2014.9.21本日の表現:Who’s / Whose / You’re / Your
TIME紙が取り上げる混同しやすい表現の最終回(全15回)。最後はWho’sとWhose、You'reとYourです。
これらは、先日の例(It’sとIts / They’reとTheir)と同様に、「生まれたときから英語に触れ、耳から英語を学んできた」英語のネィティブだからこそ、間違えやすいポイントですね。
まず、Who’sですが、これはWho isかWho hasいずれかの略です。これがWhoseでないかどうかは、実際に文の中でWho’sなどの「短縮形を元の形に戻して、おかしくないか判断する」点についは、先日触れたとおりです。
You’reとYourについては、TIMEに面白い例がありましたので、そのまま紹介しましょう。
You’re is the contraction for you are. Your means you own it; the apostrophe in you’re doesn’t own anything. For a long time a local nonprofit had a huge sign that said “You’re Community Place.”(You’reは、you areの短縮形である。Yourは所有を表すが、you’reの中の’は何も所有しない。地元の非営利団体で、長期にわたり「あなたは地域の居場所」と掲げた巨大な看板があった。)
もちろん、正しくはYour Community Place(あなたの地域の居場所)です。たった一字(「は」と「の」)違うだけで、まるで意味は違ってしまうものです。
途中途中でTIME記事から休憩を入れたこともあり、だいぶ長くなりましたが、TIMEの誤用表現シリーズは、今回にて完結です!ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
カテゴリ:How-to > 誤用表現
本日の表現:They’re / They / Contraction / Contract
2014.9.20本日の表現:They’re / Their / Contraction / Contract
TIME紙が取り上げる混同しやすい表現の第14回目(全15回)。今日はThey’reとTheirです。
前項のテーマはIt’sとItsの違いでしたが、次項では、その複数形They’reとtheirの違いについて取り上げています。
以下、TIMEから抜粋です。
They’re is the contraction for they are. Again, the apostrophe doesn’t own anything.(They’reはthey areの短縮形である。繰り返しとなるが、アポストロフィーを付けるだけで、所有を示すことはない。)
We’re going to their house, and I sure hope they’re home.(私たちは、これから彼らの(their)家に行くのだから、彼らは(they’re)家にいることを、もちろん願っているよ。)
二つの表現を一つの例文で紹介しているところは、さすがTIMEですが、以上にて本項終了。しかし、これで終了ではあまりに物足りないため、最後に、説明文に出てきているcontractionについて触れておきます。短縮形というときに使う言葉ですが、これはジーニアス英和大辞典を見れば、「引き合う」の意味が元になっていることがわかります。つまり、「異質なものや他人同士が、引き合う」ということです。すると、同じ語源のcontractが「契約する」をはじめ、「(親交や婚約、同盟などを)結ぶ」意味になることも理解できるというものです。
本日の表現:It’s / Its
2014.9.19本日の表現:It’s / Its
TIME紙が取り上げる混同しやすい表現の第13回目(全15回)。今日はIt’sとItsです。
いよいよTIMEの表現シリーズも、残すところ数回となりました!最後の数回をお読みいただければ、きっと、いかに英語のネイティブと我々日本人がつく間違いの性質が異なるか、実感していただけるはずです。(本記事がネイティブ向けに書かれた記事であることは、何度か申し上げた通りです。)
It’s is the contraction of it is. That means it’s doesn’t own anything.(It’sは、it isの短縮形である。つまり、it’sは何も所有しない。)
It’sおよびItsは、我々は中学一年の一学期で学びますね。It’sがit isの短縮形で、Itsが代名詞の所有格であることは、最も基本的な文法の一つです。日本人でこれを間違う人は、あまり多く見ません。なぜなら、日本人の大半は「中学から」英語を習い始め、「文字から」(視覚的に)英語を学び、最初の文法で繰り返し間違いを直されるからです。これに対し、英語のネイティブに間違いが多いのは、「生まれたときから」英語に触れ、「耳から」(聴覚的に)英語を学び、後から文法の間違いを直されるからです。It’sとItsは、同じ発音だから、彼らは間違えるのです。これに対して日本人は元々目で学んでいるため、「だって、間違ってるじゃん」と視覚的に判断できるのです。
Whenever you use an apostrophe, un-contract the word to see how it sounds. In this case, turn it’s into it is. “It’s sunny,” becomes, “It is sunny.” Sounds good to me.(アポストロフィーを用いるときは、いつでも元の形に戻して、どう聞こえるか試してみればいい。この場合は、It’sをit isに直してみる。すると、It’s sunny.はIt is sunny.で、響きからして何ら問題がない。)
It’sやItsあたりでつまずく日本人はあまり多くないように思いますが、ど忘れしてもし迷うことがあれば、上のようなネイティブの考え方を参考にしてみるといいかもしれませんね。
本日の表現:principle / principal
2014.9.15本日の表現:principle / principal
TIME紙が取り上げる混同しやすい表現の第12回目(全15回)。今日はprincipleとprincipalです。
principalとprincipleの使い方について、TIMEは以下のようにアドバイスをしています。
If you’re referring to laws, rules, guidelines, ethics, etc., use principle. If you’re referring to the CEO or the president (or the individual in charge of the high school), use principal.(法律、ルール、ガイドライン、道徳規範などについて言及するのであれば、principleを用いよ。会社の最高経営責任者や社長(あるいは、高校の校長)について言及するのであればprincipalを用いよ。)
品詞についてはTIMEで言及はありませんでしたが、principleは名詞のみ、principalは名詞と形容詞の使い方があります。principalを形容詞として用いた場合は、「主要な」(=main)を意味します。名詞として用いた場合は、上記の他に、元金と利子(principal and interest)の元金の意味を表します。ジーニアス英和大辞典には、以下のような例文がありました。
How much interest will there be on a principal of 10,000 yen?(1万円の元金に、利子はどれくらい付くか?)
他にも、バレーの世界でバレー団最高位のダンサーのことを「プリンシパル」と言いますね。これは英語のprincipalをそのまま日本語に訳したものですから、principalの守備範囲は実に広いものです。
本日の表現:precede / proceed
2014.9.14本日の表現:precede / proceed
TIME紙が取り上げる混同しやすい表現の第11回目(全15回)。今日はprecedeとproceedです。
この2語については、TIMEの説明があまり分かりやすくないため、すべて私のほうで解説します。
precedeは先立つ、proceedは進む、という意味ですね。この2語を理解するのに最も役立つのは語源でしょう。precedeはpre(=before以前に)+cede(=go行く)、proceedはpro(=forward前方に)+ceed(=go行く)です。それぞれ後半のcedeとceedは現代英語では違う綴りなだけで、元を正せば同じ語源に行き着き、ともに「行く」を意味します。しかし、異なる部分は前半で、precedeのpreは時間を遡る動きであるのに対して、proceedのproは前に進める動きを指します。OALD辞書から例文を取り上げます。
His resignation was preceded by weeks of speculation.(彼が辞職する前は、数週間にわたり憶測が飛び交った。)
Work is proceeding slowly.(作業はゆるやかに前へ進んでいる)
今回の例に限った話ではありませんが、言葉を覚えるには、言葉とその周辺の派生語をセットで覚えてしまうのが効果的ですね。precedeなら、よく知られた派生語として、unprecedented(前例のない)があります。precedent(前例)がun(ない)からunprecedentedです。また、proceedの名詞形のprocedure(手続き)は、物事を前に進めるための流れだからprocedureです。さらにいえば、proceedingsは議事録(会議を前に進めたことの記録)を、proceedsは収益(販売や売却など、物事を前に進めた結果、得たもの)を表します。
言葉の流れを追っていくと、なかなかどうして、英単語の探訪は楽しいではないですか。