ガイドとロッドの関係は切っても切れない仲であり、ガイド一つでロッドの性能や性格は恐ろしく変わる。

特に我々が使うライトゲームロッドはロッド自体が細く小さいがためにガイドの影響をモロに受けてしまう。
どんなに良いブランクスを作っても、ガイドセッティング一つで台無しになる可能性すらあるのだ。






■サミーちゃんと出会う

以前、非常に顕著な例に出会って以来、私自身そのへんを強く意識するようになってしまった。

それは現在ブリーデンスタッフとして一緒に活躍するようになった、知多の雨好きアジ仙人サミーちゃんに出会った時の事だったが、彼は非常に器用な人で、ロッドのカスタムを自分の釣りに合わせるために自作でいくつも手がけていた。

そして彼がカスタムしていたあるロッドに私は驚かされた。
そのロッドとはufmウエダのFLS-64だ。


FLS‐64は、私がブリーデンにお世話になる以前までメバリング用として愛用していたバス用のスピニングロッドで、13年ほど前にDr.tの勧めで購入したのだが当時のどのブランドのメバルロッドよりメバリング向きであると確信させられ、惚れ込んで溺愛し、7年間で3本も消費するほど使い込んだ思い入れのあるロッドだ。



そしてサミーちゃんはというと、奇しくも広島の我々とは別の流れで15年ほど前からメバリングではなく、なんとアジングにはまりこみ、私たちと同じようにFLS‐64に出会って使用していた。

そして月日は流れ、サミーちゃんは一本の竿とまた運命的な出会いをする。
その竿とは私がプロデュースをし、ブリーデンが制作したGRF-TR68ストレンジだった。

彼はストレンジの持つ基本性能に驚き、以来溺愛して自分のアジングに実戦投入する。
聞けばブランクスの素晴らしさもさることながら、一番驚いたのはガイドのチョイスとセッティングだったという。

今までに見たことのないセッティングであり、攻めに攻め抜いた設計で、それまでの竿は何だったのかというほどライトリグロッドの究極の形を見せつけられたと語った。(ちなみにこのへんは現テスターの芥河君やインチョーも同様に驚かれて熱狂的なブリーデンロッドファンとなられた)





まだブリーデンと出会う前のサミーちゃんの動画。この時の使用ロッドは68ストレンジ。






■真正ライトリグロッド誕生

そして彼はそれまで愛用していたFLSにあることを施す。


それはストレンジと同じようにセパレートグリップに組み換え、ガイドもストレンジのシステムを参考にマイクロガイドセッティングでカスタムしたのだ。

このカスタムロッドを初めて彼に出会って意気投合した際に見せられたのだが、かなり激しいショックを受けた。何にか、というと、さんざん使い倒して知り尽くしていたはずのFLS64とは、似ても似つかぬロッドになっていたからだ。





そしてその瞬間に

「すべてのブリーデンロッドのデザイナー」でもある社長の村井さんが、私と一緒にTRシリーズのプロト制作を重ねる中で、何故マイクロガイドシステムを採用したかということの本当の意味を知らされた

のだった。





私自身はロッド制作のプロであろうはずも無く、竿の調子に関しては40年に渡る釣り経験の中である程度の判断は出来るものの、ガイドに関しては全く無知だったから、ストレンジのあの素晴らしさは自身が要求した「調子」が実現したからに違いなく、ブランクステーパー、アクションによるところが大きいと思い込んでいたからショックは大きかったのだ。

もちろん、ストレンジのブランクスは素晴らしい。
私が必要とした極細径ソリッドティップが絶妙なアクションで1ピースに収められ、狙い通りの性能を発揮してくれているが、その性能を損ねることなくサポートしていたのは実は当時としては画期的(と言うより常識はずれに近かった)なマイクロガイドシステムに負うところが大きかったのだ。




■時代は後から付いてくる

現在ではストレンジのマイクロガイドを踏襲したようなロッドを多く見かけるようになったが、当時は身近なところでも散々反発があった。

曰く「飛ばない」「抜けが悪い」など・・・。

しかし私はプロトの段階でグランドテストなど飛距離テストを何度も繰り返し、それらの評価は「感覚」であり「印象」に過ぎない事を実践で確信していたが、現在のように2ポンド前後の細フロロを自信を持って使用するアングラーは少なく、それがために中々真意は伝わらず説明に苦労を余儀なくされた。

実際はマイクロガイドによってティップのバタツキは無くなるから飛距離は出るしキャスト精度も向上するし、ガイド数を増やしたことによってロッドのパワーロスも少なくなったのに・・・。




参考までに「ごく最近のマイクロガイド搭載のロッド」をインプレしている、江口バスプロの動画を配置しておきます。僕がエレクトロやストレンジでなんども説明したことと同じことを言っておられる。

コレが実際というか真実ですよ。分かる人は分かっている。









そしてついに今年2012年になって業界全体にさらなる変化が訪れる。

ガイドメーカーFUJIがニューガイドシステムを発表した。
これだ↓

KR

K・Rコンセプト
だ。

いわゆる「Kガイド」の進化版だ。
KはロッドのK点を大きく超えるという意味と、革命revolutionのRから来ているらしい。

「ベリーからトップにかけて同一リングサイズというガイドシステム。これによってロッド性能を最大限に引き出し、飛距離をアップ、感度アップ、ロッドパワーアップなどに貢献する」

というものだ。



従来の常識では、バットガイドは大口径で、徐々に段階を踏んで小さくし、リールから放出されるラインのループにストレスを与えないというのがガイドの概念だったのに、そこが変わってしまった。

実際はループを早々に収束させて早く一直線にしてしまったほうが所定の結果が出ると「ガイドメーカー」が判断したわけだ。

ただ、一気に絞るとラインがガイドに擦れ「擦過音」が大きくはなる。
コレが「飛ばない」と錯覚させる要因になっていた。



上の図で見るとバット部の高脚ガイド(KL-H)「チョクークガイド」と言うらしいが、チョークとは絞るという意味だ。
このシステムならベリーからティップにかけて同サイズの小さいガイドを使用できる。



ということはロッドが軽くなる。

もしくはガイドの数を増やせる。

ということはパワー分散が多くなり、ロッドのパワーが活かせる。








イイ事づくめなのだ。
要はTRシリーズが5年前に達成した考え方が、今後は主流になるという示唆でもある。


ちなみにブラック三兄弟を並べてみる。
grf-tr

YK3H2119

バットガイドは手前から83deep(TYSG-25)、74electro(TYSG-20)、68strange(TATSG-20)オールチタンフレーム。


ティップセクションもチタンフレーム。83deep(TLSG+TLGST)、68strange(TMKSG3+TLSFST3.5)








バットガイド部は3個ではなく、2個で一気にチョークさせるようになっている。
そこから先はトップまで極小ガイドが並ぶ。

これを5年も前からやっているわけだ。
5年前の設計だから古いと思ったら大間違い。今でも時代の最先端だろう。






・ブランド立ち上げ時に作られ、時代を先走っていた気合の入ったエギンガーを唸らせたPEシリーズ。
・2kgを釣れば大騒ぎの時代に3k4kのモンスターを仕留めるためだけに作られたモンスターコーリング。
・性能だけではなく所有する喜びを喚起させてくれたレジェンド。
・今や急流や深場用エギングの常識となったディープtypeエギのエギマル。
・繊細で奥深いライトリグの知的興奮を味合わせてくれるGRFシリーズ。





まさに「先進のオリジネイター」ブリーデンだと言える歴史だ。

身贔屓と嘲笑われても良い。
これらの先進のフィッシングギアは紛れも無くブリーデンが生み出している。
そしてニューロッドの試作も続々と進行中・・・。





改めて、一アングラーとして「村井さんありがとう」と声に出したい。