(ノートン刑務所長)
(たばこ警告表示)
2014.9.27本日の表現:warden / a surgeon general’s warning
TIMEで紹介された映画『ショーシャンクの空に』の制作秘話の最終回です。最終回はこちら。
Warden Norton offers Tommy Marlboro cigarettes with a surgeon general's warning on them, even though the surgeon general's warning didn’t appear until the 1970s.(ノートン刑務所長は、公衆衛生局長官のたばこ警告の載ったマルボロのタバコをトミーに渡したが、1970年代まで公衆衛生局長官の警告が出ることはなかった。)
映画の最後のシーンの設定が1965年なのに、1970年代の警告を出すわけがない、と言っているのです。こういう情報も、苦心して映画を作り出した情景が目に浮かび、面白いですね。
英語はまず、刑務所長がwardenです。ただし、これはアメリカ英語としての意味合いです。映画の舞台は戦後の米国であるため、このように使われています。もしイギリス英語で刑務所長をいうなら、governorです。日本人なら、まず都道府県知事や州知事を思い出すでしょう。英米共通でニュートラルなwardenの意味合いは、管理者。例えば、a game warden(猟区管理者)などといいます。さらに、イギリス英語では、wardenは大学学長や寮長を指します。私が留学した大学はイギリス系列であったため、寮長のことをwardenと呼んでいました。同じ寮に住んでいた米国の留学生は、刑務所長を思い出すようで、「おれたちは受刑者か」と面白がっていたことを思い出します。所変われば品変わりますね。
続いて、a surgeon general's warningですが、これはたばこ警告表示のことです。日本でも「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。」などの表示を見ますね。これの米国版です。surgeon generalと聞くと、日本人は「外科医将軍?」などと思いそうですが、米国公衆衛生局長官のことです。最後に、米国の代表的な警告を見ておきましょう。
SURGEON GENERAL'S WARNING: Smoking Causes Lung Cancer, Heart Disease, Emphysema, And May Complicate Pregnancy.(公衆衛生局長官からの警告:喫煙は肺がん、心臓病、肺気腫を引き起こします。また、妊娠合併症を引き起こす可能性もあります。)
カテゴリ:映画 > Shawshank Redemption
本日の表現:sawdust / saw
2014.9.26本日の表現:sawdust / saw
TIMEで紹介された映画『ショーシャンクの空に』の制作秘話の続き。本日はこちらです。
The muck in the sewer scene was made of chocolate syrup mixed with sawdust and water.(下水管シーンの汚物は、チョコレートシロップとおがくずと水を合わせて作られた。)
自由を求めてアンディが、狭い下水管を汚物にまみれながら匍匐(ほふく)前進するシーン。いかにリアリティを追求する映画であっても、撮影で「本物」の汚物にまみれては、俳優さんにはあまりに酷。これまで考えたこともありませんでしたが、チョコレートシロップとおがくずと水を合わせて作られたのだと知り、なるほど、と思わず納得です。(笑)
ここで使われるsawdustはおがくずの意味。saw(のこぎり)+dust(木くず)です。日本語では面白いことに、チェーンソー(chainsaw)とは言いますが、ソー(saw)単体ではあまり使われません。でも、もちろんチェーンのない普通ののこぎりは、sawです。そのsaw(のこぎり)が作るdust(木くず)だから、sawdust(おがくず)です。このsawですが、動詞として使うと、なかなか深い意味になります。
"Don't saw sawdust," said the old man. "Don't live in the past."(「過去の失敗を振り返るな」と老人は言った。「過去に生きるな」と。)(例文はesl-bits.netより)
直訳すれば、don’t saw sawdustで「おがくずをさらに切り刻み舞い上げるような真似はよせ」です。それが、「過去の失敗を振り返るな」という意味になったのでしょう。
さらに、OALDには以下のような例文がありました。
She sawed away at her violin.(彼女はひたすらバイオリンを弾いた。)
なるほど、バイオリンを弾く様子は、のこぎりを使う動きと似ている、というわけです。
のこぎりの動き一つから、このような表現まで生むとは、古代の英語国民の想像力は豊かなものです。
本日の表現:play catch / shoot the scene / in a sling
2014.9.25本日の表現:play catch / shoot the scene / in a sling
Morgan Freeman played catch for nine hours while shooting the scene in which Andy first comes to Red about the rock hammer. He didn't complain, but came to set the next day with his arm in a sling.(モーガン・フリーマンは、アンディがロックハンマーの件でレッドの元に来る最初のシーンを撮影中、9時間にわたりキャッチボールをしていた。その日に何も訴えることはなかったが、翌日撮影現場に腕を包帯でつるしてやって来た。)
play catchは「キャッチボールをする」の基本表現ですね。shoot the sceneは「シーンを撮影する」、with his arm in a slingは「腕を包帯でつるして」です。slingは昔の投石器から来ていて、石を投げる際に勢いをつけるために使う、ループ状のひもやベルトの意味でした。ここから、腕を吊り下げる三角巾や、赤ちゃんのおぶいひも(a baby sling)などを意味するようになりました。
本日の表現:cast as / downcast / castaway / outcast
2014.9.24本日の表現:cast as / downcast / castaway / outcast
TIMEで紹介された映画『ショーシャンクの空に』の制作秘話。昨日はリードの部分でしたので、今日から実際の秘話に移ります。
The studio originally wanted to cast Tom Cruise as Andy Dufresne and Harrison Ford as Red.(スタジオは当初、トム・クルーズにアンディ・デュフレーン役を、ハリソン・フォードにレッド役を、割り当てたかった。)
日本語でもキャスト、キャスティング、などと言いますが、英語で動詞として使う場合は、上記のようになります。「割り当てる」「配役する」という意味です。
文法の基本事項では、castは過去形・過去分詞形ともに同じcast。発音はcanと同じパターンで、アメリカ英語ではキャーストゥ、イギリス英語ではカーストゥ。
なお、語源は古ノルド語のkastaでto cast or throwの意と、Concise Oxford Dictionaryにあり。つまり、現在と同じ意味・使われ方で、「投げる」が原義と言えるでしょう。ここから、気分を下に(down)投げやられる(cast)でdowncast(落胆した)、遠くに(away)投げ出された(cast)でcastaway(遭難者、漂流者)、外に(out)放り出された(cast)でoutcast(のけ者、追放者)という派生語が生まれた、と理解することができます。
本日の表現:lackluster / luster / illustration / illumination
2014.9.23本日の表現:lackluster / luster / illustration / illumination
ご存じの方もきっと多い、映画『ショーシャンクの空に』(The Shawshank Redemption)の制作秘話がTIMEで紹介されていました。私も好きな映画の一つのため、つい読んでしまいました。その記事から使えそうな英語を、これから数回に分けて紹介します。今日はまず秘話の前の、リード部分から。
It may have had a lackluster opening week at the box office, but 20 years after its release, The Shawshank Redemption tops many critics and movie buffs’ best-of lists.(映画が公開された当初の興行成績はパッとしないものだったかもしれないが、公開から20年を経て、『ショーシャンクの空に』は多くの映画評論家や映画ファンにより、ベスト映画に選ばれている。)
この中のlacklusterは「パッとしない」の他に「ピリッとしない」「活気のない」「艶のない」「精彩を欠いた」などの意味になりますが、それは語の成り立ちに着目すると理解できます。つまり、lacklusterはlack(欠く)+luster(光沢、艶)で成り立っています。lackは中高時代でお馴染みの英単語ですが、lusterはそうではないと思います。OALD例文のHer hair had lost its lustre.(彼女の髪は光沢を失っていた。【注】lustreはイギリス英語のつづり。center(センター)をcentreとするのと同様)にあるように、光沢を意味します。
ここで、日本語のイラストレーション(illustration)やイルミネーション(illumination)という言葉をあげると、唐突ですか?実は、これらはlusterと同源です。ともに、「光」を意味するラテン語に端を発します。これが、光沢のluster、光を上から当てるように分かりやすく提示するillustration、そして夜空を多数の光で彩るilluminationに変化した、というわけです。
ちなみに英語にくわしい方のなかには、それじゃlustも同じ語源か、と思う人もいるでしょう。しかし、これは全く別の語源です。lustはゲルマン語系であり、またthe lust of conquest(征服欲)やcall lust love(肉欲を愛と呼ぶ)などの例文からも、「光」を語源としているとは考えにくいですね。
リードの英語解説が思いのほか、長くなりました。次からは制作秘話に移ります。