2010年02月14日

パリ・オペラ座を引退したルグリが・・・

だいぶ前のことになりますが・・・

昨年(2009年)5月に、パリ・オペラ座を引退したマニュエル・ルグリさんが、東京で公演するというので、観に行ってきました。

2010年2月3日(水)午後7時開演、ゆうぽうとホール
「マニュエル・ルグリの新しき世界」 
Aプロ: ルグリ × ド・バナ × 東京バレエ団 スーパーコラボレーション

Aプロの振付は、全てパトリック・ド・バナ氏です。NHKで放送された「エトワール最後の60日〜密着マニュエル・ルグリの最後のバレエ人生〜」の中で、バナ氏がルグリさんに振付をしているところが出てきました(今回の「ザ・ピクチャー・オブ・・・」です)。

【演目】
●「クリアチュア」(日本初演)
音楽: デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ
出演: オレリー・デュポン、フリーデマン・フォーゲル
    奈良春夏、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、河谷まりあ
    長瀬直義、井上良太、柄本弾、杉山優一、森川茉央

●「ザ・ピクチャー・オブ・・・」
音楽: ヘンリー・パーセル
出演: マニュエル・ルグリ

●「ホワイト・シャドウ」(世界初演)
音楽: アルマン・アマー
照明: 高沢立生
装置: 野村真紀
衣装: 高井秀樹
出演: マニュエル・ルグリ、パトリック・ド・バナ
    吉岡美佳、上野水香、西村真由美、ほか

なんといっても、目を惹いたのは、世界初演の「ホワイト・シャドウ」でしょう。
ドナ氏の世界観が、エキセントリックに表現されています。

舞台セッティングから受ける印象は、近未来都市の寂れた一角を装った世界の果て、とでも言えばいいかしらん。正直言うと、今、思い出しながら書いてるので微妙に自信がない・・・。わたくし、あと数えるほどの日数で論語でいう不惑に到達するんですが、最近、文字通りぽろぽろとこぼれ落ちるように記憶が脳から欠落していくんですよ。。。すみません。

パンフレットによると、各ソリストの役割は以下のとおり。
ルグリ(太陽)・・・光や暖かさ
西   村
(月) ・・・夜や冷たさ
バ  ナ
(火星)・・・破壊力や闘争心
上   野
(金星)・・・愛やパッション
吉  岡
(地球)・・・時・空間・全ての事象の中心となるゼロ地点

なお、括弧書の部分は、当初与えられていた役名ですが、これは振付家が求めるエネルギーを説明するために便宜的につけていたもので、途中から外されたのだとか。

若干怖さを感じさせるほど空気を乱すように(←敢えてですよ、念のため)踊る男性群舞、2組のデュエット(ルグリ/西村、バナ/上野)の、対照的とまではいえませんがそれぞれに異なる雰囲気なども見ごたえがありましたが、なんといっても、強烈な印象なのが、吉岡さん。

ダンサブルな振付ではなく、むしろ時にマイム的な、土着的な雰囲気を漂わせる動きの連続を、とてつもない存在感でこなしてました。

バナ氏いわく、「すべてが彼女を中心に回っている。彼女はすべてであり、無でもある。太古の昔から生命を生み出してきた、女性だからこそできる役どころです。」(パンフレットp28より)だそうですが、振付自体が、舞台上の他のダンサー達の動きとは全く別の異次元に存在するかのようなものなので、下手に転ぶと、舞台上で浮きまくっていたと思います。

吉岡さんは、時には神、時には悪魔、時にはその両方のような印象を残しながら、舞台を支配していました。見事です。
(・・・ついでに言っちゃうけど、彼女の顔に対して垂直についてる大きな耳が、「時には悪魔」の時の悪魔感を倍増させていました・・・ひぃ〜)

難癖をつけるとすれば・・・上野さんですね。。。
上野さんは、ムーブメントが独特で、音のとり方も独特。はっきり言っちゃえば、おっとりした時間の流れで踊るのに適した方なので、鋭くシャープな踊りは苦手な方なんですよね。

そうであるが故に、早い音楽でのシャープな踊り、とくに複数のダンサーに混じって踊るときは、「バスケチームの中の巨人」の動きに見えてしまうことがある。

これは彼女の最大の欠点と言えるかもしれませんが、単純な「欠点」ではないんですよね・・・彼女の長所(独特なムーブメントという個性)と完全に表裏一体になってる「欠点」なんです。だから、これを修正すると、長所も減殺されてしまう可能性がある。だから、おいそれと修正することは勧められないし、現実問題として修正することはひどく困難だと思う。

ですが、この「ホワイト・シャドウ」のラストシーン、2組(ルグリ/西村、バナ/上野)がスピードに乗って激しく踊り狂う(という風に見えた)シーンでは、明らかに1人遅れてるように見えてしまいました。知らない人がみたら、「あの人、音感ないんじゃないの?」って思ったであろうほどに。

ルグリさんやバナ氏は、音を非常に正確に取っていて(ちょっと言葉が悪いなあ・・・「真面目にちょうど真ん中で」といえばいいかな)、西村さんは鋭敏に取っていただけに、上野さんの音のとり方がよけい遅れてるみたいに見えてしまったんですよね。1人、のそっと動いてるみたいに見えてしまって、お気の毒でした。


takurere1025 at 18:40│Comments(2)バレエ・ダンス・舞台 

この記事へのコメント

1. Posted by まーご   2010年04月11日 01:40
koharu様、こちらにもおジャマさせていただきました。
私も公演を観に行きましたが、昨日WOWOWで放送していたものを録画したので、楽しみです!
ご存知かもしれませんが、吉岡さんはクラシックを踊るなら耳を整形した方が良いと言われたけれど、キリアンが「キミはその耳がいいんだ!」と力説してくれたと聞いた事があります。(いかにも、キリアンなら言いそうですね。)
上野さんは牧阿佐美バレエ団にいた頃に比べて、だいぶ体重が増えてしまったようで…、残念です。
ところで、Bプロはご覧になられましたか?
ギエム&ルグリが目当てだったのですが、「アザー・ダンス」を踊ったデヴィッド・ホルバーグがすごく良かったです!
パートナーのオレリー・デュポンは、いつも踊りが重くてあまり好きなダンサーではないのですが別人のようでした。
ABTの舞台はしばらく観ていないのですが、次回の来日時にはホルバーグ目当てで行きたいと思います。
2. Posted by koharu   2010年04月12日 23:08
5 まーご様、こんばんは。吉岡さんの「耳」に関するキリアンの話、存じ上げませんでした。教えて下さってありがとうございます。
実は、うちの旦那の耳が、吉岡さんのお耳にそっくりなのです!ただ、奴は結婚後太りましたので、顔の肉に耳が埋もれて(笑)前ほど目立たなくなりましたが…。新婚の頃、旦那に「横向いて寝た時に耳は痛くないの?」と訊いたのですが、特に問題はないそうです(爆)。

今回、annexへのリンク張りのために過去記事を読んでいたら、2005年秋に上野さんのことを「もしかして彼女太った?」と、ワタクシ書いていたのでございました(苦笑)。やっぱり、そうですよねぇ。ただ、彼女の音のとり方って太ったせいだけともいえない気がするんですが、どうでしょう?

Bプロ、観に行きましたよ!記事もアップしていますので、良かったらご覧になってください。ホールバーグは、私がアメリカに住んでいた頃(2005〜2007)よりも、2008年のABTの東京公演(観たのは海賊のコンラッドでしたが)の時の方が、ずっと良くなってた気がしました。今回は「失われたときを求めて」も良かったですよね。

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