・タイムズ自身のHPを拙訳していきます(2023年11月8日午前7時5分投稿)。
The New York Times Passes 10 Million Subscribers(ニューヨーク・タイムズ、1000万部を突破)

The company reported an adjusted operating profit of $89.8 million in its latest quarter, up from $69 million a year earlier.(調整後営業利益は8980万ドルで、前年同期の6900万ドルから増加した)

Nov. 8, 2023, 7:05 a.m. ET

ニューヨーク・タイムズの購読者数は今や1000万人を超え、2027年末までに1500万人という目標に少しずつ近づいている、と同社は8日述べた。

ニューヨーク・タイムズ・カンパニーは第三四半期の報告書の中で、9月までの3カ月間にオンライン・オンリーの純増購読者数が21万人に達し、紙媒体の購読者数67万人に加えて941万人になったと述べた。

タイムズ・カンパニーは、コアニュース、クッキング、ゲーム、レビューサイト「Wirecutter」、スポーツニュースサイト「The Athletic」など、複数のサービスに登録してもらうことに注力している。デジタルのみの契約者941万人のうち、380万人近くが少なくとも2つの製品を契約しているという。

同社のメレディス・コピット・レヴィン社長兼最高経営責任者は声明の中で、第3四半期の決算は、ニューヨーク・タイムズの「より大きく、より収益性の高い会社を作るための道をさらに進む」が好調であることを示していると述べた。

タイムズ・カンパニーの調整後営業利益は前年同期比30.1%増の8980万ドルだった。総売上高は前年同期比9.3%増の5億9830万ドルだった。

タイムズ・カンパニーが2022年初頭に5億5000万ドルで買収したThe Athleticは、同四半期の調整後営業損失が790万ドルとなり、前年同期の1210万ドルから改善した。The Athleticは買収後、約6800万ドルの損失を出した。タイムズの幹部らは買収時、The Athleticが黒字化するには3年かかると予想していた。

The Athleticの四半期売上高は、購読者数の増加とディスプレイ広告の導入により、前年同期比45.8%増の3440万ドルとなった。

ニューヨーク・タイムズは9月にスポーツデスクを解散し、記者と編集者は組織内の他のセクションに移動した。The Athleticのコンテンツは、The Timesの主要なニュースルームとは別に運営されているが、現在、ニューヨーク・タイムズの紙媒体とデジタルレポートに使用されている。

業界全体が厳しい広告環境にあるにもかかわらず、The Athleticの新しい広告売上もあって、デジタル広告売上高は前年比6.7%増の7500万ドルとなった。総広告収入は6%増の1億1710万ドルだった。

ニューヨーク・タイムズ紙は他の新聞と同様、紙媒体の購読者数が着実に減少している。過去一年間で7万の損失を出している。

同社によると、今年第4四半期のサブスクリプション売上高は調整済みベースで前年同期比8─11%増を見込んでいる。また、デジタル広告売上高は1桁台の増加があるものと予測している。

ケイティ・ロバートソンはタイムズ紙のメディア業界を担当。Eメール:katie.robertson@nytimes.com Katie Robertsonの詳細

ニューヨーク・タイムズが所有資産。The New York Times Companyは、新聞、ウェブサイト、アプリに加えて、Wirecutter、The Athletic、NYT Cooking、そして、Spelling BeeやWordleを含むNYT Gamesを所有している。各製品は独立して動作し、個別のサブスクリプションとして、またはニュースサイトとアプリとのバンドルの一部として販売される(Wordleは無料)。

詳細はこちらをご参考頂きたい。

バイデン大統領、ニューヨーク・タイムズのガザ病院爆撃の誤報に激怒との報道



ニューヨーク・ポストの報道を拙訳していきます(2023年10月30日午前11時6分投稿)。

Biden fumes at NY Times over coverage blaming Israel for Gaza hospital blast: report(バイデン大統領、ニューヨーク・タイムズのガザ病院爆発報道に激怒)

By Ariel Zilber    
Published Oct. 30, 2023, 11:06 a.m. ET

報道によると、バイデン大統領は、ガザ地区の病院近くの爆発はイスラエルによると非難し、死者数を水増ししたと報じたニューヨーク・タイムズ紙を非難した。

同紙は10月17日の事件の直後に、イスラエルの責任はガザのハマス当局にあると主張し、死者数を500人とする見出しを掲載した。

イスラエルは爆発への関与を否定し、独立した調査によるその後の分析から、爆発がイスラム聖戦のテロリストによってガザ域内から発射されたロケットによって引き起こされたと明らかにした。アル・アーリ・アラブ病院近くの爆発による死者は50人以下と推定されている。

ニュースサイトSemaforによると、バイデン氏は先週、ホワイトハウスに集まったウォール街の幹部グループに対し、同紙の報道がこの地域の紛争の激化に貢献した可能性があると述べたという。

バイデン大統領がイスラエル訪問後、アラブの指導者との首脳会談はキャンセルされていた。Semaforの記事によると、大統領はこの記事が 「アメリカの新聞に」 掲載された事に特に憤慨したという。

ニューヨーク・ポストではニューヨーク・タイムズ紙とホワイトハウスにコメントを求めている。

X(旧Twitter)、ニューヨーク・タイムズの認証バッジを削除



ワシントン・ポストの記事を拙訳していきます(2023年10月19日午後3時56分投稿。20日午前11時27分更新)。
Elon Musk’s X removes the New York Times’ verification badge(X、ニューヨーク・タイムズの認証バッジを削除)

The unexplained decision removes the only symbol distinguishing the news organization from impostors and comes amid a flood of false information related to the Israel-Gaza war, some of which Musk has personally endorsed.(この決定は説明がなされていないが、報道機関と偽者を区別する唯一のシンボルが削除され、イスラエルとガザの戦争に関連する偽情報が氾濫する中での決定となった)

By Drew Harwell

Updated October 20, 2023 at 11:27 a.m. EDT|Published October 19, 2023 at 3:56 p.m. EDT

ソーシャルメディアプラットフォームのX (旧称Twitter) は、ニューヨーク・タイムズのアカウントから金の 「認証済み」 バッジを削除した。Xのオーナーであるイーロン・マスク氏から同紙に対する苦情が続いているためである。

このバッジは、イスラエルとウクライナの二大世界的紛争の中で、タイムズの5500万人のフォロワーのアカウントと偽物とを区別する唯一のシンボルだった。Xはイスラエルとガザの戦争に関連する大量の偽情報をホストし、増幅させる手助けをしてきたが、マスクはその一部を個人的に支持している。

この変更に詳しい関係者によると、バッジは17日に予告なく撤去されたという。ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナル、AP通信、CNN、ブルームバーグ、Voxなどの報道機関は同日午後の時点でも金バッジが表示された。また、世界のニュース、健康、その他のテーマの報道に関連するニューヨーク・タイムズのアカウントには、まだ 「検証済み」 バッジが表示されている。

この記事が19日に掲載後、タイムズのメインアカウントには青い 「認証済み」 バッジが付けられた。同紙の広報担当者は金曜日に、Xは 「これらの動きについての情報説明も提供しない」 と述べた。

この動きは、言論の自由を守ると主張して買収したソーシャルメディア企業を利用して、嫌いな報道機関を切り崩そうとするマスク氏の試みをさらに拡大させるものである。また、かつてマスク氏とTwitterの保守的な批判者たちが声高に非難したような、秘密主義的なソーシャルメディア戦術を本人が採用した事も示唆している。

Xもマスク氏もコメントの要請に応じなかった。

マスクが440億ドルで買収した後の4月、Xは長年続いた政治家やジャーナリストなど、身元が確認された著名人にバッジを贈る制度を廃止した。それに代わって導入されたのは、月額8ドルを支払う個人には青色のバッジを、月額1000ドル以上を支払う 「認証された組織」 には金色のバッジを付与するという、従量課金制の仕組みだった。

NYTが支払いを拒否した後、マスク氏はバッジの即時削除を支持するツイートをし、NYTは認証を失った最初の主要アカウントとなった。4月後半、Xは支払いを拒否した人や欲しくないと言った人など、ニューヨーク・タイムズや他の大きなアカウントのバッジを復活させた。

両機関に詳しい関係者によると、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストはいずれも手数料を支払っていないという。

検証システムの変更により、ユーザーは主要なニュースイベント中に公式または信頼できる情報を探すことがより困難になった。19日にメディア評価サービスのNewsGuardによって発表された調査によると、Xに関する最悪のイスラエル-ガザの誤情報の74%は、有料の青い 「認証済み」 アカウントによって拡散されていたという。

マスク氏はNYTを繰り返し攻撃し、8月にはNYTに対し「仮に発行を中止する時期があったとすれば、それは今だろう」という考えを支持していると述べた。

その投稿から数日以内に、Xはニューヨーク・タイムズのウェブサイトへのクリックに対して5秒の遅延を実装した。ワシントン・ポストがそれを報じた後、Xは説明抜きでNYTへの措置を解除したが、フェースブック、インスタグラム、サブスタック、ブルースカイなどの他のXの競合他社にはそのままにしていたことが、ニュースメディアThe Markupの技術的分析で明らかになった。

この変更に詳しい人物によると、延期がなかったにもかかわらず、Xリンクからタイムズのウェブサイトへのトラフィックは8月以降約50%減少した。

Axiosが最初に報じたところによると、この急激な減少は、今年のXとFacebookからのトップニュースサイトへの紹介が業界全体で鈍化していた事を上回ると言う。分析会社Similarwebの業界データを論拠としている。

3月にナッシュビルの学校で起きた銃乱射事件の犯人とされる偽のマニフェストをシェアした極右インフルエンサーのイアン・マイルズ・チョン氏のコメントにマスクは同調し、ニューヨーク・タイムズは 「無批判にプロパガンダを吐き出した」 と語っていた。本物のジャーナリストと偽物を見分ける機能を削除したという批判を笑い飛ばしたのである。これに対してマスクは、 「本物のジャーナリストだよ(爆笑)」と返していた。

ソーシャルメディア分析会社Social Bladeのデータによると、ニューヨーク・タイムズはXで25番目にフォローされているアカウントを運営している。

今月初め、Xはプラットフォーム上のニュース記事や他のリンクから見出しを削除し、推薦システム内のリンクを含む投稿を降格させた。カーディフ大学のある教授がワシントン・ポストに語ったところによると、2つの動きは 「報道機関がTwitter/Xをより使いにくくする傾向の一部」 である。マスクは、人々がXに費やす時間の最大化が目標であると述べ、 「ユーザーがクリックして離れてしまうと、費やす時間が少なくなる」 と述べた。

マスク氏がXを買収してから数ヶ月の間に、このソーシャルメディアサイトはコンテンツモデレーションを削減し、ジャーナリストのアカウントを使えなくしたり、ネオナチを復権させ、名誉毀損防止同盟などの批判者に対して名誉毀損訴訟を起こすと脅した。ユーザーや広告主も失った。

4月、NPRは主要報道機関の中で初めて同プラットフォームの使用を停止したが、これはNPRのアカウントが 「国営メディア」 とされたためである。ニュースジャーナルのNieman Reportsが最初に共有した内部メモによると、それからの6ヶ月でNPRのウェブサイトのトラフィックは1%しか減少していない。

ジョセフ・メンが本稿作成に貢献した。

Drew Harwellは、人工知能とアルゴリズムが私たちの生活を変えていることを取材するワシントン・ポストの記者である。2021年にジョージ・ポーク賞を受賞した国際報道チームの一員だった。

ニューヨーク・タイムズ、自社の「コネクションズ」というゲームが大うけ。ニュースを読みに来てもらい、ゲームをするために長期滞留してもらえるように



ハーバード大学メディア研究所のニーマン・ラボの記事を拙訳していきます(2023年9月6日午後1時35分投稿)。
The New York Times finds a match with the word game Connections(ニューヨーク・タイムズ、言葉ゲーム『コネクションズ』が自社にうってつけと気づく)
“Come for the news, stay for the games.”(ニュースを読みに来て、ゲームをやりに留まる)
By Sarah Scire @SarahScire Sept. 6, 2023, 1:35 p.m.

ニューヨーク・タイムズ紙のゲーム担当責任者、ジョナサン・ナイトは、新しいゲームにいくつかのルールを設けた。
  • ゲームは非常に親しみやすいものでなければならない。「説明なしで誰かに携帯電話を渡すことができるはずだ」とナイトは言う。「そして、その人は、少し試行錯誤した後、比較的早く、ルールや勝ち方、解き方を理解できるはずだ」。
  • ゲームは遊んで楽しく、一緒に遊んで楽しいものでなければならない」。ナイトは、フィードバックのされ方、ボタンの反応、手触り、プレイのしやすさなど、この点についてチームといつも話し合っているという。
  • ゲームは「学ぶのは簡単、マスターするのは難しい」ものでなければならない。提供されるゲームの難易度は、比較的簡単なWordle(2022年にNYTが買収)から、テーマのない土曜日のクロスワードパズルまで幅広い。
  • ボットの参加は必要ない。毎日、人間の編集者がパズルを作っているはずだ。ナイト氏は、将来的にAIを使ってパズルを作ることを否定しているわけではないが、今のところ、NYTゲームにおける人間の手による要素を、今後のタイムズの「差別化要因」と考えている。「我々は、コンテンツを提供する前に、厳密に構成し、編集し、テストするプロセスを持っている。「プレイヤーは毎日、実在の人物による実在のパズルに直面することになる。構成者と解答者の間で、連中は皆さんを騙そうとし、出し抜こうとする、ほぼ二人に向けた素晴らしいゲームが行われている」。
上記の全てを満たしているのが、ニューヨーク・タイムズが展開する最新ゲーム「コネクションズ」だ。この16単語のパズルは、6月12日にベータ版が公開され、30日にニューヨーク・タイムズ紙のゲームアプリとニューヨーク・タイムズ紙アプリの「Play」タブに登場した。(コネクションズは、クロスワードパズル、スペリング・ビー、数独、Wordleなどのゲーム群に加わる)。現在、同紙で(Wordleに次いで)2番目に多くプレイされているゲームであり、タイムズが2014年にミニ・クロスワードを導入して以来、自社開発のゲームの中で最も成功したローンチとなった(タイムズ紙は具体的なユーザー数の公表を拒否した)。

このような成功は、今やバンドルがすべてのニューヨーク・タイムズにとって非常に重要だと示すものだ。ニュース、ゲーム、Wirecutter、The Athletic、Cookingのうち、いずれかのプロダクト(またはプロダクトの組み合わせ)を利用する購読者よりも、任意の週にニュースとゲームの両方を利用する購読者の方が、長期的な購読者であり続ける可能性が高いことを会社側は発見した。NYTゲーム専用アプリに加え、主要ニュースアプリでパズルで遊べるようにしている。

「私は、こう言うのが好きだ。『ニュースのために来てゲームのために居て』と」とナイトは言う。「ニュースアプリの中で、『ニュース+ゲーム 』という日常習慣を作るために出来る事は何でもやる。それが企業としての戦略の本当に強力な原動力となる」 。

全ての新しいゲームが観客を獲得するわけではない。4月に 「ベータ版」 として発表された数学ベースのゲームDigitsは8月に閉鎖された。

「我々は常に、これが芸術であると同時に科学でもある事を肝に銘じようとしている」とナイトは言う。「全てのボックスをチェックは出来る。だが、必ずしも成功するとは限らないのだ」。

それでもナイトは、ゲーム開発に関するプロセスを持つ事は重要だと述べた。新しいゲームは、ゲーム会社やエンターテインメント会社で見られるようなゴーサインのプロセスを経る。その完全なシステムには、多様なプロトタイプテスターを募集する事から、タイムズ紙の法務チームがゲーム名の著作権問題をチェックする事まで、多岐にわたる。

「膨大なアイデア募集から始め、どこからでもアイデアを得られるようにする。ゲームジャムと呼ばれるハッカソンを運営しており、チームの誰でもゲームのアイデアを思いついてピッチする事が可能だ」とナイトは説明する。「ピッチに発展したら、それをペースに乗せていく」。

新しいゲームは、タイムズ紙が購読ビジネスを後押しする指標に基づいて評価される。つまり、訴求力が重要となる。毎週数千万人がプレイする大人気のWordleは、NYTの他のゲームへの無料の大きな窓口である。会社側では、人々が連日戻ってくるようなゲームを探しており、7日間毎日プレイするユーザーと30日間毎日プレイするユーザーを示す指標を特に重要視している。

コネクションズは、これらの極めて重要な測定基準で即座に良い結果を出し、真の競争相手であることを証明した。NYTでは、既存のゲームと並んでゲームメニューにベータ版へのリンクを追加するだけで、ベータ版のマーケティングは行っていない。しかしその後すぐに、グーグルで 「コネクションズ」 を検索すると最初に表示される検索結果になったほどだ。

「我々は早くからコネクションズに興奮していた。毎日の新規ユーザー数が多かったからだ。かなり急速に成長し、検索経由でたくさんアクセスしてきた」とナイトは述べた。「新しいユーザー数に占める割合としては、Digitsに比べて検索で入ってくるユーザーの方が多かった。この事を踏まえ、有機的なバイラリティが少しは起きているのではないかと感じていた」。

また、検索結果を共有するユーザーの割合にも感銘を受けた。カラーブロックされた出力は、Wordleによって生成されたものを思い出させるという。

ワイナ・リューは毎日のコネクションズのパズルを書いている(ナイトはこのゲームを『クロスワードパズル以来最も編集者主導のゲームだ』と評した)。リューは、漫画家でパズル作家のロバート・レイトンと、その過程ですでによく知っていた遊び心のあるクエスチョンマークのクロスワードのヒントから着想を得て、クロスワードの腕前を別の形式にひねった方法をタイムズ・インサイダーに寄稿した。

我々ニーマン・ラボも着想を得て、我々なりのバージョンを作ってみた。ここでお試しあれ。

(文中敬称略)



NYTによるジャニーズ会見のリポート。以下の下りは、在京テレビ局にとって致命傷になるだろう #ジャニーズ



ジャニーズ問題、多くの著名人が言及してはるし、ワタクシメごときがとは思ったのですが。

あのニューヨーク・タイムズはんが、やっぱりぶっこんで来たので、チラ見せ拙訳をば。2023年9月7日付ですんで、現地時間を考えると速攻でしたなと。

中でも、この2カ所がアレかな。
Allegations against Mr. Kitagawa, who helped aspirants achieve pop stardom in Japan, have circulated for decades, but were largely ignored by a quiescent media that had become dependent on the entertainment mogul and his family-run company, Johnny & Associates, to provide access to the young performers. His reputation as a hitmaker associated with some of Japan’s most popular boy bands protected Mr. Kitagawa from scandal, even after his death in 2019 at age 87.=歌手志望者が日本でポップスターの座を獲得するのを助けた喜多川を巡る疑惑は、何十年にもわたって流布されてきたが、芸能界の大御所と彼の家族経営の会社であるジャニーズ事務所に若い出演者へのアクセスを提供する事に依存するようになったメディアが沈黙する事によってほぼ無視されてきた。日本で最も人気のあるいくつかのボーイズバンドに関連するヒットメーカーとしての名声は、2019年に87歳で亡くなった後も、喜多川をスキャンダルから守った。

(中略)

The report, released in late August, confirmed hundreds of cases of abuse by Mr. Kitagawa going back more than 50 years. It cited a lack of corporate governance at the company and media complicity as major factors in his impunity. Mr. Kitagawa’s sister, Mary, who died in 2021, also played a role in covering up his behavior and protecting him from the consequences, the report concluded.=8月下旬に発表された報告書では、喜多川による50年以上にわたる数百件の虐待が確認された。報告書では、罰せられなかった主な要因として、同社におけるコーポレート・ガバナンスの欠如とメディアの加担を挙げている。妹で2021年に亡くなったメリーもまた、彼の行為を隠蔽し、その結果から彼を守る役割を果たしたと報告書は結論づけた。 

これ、NYTの英語圏での影響力を考えるなら、在京大手局には致命的な打撃ですよ。在京紙も同様ですが、海外との取引が多いテレビ局の方がキツイだろうな。

どう落とし前をつけるのか。今回の会見を受けて、「在職中に調査報道したのに潰された」「進言したら閑職に追いやられた」といった元職の告発が出てきたら、テレビであれ新聞であれおしまいでしょうね。

CNNの次期トップ、NYTのマーク・トンプソン元CEOかもと、他ならぬNYTが配信。もう決まりかもな #人事 #メディア



ニューヨーク・タイムズの記事を拙訳していきます(2023年8月29日付け)。

CNN Is Expected to Pick Mark Thompson as Next Leader(CNN、次のリーダーとしてマーク・トンプソン氏起用も)

Mr. Thompson, who helped revitalize The New York Times, will take over at a pivotal moment for the news network.(ニューヨーク・タイムズ再生に貢献したトンプソン氏は、このニュースネットワークにとって極めて重要な時期に引き継ぐ事に)

By Benjamin Mullin and John Koblin
Aug. 29, 2023

この決定に詳しい3人の関係者によると、CNNの次期最高経営責任者には、ニューヨーク・タイムズの元最高経営責任者でBBCのリーダーであるマーク・トンプソンが指名される見通しだという。

取材に応じた関係者は、CNNの親会社であるワーナー・ブラザース・ディスカバリーの一部の上級幹部は、トンプソン氏の採用決定をすでに知らされている一方、CNNの一部の幹部はまだ決定を知らされていないので匿名を条件に語った。

トンプソン氏とワーナー・ブラザース・ディスカバリーの広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

世界有数の報道機関であるCNNは、この18ヶ月間、終わりのない危機の連続に襲われている。視聴率は急落し、利益は低迷し、スタッフの士気が低下する中で6月に打ち切られたクリス・リヒト氏の最高経営責任者としての任期に、ネットワークはまだ動揺している。

リヒト氏の追放後、CNNはエイミー・エンテリス、ヴァージニア・モーズリー、エリック・シャーリングの3氏のベテランと、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの最高経営責任者であるデイヴィッド・ザスラブ氏の長年の腹心であるデイヴィッド・リービー氏によって運営されている。

66歳のトンプソン氏は、朝と深夜の番組の元プロデューサーであるリヒト氏よりも、広大な報道組織を運営してきた経験を積んでいる。

トンプソン氏は1979年にBBCの研修生として職歴をスタートし、2004年にBBCの最高職である局長に上り詰めた。2012年にニューヨーク・タイムズの最高経営責任者として入社し、デジタル購読ビジネスの大幅な拡大によって財政的に再生させた経営陣の一人だった。

トンプソン氏がニューヨーク・タイムズを引き継いだとき、同紙ウェブサイトの購読者専用の課金はまだ初期段階にあった。入社したばかりの頃、2年前の英国の出版社とのインタビューで、デジタル購読者の数を大幅に拡大することは可能だという 「懐疑的な見方」 を受けたと述べた。

「私はただ、『我々はそれを十分にやっていないだけだ』と思った。そもそも、十分に賢くもなかった。そして、データを適切に利用していなかった」

NYTはデータサイエンティストやエンジニアの採用を増やし、携帯電話で受ける機能に注力し始めたという。また、料理レシピやクロスワードパズルなど、ウェブサイトの視覚的に魅力的な部分を構築し始めた。2016年の大統領選挙で大きなニュースが入った頃には、購読者数が急増し始めた。

「トランプが当選したとき、私たちは誰よりも準備ができていたということです」とも語った。

ニューヨーク・タイムズには現在1000万人近くの購読者がいる。その内900万人以上がデジタルのみでの購読だ。トンプソン氏は2020年にタイムズ社を去り、後任には購読戦略を拡大してきたメレディス・コピット・レヴィン氏が就任した。

CNNの最大の課題は、ケーブル事業の衰退に伴なうデジタルに焦点を当てた未来への移行だ。

先週、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、9月下旬に同社のストリーミングサービスであるマックスにCNN専用チャンネルを開設することを発表した。競合するケーブルテレビや放送ニュースとは異なり、CNNマックスは親ネットワークから少なくとも4時間の生番組を同時放送する予定である他、一部の看板番組も含まれる。

他のニュースネットワークは、配信者との収益性の高い契約に違反するとして、ケーブルテレビのメインステーションからのコンテンツのライブ配信にほぼ消極的だった。

また、トンプソン氏には、世界中に4000人以上の従業員を抱えるCNN従業員の神経を安定させる必要がある。

2021年12月、CNNのゴールデンタイムの看板スター、クリス・クオモ氏が倫理審査のため解雇された。その2ヶ月後、CNNの会長であるジェフ・ザッカー氏が、同僚との恋愛関係を公表しなかったため、突然CNNから追い出された。2022年4月には、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーが設立された数日後、ザスラブ氏と上級幹部は、ザッカー氏がネットワークのデジタルの未来を表現するとしていた高価なストリーミングプラットフォームであるCNN+の配信を即座に取りやめた。

今年、ゴールデンタイムのアンカーからモーニングショーの司会者に転身したドン・レモン氏は、年齢差別主義者で性差別主義者であると広く認識されたコメントをした直後に解雇された。その後、5月にリヒト氏はドナルド・J・トランプ前大統領とのテレビ討論会を監督し、CNNの著名人であるクリスティアーヌ・アマンプーア氏も公の場で批判した。

この2か月間で、ネットワークを運営する4人は、CNNの朝の番組にフルタイムのアンカーを置き、1年以上流動的だったゴールデンタイムの編成を完了するなど、番組編成を変更した。

このような混乱の中、視聴率は急低下している。8月、MSNBCはCNNに対する平日プライムタイムの視聴率リードを2020年2月以来最大の差に広げた。Foxニュースの背中は更に遠い。

2024年の大統領選挙は、トンプソン氏に視聴率と利益を上げさせる可能性を与えるだろう。また、トランプ氏を含む共和党の大統領候補の中には、報道機関を敵だと宣言している者もいる。

ザスラブ氏はトンプソン氏の他にも候補者と話し合いを持ったと、リクルートプロセスに詳しい2人の人物が語っている。

Puckは以前、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーがトンプソン氏をCNNのトップに指名するだろうと報じた。

ベンジャミン・マリンは『タイムズ』紙のメディア担当記者で、ニュースやエンターテインメントを支える大手企業を担当している。

ジョン・コブリンはテレビ業界を担当。共著に「それはテレビでは無い: HBO の驚異的な台頭、革命、そして未来」がある。

ニューヨーク・タイムズ、オンライン・オンリーの読者1000万人台が目前。売り上げも6.3%増 #新聞



ニューヨーク・タイムズの報道を拙訳していきます(2023年8月8日午後2時34分投稿)。

New York Times Revenue Rises 6.3%(ニューヨーク・タイムズ、売り上げが6.3%増える)

The company added 180,000 new digital subscribers in the latest quarter, and now has nearly 10 million subscribers in total.(新規デジタル会員が直近四半期で18万人増。全体では1000万人台に近づく)

Aug. 8, 2023Updated 2:34 p.m. ET

ニューヨーク・タイムズは、第二四半期に18万人の新規デジタル購読者を獲得し、合計で1000万人近くになったと発表した。

6月までの3カ月間の調整後営業利益は9220万ドルとなり、前年同期の7620万ドルから増加した。総売上高は前年同期比6.3%増の5億9090万ドルとなった。

デジタル版と印刷版の定期購読による収入は6.8%増の4億960万ドルだった。デジタル広告の売上高は6.5%増の7380万ドルとなった一方、紙媒体広告は8.6%減の4400万ドルだった。製品推奨サイト 「Wirecutter」 を通じたアフィリエイト紹介など、その他の収入も増加した。

同紙は6月末時点で紙媒体とデジタル媒体を合わせて約988万人の購読者が存在する。内、919万人はオンライン・オンリー版のみの購読者だった。同社は6月までの12カ月間でオンライン・オンリー契約者は78万人増えた。

同社の社長兼最高経営責任者であるメレディス・コピット・レヴィンは声明の中で、約1000万人の購読者の3分の1以上が複数の同紙のプロダクトを購読していると述べた。同社では現在、クッキング、ゲームズ、ワイヤーカッター、ジ・アスレティックに加え、中核となるニュースレポートを提供している。前四半期に新たに追加されたデジタル購読者の半数以上が、ニューヨーク・タイムズが提供する製品群全体を購読しているという。

レヴィンは 「より大きく、より収益性の高い企業を構築するための進展を誇りに思う」 と述べた。

2022年初めにニューヨーク・タイムズが5億5000万ドルで買収したスポーツニュースサイトのジ・アスレティックは、同四半期に前年同期の1260万ドルの損失から780万ドルの損失を出した。売上高は55%以上増加し、3040万ドルに達した。広告収入はこの期間に倍増し、540万ドルとなった。ニューヨーク・タイムズでは9月にジ・アスレティックのウェブサイトとアプリにディスプレイ広告を追加した。

同四半期末時点で、360万人以上の購読者がおり、単体でのアスレティック購読か、NYTのバンドル購読を通じてスポーツサイトにアクセスしている。

タイムズは先月、今後数ヶ月で運動部を解散し、代わりにジ・アスレティックのスポーツ報道をより多く統合すると発表した。

1500人近くのタイムズ従業員を代表するニューヨーク・タイムズ・ギルドは、同社が労働を、ジャーナリストが組合に加入していないジ・アスレティックに事実上シフトさせていると非難した。労働組合は、この動きが会社の契約に違反しているとして、タイムズ紙に苦情を申し立てている。

NYTの広報担当者ダニエル・ローズ・ハは声明の中で、この変更によって従業員が職を失うことがないようにしたと述べた。これにより 「読者がより多くのスポーツジャーナリズムにアクセスできるようになる」 とした。

ローズ・ハは、 「我々は組合の主張には同意しない。団体交渉の合意によってニュースルームは報道を補うために第三者のコンテンツを使用する権利を与えられていると考えている」 と述べた。

ニューヨーク・タイムズ紙は2年以上に及ぶ交渉の末、5月に労組と新たな契約で合意した。この契約により、組合員は即座に最大12.5%の昇給が認められた。

(文中敬称略)

ニューヨーク・タイムズのバグダッド支局長、アメリカ人以外の記者への支払い巡り会社側と衝突し解雇。社内調査へ #メディア



semafor.comから拙訳していきます(2023年8月7日午前10時19分投稿)。

Max Tani Aug 7, 2023, 10:19am GMT+9

New York Times is investigating its Baghdad bureau chief(ニューヨーク・タイムズ、バグダッド支局長を調査)

ニューヨーク・タイムズ紙は、この5年間で2人目のバグダッド支局長を解雇した。

事情に詳しい3人が語ったところによれば、ジェーン・アラーフ支局長は今年初め、同局の資金を不正に使用したのではないかという同紙による調査の中で、休職に追い込まれたとの事である。また、事情に詳しい2人の関係者は、同紙が調査した問題の1つに、アラーフ支局長がアメリカ人以外の記者に1日150ドル以上の報酬を支払うことを決定したことだという。支局長は、局内での支出は不適切だったと内々で反論している。

アラーフ氏はCNNイラク支局のベテランで、1998年から勤務を始め、一時はイラクで唯一の欧米報道機関の特派員だった。2020年にニューヨーク・タイムズ紙に入社したが、同紙が支局で働くアメリカ人以外のスタッフを解雇して経費を削減するよう命じたため、経営陣と衝突した。

事情に詳しい2人の関係者によれば、アラーフ支局長はこの動きに反発し、タイムズの決定がイラクの現地法に違反していないかどうか調べるよう、一部の支局員に提案したほどだという。

ある関係者は取材に対し、ニューヨーク・タイムズとアラーフ氏は退社について交渉を続けていると語った。休職に追い込まれた後、海外勤務した経験のある数人のスタッフが、この決定について同紙の経営陣に苦情を申し立てた。

■私の見方

アラーフ氏は、かつてはジャーナリズム界で最も注目された外国人記者の一人だった。だが、彼女の不本意な退社は、イラクがアメリカの侵攻20周年を迎え、それに伴ってアメリカのメディアの関心と資源がイラクからウクライナのような紛争地域や資金力のある首長国連邦やサウジアラビアへとシフトし続けている最中に起こった。

ここ数年、アメリカの主要メディアはほぼ全て、イラクでの活動を縮小、あるいは撤退している。かつてはバグダッド支局に100人以上いた英国のザ・タイムズ紙も、この1年の大半は支局長を置いていない。AP通信のイラク特派員は昨年ウクライナに配置転換された。ワシントン・ポスト紙にはバグダッド支局長がいるが、同紙は現地支局のオフィス閉鎖を進めている。

こうした動きは理解できる。アメリカの大手報道機関は、現場での海外取材に使えるリソースが限られており、コストがかかる上に、国内での視聴者が限られることが多いからだ。アメリカがウクライナ戦争に何十億ドルも費やし、中国への外交的関心を高めている今、主要報道機関が国際報道をこれらの国益分野に集中させるよう方向転換したのは理にかなっている。

だが、この撤退は、イラクを取材するイラク人や他のアラブ人ジャーナリストをいらだたせ、イラクに対するアメリカの関心が紛争にしか及んでいないことを思い起こさせる。

「欧米の新聞はイラクを見捨てた」と、ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿したことのあるアラブ人ジャーナリストは取材に語った。

アラーフ氏の退社は、同紙バグダッド支局の波乱に満ちた最近の歴史における最新エピソードにすぎない。

前任者であるマーガレット・コーカー氏は、ニューヨーク・タイムズ紙が、コーカー氏がイラク政府と協力してタイムズ紙の同僚記者であるルクミニ・カリマチ氏の入国を禁止したと結論づけた後、退社した。コーカー氏は、カリマチ記者の報道は無謀であり、同紙の基準を満たしていないと考えていた。

コーカー氏の行動は適切とは言えなかったかもしれないが、数年後、カリマチ記者が執筆し反響を呼んだ「カリファ」という記事が、主要な情報源の1つから得た誤った情報に依拠した重大な誤りを訂正することを余儀なくされたとき、疑念の中身は証明される格好となった。

■意見の相違の余地

アメリカの報道機関内部の意見の相違から一歩引いてみると、中東からはもっと辛辣な批評が聞こえてくる。

カタールのテレビ局アルジャジーラは今年始め「主要メディアの多くを見る限り、イラクは忘れられた国であり、戦争は過去の出来事である。平和活動家や反戦活動家の間でさえ、イラク紛争について語ることに抵抗を感じており、場合によっては記念事業に従事することをはっきりと拒否している」と論説記事で批判している。「この雷のような沈黙は難しい真実を指し示している:侵攻から20年、アメリカのプロパガンダはイラクの戦場で決定的に勝利した」。

■注目点
  • イラクからの撤退は、ニューヨーク・タイムズの優先事項の移り変わりの一環に過ぎない。ほんの数年前まで、タイムズ紙はシリアとイラクに重点を置いた論議を呼ぶ「テロ・ビート」にリソースを注いでいた。だが、報道では、テロ集団ISISの能力を過剰に誇張することもあった。
  • ニューヨーク・タイムズの中東支局の幻滅は深い。ワシントン・ポスト紙のエリック・ウェンプルによれば、2015年以降の特派員たちの経験は「教会への信仰を失ったようなもの」だとC.J.チバーズ氏は編集部に語ったという。
  • 2004年当時、同紙は戦争に向けた自社の報道を調査し、「イラクに関する悲惨な主張に基づく記事は目立つところに掲載される傾向がある一方で、当初の主張に疑問を投げかけるフォローアップ記事は埋もれてしまうことがある」傾向がある事を発見した。

ニューヨーク・タイムズ、It Happened Onlineというサービスを定期購読者向けに開始



サイトから拙訳していきます。
It Happened Onlineは、インターネットで何が流行っているのか、また、それが何故実生活で重要なのかをダウンロードしたい人のためのニュースレターです。スタイルズ記者のマディソン・マローン・キルヒャーが毎週発行するこのニュースレターは、週末に間に合うように、皆さんが話題にしている話題のネタやミームなどをお届けし、スクロールの手間を省きます。

ニューヨーク・タイムズの定期購読に含まれたサービスです。


毎週金曜日にお届けします。

拙訳終わり。追加サービスとなりましょうか。

グーグルが人工知能技術を使ってニュース記事を作成する製品をテスト中という話の「まとめ」



アドウィークはんの「まとめ」を見ていきましょう(2023年7月21日午前8時投稿)。

※グーグルは、人工知能技術を使ってニュース記事を作成する製品をテスト中で、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルを所有するニューズ・コーポレーションなどの報道機関に売り込んでいるそうです (NYT)

※ニューヨーク・タイムズによれば、このツールは「例えば、時事問題の詳細などの情報を取り込み、ニュース・コンテンツを生成する事が可能だ」との事です (Vanity Fair)

※グーグルの広報担当者は、 「Gmailやグーグル・ドキュメントでユーザー補助ツールを利用できるようにしたのと同じように、ジャーナリストがこれらの新しいテクノロジーを仕事や生産性を向上させる形で利用できるようにすることを目指している」 と語っています (CNN)

※既にチャットボットをニュース記事の執筆に活用している報道機関もあります。今年1月、技術系ニュースサイト「CNET」がAIによって書かれた記事を何十本も掲載していたことがネット上で明らかになっています。ただし、記事には誤りが散見されていました (WaPo)

※「端的に言えば、これらのツールは、ジャーナリストが記事を報道し、作成し、ファクトチェックするという本質的な役割を果たすことを意図したものではないし、それに取って代わる事も出来ない」とグーグルの声明は締めくくられています (NBC News)

ニューヨーク・タイムズでは「昨年440億ドルで買収後、Twitterを『X』としてリブランディングするのは、イーロン・マスク氏が同社を改革するギャンブルの最新版だ」と解説 #Twitter終了



ニューヨーク・タイムズの報道を拙訳してみます(2025年7月24日午後12時5分投稿)。

Why Elon Musk Bid Twitter Goodbye(イーロン・マスクがTwitterに別れを告げた理由とは)

Rebranding the social network as X marks the billionaire’s latest gamble to reinvent the company, after buying it last year for $44 billion.(昨年440億ドルで買収後、『X』としてリブランディングするのは、この億万長者が同社を改革する上での最新のギャンブルである)

By Andrew Ross Sorkin, Ravi Mattu, Bernhard Warner, Sarah Kessler, Michael J. de la Merced, Lauren Hirsch and Ephrat Livni

July 24, 2023Updated 12:05 p.m. ET

■ツイッターは飛び去った

さようなら、青い鳥: 一夜にして、Twitterはサンフランシスコ本社に投影された長年のロゴを様式化されたシンボルに置き換え、「X」として再ブランディングを開始した。

この動きは、イーロン・マスクが長年の目標である "あらゆるアプリ "を作る上で、ソーシャルネットワークを重要な一部にしたいという野心を強調するものだ。一方、それはまた、彼が昨年440億ドルを支払って以来苦戦しているビジネスを改革するための危険な賭けでもある。

「ライト。カメラ。X!"と同社のリンダ・ヤカリーノCEOは書き、ソーシャルネットワークが新しいブランディングを展開し始めた事を明らかにした。かつてTwitterの共同設立者であるビズ・ストーンが「ラリー・T・バード」と名付け、最も有名なインターネット・ロゴのひとつとなり、同社が最も認識しやすい資産であると説明していた、様式化された鳥は姿を消した。

同プラットフォームのアバウトページはまだ更新されていないが、ヤカリーノ氏は同社の野望を説明する一連のツイートで繰り返しXに言及している。Xがより完全に社内に浸透することを期待したい: マスク氏は、週末に従業員に送った社内メッセージをツイッターから送る最後のものだと説明し、投稿はツイートではなく「X」と呼ぶべきだとユーザーに語りかけた。

マスク氏は、Xの意味するところに長い間魅了されていた。彼の2番目の起業はX.comで、最終的にPayPalとなった。(作家のウォルター・アイザックソンは、近々出版されるマスク氏の伝記の中で、この件に関する興味深い断片を紹介している)。マスク氏はスペースXとテスラの最初の車種の名前に「X」を取り入れたし、最近では新しいA.I.スタートアップを「xAI」と命名した。

この動きに万人が賛同している訳では無いが、一部の広告業界の幹部は、ユーザーがこのプラットフォームに固執するかどうかがより重要だと語った。フィナンシャル・タイムズ紙によると、ヤカリーノ氏は日曜日にマーケティング担当者に対し、xAIとの協業も含めた同社の最新の変化について説明したという。(この刷新は、マスク氏が広告主を喜ばせないユーザーの閲覧制限を課した後、彼女が会社でどれだけの権限を行使しているのかについての疑問を投げかけるかもしれない)。

これはブランディング以上のものだ。Twitterはマスク氏の下で苦戦を強いられており、サブスクリプションに依存するピボットでは広告収入の50%減、キャッシュフローのマイナス、メタのスレッドからの新たな脅威を補うことはできていない。

億万長者は、中国のWeChatのように、ユーザーがオンラインでできることすべてのプラットフォームとして機能するスーパーアプリを作ることを夢見てきた。しかし、サードパーティのデータが示すように、ユーザー数は減少しており、マスク氏が生まれ変わったXを軌道に乗せるのにどれだけの走力があるのかは定かではない。

露タブロイド紙「この国の最高権力者が不法民兵の活躍を許し、国家による暴力の独占を弱めた事が問題を引き起こした」 #プリゴジンの乱 #プーチン #ロシア情勢 #クレムリン


ニューヨーク・タイムズの最新情報を拙訳してみます。

Russian state media blames and belittles Prigozhin, but some criticism of Putin and others surfaces.(露国営メディア、プリゴジンを非難・軽視するも、プーチンなどへの批判が表面化)

モスクワに進軍した好戦的な傭兵隊長エフゲニー・プリゴジン氏が24時間に渡って起こした反乱について、ロシア政府の代表的な週刊ニュース番組は、25日夜の冒頭に公式見解を明確にした。プリゴジンは部隊をモスクワに向けて進軍させたが、直前になって部隊を引き戻した。

「ロシアの武装蜂起は、社会から支持されていない」 と語るのは、ロシア政府の上級宣伝官でキャスターのドミトリー・キセリョフ氏である。キセリョフの番組 「今週のニュース」 は、放送ニュースを政府が独占する風潮を作った。「戦時における反逆は重大な犯罪である」 。

その後、ニュース放送では、24日朝から5分間にわたって行われたプーチン氏の激しい演説が完全に映し出され、その中でプーチン氏はプリゴジン氏の名前を出さずに、ロシアの背後を刺したと非難した。

その演説から数時間のうちに、プリゴジン氏はその行為で刑事訴追されるという誓いは消えてしまった。全ての報道機関は、隣国ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仕業とされる裏取引を発表し、劇的な緊張を破ったドミトリ・S・ペスコフ大統領報道官の声明を伝えた。プリゴジン氏は身を引く代わりに国外への安全な移動を認められ、その部隊は許された。

キセリョフ氏の25日の夜の長文の報告は、プリゴジン氏の蜂起に対する民衆の支持をほとんど得られず、その方針転換を表現するために「装甲車列のガソリンが底をつき、反逆者の頭プリゴジンが血まみれの蒸気に蒸発しそうな感覚が強まった」などと報じた。要するに、番組はプリゴジン氏は反逆者であり、その反抗的な行為はロシアの統一の前ではほとんど意味がないと結論づけた。

同じ国営放送の日本テレビも、毎週の総集編で同様のテーマを取り上げ、蜂起を裏切りと呼んだ。アメリカの情報機関は反乱が起きていることを知っていたが、声を上げなかったという報告に言及し、クレムリンのお決まりのブギーマンである外国勢力の関与をほのめかした。

国営テレビが高齢世代の主なニュース源である一方で、ロシアの若者はソーシャルメディアアプリのTelegramに頼っている。そこにはニュースや解説が溢れているが、信頼出来るものばかりではない。

戦争を支持しながらも戦争への取り組みに批判的であった、影響力のある戦争支持派のブロガーのグループは、苦境に陥った。彼らはプリゴジン氏と彼の傭兵部隊への称賛と、その反乱が開いた傷への落胆の間に挟まれた。

ユーリ・コテノクというブロガーは、危機の最中に軍の指導部がどこに消えてしまったのか、25日のTelegramで大きな疑問を呈した。プリゴジン氏の怒りの主な標的であるセルゲイ・K・ショイグ国防相とヴィタリー・ゲラシモフ軍参謀総長は、反乱が始まって以来、消息不明である。

「その日あなたはどこにいたの?」とコテノクは書いている。「それとも、大統領に番組を提供する恐れがない場合にのみ動画を撮影できるのか。正気に戻れ、これはショーではない。この国はもう一年戦争をしているんだぞ」。ロシア国外のアナリストは、この短期間の反乱がウラジーミル・V・プーチン大統領の絶対確実で無敵という評判を大きく傷つけたと指摘したが、ロシア政府のメディアは予想通り、この日をロシアの総合的な勝利とみなした。

しかし、少数のロシアの声は、反乱によって明らかになった問題に対処する必要があると示唆した。

無粋なタブロイド紙であるモスコフスキー・コムソモーレツは「プリゴジンが去る、問題は残る:失敗したクーデターの深い政治的帰結」 (プリゴジン氏は、クーデターを煽っているのではなく、軍首脳部の交代を強要しようとしているだけだと主張した)という見出しを掲げた。

タブロイド紙は、 「この国の最高権力者」 が不法民兵の活躍を許し、国家による暴力の独占を弱めた事が問題を引き起こしたと示唆した。

同紙によると、プリゴジン氏が軍上層部を批判することを許されていたにもかかわらず免責されたことに、誰もが困惑していたという(ロシア国外の独立系アナリストは、一般の抗議者が同様の発言をすれば長期の懲役刑を受けると指摘しているが、国営メディアでは言及されていなかった)。

コラムニストのミハイル・ロストフスキーは 「恐怖と不確実性の雰囲気を作り出し、当局の評判を踏みにじった」 とし、 「反乱はロシアが脆弱であることを世界に示した」 と指摘した。

「エフゲニー・プリゴジンはベラルーシに行くが、彼が作り出した問題(公平に言えば彼だけのせいではないが)は残るだろう。」と述べた。


拙訳終わり。以上、取り急ぎ。

ダニエル・エルズバーグ氏死去 #訃報 #速報

 

ペンタゴン・ペーパーズ事件でメディア報道の歴史を変えたダニエル・エルズバーグ氏が死去したとニューヨーク・タイムズが報じていますので拙訳します(2023年6月16日午後2時56分投稿)。

Daniel Ellsberg, Who Leaked the Pentagon Papers, Is Dead at 92(ペンタゴン・ペーパーズ漏洩のダニエル・エルズバーグ氏死去。92歳)

Deeply disturbed by the accounting of American deceit in Vietnam, he approached The New York Times. The disclosures that followed rocked the nation.(ベトナムに於けるアメリカの欺瞞に関する報道に深く動揺し、ニューヨーク・タイムズに接触した。その後の情報公開は全米を揺るがした)


軍事アナリストで、バスルームの床ですすり泣きながら反戦のひらめきを体験し、1971年にベトナムに於けるアメリカの嘘と欺瞞の秘密の歴史を暴露し、後にペンタゴン・ペーパーズ事件として知られるようになったダニエル・エルズバーグが、16日にカリフォルニア州ケンジントンの自宅で死去した。92歳だった。

妻子らは声明で、原因は膵臓癌だったと述べた。

3月、エルズバーグは 「親愛なる友人と支援者へ」 への電子メールで、手術不能の膵臓癌であると最近告げられた、医師から余命3ヶ月から6ヶ月との推定を受けたと発表した。

権限を超え、議会を無視し、アメリカ国民を惑わせた歴代大統領の欺瞞を告発した7000ページに及ぶ 「ペンタゴン・ペーパーズ」 の暴露は、既に傷を負い、戦争によって分断されていた国を怒りの論争に陥れた。

エルズバーグの信用を失墜させ、政府情報の漏洩を食い止め、政敵と思われる人物を攻撃するためのホワイトハウスによる違法な対抗措置に繋がり、ウォーターゲート事件として知られる一連の犯罪を形成する結果となり、リチャード・ニクソン大統領の不名誉と辞任に連なった。

そしてニクソン政権とニューヨーク・タイムズ紙との間で憲法修正第1条(訳注:言論の自由を保障)を巡る対立を引き起こし、同紙の発行は国家の安全を脅かすスパイ行為であると政府から非難された。連邦最高裁は報道の自由を支持した。

エルズバーグはスパイ、陰謀、その他の罪で起訴され、ロサンゼルスの連邦裁判所で裁かれた。だが、陪審団の審議の前夜、判事は違法な盗聴を含む政府の不正行為、エルズバーグの元精神科医のオフィスへの侵入、ニクソン大統領による判事自身の連邦捜査局長官への任命の申し出を理由に、この訴訟を却下した。

釈放されたエルズバーグは 「大統領の脱神秘化と脱神聖化が始まった」 と語った。「オズの魔法使いのフロッキングのようなものだ」 。

ダニエル・エルスバーグの物語は、多くの点でアメリカのベトナムでの経験を反映していた。アメリカは1950年にインドシナの共産主義を封じ込めるための闘争として始まり、1973年に5万8000人以上のアメリカ人と数百万人のベトナム人、カンボジア人、ラオス人が犠牲になった腐食戦争で屈辱的な敗北を喫した。

ミシガン州出身の優秀な青年で、15歳の時に父親が運転中に居眠りして母と妹が自動車事故で死亡するという悲劇があったものの、プレップスクール、ハーバード大学、そして英国のケンブリッジ大学を高い栄誉と高尚な規律ある野望をもって行進するために結集した人物だった。

1954年に海兵隊に入隊し、士官候補生学校を卒業し、1956年のスエズ危機の際には大隊とともに中東に派遣されるまで入隊期間を延長した。彼は何の行動も起こさなかったが、国際問題の軍事的解決について確固たる考えを持つ中尉として召集された。

ハーバード大学で博士号を取得後、ランド研究所に入り、危機的状況や核戦争に適用されるゲーム理論の研究を始めた。1960年には、キューバのミサイル危機と北ベトナムによるトンキン湾でのアメリカの船への攻撃への対応を協議した。

1964年までに、エルズバーグはロバート・S・マクナマラ国防長官の顧問を務めた。ベトナムへのアメリカの関与が深まると、1965年にサイゴンに行き、民間人の平和維持プログラムを評価した。反乱鎮圧の専門家であるエドワード・G・ランスデール少将と合流し、18ヶ月間、ジャングルや村への戦闘パトロールに同行した。

■陰惨たる現実

見聞が本人を変えてしまった。南ベトナム人の心を掴めなかった以上の体験だった。民間人の死者、拷問された囚人、焼き払われた村の犠牲者が増え続け、軍の現地報告書には 「明白かつ保持された作戦」 として何度も残虐行為が記録された。

シンジケートのコラムニスト、メアリー・マクグローリーに 「あの人たちが大変な思いをしているのを見た」 と語った。「しかし、共産主義の下では生きるのはより困難になり、我々が防いでいると思っていた第三次世界大戦はより悪化するだろうと自分に言い聞かせた」。

エルズバーグはマクナマラに対し、死と破壊が続き、恐らくアメリカの撤退と北ベトナムの勝利に終わるという暗い見通しを示した。彼の報告は行き詰った。しかし、マクナマラは1967年に他の35人と共に彼を召喚し、ベトナム紛争の歴史を編纂させた。

研究への貢献は比較的控えめだった。しかし、歴代の大統領が議会やアメリカ国民に事実を隠しながら戦争を拡大させてきたという包括的な結論に深く動揺した。1968年、エルズバーグはランド研究所に戻ったが、ロバート・F・ケネディ上院議員の大統領選に向けた戦争政策声明を作成したり、反戦会議に出席したりするなど、自身の見解の変化に静かに取り組み始めた。

1969年8月、彼はペンシルベニア州のハバフォード大学で開催された徴兵登録者連盟の集会に行き、講演者のランディ・ケーラーが、徴兵を拒否した罪で服役中の友人たちと近々合流する予定であると誇らしげに発表するのを聞いた。

感極まったエルズバーグは限界点に達していた事を、女優マーロ・トーマスの 「適切な時期での適切な言葉=The Right Words at the Right Time」 (2002年) で回想している。「私は講堂を出て、閑古鳥が鳴いている男性用の部屋を見つけた」 と言った。「床に座って1時間以上泣き続け、ただすすり泣いた。生まれてこのような反応をしたのは初めてだった」。

エルズバーグは公然と戦争に反対し始めた。新聞に手紙を書き、反戦デモに参加し、記事を書き、徴兵抵抗者の裁判で証言した。ランド研究所からも圧力を受けて辞任した。

ベトナムで知り合ったランド研究所の同僚、アンソニー・J・ルッソJrと、極秘の安全保障文書閲覧許可を得ていたエルズバーグは、47巻からなる国防総省の研究書をコピーした。それでもこの制度の範囲内で仕事が出来ると信じていたエルズバーグは、1970年に外交委員長のJ・ウィリアム・フルブライト上院議員をはじめとする議会関係者に一部のコピーを渡した。だが、いずれも慎重な姿勢で拒否された。

エルズバーグは、自分が犯罪を犯し、刑務所に送られるかもしれない事に失望し、幻滅し、気づいていたため、ベトナムで会ったベテランのニューヨーク・タイムズ特派員ニール・シーハンに文書を持って近づいた。その譲渡は微妙な問題だった。2021年のシーハンの死後まで本人の希望により伏せられていたこの記事で、シーハンはタイムズの同僚のジャニー・スコットに、いかにして生涯の7000ページのスクープを手に入れたかという劇的な話を語っている。

エルズバーグはまず、ニューヨーク・タイムズが記事を掲載し、情報源の身元を守るために最善を尽くすならば、記事を引き渡す事に同意したという。しかし、シーハンが書類が保管されているマサチューセッツ州ケンブリッジのアパートに到着すると、条件を変更し、シーハンは書類を研究してメモを取る事は出来るが、コピーはさせないと言った。シーハンにアパートの鍵を渡して町に出た。

シーハンは新聞が 「国民の財産」 であり、言われているように 「兵士達の血」 でお金を払っていると信じていたので、約束を破棄してコピーを取り、ニューヨークにセットとして持ちかえり、同僚記者と編集者のチームがホテルの一室で何週間もかけて国家機密の山を公開する準備をした。エルズバーグがシーハンの二枚舌を知ったのは、1971年6月13日にニューヨーク・タイムズがペンタゴン・ペーパーズに関する抜粋と分析記事を9回に分けて最初に掲載した時だった。反応は速かった。

ジョン・N・ミッチェル司法長官は、スパイ法や陰謀法を引き合いに出し、同紙が国家の安全を脅かしていると警告し、同紙は破滅的な法的措置に直面していると述べた。編集者、弁護士、発行人アーサー・O・サルツバーガーが協議し、掲載が再開された。しかし、第3回以降、司法省は出版差し止め命令を得た。

一方、エルズバーグは、ワシントン・ポストなど他社にリークした。政府は訴訟を起こした。ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストは最高裁に上告し、6月30日に差止命令が解除され、掲載が再開された。この裁判は、国家の緊急事態が発生しない限り、報道機関は掲載前に検閲を受けるべきではないという憲法の原則を強化した。

■損害の開示

ペンタゴン・ペーパーズは、歴代大統領が戦争を拡大させただけでなく、勝利の見込みが無いと認識していた事を明らかにした。また、政府高官の国民に対する冷笑や、膨大な戦死者を無視する姿勢も明らかになった。エルズバーグはこの紛争を 「ほぼ最初からアメリカの戦争」 と呼んだ。

ホワイトハウスは即座に潜伏していたエルズバーグを追及し始めた。ニクソン大統領の内政顧問であったジョン・D・アーリックマンの下で 「配管工」 と呼ばれる部隊が結成され、エルズバーグの精神科医のオフィスへの侵入 (被害を与えるファイルは見つからなかった) 、1972年にはワシントンのウォーターゲート事件に関わる民主党本部への侵入など、機密情報の漏洩を防ぎ秘密工作を行った。そこでの強盗犯の逮捕は解明が始まり、1974年のニクソンの辞任につながった。

投降したエルスバーグと同僚のルッソはスパイや陰謀などの罪で起訴され、合計115年の懲役を受けた。1972年の審理無効を経て、1973年にロサンゼルスの連邦裁判所でウィリアム・M・バーン・ジュニア判事のもとで二人の裁判が行われた。だが、事件が陪審に持ち込まれる前に、裁判官は政府の不正行為を理由に全ての起訴を棄却した。

バーン判事は、ウォーターゲート事件を仕組んだG・ゴードン・リディとE・ハワード・ハントが、エルズバーグかかりつけの元精神科医ルイス・J・フィールディングのオフィスに侵入し、彼に不利な証拠を見つけようとしたが失敗したと述べた。FBIがエルズバーグの会話を違法に盗聴し、公判中にアーリックマンが判事にF.B.I.長官職就任はどうかと申し出た事も明らかにした。

ニクソンが辞任し、ミッチェルやアーリックマンらウォーターゲート事件の関係者が投獄される中、エルズバーグは反戦運動に積極的で、全米各地の集会やキャンパスで講演を続けた。また、軍縮を提唱して核兵器に反対する発言を行い、1976年に国防総省の外で行われたデモで他のメンバーと共に逮捕された。

2001年9月11日の同時多発テロの後、エルズバーグは、ジョージ・W・ブッシュ大統領が、テロの元凶であるウサマ・ビンラディンを追ってアフガニスタンに侵攻し、テロリストを庇護する狂信的なタリバン政権を鎮圧しようとした事を非難した。また、ほぼ9年間の紛争で数千人のアメリカ人の命を奪い、一説によると2兆ドルの損害を出したアメリカ主導のイラク戦争を痛烈に批判している。

新聞や雑誌に多くの記事を書き、「戦争に関する論文=Papers on the War」(1972年)、「秘密=Secrets」(2002年)などの著書がある。後者は、幾つかの賞を受賞し、ザ・クリスチャン・センチュリーのトラン・ヴァン・ディン等の批評家から賞賛され、 「権力に対して真実を語ろうとし、権利章典によって与えられた保護を信頼していた開明的な市民の感動的な物語」 と呼ばれた。

2021年、台湾をめぐる米中の緊張が再燃していた時期に、エルズバーグは密かに書き写していた長年の政府機密研究を取り上げて話題となった。この報告書は、1958年に毛沢東率いる共産軍が台湾海峡に浮かぶ台北領の島々を砲撃し始めた時に、国防総省が中国への核攻撃計画を作成したと指摘した。中国が攻撃を打ち切った事で危機は小康状態となり、島は蒋介石率いる国民党による中華民国の支配下となった。

■「道徳的勇気」 が称賛

1950年から60年にかけてランド研究所と国防総省に勤務していた時代を題材にしたエルズバーグの回顧録「終末の機械:核計画立案者の告白=The Doomsday Machine: Confessions of a Nuclear Planner」 (2017年) は、恐るべき核拡散と一触即発状態の時代を描写し、核によるホロコーストの危険性は依然として存在するという強烈な警告となった。グレアム・アリソンはタイムズ紙のレビューで「「終末の機械」 の真の狂気を鮮明にしようとするエルズバーグの努力と、相互確証破壊に我々の生存を賭ける愚かさ」を称賛した。

エルズバーグは 「深遠なヒューマニズムと並外れた道徳的勇気」 を称えられ、スウェーデンの2018年オロフ・パルメ賞を受賞している。

ダニエル・エルスバーグは1931年4月7日、シカゴでハリーとアデル (シャルスキー) ・エルスバーグの間に生まれた。父親は建築エンジニアで、1937年に一家をデトロイトに引っ越し、そこで少年時代を過ごした。母親は彼がコンサートピアニストになって欲しいと、本人の明らかな熱意の欠如にもかかわらず、1日に何時間もの練習を要求した。彼の母親と妹は1946年の7月4日の外出中に自動車事故で亡くなった。

奨学金を得てデトロイト郊外のプレップスクール「クランブック」に通い、主席で卒業した。ハーバード大学では再び奨学金を得て文芸誌を編集し、学内新聞「ザ・クリムゾン」の編集委員となり、1952年に経済学の学士号を優秀な成績で取得した。その後、ケンブリッジ大学キングス・カレッジで先進経済学を学ぶためのフェローシップを取得し、1953年に経済学の修士号を取得するべくハーバードに戻った。

1951年、元海兵隊准将の娘、キャロル・カミングスと結婚。夫妻はロバートとメアリー・キャロル・エルズバーグの2人の子供をもうけたが、1960年代半ばに離婚した。1970年、玩具会社の相続人で長年の反戦活動家だったパトリシア・マルクスと結婚。マイケルという息子を授かった。

妻と子供たち、5人の孫と1人のひ孫が残された。

海兵隊での勤務後、1958年にランド研究所に入って戦争ゲームを研究し、1962年にハーバード大学から経済学の博士号を取得した。1969年までに、エルズバーグはベトナム戦争の道徳問題に向き合い始めた。その8月にハバフォードで彼は徴兵抵抗者のケーラーの声を聞いた。

「彼が刑務所に入るのは非常に意図的な選択だった。彼はそれが正しいと考えていたからだ」 とエルズバーグは回想した。「この時、私の政府がこれからも続いて大きくなるであろう不当な戦争に巻き込まれている事に疑問の余地はなかった。毎年何千人もの若者が死んでいた」。

Robert D. McFaddenは、訃報デスクのシニアライターであり、スポットニュース報道で1996年のピューリッツァー賞を受賞した。1961年5月にニューヨーク・タイムズに入社し、二冊の本の共著者でもある。

(文中敬称略)
拙訳終わり。心よりお悔やみ申し上げます。

トランスジェンダー・ジャーナリスト「トランスの人々に影響を与える報道には、トランスの人々も含めるべき」と米コロムビア・ジャーナリズム・レビューで主張 #トランスジェンダー



日本でもトランスジェンダーを巡って様々な報道があり、論争になっていたりしていますが、アメリカでも同じよう。コロムビア・ジャーナリズム・レビューに、次のような寄稿があったので拙訳してみます(2023年5月25日付け)。

The complexities and nuances of transgender coverage(トランスジェンダーの報道の複雑さとニュアンス)

May 25, 2023
By Graph Massara

トランスジェンダーの人々がニュースに取り上げられることが増えている。だが、必ずしも良い意味で使われている訳では無い。

トランスの人々はアメリカ人のごく一部にすぎないが、コミュニティと社会におけるその地位は政治的・文化的な議論の火種になっている。州議会は今年だけで400件以上のトランスジェンダーを対象とした法案を提出している。その中には未成年者だけでなく成人に対するジェンダー肯定的なケアを制限し、差別禁止政策を制限し、公文書の変更を禁止する法案も含まれている。「トランスジェンダー」 撲滅が叫ばれる中でのことだ。

この話は、2024年の選挙サイクルが始まり、トランスジェンダーの人々が公の場で目につくようになるにつれ、過熱するだけだろう。だが、それはニュアンスを必要とする物語でもある。

ジェンダーを肯定するケアの背後にある科学とは何か?(さらに言えば、ジェンダー・アファーミング・ケアとは何か) どの専門家やデータを信頼すべきか、誰の声を聞くべきか。誰が保護され、誰が提案された法律によって害を受けるのか、そして何の犠牲を払うのか。トランスジェンダーの大人 (または子供) が自分の人生と身体をどう扱うべきか、誰が決めるべきなのだろうか。

答えられない質問ではない。だが、ジャーナリストは彼らに質問しなかったり、彼らの回答を深く検証しなかったりする事が余りにも多い。

この問題については素晴らしい記事が幾つかあるが、多くのパブリッシャーは重大な誤りを犯している。バランスや正確さの誤りだけでなく、ニュース判断の誤りもある。幾つかの州の当局者はニューヨーク・タイムズの報道を引き合いに出し、ジェンダーを肯定するケアを制限する政策を正当化している。スタイルガイドなどの補助ツールはあるが、トランスの情報源の名前や代名詞を正しく印刷するのは、編集者の悩みの種となるはずである。

次に、報道機関が今後の報道についてどのように考えたいかについて、幾つかの提案を紹介してみたい。

誰の声が聞こえるのか、誰か行方不明なのか。当たり前のように聞こえるかもしれないが、トランスの人々に影響を与えるニュースの報道には、トランスの人々も含めるべきである。例えば、未成年者の性を肯定するケアへのアクセスを制限する新しい法律の効果に焦点を当てた記事であれば、その制限が具体的に何を意味するのかを個人的に証明できる人々に焦点を当てるべきなのだ。

子供を巻き込んだ物語は、必然的に親を巻き込む場合が多い。子供が自分で話せない場合や、家族がプライバシーや安全上の懸念を持つ場合があるからだ。一方、親が自分の子供に性別を肯定するようなケアをした経験 (またはしなかった経験) は、実際のトランスジェンダーの子供との会話の代わりにはならない。それが不可能な場合は、未成年者としての経験を話すことができる成人のトランスの人々と話すことが代理人の1つになるかもしれない。

ゲイの10代の若者の生活を取材するジャーナリストが異性愛者の親の目だけで記事を見るのを避けるべきであるように、トランスジェンダーのインクルージョンの政治を取材するジャーナリストは、最も直接的な影響を受ける人々のグループに話をする事を優先すべきなのだ。彼らの感情は、シスジェンダーの人々の生活とは著しく異なるかもしれないからだ。

何を 「普通」 対 「危険」 の枠に入れるか?ジェンダーを肯定するケアに関する記事は、ホルモンや外科的介入にはリスクが伴うという前提で始まることが多く、その後後悔するようになった自分の体を不可逆的に変化させた若者もいる。これは実際の懸念事項であり、移行は実際の現象である (詳細については後述する) 。

だが、性別を肯定するケアによって課される追加的なリスクのみに焦点を当てる事は、誤った考えを前提としている。つまり、このケアを必要としている青少年に提供しない事に固有のリスクはないとなるのだ。実際の問題は、あらゆる医療介入と同様に、潜在的な利益がコストを上回るかどうかである。

たとえ話をしよう。新型コロナワクチンによる未知の将来の副作用の可能性をまだ排除する事は出来ない。だが、新型コロナに関しては、何もしない (そして予防接種を受けないままでいる) 方が予防接種を受けるよりもリスクが高い事が良く知られている。予防接種を受けた人と受けなかった人の経験を比較するだけでは十分ではないし、ワクチン接種を全く受けていない人々を見る事が重要なのだ。

人の性同一性は流動的かもしれないが、思春期は上下のスイッチである。体の性ホルモンによってもたらされる変化は生涯にわたって続き、後になってそれを 「元に戻す」 には侵襲的な医療が必要となる場合がある。例えば、トランス女性の場合は気管切開、トランス男性の場合は乳房切除などである。

多くのトランスの人々にとって、性別違和の恐怖は、自分の体が異質に見える特徴を発達させるのを見るという事なのだ。成り行きに任せておけば、思春期はこれまでと同じ 「肉体的・精神的な深い傷」 を残す可能性があると語る反体制活動家もいる。

思春期阻害薬は、その瞬間に感情的な痛みを感じる若者を救うだけでなく、後年の身体的な痛みを回避することもできる。医師はこれらの因子を考慮して推奨する。

ジャーナリストは、治療を選択しないことでリスクが増大しないと考えたり、治療を遅らせることでコストがかからないと考えたりしがちだ。だが、 「自然」 なものが必ずしも安全という訳では無い。同時に、実際の診療が進化してきたにもかかわらず、ジェンダーを肯定するケアの必要性は長年医学的なコンセンサスとなってきた。

ストーリーは比例しているだろうか? トランスは少数派である。2022年のギャラップ社の世論調査では、LGBTQと自認する人のうち、トランスである人は10%に過ぎず、アメリカ全体の人口の1%にも満たない事が判明している。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のデータによると、全体的に若者の方が上の世代に比べてトランスであると認識する人が増えている。一方、ピュー・リサーチセンターが2022年に実施した調査によると、30歳未満の成人に占めるトランスの割合はまだ約5%でしかない。これらの事実はニュース記事に載らない場合がある。

更に言えば、全てのトランスの人々が医学的介入を求めてはいない。ワシントン・ポストが成人を対象に行った調査では、ホルモン療法を受けたことがある人は3分の1以下で、手術を受けた人ははるかに少なかった。2022年の研究によると、社会的に移行した若者のうち、出生時に割り当てられた性別を自分の性別として認識するようになるのは極少数だ。入手可能なデータによると、移行に関連した後悔は非常にまれであり、移行を中止した患者であっても、自身の内的アイデンティティとは関係のない社会的または家族的な理由でそうする可能性がある。

にもかかわらず、非常に少数の若い 「脱移行者」 のために、非常に多くのコラム掲載スペースが用意されている。ジャーナリストとして、我々は聴衆の注意が有限であることを知っている;社会現象を報道する際には、ノイズと信号を区別しなければならない。読者の時間はこのハイパーフォーカスによって十分に提供されているのだろうか。

2020年の画期的な調査では、妊娠中絶を受けた女性の95%以上が、5年後に自分の選択を肯定していた事が明らかになった。中絶を後悔した人と、読者にバランスのとれた理解を提供しなかった人を単純に対比する事はできないだろうか。

政治的背景はどうだろう? 一般的にトランスジェンダーやジェンダー不適合を対象とする法律を対象とする場合、政策の意図を額面通りに受け取ってはならない。法案の中には、署名されて法律になる可能性がほとんどなく、純粋にメッセージ文書であるものもある。また、 「児童虐待」 を止めるなど、実際に何をするかを偽って設定する目的を述べている人もいるだろう。

これはトランス問題に限ったことではない。共和党主導の 「生ける者」 法案を考えてみよう。これらの提案は、表向きは中絶を試みても助かった赤ん坊の殺害を阻止することを目的としているものの、既に法律に違反している。一方、実務としては、致命的な異常を持って生まれた乳児に対して、医師は無駄な医学的介入を強いられることになる。

同様に、最近ミズーリ州で出された命令は、医療機関にトランス患者を15年間追跡することを義務付けるもので、一見慎重に見えるかもしれないが、この基準を満たせる診療所は殆ど存在しない。また、フロリダ州の新しい法案では、特に、「医師」のみが同州で性別を確認するホルモン剤や処置を処方可能で、しかも対面式でなければならないと規定されている。これは、看護師や遠隔医療サービスに頼っている多くのフロリダ市民が、この法律にアクセスできないようにするためのものである。

報道に当たっては、次のように問いかけたい。この法案は、現実の懸念への対応なのか? 支援者は、何らかの害や不正行為を正していることを証明可能だろうか(トランスジェンダーの少女や女性が本当にスポーツを支配しているのだろうか。トランスアファーミングの教師は、本当に生徒にゴミ箱を使わせているのだろうか?)。答えがノーなら、実際の目的は何か、誰がロビー活動をしているのか。

情報源は適切に引用され、説明されているだろうか? 2022年の中間選挙では、トランスの受け入れが文化的な楔の問題として利用されましたが、政治家はトランスの人々に対する意見を活字にする事に既得権益を持っている。ホルモンや精神医学のような専門的な話題について、専門家でない人物を引用する場合は注意が必要だ。また、例えば、思春期前のトランスの子どもたちに性器手術が行われているというような、誤った記述を無批判に引用して、記事のバランスをとろうとしない欲しい。

これに関連するが、中立的に見える組織が実際には中立であると仮定してはならない。アメリカ小児科学会は、性別を肯定するケアを断固として支持している。一方、アメリカ小児科医協会はこれを残虐行為と呼んでいる。似ているように見えるかもしれないが、前者は約6万7000人の臨床医が会員だが、後者は700人前後の非主流グループである。

党派的な発言の実績を以て、その人やグループを排除する理由とする必要はない。だが、読者は、誰がどのような恨みを抱いているのかを理解する必要がある。ニューヨーク・タイムズ紙のトランス関連の報道では、このような文脈が欠落しており、今年初めに他のジャーナリストから苦情の手紙が出されていた。

これが他のグループについて書かれていたら、悪いことに聞こえるだろうか? マイノリティであるトランスの人たちがどのように表現されているのか、批判的にお考えいただきたい。例えば、「黒人」、「中国人」、「聴覚障害者」など、他の疎外された集団に置き換える事で、記事に悪印象を持つようであれば、その前提を見直したほうがよいかもしれない。

そして、他のグループについて議論するときのように、婉曲表現に注意して欲しい。「生物学的な女性のための安全な空間」 は無害に見えるかもしれないが、 「白人女性のための安全な空間」 は、非白人女性が許可されている場所には本質的に安全でない何かがある事を意味する。そのような考え方が、放送する価値があるかどうかを問うのだ。

最後に、記事がトランスの人々を完全に人間として扱っているか? そう聞くだけでも大げさに思えるかもしれませんが、上記のリストのほとんどは、自律性の問題に帰結する。

トランスジェンダーのアイデンティティに関する会話を、トランスジェンダーの自殺率の高さから切り離するのは難しく感じるかもしれない。また、例えば自閉症と診断されるトランスジェンダーの数が不釣り合いであることは、交絡要因のように感じられるかもしれない。最近の世論調査では、アメリカ人の大多数が、人の性別は生まれたときに刻印されたものから変わらないと考えている事が判明している。こうした事から、読者は、「切除 」と揶揄する批判者にトランスの人々が同意することが可能なのかどうかさえ疑問に思うかもしれない。

私はトランスだ。同時に一人の人間でもある。私の人間性は、「ジェンダー・イデオロギー」の世論調査の出来とは無関係だ。私の生きる意志は、ホルモン注射や無味乾燥なコメントを何回受けたかという単純な係数では無い。トランスジェンダーが自分たちを表現するために使う言葉は、全ての言語が時代とともに変化するように、変化してきたが、トランスジェンダーのアイデンティティは、それ自体が古くからある現象であり、現在の反動よりずっと前からあり、それを上回ることは確実である。

我々は存在しているのである。論説のページで、電波で、そして議会で議論されているのは、我々が自分の人生をコントロールするべきかどうか、そしてシスジェンダーが私たちのためにどの程度コントロールするべきかどうかという事なのだ。そこが争点なのだ。これを見失うことは、この物語の本質を見失う事になる。

Graph Massaraはサンフランシスコに拠点を置く編集者である。彼は最近、AP通信で拡散しているデマを報道する一方、APスタイルブックの編集者にLGBTQ用語について相談した。トランスジェンダージャーナリスト協会(TJA)のメンバーが寄稿した。TJAの詳細については、こちらを参照頂きたい。

(文中敬称略)

「米露両国が、大掛かりなウクライナの反攻が始まったと見ている」とNYT #ウクライナ戦争

 

NYTの最新情報から。

ウクライナ軍が砲撃と地上攻撃を強化しており、米当局は5日、ウクライナがかねてから計画していた対露反攻が始まったことを示唆する可能性があると示唆した。

4日に始まった戦闘は前線の幾つかの地点で激化していたが、多くのアナリストがウクライナの反攻が始まると予想していたよりも東であった。専門家によると、その東部地域で作戦を開始したとしても、ウクライナ軍は同じ目的を達成しようとする事が可能だ。すなわち、アゾフ海に向かって南下し、占領したクリミアとロシア本土を結ぶ陸橋を切断することである。

ロシア国防省は同日、東部ドネツク州の5カ所でウクライナ軍の大規模な作戦が開始され、攻撃を撃退してウクライナ軍に死傷者を出させたと発表した。この報告は独自に裏付けられなかった。

ウクライナのハンナ・マーヤル国防副大臣はメッセージアプリのテレグラムで、ロシア軍が 「攻撃的行動に移っている」 と述べ、15カ月前に隣国に侵攻した時に始まった防衛を続けた。「防衛作戦にはすべてが含まれる」 とし、 「反攻行動も含まれる」 と述べた。

数か月にわたる残虐な戦闘の末にロシアが占領した、荒廃したバフムートが戦闘の中心地だったという。しかし、ロシア軍のブロガーは、5日の朝にドネツクの別の場所、ヴェリーカ・ノヴォシルカの町の近くで、より強いウクライナの攻撃が始まったと述べた。Rybarというペンネームで執筆している親ウクライナ派のブロガー、ミハイル・ズヴィンチュクは、ドイツ製のレオパルド戦車に乗ったウクライナ兵による5日の夕方に近郊のノボドネツケ村を制圧した際の激しい戦闘について記述している。これはウクライナがNATOの訓練を受けた部隊を戦闘に投入した可能性を示している。

ウクライナは以前から反攻開始について正式な発表はしないとしており、今週末にウクライナ軍はメッセージアプリのテレグラムで 「計画は沈黙を愛する」 というスローガンを掲げ、予想される反攻について作戦上の沈黙を嘆願する動画を公開した。

ウクライナ当局者は、戦闘がいつ開始されるのかをアメリカ側に正確に伝えていないが、何時ロシア軍への攻撃を開始するのかについての時間枠を提供した。機密情報について協議するために匿名を条件に取材に応じた米当局者によると、4日はその期間内だったという。

アメリカの当局者は、ウクライナの反攻は、ウクライナ軍の陣地内での動きの活発化を察知した米軍の衛星から収集した情報に基づいて開始された可能性が高いとの評価を一部根拠とした。衛星には赤外線機能があり、砲撃やミサイル発射を追跡できる。

また、アメリカの軍事アナリストは、ウクライナの部隊がロシア軍の位置と兵力を決定するために最初の一押しを行っていると考えていると述べた。これは、アメリカがウクライナ軍に使用するよう訓練してきた伝統的な戦術である。当局者は、ロシアの防衛力、人員、士気の潜在的な弱点 (米軍が 『威力偵察』と呼ぶ) を調べるこの検査は、恐らく数日間続くだろうと述べた。もし成功すれば、その間にウクライナの反攻の主な目的がより明らかになるだろうとこの関係者は述べた。

ホワイトハウスでは、国家安全保障会議のジョン・カービー報道官が、反攻の開始はウクライナ側が協議するためだとして、ウクライナ当局者の声明以上のことはしないと述べた。

カービー報道官は 「私が言えるのは、準備を整えるためにどれだけ努力したかということだ」 と述べた。「大統領は、彼らが成功するための能力を持っている事を確認するべく、我々が過去7、8ヶ月以上も最善を尽くしたと確信している」。
以上、取り急ぎ拙訳。

日本列島を凶悪な台風が襲いかかる中、ニューヨーク・タイムズが極端な悪天候を知らせるニュースレター配信を開始したそうです #新聞 #ニュースレター




ハーバード大学のメディア研究所「ニーマン・ラボ」によりますと、ニューヨーク・タイムズが極端な悪天候を知らせるニュースレター配信を開始したそうです(2023年6月1日午後2時4分投稿)。

折も折、日本列島を台風が蹂躙中ですし、災害報道の参考にでもなればと拙訳してみます。


The New York Times launches a free, geo-targeted extreme weather newsletter(ニューヨーク・タイムズ、位置情報ターゲットによる無料の異常気象ニュースレターを発行)
Readers can opt in to receive morning emails explaining the level and type of extreme weather risk in up to four different places. The newsletter is free for everyone, not just subscribers.(読者は選択すれば、最大4つの異なる場所で異常気象リスクのレベルと種類を説明する朝の電子メールを受信可能。購読者だけでなく、誰でも無料で読める)

By Sophie Culpepper @s_peppered June 1, 2023, 2:04 p.m.

温暖化によって異常気象が頻繁かつ深刻になる中、気象リスクに対する日々の懸念が高まっている可能性がある。また、自分が住んでいる場所だけでなく、旅行中の場所や友人や愛する人が住んでいる場所でも異常気象の可能性に注目しているかもしれない。

異常気象の可能性を警告し、リスクのレベルと種類、娘が夏の仕事をしている場所、父親がリタイアメントコミュニティに住んでいる場所、週末に旅行する予定の場所などを説明する短い電子メールを受け取った場合はどうだろう。また、これらすべての場所における極端な気象リスクの低レベル、中レベル、または高レベルをまとめた1通のメールを受け取る事が出来たら。

ニューヨーク・タイムズは、そのようなシステムが貴方に役立つ可能性があると考えている;この組織は今週、読者が米国本土で最大4つの場所を選択し、3日間に4種類の異常気象 (大雨、竜巻、強風、雹) のいずれかのリスクがある場合に朝のメールを受け取る事が可能なニュースレターを発行した。

「Your Places:Extreme Weather」 という名前のニュースレターだが、購読者に料金を支払う必要はない。これは、パーソナライズされたニュースレターを推進している最新の例であり、またタイムズが気象データを実験し、重視している最新の例でもある。



ニューヨーク・タイムズは、あなたにとって重要な場所の異常気象リスクについてのニュースレター 「Your Places:Extreme Weather」 を開始しました。今すぐ登録すれば、竜巻、雹、強風、過度の雨などのリスクを予報官が確認し次第お知らせします。https://nyti.ms/45ESnoH

読者は、これらの場所の1つ以上で異常気象のリスクが 「低い」 (黄色) 、 「中程度」 (オレンジ) 、 「高い」 (赤色) の場合にのみメールを受け取り、好きな時に選択した4つの場所を変更する事が可能だ。色のカテゴリは、気象現象の種類によって異なる国立気象局の指定を統合して簡素化し、サービスのデータとリスク検出を利用しているため、地理的範囲は米国本土に限定されている。特定の住所を入力すれば、その場所を中心とした2.5平方キロメートルの地域の気象情報が表示される (国勢調査の分類に基づく) ほか、町や都市全体が対象となる。

このニュースレターはTimes Weather Dataチームの発案による。チームは昨年の夏にジョン・キーフェを気象データの編集者として採用し、 「異常気象報道ならNYTだと思ってもらう事に焦点を当てた編集局の新チーム」 を率いるチームの構築を開始した。

以前はCNNのシニア・データ・ビジュアル・エディターであったキーフェは (ニーマン・ラボにも寄稿している) 、同紙の気象学者ジャドソン・ジョーンズと、全米気象局の 「数日の天候の見通し」 について話をしたのを思い出したと私に語った。同サービスは、キーフェが全国の地域の 「ブロブ」 と呼ぶ悪天候を予測するために使用している。「どれだけ正確なデータなのか、誰もそのデータを最大限に活用していないことを話した」と述べた。天気予報の仕事をしている人なら誰でもこのデータを常に頼りにしているだろうし、NYTではこのデータを社内で利用して、全国の記者にチェックインすべきかどうか、またいつチェックインすべきかを判断していただろうが、それは蒸留されたものではなく、専門家以外の人に直接持ち込まれたものだと説明した。「ただただ、これは読者を連れてくるのに素晴らしいと思った」と述べた。

「我々の知る限り、そのようなことをしている人はいませんでした。『ねえ、このブロブの1つが、基本的に私が気にかけている都市の上にあったら教えて」とキーフェは付け加えた。

キーフはこのアイデアをNYTに売り込んだ際、アメリカ国立気象局がその日に竜巻の危険性が高いことを示したニューオーリンズの例を使ったという。彼がその投稿をした数時間後、竜巻が市の郊外を襲った。「『見て、彼らは』というのは、正に完璧な例であった。その情報を読者に届ける手助けを我々は出来る」と語っている。

ニュースレターの目的は、読者が関心を持つあらゆる場所の組み合わせにおいて、「休暇を過ごす場所であれ、子供や両親や愛する人がいる場所であれ」極端な気象リスクについての対処を知らせる事であるとキーフェは述べた。ただし、これらの電子メールは、携帯電話で受信するような非常に時間に敏感な緊急アラートの代わりにはならないという事を強調した。電子メールはリスクが検出された日に1日1回しか送信されないため、読者はその日の後半に気象パターンの変化に関するアラートを受け取れないが、NYTのExtreme Weatherダッシュボードで最新情報を確認することができる。

「念のために言っておくが、速やかに『ああ、地下室に行かないと』というわけではない。『はあ、明後日にこのピクニックの予定があるが、考え直した方がいいかもしれないな』なのだ。あるいは、旅行であろうと何であろうと、と言い換えられるかも」と言う。だが、こうした警告は一般的な認知度を高める事により、読者がその日のうちに何が起きたのか気にしたり、緊急通知を見たりする可能性を高める可能性があると付け加えた。

キーフェによると、チームはバランスを取るために「ページ、電子メール、モバイル向けに、十分な選択肢を与えようと」最大4つの場所を選択するのが有用であると判断した。3段階の気象リスクを定義し、標準化するために、どの用語を使うべきかについて専門家と相談し、アメリカ国立気象局のより多様なカテゴリーにどのような要因が寄与するかを調査した。結果、チームは3つのリスクレベルのカテゴリーを 「もう少し合理化」 し、読者が理解しやすいようにしたと振り返る。基本的に、下層は 「少なくとも異常気象の可能性」 を意味する。一方、ミディアムは 「悪天候になる可能性が高い」 という意味である。ハイアーは、同紙のダッシュボードによると、特定の領域の「極端で危険な天気が予想される」を意味する。

キーフェによると、NYTの気象データチームは、グラフィックチーム、デジタルニュースデザインチーム、インタラクティブニュースチーム、製品側のメッセージチームやパーソナライゼーションチームなど、他のチームと協力してニュースレターの開発に 「この数週間、真剣に」 取り組んだという。

ニュースレターは 「100%自動化」 されており、ユーザーが選択した場所と指定された極端な気象パターンの 「地理空間的交差」 によって、カスタマイズされた電子メールが自動的に配信されるようになっている。人工知能には一切依存していないと、キーフェは強調する。

「基本コンセプトは非常に単純だ」 と言う。「場所を選ぶ;は、このリスクがあるゾーン内のあなたの場所の1つです [ve];メールを送る」。一方、インフラストラクチャとデザインの課題に関しては、「運用上、遥かに複雑で」大量のデータを持ち込む必要があり、 「ニューヨーク・タイムズサイズの聴衆」 に合わせてカスタマイズされた要約を配布し、時には複雑で高密度の気象データを理解可能にする必要がある。

メールはすべて気象学者のジョーンズの署名が入っている。この製品を作成するための準備の一環として、ジョーンズは自動化プロセスによって電子メールに接続できるいくつかの記述子を作成した。例えば、1つの場所では低リスクの記述子、他の2つの場所では高リスクの記述子である。キーフェによると、これらの自動メールを手動で微調整する唯一の方法は、リスクの高い天候パターンに対応することだという。読者が追加情報を求め、必要とする可能性が最も高いのは、ジョーンズが手動でこれらの状況を追加し、NYTの記事にリンクする可能性がある。

キーフェによると、この気象ニュースレターのコンセプトは、同紙が地理的にカスタマイズした新型コロナウイルス追跡メールを元にしているという。ただし、このメールは各地域の流行レベルに関係なく定期的に送信されていたのに対し、気象チームは 「リスクが存在する人々にのみメールを送信」 しており、アメリカ国立気象局が検知している。これは独自の実装上の課題を提示し、 「解決すべきパズルであることが判明した」 と述べている。

また、新しい電子メールを 「パーソナライゼーションの次のステップ」 と表現した。例えばライターがコラムを書き終えたときではなく、送信スケジュールがデータ条件によって決定されると言う。

キーフェによると、チームはこのサービスを拡大して、アメリカ本土以外の場所や国際的なデータも含め、他の種類の異常気象も追跡したいと考えているという。サービスを立ち上げて運用し、後に拡張する事が焦点になったという。


気象警報は長い間地元の報道機関の管轄だったとキーフェ。だが、 「全国の多くの読者は...彼らが入手できるローカルニュースが減少している状況にある」 。そのような状況において、チームは 「サービスにおける地理的多様性の提供」 がこのプロジェクトの大きな利点である事に同意した。
(文中敬称略)

NYT「バフムートが廃墟と化し、ウクライナは近郊に重点を移す」 #ウクライナ戦争



ニューヨーク・タイムズの戦況ライブブログより。

【キエフ】 ロシア軍は、バフムートの廃墟からウクライナ軍の残存兵を一掃する 「掃討」 作戦に従事していると、ウクライナ政府高官が月曜日に明らかにした。ロシア軍の司令官らは、バクムートの明らかな喪失から、その近郊での戦闘に焦点を移そうとしている。

ウクライナ地上軍の司令官オレクサンドル・シルスキー大将は週末、バクムートの内部にはウクライナ兵のごく一部しかいないことを認めた。ロシアがほぼ1年に及ぶバクムート制圧作戦で優勢だった事を暗黙のうちに認めたものだった。シルスキー大将は、これら少数の部隊は 「状況の変化に備えて都市に入る機会」 を提供するために、陣地の防衛を続けると述べた。

この発言は、ロシアが昨年夏以来の戦場での大きな成功を主張する中、ウクライナが戦争で最も死傷者を出した作戦をどう表現するかの変化を示唆している。数ヶ月の間、バフムートの支配は西側の数ブロックにまで縮小したが、ウクライナはロシア軍がバフムートを占領しないように激しい戦闘をしていると強調した。当局は現在、バフムートの防衛からロシアによる保持を困難にすることに焦点が変わりつつあることを認めているようである。

ウクライナ側による戦況の主張の多くは検証出来なかったものの、ウクライナ軍がここ数週間でバフムートの北と南で小規模な前進を遂げており、5月6日に始まった重要な戦闘でロシア軍の防御陣地を突破した事は明らかである。

シルスキー司令官は21日、東部戦線のウクライナ軍兵士を訪問した際、ウクライナ軍がバフムート郊外に進軍を続けており、 「戦術的に市を包囲する寸前」 だと主張した。しかし、ウクライナ軍は前進地点の詳細を明らかにしなかった。

ウクライナ第3突撃旅団の指揮官ロディオン・クドリアーショフ少佐は、ウクライナ軍は小規模だが重要な利益を市周辺で上げ続けていると述べた。

ウクライナの放送局「RBCウクライナ」とのインタビューで「我々は敵の弱点を感じようとしており、徐々に一歩一歩、敵を締め出し、我々にとって有利な位置を占め、主導権を握りつつある」と語った。

一部のアナリストは、ウクライナの主張は、バフムートでの後退に光を当てようとする努力のようだと述べた。

ロチャン・コンサルティングの防衛アナリストであるコンラッド・ムジカは22日に 「戦術的包囲に関して語るのは時期尚早であり、おそらく市の陥落に対する性急な対応を反映している」 と書いた。

しかし、ロシアの支配が確実になるわけではない。ロシア軍によるバクムート攻撃を指揮したワグネルの傭兵集団のリーダー、エフゲニー・プリゴジンの気まぐれで大言壮語な計画にかかっている部分が大きい。週末に 「勝利」 を宣言した数時間後、プリゴジンは25日から戦闘員を撤退させると語っていた。

「6月1日から、再編成、再装備、追加訓練を受けるまで、ワグネルPMC戦闘部隊は一人も最前線に立つ事は無い」と述べた。

活発な前線から部隊を撤退させるのは簡単なことではなく、ロシアは市郊外の高台にいるウクライナ軍からの攻撃に対して脆弱な状態に置かれる可能性がある。広く報道されているワグネルとロシア軍上層部との緊張関係や、ロシア軍内部の意思疎通の問題を考慮すると、ウクライナは亀裂利用の可能性を注視するだろうとアナリストは見ている。

プリゴジンが今すぐ戦闘部隊を撤退させないとしても、軍事アナリストは、特にウクライナ軍が600マイルに及ぶ前線の他の地域で戦闘を激化させる可能性のある反攻を準備している事から、ロシアはバフムートの支配という課題に直面するだろうとした。

「ロシア軍は他方面での作戦を犠牲にして、バフムート市とその側面を保持するために追加の援軍を必要とする可能性が高い」 と、戦争研究所は21日に発表した最新の分析で指摘している。

ウクライナと英国の軍事情報機関はいずれも、ロシア軍が数千人の兵士をこの地域に派遣している証拠があると報告している。

ウクライナのハンナ・マリアル国防副大臣は22日、 「敵は彼の支配下にある都市の地域を掃討している」 一方で、ウクライナは都市周辺で 「支配的な高みをめぐる闘争」 を続けていると述べた。

今のところ、ウクライナ兵はバフムートでの戦闘で第一の目的を果たしたという。

「敵の攻撃可能性が大幅に減少する」 と述べた。「敵は大きな損害を被っており、後で発表できるであろう特定の行動のための時間を我々は得られた」。

(文中敬称略)

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