森薫「乙嫁語り10」 【HARTA COMIX】


前半はカルルク君がメインで、
後半はスミスさんがメインのお話の、
実質二本立てのような構成。

ネタバレ対策の為たたみます。
構わない方だけ「続きを読む」クリックで。


(以下「続きを読む」内で)


アミルさんによりふさわしい男になろうと、
アミルさんの実家で狩り修行にいそしむカカルルク君。
それを見守るアミルの兄や部族の仲間の男たち。
カルルク君の気持を見抜いた上で力を貸し続ける関係性が、
見ていてなんか心地よかった。
アミルさんは育った環境にも恵まれてるし、
そのアミルさんと結婚したカルルク君は果報者過ぎる(笑)
中央アジアの狩猟事情も描かれていて、
その内容も興味深い。
イヌワシを使った鷹狩り(鷲狩りとは言わない)をしていることすら知らなかったし、
5年程で山へ帰す風習も興味深い。


そして後半のスミスさん。
いやあ~3巻で登場し、
バッドエンドのまま後味悪くなっていたタラスさんとのお話が、
ここにきてやっと良い方向に転がりだすとは予想外。
それもタラスさんの住んでいた場所から遠く離れたアンカラで。
てか、その遠い所へ先回りしてたタラスさんの情の深さは凄すぎるし、
行動力は想定外過ぎる(笑)
てか、タラスさんの義父の選んだ「一応の結婚相手」さんも素晴らしい。
タラスさんの事情をすべて理解して、
「女の人だって幸せに生きたほうがいい」
と言ってアンカラまで連れて来てくれたのだから、
良い人過ぎて「本のちょい役」で退場させちゃうのが可哀そうな気がするほど。
もう別の漫画の主人公になってもおかしくないレベルだと思う。
てか、彼にも幸せになってほしい。

ともあれ、長い事心に引っかかってたモヤモヤが晴れ渡る展開で、
後味の良い読後感でした。
まあスミスさんとの結婚も、この先色々障害がありそうですけどね……