(X線が映し出す大量の異物)
2014.9.4本日の表現:Great Dane / retch and vomit / foreign material
今日は、TIME記事の誤用表現シリーズから一旦休憩で、ABC newsから英語をお届けします。
A 3-year-old Great Dane was miserable, retching and vomiting, when his owners rushed him to the animal hospital. X-rays showed a stomach full of what was described as "a large quantity of foreign material.(3歳のグレート・デーンは、飼い主により動物病院へ駆け込み連れられた時、吐き気を催しては吐くという、惨めな状況にあった。X線の写真は、「大量の異物」と表現された物体で一杯になったお腹を、映し出した。)
その物体とは、何と43.5足の靴下だったそうです。私の妻の実家でも大型犬を飼っており、度々靴下などの異物を飲み込んでは獣医に連れていかれる、という話を聞いたことがありましたが、40足以上でよく生きていられたものです。
その中で今日取り上げたいのは、上記の赤字の語。まず、Great Daneですが、これはGreat(大きな) Dane(デンマークの犬)という意味です。歴史の変遷があり、現在は原産国がドイツとされているようですが、要は欧州中央の、あの地域出身の犬ということです。
次に、retch and vomitですが、vomit(吐く)はともかく、retchはあまり聞かない表現ですね。どちらかといえば、同じ発音でwが頭に付いたwretch(気の毒な人)を思い出すくらいで。でも考えてみたら、汚い話ですみませんが、人はいきなり吐くのではなく、吐く前にたいてい「吐き気を催し」ますよね。これがretchの意味です。あまり多用したくない表現ですが、描写する際には役に立つはずです。retch and vomitのセットで覚えましょう。
そして、最後にforeign。これは「外国の」という意味を思い浮かべる人が多いと思いますが、ここでは「外から入ってきた異質の」という意味です。だからforeign materialで異物です。foreignとforest(森)は同源ということはご存知でしたか?「外側の」という共通の原義があり、そこからforestも「外側の森」の意味が転じて、現在の森の意味になったのです。そこがわかれば、異物の意味もよりすんなり理解できるはずです。
災難渦中の犬は、幸い2時間近くに及ぶ手術の末、無事に助かり、今は元気にしているそうです。
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本日の表現:selfie
(コルコバードのキリスト像の頂上でselfieを撮るイギリス人。express.co.ukより)
(ブラジル・リオデジャネイロのコルコバードの丘にあるキリスト像)
2014.9.1本日の表現:selfie
自分撮りを表すselfie。由来はもちろん、self(自分自身)。Oxford Word of the Year 2013(オックスフォード・ワード・オブ・ザ・イヤー2013)に選ばれたくらい、よく使われる言葉ですが、いまいち日本ではまだ浸透していないようです。そこで、今日はその例文を紹介。(オンラインのOxford Dictionariesより)
‘Occasional selfies are acceptable, but posting a new picture of yourself every day isn’t necessary.’(たまに自分撮りの写真を投稿するのは許容できるが、毎日の必要はない)
投稿者のセンスもあるため、自分撮りの毎日の投稿が悪いとは、全く思いません。でも、上記の例文も言い得て妙です。Oxfordが、気分でワード・オブ・ザ・イヤーを決めることはありません。定着していく語を厳選しています。これからもまだまだ使われるselfie。まだの方は、ご自身の語彙に加えてみては?
本日の表現:forgive and forget / luck or fate
(英国人夫婦のMr & Mrs Kaye)
2014.8.29本日の表現:forgive and forget / luck or fate
結婚80周年を迎えた100歳を越える英国の老夫婦(Mr & Mrs Kaye)に対する、BBCのインタビュー記事がありました。
The couple, who are now 102 and 101, said the secret to a happy marriage was being tolerant of each other and being willing to "forgive and forget".(102歳と101歳になる老夫婦は、
Asked about whether their long marriage was luck or fate, Mrs Kaye said: "You can never plan anything. How can you plan for 80 years? It is fate."(長きにわたり結婚生活を維持できたのは、
Mr Kaye said the secret to a happy marriage was always agreeing with his wife.(ご主人は、幸せな結婚生活の秘訣は、
Mrs Kaye said: "You mustn't be hard on each other. And if you have to give in a little bit, you give in a little bit."(ご夫人は言った。「
この中で、forgive and forgetを少し取り上げてみましょう。これは「
最後に、luck or fate。日本語的には「運か運命か」「偶然か必然か」
本日の表現:quintessential / white picket fence
(ハローキティ)
(white picket fence)
2014.8.28本日の表現:quintessential / white picket fence
いまインターネットで「ハローキティは猫ではなかった」ことが話題になっていますが、それよりもっと驚いていることがあります。それは「ハローキティは英国人であり、彼女が生まれた70年代の日本人にとって、英国は理想の国だった」という趣旨の記事を読んだことです。だから、ハローキティは英国人に設定されたのだと。
初耳でした。そこで1970年代の英国について調べましたが、むしろ目にするのは英国の悪いところばかり。
「1970年代には「英国病」、「ヨーロッパの病人」と呼ばれるほど経済状況が悪化した。これに追い討ちをかけたのが1973年に勃発したオイルショックで、イギリス経済は大打撃を蒙った。」(ウィキペディア)
ビートルズが最も活躍したのは60年代だし、初の女性首相サッチャーが誕生したのは、70年代も終わる1979年。サッチャリズム(Thatcherism)と呼ばれた彼女の政治的手法は賛否両論あり、ハローキティのキャラとかぶるものとも決して思われず。
そんな私の疑問はともかく、Fox News(取材はLos Angeles Times紙)では、ハワイ大学で人類学を教える、ハローキティに関する著書もある日系米人の言葉を紹介しています。
"Hello Kitty emerged in the 1970s, when the Japanese and Japanese women were into Britain," Yano told the Times. "They loved the idea of Britain. It represented the quintessential idealized childhood, almost like a white picket fence. So the biography was created exactly for the tastes of that time."(「ハローキティは、日本人と日本人女性が英国に夢中になっていた1970年代に、誕生した」とYano氏はTimesに語った。「彼らは英国に惚れ込んだ。英国こそが、ほぼ白い囲い柵のように、理想化された子供時代の典型だった。そこで彼女の生い立ちは、その時代の趣に合致したものとして作り上げられた」)
ここで注釈が必要なのは、まずはquintessential。これは「典型的」という意味で、quintessenceの形容詞形。quintは「5」、essenceは「真髄」を表します。これは、古代哲学の「第五元素」から来ており、四元素である土(earth)・空気(air)・火(fire)・水(water)の外にあり、宇宙全体を構成すると考えられた要素のことです。今でも、quintet(クインテット)といえば音楽の五重奏を意味しますね。essenceは真髄ですが、quintが頭についてquintessenceとなると「典型」の意味になるのが現代英語です。続いて、white picket fence。これはそのまま訳すと「白い囲い柵」ですが、家や土地を所有していること、つまりはアメリカンドリームを実現した象徴です。さしずめ、70年代の日本にとって英国式の子供時代は、ブリティッシュドリームだったというのか。サンリオがハローキティを英国人にしたのは、実に興味深いことです。
本日の表現:divert / advertise / divorce
(ユナイテッド航空機)
2014.8.27本日の表現:divert / advertise / divorce
昨日取り上げたユナイテッド航空機内の乗客のトラブルについて、今日はFox Newsで報道していました。ここで、このニュースを理解するために必要な英単語について、触れておきます。
A United Airlines flight from Newark to Denver was diverted Sunday after passengers got into a heated fight over legroom.(日曜に、ニューアーク発デンバー行きのユナイテッド航空便は、足元の空間をめぐる乗客同士の争いが過熱して、行き先が転換された)
これはお決まりの表現であり、昨日のLondon Evening Standardも本日のFox Newsでも同じこのdivertが使われていました。それではなぜdivertが転換を意味するのでしょうか?
これは、語源を見てみることで、理解できます。divertはdiとvertから成っており、diは「分離」、vertは「回る」を意味しています。ここから「向きを変えて、当初の目的地から離れる」の意味になりました。そして、このdivertとほぼ兄弟語と言って差し支えないのが、離婚を意味するdivorceです。意外でしょうか?divorceは、diとvorceから成り立っており、diが「分離」、vorceは「向きを変える」を意味します。ここから「袂を分かち、別々の人生を歩む」となりました。さらに、広告を意味するadvertiseもadとvertiseから出来ており、adは「~に」、vertiseは「向ける」を表します。それが「人々の注意を向けさせる」広告の意味となったのです。
毎度思うことですが、語源を知ると意外な単語同士が英語の変遷と歴史の中でつながることを実感できて、面白いですね。