2006年06月08日

奇跡の海賊!! 5

ABTプレイビル ボロボロのプレイビルが物語る、この興奮をどう書けばいいのか・・・それがあまりに難しくて、記事にするのがこんなに遅くなってしまいました。

 5月23日(火)夜8時、場所はNYCのメトロポリタン・オペラ・ハウス。
 アメリカを代表するバレエ団、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の、海賊(ル・コルセーユ)をNYC在住のお友達と鑑賞しました。
 ちなみに、プレイビルの表紙は、今シーズンの目玉である「マノン」で、海賊ではありません。

 バレエ好きな人は、この日の配役を見たら、ぶっ飛ぶこと間違いなし

 コンラッド(海賊の首領): フリオ・ボッカ
 アリ(コンラッドの奴隷): アンヘル・コレーラ
 ランケンデム(奴隷商人): ホセ・カレーニョ
 ビルバント(コンラッドと内輪もめする海賊): ヘルマン・コルネホ
 メドーラ(奴隷として売られる美女): パロマ・へレーラ
 ギュリナーラ(メドーラの友人): シオマラ・レイエス

 ABTのダンサーをご存知の方には、ピンとくると思います。
 そう、この日は、主要な役柄は全て、中南米&スペイン出身のダンサーで固められているのです。 そして、ABTの中で、今をときめく男性ダンサーは、中南米&スペイン出身の方にほぼ集中している。 つまり、この日は、スター男性ダンサーが揃い踏みなわけです

 しかも、「海賊」は男性ダンサーのためのような演目 夢のような、まさに・・・

  奇 跡 の 夜
 
 実は・・・



アンヘル10周年 この日は、常日頃、ABTのスペイン&中南米ダンサーをサポートしている複数の有力篤志家に感謝するために、そして、ついでながら、現在ABTで一番人気のアンヘル・コレーラのプリンパル10周年を祝って、セッティングされたスペシャルデーだったんです。

(左の写真はプレイ・ビル中の彼のプリンシパル10周年広告。踊っているのは、この日と同じアリ役)

それを知らずに、配役を見てこの日に決め、電話で「この日は混んでるから別の日にすれば〜」とさんざん勧めながらも(*)、チケットを取ったのですが、当日その旨のチラシと舞台挨拶があり、なるほどね、と。

さて、この日ですが、男性ダンサーは、全員、本当に素晴らしかった

特に、フリオ・ボッカ

 彼は、今シーズンで、バレエダンサーからの引退を表明していて、舞台を観るまでは、もう歳だし往年の輝きはないんだろうなーと勝手に決め付けていたのですが、猛省しました。
 ジャンプの高さも申し分なく(アンヘルにも負けてなかったさー!)、回転の軸も一切ぶれない(速さは流石にアンヘルの方が上だが)、しかも、手先・足先にまで神経が行き届いていながらも、キレがあり、とにかく踊りが美しいです。
 ベテランなだけに演技力も高いですし。

 フリオが踊りを決めるたび、そして、最後の数度の挨拶の時に、観客席から叫ばれた、地響きのような「フリオ〜〜〜〜」というおっちゃん達()の声を、私は忘れないと思いマス(こちらは、おっちゃんのバレエファンがとても多いのです)。

 アンヘル・コレーラは、海賊のアリ役が十八番なので、観客も彼が踊る時はワイノワイノの大騒ぎ(アンヘルの場合は女性の声が大きい)
 いや、ホントね、あそこまでの踊りを、あれだけ派手に見せつけられると、なんだかもう笑っちゃうしかなかったですね。 あの技術の高さと集中力、そして観客に対し魅せる技量は、全くもっててたいしたものです。

 この日は、秋公演(こちら参照)のときと違って、役柄に忠実に、自分よりも主役のコンラッドを立てる意識がしっかり見られました。 でも、アリの踊りで中心となるスピンで、「絶対に軸はずらすもんかっ」という鬼気迫る意気込みが感じられ(しかも滅茶苦茶、スピードが速い)、ブラボーの一言です。

 ホセ・カレーニョは、アリも得意とするダンサーですが(秋公演のときの記事はこちら)、今回は、奴隷商人役で出演していました。
 彼は、中南米ダンサーの中でも肌の色が濃い方なので、一見アグレッシブな踊りをするかに見えますが、もともと王子様チックな踊りの方を得意とするダンサーです。
 なので、奴隷商人役なのに少し弱々しいのではないか?と思ったのですが、後で調べてみると、この奴隷商人、ちょっと弱々しく女々しい、つまりはカマっぽいという解釈があったんです!
 この日のホセは、ちょっとなよっちくて、まさにその解釈どおり
 なるほどね〜と感心した次第です。

 今回の収穫の1つは、ビルバント役のヘルマン・コルネホ
 彼、あまり日本では知られていませんが、すごく良いダンサーです
 2003年にプリンシパルに昇格したダンサーで、どんな個性かまだよく分りませんが、何よりも技術がしっかりしています。
 体型が大きすぎも小さすぎもせず、どの役もこなせそうな感じですし、これから、色んな役をやるのではないでしょうか。 成長が楽しみデス

 さて、男性ダンサーに比べて、女性陣は見るからに弱いですね
 特に、主役のパロマ・ヘレーラの調子が悪く、男性陣が張り切っていたのに比べると、かなり見劣りしました。
 演技は悪くないですが、調子悪いダンサーがよくそうなるように、足も勢いをつけて無理に上げているし、特に回転する時にむりやり手で回っていてて、しかも、その手が伸びきっていなくて肘が妙に曲がっているのが目に付く。
 彼女、秋に比べて、ちょっとやせちゃったみたいで(実は秋公演のときも調子悪くて舞台袖で転んだりしていたんですが)、余計、肘が目立ちましたね。 大丈夫かな

 ところで、この日の舞台は、カメラ班が出て撮影されていたので、もしかするとDVDで発売されるかもしれません。
 そしたら、買っちゃうんだろうなあ
 そして、そのために、パソコン1台、アメリカのDVD専用にしちゃうんだろうなあ。。。でも、本当に夢のような舞台だったので、買って損はないな、うん。
 (でも、あのラストはどうなんだろう・・・?)

* ABTへの電話
チケットを取る時に、日本人スタッフをお願いしますと言うと、トリオフォンみたく日本人通訳の人が入ってくれます。
なので、どちらの席が見やすいかなど比較して相談したい時などは、こちらが便利です。



takurere1025 at 11:55│Comments(2)TrackBack(0)バレエ・ダンス・舞台 

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この記事へのコメント

1. Posted by MIKI   2006年06月08日 15:20
このログをまってましたー読んでいて、あの日の興奮がよみがえってきました。

ド素人の私がご一緒してはもったいないような、素晴らしい日だったのですね。でも、本当にあの日は感動しました。ありがとうございました。

その後の他の演目のお話を読むのも楽しみにしています。私は、やはりこの夏の公演はもはや無理そうなので、秋にかけたいと思います。でも、そのころにはフリオは見られないのですね(既にファン気取り 笑)。

DVDが出たら、私にも教えてください
2. Posted by Koharu   2006年06月09日 04:56
5 MIKIさま、こんにちは。
アップが遅くなってしまって、申し訳ないような気分でした(笑)。
それにしても、あれはホント伝説の舞台ですよね。
ご一緒できて本当に良かったです。

夏公演が無理そうっていうの、旦那を見てると納得です。
どこでもドアがあればご飯とかお菓子とか差し入れできるんだけど・・・頑張ってね

ただ、単純に「バレエ」ってことで良いなら、秋まで待たなくても、7月末にサンフランシスコ・バレエ団がNYCに来るよ。
これはアメリカの3大バレエ団の1つだから、演目にもよるけど観に行ってもいいんじゃないかなって思います。

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