Vocabulary Building Blog

はじめまして、管理人です。 このブログは、英語の初心者から上級者まで、 英語に興味のあるすべての方のために書かれています。 英語力向上のため避けて通れないのは、語彙力の増強(Vocabulary Building)。 しかし、その過程は単調な作業や苦痛な営みになりがちです。 本ブログでは、初心者の方に「オモシロイ!」と思ってもらえる英語から、 上級者の方に「なるほど」と思ってもらえる英語まで、幅広く取り扱っています。 心がけているのは、(読み物として)読んで楽しいことと、 表面的な説明ではなく英語を根本から解説することです。 英語の楽しさと奥深さを実感していただき、 皆さまの英語力向上にお役立ていただければ幸いです。

カテゴリ:ニュースソース > Los Angeles Tims

hello kitty
(ハローキティ)
white-picket-fence
white picket fence

2014.8.28
本日の表現:quintessential / white picket fence

いまインターネットで「ハローキティは猫ではなかった」ことが話題になっていますが、それよりもっと驚いていることがあります。それは「ハローキティは英国人であり、彼女が生まれた
70年代の日本人にとって、英国は理想の国だった」という趣旨の記事を読んだことです。だから、ハローキティは英国人に設定されたのだと。

初耳でした。そこで
1970年代の英国について調べましたが、むしろ目にするのは英国の悪いところばかり。

1970年代には「英国病」、「ヨーロッパの病人」と呼ばれるほど経済状況が悪化した。これに追い討ちをかけたのが1973年に勃発したオイルショックで、イギリス経済は大打撃を蒙った。」(ウィキペディア)

ビートルズが最も活躍したのは
60年代だし、初の女性首相サッチャーが誕生したのは、70年代も終わる1979年。サッチャリズム(Thatcherism)と呼ばれた彼女の政治的手法は賛否両論あり、ハローキティのキャラとかぶるものとも決して思われず。

そんな私の疑問はともかく、
Fox News(取材はLos Angeles Times紙)では、ハワイ大学で人類学を教える、ハローキティに関する著書もある日系米人の言葉を紹介しています。

"Hello Kitty emerged in the 1970s, when the Japanese and Japanese women were into Britain," Yano told the Times. "They loved the idea of Britain. It represented the quintessential idealized childhood, almost like a white picket fence. So the biography was created exactly for the tastes of that time."
(「ハローキティは、日本人と日本人女性が英国に夢中になっていた1970年代に、誕生した」とYano氏はTimesに語った。「彼らは英国に惚れ込んだ。英国こそが、ほぼ白い囲い柵のように、理想化された子供時代の典型だった。そこで彼女の生い立ちは、その時代の趣に合致したものとして作り上げられた」)

ここで注釈が必要なのは、まずは
quintessential。これは「典型的」という意味で、quintessenceの形容詞形。quintは「5」、essenceは「真髄」を表します。これは、古代哲学の「第五元素」から来ており、四元素であるearth)・空気air)・fire)・water)の外にあり、宇宙全体を構成すると考えられた要素のことです。今でも、quintet(クインテット)といえば音楽の五重奏を意味しますね。essence真髄ですが、quintが頭についてquintessenceとなると「典型」の意味になるのが現代英語です。続いて、white picket fence。これはそのまま訳すと「白い囲い柵」ですが、家や土地を所有していること、つまりはアメリカンドリームを実現した象徴です。さしずめ、70年代の日本にとって英国式の子供時代は、ブリティッシュドリームだったというのか。サンリオがハローキティを英国人にしたのは、実に興味深いことです。
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Amish girl
(公開された
Amish少女の似顔絵、MSN Newsより)
Sylvanian Families
(シルバニアファミリー)
Aunt Stella logo
(ステラおばさん)

2014.8.15
本日の表現:Amish / AUNT STELLA'S

今日は、英語そのものというより、ニュースに出てくる言葉の歴史や背景を探ってみます。

米国ペンシルバニア州ダッチカントリーに、
Amish(アーミッシュ)と呼ばれる人たちが住んでいるのはご存知ですか?17世紀に、宗教迫害を逃れてきたドイツ系開拓移民の子孫で、聖書の教えに忠実に従って生きている人々です。スマホとインターネットの時代にあって、テレビも電話も自動車もない、入植当時の生活を今も守っています。

その
Amishの子供たちが8月13日に誘拐されて、ニュースになりました(事件が起こったのはニューヨーク州)。結果的には、彼女たちは無事に解放され、事なきを得ました。しかし、子供を探すにも、子供たちの「写真」が存在しません。そこで、捜索のため証言を元に描いた子供の顔が、上の「似顔絵」だったのです。さらに、彼らの話す言語は英語でなく、ドイツ語の方言と類型されるPennsylvania Dutch(ペンシルバニア・ダッチ)であるため、通訳が必要でした。

アメリカという先進国にあって、文明を受け入れない人々がいるために起こる、特異な事象です。当たり前のことですが、英語のニュースや文献に接するということは、英語圏の文化や歴史を学ぶことであり、たんに英語の単語や文法の知識があれば読み取れる、というものではありません。その点、言葉の語源を探ることは、その歴史を紐解く糸口を与えてくれます。例えば、
Amishという名前は、彼らが信じるキリスト教一派のスイス人創始者Jakob Amman(ジェーコブ・アマン)から来ています。さらに、ペンシルバニア州(Pennsylvania)は、Penn(ペン)とsylvania(森)から命名されています(17世紀の英国人でクウェーカー教徒だったWilliam Pennウィリアム・ペン。その父に借金のあったチャールズ2世が、父ペンに敬意を表し「ペンの森の国」と命名)。また、小惑星のシルヴァニア(Sylvania)や女性の名前のシルビア(Sylvia)も、森の意味に由来しています。エポック社の玩具(ドールハウス)のシルバニアファミリー(Sylvanian Families)も、森に囲まれたシルバニア村に住んでいます。

さらに、今では日本ですっかりお馴染みとなったクッキーの「ステラおばさん」(AUNT STELLA'S
)。実は、このステラおばさんは実在していた人物で、ペンシルバニア州ダッチカントリー出身です。ステラの作るクッキーを食べて育った、甥で同郷出身のJoseph Dunkleが商業化して、日本で発売したのが「ステラおばさん」の始まりです。Dunkleさんは、日本人とAmishの共通点について、Los Angeles Timesのインタビューで、以前このように語っていました。

"The Japanese people love knowledge and like to learn all the time," he said. "Amish people have a common denominator with the Japanese: It's the harmony that both cultures have and maintain."
(日本人は知識が大好きで、常に学びたがっています。Amishの人々と日本人が共通しているのは、双方の文化が保持する調和です)

いかがでしょう?意外なところでAmishは日本とつながりがあるのです。
Amishと聞いて何も疑問に思わず調べなければ、それ以上の気づきはありません。皆さんも、興味をもった言葉があれば、ぜひ詳しく調べてみてください!視野が広がっていきます。
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