Vocabulary Building Blog

はじめまして、管理人です。 このブログは、英語の初心者から上級者まで、 英語に興味のあるすべての方のために書かれています。 英語力向上のため避けて通れないのは、語彙力の増強(Vocabulary Building)。 しかし、その過程は単調な作業や苦痛な営みになりがちです。 本ブログでは、初心者の方に「オモシロイ!」と思ってもらえる英語から、 上級者の方に「なるほど」と思ってもらえる英語まで、幅広く取り扱っています。 心がけているのは、(読み物として)読んで楽しいことと、 表面的な説明ではなく英語を根本から解説することです。 英語の楽しさと奥深さを実感していただき、 皆さまの英語力向上にお役立ていただければ幸いです。

2014年08月

William_Raspberry
William Raspberry氏)

2014.8.31
本日の表現:open doors / slam doors

今日は、
2012年に亡くなった米国のコラムニストのWilliam Raspberry(ウィリアム・ラズベリー)氏の残した言葉を紹介します。

Good English, well spoken and well written, will open more doors than a college degreeBad English will slam doors you didn’t even know existed.(良い英語、それも良く書けて良く話せる英語は、大学の学位よりも多くの扉を開く。悪い英語は、存在することさえ知らない扉をバタンと閉めてしまう。)

ここでもちろん対比となっているのは、
Good EnglishBad English、そしてopen doorsslam doorsという表現。扉を開けることと、閉めること。さすがは、ピューリッツアー賞を受賞した人の文だけあって、説得力があり、パンチが利いていますね。英語を学ぶのは一生涯のプロセス。こんな言葉も励みにして、やっていきたいと思います。
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mr and mrs kaye
(英国人夫婦の
Mr & Mrs Kaye

2014.8.29
本日の表現:forgive and forget / luck or fate

結婚
80周年を迎えた100歳を越える英国の老夫婦(Mr & Mrs Kaye)に対する、BBCのインタビュー記事がありました。その含蓄ある回答の一部を紹介しましょう。

The couple, who are now 102 and 101, said the secret to a happy marriage was being tolerant of each other and being willing to
"forgive and forget".102歳と101歳になる老夫婦は、幸せな結婚生活の秘訣は、お互いに対して寛容になり、自ら進んで「許して忘れる」ことだと語った。)

Asked about whether their long marriage was
luck or fate, Mrs Kaye said: "You can never plan anything. How can you plan for 80 years? It is fate."(長きにわたり結婚生活を維持できたのは、運か運命かと聞かれると、ご夫人は答えた。「何事も、前もって計画することはできません。80年もの時間をどうしたら計画できるというのですか?運命です。」)

Mr Kaye said the secret to a happy marriage was always agreeing with his wife.
(ご主人は、幸せな結婚生活の秘訣は、妻にいつも同調することだ、と言った。)

Mrs Kaye said: "You mustn't be hard on each other. And if you have to give in a little bit, you give in a little bit."
(ご夫人は言った。「お互いに対してつらく当たってはいけません。少し譲らなければならない時は、少し譲るのです。」)

この中で、
forgive and forgetを少し取り上げてみましょう。これは「過去のことは水に流して忘れる」という意味の慣用句です。これを語源的に考えると、forgive許す)は for強意+ give与える)、forget忘れる)はfor怠る)(放棄する+ get得る)。つまり、forgiveの、相手の過ちを受け入れる姿勢は、「与える」こと、言いかえれば「相手への献身」と読み取れます。そして、forgetは、「得る」ことを「怠る」と考えれば、大切な物の受け取りを忘れるなどマイナスの意味にもなりますし、「得る」ことを「放棄する」と考えれば、負の感情を捨て相手の過ちを忘れるなどプラスの意味にもなります。こうしてみると、give(与える)とget(得る)の関係は反対のベクトルにありながら、相手への献身という視点で捉える時、同じ方向を向きます。だから、forgive and forgetという慣用句が成立したのでしょう。ちなみに、OALD辞書の説明は以下の通りです。forgive and forget: to stop feeling angry with sb for sth they have done to you and behave as if nothing happened.自分に対してした相手の行為への怒りを静めて、何もなかったかのように振る舞うこと。)

最後に、
luck or fate。日本語的には「運か運命か」「偶然か必然かなどでしょうから、これは使えますね。ちなみに、私は幸せな結婚ができましたが、妻との出会いをもしも聞かれたなら、二律背反ではなくてboth luck and fate(どちらもある)と答えたいと思います。It happened by chance. But everything happens for a reason.「偶然の出会い、しかし必然」て矛盾しませんよね。
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hello kitty
(ハローキティ)
white-picket-fence
white picket fence

2014.8.28
本日の表現:quintessential / white picket fence

いまインターネットで「ハローキティは猫ではなかった」ことが話題になっていますが、それよりもっと驚いていることがあります。それは「ハローキティは英国人であり、彼女が生まれた
70年代の日本人にとって、英国は理想の国だった」という趣旨の記事を読んだことです。だから、ハローキティは英国人に設定されたのだと。

初耳でした。そこで
1970年代の英国について調べましたが、むしろ目にするのは英国の悪いところばかり。

1970年代には「英国病」、「ヨーロッパの病人」と呼ばれるほど経済状況が悪化した。これに追い討ちをかけたのが1973年に勃発したオイルショックで、イギリス経済は大打撃を蒙った。」(ウィキペディア)

ビートルズが最も活躍したのは
60年代だし、初の女性首相サッチャーが誕生したのは、70年代も終わる1979年。サッチャリズム(Thatcherism)と呼ばれた彼女の政治的手法は賛否両論あり、ハローキティのキャラとかぶるものとも決して思われず。

そんな私の疑問はともかく、
Fox News(取材はLos Angeles Times紙)では、ハワイ大学で人類学を教える、ハローキティに関する著書もある日系米人の言葉を紹介しています。

"Hello Kitty emerged in the 1970s, when the Japanese and Japanese women were into Britain," Yano told the Times. "They loved the idea of Britain. It represented the quintessential idealized childhood, almost like a white picket fence. So the biography was created exactly for the tastes of that time."
(「ハローキティは、日本人と日本人女性が英国に夢中になっていた1970年代に、誕生した」とYano氏はTimesに語った。「彼らは英国に惚れ込んだ。英国こそが、ほぼ白い囲い柵のように、理想化された子供時代の典型だった。そこで彼女の生い立ちは、その時代の趣に合致したものとして作り上げられた」)

ここで注釈が必要なのは、まずは
quintessential。これは「典型的」という意味で、quintessenceの形容詞形。quintは「5」、essenceは「真髄」を表します。これは、古代哲学の「第五元素」から来ており、四元素であるearth)・空気air)・fire)・water)の外にあり、宇宙全体を構成すると考えられた要素のことです。今でも、quintet(クインテット)といえば音楽の五重奏を意味しますね。essence真髄ですが、quintが頭についてquintessenceとなると「典型」の意味になるのが現代英語です。続いて、white picket fence。これはそのまま訳すと「白い囲い柵」ですが、家や土地を所有していること、つまりはアメリカンドリームを実現した象徴です。さしずめ、70年代の日本にとって英国式の子供時代は、ブリティッシュドリームだったというのか。サンリオがハローキティを英国人にしたのは、実に興味深いことです。
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UA
(ユナイテッド航空機)

2014.8.27
本日の表現:divert / advertise / divorce

昨日取り上げたユナイテッド航空機内の乗客のトラブルについて、今日は
Fox Newsで報道していました。ここで、このニュースを理解するために必要な英単語について、触れておきます。

A United Airlines flight from Newark to Denver was diverted Sunday after passengers got into a heated fight over legroom.
(日曜に、ニューアーク発デンバー行きのユナイテッド航空便は、足元の空間をめぐる乗客同士の争いが過熱して、行き先が転換された

これはお決まりの表現であり、昨日の
London Evening Standardも本日のFox Newsでも同じこのdivertが使われていました。それではなぜdivertが転換を意味するのでしょうか?

これは、語源を見てみることで、理解できます。
divertdivertから成っており、diは「分離」、vertは「回る」を意味しています。ここから「向きを変えて、当初の目的地から離れる」の意味になりました。そして、このdivertとほぼ兄弟語と言って差し支えないのが、離婚を意味するdivorceです。意外でしょうか?divorceは、divorceから成り立っており、diが「分離」、vorceは「向きを変える」を意味します。ここから「袂を分かち、別々の人生を歩む」となりました。さらに、広告を意味するadvertiseadvertiseから出来ており、adは「~に」、vertiseは「向ける」を表します。それが「人々の注意を向けさせる」広告の意味となったのです。

毎度思うことですが、語源を知ると意外な単語同士が英語の変遷と歴史の中でつながることを実感できて、面白いですね。
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Knee Defender
Knee DefenderBusiness Insiderより)

2014.8.26
本日の表現:rowrowが・・・。

今日は、意味深なタイトルにしました。一般的に、同字同音異義語といえば、同じスペルで同じ発音の語でありながら意味は異なるものを指しますね。それでいけば、今回は「同字異音異義語」の紹介になります。

イギリスの
London Evening Standard紙に、ユナイテッド航空機内で、座席のリクライニングをめぐるトラブルが起き、飛行機はシカゴで一時着陸を余儀なくされた、というニュースが報じられていました。

The
row started on United Airlines flight 1462 from Newark to Denver on Sunday after one passenger used the so-called Knee Defender. (ニューアーク発デンバー行きのユナイテッド航空1462便で、一人の乗客がKnee Defenderと呼ばれる器具を使用し、騒動が起きた。)

The male passenger, 48, who was sat in the middle seat of
row 12, used the lock to stop a woman, also 48, from reclining while he was using his laptop, a law enforcement official said.(警察によれば、12列の中央座席に座った48歳の男性乗客が、ノートパソコンを使う間、前側に座る同じく48歳の女性の座席にロックをかけて、リクライニングさせないようにした。)

ユナイテッド航空では、この
Knee Defenderの使用は禁止されています。そこで、男性に乗務員が器具の使用を控えるよう指示したところ、男性は拒否。その瞬間、前の女性が立ち上がり、コップ一杯の水を男性にぶっかけた、という話です。

前者の
rowは「騒動」を意味し、後者のrowは「」を意味します。発音は、前者が[rau]で、後者が[rou]です。

ただ異音異議語というだけでは取り上げませんが、
同じrowrowが起きたと伝える記事が面白く、ピックアップしました。ちなみに、Knee Defenderの使用の可否は、連邦航空局は航空各社の判断に委ねており、ユナイテッド航空を含む米国の主要な航空会社では禁止されている、とのことです。この事件を受けて、今後どうなることやら。
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