2006年06月20日

ボルゾイな「ジゼル」  5

ジゼル・ポスター  6月14日(水)夜8時から、NYCのMetで、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)ジゼルを観てきました。
 配役は以下のとおり。

ジゼル: ディアナ・ヴィシニョーワ
アルブレヒト: ウラジミール・マラーホフ
ヒラリオン: サーシャ・ラデッキー
ペザントPDD: ステラ・アブレラゲンナジー・サヴァリエフ
ミルタ: ミッシェル・ワイルズ

 ジゼルと言えば、群舞。
(←ポスターもやっぱり群舞) 
 何度も書いているけど、ABTは群舞が苦手。 真面目な日本のカンパニーや、伝統ある旧ソ連のカンパニーなどを見慣れた目からすると、「群舞をそろえる」ってことに、主眼をおいてないんじゃないか?って思えるほど

 ところが!
 今回の2幕のウィリーの群舞、何だかいつもよりも揃ってる 確かに、日本で見てきたカンパニーに比べると劣る箇所はあるけど、それでも別に気にならないよ 
 うぉ〜〜〜やれば出来るんじゃん、ABT



 さて、今回、特筆すべきは、アルブレヒトを踊ったマラーホフ(オフィシャル・サイトはこちら)。
 彼の踊りは、本当に良いですねえ 体(特に背中)が柔らかくて、すごくしなやか。 相変わらず、彼のジャンプは、頂点でふわ〜っと一瞬止まっているように見える上、着地の際に猫のように足音が殆どしなくって感動しました。 

 まさに、天使のジャンプ とても今年38歳とは思えません。

 アルブレヒトって、解釈が難しい役だと思うんですけど、マラーホフのアルブレヒトは、とても単純でストレートな解釈。 身分を偽りながらも高貴で物腰柔らかな雰囲気を全く隠さない、その上、婚約者がありながら嘘をついてジゼルに言い寄っている自分に罪悪感を全く持たないという、客観的には困ったチャンなお坊ちゃん 
 絵に描いたような「やさおとこ」ぶりで、しかも2幕では悲劇のヒーローに浸っているような感じもするし、ラストでも未練たらたらにジゼルに追いすがる。 元々ナルシスト臭が強めなマラーホフ、本当にぴったりですなあ〜。
 笑ったのは、ジゼルが亡くなってしまった後のヒラリオンとのやりとり。 今まで観たジゼルの中で最も分りやすく、まるで次のような台詞を書いた噴出しが見えるようでした。

アルブレヒト 「君のせいだぞっ! 君のせいでジゼルは死んでしまったんだ!! 君が僕の正体をばらしたからっ

ヒラリオン 「ふざけるなっ! おめーのせいだろーがっ 不誠実なことしやがって
アルブレヒト 「えっ? ぼく ぼくなのっ えっ・・・ええええええ〜〜〜〜っ!!??
   ・・・ホント、君はどーしょーもない男デスネ、アルブレヒト・・・

 ジゼル役のヴィシニョーワは、私の感覚からすると、1幕でくねくねし過ぎ。 ロマンチックなロシア人の感覚だとあれくらいでも充分に清楚なのかもしれませんが、私は、日本人が得意とする、も〜っと清楚で可憐で儚げなジゼルが好きです。  

 ところで、今回の舞台も、美術が素晴らしかったです。 こんなに豪華なジゼルの舞台を観たのは初めて
 特に印象深かったのは、1幕で上手の奥と下手の奥の両方に舞台中央に向かう坂道が作られていたこと。 上手の坂道からさっそうとアルブレヒトが登場する時の爽やかな疾走感、そして、下手の坂道から狩りに向かう大公の絢爛豪華な列が下りてくる時の、いかにも上の身分の者達が下の身分の社会に来たというこれ見よがしな感じは、この2つの坂道のなせる業で、素晴らしい〜。
 狩の列の中には、狩猟犬として本物の大型犬2頭が連れられており(いずれもボルゾイ*)、豪奢な感じをさらにグレードアップしていたのですが、さすがに客席からはどよめきが上がっていました。 
 また、村の子供達の設定で、子役が数人出ていたのは珍しいと思いました。

 ABTの舞台の方向性というのは、美術にしろ出演者(犬)にしろ演出の全てにおいて、「豪華」ということに尽きるのかもしれません。 そして、それこそが、ABTの舞台の最大の楽しみではないだろうかと思い始めた今日この頃です

* ボルゾイがどんな犬かについては、以下参照。 
  ちなみに、舞台に出てきたボルゾイは、下の写真の犬達よりも毛足がずっと長くて、すごく優雅で堂々たる犬達でした。

Borzoi - the Russian Wolfhound: It's History, Breeding, Exhibiting And Care
Borzoi Champions: 1987-2001
Borzoi Champions: 1982-1986



takurere1025 at 03:30│Comments(0)TrackBack(0)バレエ・ダンス・舞台 

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