先日、プロショップ「バク」の北村さんと極細フロロの扱いの話になった。

この店では、15年以上前からメバリングにおける細フロロの有効性を説き、当時3ポンド~4ポンドがスタンダードだった流れを2ポンド~2.5ポンドに変えた経緯もあった。



そして昨今はアジングの隆盛に伴い、極軽量JH単体によるフィネスアジングの素晴らしさも力を入れて伝えて居られる。

北村さんとショップバクはまさにウルトラフィネスアジングの発祥とも言えるのだが、メバリングよりさらに細い1ポンド~1.5ポンドと言う超細フロロを使用するこのフィネスアジングを啓発するにあたり、問題点も浮上してきていると北村さんは言う。




曰く「細フロロの扱いを知らない」と言う事だ。




お店の勧め(北村さんの)に従って1.5ポンドのフロロを購入し、現場投入したがラインブレイクその他のトラブルが多発して困っていると言うお客さんが少なからず居たと言う。

トラブルの在り方も原因もケースバイケースで様々なのだが、北村さんの話では「現場でキャストに至る以前にすでに問題がある」と・・・。





その一つ一つの問題点を聞いて見ると、僕たちの中では常識としてすでに定着している事柄がまだまだ浸透はしてい居ないのだなとつくづく感じさせられた。










と言う事で、今回はラインを購入して「リールに巻く段階」からご紹介していこうと思う。



■強度はあっても線径の細いフロロは繊細

まずね、リールに巻き取る時にどうやっているかです。
信頼のおけるプロショップ(扱いが解ってない店もあるので注意)で巻いて貰うのが一番ですが、自分で巻く際の注意事項です。


厳禁(1)

一番やってはいけないのは、乾いたタオル等で挟み、テンションを掛けてリールへ巻くやり方。
PEなどはテンションを強く掛けて巻く必要があるので、そのイメージでやる人も多いとか・・・。

これをやっちゃいますと、フロロは摩擦熱で必ず傷みます。
さらにはタオル繊維でライン表面が削られて剥がれたりしますので、厳禁行為です。フロロカーボンは硬いようでもポリフッ化ビニルデンと言うビニール系の素材ですから、タオルで十分傷が付きます。


慣れたアングラーならラインを指でつまんで軽いテンションを掛けながら巻いたりしますが、それも道具の無い現場で仕方なくやっている行為ですからお勧めはできません。



■一番確実なのはやはり専用器具を使う事

お勧め(1)
何種類かあるのですが、細フロロにお勧めなのは使い勝手とコストも含めて、第一精工の高速リサイクラー(4,000円なり)です。

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僕も常日頃から愛用してます。


実はラインマーキーと言う専用品があるのですが、仕組みや精度的に0.5号より上ならまだしも、それ以上細いフロロにはいま一つベストとは言い難いです。
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ラインにヨレが付かない仕組みになっているのですが、糸が巻いてあるプラスティックスプールが物によっては止まりにくかったり、プラスティックが削れて粉が出たり、ラインテンションの掛り方がスムーズでなかったりといま一つです。

第一精工さんには昨今の事情を踏まえてもっと精度の高い上級品を期待したいところです。



で、上記のリサイクラーしか使わなくなったのですが、こちらはネーミング通り使い終わったラインを巻きとりができますが、実はリールに移し替えることも出来るのでこちらの方が一石二鳥!

もっとも上級品にリサイクラーDSフル装備と言う素晴らしいものがあるのだけど、ちょっとお値段が現実的では^^;








使い方は後でもう少し詳しく記載しますが、その前に「巻き取り機」を持ってない方にミニアドバイスを!
僕もラインマーキーやリサイクラーを持ってない頃によくやりました。

ラインを直接タオルや素手で掴んでテンションを掛けずにやる方法です。




まず、嫁か息子に手伝わせる(笑)

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スプールに箸を入れて持たせ、スプールを挟んでテンションを掛ける(左図)
一人の時は自分で足で挟んでやる(右図)




これならラインを傷める事は無いわけですよ。
簡単な事です。








■下巻き必要時は面倒でも正しい方法で

さて器具の使い方ですが、セットして巻くだけで特別な事は無いのですが、せっかくですから「下巻き」をするケースで説明しておきます。

下巻きが必要な際、上手く適量が巻けずに何度もやり直す方が居ると聞きました。
下手をするとショップの店員が何度もやり直しているケースも・・・。

ラインが傷んじゃいますよそりゃ^^;


で、少し面倒なのですが僕は以下の方法でやっています。
諸事注意事項を含めて解説します。

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今回はニューセルテート2506に13フィネスフロロ0.5号100mでやってみました。

■抵抗が掛ったらドラグで調整する

まずはマシーンに購入したプラスチックスプールをセットし、赤いつまみで適正テンション(ちょっと抵抗のあるプラグを巻くときの抵抗感程度)をセットします。

で、とりあえず100m全部を一旦リールへ巻き取るのですが、ココで一つ注意事項を!
マシーンの精度はそれほど高くありませんから時々グッとストレスが掛ることがあります。
なので、リールのドラグを緩めにセットし、抵抗が少しでも掛ったらチリチリとドラグが滑るようにセットしておくのがコツです。これはラインマーキーを使う際や、家族に手伝ってもらう時や、自分の足で巻く時でも同じです。


とりあえず100m巻いたらこんな感じです。
まだ巻き量が少し足りません。
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■下巻き糸とのノットは小さめに

次に下巻き用のラインを繋ぎます。
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僕の場合はバーゲン品の1号をメバリング&アジング用に購入してます。




で、取り合えず適正量をリーへ巻き取ります。
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僕の場合は0.5号(0.117㎜)ならこの程度。
0.3や0.4ならもう少し多めに巻き、逆に太い糸はもっと少なめに巻きます。
太いほどバックラッシュしやすいのがフロロの特徴ですからね。

キャスト時にバックラッシュ等のトラブルのは大半以上が巻きすぎです。
スプールエッジギリギリまで巻いたらフロロはトラブルの元です。
特にシマノのARCスプールはエッジに斜めのテーパーが付いているので勘違いする方が多い。
巻くのはテーパーの下までですからお間違いのないように。


PEならかなりギリギリまで巻けますが・・・。



■リールをもう一台用意する

はい、適量巻けたわけですが、このままでは下糸をキャストすることになります(笑)
なので違うものに一旦巻き取って裏返しにする必要が出てくるわけですが、この際はリサイクラーは使いません。他のリール(仮巻き用)に巻き取ります。


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昔さんざん使ったアンバサダーがこんなところで活躍します(笑)

先ほど適量まで巻いたリールを足で押さえつけ、ベールは倒したままでドラグを緩めて仮巻きリールの方へ巻き取ります。

この際にラインテンションは掛ける必要がないのでドラグゆるゆるで巻き取ります。



次はリサイクラーにセットしたプラスチックスプールへ移します。
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この際にもテンションはほとんど掛けず、サクサク巻き取ります。
この作業で僕がベイトリールを使う理由は、ラインが真直ぐ出て移し替え時にラインがスプールから外れて横へ巻きついたりしないからです。

レベルワインダーで綺麗に巻けますしね^^


■下巻き糸のノット部に印を

で、移し替えの際の注意事項ですが、下巻きとのノット部にティッシュなどを挟んで目印を作ります。
こうすれば後でリール側へ本巻きする際に楽です。
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綺麗に移し替えができました。
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■本巻きです


さて、いよいよ本巻きですが、まず下糸の端っこをハングマンズノットなどで輪っかを作ります。
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で、スプールへかぶせ、ノットこぶをスプールのくぼみへ入れます。
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このままではラインが滑って空回りすることもありますので、スプールへ一回ハーフヒッチでかぶせます。
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で、キュッと締めて巻きとり開始!

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そして本巻きは当然のこと、最初の注意事項と同じで、適正テンションを掛けながら、リールのドラグを利用して巻き取っていきます。



■下糸とのつなぎ目を隠す

僕が下巻き方式が嫌いな理由の一つです。
どうしても瘤ができますから、キャストの際に引っ掛かって飛距離の妨げになりますし、シールなどで隠す方法をとってますが、やはり見た目は悪いし糊は着くわで今でもやりたくありません。

だからこそ、全巻きが可能な1000mボビンが欲しかった。
少々現場で連続高切れしても全巻きなら釣りが続行できますからね。

でも1000mボビンの売れ行きからして、やっぱり一般的な感覚には成り得ないんだよな・・・。



ま、愚痴はともかく、繋ぎ目にシールなどを張って押さえます。
分かりやすいように黒いシールにしてますが、13フロロなら製品スプールに付いて居る、下記の↓13シールを使ってください。
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セロテープを張る方もいますが、糊でネチャネチャしますから、次の巻き替え時にイライラします。やめた方が良いです。

↑低粘着のシールが秘かな気配りですよ^^



テープを貼ったら数巻きほど手で巻いて安定させます。
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で、あとは巻き巻き巻きと。
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こんな感じできっちり出来上がりました。

やっぱりね、適正巻き量って繊細なのですよ。
ラインの銘柄でも号数でも違うし、極端な場合使っているロッドの特性でも微妙に変わってくるものなので、単純にショップ任せにはできない部分もあるのです。

特にフロロを使ったライトリグはその傾向が強いですから、自分できっちり身につけるべきですね。




■号数表示シールを貼る

「そのスプールへ何号(何ポンド)巻いてる?」
って問いに答えられない人がときどき居ます。

身内の弟子に一人居るので殴ってやりたくなった(笑)


まあね、スプールを何個か持っていると本当に解らなくなるのですよ。
だからちゃんと分るようにしておきましょう。

オーシャンルーラーさんが良いものを出してくれてます。
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僕の場合は14個もあるので貼っておかないと悲惨な目に合います^^;

で、下巻き派の方も換えスプール番手毎に用意し、そして表示さえちゃんとしていれば次の巻き替え時に最初からやらなくても、繋ぎ目で切って同じ号柄をそのまま巻けばきっちり適正量って事ですよ^^







厳禁(2)

細フロロの釣りはすべてにおいて繊細さと、それに伴う道具の始末を問われます。
冒頭の北村さんとの会話中にもあったのですが「すぐ切れるので使えない」と言うお客さんの中には下記のようなケース(ガイドリングにヒビ)も多々あったのです。

■ガイドリングに気を配る

知らないうちにね、ガイドのリング(内側のセラミック等)にクラックが入ってる事があるのです。
僕なんかも、堤防に立てかけて置いたロッドが風にあおられて倒れたり、キャストで見えなかった枝を叩いてみたりとヒヤッとする場面は何度もあります。

で、折れて無いとホッとしてしまうのは甘いです。
SICリングはとても硬度の高い磁器のようなモノですから、倒れた拍子に割れてることもあるのです。
えらくラインがプツプツ切れるなと思ったらまずガイドの損傷を疑いましょう。

チェックにはルーペ等も必要ですが、カッターの刃でリングの内側をなぞったり、コットン繊維でなぞったりしても発見できます。
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刃物を使うのはちょっと怖いかもしれませんが、SICはハサミやカッターの刃では傷つきません。ものすごい硬度なのです。

手頃なカッターの刃が切れていたので写真ではハサミになっていますが、オルファなどの白い刃なら硬度も低いので心配はいりませんし、作業も楽です。

内側を刃先でなぞればクラックがあれば引っ掛かりますのですぐに発見できます。





■ライン巻き替え時にバットガイドを利用しない

これ、やる方が結構多いのです。
確実にラインを傷めます。

ガイドの構造と意味を覚えてください。


バットガイドは↓こう向きについて居ます。
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フレームのアールに注目です。
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裏っ側はこうなってます。



↓トップガイドのアールとは裏表が逆なのです。
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釣りをしていて魚が釣れた場合は↓こうなってます。
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要はラインはリングにしか当たっていません。
仮にロッドを立てた状態でもフレームの角にラインが当たるようにはなっていません。






ところが、ライン巻き替え時にバットガイドのみを使用すると↓こうなります。
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ラインがフレームに当たっているでしょ?コレでテンションを掛けたら確実にラインは痛みます。

高級機種ならフレームはチタニウムでステンレスよりは多少マシですが、内側のセラミックよりは放熱も少ないのですぐに摩擦熱で熱くなります。

チタンフレームにSICリングのガイドと言うのは、実はそう言う事を考慮して作らてます。高い竿と安い竿の一番の違いはそういう細かいところにあるのです。

「よく釣れる」

とか言うのは全く違う次元ですからね。





実際に釣る時にはラインがフレームに触れる事はあり得ません。

ためしにガイドフレームのこのラインが当たって居る場所(写真の)を触ってみてください。
確かに面はとってあるものの、とてもリングのようにツルツルでは無いです。

しょっちゅうライントラブルを起こす方はこう言うところにも原因があるかもしれません。







■スプールエッジを大切に

ビギナーさんにロッドを貸すとヒヤッとする場面に遭遇します。
サビキのおばちゃんなどはしょっちゅうやっていますが、リールを下にして堤防のコンクリートの上へ「コツン」と音を立てて置く^^;

ルアータックルであれをやったらスプールは一発で終わりと思ってください。
かつては僕自身も神経を配らずに傷をつけてしまい、しかもその事に気付かないまま釣りをして事もあります。

「最近なんだか飛距離が出ないな」
「ラインの出が悪いけど・・・」

と思ったらスプールエッジもチェックしてください。


本日手持ちの15個のスプールをチェックしたらひとつだけ軽い傷がありました。
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白の矢印部分が傷です。

今回のは幸い重篤な傷では無いのですが、10年以上以前に北村んさに指摘された、割合深い傷の時には恥ずかしさに顔が真っ赤になりましたよ。全然自覚がありませんでしたから^^;

黄色の矢印部分は傷では無いのですが、最終処理の塗装がはげています。
この辺も値段なりの部分があって、中級~上位機種には仕上げ工程でちゃんと「表面平滑加工」ってのが為されているわけです。単に高級素材で軽いだけってわけではないのです。

この辺がメイドインジャパンの日本製たる部分でもあります。



まあ、傷が深ければ買い替えるしかありません。
ルアーFはキャスト命ですし、ライトリグなら一層その傾向は強くなり、タックルのパーツの些細な傷がラインを削り、最終的には命取りになってしまいます。

傷が浅ければ修復も可能です。
2000番台以上のサンドペーパー(水ペーパーなど)で傷を馴らし、大きな引っ掛かりがなくなったら仕上げはジーンズの生地などで気長にゴシゴシ磨きをかければ使えるようになります。

ただしコーティングは剥がれてますので、フッ素コート剤(ボナンザ・ロッドメンテなど)を噴霧するなどのケアをいつもする必要が出てきます。





特に細フロロや細PEの使用頻度が高くなった昨今、こう言うところへ気を配る必要が強くなりました。
せっかくの高級ラインも、引っかけられたり削られたりで、表面がささくれだって本来の能力を発揮できなくなってしまいます。

スプールエッジの傷より直径が太い糸なら影響も少ないのですが、細ければ細いほどキャスト毎にラインは傷を拾っていきますし、ガイドにヒビがはいいていれば巻き上げ時に傷つきながら回収されます。







結局釣りと言うのは、釣り方だけではなく道具の使い回しやケアやメンテナンスも学ばねばなりません。

僕がメーカーさんに無理をお願いして、13フロロの「0.3号、0.4号ウルトラフィネス」に、あえて「エキスパート専用」と書いて貰ったのはそう言う意味なのです。


今回書いたようなタックルケアへの気配りがあって初めて正しく使えると思います。







それは何より僕自身が通ってきた「間違いの歴史」があるから言えるのです。

かつて色んなメーカーさんの1ポンド、1.5ポンドを使用し、「う~~~ん、なんだかな~、弱すぎて使えんな・・・」と、自分の事は棚コン上げて思いましたから^^;