25年ほど前だったかな、釣具店でG.Loomisのバスロッドを初めて見たのは。
その頃は知識も少なく、海外物の竿といえば昔から憧れていたFenwickしか興味が無かったので、少しだけ触って「ふ〜んこんなのも有るんだ」程度の印象しか持たなかった。

その数年後、某デジタル通信システム会社の依頼で、北米での市場調査と北米支社立ち上げの仕事を請けおって渡米。調査の結果は上々で、その業種では北米ナンバーワンの大手企業とシステム導入の話まで進める事が出来た。

なので即アパートメントを借り、本社の了解を得て支社立ち上げに奔走。
支社長の人事も決まり、現地スタッフを数名採用して北米支社は無事スタート。


こうなると僕のやることはもう「釣り」ですよw
日本ではまだインターネットが普及し始めたばかりだったけれども、現地スタッフが僕のためにネットで日本人会にアクセスし、釣りをする駐米日本大使館の職員を紹介してくれた。そしての流れで次々とプロアングラーと知己を得る。

とりわけ素晴らしかったのが、当時のブラックバス世界記録保持者のアングラーを父に持つ、B.A.S.Sトーナメンターのボブ・クルピとの出会いだった北米釣り紀行3

ロス市警の警官でもある彼はとても良くしてくれて何度も一緒に釣りをしたが、その彼が強く勧めてくれた竿がG.Loomisだったのだ。彼は「自分はシマノと契約しているが、コレを買え」「世界最高峰のSTICKだ」と。そして「リールはカルカッタが世界一だからそれを付けろ」と(笑)


ともあれ、この時に買った二本のバスロッドが自身初のG.Loomisロッドだ。
その後、大使館員君と釣りに行くのに、大物のホワイトツナやバラクーダを釣るためにG.Loomisのムーチングロッドも購入した。G.Loomisは日本ではバスロッドでしか(今でも)知られていなかったが、北米では餌釣りロッドもフライロッドも売られていた。

そして大使館員君からG.Loomis社の社長Gary loomisがいかに凄い釣り師で、いかに凄いプロダクターであるかも教えられた。

「釣りも出来ないキャッチボールも出来ない男は大統領に選ばれない」という彼の国においては、ゲイリーは大統領でも礼を尽くして対応するほど尊敬されているVIPだと。そして日本国内の全ての竿工場はゲイリーの竿作りの技術や理論や機器に関して多大な恩恵や薫陶を受けていると。これを、関連する任に付いたことのある大使館員の口から聞くわけですよ・・。



そして彼らと共に湖や大海原で操るゲイリーロッドのフィールはとても素晴らしいものでした。




閑話休題



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GXSシリーズの原点を知る意味でも、ぜひ一度Gary’s 7 Episodesを読んでみて下さい。ココでも必ず酒が飲めますw


「5月になって水位が下がり始めると、スチールヘッドは、なお同じ場所にいるもののバイトして来なくなった。そこで、私は、プレゼンテーションを変えてみることにした。具体的には、ライトラインを使うことだった。ラインを細くすればするほど、確実にバイトは増えた。しかし、6ポンドまで細くすると、バイトこそ得られるもののブレイクが途端に増えた。私はこの問題を様々な角度から考えた」


これ。まさしく冒頭のこの箇所が、まず僕の心を捉えたのです。日本人が思っているG.Loomisロッドのイメージとはかなり違います。また僕がライトゲームに求める竿の基本コンセプトがココにあったのです。


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さて月日はそれから20年ほど流れ、僕はインクスレーベルを立ち上げました。
そして当然のごとく自分が思うライトゲームロッドを作りたくなる。

で、早速、業界通で様々なアドバイスをくれる、現インクスレーベルアドバイザリースタッフの伊藤久由を始め、竿作りに詳しいプロの業界人数人に「どこの窯が良いか?」と尋ねると、驚いた事にほぼ全員が少し考えた後、一様に同じ社名を挙げるではないですか。


それは「ノースフォークコンポジット」というブランド名でした。
そして驚いた事にこのメーカーの総帥はあのゲイリー・ルーミスだというのです。

1997年にG.Loomis社をシマノへ売却した後、2009年にワシントン州のノースフォーク・リバーのほとりに、ゲイリーが息子とスペシャルエンジニアのボブと共に、新たに立ち上げたメーカーが、North Folk Compositeだと。

これが三年前。

こりゃもうダメです。
自身の釣り人しての流れを考えたら、彼らが教えてくれたNFCブランクスというのは、もう運命以外の何者でも無い。きっと釣り神様がココで作れと言ってくれたのです。


と言うことで早速関連関係を訪ね、企画は2015年夏にスタートします。
余談だけど、その時に記念で作ったのがこのライター(笑)
arumi



そしてマンドレルを三回もやり直すなど紆余曲折を重ね、とうとう21018年春にハミージャーミーとビーテスラーの二本のロッドがほぼ最終形まで煮詰められていったのです。









INXlabel GXS Series
PDF Sheet1










※この画像は釣具店さん向けの注文書の一部です




■NFCブランクスの特性 ブログGo Beyondより

この「不思議さ」は偶然の産物ではありません。ゲイリー・ルーミスが40年にわたり情熱を注ぎ込んで来た言わば必然の結果なのです。ゲイリーがブランクをデザインする時、勿論、パワーやアクションに注意を払います。しかし、それ以上に彼が意識しているのは、負荷の高まりに応じて、スムースにベンドを深めていく追従性、つまり”プログレッシブさ(progressive)”です」続きはコチラを。


最初に焼いて貰ったNFCブランクは、僕がイメージしていたG.Loomisの竿とは全く別物でした。
かなり軽く、張りも強くなっているように感じるのに、曲げていくと実にスムースに曲がっていきます。

さっそく実釣が出来るようにガイドやグリップを取り付けてフィールドへ持ち出すと、この段階でもうすでに素晴らしい。プラグもジグヘッドもライナーで伸びやかに飛んでくれます。

そして魚を掛けるとコレがまた不思議。
メバルで言うなら25cmまでは姿を見なくても大体のサイズが分かるのに、30cmを超えて大物になるほどサイズ感が狂うのです。

実はフィッシュインで有料配信している【メバルプラッギングの全て】 Case Study(4)の福島編で使用しているのですが、掛けたときに26cmくらいだなと思ったのに、キャッチしてみると実は尺超えでしたメバプラ東北ロケ

40年もメバル釣りしている僕が間違うのです。


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また、プロトロッドのBT74を預けて帰った福島テスター佐藤君が、その後60近いクロソイを掛けているのに40cmソコソコと感じたほど、今までのロッドとは魚の暴れ方や寄せる力に違いがあるのです。

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ではなぜこのような感覚になるのかというと、それはマンドレルにカーボンシート巻き付ける際の製法にその秘密があるようです。






【ハイプレッシャーローリングとは】ブログGo Beyondより

ノースフォークコンポジットのブランク作りの特徴と言えばハイプレッシャー・ローリングがその一つ。業界平均が約60psiと言われているところノースフォークコンポジットではその4倍の250psiでマンドレル(芯金)にカーボンシートを巻きつけています(psiは"pound per square inch"の頭文字で「ポンド・パー・スクエア・インチ」と読み、意味は1インチ四方に何ポンドの圧力がかかっているのか、を表す主にアメリカで使われている単位)。

じゃあ釣り人的に高い圧力でカーボンシートをロールすると何がいいのか・・・というと、繊維の密度が増し、必要にして十分な樹脂だけが残され、余分な樹脂が取り除かれることによって、ブランクをより軽く、しなやかに、そして、強くすることが出来るという訳。その効果がとりわけ顕著に出やすいのがハイモジュラス・ファイバー、いわゆる高弾性素材を使った場合なのです。




しかしこの製法、ゲイリー自ら設計したMachineを使っているのですが、超高圧で巻くためにしょっちゅうMachineの調整が必要なようで、例えば1000本のブランクを巻くのに、通常のローリングマシーンの数倍の日数を要するらしいのです。つまり大量生産向きでは無い^^;


そんなこんなで、アクションやテーパーを僕がイメージしたものに仕上げるためにはプロトを重ね、実釣までする必要があるので、気がつけば出来上がるまでにあっという間に三年の月日が過ぎてしまいました・・・。




手前がBT74 奥側がHJ64
DSC06570







※製品版はフロントグリップのコルク部やスレッドのカラーは少し異なります。












■BLANK ノースフォークコンポジット社製Hybrid HM inxmodel採用

・業界標準の4倍の圧力でカーボンシートを巻くことが出来るハイプレッシャーローリングマシーンを始め、世界最高峰の竿作り技術を持つと評されるゲイリー・ルーミス率いる北米のロッドメーカー「ノースフォークコンポジット社」でブランクを生産

・同社のフラッグシップである高弾性マテリアルHMを、日本のライトゲーム向けに最適化したインクスレーベルオリジナルのブランクは唯一無二。高次元の復元力を軸に、類を見ないパフォーマンスを発揮

・ラッピングは国内工場で日本の職人の手によって一本一本緻密かつ丁寧に組み上げられ、シンプルなデザインと相まって見る者を魅了する仕上げとなっている



テーパーもファーストプロトから二度変更したのですが、もっとも変わったのはカーボンシートの素材。
社外秘ですので詳しくは書けませんが、同社のフラッグシップであるHM素材に手を加え、より日本のライトゲームに見合ったものに仕上がったのです。

DSC06585JC2-HM-logo 2































その証がバットガイドのすぐ下に据えられたこのシール。
知る人には一目でNFCのHMシールだと分かるロゴですが、よく見ると上にはHybridという文字と、下にはINX.Modelと表示されています。

つまり同社のラインナップには無い、特別に作られたインクスモデルのブランクであり、さらにNFC社公認である事の表れなのです。





日本国内では、NFCブランクで作られたロッドはバスロッドと、一部のコアなフライフィッシャーが使うロッドのみでした。

したがって、ソルト用として量産されるロッドとしては国内初となるのです。


25年も前に知り、20年も前に惚れ込んだG.Loomisのロッド。
それがNFCと名を変えて大きな進化を遂げ、あのゲイリー・ルーミスの指揮の下作られた最新版のブランクを搭載したモデルが、今僕の目の前に在るのです・・・。



数年前までは夢に見ることすらできなかった現実が。