2005年12月16日

100年に1度のバレリーナ 5

 記事の日時が前後して申し訳ないんですが、先月一時帰国した第1の目的は、既に書いたパーティーへの出席だったのですが、実は、まだ書いてない第2の目的があったんです。
 それは、シルヴィ・ギエム(*1)の日本での最後の「ボレロ」(*2)を観ること

 ギエム自身が、今回の公演を最後に、日本ではボレロを踊らないと宣言しているのです。
 彼女は、日本では、東京バレエ団の男性ダンサー群とともにボレロを踊っているので、この宣言は、ギエム+東京バレエ団のボレロは今回で見納め、ということを意味しています

 ギエム+東京バレエ団のボレロは、非常にスマートながらも強靭な肉体を持つ白人女性ギエムが、真っ赤な円卓の上で1人で踊る「メロディ」と、上半身裸の重心の低い日本人男性ダンサー達が、円卓の周りを囲むように踊る「リズム」とが、奇妙にマッチしていて、他のボレロにはない別種のエロチックな雰囲気を出しているだけに、最後となるのは残念です。
sylvie GUILLEM

*1 シルヴィ・ギエム
 フランス出身のバレリーナ(1965年生)。
 「100年に1度のバレリーナ」との呼び声高い、スーパーダンサー。
 パリオペラ座バレエにおいて、史上最年少でエトワールとなるも、突如、ロンドンのロイヤルバレエに移籍し、フランスの国家的損失とまで言われて大騒ぎになったのは有名な話。

*2 バレエ「ボレロ」
 作曲家モーリス・ラヴェルの作品ボレロに、振付家モーリス・ベジャールが振付けたもの。



 東京文化会館での、2005年11月17日(木)午後6時からの公演だったのですが、11歳になる姪を連れて行きました。
 妖艶な演目だし、姪の家からも遠いので、心配はしたんですが、姪もバレエを習っているし(しかもモダン)、何より、今年40歳(!)になるギエムが、今後何年今の状態で踊り続けることができるか分からない以上、ギエムの「現役バリバリ」時代の舞台を姪に観せておきたいと思い、強行しました。

 当日の演目は以下のとおりです。

 .リシャの踊り (振り付け:ベジャール、音楽:テオドラス)
◆‐さな死 (振り付け:キリアン、音楽:モーツァルト)
 ドン・ジョバンニ (振り付け:ベジャール、音楽:ショパンーモーツァルトの主題による)
ぁ.椒譽 (振り付け:ベジャール、音楽:ラヴェル)

 に上野水香ちゃんが出ていました。彼女は、ベジャールがボレロを踊ることを許している数少ないダンサーのうちの1人で、背が高くとても華やかで、舞台の上でぱっと目立つ存在でした。 が、今回は、回転軸が常にぶれたり、リズムに乗れなかったりで、調子悪かったみたいですね。
 もしかして、彼女、最近、太ってません? 昔から、手に比べて足はしっかりとしていましたが、なんか、足はもちろんのこと、全体的に輪郭が違っているような…。
 ちょっと心配です

 △蓮▲エムがマッシモ・ムッルと2人で踊りました。「小さな死」とはオルガスムスを意味するそうなのですが、抜粋だったのでエロチックさは殆どなかったので、私はホッとしました(笑。実は一番、これを心配していた)。 ムッルと見事なパートナリングをみせてくれて、とても楽しかったです。
 姪の「全然レベルが違うね」という、感想に、おばちゃま、大満足
 調子に乗って、「ギエムはね、二重関節で体がすごく柔らかいのに、とっても筋肉質でしょう? で、踊りもしっかりしてるから、古典バレエが好きな人からは、らしくないって批判されたりするんだけど、ここまでズバ抜けていると、そんなこと、どうでもよくなるよね」と、無理やり説明を聞かせました(笑)。

 い離椒譽蹐隆響曚鮟颪のは…、野暮というか、言葉で表現することが非常に難しいです。
 彼女の肉体そのものが、音楽となり、空気の振動となって、一振り一振りで世界を変えていくかの如く、です。
 数分観て、ギエムが全身全霊で踊っているのが分かるわけです。彼女にハードな連日公演をやらせていることが、罪であると思えてきます。
 可愛そうです。
 こんな消耗する演目を、連日連夜、しかもボレロについては、目の肥えた日本の観客の前で踊らされる緊張感・消耗度たるや、想像を絶すると思います。
 
 それに、今回は、再追加公演ということで、音楽が録音だったんです。 東京文化会館の録音は悪いですよ〜〜〜〜!!
 失礼です、ギエムに 
 オケを入れられないなら、公演は諦めるべきじゃないでしょうか?(まあ、そしたら、私は観れなかったんですけど。。。)

 何度も書いてギエムに悪いんだけど、彼女は今年40歳。
 確かに、世の中には少数ながら、中年以降でも踊り続けることができるダンサーはいますが(日本が誇る森下洋子さんとか)、それでも、振り返ればピークというものがあるわけです。 
 機会があったら、是非、ギエムの踊りを観てください
 バレエを観たことが無い人でも、「100年に1度のバレリーナ」との形容が嘘じゃないことが分かると思います。

 なお、バレエ「ボレロ」を観てみたい方は、映画「愛と哀しみのボレロ」をどうぞ。 ベジャール率いる20世紀バレエ団のスターダンサー、ジョルジュ・ドン(92年にエイズで死去。ベジャールの愛人だったとも言われています)が、ラストで踊っています。
 子供の頃、このラストのボレロをで観たとき、観てはいけないものを観てしまったような感覚を感じながらも、音楽と踊りに圧倒されて子供ながらに感動したのを覚えています。

愛と哀しみのボレロ


 蛇足ですが、ボレロはフィギュアスケートでもたまに使われてて、最も有名なのは、アイスダンスのトーヴィル&ディーン組のもの。
 サラエボ五輪(84年)で、審査員全員が、芸術点で満点(当時6.0)をつけたんですよね(技術点がどうだったかは記憶にありません…)。
 あれもテレビでリアルタイムで観てて、感動しました〜〜 始まりのポーズから覚えてるアイスダンスって、あれだけかも。
 彼らが滑ったあと、解説の五十嵐文男さんが、「この後しばらくは、この曲は誰も使えないでしょうね。」と、(あの声で)興奮しておっしゃってたのが印象的でした。

 確か、後年、冬季五輪(場所・西暦ともに記憶なし。トホホ)の、エキシビション(?)に、トーヴィル&ディーン組が招かれて、再びボレロを滑ったんですよね。 観客席のファンが掲げた、いくつもの手作りの「6.0」を覚えています。
 またもや解説の五十嵐文男さんが、「思い出しますね。あの時の興奮を。」っておっしゃってました(笑)。




takurere1025 at 12:34│Comments(0)TrackBack(0)バレエ・ダンス・舞台 

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