(公開されたAmish少女の似顔絵、MSN Newsより)
(シルバニアファミリー)
(ステラおばさん)
2014.8.15本日の表現:Amish / AUNT STELLA'S
今日は、英語そのものというより、ニュースに出てくる言葉の歴史や背景を探ってみます。
米国ペンシルバニア州ダッチカントリーに、Amish(アーミッシュ)と呼ばれる人たちが住んでいるのはご存知ですか?17世紀に、宗教迫害を逃れてきたドイツ系開拓移民の子孫で、聖書の教えに忠実に従って生きている人々です。スマホとインターネットの時代にあって、テレビも電話も自動車もない、入植当時の生活を今も守っています。
そのAmishの子供たちが8月13日に誘拐されて、ニュースになりました(事件が起こったのはニューヨーク州)。結果的には、彼女たちは無事に解放され、事なきを得ました。しかし、子供を探すにも、子供たちの「写真」が存在しません。そこで、捜索のため証言を元に描いた子供の顔が、上の「似顔絵」だったのです。さらに、彼らの話す言語は英語でなく、ドイツ語の方言と類型されるPennsylvania Dutch(ペンシルバニア・ダッチ)であるため、通訳が必要でした。
アメリカという先進国にあって、文明を受け入れない人々がいるために起こる、特異な事象です。当たり前のことですが、英語のニュースや文献に接するということは、英語圏の文化や歴史を学ぶことであり、たんに英語の単語や文法の知識があれば読み取れる、というものではありません。その点、言葉の語源を探ることは、その歴史を紐解く糸口を与えてくれます。例えば、Amishという名前は、彼らが信じるキリスト教一派のスイス人創始者Jakob Amman(ジェーコブ・アマン)から来ています。さらに、ペンシルバニア州(Pennsylvania)は、Penn(ペン)とsylvania(森)から命名されています(17世紀の英国人でクウェーカー教徒だったWilliam Pennウィリアム・ペン。その父に借金のあったチャールズ2世が、父ペンに敬意を表し「ペンの森の国」と命名)。また、小惑星のシルヴァニア(Sylvania)や女性の名前のシルビア(Sylvia)も、森の意味に由来しています。エポック社の玩具(ドールハウス)のシルバニアファミリー(Sylvanian Families)も、森に囲まれたシルバニア村に住んでいます。
さらに、今では日本ですっかりお馴染みとなったクッキーの「ステラおばさん」(AUNT STELLA'S)。実は、このステラおばさんは実在していた人物で、ペンシルバニア州ダッチカントリー出身です。ステラの作るクッキーを食べて育った、甥で同郷出身のJoseph Dunkleが商業化して、日本で発売したのが「ステラおばさん」の始まりです。Dunkleさんは、日本人とAmishの共通点について、Los Angeles Timesのインタビューで、以前このように語っていました。
"The Japanese people love knowledge and like to learn all the time," he said. "Amish people have a common denominator with the Japanese: It's the harmony that both cultures have and maintain."(日本人は知識が大好きで、常に学びたがっています。Amishの人々と日本人が共通しているのは、双方の文化が保持する調和です)
いかがでしょう?意外なところでAmishは日本とつながりがあるのです。Amishと聞いて何も疑問に思わず調べなければ、それ以上の気づきはありません。皆さんも、興味をもった言葉があれば、ぜひ詳しく調べてみてください!視野が広がっていきます。
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