2005年12月29日

くるみ割り人形 in NYC4

リンカーンセンター劇場内 2005年12月22日(木)午後6時から、NYCBのくるみ割り人形を観ました。
 NYCBは、いろんな意味でバランシンのバレエ団なので(*)、当然、くるみ割り人形もバランシン版です。
 以前、観たペンシルベニア・バレエ団のくるみ割り人形も同じくバランシン版です(**)。その時の記事はこちら
 
 会場は、写真左のリンカーン・センター(分かりにくいので、クリックして拡大して見て欲しいのですが、ツリーの飾りの幾つかが、楽器なのです)の、一角にあるニューヨーク・ステイト・シアターです。
 フィリーでも4階席だったのですが、こちらでもチケットを取るのが遅すぎて4階席でした。 でも、こちらは柱が無いので4階席でも見やすいですね(フィリーのアカデミー・オブ・ミュージックは古い建物なので、2階席以上には柱があり、しかも階数が上がるに従って柱の数が増えるんですよ…)。

 さて、NYCBのくるみ割り人形ですが・・・



 ペンシルベニア・バレエ団と比較すると、さすがに金平糖の精を踊るダンサーの格の違いは、明らかでした。
 最後のパ・ド・ドゥも安心して見ていられましたし(ペンシルベニア・バレエ団の場合は、キープ力が不安定で、見てるこっちが「最後、1人で立てるか〜〜〜」ってハラハラした)。
 また、NYCBは子役も充実しているようで、振付を含めて子役のレベルが明らかに上でした。

 ただし、くるみ割り人形役の男の子に限っては、ストイックな雰囲気と安定したマイムという点で、私はペンシルベニア・バレエ団の方に軍配を上げます。

 また、アラビアの踊りは、ペンシルベニア・バレエ団の振付の方が素晴らしいと思いましたね。 音楽にぴったり合っていたし、ダンサーのHeidi Cruz の柔らかい体質や個性にもすごくはまっていたと思います。

 あと、群舞は、ペンシルベニア・バレエ団の方が揃っています。小さいバレエ団なので、いつものメンツって感じで呼吸を合わせやすいのだと思いますが。

 さらに細かいところを言えば、ねずみの王様の笑わせてくれる死に方(腹筋運動しながら震えるの)や、キャンディスティックの精のはじけっぷり(二重飛び連発)等、エンタテイメント性は、ペンシルベニア・バレエ団の方があったのではないかと思います。

 そうそう、NYCBのねずみの衣装は、巨大な上にリアル過ぎる感があったので、私はペンシルベニア・バレエ団の多少ギャグチックな方が、夢の世界っぽくて好きですね。
 

* アメリカのバレエ
 アメリカは、ヨーロッパや旧ソ連諸国に比較するとバレエ後進国で(日本はどうなの?という質問は難問なので横に置き)、20世紀を代表する振付家といわれるロシア出身のジョージ・バランシンが、1934年にアメリカに来てバレエ学校やバレエ団(後のNYCB)を設立してから、目覚しく発展したという歴史を持っています。
 NYCBは、今でもバランシン作品の権利を数多く所有しており、公演の演目もバランシン作品がかなりの割合を占めています。

** アメリカの「くるみ割り人形」
 アメリカのバレエの発展の仕方から考えて、バランシン版が普及しているのは当然なのでしょうね。 なお、バランシン版のくるみ割り人形の初演は、1954年、NYCBによるものです。
 実は、バランシン版というのは、くるみ割り人形の世界初演(1892年)版であるイワノフ版を、若干演出し直したものなのですが(バランシンは、ダンサー時代に旧ソ連でイワノフ版を踊ったことがある)、このイワノフ版というのが超評判の悪い振り付けなのでございます。
 なぜかと言うと、前半は退屈なマイムが延々と続き、後半は物語とは関係の無い踊りがこれまた延々と続く、というものだからです。
 そのため、現在、ヨーロッパ、旧ソ連諸国および日本で公演されているくるみ割り人形は、イワノフ版と比較するとストーリーもダンスの内容も、相当に変更されている、ワイノーネン版もしくはピーター・ライト版またはこれらを基礎にした振付・演出が主流です。
 しかし、アメリカでは、ストーリーも内容もイワノフ版から大きくは外れてないバランシン版を大事にしている・・・ということは、アメリカでは、既に他国では観られなくなった、くるみ割り人形の原型が観られる、ということです(反面、上述のイワノフ版への批判は、そのままバランシン版にも当てはまるわけですが)。
 記事中に書いた「七つの頭を持つねずみの王様」も原型の1つです。
 ただし、そこはショー大国アメリカ。 バレエ団の数と同じ数だけのくるみ割り人形があると言われていて、バランシン版と銘打っていても、細かな振付や演出は、バレエ団により様々だそうです。
 そんなわけで、同じバランシン版といっても、ペンシルベニア・バレエ団とNYCBで違いが出てくるわけです。


takurere1025 at 08:09│Comments(4)TrackBack(0)バレエ・ダンス・舞台 

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この記事へのコメント

1. Posted by ZakCafe   2005年12月30日 11:27
5 Koharuさま、初めまして。
kyさんのブログの、句読点が公文書式というコメントを見て不覚にも何故かウケてしまい、こちらへ飛んで参りました。
とてもホットでクールなブログですね〜。
ペンシルベニア・バレエ団のくるみ割り人形見ました。私は花のワルツを聴くと何故かいつも気分が高揚するんですね。花のワルツの衣装はフワフワですし。子供のころなりたかったものはバレリーナだったくらいなので好きなのですが、詳しくはないのでKoharuさんの説明を読んで大変勉強になりました!
ペンシルベニア・バレエ団は悪くないですよね、ダンナはう〜んと唸っていたので、じゃあ来年はパリのガルニエに行きましょうということになってます。
ところで早速ですが、我がブログを充実させたく、リンク貼らせてもらってもいいですか?
2. Posted by Koharu   2005年12月30日 13:04
5 ZakCafe様、初めまして

花のワルツは、私も大好きです。
衣装が白〜濃いピンクのグラデーションで、とっても素敵ですよね

私の旦那も、くるみ割り人形を観た際、「なんで、いきなり雪景色になるの?なんで、いきなり踊り見せてんの?わけわかんないよね」と申しておりました…。
イワノフ版&バランシン版は、特に男性のバレエ初心者にはハードルが高いですよね
なので、ご主人様の反応も無理からぬものかと…(笑)

リンクの件、もちろん了解です。
私はまだブログ技術が無いので、できないのですが、そのうち、こちらもリンク貼らせてくださいませ
3. Posted by ZakCafe   2005年12月31日 06:28
有難うございます。早速リンク貼らせてもらいました。また寄らせていただきます。それでは良いお年を!
4. Posted by ZakCafe   2005年12月31日 06:30
有難うございます。早速リンク貼らせていただきました。また寄らせていただきますね。それでは良いお年を!

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