2006年06月30日

「マノン」3連発、そして、さよならボッカ… 5

マノン 6月21日(水)午後2時〜、夜8時〜、そして翌22日(木)夜8時〜、NYCのMetで、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)マノンを、3回連続で観てきました。
 配役等は、以下の通り。

 6月21日 マチネ
マノン: ディアナ・ヴィシニョーワ
デ・グリュー: ウラジミール・マラーホフ
レスコー: ゲンナジー・サヴァリエフ
レスコーの情婦: ステラ・アブレラ
ムッシュG.M.: ヴィクター・バービー
看守: アイザック・ステイパス

◆6月21日 夜
マノン: シオマラ・レイエス
デ・グリュー: アンヘル・コレーラ
レスコー: ヘスス・パストール
レスコーの情婦: エリカ・コルネホ
ムッシュG.M.: Roman Zhurbin
看守: Alexandre Hammoudi

 6月22日 夜
マノン: アレッサンドラ・フェリ
デ・グリュー: フリオ・ボッカ
レスコー: エルマン・コルネホ
レスコーの情婦: ジリアン・マーフィー
ムッシュG.M.: ビクター・バービー
看守: サーシャ・ラデッキー

 ところで、日本では、多くのバレエの公演は「未就学児お断り」ってことになっていると思うのですけど、こちらではこういう制限はありません。 なので、観劇した3回の「マノン」全てにおいて、かなりの数のお子様たちが連れられて来ていました(中にはまだオムツが取れてないような赤ちゃんまで ベビーシッターがドタキャンしたの)。
 子供の入場を制限してないことに文句を言うつもりは無いんですけど、ただ、「マノン」に限っていえば、子供に見せる事は疑問です。 「マノン」には性を表現したダンスが多いですし、露骨な振付のレイプシーンまで出てきます。 私が親だったら、子供が中学校を卒業するまでは見せないかな 

 さて、今回の3回の各公演を一言で言うならば、起きぬけの △子ちゃまな◆∪熟そして涙の、ということになるでしょうか。



ABTプレイビル 実は、公演は、20年に渡ってABTのプリンシパルを張ってきたフリオ・ボッカの引退公演でした。 
 パートナーは、もちろん名カップルの呼び声高いアレッサンドラ・フェリです。
(←この写真もフェリ&ボッカ。もちろん写真の主題はマノン)

 主役の2人(フェリ&ボッカ)はもちろん、脇を固めるレスコーをはじめとした出演者全員、視覚的にも、技術的にも、そして演技的にも、パーフェクトでした 
(レスコー役をやったエルマン君はいつものようにすごい集中力と技術の高さで私はとっても満足! 彼は安定しているので安心感がありますね) 
 ボッカが、ファンだけじゃなく、ABT内部においても、いかに愛されていたかが分かりましたね。 ホント、みんな、ものすご〜〜〜〜く気合入れたんだろうなあ・・・。 
 その前に見た公演´△、それぞれ欠点を抱えた舞台だっただけに、このパーフェクトさは奇跡のように思えました。 そういう意味では、伝説の舞台になること間違いなしでしょう。 
  数え切れないほどのカーテンコールがありました。 スタッフをはじめ、往年&現役のダンサー達が舞台上に集結し、一人一人がボッカに花束を渡したり、フラワーシャワーを浴びせたりしていました。 もちろん、客席からも数え切れないほどの花束が。 出身国であるアルゼンチンの国旗も投げ入れられ、ボッカはそれをまとって何度も挨拶。 これまで公演中は飲まなかったというビールを舞台上で一気飲みしてみたり。 最後のカーテンコールが終わると、カーテンの向こうから、スタッフ&他のダンサー達からボッカに向けられた大きな拍手と歓声が地響きのように客席まで聞こえてきました。
 こんなふうに引退できるダンサーって、世界中でいったい何人いるのかな? こちらも涙が出てしまった引退公演でした。

 ところで、わたくし、生でフェリ&ボッカの舞台を観たのは初めてだったんですけど、本当に素晴らしいカップルですね もう驚くしかありませんでした。 この2人でしか出せない世界というものが、確実にありますね。 最後に観せてもらえて、神様、ありがとう

 さて、「マノン」の特徴といえば、大技リフトをこれでもかと連発する振付け(まるでフィギュアスケートを思わせるようなものも)、胸がかきむしられる様な切なさてんこ盛りの音楽、そして特に主役マノンの演技です。
 
 マノンというのは、とても難しい役で、「自分に首ったけの人の良いデ・グリューを裏切った上に無理矢理いかさま賭博をやらせ、自分は娼婦をして金のために身売りするという、どうしようもなない悪女」でありながら、「変わらず少女のように可憐であり、しかも誰の目をも惹く美しさを兼ね備えている」という女性なわけです。

 なので、マノンを躍らせると、バレリーナの欠点はもろ分りになりますね。
 ,ディアナは、クネクネ踊っちゃう癖があるので、最初から娼婦の悪女って感じになってしまい、可憐さが感じられない。 ただし、踊りの技術は高いです。複数の男性に一度に持ち上げられ、上からまっ逆さまにダイブするようなリフトがあるのですが、この時の形は3人の中で最も美しく、唯一客席からどよめきが上がっていました。
 △離轡マラは、可憐とは言えるかもしれないけど、むしろ、元気な妹ちゃんって感じで、もう全然ダメ。 いくらマノンが、「娼婦になった後もずっと可憐さを失わない」って言っても、多少の魔性っぷりは欲しいわけで。 彼女のキャラは、魔性っぽさが皆無なんですよね。 加えて、可哀相だけど、マノンの振付は手足が細く長いダンサーじゃないと引き立たない部分があるので、彼女の体型では見劣りがします。 本人も分ってるんじゃないかな。 っていうのは、カーテンコールの時に、本人がとても照れてるというか、恥ずかしそうにしているんです。 けっこう辛いんだろうなあ・・・。 
 のフェリは・・・さすが「踊る女優」 今年43歳になるというのに、あの可愛さ、可憐さ、そして美しさ(含:魔性)は、3人の中でピカイチ まさに・・・反則だろっ
 さすがに、全盛期の踊りのキレはないのかもしれませんが、ため息が出るような美脚(特に甲!)から繰り出される完璧なステップと姿勢、ボッカとのパーフェクトなパートナリング。  これ以上何か望んだら罰が当ろうというもの。

 ,砲弔い討蓮▲如Ε哀螢紂写鬚鬚笋辰織泪蕁璽曠佞砲弔い動豸澄 
 マチネだったこともあり、体が全く起きてませんでした。 ダンサーは夜公演に標準を合わせることが多いですから仕方が無い部分もあると思うし、彼はベルリンに新設された国立バレエ団の芸術監督も兼務しているので、多忙を極めているんだとは思います。 でも、一幕でマノンに求愛するところで、全てのポーズにおいて、1回で決めることが出来ずにぐらついた、というのは私が見た全ての舞台の中でワースト記録。
 2幕からは体も調子を上げてきたみたいで、ぐらつくことは無くなりましたが、看守を殺してしまい驚愕する所の振付(猛スピードで回転して移動する)では、明らかに回転少なかったし、とろかった・・・。
 残念デス 

 △蓮⊂紊如屬子ちゃまな」と書きましたが、マノンが小さなシオマラちゃんでしょ、さらに、デ・グリュー役(アンヘル)も大きくないし、レスコーの情婦役(エリカ)も小さい。 しかも、彼ら全員、そろいもそろって、キャラ的に「明るく楽しく元気」な感じなので、うーん、マノンにあるはずの隠微さが限りなく薄い・・・。 その結果、悪く言えば七五三、もしくはすごくダンスが上手な子供達がやってる学芸会。
 スターが揃ってれば良いってもんじゃない。
 演劇的な要素が強いバレエは、これだから怖いですね。 



takurere1025 at 10:42│Comments(0)TrackBack(0)バレエ・ダンス・舞台 

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